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発明の名称 流体分析デバイス及び流体分析装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24868(P2007−24868A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2006−146444(P2006−146444)
出願日 平成18年5月26日(2006.5.26)
代理人 【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
発明者 都丸 雄一
要約 課題
新規な流体分析デバイスを提供する。

解決手段
流体分析デバイス1は、測定光L1の入射側から、半透過半反射性を有する第1の反射体10と、流体試料22が充填される測定光L1の波長より充分に小さい径の複数の微細孔21を有する透光性微細孔体20と、完全反射性又は半透過半反射性を有する第2の反射体30とを順次備え、第1の反射体10及び/又は第2の反射体30から測定光L1とは異なる物理特性の出射光L2が出射されるものであり、第1の反射体10の平均複素屈折率と、第2の反射体30の平均複素屈折率と、透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、この吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出して流体試料22の分析を行うものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
流体試料の分析に用いられ、測定光が入射されると共に該測定光が前記流体試料の種類によって物理特性の異なる出射光となって出射される流体分析デバイスにおいて、
前記測定光の入射側から、半透過半反射性を有する第1の反射体と、前記流体試料が充填される前記測定光の波長より充分に小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体と、完全反射性又は半透過半反射性を有する第2の反射体とを順次備え、前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から前記出射光が出射されるものであり、
前記第1の反射体の平均複素屈折率と、前記第2の反射体の平均複素屈折率と、前記透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出して前記流体試料の分析を行うものであることを特徴とする流体分析デバイス。
【請求項2】
前記透光性微細孔体は前記複数の微細孔が前記第1の反射体側の面において開口したものであり、前記第1の反射体は前記複数の微細孔に各々連通する複数の貫通孔を有し、該複数の貫通孔を介して前記複数の微細孔に対して前記流体試料が出入自在とされていることを特徴とする請求項1に記載の流体分析デバイス。
【請求項3】
前記透光性微細孔体は前記複数の微細孔が前記第2の反射体側の面において開口したものであり、前記第2の反射体は前記複数の微細孔に各々連通する複数の貫通孔を有し、該複数の貫通孔を介して前記複数の微細孔に対して前記流体試料が出入自在とされていることを特徴とする請求項1又は2に記載の流体分析デバイス。
【請求項4】
前記複数の微細孔は、前記第1の反射体側から前記第2の反射体側に向けて延びる略ストレート孔であることを特徴とする請求項2又は3に記載の流体分析デバイス。
【請求項5】
前記透光性微細孔体は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記第2の反射体は前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなり、前記第1の反射体は前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなることを特徴とする請求項2に記載の流体分析デバイス。
【請求項6】
前記透光性微細孔体は、被陽極酸化金属体の全体を陽極酸化して得られる金属酸化物体、若しくは、被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化し、さらに該被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分を除去して得られる金属酸化物体からなり、前記第1の反射体及び前記第2の反射体はいずれも前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなることを特徴とする請求項2又は3に記載の流体分析デバイス。
【請求項7】
前記透光性微細孔体は複数の前記流体試料が各々充填される複数の分析領域を有し、個々の該分析領域ごとに前記流体試料の分析が実施可能なものであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の流体分析デバイス。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかに記載の流体分析デバイスと、
前記流体分析デバイスに前記測定光を照射する測定光照射手段と、
前記流体分析デバイスから出射される前記出射光に対して前記物理特性又は物理特性の変化を検出する検出手段とを備えたことを特徴とする流体分析装置。
【請求項9】
前記検出手段は、前記出射光の光強度又は光強度の変化量、前記流体分析デバイスにより吸収される光の吸収波長又は吸収波長のシフトのうち少なくとも一つを検出するものであることを特徴とする請求項8に記載の流体分析装置。
【請求項10】
前記流体試料の屈折率及び/又は濃度を分析するものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の流体分析装置。
【請求項11】
前記流体試料の屈折率を分析して、前記流体試料を同定するものであることを特徴とする請求項8又は9に記載の流体分析装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の屈折率や濃度等を分析する新規な流体分析デバイス及び流体分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特定波長の光を吸収して光を変調する光変調デバイスとして、例えば、エタロン等の干渉フィルタが実用化されている。従来の干渉フィルタは、平滑度や膜厚精度が高レベルに要求されるため製造が難しく高価であり、大面積化も困難であった。また、構造が固定化されているため光変調特性が固定化されており、吸収(透過)させたい光の波長が異なれば異なる干渉フィルタを用意しなければならず、光学系の設計変更等に柔軟に対応することができなかった。
【0003】
かかる背景下、特許文献1には、1.0〜1.6μmの径の細孔(ノード)を有する細孔体に流体を充填する光変調デバイスが開示されている。この光変調デバイスは、細孔径が光の波長よりも大きくフォトニック結晶構造を呈しており、フォトニック結晶の干渉効果により光を変調するデバイスである。
【0004】
特許文献2には、光路方向に離間配置されかつ離間距離が変更可能な一対の透光性壁体を備えた容器内に流体を充填する光変調デバイスが開示されている。この光変調デバイスでは、一対の透光性壁体間で多重反射(共振)が生じて多重干渉が起こり、特定波長の光が吸収されて光が変調される。
【特許文献1】特表2004−533635号公報
【特許文献2】特開2001−174719号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1及び2に記載の光変調デバイスはいずれも、中に充填する流体を変更することで光変調特性を変更できるものの、エタロンのような高精細高分解な光変調が難しい。
【0006】
本発明者はかかる事情に鑑みて研究を行い、高精細高分解な光変調を実施できると共に光変調特性を変更することができ、製造が容易で大面積化も可能な新規の光変調デバイスを発明した。本発明者はさらに研究を続けて、この光変調デバイスが、流体の屈折率や濃度の分析、流体の同定等の分析を行う流体分析デバイスとして応用できることを見出した。特許文献1及び2には、流体分析デバイスとしての応用については言及されていない。
【0007】
従来、流体の屈折率や濃度の分析は、例えばプリズム等を用いて屈折角を測定することで実施されている。本発明者が見出した流体分析デバイスは、屈折角を測定するものではなく新規なものである。すなわち、本発明は、新規な流体分析デバイス及びこれを用いた流体分析装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の流体分析デバイスは、流体試料の分析に用いられ、測定光が入射されると共に該測定光が前記流体試料の種類によって物理特性の異なる出射光となって出射される流体分析デバイスにおいて、
前記測定光の入射側から、半透過半反射性を有する第1の反射体と、前記流体試料が充填される前記測定光の波長より充分に小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体と、完全反射性又は半透過半反射性を有する第2の反射体とを順次備え、前記第1の反射体及び/又は前記第2の反射体から前記出射光が出射されるものであり、
前記第1の反射体の平均複素屈折率と、前記第2の反射体の平均複素屈折率と、前記透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、特定波長の光を吸収する吸収特性を示し、該吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出して前記流体試料の分析を行うものであることを特徴とするものである。
【0009】
本明細書において、「半透過半反射性」とは透過性と反射性を有することを意味し、透過率と反射率は任意である。「測定光の波長より充分に小さい径」とは、測定光の波長領域の最短波長の1/2以下の径と定義する。「透光性微細孔体の平均複素屈折率」とは、透光性微細孔体の複素屈折率とその微細孔内の物質(流体試料を充填した状態では流体試料、流体試料を充填しない状態では空気)の屈折率とを合わせて平均化した平均複素屈折率を意味する。「流体試料」は未知試料でもリファレンス試料でもよい。
【0010】
本発明の流体分析デバイスの好適な態様としては、前記透光性微細孔体は被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体からなり、前記第2の反射体は前記被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分からなり、前記第1の反射体は前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなるものが挙げられる。
【0011】
本発明の流体分析デバイスの他の好適な態様としては、前記透光性微細孔体は、被陽極酸化金属体の全体を陽極酸化して得られる金属酸化物体、若しくは、被陽極酸化金属体の一部を陽極酸化し、さらに該被陽極酸化金属体の非陽極酸化部分を除去して得られる金属酸化物体からなり、前記第1の反射体及び前記第2の反射体はいずれも前記透光性微細孔体に成膜された金属層からなるものが挙げられる。
【0012】
本発明の流体分析デバイスは第1の反射体と第2の反射体との間で多重反射が効果的に起こる共振構造を有しており、本発明の流体分析デバイスでは多重反射光による多重干渉が効果的に起こり、特定波長の光に対して強い吸収が起こる。詳細については後記するが、吸収波長は流体試料の屈折率に応じて変化するので、吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出することで、高精度な流体試料の分析を行うことができる。
【0013】
特表2000−506267号公報には、ポーラスシリコンからなる干渉フィルタをシリコンウエハ又はその上に形成したシリコンの中に埋め込んだ共振構造を有する流体分析デバイスが開示されている。この流体分析デバイスは測定光の入射側から第1の反射体と透光性微細孔体と第2の反射体とを順次備えた本発明とは共振構造が異なっている。そして、本発明の流体分析デバイスの方が共振構造の製造が容易であり大面積化も容易である。また、ポーラスシリコンは一般にシリコンウエハをフッ化水素酸で処理することで製造されるが、シリコンウエハは高価であり、含ハロゲン元素を含むフッ化水素酸を用いることは環境面から好ましくない。ポーラスシリコンは高湿環境下等において自然酸化されて、シランガスを発生するという報告もある(Adv.Mater.Vol.6,p.865,1994等)。
【0014】
本発明の流体分析デバイスは陽極酸化等により簡易に製造でき、ポーラスシリコンを用いない構成とすることができ、共振構造の製造容易性、大面積化容易性、製造コスト、環境面、保存安定性などの観点から、特表2000−506267号公報に記載の流体分析デバイスより優れている。
【0015】
ただし、本発明の流体分析デバイスにおいても、透光性微細孔体としてポーラスシリコンを用いることは差し支えない。透光性微細孔体としてポーラスシリコンを用いる場合も、本発明の流体分析デバイスは特表2000−506267号公報に記載の流体分析デバイスとは共振構造が異なっており、共振構造の製造容易性及び大面積化容易性の点で優れている。
【0016】
特開平5−51075号公報には、透光性微細孔体からなる干渉フィルタを備えた流体分析デバイスが開示されている。このデバイスは有孔構造体(12)とカバー(17)との間に流体を充填し、有孔構造体(12)の上面で反射された反射光と、有孔構造体(12)の下面と金属基板(11)との界面で反射された反射光との干渉光を検出して、分析を行うものである(図1等)。本発明の流体分析デバイスとは、デバイス構造や検出対象の干渉光が異なっている。本発明の流体分析デバイスでは、多重干渉光を検出することができるので、より高精度な分析を実施することが可能である。
【0017】
本発明の流体分析デバイスにおいては、前記透光性微細孔体が複数の前記流体試料が各々充填される複数の分析領域を有し、個々の該分析領域ごとに前記流体試料の分析を実施可能なものとすることができる。
【0018】
本発明の流体分析装置は、上記の本発明の流体分析デバイスと、前記流体分析デバイスに前記測定光を照射する測定光照射手段と、前記流体分析デバイスから出射される前記出射光に対して前記物理特性又は物理特性の変化を検出する検出手段とを備えたことを特徴とするものである。
前記検出手段としては、前記出射光の光強度又は光強度の変化量、前記流体分析デバイスにより吸収される光の吸収波長又は吸収波長のシフトのうち少なくとも一つを検出するものが好ましい。
本発明の流体分析装置では、前記流体試料の屈折率及び/又は濃度を分析することができ、前記流体試料の屈折率を分析して前記流体試料を同定することもできる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の流体分析デバイスは、測定光の入射側から、半透過半反射性を有する第1の反射体と、流体試料が充填される測定光の波長より充分に小さい径の複数の微細孔を有する透光性微細孔体と、完全反射性又は半透過半反射性を有する第2の反射体とを順次備えたものである。
【0020】
かかる構成では、第1の反射体を透過して透光性微細孔体に入射した光が第1の反射体と第2の反射体との間で反射を繰り返して多重反射が効果的に起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こる。かかる構成では、多重干渉条件が第1の反射体の平均複素屈折率と第2の反射体の平均複素屈折率と透光性微細孔体の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。透光性微細孔体の平均複素屈折率は流体試料の屈折率に応じて変化する。流体試料の屈折率以外のファクターは固定されているので、吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出することで、流体試料の分析を行うことができる。
【0021】
本発明の流体分析装置は本発明の流体分析デバイスと測定光照射手段と検出手段とを備えたものであるので、本発明の流体分析装置を用いることで流体試料の分析を自動的に行うことができる。本発明の流体分析装置によれば、流体試料の屈折率及び/又は濃度を分析することができ、流体試料の屈折率から流体試料を同定することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
「第1実施形態」
図1及び図2を参照して、本発明に係る第1実施形態の流体分析デバイス及びこれを備えた流体分析装置の構成について説明する。図1(a)は本実施形態の流体分析装置の全体図(流体分析デバイスについては厚み断面図(ハッチングは省略))、図1(b)は反射光スペクトルの例である。図2(a)〜(c)は本実施形態の流体分析デバイスの製造工程図(斜視図)である。
【0023】
図1(a)に示す如く、本実施形態の流体分析装置2は、測定光L1が入射されると共に測定光L1が流体試料22の種類によって物理特性の異なる出射光L2となって出射される流体分析デバイス1と、流体分析デバイス1に測定光L1を照射する測定光照射手段50と、流体分析デバイス1から出射される出射光L2に対して物理特性又は物理特性の変化を検出する検出手段60とから構成されている。
【0024】
測定光照射手段50は、光源51と光源51からの出射光を流体分析デバイス1に導光する導光系55とから構成される。光源51としては制限なく、単波長光源(レーザ等)や白色光源(タングステンランプ等)等が用いられる。導光系55は、光源51の種類や検出手段60により検出する物理特性又は物理特性の変化に応じて適宜設計される。導光系55は例えば、光源51からの出射光を平行光束とするコリメータレンズ52、必要に応じて出射光を特定の偏光に制御する偏光子53、及び集光レンズ54等により構成される。
【0025】
検出手段60は例えば、流体分析デバイス1から出射される出射光L2を受光する受光器61と、受光された光を導光する光ファイバ62と、光ファイバ62により導光された光の物理特性又は物理特性の変化を検出する検出器63とから構成される。
【0026】
流体分析デバイス1は、測定光L1の入射側(図示上側)から、半透過半反射性を有する第1の反射体10と透光性微細孔体20と半透過半反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有する。
【0027】
図1(a)及び図2(c)に示す如く、透光性微細孔体20はアルミナ(Al、透光性金属酸化物)からなり、第1の反射体10側から第2の反射体30側に延びる略ストレートな複数の微細孔21が開孔されたものである。複数の微細孔21はいずれも透光性微細孔体20を貫通しており、第1の反射体10側の面及び第2の反射体30側の面において開口している。透光性微細孔体20において、複数の微細孔21は測定光L1の波長より充分に小さい径及びピッチで略規則的に配列されている。
【0028】
本実施形態では、複数の微細孔21に分析対象である流体試料22が充填される。流体試料22は未知試料でもリファレンス試料でもよい。
【0029】
図2に示す如く、透光性微細孔体20は、アルミニウム(Al)を主成分とし不純物を含んでいてもよい被陽極酸化金属体40(好ましくは純度90%以上)の一部を陽極酸化し、さらに陽極酸化後の被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分42及びその近傍部分をエッチング除去して、製造されたものである。
【0030】
陽極酸化は、被陽極酸化金属体40を陽極とし陰極と共に電解液に浸漬させ、陽極陰極間に電圧を印加することで実施できる。被陽極酸化金属体40の形状は制限されず、板状等が好ましい。また、支持体の上に被陽極酸化金属体40が層状に成膜されたものなど、支持体付きの形態で用いることも差し支えない。陰極としてはカーボンやアルミニウム等が使用される。電解液としては制限されず、硫酸、リン酸、クロム酸、シュウ酸、スルファミン酸、ベンゼンスルホン酸、アミドスルホン酸等の酸を、1種又は2種以上含む酸性電解液が好ましく用いられる。
【0031】
図2に示す如く、被陽極酸化金属体40を陽極酸化すると、表面40sから該面に対して略垂直方向に酸化反応が進行し、金属酸化物体(Al)41が生成される。陽極酸化により生成される金属酸化物体41は、多数の平面視略正六角形状の微細柱状体41aが隙間なく配列した構造を有するものとなる。各微細柱状体41aの略中心部には、表面40sから深さ方向に略ストレートに延びる微細孔21が開孔され、各微細柱状体41aの底面は丸みを帯びた形状となる。陽極酸化により生成される金属酸化物体の構造は、益田秀樹、「陽極酸化法によるメソポーラスアルミナの調製と機能材料としての応用」、材料技術Vol.15,No.10、1997年、p.34等に記載されている。
【0032】
規則配列構造の金属酸化物体41を生成する場合の好適な陽極酸化条件例としては、電解液としてシュウ酸を用いる場合、電解液濃度0.5M、液温14〜16℃、印加電圧40〜40±0.5V等が挙げられる。この条件で生成される微細孔21は例えば孔径が30〜95nm、ピッチが100nm程度である。
【0033】
透光性微細孔体20は、非陽極酸化部分42を残さず被陽極酸化金属体40の全体を陽極酸化することでも製造できる。
【0034】
第1の反射体10及び第2の反射体30はいずれも金属層からなり、透光性微細孔体20への金属蒸着等によって成膜されたものである。透光性微細孔体20には透光性微細孔体20を貫通する複数の微細孔21が開孔されているので、図1(a)に示す如く、微細孔21の開孔部分には金属が成膜されず、第1の反射体10及び第2の反射体30は透光性微細孔体20の複数の微細孔21に各々連通する複数の貫通孔11、31を有している。貫通孔11、31は透光性微細孔体20の微細孔21と同じパターンで開孔されるので、貫通孔11、31は測定光L1の波長より充分に小さい径及びピッチで略規則的に配列されている。
【0035】
第1の反射体10と第2の反射体30とは同一材質でも異なる材質でもよい。第1の反射体10及び第2の反射体30の材質は、反射性を有する金属であれば制限なく、Au、Ag、Cu、Al、及びこれらの合金等が挙げられ、2種以上の金属を含むものであってもよい。第1の反射体10及び第2の反射体30は、不純物として金属以外の任意成分を含むものであってもよい。
【0036】
本実施形態では、第1の反射体10の複数の貫通孔11及び/又は第2の反射体30の複数の貫通孔31を介して、透光性微細孔体20の複数の微細孔21に流体試料22を出入することができる。本実施形態では、透光性微細孔体20の微細孔21だけでなく、第1の反射体10の貫通孔11及び/又は第2の反射体30の貫通孔31にも、流体試料22を充填することができる。図1(a)は、第1の反射体10の貫通孔11及び第2の反射体30の貫通孔31にも流体試料22を充填し、流体試料22が最大限充填された場合について図示してある。
【0037】
透光性微細孔体20において、複数の微細孔21は測定光L1の波長より充分に小さい径及びピッチで開孔されているので、微細孔21に流体試料22が充填される前の空の透光性微細孔体20も、微細孔21に流体試料22が充填された透光性微細孔体20も、いわゆる電磁メッシュシールド効果により光に対しては薄膜として作用する。
【0038】
同様に、第1の反射体10及び第2の反射体30において、貫通孔11、31は測定光L1の波長より充分に小さい径及びピッチで開孔されているので、貫通孔11、31に流体試料22が充填される前の空の第1の反射体10及び第2の反射体30も、貫通孔11、31に流体試料22が充填された第1の反射体10及び第2の反射体30も、光に対しては薄膜として作用する。
【0039】
また、第1の反射体10及び第2の反射体30は反射性金属からなるが貫通孔11、31を有しているので光透過性を有し、半透過半反射性を有する。第1の反射体10の透過率と反射率は、材質、厚み、貫通孔の開孔密度により決まり、第2の反射体30の透過率と反射率も同様である。
【0040】
図1(a)に示す如く、流体分析デバイス1に測定光L1が入射すると、第1の反射体10の透過率と反射率に応じて、一部は第1の反射体10の表面で反射され(図示略)、一部は第1の反射体10を透過して透光性微細孔体20に入射する。透光性微細孔体20に入射した光は、第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返す。すなわち、流体分析デバイス1は、第1の反射体10と第2の反射体30との間で多重反射が起こる共振構造を有している。
【0041】
かかるデバイスでは、多重反射光による多重干渉が起こり、特定波長の光が選択的に吸収される吸収特性を示す。多重干渉条件は第1の反射体10の平均複素屈折率と第2の反射体30の平均複素屈折率と透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。この吸収特性に応じて測定光L1が変調され、測定光L1が物理特性の異なる出射光L2となって出射される。
【0042】
第1の反射体10の平均複素屈折率をn−ik、透光性微細孔体20の平均複素屈折率をn、第2の反射体30の平均複素屈折率をn−ik、透光性微細孔体20の厚みをdとする(k及びkは消衰係数であり、−ik及び−ikは虚数部を示す。本実施形態では、透光性微細孔体20の平均複素屈折率の虚数部は0である。)。
本発明者は、測定光L1が略垂直入射光の場合、多重干渉により吸収される光のピーク波長(吸収ピーク波長)λは、透光性微細孔体20の平均複素屈折率nと厚みdとに大きく依存し、これらは概ね下記式の関係にあることを見出している。すなわち、本発明者は、多重干渉による吸収ピーク波長λは下記式で表される波長の付近に現れ、下記式で表される波長の付近で、第1の反射体10の平均複素屈折率n−ikと、第2の反射体30の平均複素屈折率n−ikと、透光性微細孔体20の平均複素屈折率n及び厚みdとに応じて変わることを見出している。
d≒(m+1)/2×λ、
λ≒(m+1)×2n
式中、mは任意の整数(0,±1,±2,・・・・)である。
【0043】
特に、第1の反射体10、透光性微細孔体20、第2の反射体30のうち少なくとも1つを複素誘電率の虚数部が0でない光吸収体により構成すると、吸収ピークがシャープになり、特定波長の光に対して強い吸収を示すものとなる。本実施形態では、金属層である第1の反射体10及び第2の反射体30が光吸収体である。
【0044】
流体分析デバイス1では、透光性微細孔体20内における多重反射回数(フィネスF)が最大となるよう、光インピーダンスマッチングを取ったデバイス構造とすることが好ましい。フィネスFは一般的に下記式で表され、反射体の反射率Rが大きい程、フィネスFは大きくなり、吸収ピークがシャープになる傾向にある。
フィネスF=πR1/2/(1−R)
【0045】
透光性微細孔体20の平均複素屈折率は、流体試料22の屈折率に応じて変化する。流体試料22の屈折率以外のファクターは固定されているので、出射光L2に対して、検出手段60により吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出することで、流体試料22の分析を行うことができる。
【0046】
本実施形態では、第1の反射体10及び第2の反射体30がいずれも半透過半反射性を有するので、第1の反射体10の平均複素屈折率と第2の反射体30の平均複素屈折率と透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて、第1の反射体10から出射光L2が出射される反射型デバイス、第2の反射体30から出射光L2が出射される透過型デバイス、第1の反射体10及び第2の反射体30から出射光L2が出射される半透過半反射型デバイスのいずれかとなる。流体分析デバイス1では、必要に応じて、反射型デバイス、透過型デバイス、半透過半反射型デバイスのうちいずれかを選択することもできる。図1は反射型について図示してある。
【0047】
透光性微細孔体20の厚みdは制限されない。例えば、厚みdを300nm以下とすることで、可視光波長領域の吸収ピーク波長を1つとすることができ、好ましい。
【0048】
反射型の条件で、測定光L1として白色光を照射し、流体試料22として異なる屈折率の流体試料A、Bを充填したときの反射光スペクトルの変化例を図1(b)に示す。図1(b)は、充填する流体試料22の種類を変えることで、吸収ピーク波長λがλからλに変化する様子が示されている。
【0049】
吸収ピーク波長λ、λから、流体試料A、Bを充填したときの透光性微細孔体20の平均複素屈折率nが各々求められる。透光性微細孔体20の平均複素屈折率nは下記式で表され、透光性微細孔体20の平均複素屈折率に占める流体試料22の屈折率の比率は決まっているから、吸収ピーク波長λ、λから流体試料A、Bの屈折率が各々求められる。式中、nは透光性微細孔体(Al部分)の屈折率、nは流体試料の屈折率である。a、bは各々、透光性微細孔体(Al部分)の体積分率、流体試料の体積分率である。
=a×n+b×n
【0050】
流体試料Aを屈折率が既知のリファレンス試料とすれば、吸収ピーク波長のシフトΔλ=λ−λから、流体試料Bの屈折率を求めることもできる。透光性微細孔体20の平均屈折率の変化Δnは、吸収ピーク波長の変化Δλから求められる。また、透光性微細孔体20の平均屈折率変化に占める流体試料22の屈折率変化の比率は決まっている。したがって、リファレンス試料Aの屈折率をnとすれば、下記式から未知試料Bの屈折率nが求められる。
=n−(Δn/b)
【0051】
測定光照射手段50を白色光等の吸収ピーク波長λを含むブロード光を照射する光学系により構成する場合、検出器63を分光器等により構成することで、吸収ピーク波長λ又はそのシフトΔλを検出することができ、流体試料22の屈折率を分析することができる。
【0052】
測定光照射手段50が単波長光を照射する光学系により構成することもできる。この場合、検出器63は光強度を検出可能なフォトダイオード等により構成すればよい。図1(b)に示したスペクトルにおいて任意のある波長λについて着目すれば、流体試料AとBでは異なる反射強度を示している。したがって、測定光L1として任意の単波長光λを照射し、出射光L2の光強度を検出器63により検出することで、流体試料22の屈折率を求めることができる。流体試料Aを屈折率が既知のリファレンス試料とすれば、光強度の変化量から流体試料Bの屈折率を求めることもできる。
【0053】
すなわち、検出手段60は、好ましくは、出射光L2の光強度又は光強度の変化量、流体分析デバイス1により吸収される光の吸収波長又は吸収波長のシフトのうち少なくとも一つを検出するものであり、かかる検出手段60を備えることで、流体試料22の屈折率を良好に分析できる。
【0054】
成分が同一で濃度が異なる複数の流体試料22を分析する場合には、濃度に応じて屈折率が変わるので、屈折率から流体試料22の濃度を求めることもできる。特定物質の有無以外は同一条件の複数の流体試料22を分析する場合には、特定物質の有無に応じて屈折率が変わるので、特定物質の有無を分析することもできる。また、流体試料22の屈折率から流体試料22を同定することも可能である。
【0055】
本実施形態の流体分析デバイス1及び流体分析装置2は、以上のように構成されている。
【0056】
本実施形態の流体分析デバイス1は、測定光L1の入射側から、半透過半反射性を有する第1の反射体10と流体試料22が充填される測定光L1の波長より充分に小さい径の複数の微細孔21を有する透光性微細孔体20と、半透過半反射性を有する第2の反射体30とを順次備えたものである。
【0057】
かかる構成では、第1の反射体10を透過して透光性微細孔体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返して多重反射が効果的に起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こる。かかる構成では、多重干渉条件が第1の反射体10の平均複素屈折率と第2の反射体30の平均複素屈折率と透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。透光性微細孔体20の平均複素屈折率は流体試料22の屈折率に応じて変化する。流体試料22の屈折率以外のファクターは固定されているので、吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出することで、流体試料22の分析を行うことができる。例えば、出射光L2の光強度又は光強度の変化量、流体分析デバイス1により吸収される光の吸収波長又は吸収波長のシフトのうち少なくとも一つを検出することで、流体試料22の分析を行うことができる。
【0058】
本実施形態の流体分析装置2は、本実施形態の流体分析デバイス1と測定光照射手段50と検出手段60とを備えたものであるので、流体分析装置2を用いることで流体試料22の分析を自動的に行うことができる。流体分析装置2によれば、流体試料22の屈折率及び/又は濃度を分析することができ、流体試料22の屈折率から流体試料22を同定することもできる。
【0059】
流体分析デバイス1では、透光性微細孔体20を複数の流体試料22が各々充填される複数の分析領域に分割して、個々の分析領域ごとに流体試料22の分析を行うこともできる。この場合には、検出手段60が個々の分析領域から出射される出射光L2に対して各々上記物理特性又は物理特性の変化を検出するよう構成すればよい。例えば、流体分析装置2を、流体分析デバイス1の分析領域の数とパターンに対応した数とパターンで配列された複数の受光素子からなる受光器61を備え、各受光素子により受光された出射光L2に対して各々検出器63により検出を行う構成とすればよい。かかる構成の流体分析装置2では、複数の流体試料22の分析を同時に実施でき、基本条件は同一とし特定条件のみを変えた多数の試料を同時に分析するバイオ分析等に好ましく適用できる。
【0060】
本実施形態の流体分析デバイス1は、測定光L1の波長より充分に小さい構造を光変調の最小単位として有しているので、高精細高分解な光変調特性を示し、高精度な分析を実施できる。また、複数の微細孔21が規則配列した透光性微細孔体20を有する本実施形態の流体分析デバイス1では、光変調構造が規則的であり光変調特性の面内均一性が高いので、複数の分析領域に分割して個々の分析領域ごとに流体試料22の分析を行う場合にも、安定した流体分析が実施できる。
【0061】
なお、本実施形態では、多重反射光による多重干渉が効果的に起こり、高精細高分解な光変調を実施でき、高精度な分析を実施できるが、反射光の干渉が起こる条件であれば、透光性微細孔体20内における反射回数は任意であり少なくてもよい。
【0062】
本実施形態の流体分析デバイス1は、透光性微細孔体20を2つの反射体10、30で挟む構造を有し、陽極酸化を利用して簡易に製造でき、大面積化も容易である。
本実施形態の流体分析デバイス1は構造による波長選択性を有するので、デバイスの劣化(退色等)が起こりにくく、長期使用安定性にも優れる。
【0063】
「第2実施形態」
次に、図3に基づいて、本発明に係る第2実施形態の流体分析デバイスの構成について説明する。本実施形態は第1実施形態の流体分析デバイスと基本構造は同様であるので、同じ構成要素には同じ参照符号を付し、説明は省略する。図3は第1実施形態の図1(a)の流体分析デバイス1に対応した断面図である。
【0064】
本実施形態の流体分析デバイス3は、第1実施形態と同様、測定光L1の入射側(図示上側)から、第1の反射体10と透光性微細孔体20と第2の反射体30とを順次備えたデバイス構造を有するが、第1実施形態と異なり、透光性微細孔体20の微細孔21が貫通孔ではなく、第2の反射体30が完全反射性を有するデバイスである。透光性微細孔体20の微細孔21は、第1の反射体10側の面においてのみ開口し、第2の反射体30側は閉じられている。
【0065】
透光性微細孔体20は、図2に示した被陽極酸化金属体40の一部を陽極酸化して得られる金属酸化物体(Al)41からなり、第2の反射体30は図2に示した被陽極酸化金属体40の非陽極酸化部分(Al)42からなり、第1の反射体10は透光性微細孔体20に成膜された金等の金属層からなるデバイスである。
【0066】
本実施形態の流体分析デバイス3においても、第1実施形態と同様、第1の反射体10を透過して透光性微細孔体20に入射した光が第1の反射体10と第2の反射体30との間で反射を繰り返して多重反射が効果的に起こり、多重反射光による多重干渉が効果的に起こる。多重干渉条件は第1の反射体10の平均複素屈折率と第2の反射体30の平均複素屈折率と透光性微細孔体20の平均複素屈折率及び厚みとに応じて変わるので、これらファクターに応じて特定波長の光を吸収する吸収特性を示す。透光性微細孔体20の平均複素屈折率は流体試料22の屈折率に応じて変化し、流体試料22の屈折率以外のファクターは固定されているので、吸収特性によって変化する物理特性又は物理特性の変化を検出することで、流体試料22の分析を行うことができる。
本実施形態では、第2の反射体30が完全反射体であるので、第1実施形態と異なり、第1の反射体10から出射光L2が出射される反射型デバイスのみが得られる。
【0067】
本実施形態においても、好ましくは、出射光L2の光強度又は光強度の変化量、流体分析デバイス3により吸収される光の吸収波長又は吸収波長のシフトのうち少なくとも一つを検出することで、流体試料22の分析を行うことができる。本実施形態の流体分析デバイス3によれば、第1実施形態と同様、流体試料22の屈折率及び/又は濃度を分析することができ、流体試料22の屈折率から流体試料22を同定することもできる。
【0068】
流体分析デバイス3においても、透光性微細孔体20を複数の流体試料22が各々充填される複数の分析領域に分割して、個々の分析領域ごとに流体試料22の分析を行い、複数の流体試料22の分析を同時に実施することもできる。
【0069】
本実施形態の流体分析デバイス3は、第1実施形態と同様、測定光L1の波長より充分に小さい構造を光変調の最小単位として有しているので、高精細高分解な光変調特性を示し、高精度な分析を実施できる。また、複数の微細孔21が規則配列した透光性微細孔体20を有する本実施形態の流体分析デバイス3では、光変調構造が規則的であり光変調特性の面内均一性が高いので、複数の分析領域に分割して個々の分析領域ごとに流体試料22の分析を行う場合にも、安定した流体分析が実施できる。
【0070】
本実施形態の流体分析デバイス3は、第1実施形態と同様、透光性微細孔体20を2つの反射体10、30で挟む構造を有し、陽極酸化を利用して簡易に製造でき、大面積化も容易である。
本実施形態の流体分析デバイス3は構造による波長選択性を有するので、第1実施形態と同様、デバイスの劣化(退色等)が起こりにくく、長期使用安定性にも優れる。
【0071】
第1実施形態と同様に、流体分析デバイス3に測定光照射手段50と検出手段60とを組み合わせて流体分析装置を構成することで、流体試料22の分析を自動的に行うことができる。
【0072】
(設計変更)
本発明は上記実施形態に限らず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内において適宜設計変更できる。
【0073】
第1及び第2実施形態では、透光性微細孔体20の形成に用いる被陽極酸化金属体40の主成分としてAlのみを挙げたが、陽極酸化可能で生成される金属酸化物が透光性を有するものであれば、任意の金属が使用できる。Al以外では、Ti、Ta、Hf、Zr、Si、In、Zn等が使用できる。被陽極酸化金属体40は、陽極酸化可能な金属を2種以上含むものであってもよい。
【0074】
陽極酸化を利用することで、複数の微細孔21が規則配列した透光性微細孔体20を簡易に製造でき、大面積化も容易である。また、構造規則性に優れた透光性微細孔体20を簡易に製造できるので、光変調特性の面内均一性が高く、複数の分析領域に分割して個々の分析領域ごとに流体試料22の分析を行う場合にも安定した流体分析を実施できる流体分析デバイスを簡易に製造できる。
【0075】
このように陽極酸化を利用することは好ましいが、本発明は陽極酸化に限らず、他の微細孔形成技術を利用して製造されたものであってもよい。例えば、透光性基体に集束イオンビーム(FIB)や電子ビーム(EB)等の電子描画技術により任意のパターンの微細孔(貫通孔でも貫通しない孔(凹部)でもよい)を描画する、完全反射性又は半透過半反射性の基体の表面にリソグラフィー技術により任意の凹凸パターンの透光性微細孔体を形成する(この場合凹部が微細孔となる)等の方法を用いることで、本発明の流体分析デバイスを製造することができる。陽極酸化以外の方法を用いることで、透光性微細孔体20の材質や微細孔21の開孔パターン等の設計自由度が広がる。
【0076】
第1の反射体10及び第2の反射体30の材質は、金属に限らず、反射性を有する材質であればよい。
【0077】
透光性微細孔体20における微細孔21の形状は任意である。上記実施形態では、円柱状の略ストレート孔のみを挙げたが、三角柱状、四角柱状等の角柱状でもよく、柱状にも限らない。微細孔21はランダム形状であってもよい。
微細孔21の配列パターンも任意である。複数の微細孔21が第1の反射体10の光入射面に平行な方向に一次元配列したものでも、二次元配列したものでもよい。上記実施形態は、複数の微細孔21が第1の反射体10の光入射面に平行な方向に二次元配列した例である。また、複数の微細孔21が第1の反射体10の光入射面に平行な方向に二次元配列し、さらにこの二次元配列が厚み方向にも繰り返される三次元配列構造であってもよい。微細孔21の配列はランダム配列でもよい。
【0078】
「課題を解決するための手段」で説明したように、本発明の流体分析デバイスは、多重干渉が効果的に起こる共振構造を有するため高精度な分析を実施でき、しかも陽極酸化等により簡易に製造でき、ポーラスシリコンを用いない構成とすることができる。したがって、本発明の流体分析デバイスは、共振構造の製造容易性、大面積化容易性、製造コスト、環境面、保存安定性、高精度分析などの観点から優れたデバイスである。
【実施例】
【0079】
本発明に係る実施例について説明する。
【0080】
(実施例)
<流体分析デバイスの製造>
下記手順にて、第2実施形態の流体分析デバイスを製造した。Alを主成分とする被陽極酸化金属体40の一部を陽極酸化して、厚みd=250nm、微細孔21の開口率(=微細孔21の合計開口面積/透光性微細孔体20の全面積)が1/2の透光性微細孔体(Al)20を形成し、透光性微細孔体20と非陽極酸化部分(Al)からなる第2の反射体30とからなるナノ構造体(図2(b)参照)を得た。このナノ構造体の表面に金を蒸着して第1の反射体10を成膜し、反射型の流体分析デバイス3を製造した。
【0081】
物質の複素屈折率は入射光の波長によって異なる。参考までに、波長600nmの条件におけるAu、Al、Alの複素屈折率、第1の反射体10の平均複素屈折率、微細孔21に透光性物質22を充填しない空状態(空気(屈折率n=1)が入った状態、後記条件1)の透光性微細孔体20の平均複素屈折率、第2の反射体30の平均複素屈折率を以下に示しておく。第1の反射体10の平均複素屈折率は、微細孔21の開口率を考慮して算出してある。第2の反射体30は孔がないので、その平均複素屈折率はAlの複素屈折率と同じである。
Auの複素屈折率:0.175−i3.10、
Alの複素屈折率:1.767、
Alの複素屈折率:0.97−i6.00、
第1の反射体10の平均複素屈折率n−ik:0.725−i3.10、
透光性微細孔体20(空状態)の平均複素屈折率n:1.256、
第2の反射体30の平均複素屈折率n−ik:0.97−i6.00。
【0082】
<評価>
複数の微細孔21に流体試料22を充填しない空状態(空気(屈折率n=1)が入った状態)について、分光計器製「ポリクロメータ−M25型」を用い、白色光(キセノン光源)を照射して反射光スペクトルを測定した(条件1)。反射強度は別途取得したアルミナの反射光スペクトルでもって規格化した。
複数の微細孔21に流体試料22を充填し、流体試料22の種類を変えて同様の評価を行った。充填する流体試料22としては、水(屈折率n=1.33、条件2)とエタノール(純度100%、屈折率n=1.36、条件3)を用いた。
各条件における透光性微細孔体20の平均複素屈折率nは、以下の通りであった。条件1:1.256、条件2:1.476、条件3:1.496。
【0083】
<結果>
得られた反射光スペクトルを図4に示す。図4に示す如く、微細孔21に物質を充填しない空状態(空気が入った状態、条件1)、微細孔21に水を充填した状態(条件2)、微細孔21にエタノールを充填した状態(条件3)では、いずれも多重干渉による吸収ピークが見られ、条件によって異なる吸収ピーク波長を有する反射光スペクトルが得られた。吸収ピーク波長λは、条件1:730nm、条件2:804nm、条件3:810nmであった。
以上のことから、得られた流体分析デバイス3は、充填する流体試料22の種類によって異なる吸収特性を示し、吸収ピーク波長λ又はそのシフト等から、流体試料22の分析が可能であることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明の流体分析デバイス及び流体分析装置は、流体試料の屈折率及び/又は濃度の分析、流体試料の同定等の流体試料の分析に利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】(a)は本発明に係る第1実施形態の流体分析装置の全体図、(b)は反射光スペクトルの例
【図2】(a)〜(c)は図1に示す流体分析デバイスの製造工程図
【図3】本発明に係る第2実施形態の流体分析デバイスの構成を示す図
【図4】本発明に係る実施例の評価結果を示す図
【符号の説明】
【0086】
1、3 流体分析デバイス
2 流体分析装置
10 第1の反射体
11 貫通孔
20 透光性微細孔体
21 微細孔
22 流体試料
30 第2の反射体
31 貫通孔
40 被陽極酸化金属体
41 金属酸化物体
42 非陽極酸化部分
50 測定光照射手段
60 検出手段
L1 測定光
L2 出射光




 

 


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