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発明の名称 微小電気機械素子および微小電気機械光変調素子
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24946(P2007−24946A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−202888(P2005−202888)
出願日 平成17年7月12日(2005.7.12)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 望月 文彦 / 中村 博親
要約 課題
ヒンジのエッジ部分における亀裂を生じ難くして、故障し難くし、しかもヒンジ部の捩り剛性をさほど変化させることなく撓み剛性のみを大幅に高めることができる光変調素子を提供する。

解決手段
電極を備えた基板と、該基板上に空隙を介して架設された変形可能な長尺状の弾性梁体と、該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の変形によって変位が可能な可動部材と、前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記可動部材を揺動変位させる微小構造体において、前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突部を突出させた。
特許請求の範囲
【請求項1】
基板と、該基板上に空隙を介して架設された変形可能な弾性梁体とを備え、該弾性梁体が変形することにより操作される微小電気機械素子であって、その弾性梁体の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴とする微小電気機械素子。
【請求項2】
電極を備えた基板と、
該基板上に空隙を介して架設された変形可能な長尺状の弾性梁体と、
該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の変形によって変位が可能な可動部材と、
前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記可動部材を揺動変位させる微小構造体において、
前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴とする微小電気機械素子。
【請求項3】
電極を備えた基板と、
該基板上に空隙を介して架設された捩れ変形可能な長尺状の弾性梁体と、
該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の捩れによって回転変位が可能な可動部材と、
該可動部材の表面に設けられた光学機能膜と、
前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記光学機能膜を揺動変位させて、光を変調させる光変調素子において、
前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴とする微小電気機械光変調素子。
【請求項4】
電極を備えた基板と、
該基板上に空隙を介して架設された撓み変形可能な長尺状の弾性梁体と、
該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の撓みによって上下変位が可能な前記電極と平行な部材と、
前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記部材を前記電極と平行に変位させて、光の変調を行う光変調素子において、
前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴とする微小電気機械光変調素子。
【請求項5】
前記弾性梁体の断面形状が、両端部が突部で、中央部が薄くなった略凹状、略円弧状、略楕円弧状のいずれかであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の素子。
【請求項6】
前記突部が前記弾性梁体の部材と同一材料により形成されたことを特徴とする請求項5記載の微小電気機械光変調素子。
【請求項7】
前記突部が前記弾性梁体の部材と異なる材料により形成されたことを特徴とする請求項5記載の微小電気機械光変調素子。
【請求項8】
前記突部が前記弾性梁体の上面及び下面に形成されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の素子。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小電気機械素子に関し、特に微小電気機械光変調素子の長尺状の梁体に関する。
【背景技術】
【0002】
空間光変調器(SLM)は、空間パターンの入射光を変調し、電気的又は光学的入力に対応する光画像を形成する装置である。このSLMの一つに、マイクロメカニクス技術に基づきマイクロミラーを作製し、このマイクロミラーを傾けて光の偏向を図るデジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)がある。DMDは、モノリシック単一チップ集積回路SLMであり、例えば16ミクロン四方程度の可動マイクロミラーの高密度アレイからなる。これらのミラーは、アドレス回路上に形成され、DMDアレイの1画素を形成し、2つの位置のうち一方の位置で、入射光を投射レンズに反射し、他方の位置で入射光を光アブソーバーに偏向する。投射レンズは、表示スクリーン上へ変調光をフォーカスして画像を形成する。
明する。
【0003】
図13は本発明が対象の1つとしている反射型光変調素子の従来例で、反射型光変調素子の平面図、図14は図13のA−A、B−B、C−C、D−Dの各断面視をそれぞれ(a)、(b)、(c)、(d)に表した断面図、図15は図13に示した基板の断面図、図16は図13に示した反射型光変調素子 の電極配線図である。
図13および図14において、反射型光変調素子100は、基板10と、基板10に配設された下部電極20(図で左右の20a、20b)と、この基板10から空隙G(図14)を介して梁体(以下、「ヒンジ 」と称す。)40と、ヒンジ40に形成された可動部材30とから成っている。ヒンジ40は長尺状をしたブリッジ(図14(c)参照)で、長尺方向両端の支持部41で基板10の上に立脚し、中央部分40は下部電極20aと下部電極20bとの隙間の上方に空隙Gを介して基板10と略平行に架設されている。可動部材30は導電部31とその上に形成された光反射体(以下、「ミラー部」と称す。)32とで構成され、導電部31の中央部とヒンジ40は一体となっている。
したがって、ヒンジ40の捩れによって可動部材30が回転変位し、したがってミラー部32回転変位する。
【0004】
基板10は、Si基板、ガラス基板等のいずれの素材を用いてもよい。基板10の具体例としては、図15のように、Si基板70上に素子を駆動するための回路(通常はCMOS回路71及びその配線回路73)が形成され、その上面が絶縁層75によって平坦化された基板であることが好ましい。そして、平坦化された絶縁層75の上面に下部電極20が設けられ、さらにその上方に空隙Gを介して前述の可動部材30が設けられる。これらは絶縁層75に設けられた図示しないコンタクトホールを介して電気的に接続されている。
【0005】
下部電極20は、ヒンジ40を中心として両脇側に第1下部電極20aと第2下部電極20bとを配設されてなる。ヒンジ40の下側に、ヒンジ40を中心として二つの下部電極(第1下部電極20aと第2下部電極20b)、が配設されている。つまり、軸を中心に揺動される可動部材30の捩れ中心40C軸(図14(b))の周りに、静電気力を有効に付与する電極(第1下部電極20a、第2下部電極20b)が省スペースで配設されている。第1下部電極20aと第2下部電極20bは基板10上に固定されて形成される。第1下部電極20aと第2下部電極20bは、金属、半導体など導電性を有するものであればよい。また、この上に絶縁層があってもよい。
【0006】
ヒンジ40の両端の支持部41は、長尺状に形成したヒンジ40の端部を、略四角錐状に凹ませた形状とすることができる。従って、支持部41(図14(c))の断面形状は、下部に平坦部を有する逆三角形状となる。ヒンジ40は、この平坦部が絶縁層75(図15)に穿設した図示しないコンタクトホールを介して配線回路73(図15)に接続されている。第1下部電極20aと第2下部電極20bの位置は、ヒンジ40の捩れ中心40Cに対して略対称に配置される。ヒンジ40は、導電性を有するものであればよい。例えば、金属、半導体が好適である。また、絶縁体と導電体の複合体であってもよい。
ヒンジ40は、長尺状の長尺方向の両端が固定され、ヒンジ40自身が捩れることによりヒンジの軸を中心に回転変位可能である。その弾性力はヒンジ40の形状(膜厚、幅、長さ)と、材料物性(ヤング率、ポアソン比など)などで任意に決定される。なお、可動部材30は左右に配設した電極による静電気力で、右回転及び左回転にアクティブ駆動が可能なため、ヒンジ40の弾性力は小さく設定できる。また、ヒンジ40の支持部41は基板10に固定されていれば如何なる構造であってもよい。
【0007】
ヒンジ40(導電部31)の中央部は、両端部に対し拡幅され、水平左右方向(図13の左右方向)に延出された翼形状となり、更に左右の翼前後部がヒンジ40に沿って延在した平面視略H形状となっている。ミラー部32は、このヒンジ中央部と略同形状のH形状となっている。ミラー部32、又はミラー部32とヒンジ40は、金属、半導体などからなり、導電性を有し、基板10と反対側の表面(光入射面)が反射性を有している。
【0008】
図16は図13に示した反射型光変調素子の構成およびその動作を説明する図で、(1)はその電極配線を示す図、(2)は反射型光変調素子の左側傾斜状況、(3)はその右側傾斜状況をそれぞれ表した動作説明図である。
(1)に示すように、反射型光変調素子100は、第1下部電極20aが電気的に接続されて第1駆動電極81aとなり、第2下部電極20bが電気的に接続されて第2駆動電極81bとなり、可動部材30の導電部31が可動体電極80となっている。
可動部材30の捩れ中心40C軸周りに配設された第1下部電極20aと第2下部電極20bのうち、第1下部電極20a及び第2下部電極20bがそれぞれ別の電源に接続され、それぞれ別の電位が与えられ得るようになっている。これらの電極と、可動部材30の導電部31とに電圧が印加されることで、捩れ中心40Cを挟む可動部材30の左右方向両端に上下方向の回転モーメントが付与可能となり、大きな回転駆動力Fが得られるようになる。また、一動作が3電極で制御可能となっている。
【0009】
次に、上記のように構成された反射型光変調素子100の傾斜動作を図16の(2)及び(3)を用いて説明する。
反射型光変調素子100は、基本動作として、下部電極20と導電部31への電圧印加によって、ミラー部32を揺動変位させて、光の反射方向を偏向させるものである。
ミラー部・ヒンジ複合体の導電体(導電部31)に対し、第1下部電極20a、第2下部電極20bに電位差を与えると、それぞれの電極と、ミラー部・ヒンジ複合体の導電体との間に静電気力が発生し、ヒンジ40の捩れ中心40C軸を中心に回転トルクが働く。従って、それぞれの電極の電位を制御することにより、ミラー部32を回転変位させることが可能となる。変位する位置は、ミラー部32の状態と、その時にそれぞれの電極により発生する静電気力と、ヒンジ40の弾性力とによって決まる。
【0010】
例えば、図16(2)に示すように、第1下部電極20aを基板10上で接続した第1駆動電極81aに電位V1を印加する。また、第2下部電極20bを基板10上で接続した第2駆動電極81bに電位V2を印加する。更に、ミラー部32及びヒンジ40の導電部31である可動体電極80に電位Vmを印加する。電位V1、V2、Vmは、基板10上に形成された半導体集積回路(例えばCMOS回路71)で供給、制御される。
ここで、Vmに対するV1の電位差をV(1)、Vmに対するV2の電位差をV(2)とする。V(1)=V(2)=0のときは、ミラー部32に発生する外力はゼロであり、素子形成時の状態を維持し、ミラー部32は、図16(1)に示すように、基板10に対し略水平となる。この状態はヒンジ40の弾性力により安定である。
【0011】
V(1)=V(2)≠0のとき、ミラー部32に発生する静電気力はヒンジ40の捩れ中心40Cを中心に対称となり、依然として素子形成時の状態を維持してミラー部32は基板10に対し略水平となる。
【0012】
V(1)、V(2)の少なくとも一方がゼロでなく、それぞれ異なる場合、ミラー部32に発生する静電気力はヒンジ40の捩れ中心40C軸を中心に非対称となり、ミラー部32は基板10に対して傾く。
【0013】
例えば、V(1)>V(2)のときには、図16(2)に示すように第1下部電極20aにより発生する静電気力Fが、第2下部電極20bにより発生する静電気力fより大きくなり、ミラー部32は左側に傾く。逆に、V(1)<V(2)のときは、図16(3)のように第2下部電極20bにより発生する静電気力Fが、第1下部電極20aにより発生する静電気力fより大きくなり、ミラー部32は右側に傾く。
この時、V(1)とV(2)が十分大きいと、V(1)とV(2)の差が小さくても、ミラー部32をフラット状態から任意の方向に回転変位させることが容易に可能である。このことは、例えば制御する電位をV1とV2とした場合、その電位差が小さくて済むため、制御回路の電圧を低くすることができ、コストや集積性に優位となる利点を有する。
このように、V1、V2、Vmに適宜電位を供給することにより、それぞれの電極に発生する静電気力と、ヒンジ40の弾性力から、ミラー部32を時計回り回転、反時計回り回転、フラットなど任意の位置に変位させることが可能となる。また、この時の駆動方法は、アナログ制御(任意の変位に制御)、デジタル制御(例えば2値の変位に制御)の何れであってもよい。
【0014】
そして、上記の回転駆動にあっては、適当な回転ストッパを設け、ミラー部32をストッパに接触するまで回転変位させることで、回転角を精度よく制御することができる。また、電圧と変位特性のリニア領域を用いて、ミラー部32を接触させずに回転変位させることも可能である。この場合、接触部が無いので、貼り付きなどの課題が生じなくなり、信頼性を高くすることができる。なお、上記した電極配線、及び各電位制御によるミラー部32の変位動作方法は一実施例であり、これに限定されるものではない。
【0015】
従って、上記の反射型光変調素子100によれば、可動部材30が、ミラー部32と導電部31とを備えた捩れ可能なヒンジ40からなることで、可動部全体の質量が小さくなり、慣性モーメントを小さくして、高速可動が可能となる。
なお、基板10側に下部電極20が配設され、可動部材30を挟んで下部電極20の反対側にさらに上部電極を架設すると、ヒンジ40のバネ力によらず、上下からの静電気力によって能動的に(アクティブに)可動部材30が揺動されることができる。このことから、バネ力を利用して可動部材30を復帰作動させる構造の場合に必要となるヒンジ40のバネ力が大きくなくてもよくなり、バネ力を強くした場合の駆動抵抗が低減されて、高速かつ低電圧での駆動が可能となる。
【0016】
以上のように、ヒンジ40は長尺方向に直角な面での断面で見て矩形状のものが用いられていた。しかしながら、断面矩形状のヒンジは、ヒンジ部の曲げ剛性を高めようとするとヒンジ部の捩り剛性も同様に高くなってしまい、マイクロミラー装置のサーボ帯域の広域化を図ることが困難であった。
この欠点を解決するものとして、ヒンジ部の捩り剛性をさほど変化させることなく曲げ剛性のみが大幅に高められる発明が開示された(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−117026
【0017】
図17の(b)は、マイクロミラー装置(光変調素子)の特許文献1記載のヒンジ部近傍の斜視図である。図において、200は特許文献1記載の発明に係るマイクロミラー装置(光変調素子)、230は可動部材、240はヒンジ、240aはベース、240bはベース240の長尺方向に沿った中央部に形成された突部である。
従来のヒンジ40(図14(b))は断面矩形であったので、長尺方向(図14で紙面に垂直方向)の撓み剛性が弱かったのであるが、このように、ヒンジ240のベース240aの長尺方向の中央部に、その厚み方向に突出する突部240bを形成することにより、ヒンジ240の長尺方向の撓み剛性を大幅に高めるようにしている。
なお、図17の(a)は本発明に係るヒンジ部近傍の斜視図である。(これについては、後述)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
このように、特許文献1記載の光変調素子200にあっては、ヒンジ240のベース240aの長尺方向の中央部に、その厚み方向に突部240bを形成しているので、ヒンジ240の長尺方向の撓み剛性を大幅に高めることができる。
しかしながら、このように製造した光変調素子においては、それまでの従来装置と同じく、ヒンジの製造プロセスのドライエッチング工程や長年の使用において、ヒンジが破損することがおきて、光変調素子が機能しなくなることがあった。
【0019】
本出願人は、そのヒンジ破損の原因を検査したところ、ヒンジのエッジ部分に亀裂が生じやすく、ヒンジ破損の大部分がエッジ部分の亀裂に起因していることが判明した。
したがって、本発明の目的は、ヒンジのエッジ部分における亀裂を生じ難くすることによって、特許文献1記載の発明の持つ欠点を克服して光変調素子の生産性を高めると共に、しかも特許文献1記載の発明の長所であるヒンジ部の捩り剛性をさほど変化させることなく撓み剛性のみを大幅に高めることができる光変調素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の課題を解決するため、請求項1記載の発明は微小電気機械素子に係り、基板と、該基板上に空隙を介して架設された変形可能な弾性梁体とを備え、該弾性梁体が捩れ又は撓む(以下、「変形」という。)ことにより操作される微小電気機械素子であって、その弾性梁体の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴としている。
【0021】
請求項2記載の発明は微小電気機械素子に係り、電極を備えた基板と、該基板上に空隙を介して架設された変形可能な長尺状の弾性梁体と、該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の変形によって変位が可能な可動部材と、前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記可動部材を揺動変位させる微小構造体において、前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴としている。
【0022】
請求項3記載の発明は微小電気機械光変調素子に係り、電極を備えた基板と、該基板上に空隙を介して架設された捩れ変形可能な長尺状の弾性梁体と、該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の捩れによって回転変位が可能な可動部材と、該可動部材の表面に設けられた光学機能膜と、前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記光学機能膜を揺動変位させて、光を変調させる光変調素子において、前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴としている。
【0023】
請求項4記載の発明は微小電気機械光変調素子に係り、電極を備えた基板と、該基板上に空隙を介して架設された撓み変形可能な長尺状の弾性梁体と、該梁体に取付けられて少なくとも一部分に前記電極に対向する導電部を備え該梁体の撓みによって上下変位が可能な前記電極と平行な部材と、前記電極および前記導電部への電圧印加によって前記部材を前記電極と平行に変位させて、光の変調を行う光変調素子において、前記長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成されていることを特徴としている。
【0024】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載の素子において、前記弾性梁体の断面形状が、両端部が突部で、中央部が薄くなった略凹状、略円弧状、略楕円弧状のいずれかであることを特徴としている。
【0025】
請求項6記載の発明は、請求項5記載の微小電気機械光変調素子において、前記突部が前記弾性梁体の部材と同一材料により形成されたことを特徴としている。
【0026】
請求項7記載の発明は、請求項5記載の微小電気機械光変調素子において、前記突部が前記弾性梁体の部材と異なる材料により形成されたことを特徴としている。
【0027】
請求項8記載の発明は、請求項1〜7のいずれか1項記載の素子において、前記突部が前記弾性梁体の上面及び下面に形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0028】
上記のように本発明によれば、長尺状の梁体の長尺方向に対して直角方向の両端部に、その厚み方向に突部を突出させて状の梁体の端部を補強したので、ヒンジのエッジ部分が破損し難くくなる微小電気機械素子が得られる。
また、長尺状の梁体の端部の補強を梁体の部材と同一材料により形成したので、生産性が上がるとともに、補強と梁体との境界がなくなり強度が高くなる。
あるいは、端部の補強を梁体の部材と異なる材料により形成することにより、安価な材料にできるので、コスト安となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明について図1および図2に基づいて説明する。
図1は本発明に係る反射型光変調素子の平面図、図2は図1のA−A、B−B、C−C、D−Dの各断面視をそれぞれ(a)、(b)、(c)、(d)に表した断面図である。
図1および図2において、反射型光変調素子100は、基板10と、この基板10上に空隙G(図2)を介して梁体(以下、「ヒンジ 」と称す。)40(導電部31と一体)が架設され、ヒンジ40の捩れによって回転変位が可能な光反射体(以下、「ミラー部」と称す。)32を有し、少なくとも一部分に導電部31を備えた可動部材30と、基板10側に配設され空隙Gを介して可動部材30に対向する下部電極20とを有してなる。本発明によればヒンジ40の形状が特徴であり、その他の部材は図14の従来装置と同じであるので、重複説明は省略する。
本実施例では、光学機能膜として、入射光を反射させるミラーを適用している。
【0030】
ヒンジ40はベース部40aと突部40bから成り(図2(b)参照)、しかもその突部40bはベース部40aの両端(すなわち、ベース部40aの長尺方向と直角方向の端部)に形成して、その断面は全体として凹部状になっているのが特徴である。そして突部40bは、ヒンジ40の長尺方向の両端まで達している(図2(c)参照)。
【0031】
図17の(a)は、マイクロミラー装置(光変調素子)の本発明に係るヒンジ部近傍の斜視図である。図において、100は光変調素子、30は可動部材、40はヒンジ、40aはベース、40bはベース40の長尺方向に沿って両端部に形成された突部である。
図17(b)のヒンジ240は、長尺方向に沿って中央部に突部240bが形成されていたが、ここではヒンジ40のベース40aの両端部に突出する突部40bを形成することにより、ヒンジ240と同等の撓み剛性を維持しながら、より捩れ易くすることができる。
【0032】
図3は、本発明に係る素子(図17(a))と従来素子(図17(b))のヒンジの撓み剛性と捩れ剛性についてのシミュレーション結果を示す線図である。
図において、縦軸は変位、横軸は電圧、撓みの線図の▲は本発明に係る素子、●は従来素子、捩りの線図の※は本発明に係る素子、■は従来素子である。
図から判るように、撓みに関して、本発明に係る素子(▲)は従来素子(●)と同じく、電圧を加えても撓み難く、捩れに関しては本発明に係る素子(※)は従来素子(■)と比べて、わずかな電圧で捩れ易くなることが判る。
【0033】
以上のシミュレーション図は、本発明に係る素子の断面が図17(a)に示す凹状、従来素子の断面が図17(b)の凸状について調べたものであったが、本出願人は、他の断面形状のヒンジについても、撓み剛性と捩れ剛性のシミュレーションを行った。 図4はシミュレーションを行った他の断面形状を示している。
図から判るように、本発明に係る素子の断面は2種類で、(1)片面のみ、両端部から中央部分に向けて略円弧状又は略楕円弧状に抉(えぐ)れているものと、(2)両面とも、両端部から中央部分に向けて略円弧状又は略楕円弧状に抉(えぐ)れているもの、従来素子の断面も2種類あって、(1)片面のみ、両端部から中央部分に向けて略円弧状又は略楕円弧状に膨(ふく)らんでいるものと、(2)両面とも、両端部から中央部分に向けて略円弧状又は略楕円弧状に膨(ふく)らんでいるものである。
図4に示す断面でそれぞれシミュレーションを行った結果、撓みに関して、いずれも本発明に係る素子は従来素子と同じく、電圧を加えても撓み難く、また捩れに関しては本発明に係る素子は従来素子と比べて、わずかな電圧で捩れ易くなる傾向があることが判った。
【0034】
このように本発明によれば、ヒンジのエッジ部分を突部40bに形成するので、ヒンジの製造プロセスのドライエッチング工程や長年の使用によってもヒンジ端部から破損が始まろうとしても、ヒンジ端部が補強されているため、破損し難くくなる。
また、ヒンジ40の長尺方向に突部40bが延びているので、撓み剛性を大幅に高めることができ、しかも2本の突部40bが平行に延びているのでヒンジ部の捩り剛性は従来装置と比較して変わることがない。
【0035】
次に、本発明に係る反射型光変調素子100の製造方法を説明する。
図5は反射型光変調素子の一般的な製造工程例をA−A、C−C断面別で(a)〜(d)に表した説明図である。
図5(a)に示すように、駆動回路基板10はSi基板70の上にCMOS回路71(図15)を形成し、その上に第1のSiO2絶縁膜(図示せず)を形成する。その表面をCMP等で平担化した後、駆動回路の出力を素子の各電極と接続するためのコンタクトホールを形成し構成されている。
駆動回路基板10上に、図示しない第1のアルミ薄膜(好ましくは高融点金属を含有したアルミ合金)をスパッタで成膜し、通常のフォトリソエッチングで所望の電極形状にパターニングして第1下部電極20aと第2下部電極20bを形成する。なお、この時、上記の絶縁層75(図15参照)にはコンタクトホールが形成されていて、第1下部電極20aと第2下部電極20bとも配線回路73を介してCMOS回路71の出力に接続されて、それぞれ電位が供給可能とされる。
【0036】
次に、図5(b)に示すように、第1のポジ型のレジスト61を塗布し、ヒンジ40の支持部41となる箇所をパターニングしてハードベークする。レジスト成膜時の表面張力により、下地膜の段差によらずレジスト表面は平坦となる。この第1レジスト層61は犠牲層として機能し、後述の工程で除去される。従って、ハードベーク後のレジストの膜厚は将来の下部電極20とヒンジ40(及びミラー部32)の空隙Gを決定する。なお、レジスト61の代わりに感光性ポリイミドも使用可能である。
【0037】
そして、図5(c)に示すように、ヒンジ40及びその支持部41となる第2のアルミ薄膜(好ましくは高融点金属を含有したアルミ合金)93をスパッタにより成膜する。その後、PE−CVD(プラズマCVD)によりSiO2を成膜する(図示せず)。このSiO2膜は第2アルミ薄膜93のエッチングマスクとして機能する。次に、フォトリソエッチングにより所望のヒンジ40及びその支持部41の形状になるようにSiO2膜をパターニングする(なお、本発明によるヒンジ40の両端への突部の形成については、別図を用いて説明する。)。
次に、ミラー部32となる第3のアルミ薄膜(好ましくは高融点金属を含有したアルミ合金)95をスパッタにより成膜する。その後、PE−CVD(プラズマCVD)によりSiO2を成膜する(図示せず)。このSiO2膜は第3アルミ薄膜95のエッチングマスクとして機能する。次に、フォトリソエッチングにより所望のミラー部形状になるようにSiO2膜をパターニングする。
さらに、上記SiO2膜をエッチングマスクとして、第3アルミ薄膜95及び第2アルミ薄膜93を連続してエッチングし、最後にSiO2膜をプラズマエッチングにより除去する。なお、アルミ薄膜のエッチングは、アルミエッチャント(リン酸、硝酸、酢酸の混合水溶液)によるウエットエッチング、又は塩素系ガスによるプラズマエッチングによってなされる。また、上記第1のSiO2絶縁膜にはコンタクトホールが形成されていて、ヒンジ40(ミラー部32)は駆動回路の出力に接続されて電位が供給される。
【0038】
最後に、図5(d)に示すように、酸素ガス系のプラズマエッチングにより、犠牲層である第1のレジスト層91を除去して空隙Gを形成する。これにより、第1下部電極20aと第2下部電極20bの設けられた基板10上に、空隙Gを介して可動部材30が配置された反射型光変調素子100が得られる。
【0039】
なお、反射型光変調素子100の製造方法は、上記以外に以下のプロセスバリエーションを有する。即ち、ヒンジ40とミラー部32とは、単一のアルミ薄膜で構成してもよい。この場合、ヒンジ40の厚みとミラー部32の厚みが等しくなるが、工程を低減させることができる利点がある。
【0040】
ミラー部32は、導電体と絶縁体の複合体でもよい。例えば、ミラー部32をヒンジ40と一体又は別体で、金属、半導体など導電体により形成し、その上に多層膜ミラーを積層して形成してもよい。多層膜ミラーとしては、例えば誘電体の多層膜、又は誘電体/金属の多層膜である干渉ミラーを用いることができ、これにより入射光による反射面の吸収を極力低減し、反射率を極めて高くする効果や、特定の波長の光を反射させる効果が得られるようになる。また、ミラー部32は導電体と絶縁体の複合であって、反射性を有する部材がミラー部32の一部に形成されてもよい。また、ミラー部32はヒンジ40と同じ材料であってもよい。上記の何れかの構成によってミラー部32の一部(ここでは下面)に導電部31が形成されている。
【0041】
ミラー部32、又はミラー部32とヒンジ40は導電性を有し、ヒンジ40の支持部41(図2(c))を介して基板10上で電気的に接続可能となっている。 以上のように、ミラー部32とヒンジ40は、ミラー部32がヒンジ構造により、ヒンジ軸(捩れ中心40C)を中心に回転変位可能で、ミラー部32、又はミラー部32とヒンジ40が導電性を有し、且つ支持部41を介して基板10上に電気的に接続可能であれば、如何なる構造、材料であってもよい。
【0042】
下部電極20、ヒンジ40の構造材料は、アルミ以外の導電性を有する材料であってもよい。例えば結晶Si、多結晶Si、金属(Cr、Mo、Ta、Niなど)、金属シリサイド、導電性有機材料などが好適に使用可能である。また、導電部31は、その上に保護用の絶縁膜(例えばSiO2、SiNx)を積層してもよい。この場合、SiO2、SiNx、BSG、金属酸化膜、ポリマーなどの絶縁性の薄膜に金属などの導電性薄膜を積層したハイブリッド構造も使用可能である。
【0043】
また、上記では、犠牲層としてレジスト材を用いたが、これに限らない。例えば、アルミ、Cu等の金属、SiO2等の絶縁性材料なども犠牲層としで好適である。この場合、構造材には犠牲層を除去する際に腐食やダメージを受けない材料が適宜選択される。
なお、上記実施例ではマスクをSiO2 としているが、構造材料と選択比がとれればどのような材料でもよい(例:レジスト)。
【0044】
また、犠牲層除去方法には、上記のドライエッチング(プラズマエッチング)の他に、構造材と犠牲層の組合せによってはウェットエッチングも使用可能である。なお、ウェットエッチングの場合は、エッチング後のリンス・乾燥工程で構造体が表面張力によりスティッキングを起こさないようにするため、超臨界乾燥法、又は凍結乾燥法による乾燥法が好ましい。
その他、本発明の主旨に沿うものであれば、構造・材料・プロセスは上記の例に限定されるものではない。
【0045】
次に、本発明に係る凹部の形成プロセスについて、図6〜図8の斜視図で説明する。
図6(1)のSi基板Kには、上述したように、内部にCMOS回路を形成し、その上に第1のSiO2絶縁膜を形成し、その表面をCMP等で平担化した後、駆動回路の出力を素子の各電極と接続するためのコンタクトホールを形成し、駆動回路基板10上に、アルミ薄膜で成膜し、フォトリソエッチングで所望の電極形状にパターニングして第1下部電極と第2下部電極が形成されている。絶縁層にはコンタクトホールが形成されていて、第1下部電極と第2下部電極とも配線回路を介してCMOS回路の出力に接続されて、それぞれ電位が供給可能とされる。
【0046】
図6(2)において、本発明の凹部ヒンジがSi基板Kの架設される空隙Gの幅に等しい厚みに犠牲層(レジストG)を塗布し、ヒンジの支持部となる箇所をパターニングしてハードベークする。この犠牲層Gは後の工程で除去される。ハードベーク後のレジストの膜厚は下部電極とヒンジの空隙を決定する。
【0047】
図6(3)において、ヒンジ及びその支持部となるアルミ薄膜で第1材料D1をスパッタにより成膜する。このアルミ薄膜部分は本発明の凹部ヒンジの中央部の厚さとなる。
【0048】
その後、図7(4)で、PE−CVD(プラズマCVD)によりSiO2を成膜して第1マスクを形成し、次に、フォトリソエッチングにより本発明の凹部の中央窪みとなる部分の形状になるように第1マスク(SiO2膜)をパターニングして、図のような第1マスクM1を得る。第1マスクM1の横幅は本発明の凹部ヒンジの窪みの横幅となる。
【0049】
次に、図7(5)で、第2材料D2(アルミ薄膜)をスパッタにより成膜する。この厚みは本発明の凹部ヒンジの突部の高さとなる。
【0050】
さらに、図7(6)で、この上にPE−CVD(プラズマCVD)によりSiO2膜でマスクを形成し、次に、フォトリソエッチングにより本発明の凹部ヒンジの突部の幅になるようにSiO2膜をパターニングして第2マスクM2を形成する。
【0051】
その後、図8(7)で、上記SiO2膜をエッチングマスクとして、アルミ薄膜を垂直方向に連続してエッチングして、2層のマスクM1、M2の下部に本発明の凹部ヒンジを形成する。
【0052】
図8(8)で、2層のマスクM1、M2を除去すると、本発明の凹部状ヒンジが第1材料(アルミ薄膜)D1によりベースと、第2材料(アルミ薄膜)D2により突部とからできあがる。
【0053】
最後に、図8(9)に示すように、酸素ガス系のプラズマエッチングにより、犠牲層Gを除去すると空隙Gができ、ブリッジ状のヒンジが得られる(なお、図ではヒンジの架橋部が描かれており、両端の支持部は描かれていないので、Si基板Kから宙に浮いたように見えている。)。
【0054】
なお、反射型光変調素子の製造方法は、上記以外に以下のプロセスバリエーションを有する。即ち、ヒンジ40とミラー部32とは、単一のアルミ薄膜で構成してもよい。この場合、ヒンジ40の厚みとミラー部32の厚みが等しくなるが、工程を低減させることができる利点がある。
【0055】
以上の実施例は、本発明の凹部ヒンジが捩り回転する反射型光変調素子に適用した例で示してきたが、本発明はこれに限定されるものではなく、ヒンジが撓み上下変位する次のような平行平板型光変調素子に適用してもよいことは言うまでもない。
平行平板型光変調素子とは、例えば、透明な電極とダイヤフラムからなる可撓薄膜を、支持部を介して基板上の固定電極に架設したものである。この平行平板型光変調素子では、両電極間に所定の電圧を印加することで電極間に静電気力を発生させ、可撓薄膜を固定電極に向かって撓ませる。これに伴って素子自体の光学的特性が変化して、光変調素子に光が透過する。一方、印加電圧をゼロにすることで可撓薄膜が弾性復帰し、光変調素子は光を遮光する。このようにして光変調が行われるものである。
図9は、干渉を利用するタイプの平行平板型光変調素子の内部構成を示す断面図で、(a)は電極間電圧ゼロの場合、(b)は電極間電圧有りの場合である。
図9において、190は平行平板型光変調素子、191はガラス基板、192と196は上下の透明電極、193と195は上下の透明絶縁膜、194はスペーサ、197は透明スペーサである。また、透明絶縁膜193と195はハーフミラーの機能を備えている。
この光変調素子では、ガラス基板191の上面に上下2枚の透明電極192、196が間隔を置いて形成されており、下側の透明電極192の上には透明絶縁膜193が配置され、スペーサ194を挟んで透明絶縁膜195が配置され、その上に透明電極196が配置されている。上記2枚の透明絶縁膜193、195と、2つのスペーサ194とに挟まれた空間には、下側の透明絶縁膜193に接して絶縁体から成る透明スペーサ197が形成されている。
【0056】
図9(a)に示す光変調素子109には、上下2枚の透明電極192、196間には電圧が印加されていないので、上記の上側の透明絶縁膜193、195は、透明スペーサ197に密着されず、形成された状態のまま距離t1を隔てており、その結果、ガラス基板191の下方側に配置された光源から発せられた光Liは、下側の透明絶縁膜すなわちハーフミラー193で反射されて、この光変調素子本体190を透過することがない。
【0057】
図9(b)は、図9(a)に示す光変調素子190において、上下2枚の透明電極192、196間に電圧Vonを印加した場合の内部状態を示す断面図である。図9(b)に示す光変調素子190では、その上下2枚の透明電極192、196間に電圧が印加された結果、透明電極192、196間には印加した電圧による静電気力が作用し、上側の透明電極196及びその下の上側の透明絶縁膜(ハーフミラー)195は下方に押されて、上側のハーフミラー195が透明スペーサ197に密着して上下2枚ののハーフミラー193−195間の距離はt2となり、この上下2枚のハーフミラー193、195に直交する光路の光の透過率が増加し、その結果、光源から発せられた光Liは、この光変調素子本体190を透過して、光変調素子190本体の上方側に抜け出ることができる。このように平行平板型光変調素子190においても、干渉を利用することで、光の透過・遮光を行うことができる。そこで平行平板型光変調素子190の可動膜である透明絶縁膜195、透明電極196の一方又は両方の形状として、長尺状の梁体の架設されていない自由端の両端部に、その厚み方向に突出する突部が形成された形状(図17(a))とすることで、次に示すように膜応力による変形を生じ難くすることができる。
【0058】
図10は本発明に係るヒンジ(図17(a))を平行平板型光変調素子に適用した場合のヒンジの撓み剛性と、ヒンジの膜応力(b)についてのシミュレーション結果を従来のヒンジ(図17(b))の場合と共に示す線図である。
図10(a)において、縦軸は変位、横軸は電圧、▲は本発明に係る素子、●は従来素子である。
図から判るように、撓みに関して、本発明に係る素子(▲)は従来素子(●)と同じ傾向にあることが判る。
図10(b)において、縦軸は変形量、横軸は応力、※は本発明に係る素子、■は従来素子である。
図から判るように、応力に関して、本発明に係る素子(※)は従来素子(■)よりもヒンジの膜応力による変形がし難いことが判る。
このように、ヒンジは捩れを利用する他に、撓みを利用することもできるので、これらの上位概念として、「変形」という用語を用いることとする。
【0059】
以上、本発明に係る素子の断面は図2に示す凹状や図4に示す弧状であったが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに図11のような断面形状のものでもよい。
図から判るように、(1)は素子の断面91がH状であり、(2)はE状である。両者が図2や図4に示されている形状と共通していることは、いずれも、両端部に凸状が形成されていることである。このようにすれば、撓みに関して撓み難く、また捩れに関してはわずかな電圧で捩れ易くなることとなる。
【0060】
さらに、上記説明では、端部の凸部の高さが長尺方向では一定であるように説明してきた(図2(c)の42参照)が、本発明に係る素子の長尺方向の凸部の高さは必ずしも一定である必要はなく、変化する形状のものでもよい。
図12は本発明に係る素子90の端部の凸部の高さが長尺方向に変化する例を示す斜視図である。(1)は素子端部の凸部の高さL1が長尺方向に一定の例であり、(2)は素子端部の凸部の高さL2が長尺方向に両端が低く、中央部が高くなるように変化する例であり、(3)は素子端部の凸部の高さL3が長尺方向に両端が高く、中央部が低くなるように変化する例をそれぞれ示している。(2)の例L2は撓みおよび捩れに関して共に撓みおよび捩れ難くなる傾向となり、(3)の例L3は撓みおよび捩れに関して共に撓みおよび捩れ易くなる傾向となり、(1)のL1の例はその中間に位置するものである。したがって、使用する梁の材料や形状・構造、および梁の使用方法等によって撓みおよび捩れがどのようなものが望ましいかが決まるので、それに従って、(1)〜(3)の中から適宜、選択又は組み合わせて使用すればよい。
【0061】
以上の反射型光変調素子、平行平板型光変調素子の他、光変調部(可動部)を片持ち支持して成る片持形光変調素子に適用すると、従来のそれと比べて著しい効果があることも言うまでもない。
また、本発明に係る光変調素子では、光学機能膜として、反射型光変調素子に用いられるミラーに限らず、干渉膜や、平行平板型光変調素子に用いられる光透過性膜等、変調方式に応じて公知の部材を用いることができる。
【0062】
また、本発明に係るヒンジは光変調素子に限らず、他の分野、例えば、2枚の平行電極の接触・非接触による微小電気機械素子のマイクロスイッチに適用すれば、故障し難いスイッチが得られる。
【0063】
このように本発明によれば、ヒンジのエッジ部分を突部に形成することで、反射型光変調素子、平行平板型光変調素子、片持ち形光変調素子のいずれにおいても、ヒンジの製造プロセスのドライエッチング工程や長年の使用によってもヒンジ端部から破損が生じようとしても、ヒンジ端部が補強されているため、破損し難くくなる。
また、ヒンジの長尺方向に突部が延びているので、撓み剛性を大幅に高めることができ、しかも2本の突部が平行に延びているのでヒンジ部の捩り剛性は従来装置と比較して変わることがない。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係るヒンジを適用した反射型光変調素子の平面図である。
【図2】図1のA−A、B−B、C−C、D−Dの各断面視を(a)、(b)、(c)、(d)に表した断面図である。 本発明に係る素子(図17(a))と従来素子(図17(b))のヒンジの撓み剛性と捩れ剛性についての結果を示す線図である。
【図3】本発明に係る素子(図17(a))と従来素子(図17(b))のヒンジの撓み剛性と捩れ剛性についてのシミュレーション結果を示す線図である。
【図4】シミュレーションを行ったヒンジの他の断面形状を示す図である。
【図5】図1に示した反射型光変調素子 の製造工程例をA−A、C−C断面別で(a)〜(d)に表した説明図である。
【図6】図1に示した反射型光変調素子の製造工程例の工程(1)〜(3)の斜視図である。
【図7】図1に示した反射型光変調素子の製造工程例の工程(4)〜(6)の斜視図である。
【図8】図1に示した反射型光変調素子の製造工程例の工程(7)〜(9)の斜視図である。
【図9】干渉を利用するタイプの平行平板型光変調素子の内部構成を示す断面図で、(a)は電極間電圧ゼロの場合、(b)は電極間電圧有りの場合である。
【図10】本発明に係るヒンジ(図17(a))と従来のヒンジ(図17(b))を平行平板型光変調素子に適用した場合のヒンジの撓み剛性と、ヒンジの膜応力(b)についてのシミュレーション結果を示す線図である。
【図11】図2および図4以外の他の断面形状を示す例である。
【図12】本発明に係る素子端部の凸部の高さが長尺方向に変化する例を示す斜視図である。
【図13】従来装置に係る反射型光変調素子の平面図である。
【図14】図13のA−A、B−B、C−C、D−Dの各断面視を(a)、(b)、(c)、(d)に表した断面図である。
【図15】図13に示した基板の断面図である。
【図16】図13に示した反射型光変調素子 の電極配線を示す図(1)、および反射型光変調素子の左側傾斜状況を表した動作説明図(2)と、右側傾斜状況を表した動作説明図(3)である。
【図17】は、マイクロミラー装置(光変調素子)の本発明に係るヒンジ部近傍(a)と特許文献1記載のヒンジ部近傍(b)のそれぞれ斜視図である。
【符号の説明】
【0065】
10 基板
20 下部電極
20a 第1下部電極
20b 第2下部電極
30 可動部材
31 導電部
32 ミラー部(光反射体)
40 ヒンジ(梁体)
40a ベース部
40b 突部
41 支持部
80 可動体電極
81a 第1駆動電極
81b 第2駆動電極
100 反射型光変調素子
G 空隙




 

 


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