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発明の名称 液晶表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17958(P2007−17958A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−155738(P2006−155738)
出願日 平成18年6月5日(2006.6.5)
代理人 【識別番号】110000109
【氏名又は名称】特許業務法人特許事務所サイクス
発明者 深川 伸隆 / 春田 裕宗 / 野副 寛 / 上平 茂生
要約 課題
簡便で安価に製造でき、色味視野角依存性の低い液晶表示装置を提供する。

解決手段
液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、 前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、一方及び他方の前記偏光板の保護フィルムのレターデーションRe、Rthの波長分散を調整する。
特許請求の範囲
【請求項1】
液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、
前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、一方の前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが下記式(1)〜(5)の特性を有し、他方の前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが下記式(6)〜(10)の特性を有することを特徴とする液晶表示装置。
20nm<Re(548)<150nm ・・・式(1)
20nm<Rth(548)<150nm ・・・式(2)
0<Rth(548)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(4)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(5)

0nm<Re(548)<10nm ・・・式(6)
100nm<Rth(548)<300nm ・・・式(7)
10<Rth(548)/Re(548) ・・・式(8)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 ・・・式(9)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(10)
【請求項2】
前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムがセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが延伸セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(1)〜(5)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが2種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(1)〜(5)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有するセルロースアシレートを含むことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(1)〜(5)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記Re発現剤が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする、請求項6に記載の液晶表示装置。
【化1】



(式中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−およびCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す(ただし、Xには水素原子または置換基が結合してもよい。)。nは0から2までの整数を表す。)
【請求項8】
前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(6)〜(10)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項2〜7のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記Rth発現剤が250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有することを特徴とする請求項8に記載の液晶表示装置。
【請求項10】
前記液晶セルがVAモードであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関し、特に視野角特性に優れたVAモード液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、消費電力の小さい省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。従来、画像の視野角依存性が大きいことが液晶表示装置の大きな欠点であった。しかし、近年ではVAモードによる高視野角液晶モードが実用化されており、これによってテレビ等の高品位の画像が要求される市場でも液晶表示装置の需要が急速に拡大しつつある。
VAモード液晶表示装置は他の液晶表示モードに比べて一般にコントラストが高いというメリットがあるが、視角によってコントラストおよび色味の変化が大きいという問題を有していた。これに対し、例えば、光学特性の異なる2種類の位相差層を用いることにより斜め方向から見ても黒の表示が鮮明で無彩色のVAモード液晶表示装置を得る方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、上記方法では偏光板を作製した後に位相差フィルムを貼り合わせる工程が必要である。このため、製造工程が煩雑となり、生産性が低く、製造コストが高いという問題を有しており、その改良が求められていた。
【特許文献1】国際公開第2003/032060号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、簡便で安価に製造でき、色味視野角依存性の低い液晶表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、以下の手段によって解決される。
[1] 液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、一方の前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが下記式(1)〜(5)の特性を有し、他方の前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが下記式(6)〜(10)の特性を有することを特徴とする液晶表示装置。
20nm<Re(548)<150nm ・・・式(1)
20nm<Rth(548)<150nm ・・・式(2)
0<Rth(548)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(4)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(5)

0nm<Re(548)<10nm ・・・式(6)
100nm<Rth(548)<300nm ・・・式(7)
10<Rth(548)/Re(548) ・・・式(8)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 ・・・式(9)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(10)
【0005】
[2] 前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムがセルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[1]に記載の液晶表示装置。
【0006】
[3] 前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが延伸セルロースアシレートフィルムであることを特徴とする[1]または[2]に記載の液晶表示装置。
【0007】
[4] 前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(1)〜(5)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが2種類以上のアシル基を有するセルロースアシレートを含むことを特徴とする[2]または[3]に記載の液晶表示装置。
【0008】
[5] 前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(1)〜(5)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有するセルロースアシレートを含むことを特徴とする[2]〜[4]のいずれかの液晶表示装置。
【0009】
[6] 前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(1)〜(5)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが、Re発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする[2]〜[5]のいずれかの液晶表示装置。
【0010】
[7] 前記Re発現剤が、下記一般式(I)で表される化合物であることを特徴とする、[6]に記載の液晶表示装置。
【0011】
【化1】


(式中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−およびCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す(ただし、Xには水素原子または置換基が結合してもよい。)。nは0から2までの整数を表す。)
【0012】
[8] 前記セルロースアシレートフィルムのうち、前記式(6)〜(10)の特性を有するセルロースアシレートフィルムが、Rth発現剤を少なくとも1種含有することを特徴とする[2]〜[7]のいずれかの液晶表示装置。
【0013】
[9] 前記Rth発現剤が250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有することを特徴とする[8]に記載の液晶表示装置。
【0014】
[10] 液晶セルがVAモードであることを特徴とする[1]〜[9]のいずれかの液晶表示装置。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、簡便で安価に製造でき、色味視野角依存性の低い液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
<本発明の液晶表示装置の特徴>
[構造的特徴と光学的特性]
本発明の液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有する液晶表示装置であって、前記偏光板が偏光子およびその両側に配置された2枚の保護フィルムからなり、一方の前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが下記式(1)〜(5)の特性を有し、他方の前記偏光板の前記液晶セル側の保護フィルムが下記式(6)〜(10)の特性を有することを特徴とする。
20nm<Re(548)<150nm ・・・式(1)
20nm<Rth(548)<150nm ・・・式(2)
0<Rth(548)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(4)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(5)

0<Re(548)<10nm ・・・式(6)
100nm<Rth(548)<300nm ・・・式(7)
10<Rth(548)/Re(548) ・・・式(8)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 ・・・式(9)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(10)
【0017】
本発明の特徴は液晶セル側の偏光板保護フィルムに用いられる偏光板保護フィルムのレターデーションの波長分散を調節すること、具体的には、前記式(1)〜(5)の特性を満たす偏光板保護フィルム(以下、「偏光板保護フィルムA」と称する場合がある。)と前記式(6)〜(10)の特性を満たす偏光板保護フィルム(以下「偏光板保護フィルムC」と称する場合がある。)を用いることにある。尚、各偏光板の液晶セル側と逆側の偏光板保護フィルムについては、公知のものを適宜選択して用いてもよいし、下記の偏光板保護フィルムAおよびCとして例示されるものを用いてもよい。
以下に、フィルムのレターデーションについて説明した後に、偏光板保護フィルムAおよびCについて詳しく説明する。
【0018】
[フィルムのレターデーション]
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。
【0019】
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がゼロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基に、以下の式(21)および式(22)よりRthを算出することもできる。
【0020】
【数1】


−−−式(21)
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。
式(21)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnxおよびnyに直交する方向の屈折率を表す。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d −−− 式(22)
【0021】
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレタデーション値と平均屈折率の仮定値および入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値は ポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する: セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)がさらに算出される。
【0022】
<偏光板保護フィルムA>
本発明における偏光板保護フィルムAのレターデーションは下記関係を満たす。前記偏光板保護フィルムAとしては、セルロースアシレートフィルムが好ましく、延伸セルロースアシレートフィルムであることが更に好ましい。
20nm<Re(548)<150nm ・・・式(1)
20nm<Rth(548)<150nm ・・・式(2)
0<Rth(548)/Re(548)<2.0 ・・・式(3)
0.5<Re(446)/Re(548)<1 ・・・式(4)
1.0<Re(628)/Re(548)<2.0 ・・・式(5)
【0023】
前記式(1)は、40nm<Re(548)<150nmであることがさらに好ましく、60nm<Re(548)<140nmであることが最も好ましい。
前記式(2)は、30nm<Rth(548)<135nmであることがさらに好ましく、30nm<Rth(548)<70nmであることが最も好ましい。
前記式(3)は、0.5<Rth(548)/Re(548)<1.0であることがさらに好ましく、0.5<Rth(548)/Re(548)<0.75であることが最も好ましい。
前記式(4)は、0.55<Re(446)/Re(548)<0.9であることがさらに好ましく、0.60<Re(446)/Re(548)<0.8であることが最も好ましい。
前記式(5)は、1.05<Re(628)/Re(548)<1.5であることがさらに好ましく、1.1<Re(628)/Re(548)<1.3であることが最も好ましい。
Re(λ)およびRth(λ)を上記範囲に設定することにより、視角による色味変化に対する低減効果の大きい偏光板保護フィルムが得られる。
【0024】
偏光板保護フィルムAとしては様々なポリマーフィルムが使用できる。前記ポリマーフィルムとしては、正の固有複屈折成分と負の固有複屈折成分とを併せ持つものが好ましい。具体的には、(株)帝人製「ピュアエース」等の変性ポリカーボーネートフィルム、特開2003−292639号公報および特開2003−321535号公報に開示されるノルボルネン系フィルムや、セルロースアシレートフィルム等が好ましい。このうち、前記ポリマーフィルムとしては、原材料が安価であることおよび偏光板加工適性の点からセルロースアシレートフィルムが特に好ましい。
【0025】
〔セルロースアシレート〕
まず、本発明に用いることのできるセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートの置換度は、セルロースの構成単位((β)1,4−グリコシド結合しているグルコース)に存在している、3つの水酸基がアシル化されている割合を意味する。置換度(アシル化度)は、セルロースの構成単位質量当りの結合脂肪酸量を測定して算出することができる。測定方法は、「ASTM D817−91」に準じて実施する。
【0026】
本発明におけるセルロースアシレートは、アシル化度が2.00〜2.90であるセルロースアセテートが好ましい。前記アシル化度は2.2〜2.8がさらに好ましい。さらに全アシル化度に対する6位のアシル化度の比率は0.25以上が好ましく、0.3以上がさらに好ましい。また、本発明におけるセルロースアシレートは、2種以上のアシル基を含むことが好ましい。
【0027】
本発明において、もう一つの好ましいセルロースアシレートとしては、アシル化度が2〜2.9であり、アセチル基の炭素数が3〜4のアシル基を有する混合脂肪酸エステルである。前記混合脂肪酸エステルのアシル化度は2.2〜2.85がさらに好ましく、2.4〜2.8が最も好ましい。また、アセチル化度は2.5未満が好ましく、1.9未満がさらに好ましい。
【0028】
さらにもう1つの本発明において好ましいセルロースアシレートは、脂肪酸アシル基と置換もしくは無置換の芳香族アシル基とを有する混合酸エステルである。ここで置換もしくは無置換の芳香族アシル基としては下記一般式(A)で表される基が挙げられる。
【0029】
【化2】


【0030】
まず、前記一般式(A)について説明する。一般式(A)中、Xは置換基を示す。前記置換基の例には、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、ウレイド基、アラルキル基、ニトロ、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基、カルバモイル基、スルファモイル基、アシルオキシ基、アルケニル基、アルキニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、アルキルオキシスルホニル基、アリールオキシスルホニル基、アルキルスルホニルオキシ基およびアリールオキシスルホニル基、−S−R、−NH−CO−OR、−PH−R、−P(−R)2、−PH−O−R、−P(−R)(−O−R)、−P(−O−R)2、−PH(=O)−R−P(=O)(−R)2、−PH(=O)−O−R、−P(=O)(−R)(−O−R)、−P(=O)(−O−R)2、−O−PH(=O)−R、−O−P(=O)(−R)2−O−PH(=O)−O−R、−O−P(=O)(−R)(−O−R)、−O−P(=O)(−O−R)2、−NH−PH(=O)−R、−NH−P(=O)(−R)(−O−R)、−NH−P(=O)(−O−R)2、−SiH2−R、−SiH(−R)2、−Si(−R)3、−O−SiH2−R、−O−SiH(−R)2および−O−Si(−R)3が含まれる。上記Rは脂肪族基、芳香族基またはヘテロ環基である。
【0031】
前記一般式(A)中、nは置換基の数であり、0〜5の整数を示す。前記置換基の数(n)は、1〜5であることが好ましく、1〜4であることがより好ましく、1〜3であることがさらに好ましく、1または2であることが最も好ましい。前記で示される置換基としては、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アシル基、カルボンアミド基、スルホンアミド基およびウレイド基が好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基およびカルボンアミド基がより好ましく、ハロゲン原子、シアノ、アルキル基、アルコキシ基およびアリールオキシ基がさらに好ましく、ハロゲン原子、アルキル基およびアルコキシ基が最も好ましい。
【0032】
上記ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。上記アルキル基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルキル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルキル基の例には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチル、ヘキシル、シクロヘキシル、オクチルおよび2−エチルヘキシルが含まれる。上記アルコキシ基は、環状構造あるいは分岐を有していてもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがより好ましく、1〜6であることがさらに好ましく、1〜4であることが最も好ましい。アルコキシ基は、さらに別のアルコキシ基で置換されていてもよい。アルコキシ基の例には、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メトキシ−2−エトキシエトキシ、ブチルオキシ、ヘキシルオキシおよびオクチルオキシが含まれる。
【0033】
上記アリール基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリール基の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。上記アリールオキシ基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシ基の例には、フェノキシおよびナフトキシが含まれる。上記アシル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。アシル基の例には、ホルミル、アセチルおよびベンゾイルが含まれる。上記カルボンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルボンアミド基の例には、アセトアミドおよびベンズアミドが含まれる。上記スルホンアミド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。スルホンアミド基の例には、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミドおよびp−トルエンスルホンアミドが含まれる。上記ウレイド基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。ウレイド基の例には、(無置換)ウレイドが含まれる。
【0034】
上記アラルキル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アラルキル基の例には、ベンジル、フェネチルおよびナフチルメチルが含まれる。上記アルコキシカルボニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニルが含まれる。上記アリールオキシカルボニル基の炭素原子数は、7〜20であることが好ましく、7〜12であることがさらに好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニルが含まれる。上記アラルキルオキシカルボニル基の炭素原子数は、8〜20であることが好ましく、8〜12であることがさらに好ましい。アラルキルオキシカルボニル基の例には、ベンジルオキシカルボニルが含まれる。上記カルバモイル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。カルバモイル基の例には、(無置換)カルバモイルおよびN−メチルカルバモイルが含まれる。上記スルファモイル基の炭素原子数は、20以下であることが好ましく、12以下であることがさらに好ましい。スルファモイル基の例には、(無置換)スルファモイルおよびN−メチルスルファモイルが含まれる。上記アシルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アシルオキシ基の例には、アセトキシおよびベンゾイルオキシが含まれる。
【0035】
上記アルケニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルケニル基の例には、ビニル、アリルおよびイソプロペニルが含まれる。上記アルキニル基の炭素原子数は、2〜20であることが好ましく、2〜12であることがさらに好ましい。アルキニル基の例には、チエニルが含まれる。上記アルキルスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルオキシスルホニル基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。上記アルキルスルホニルオキシ基の炭素原子数は、1〜20であることが好ましく、1〜12であることがさらに好ましい。上記アリールオキシスルホニル基の炭素原子数は、6〜20であることが好ましく、6〜12であることがさらに好ましい。
【0036】
次に、本発明におけるセルロースアシレートの一例であるセルロース混合酸エステル中の脂肪酸エステル残基について説明する。前記セルロース混合酸エステル中の脂肪酸エステル残基において、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20であることが好ましい。具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられ、好ましくはアセチル、プロピオニルおよびブチリルであり、特に好ましいのはアセチルである。本発明において前記脂肪族アシル基はさらに置換基を有するものも包含する意味である。前記置換基としては例えば前記の一般式(A)のXとして例示したものが挙げられる。
【0037】
更に、芳香族環に置換する置換基の数が2個以上の時、該置換基は互いに同じでも異なっていてもよいし、互いに連結して縮合多環化合物(例えばナフタレン、インデン、インダン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、クロメン、クロマン、フタラジン、アクリジン、インドール、インドリンなど)を形成してもよい。
【0038】
セルロースの水酸基への芳香族アシル基の置換は、一般的には芳香族カルボン酸クラロイドあるいは芳香族カルボン酸から誘導される対称酸無水物および混合酸無水物を用いる方法等により行うことができる。特に好ましいのは芳香族カルボン酸から誘導した酸無水物を用いる方法(Journal of AppliedPolymer Science、Vol.29、3981−3990(1984)記載)が挙げられる。上記の方法として本発明におけるセルロースアシレートの製造方法としては、(i)セルロース脂肪酸モノエステルまたはジエステルを一旦製造したのち、残りの水酸基に前記一般式(A)で表される芳香族アシル基を導入する方法、(ii)セルロースに直接に、脂肪族カルボン酸と芳香族カルボン酸との混合酸無水物を反応させる方法、などが挙げられる。(i)においては、セルロース脂肪酸エステルまたはジエステルの製造方法自体は周知の方法であるが、これにさらに芳香族アシル基を導入する後段の反応は、該芳香族アシル基の種類によって異なる。この際、反応温度は、好ましくは、0〜100℃、より好ましくは20〜50℃であり、反応時間は、好ましくは30分以上、より好ましくは30〜300分で行われる。また(ii)の混合酸無水物を用いる方法も、反応条件は混合酸無水物の種類によって変わる。この際、反応温度は、好ましくは0〜100℃、より好ましくは20〜50℃であり、反応時間は、好ましくは30〜300分、より好ましくは60〜200分である。上記のいずれの反応は、無溶媒または溶媒中のいずれで行ってもよいが、好ましくは溶媒を用いて行われる。前記溶媒としては、例えば、ジクロロメタン、クロロホルム、ジオキサンなどを用いることができる。
【0039】
芳香族アシル基の置換度はセルロース脂肪酸モノエステルの場合、残存する水酸基に対して、好ましくは2.0以下、さらに好ましくは0.1〜2.0である。また、セルロース脂肪酸ジエステル(二酢酸セルロース)の場合、残存する水酸基に対して、好ましくは1.0以下、さらに好ましくは0.1〜1.0である。以下に一般式(A)で表される芳香族アシル基の具体例(No.1〜43)を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。前記一般式(A)で表される芳香族アシル基としては、下記No.1,3,5,6,8,13,18および28が好ましく、No.1,3,6および13が更に好ましい。
【0040】
【化3】


【0041】
【化4】


【0042】
【化5】


【0043】
【化6】


【0044】
本発明で用いられるセルロースアシレートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
【0045】
本発明で用いられるセルロースアシレートは、アシル化剤として酸無水物や酸塩化物を用いて合成できる。前記アシル化剤が酸無水物である場合は、反応溶媒として有機酸(例えば、酢酸)や塩化メチレンが使用される。また、触媒として、硫酸のようなプロトン性触媒を用いることができる。アシル化剤が酸塩化物である場合は、触媒として塩基性化合物を用いることができる。工業的に最も一般的な合成方法では、セルロースをアセチル基および他のアシル基に対応する有機酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)またはそれらの酸無水物(無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸)を含む混合有機酸成分でエステル化してセルロースエステルを合成する。
【0046】
この方法においては、綿花リンターや木材パルプのようなセルロースは、酢酸のような有機酸で活性化処理した後、硫酸触媒の存在下で、上記のような有機酸成分の混合液を用いてエステル化する場合が多い。有機酸無水物成分は、一般にセルロース中に存在する水酸基の量に対して過剰量で使用する。このエステル化処理では、エステル化反応に加えてセルロース主鎖(β)1,4−グリコシド結合)の加水分解反応(解重合反応)が進行する。主鎖の加水分解反応が進むとセルロースエステルの重合度が低下し、製造するセルロースエステルフイルムの物性が低下する。そのため、反応温度のような反応条件は、得られるセルロースエステルの重合度や分子量を考慮して決定することが好ましい。
【0047】
重合度の高い(分子量の大きい)セルロースエステルを得るためには、エステル化反応工程における最高温度を50℃以下に調節することが重要である。最高温度は、好ましくは35〜50℃、さらに好ましくは37〜47℃に調節する。反応温度が35℃以上であれば、エステル化反応が円滑に進行するので好ましい。また、反応温度が50℃以下であれば、セルロースエステルの重合度が低下するなどの不都合が生じないので好ましい。
【0048】
エステル化反応の後、温度上昇を抑制しながら反応を停止すると、さらに重合度の低下を抑制でき、高い重合度のセルロースエステルを合成できる。すなわち、反応終了後に反応停止剤(例えば、水、酢酸)を添加すると、エステル化反応に関与しなかった過剰の酸無水物は、加水分解して対応する有機酸を副成する。この加水分解反応は激しい発熱を伴い、反応装置内の温度が上昇する。反応停止剤の添加速度が大きすぎることがなければ、反応装置の冷却能力を超えて急激に発熱して、セルロース主鎖の加水分解反応が著しく進行し、得られるセルロースエステルの重合度が低下するなどの問題が生じることはない。また、エステル化の反応中に触媒の一部はセルロースと結合しており、その大部分は反応停止剤の添加中にセルロースから解離する。このとき反応停止剤の添加速度が大きすぎなければ、触媒が解離するために充分な反応時間が確保され、触媒の一部がセルロースに結合した状態で残るなどの問題は生じにくい。強酸の触媒が一部結合しているセルロースエステルは安定性が非常に悪く、製品の乾燥時の熱などで容易に分解して重合度が低下する。これらの理由により、エステル化反応の後、好ましくは4分以上、さらに好ましくは4〜30分の時間をかけて反応停止剤を添加して、反応を停止することが望ましい。なお、反応停止剤の添加時間が30分以下であれば、工業的な生産性の低下などの問題が生じないので好ましい。
【0049】
反応停止剤としては、一般に酸無水物を分解する水やアルコールが用いられている。ただし、本発明では、各種有機溶媒への溶解性が低いトリエステルを析出させないために、水と有機酸との混合物が、反応停止剤として好ましく用いられる。以上のような条件でエステル化反応を実施すると、質量平均重合度が500以上である高分子量セルロースエステルを容易に合成することができる。
【0050】
〔Re発現剤〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムはRe発現剤を含有することが好ましく、特に(1)〜(5)の特性を満たす偏光板保護フィルム(偏光板保護フィルムA)にRe発現剤を含有することが好ましい。ここで、「Re発現剤」とはフィルム面内の複屈折を発現する化合物である。
【0051】
本発明のRe発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物が好ましく、下記一般式(II)で表される化合物がより好ましい。
【0052】
【化7】


【0053】
(式中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−および−CO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、およびR3は各々独立に置換基を表す。Xは第14〜16族の非金属原子を表す(ただし、Xには水素原子または置換基が結合してもよい。)。nは0から2までの整数を表す。)
【0054】
【化8】


【0055】
(一般式(II)中、L1およびL2は各々独立に単結合または二価の連結基を表す。A1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基を表す。)、−S−およびCO−からなる群から選ばれる基を表す。R1、R2、R3、R4およびR5は各々独立に置換基を表す。nは0から2までの整数を表す。)
【0056】
一般式(I)または(II)において、L1およびL2が表す二価の連結基としては、好ましくは下記の例が挙げられる。
【0057】
【化9】


さらに好ましくは−O−、−COO−、−OCO−である。
【0058】
一般式(I)または(II)において、R1は置換基であり、複数存在する場合は同じでも異なっていてもよく、環を形成しても良い。置換基の例としては下記のものが適用できる。
【0059】
ハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル基)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
【0060】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられる。その例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0061】
1は好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基、アミノ基であり、さらに好ましくは、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基、アルコキシ基である。
【0062】
2、R3は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは置換もしくは無置換のベンゼン環、置換もしくは無置換のシクロヘキサン環である。より好ましくは置換基を有するベンゼン環、置換基を有するシクロヘキサン環であり、さらに好ましくは4位に置換基を有するベンゼン環、4位に置換基を有するシクロヘキサン環である。
【0063】
4、R5は各々独立に置換基を表す。例としては上記R1の例があげられる。好ましくは、ハメットの置換基定数σp値が0より大きい電子吸引性の置換基であることが好ましく、σp値が0〜1.5の電子吸引性の置換基を有していることがさらに好ましい。このような置換基としてはトリフルオロメチル基、シアノ基、カルボニル基、ニトロ基等が挙げられる。また、R4とR5とが結合して環を形成してもよい。
なお、ハメットの置換基定数のσp、σmに関しては、例えば、稲本直樹著「ハメット則−構造と反応性−」(丸善)、日本化学会編「新実験化学講座14 有機化合物の合成と反応V」2605頁(丸善)、仲谷忠雄著「理論有機化学解説」217頁(東京化学同人)、ケミカル レビュー,91巻,165〜195頁(1991年)等の成書に詳しく解説されている。
【0064】
1およびA2は各々独立に、−O−、−NR−(Rは水素原子または置換基)、−S−およびCO−からなる群から選ばれる基を表す。好ましくは−O−、−NR−(Rは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる。)または−S−である。
【0065】
Xは第14〜16族の非金属原子を表す。ただし、Xには水素原子または置換基が結合してもよい。Xは=O、=S、=NR、=C(R)Rが好ましい(ここでRは置換基を表し、例としては上記R1の例が挙げられる。)。
nは0〜2の整数を表し、好ましくは0、1である。
【0066】
以下に、一般式(I)または(II)で表される化合物の具体例を示すが、本発明で用いることができる一般式(I)または(II)で表される化合物は以下の具体例によって何ら限定されることはない。下記化合物に関しては、指定のない限り括弧( )内の数字にて例示化合物(X)と示す。
【0067】
【化10】


【0068】
【化11】


【0069】
【化12】


【0070】
【化13】


【0071】
【化14】


【0072】
一般式(I)または(II)で表される化合物の合成は、既知の方法を参照して行うことができる。例えば、例示化合物(1)は、下記スキームに従って合成することができる。
【0073】
【化15】


【0074】
前記スキーム中、化合物(1−A)から化合物(1−D)までの合成は、“Journal of Chemical Crystallography"(1997);27(9);p.515-526.に記載の方法を参照して行うことができる。
さらに、前記スキームに示したように、化合物(1−E)のテトラヒドロフラン溶液に、メタンスルホン酸クロライドを加え、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを滴下し攪拌した後、N,N−ジイソプロピルエチルアミンを加え、化合物(1−D)のテトラヒドロフラン溶液を滴下し、その後、N,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)のテトラヒドロフラン溶液を滴下することで、例示化合物(1)を得ることができる。
【0075】
また、特開2004−50516号公報の11〜14頁に記載の棒状芳香族化合物も本発明のRe発現剤としては、用いることができる。
【0076】
また、本発明におけるRe発現剤は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。本発明におけるRe発現剤の添加量はセルロースアシレート100質量部に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。
本発明におけるRe発現剤の添加方法は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒にRe発現剤を溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加してもよいし、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
【0077】
〔セルロースアシレートフィルムの製造〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムは、ソルベントキャスト法により製造することができる。ソルベントキャスト法では、セルロースアシレートを有機溶媒に溶解した溶液(ドープ)を用いてフィルムを製造する。
【0078】
前記有機溶媒は、炭素原子数が3〜12のエーテル、炭素原子数が3〜12のケトン、炭素原子数が3〜12のエステルおよび炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素から選ばれる溶媒を含むことが好ましい。
前記エーテル、ケトンおよびエステルは、環状構造を有していてもよい。また、前記エーテル、ケトンおよびエステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−およびCOO−)のいずれかを2つ以上有する化合物も、前記有機溶媒として用いることができる。前記有機溶媒は、アルコール性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。2種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原子数はいずれかの官能基を有する溶媒の上述の好ましい炭素原子数範囲内であることが好ましい。
【0079】
前記炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが含まれる。
前記炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが含まれる。
また、2種類以上の官能基を有する有機溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含まれる。
【0080】
炭素原子数が1〜6のハロゲン化炭化水素の炭素原子数は、1または2であることが好ましく、1であることが最も好ましい。ハロゲン化炭化水素のハロゲンは、塩素であることが好ましい。ハロゲン化炭化水素の水素原子が、ハロゲンに置換されている割合は、25〜75モル%であることが好ましく、30〜70モル%であることがより好ましく、35〜65モル%であることがさらに好ましく、40〜60モル%であることが最も好ましい。メチレンクロリドが、代表的なハロゲン化炭化水素である。
また、2種類以上の有機溶媒を混合して用いてもよい。
【0081】
セルロースアシレート溶液(ドープ)は、0℃以上の温度(常温または高温)で処理することからなる一般的な方法で調製することができる。セルロースアシレート溶液の調製は、通常のソルベントキャスト法におけるドープの調製方法および装置を用いて実施することができる。なお、一般的な方法の場合は、有機溶媒としてハロゲン化炭化水素(特にメチレンクロリド)を用いることが好ましい。
【0082】
セルロースアシレート溶液中におけるセルロースアシレートの量は、得られる溶液中に10〜40質量%含まれるように調整する。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。有機溶媒(主溶媒)中には、後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0083】
セルロースアシレート溶液は、常温(0〜40℃)でセルロースアシレートと有機溶媒とを撹拌することにより調製することができる。高濃度の溶液は、加圧および加熱条件下で撹拌してもよい。具体的には、セルロースアシレートと有機溶媒とを加圧容器に入れて密閉し、加圧下で溶媒の常温における沸点以上、且つ溶媒が沸騰しない範囲の温度に加熱しながら撹拌する。加熱温度は、通常は40℃以上であり、好ましくは60〜200℃であり、さらに好ましくは80〜110℃である。
【0084】
各成分は予め粗混合してから容器に入れてもよい。また、順次容器に投入してもよい。容器は撹拌できるように構成されている必要がある。窒素ガス等の不活性気体を注入して容器を加圧することができる。また、加熱による溶媒の蒸気圧の上昇を利用してもよい。あるいは、容器を密閉後、各成分を圧力下で添加してもよい。
【0085】
加熱する場合、容器の外部より加熱することが好ましい。例えば、ジャケットタイプの加熱装置を用いることができる。また、容器の外部にプレートヒーターを設け、配管して液体を循環させることにより容器全体を加熱することもできる。
【0086】
撹拌は、容器内部に撹拌翼を設けて、これを用いて行うことが好ましい。撹拌翼は、容器の壁付近に達する長さのものが好ましい。撹拌翼の末端には、容器の壁の液膜を更新するため、掻取翼を設けることが好ましい。
【0087】
容器には、圧力計、温度計等の計器類を設置してもよい。容器内で各成分を溶媒中に溶解する。調製したドープは冷却後容器から取り出すか、あるいは、取り出した後、熱交換器等を用いて冷却する。
【0088】
冷却溶解法により、セルロースアシレート溶液を調製することもできる。冷却溶解法では、通常の溶解方法ではセルロースアシレートを溶解させることが困難な有機溶媒中にも、セルロースアシレートを溶解させることができる。なお、通常の溶解方法でセルロースアシレートを溶解できる溶媒であっても、冷却溶解法によると迅速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
【0089】
冷却溶解法では、最初に室温で有機溶媒中にセルロースアシレートを撹拌しながら徐々に添加する。セルロースアシレートの量は、この混合物中に10〜40質量%含まれるように調整することが好ましい。セルロースアシレートの量は、10〜30質量%であることがさらに好ましい。さらに、混合物中には後述する任意の添加剤を添加しておいてもよい。
【0090】
次に、混合物を−100〜−10℃(好ましくは−80〜−10℃、さらに好ましくは−50〜−20℃、最も好ましくは−50〜−30℃)に冷却する。冷却は、例えば、ドライアイス・メタノール浴(−75℃)や冷却したジエチレングリコール溶液(−30〜−20℃)中で実施できる。冷却によりセルロースアシレートと有機溶媒の混合物は固化する。
【0091】
冷却速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、冷却速度は、冷却を開始する時の温度と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。
【0092】
さらに、冷却した混合物を0〜200℃(好ましくは0〜150℃、さらに好ましくは0〜120℃、最も好ましくは0〜50℃)に加温すると、有機溶媒中にセルロースアシレートが溶解する。昇温は、室温中に放置するだけでもよく、温浴中で加温してもよい。加温速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であることが最も好ましい。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000℃/秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。なお、加温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度との差を加温を開始してから最終的な加温温度に達するまでの時間で割った値である。
【0093】
以上のようにして、均一なセルロースアシレート溶液が得られる。なお、溶解が不充分である場合は冷却、加温の操作を繰り返してもよい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の外観を観察するだけで判断することができる。
【0094】
冷却溶解法においては、冷却時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用いることが望ましい。また、冷却加温操作において、冷却時に加圧し、加温時に減圧すると、溶解時間を短縮することができる。加圧および減圧を実施するためには、耐圧性容器を用いることが望ましい。
【0095】
なお、セルロースアセテート(酢化度:60.9%、粘度平均重合度:299)を冷却溶解法によりメチルアセテート中に溶解した20質量%の溶液は、示差走査熱量計(DSC)による測定によると、33℃近傍にゾル状態とゲル状態との疑似相転移点が存在し、この温度以下では均一なゲル状態となる。従って、この溶液は疑似相転移温度以上、好ましくはゲル相転移温度プラス10℃程度の温度で保することが好ましい。ただし、この疑似相転移温度は、セルロースアセテートの酢化度、粘度平均重合度、溶液濃度や使用する有機溶媒により異なる。
【0096】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)から、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを製造する。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が18〜35%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が10℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましい。
【0097】
ソルベントキャスト法における乾燥方法については、米国特許第2,336,310号、同2,367,603号、同2,492,078号、同2,492,977号、同2,492,978号、同2,607,704号、同2,739,069号および同2,739,070号の各明細書、英国特許第640731号および同736892号の各明細書、並びに特公昭45−4554号、同49−5614号、特開昭60−176834号、同60−203430号および同62−115035号の各公報に記載がある。バンドまたはドラム上での乾燥は空気、窒素などの不活性ガスを送風することにより行なうことができる。
【0098】
また、得られたフィルムをドラムまたはバンドから剥ぎ取り、さらに100℃〜160℃まで逐次温度を変えた高温風で乾燥して、残留溶媒を蒸発させることもできる。以上の方法は、特公平5−17844号公報に記載がある。この方法によると、流延から剥ぎ取りまでの時間を短縮することが可能である。この方法を実施するためには、流延時のドラムまたはバンドの表面温度においてドープがゲル化することが必要である。
【0099】
調製したセルロースアシレート溶液(ドープ)を用いて2層以上の流延を行いフィルム化することもできる。この場合、ソルベントキャスト法によりセルロースアシレートフィルムを作製することが好ましい。ドープは、ドラムまたはバンド上に流延し、溶媒を蒸発させてフィルムを形成する。流延前のドープは、固形分量が10〜40質量%の範囲となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。
【0100】
2層以上の複数のセルロースアシレート液を流延する場合、複数のセルロースアシレート溶液を流延することが可能であり、支持体の進行方向に間隔をおいて設けられた複数の流延口からセルロースアシレートを含む溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよい。これらは、例えば、特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報に記載の方法を用いることができる。また、2つの流延口からセルロースアシレート溶液を流延することによっても、フィルム化することもできる。これは、例えば、特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および、特開平6−134933号の各公報に記載の方法を用いることができる。さらに特開昭56−162617号公報に記載の高粘度セルロースアシレート溶液の流れを低粘度のセルロースアシレート溶液で包み込み、その高・低粘度のセルロースアシレート溶液を同時に押し出すセルロースアシレートフィルムの流延方法を用いることもできる。
【0101】
また、2個の流延口を用いて、第一の流延口により支持体に成形したフィルムを剥ぎ取り、支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することもできる。例えば、特公昭44−20235号公報に記載の方法を挙げることができる。
【0102】
流延するセルロースアシレート溶液は同一の溶液を用いてもよいし、異なるセルロースアシレート溶液を2種以上用いてもよい。複数のセルロースアシレート層に機能をもたせるために、その機能に応じたセルロースアシレート溶液を、それぞれの流延口から押し出せばよい。さらに本発明におけるセルロースアシレート溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、紫外線吸収層、偏光層など)と同時に流延することもできる。
【0103】
従来の単層液では、必要なフィルムの厚さにするためには高濃度で高粘度のセルロースアシレート溶液を押し出すことが必要である。その場合セルロースアシレート溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良となったりして問題となることが多かった。この問題の解決方法として、複数のセルロースアシレート溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に支持体上に押し出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なセルロースアシレート溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
【0104】
セルロースアシレートフィルムには、劣化防止剤(例えば、酸化防止剤、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤、アミン等)を添加してもよい。劣化防止剤については、特開平3−199201号、同5−1907073号、同5−194789号、同5−271471号、同6−107854号の各公報に記載がある。また、前記劣化防止剤の添加量は、調製する溶液(ドープ)の0.01〜1質量%であることが好ましく、0.01〜0.2質量%であることがさらに好ましい。添加量が0.01質量%以上であれば、劣化防止剤の効果が十分に発揮されるので好ましく、添加量が1質量%以下であれば、フィルム表面への劣化防止剤のブリードアウト(滲み出し)などが生じにくいので好ましい。特に好ましい劣化防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、トリベンジルアミン(TBA)を挙げることができる。
【0105】
これら流延から後乾燥までの工程は、空気雰囲気下でもよいし窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下でもよい。本発明におけるセルロースアシレートフィルムの製造に用いる巻き取り機は、一般的に使用されているものでよく、定テンション法、定トルク法、テーパーテンション法、内部応力一定のプログラムテンションコントロール法などの巻き取り方法で巻き取ることができる。
【0106】
〔延伸処理〕
本発明における偏光板保護フィルムAとしては、延伸処理されたセルロースアシレートフィルム(延伸セルロースアシレートフィルム)を用いることが特に好ましい。延伸処理によりセルロースアシレートフィルムに所望のレターデーションを付与することが可能である。セルロースアシレートフィルムの延伸方向は幅方向、長手方向のいずれでも好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
【0107】
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
【0108】
フィルムの延伸倍率(延伸前のフィルムに対する伸び率)は、1%〜200%が好ましく、5%〜150%がさらに好ましい。とくに、幅方向に1%〜200%で延伸するのが好ましく、さらに好ましくは5%〜150%である。延伸速度は1%/分〜100%/分が好ましく、5%/分〜80%/分がさらに好ましく、10%/分〜60%/分が最も好ましい。
【0109】
また、本発明における延伸セルロースアシレートフィルムは、最大延伸倍率まで延伸したのちに、最大延伸倍率より低い延伸倍率で一定時間保持する工程(以下、「緩和工程」と称することがある。)を経て製造されることが好ましい。緩和工程における延伸倍率は最大延伸倍率の50%〜99%が好ましく、70%〜97%がさらに好ましく、90%〜95%が最も好ましい。また、緩和工程の時間は1秒〜120秒が好ましく、5秒〜100秒がさらに好ましい。
【0110】
緩和工程における延伸温度はフィルムのガラス転移温度(Tg)〜(Tg+40℃)の範囲が好ましい。
【0111】
さらに、本発明の偏光板保護フィルムAに用いる延伸セルロースアシレートフィルムは幅方向にフィルムを把持しながら収縮させる収縮工程を含むことにより好ましく製造することができる。
フィルムの幅方向に延伸する延伸工程と、フィルムの搬送方向に収縮させる収縮工程を含む製造方法においてはパンタグラフ式あるいはリニアモーター式のテンターによって保持し、フィルムの幅方向に延伸しながら搬送方向にはクリップの間隔を徐々に狭めることでフィルムを収縮させることができる。
【0112】
なお、上記のようなフィルムの長手方向または幅方向のいずれか一方を延伸し、同時にもう一方を収縮させ、同時にフィルムの膜厚を増加させる延伸工程を具体的に行う延伸装置として、市金工業社製FITZ機などを望ましく用いることができる。この装置に関しては、特開2001−38802号公報に記載されている。
【0113】
延伸工程における延伸率および収縮工程における収縮率としては目的とする正面レターデーションReおよび膜厚方向のレターデーションRthの値により、任意に適切な値を選択することができるが、延伸工程における延伸率が10%以上であり、かつ収縮工程における収縮率が5%以上とすることが好ましい。なお、本発明でいう収縮率とは、収縮方向における収縮前のフィルムの長さに対する収縮後のフィルムの収縮した長さの割合を意味する。収縮率としては5〜40%が好ましく、10〜30%が特に好ましい。
【0114】
[延伸セルロースアシレートフィルムの厚み]
本発明における延伸セルロースアシレートフィルムの厚みは10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがさらに好ましく、30μm〜100μmが最も好ましい。
【0115】
<偏光板保護フィルムC>
次に本発明における偏光板保護フィルムCについて詳しく説明する。
【0116】
本発明における偏光板保護フィルムCのレターデーションは以下の式(6)〜(10)の関係を満たすことを特徴とする。
0nm<Re(548)<10nm ・・・式(6)
100nm<Rth(548)<300nm ・・・式(7)
10<Rth(548)/Re(548) ・・・式(8)
1.0<Rth(446)/Rth(548)<2.0 ・・・式(9)
0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0 ・・・式(10)
【0117】
前記式(6)は、0nm<Re(548)<5nmであることがさらに好ましく、0nm<Re(548)<3nmであることが最も好ましい。
前記式(7)は、120nm<Rth(548)<280nmであることがさらに好ましく、150nm<Rth(548)<250nmであることが最も好ましい。
前記式(8)は15<Rth(548)/Re(548)であることがさらに好ましく、20<Rth(548)/Re(548)であることが最も好ましい。
前記式(9)は、1.05<Rth(446)/Rth(548)<1.8であることがさらに好ましく、1.1<Rth(446)/Rth(548)<1.5であることが最も好ましい。
前記式(10)は、0.5<Rth(628)/Rth(548)<1.0であることがさらに好ましく、0.7<Rth(628)/Rth(548)<0.97であることが最も好ましい。
Re(λ)およびRth(λ)を上記範囲に設定することにより、視角による色味変化に対する低減効果の大きい偏光板保護フィルムが得られる。
【0118】
前記偏光板保護フィルムCとしては様々なポリマーフィルムが使用できる。前記ポリマーフィルムとしては、ポリカーボネート、シクロオレフィン系ポリマー、セルロースアシレート等のポリマーフィルムが好ましい。このうち、セルロースアシレートが偏光板加工適性の点から特に好ましい。
本発明における偏光板保護フィルムCに用いるセルロースアシレートフィルム(以下、「セルロースアシレートフィルムC」と称することがある。)のレターデーションは様々な方法により調節可能である。このうち、後述するRth発現剤による調節、およびフィルムの延伸による調節を好ましく用いることができる。
ここで、「Rth発現剤」とはフィルムの厚み方向に複屈折を発現する性質を有する化合物である。
【0119】
本発明におけるRth発現剤としては、250nm〜380nmの波長範囲に吸収極大を有する分極率異方性の大きい化合物が好ましい。
本発明におけるRth発現剤としては、下記一般式(I)で表される化合物を特に好ましく使用できる。
【0120】
【化16】


(式中、X1は、単結合、−NR4−、−O−または−S−であり;X2は、単結合、−NR5−、−O−または−S−であり;X3は、単結合、−NR6−、−O−または−S−である。また、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基であり;R4、R5およびR6は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基である。)
【0121】
以下に、一般式(I)で表される化合物について詳しく説明する。
【0122】
まず、R1、R2、およびR3はについて説明する。
一般式(I)において、R1、R2、およびR3は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、芳香族環基または複素環基を表すが、芳香族環または複素環がより好ましい。R1、R2、およびR3がそれぞれ表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。
【0123】
1、R2、およびR3は芳香族環または複素環に置換基を有していてもよい。該置換基の例としては、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル基、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が挙げられる。
【0124】
1、R2、およびR3が複素環基を表す場合、複素環は芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環とは、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記に挙げた置換基の例と同様である。これらの置換基は、上記置換基でさらに置換されていてもよい。
【0125】
一般式(I)中、X1は単結合、−NR4−、−O−または−S−を表し、X2は単結合、−NR5−、−O−または−S−を表し、X3は単結合、−NR6−、−O−または−S−を表す。R4、R5およびR6は、それぞれ独立して、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
【0126】
4、R5およびR6がそれぞれ表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらに好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ、エトキシ)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ)が含まれる。
【0127】
4、R5およびR6がそれぞれ表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基がより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらに好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
【0128】
4、R5およびR6がそれぞれ表す芳香族環基(アリール基)および複素環基は、R1、R2およびR3がそれぞれ表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR1、R2およびR3の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
【0129】
以下に前記一般式(I)で表される化合物の好ましい例(I−(1)〜IV−(10))を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0130】
【化17】


【0131】
【化18】


【0132】
【化19】


【0133】
【化20】


【0134】
【化21】


【0135】
【化22】


【0136】
【化23】


【0137】
【化24】


【0138】
【化25】


【0139】
【化26】


【0140】
【化27】


【0141】
【化28】


【0142】
【化29】


【0143】
本発明におけるRth発現剤としては下記一般式(III)で表される化合物も好ましい。以下に一般式(III)の化合物に関して詳細に説明する
【0144】
【化30】


(一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11、R13はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
【0145】
一般式(III)中、R2、R4、R5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表す。前記置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
【0146】
一般式(III)におけるR2として好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4、より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基であり、最も好ましくは水素原子である。
【0147】
一般式(III)におけるR4として好ましくは、水素原子または電子供与性基であり、より好ましくは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、更に好ましくは、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6、特に好ましくは炭素数1〜4)であり、特に好ましくは水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基であり、最も好ましくは水素原子、メトキシ基である。
【0148】
一般式(III)におけるR5として好ましくは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アミノ基、水酸基であり、より好ましくは、水素原子、アルキル基、アルコキシ基であり、更に好ましくは水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1〜4より好ましくはメチル基である。)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜12、より好ましくは炭素数1〜8、更に好ましくは炭素数1〜6特に好ましくは炭素数1〜4)である。特に好ましくは水素原子、メチル基、メトキシ基である。最も好ましくは水素原子である。
【0149】
一般式(III)におけるR11、R13はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、R11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。ここでヘテロ原子とは水素原子、炭素原子以外の原子のことを表し、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン、ケイ素、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ホウ素などが挙げられる。
11、R13で表されるアルキル基としては、直鎖、分岐、または環状であって、置換もしくは無置換のアルキル基を表し、好ましくは置換もしくは無置換の炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルキル基、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基(つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基。)、更に環構造が多いトリシクロ構造などが挙げられる。
【0150】
11、R13で表されるアルキル基の好ましい例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル基、iso−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、n−ノニル基、1,1,3−トリメチルヘキシル基、n−デシル基、2−ヘキシルデシル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、2−ヘキセニル基、オレイル基、リノレイル基、リノレニル基等を挙げることができる。また、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル、ビシクロアルキル基としては、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イルなどを挙げることができる。
【0151】
11として更に好ましくは水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基であり、特に好ましくは水素原子、メチル基であり、最も好ましくはメチル基である。
13として特に好ましくは、炭素原子2個以上を含むアルキル基であり、より好ましくは炭素原子3個以上を含むアルキル基である。分岐または環状構造をもったものは特に好ましく用いられる。
【0152】
以下にR13で表されるアルキル基の具体例(O−1〜O−20)を挙げて説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。尚、下記具体例中、「#」は酸素原子側を意味する。
【0153】
【化31】


【0154】
一般式(III)におけるAr1はアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、繰り返し単位中のAr1は、すべて同一であっても異なっていてもよい。また、Ar2はアリール基または芳香族へテロ環を表す。
一般式(III)中、Ar1で表されるアリーレン基として好ましくは炭素数6〜30のアリーレン基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar1で表されるアリーレン基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニレン基、p−メチルフェニレン基、ナフチレン基などが挙げられる。
一般式(III)中、Ar2で表されるアリール基として好ましくは炭素数6〜30のアリール基であり、単環であってもよいし、さらに他の環と縮合環を形成してもよい。また、可能な場合には置換基を有してもよく、置換基としては後述の置換基Tが適用できる。Ar2で表されるアリール基としてより好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12であり、例えばフェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる。
【0155】
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環は、酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環であることができ、好ましくは5〜6員環の酸素原子、窒素原子または硫黄原子のうち少なくとも1つを含む芳香族ヘテロ環である。また、可能な場合にはさらに置換基を有してもよい。置換基としては後述の置換基Tが適用できる。
【0156】
一般式(III)中、Ar1、Ar2で表される芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデン、ピロロトリアゾール、ピラゾロトリアゾールなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましいものは、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾールである。
【0157】
一般式(III)中、L1、L2はそれぞれ独立に単結合、または2価の連結基を表す。L1、L2は、同じであってもよく異なっていてもよい。また、繰り返し単位中のL2は、すべて同一であっても異なっていてもよい。
前記二価の連結基として好ましいものは、−O−、−NR―(Rは水素原子または置換基を有してもよいアルキル基またはアリール基をあらわす)、−CO−、−SO2−、−S−、アルキレン基、置換アルキレン基、アルケニレン基、置換アルケニレン基、アルキニレン基およびこれらの二価の基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、その内より好ましいものは−O−、−NR−、−CO−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基である。Rは好ましくは水素原子を表す。
【0158】
本発明における一般式(III)で表される化合物において、Ar1はL1およびL2と結合するが、Ar1がフェニレン基である場合、L1-Ar1−L2、およびL2-Ar1−L2は互いにパラ位(1,4−位)の関係にあることが最も好ましい。
【0159】
一般式(III)中、nは3以上の整数を表し、好ましくは3〜7であり、より好ましくは3〜6であり、さらに好ましくは3〜5である。
【0160】
前記一般式(III)で表される化合物としては、下記一般式(IV)および(V)で表される化合物を特に好ましく用いることができる。
【0161】
【化32】


(一般式(IV)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
【0162】
一般式(IV)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2についても一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0163】
【化33】


(一般式(V)中、R2、R5はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し、R11、R13、R14はそれぞれ独立に水素原子またはアルキル基を表し、L1、L2はそれぞれ独立に単結合または二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、Ar2はアリール基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar1はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
【0164】
一般式(V)中、R2、R5、R11、R13は一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。また、L1、L2、Ar1、Ar2は一般式(III)におけるそれらと同義であり、好ましい範囲も同様である。
一般式(V)において、R14は水素原子またはアルキル基を表し、アルキル基としてはR11、R13の好ましい例として示したアルキル基が好ましく用いられる。前記R14として好ましくは、水素原子または炭素数1〜4のアルキル基であり、より好ましくは水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、さらに好ましくはメチル基である。R11とR14とは同一であってもよいし異なっていてもよいが、ともにメチル基であることが特に好ましい。
【0165】
また、前記一般式(V)で表される化合物としては、一般式(V―A)もしくは一般式(V−B)で表される化合物も好ましい。
【0166】
【化34】


【0167】
(一般式(V−A)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R11、R13は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL2、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
【0168】
一般式(V―A)中、R2、R5、R11、R13、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0169】
【化35】


【0170】
(一般式(V−B)中、R2、R5は、それぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、R11、R13、R14は、それぞれ独立に、水素原子またはアルキル基を表し、L1、L2は、それぞれ独立に、単結合または二価の連結基を表す。Ar1はアリーレン基または芳香族へテロ環を表し、nは3以上の整数を表し、n種存在するL1、Ar2はそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。ただしR11、R13は互いに異なっており、R13で表されるアルキル基はへテロ原子を含まない。)
【0171】
一般式(V―B)中、R2、R5、R11、R13、R14、L1、L2、Ar1、nは一般式(III)および(V)におけるそれらと同義であり、また好ましい範囲も同様である。
【0172】
以下に前述の置換基Tについて説明する。
置換基Tとして好ましくはハロゲン原子(例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜30のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル基)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル基、アリル基)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換または無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5〜30の置換または無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)、アルキニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル基、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリール基、例えばフェニル基、p−トリル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換または無置換の、芳香族または非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、さらに好ましくは、炭素数3〜30の5または6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル基、2−チエニル基、2−ピリミジニル基、2−ベンゾチアゾリル基)、
【0173】
シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、t−ブトキシ基、n−オクチルオキシ基、2−メトキシエトキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3〜20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環オキシ基、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイルオキシ基、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基)、
【0174】
アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアニリノ基、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N−メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基)、アシルアミノ基(好ましくは、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールカルボニルアミノ基、例えば、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基)、アミノカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、例えば、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニルアミノ基、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは、炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイルアミノ基、例えば、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基)、アルキルおよびアリールスルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニルアミノ、炭素数6〜30の置換または無置換のアリールスルホニルアミノ基、例えば、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールチオ基、例えば、フェニルチオ基、p−クロロフェニルチオ基、m−メトキシフェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2〜30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ基)、
【0175】
スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜30の置換または無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’フェニルカルバモイル)スルファモイル基)、スルホ基、アルキルおよびアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基)、アルキルおよびアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、フェニルスルホニル基、p−メチルフェニルスルホニル基)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールカルボニル基、例えば、アセチル基、ピバロイルベンゾイル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7〜30の置換または無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル基、o−クロロフェノキシカルボニル基、m−ニトロフェノキシカルボニル基、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、n−オクタデシルオキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは、炭素数1〜30の置換または無置換のカルバモイル基、例えば、カルバモイル基、N−メチルカルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル基、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル基、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基)、アリールおよびヘテロ環アゾ基(好ましくは炭素数6〜30の置換または無置換のアリールアゾ基、炭素数3〜30の置換または無置換のヘテロ環アゾ基、例えば、フェニルアゾ基、p−クロロフェニルアゾ基、5−エチルチオ−1,3,4−チアジアゾール−2−イルアゾ基)、イミド基(好ましくは、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、ホスフィノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィノ基、例えば、ジメチルホスフィノ基、ジフェニルホスフィノ基、メチルフェノキシホスフィノ基)、ホスフィニル基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニル基、例えば、ホスフィニル基、ジオクチルオキシホスフィニル基、ジエトキシホスフィニル基)、ホスフィニルオキシ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルオキシ基、例えば、ジフェノキシホスフィニルオキシ基、ジオクチルオキシホスフィニルオキシ基)、ホスフィニルアミノ基(好ましくは、炭素数2〜30の置換または無置換のホスフィニルアミノ基、例えば、ジメトキシホスフィニルアミノ基、ジメチルアミノホスフィニルアミノ基)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜30の置換または無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、フェニルジメチルシリル基)を表わす。
【0176】
上記の置換基の中で、水素原子を有するものは、これを取り去りさらに上記の基で置換されていてもよい。そのような官能基の例としては、アルキルカルボニルアミノスルホニル基、アリールカルボニルアミノスルホニル基、アルキルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニルアミノカルボニル基が挙げられ、具体例としては、メチルスルホニルアミノカルボニル基、p−メチルフェニルスルホニルアミノカルボニル基、アセチルアミノスルホニル基、ベンゾイルアミノスルホニル基が挙げられる。
【0177】
また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0178】
一般式(V−A)で表される化合物として好ましいものは、R11がいずれもメチル基であり、R2、R5がいずれも水素原子であり、R13が炭素原子3個以上をもつアルキル基であり、L1が、単結合、−O−、−CO−、−NR−、−SO2NR−、−NRSO2−、−CONR−、−NRCO−、−COO−、および−OCO−、アルキニレン基(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、L2が−O−または−NR−(Rは水素原子、置換基を有してもよいアルキル基、アリール基を表す。好ましくは水素原子である。)であり、Ar1がアリーレン基であり、nが3〜6であるものを挙げることができる。
【0179】
以下に一般式(V−A)および(V−B)で表される化合物に関して具体例をあげて詳細に説明するが、本発明は以下の具体例によって何ら限定されることはない。
【0180】
【化36】


【0181】
【化37】


【0182】
【化38】


【0183】
【化39】


【0184】
【化40】


【0185】
【化41】


【0186】
【化42】


【0187】
【化43】


【0188】
一般式(III)で表される化合物はまず置換安息香酸を合成した後に、この置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体との一般的なエステル反応もしくはアミド化反応によって合成でき、エステル結合、アミド結合形成反応であればどのような反応を用いてもよい。例えば、置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法、縮合剤あるいは触媒を用いて置換安息香酸とフェノール誘導体もしくはアニリン誘導体を脱水縮合する方法などが挙げられる。
一般式(III)で表される化合物の製造方法としては、製造プロセス等を考慮すると置換安息香酸を酸ハロゲン化物に官能基変換した後、フェノール誘導体もしくはアニリン誘導体と縮合する方法が好ましい。
【0189】
一般式(III)で表される化合物の製造方法においては、反応溶媒として、炭化水素系溶媒(好ましくはトルエン、キシレンが挙げられる。)、エーテル系溶媒(好ましくはジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどが挙げられる)、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなどを用いることができる。これらの溶媒は単独でも数種を混合して用いてもよく、前記溶媒として好ましくはトルエン、アセトニトリル、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドである。
【0190】
反応温度としては、好ましくは0〜150℃、より好ましくは0〜100℃、更に好ましくは0〜90℃であり、特に好ましくは20℃〜90℃である。
また、本反応には塩基を用いないのが好ましい。塩基を用いる場合には有機塩基、無機塩基のどちらでもよく、好ましくは有機塩基であり、ピリジン、3級アルキルアミン(好ましくはトリエチルアミン、エチルジイソプルピルアミンなどが挙げられる)である。
【0191】
一般式(V−A)および(V−B)で表される化合物は、公知の方法で合成することができ、例えば、n=4である化合物の場合、下記構造Aを有する原料化合物と水酸基、アミノ基等の反応性部位を有する誘導体との反応により得られた下記中間体B 2分子を、下記化合物C 1分子により連結することによって得ることができる。ただし、一般式(V−A)および(V−B)で表される化合物の合成法はこの例に限定されない。
【0192】
【化44】


(式中、Aは水酸基、ハロゲン原子等の反応性基を表し、R11、R2、R13、およびR5は先に記載した通りであり、R4は水素原子もしくは前述のOR14で表される置換基である。)
【0193】
【化45】


(式中、A’はカルボキシル基等の反応性基を表し、R11、R2、R13、R4、R5、Ar1、およびL1は先に記載した通りである。)
【0194】
【化46】


(式中、BおよびB’は水酸基、アミノ基等の反応性基を表し、Ar2およびL2は先に記載したAr1、L1と同義である。)
【0195】
上記一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤のセルロースアシレート100質量部に対する含有量は0.1〜30質量%が好ましく、1〜25質量%がさらに好ましく、3〜15質量%が最も好ましい。
本発明におけるRth発現剤は、アルコールやメチレンクロライド、ジオキソランの有機溶媒に溶解してから、セルロースアシレート溶液(ドープ)に添加するか、または直接ドープ組成中に添加してもよい。
【0196】
一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤は、単独あるいは2種類以上混合して用いることができる。また、本発明においては、一般式(I)、(III)〜(V)で表される本発明におけるRth発現剤の併用も好ましい。
【0197】
(紫外線吸収剤)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムCはUV吸収剤にRth発現剤としての機能を併用させることも可能である。
本発明に用いられる紫外線吸収剤としては、例えば、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物等を挙げることができるが、着色の少ないベンゾトリアゾール系化合物が好ましい。また、特開平10−182621号公報、特開平8−337574号公報に記載の紫外線吸収剤、特開平6−148430号公報記載の高分子紫外線吸収剤も好ましく用いられる。本発明におけるセルロースアシレートフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、紫外線吸収剤としては、偏光子や液晶の劣化防止の観点から、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れており、且つ、液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましい。
【0198】
本発明に有用なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤の具体例として、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−(3”,4”,5”,6”−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2,2−メチレンビス(4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−6−(直鎖および側鎖ドデシル)−4−メチルフェノール、オクチル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートと2−エチルヘキシル−3−〔3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−(5−クロロ−2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェニル〕プロピオネートの混合物等を挙げることができるが、これらに限定されない。また、市販品として、チヌビン(TINUVIN)109、チヌビン(TINUVIN)171、チヌビン(TINUVIN)326(何れもチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)を好ましく使用できる。
【0199】
<セルロースアシレート>
次に本発明におけるセルロースアシレートフィルムCに使用するセルロースアシレートについて説明する。
セルロースアシレートはアセチル化度が2.00〜2.90のセルロースアセテートが好ましい。アセチル化度は2.2〜2.8がさらに好ましい。
【0200】
本発明におけるセルロースアシレートフィルムCに使用するセルロースアセテートは、350〜800の質量平均重合度を有することが好ましく、370〜600の質量平均重合度を有することがさらに好ましい。また本発明で用いられるセルロースアシレートは、70000〜230000の数平均分子量を有することが好ましく、75000〜230000の数平均分子量を有することがさらに好ましく、78000〜120000の数平均分子量を有することが最も好ましい。
【0201】
本発明におけるセルロースアシレートフィルムCに使用するセルロースアセテートは本発明におけるセルロースアシレートフィルムAに使用するセルロースアシレートと同様の原材料、合成法により製造することができる。
また、本発明におけるセルロースアシレートフィルムCの製造における、ドープ調製、流延、乾燥、剥ぎ取りの工程は、本発明におけるセルロースアシレートフィルムAの製造と同様にして行うことができる。
【0202】
(延伸)
本発明におけるセルロースアシレートフィルムCは延伸処理をおこなってもよい。
延伸は幅方向のみの一軸延伸、あるいは幅方向および搬送方向の二軸延伸が好ましい。
幅方向に延伸する方法は、例えば、特開昭62−115035号、特開平4−152125号、同4−284211号、同4−298310号、同11−48271号などの各公報に記載されている。
【0203】
フィルムの延伸は、常温または加熱条件下で実施する。加熱温度は、フィルムのガラス転移温度以下であることが好ましい。フィルムは、乾燥中の処理で延伸することができ、特に溶媒が残存する場合は有効である。長手方向の延伸の場合、例えば、フィルムの搬送ローラーの速度を調節して、フィルムの剥ぎ取り速度よりもフィルムの巻き取り速度の方を速くするとフィルムは延伸される。幅方向の延伸の場合、フィルムの巾をテンターで保持しながら搬送して、テンターの巾を徐々に広げることによってもフィルムを延伸できる。フィルムの乾燥後に、延伸機を用いて延伸すること(好ましくはロング延伸機を用いる一軸延伸)もできる。
【0204】
二軸延伸には、同時二軸延伸法と逐次二軸延伸法があるが、連続製造の観点から逐次二軸延伸方法が好ましく、ドープを流延した後、バンドもしくはドラムよりフィルムを剥ぎ取り、幅方向(長手方法)に延伸した後、長手方向(幅方向)に延伸される。
【0205】
本発明におけるセルロースアシレートフィルムの好ましい延伸倍率は、幅方向のみの一軸延伸の場合1.0倍〜1.1倍が好ましく、1.02倍〜1.07倍がさらに好ましい。
【0206】
2軸延伸の場合、搬送方向と幅方向との延伸倍率が下記式(D)の関係を満たすことが好ましい。
式(D):0.01<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.1
式(D)としてさらに好ましくは、0.02<(垂直方向の延伸倍率)−(平行方向の延伸倍率)<0.08である。
これらの範囲に調節することにより、搬送時に発生するセルロースアシレート分子鎖の配向が打ち消されフィルムのReを好ましい範囲に調節することができ、かつ面状を大幅に改良することができる。
【0207】
[セルロースアシレートフィルムCの厚み]
本発明におけるセルロースアシレートフィルムの厚みは10μm〜200μmが好ましく、20μm〜150μmがさらに好ましく、30μm〜100μmが最も好ましい。
【0208】
〔鹸化処理〕
本発明におけるセルロースアシレートフィルムAおよびC(以下、これらを総じて「セルロースアシレートフィルム」と称する。)はアルカリ鹸化処理することによりポリビニルアルコールのような偏光子の材料との密着性を付与し、偏光板保護フィルムとして用いることができる。
【0209】
本発明におけるセルロースアシレートフィルムのアルカリ鹸化処理は、フイルム表面をアルカリ溶液に浸漬した後、酸性溶液で中和し、水洗して乾燥するサイクルで行われることが好ましい。前記アルカリ溶液としては、水酸化カリウム溶液、水酸化ナトリウム溶液が挙げられ、水酸化イオンの濃度は0.1〜5.0mol/Lの範囲にあることが好ましく、0.5〜4.0mol/Lの範囲にあることがさらに好ましい。アルカリ溶液温度は、室温〜90℃の範囲にあることが好ましく、40〜70℃の範囲にあることがさらに好ましい。
【0210】
<偏光板の作製>
(偏光子)
次に本発明における偏光板に用いられる偏光子について説明する。
本発明における偏光子は、ポリビニルアルコール(PVA)と二色性分子から構成することが好ましいが、特開平11−248937号公報に記載されているようにPVAやポリ塩化ビニルを脱水、脱塩素することによりポリエン構造を生成し、これを配向させたポリビニレン系偏光子も使用することができる。
【0211】
前記PVAとしては、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材が好ましいが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分とを含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは、特許2978219号明細書に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されているように45〜52.5%であることも好ましく用いることができる。
【0212】
PVAをフィルム化した後、二色性分子を導入して偏光子を構成することが好ましい。PVAフィルムの製造方法は、PVA系樹脂を水または有機溶媒に溶解した原液を流延して成膜する方法が一般に好ましく用いられる。原液中のポリビニルアルコール系樹脂の濃度は、通常5〜20質量%であり、この原液を流延法により製膜することによって、膜厚10〜200μmのPVAフィルムを製造できる。PVAフィルムの製造は、特許第3342516号明細書、特開平09−328593号公報、特開2001−302817号公報、特開2002−144401号公報等を参考にして行うことができる。
PVAフィルムの結晶化度は、特に限定されないが、特許第3251073号、に記載されている平均結晶化度(Xc)50〜75質量%や、面内の色相バラツキを低減させるため、特開2002−236214号公報に記載されている結晶化度38%以下のPVAフィルムを用いることができる。
【0213】
PVAフィルムの複屈折(△n)は小さいことが好ましく、特許第3342516号明細書に記載されている複屈折が1.0×10-3以下のPVAフィルムを好ましく用いることができる。但し、特開2002−228835号公報に記載されているように、PVAフィルムの延伸時の切断を回避しながら高偏光度を得るため、PVAフィルムの複屈折を0.002〜0.01としてもよいし、特開2002−060505号公報に記載されているように(nx+ny)/2−nzの値を0.0003〜0.01としてもよい。PVAフィルムのRe(1090)は0nm〜100nmが好ましく、0nm〜50nmがさらに好ましい。また、PVAフィルムのRth(1090)は0nm〜500nmが好ましく、0nm〜300nmがさらに好ましい。
【0214】
この他、本発明における偏光板には、特許3021494号に記載されている1、2−グリコール結合量が1.5モル%以下のPVAフィルム、特開2001−316492号公報に記載されている5μm以上の光学的異物が100cm2当たり500個以下であるPVAフィルム、特開2002−030163号に記載されているフィルムのTD方向の熱水切断温度斑が1.5℃以下であるPVAフィルム、さらにグリセリンなどの3〜6価の多価アルコ−ルを1〜100質量部混合したり、特開平06−289225号公報に記載されている可塑剤を15質量%以上混合した溶液から製膜したPVAフィルムを好ましく用いることができる。
【0215】
PVAフィルムの延伸前のフィルム膜厚は特に限定されないが、フィルム保持の安定性、延伸の均質性の観点から、1μm〜1mmが好ましく、20〜200μmが特に好ましい。特開2002−236212号に記載されているように水中において4倍から6倍の延伸を行った時に発生する応力が10N以下となるような薄いPVAフィルムを使用してもよい。
【0216】
二色性分子はI3-やI5-などの高次のヨウ素イオンもしくは二色性染料を好ましく使用することができる。本発明では高次のヨウ素イオンが特に好ましく使用される。高次のヨウ素イオンは、「偏光板の応用」永田良編、CMC出版や工業材料、第28巻、第7号、p.39〜p.45に記載されているようにヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液および/またはホウ酸水溶液にPVAを浸漬し、PVAに吸着・配向した状態で生成することができる。
【0217】
二色性分子として二色性染料を用いる場合は、アゾ系色素が好ましく、特にビスアゾ系とトリスアゾ系色素が好ましい。二色性染料は水溶性のものが好ましく、このため二色性分子にスルホン酸基、アミノ基、水酸基などの親水性置換基が導入され、遊離酸、あるいはアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アミン類の塩として好ましく用いられる。
【0218】
このような二色性染料の具体例としては、例えば、C.I.Direct Red 37、 Congo Red(C.I. Direct Red 28)、C.I.Direct Violet 12、 C.I.Direct Blue 90、 C.I.Direct Blue 22、 C.I.Direct Blue 1、 C.I.Direct Blue 151、 C.I.Direct Green 1等のベンジジン系、C.I.Direct Yellow 44、 C.I.Direct Red 23、 C.I.Direct Red 79等のジフェニル尿素系、C.I.Direct Yellow 12等のスチルベン系、C.I.Direct Red 31等のジナフチルアミン系、C.I.Direct Red 81、 C.I.Direct Violet 9、 C.I.Direct Blue 78等のJ酸系を挙げることができる。
【0219】
これ以外にも、C.I.Direct Yellow 8、C.I.Direct Yellow 28、C.I.Direct Yellow 86、C.I.Direct Yellow 87、C.I.Direct Yellow 142、C.I.Direct Orange 26、C.I.Direct Orange 39、C.I.Direct Orange 72、C.I.Direct Orange 106、C.I.Direct Orange 107、C.I.Direct Red 2、C.I.Direct Red 39、C.I.Direct Red 83、C.I.Direct Red 89、C.I.Direct Red 240、C.I.Direct Red 242、C.I.Direct Red 247、C.I.Direct Violet 48、C.I.Direct Violet 51、C.I.Direct Violet 98、C.I.Direct Blue 15、C.I.Direct Blue 67、C.I.Direct Blue 71、C.I.Direct Blue 98、C.I.Direct Blue 168、C.I.Direct Blue 202、C.I.Direct Blue 236、C.I.Direct Blue 249、C.I.Direct Blue 270、C.I.Direct Green 59、C.I.Direct Green 85、C.I.Direct Brown 44、C.I.Direct Brown 106、C.I.Direct Brown 195、C.I.Direct Brown 210、C.I.Direct Brown 223、C.I.Direct Brown 224、C.I.Direct Black 1、C.I.Direct Black 17、C.I.Direct Black 19、C.I.Direct Black 54等が、さらに特開昭62−70802号、特開平1−161202号、特開平1−172906号、特開平1−172907号、特開平1−183602号、特開平1−248105号、特開平1−265205号、特開平7−261024号、の各公報記載の二色性染料等も好ましく使用することができる。各種の色相を有する二色性分子を製造するため、これらの二色性染料は2種以上を配合してもかまわない。二色性染料を用いる場合、特開2002−082222号公報に記載されているように吸着厚みが4μm以上であってもよい。
【0220】
フィルム中の該二色性分子の含有量は、少なすぎると偏光度が低く、また、多すぎても単板透過率が低下することから通常、フィルムのマトリックスを構成するポリビニルアルコール系重合体に対して、0.01〜5質量%の範囲に調整される。
前記偏光子の好ましい膜厚としては、5μm〜40μmが好ましく、さらに好ましくは10μm〜30μmである。また、偏光子の厚さと上述する保護フィルムの厚さの比を、特開2002−174727号公報に記載されている0.01≦A(偏光子膜厚)/B(保護フィルム膜厚)≦0.16範囲とすることも好ましい。
さらに、保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸との交差角は、任意の値でよいが、平行もしくは45±20゜の方位角であることが好ましい。
【0221】
<偏光板の製造工程>
次に、本発明における偏光板の製造工程について説明する。
本発明における偏光板の製造工程は、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程から構成されることが好ましい。染色工程、硬膜工程、延伸工程の順序を任意に変えること、また、いくつかの工程を組み合わせて同時に行っても構わない。また、特許第3331615号明細書に記載されているように、硬膜工程の後に水洗することも好ましく行うことができる。
【0222】
本発明では、膨潤工程、染色工程、硬膜工程、延伸工程、乾燥工程、保護フィルム貼り合わせ工程、貼り合わせ後乾燥工程を記載の順序で遂次行うことが特に好ましい。また、前述の工程中あるいは後にオンライン面状検査工程を設けても構わない。
【0223】
前記膨潤工程は、水のみで行うことが好ましいが、特開平10−153709号公報に記載されているように、光学性能の安定化および、製造ラインでの偏光板基材のシワ発生回避のために、偏光板基材をホウ酸水溶液により膨潤させて、偏光板基材の膨潤度を管理することもできる。
また、膨潤工程の温度、時間は、任意に定めることができるが、10℃〜60℃、5秒〜2000秒が好ましい。
【0224】
前記染色工程は、特開2002−86554号公報に記載の方法を用いることができる。また、染色方法としては浸漬だけでなく、ヨウ素あるいは染料溶液の塗布あるいは噴霧等、任意の手段が可能である。また、特開2002−290025号公報に記載されているように、ヨウ素の濃度、染色浴温度、浴中の延伸倍率、および浴中の浴液を攪拌させながら染色させる方法を用いてもよい。
【0225】
二色性分子として高次のヨウ素イオンを用いる場合、高コントラストの偏光板を得るためには、染色工程はヨウ素をヨウ化カリウム水溶液に溶解した液を用いることが好ましい。この場合のヨウ素−ヨウ化カリウム水溶液のヨウ素は0.05〜20g/l、ヨウ化カリウムは3〜200g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は1〜2000が好ましい範囲である。染色時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ヨウ素は0.5〜2g/l、ヨウ化カリウムは30〜120g/l、ヨウ素とヨウ化カリウムの質量比は30〜120がよく、染色時間は30〜600秒、液温度は20〜50℃がよい。
また、特許第3145747号明細書に記載されているように、染色液にホウ酸、ホウ砂等のホウ素系化合物を添加してもよい。
【0226】
前記硬膜工程は、架橋剤溶液に浸漬、または溶液を塗布して架橋剤を含ませるのが好ましい。また、特開平11−52130号公報に記載されているように、硬膜工程を数回に分けて行うこともできる。
【0227】
前記架橋剤としては米国再発行特許第232897号明細書に記載のものが使用でき、特許第3357109号明細書に記載されているように、寸法安定性を向上させるため、架橋剤として多価アルデヒドを使用することもできるが、ホウ酸類が最も好ましく用いられる。硬膜工程に用いる架橋剤としてホウ酸を用いる場合には、ホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液に金属イオンを添加しても良い。金属イオンとしては塩化亜鉛が好ましいが、特開2000−35512号公報に記載されているように、塩化亜鉛の変わりに、ヨウ化亜鉛などのハロゲン化亜鉛、硫酸亜鉛、酢酸亜鉛などの亜鉛塩を用いることもできる。
【0228】
本発明では、塩化亜鉛を添加したホウ酸−ヨウ化カリウム水溶液を作製し、PVAフィルムを浸漬させて硬膜を行うことが好ましく行われる。ホウ酸は1〜100g/l、ヨウ化カリウムは1〜120g/l、塩化亜鉛は0.01〜10g/l、硬膜時間は10〜1200秒が好ましく、液温度は10〜60℃が好ましい。さらに好ましくは、ホウ酸は10〜80g/l、ヨウ化カリウムは5〜100g/l、塩化亜鉛は0.02〜8g/l、硬膜時間は30〜600秒がよく、液温度は20〜50℃がよい。
【0229】
前記延伸工程は、米国特許2,454,515号明細書などに記載されているような、縦一軸延伸方式、もしくは特開2002−86554号公報に記載されているようなテンター方式を好ましく用いることができる。好ましい延伸倍率は2倍〜12倍であり、さらに好ましくは3倍〜10倍である。また、延伸倍率と原反厚さと偏光子厚さの関係は特開2002−040256号公報に記載されている(保護フィルム貼合後の偏光子膜厚/原反膜厚)×(全延伸倍率)>0.17としたり、最終浴を出た時の偏光子の幅と保護フィルム貼合時の偏光子幅の関係は特開2002−040247号公報に記載されている0.80≦(保護フィルム貼合時の偏光子幅/最終浴を出た時の偏光子の幅)≦0.95とすることも好ましく行うことができる。
【0230】
前記乾燥工程は、特開2002−86554号公報で公知の方法を使用できるが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特許第3148513号明細書に記載されているように、水中退色温度を50℃以上とするような熱処理を行ったり、特開平07−325215号公報や特開平07−325218号公報に記載されているように温湿度管理した雰囲気でエージングすることも好ましく行うことができる。
【0231】
保護フィルム貼り合わせ工程は、乾燥工程を出た前述の偏光子の両面を2枚の保護フィルムで貼合する工程である。貼合直前に接着液を供給し、偏光子と保護フィルムとを重ね合わせるように、一対のロールで貼り合わせる方法が好ましく使用される。また、特開2001−296426号公報および特開2002−86554号公報に記載されているように、偏光子の延伸に起因するレコードの溝状の凹凸を抑制するため、貼り合わせ時の偏光子の水分率を調整することが好ましい。本発明では0.1%〜30%の水分率が好ましく用いられる。
【0232】
偏光子と保護フィルムとの接着剤は特に限定されないが、PVA系樹脂(アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等の変性PVAを含む)やホウ素化合物水溶液等が挙げられ、中でもPVA系樹脂が好ましい。接着剤層厚みは乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmが特に好ましい。
【0233】
また、偏光子と保護フィルムとの接着力を向上させるために、保護フィルムを表面処理して親水化してから接着することが好ましく行われる。表面処理の方法は特に制限は無いが、上述のようにアルカリ溶液を用いてケン化する方法、コロナ処理法など公知の方法を用いることができる。また、表面処理後にゼラチン下塗り層等の易接着層を設けてもよい。特開2002−267839号公報に記載されているように保護フィルム表面の水との接触角は50°以下が好ましい。
貼り合わせ後乾燥条件は、特開2002−86554号公報に記載の方法に従うが、好ましい温度範囲は30℃〜100℃であり、好ましい乾燥時間は30秒〜60分である。また、特開平07−325220号公報に記載されているように温湿度管理をした雰囲気でエージングすることも好ましい。
【0234】
偏光子中の元素含有量は、ヨウ素0.1〜3.0g/m2、ホウ素0.1〜5.0g/m2、カリウム0.1〜2.00g/m2、亜鉛0〜2.00g/m2であることが好ましい。また、カリウム含有量は特開2001−166143号公報に記載されているように0.2質量%以下であってもよいし、偏光子中の亜鉛含有量を特開2000−035512号公報に記載されている0.04質量%〜0.5質量%としてもよい。
【0235】
特許第3323255号明細書に記載されているように、偏光板の寸法安定性を上げるために、染色工程、延伸工程および硬膜工程のいずれかの工程において有機チタン化合物および/または有機ジルコニウム化合物を添加使用し、有機チタン化合物および有機ジルコニウム化合物から選ばれた少なくとも一種の化合物を含有することもできる。また、偏光板の色相を調整するために二色性染料を添加してもよい。
【0236】
<偏光板の特性>
(1)透過率および偏光度
本発明における偏光板の好ましい単板透過率は42.5%〜49.5%であるが、さらに好ましくは42.8%〜49.0%である。下記式4で定義される偏光度の好ましい範囲は99.900%〜99.999%であり、さらに好ましくは99.940%〜99.995%である。平行透過率の好ましい範囲は36%〜42%であり、直交透過率の好ましい範囲は、0.001%〜0.05%である。
【0237】
【数2】


【0238】
上述の透過率はJISZ8701に基づいて、下記式により定義される。
【0239】
【数3】



ここで、K、S(λ)、y(λ)、τ(λ)は以下の通りである。
【0240】
【数4】


S(λ):色の表示に用いる標準光の分光分布
y(λ):XYZ系における等色関数
τ(λ):分光透過率
【0241】
また、下記式5で定義される二色性比の好ましい範囲は48〜1215であるが、さらに好ましくは53〜525である。
【0242】
【数5】


【0243】
ヨウ素濃度と単板透過率とは特開2002−258051号公報の〔0017〕に記載されている範囲であってもよい。
平行透過率は、特開2001−083328号公報や特開2002−022950号公報に記載されているように波長依存性が小さくてもよい。偏光板をクロスニコルに配置した場合の光学特性は、特開2001−091736号公報の〔0007〕に記載されている範囲であってもよく、平行透過率と直交透過率との関係は、特開2002−174728号公報の〔0006〕に記載されている範囲内であってもよい。
【0244】
また、特開2002−221618号公報に記載されているように、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の平行透過率の標準偏差が3以下で、且つ、光の波長が420〜700nmの間での10nm毎の(平行透過率/直交透過率)の最小値が300以上であってもよい。
偏光板の波長440nmにおける平行透過率と直交透過率、平行透過率、波長550nmにおける平行透過率と直交透過率、波長610nmにおける平行透過率と直交透過率が、特開2002−258042号公報の〔0012〕や特開2002−258043号公報の〔0012〕に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
【0245】
(2)色相
本発明における偏光板の色相は、CIE均等知覚空間として推奨されているL***表色系における明度指数L*およびクロマティクネス指数a*とb*を用いて好ましく評価される。
*、a*、b*の定義は、例えば、東京電機大学出版局刊、色彩光学等に記載されている。
【0246】
偏光板単枚の好ましいa*の範囲は−2.5〜0.2であり、さらに好ましくは−2.0〜0である。偏光板単枚の好ましいb*の範囲は1.5〜5であり、さらに好ましくは2〜4.5以下である。2枚の偏光板の平行透過光のa*の好ましい範囲は−4.0〜0であり、さらに好ましくは−3.5〜−0.5である。2枚の偏光板の平行透過光のb*の好ましい範囲は2.0〜8であり、さらに好ましくは2.5〜7である。2枚の偏光板の直交透過光のa*の好ましい範囲は−0.5〜1.0であり、さらに好ましくは0〜2である。2枚の偏光板の直交透過光のb*の好ましい範囲は−2.0〜2であり、さらに好ましくは−1.5〜0.5である。
【0247】
色相は、前述のX、Y、Zから算出される色度座標(x,y)で評価しても良く、例えば、2枚の偏光板の平行透過光の色度(xp、yp)と直交透過光の色度(xc、yc)は、特開2002−214436号公報の〔0017〕、特開2001−166136号公報の〔0007〕や特開2002−169024号公報の〔0005〕〜〔0008〕に記載されている範囲にしたり、色相と吸光度との関係を特開2001−311827号公報の〔0005〕〜〔0006〕に記載されている範囲内にすることも好ましく行うことができる。
【0248】
(3)視野角特性
偏光板をクロスニコルに配置して波長550nmの光を入射させる場合の、垂直光を入射させた場合と、偏光軸に対して45度の方位から法線に対し40°の角度で入射させた場合の、透過率比やxy色度差を特開2001−166135号公報や特開2001−166137号公報に記載された範囲とすることも好ましい。また、特開平10−068817号公報に記載されているように、クロスニコル配置した偏光板積層体の垂直方向の光透過率(T0)と、積層体の法線から60°傾斜方向の光透過率(T60)との比(T60/T0)を10000以下としたり、特開2002−139625号公報に記載されているように、偏光板に法線から仰角80°までの任意な角度で自然光を入射させた場合に、その透過スペクトルの520〜640nmの波長範囲において波長域20nm以内における透過光の透過率差を6%以下としたり、特開平08−248201号公報に記載されている、フィルム上の任意の1cm離れた場所における透過光の輝度差が30%以内とすることも好ましい。
【0249】
(4)耐久性
(4−1)湿熱耐久性
60℃、相対湿度95%の雰囲気に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率が絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下であることが好ましい。また、特開平07−077608号公報に記載されているように80℃、相対湿度90%、500時間放置後の偏光度が95%以上、単体透過率が38%以上であることも好ましい。
【0250】
(4−2)ドライ耐久性
80℃、ドライ雰囲気下に500時間放置した場合のその前後における光透過率および偏光度の変化率も絶対値に基づいて3%以下であることが好ましい。特に、光透過率の変化率は2%以下、また、偏光度の変化率は絶対値に基づいて1.0%以下、更には0.1%以下であることが好ましい。
【0251】
(4−3)その他の耐久性
さらに、特開平06−167611号公報に記載されているように80℃で2時間放置した後の収縮率を0.5%以下としたり、ガラス板の両面にクロスニコル配置した偏光板積層体を69℃の雰囲気中で750時間放置した後のx値およびy値を特開平10−068818号公報に記載されている範囲内としたり、80℃、相対湿度90%の雰囲気中で200時間放置処理後のラマン分光法による105cm-1および157cm-1のスペクトル強度比の変化を、特開平08−094834号公報や特開平09−197127号公報に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
【0252】
(5)配向度
PVAの配向度は高い程良好な偏光性能が得られるが、偏光ラマン散乱や偏光FT−IR等の手段によって算出されるオーダーパラメーター値として0.2〜1.0が好ましい範囲である。また、特開昭59−133509号公報に記載されているように、偏光子の全非晶領域の高分子セグメントの配向係数と占領分子の配向係数(0.75以上)との差を少なくとも0.15としたり、特開平04−204907号公報に記載されているように偏光子の非晶領域の配向係数を0.65〜0.85としたり、I3-やI5―の高次ヨウ素イオンの配向度を、オーダーパラメーター値として0.8〜1.0とすることも好ましく行うことができる。
【0253】
(6)その他の特性
特開2002−006133号公報に記載されているように、80℃で30分加熱したときの単位幅あたりの吸収軸方向の収縮力を4.0N/cm以下としたり、特開2002−236213号公報に記載されているように、偏光板を70℃の加熱条件下に120時間置いた場合に、偏光板の吸収軸方向の寸法変化率および偏光軸方向の寸法変化率を、共に±0.6%以内としたり、偏光板の水分率を特開2002−090546号公報に記載されているように3質量%以下とすることも好ましく行うことができる。さらに、特開2000−249832号公報に記載されているように延伸軸に垂直な方向の表面粗さを中心線平均粗さに基づいて0.04μm以下としたり、特開平10−268294号公報に記載されているように透過軸方向の屈折率n0 を1.6より大きくしたり、偏光板の厚みと保護フィルムの厚みの関係を特開平10−111411号公報の〔0004〕に記載された範囲とすることも好ましく行うことができる。
【0254】
<偏光板の機能化>
本発明における偏光板は、ディスプレイの視認性向上のための反射防止フィルム、輝度向上フィルムや、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層等の機能層を有する光学フィルムと複合した機能化偏光板として好ましく使用される。
【0255】
(反射防止フィルム)
本発明における偏光板は反射防止フィルムと組み合わせて使用することができる。反射防止フィルムは、フッ素系ポリマー等の低屈折率素材を単層付与しただけの反射率1.5%程度のフィルム、もしくは薄膜の多層干渉を利用した反射率1%以下のフィルムのいずれも使用できる。本発明では、透明支持体上に低屈折率層、および低屈折率層より高い屈折率を有する少なくとも一層の層(即ち、高屈折率層、中屈折率層)を積層した構成が好ましく使用される。また、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,26頁〜28頁や特開2002−301783号公報などに記載された反射防止フィルムも好ましく使用できる。
各層の屈折率は以下の関係を満足する。
【0256】
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
反射防止フィルムに用いる透明支持体は、前述の偏光子の保護フィルムに使用する透明ポリマーフィルムを好ましく使用することができる。
【0257】
低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、さらに好ましくは1.30〜1.50である。低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として使用することが好ましい。耐擦傷性向上のため、シリコーン基を含有する含シリコーン化合物や、フッ素を含有する含フッ素化合物等の素材を用い表面への滑り性付与することも好ましく行われる。
【0258】
前記含フッ素化合物としては、例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物を好ましく使用することができる。
前記含シリコーン化合物はポリシロキサン構造を有する化合物が好ましいが、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製)や両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報)等を使用することもできる。シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化させてもよい(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報、特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)。
低屈折率層には、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有させることも好ましく行うことができる。
【0259】
前記低屈折率層は、気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良いが、安価に製造できる点で、塗布法で形成することが好ましい。塗布法としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート、マイクログラビア法を好ましく使用することができる。
低屈折率層の膜厚は、30〜200nmであることが好ましく、50〜150nmであることがさらに好ましく、60〜120nmであることが最も好ましい。
【0260】
中屈折率層および高屈折率層は、平均粒子サイズ100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子をマトリックス用材料に分散した構成とすることが好ましい。高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物、例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等を好ましく使用できる。
このような超微粒子は、粒子表面を表面処理剤で処理したり(シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造としたり(特開2001−166104等)、特定の分散剤併用する(例、特開平11−153703号公報、米国特許第6,210,858B1明細書、特開2002−2776069号公報等)等の態様で使用することができる。
【0261】
前記マトリックス用材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等を使用できるが、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の多官能性材料や、特開2001−293818号公報等に記載の金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜を使用することもできる。
前記高屈折率層の屈折率は、1.70〜2.20であることが好ましい。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
前記中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。
【0262】
前記反射防止フィルムのヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また、膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0263】
(輝度向上フィルム)
本発明における偏光板は、輝度向上フィルムと組み合わせて使用することができる。輝度向上フィルムは、円偏光もしくは直線偏光の分離機能を有しており、偏光板とバックライトとの間に配置され、一方の円偏光もしくは直線偏光をバックライト側に後方反射もしくは後方散乱する。バックライト部からの再反射光は、部分的に偏光状態を変化させ、輝度向上フィルムおよび偏光板に再入射する際、部分的に透過するため、この過程を繰り返すことにより光利用率が向上し、正面輝度が1.4倍程度に向上する。輝度向上フィルムとしては異方性反射方式および異方性散乱方式が知られており、いずれも本発明における偏光板と組み合わせることができる。
【0264】
異方性反射方式では、一軸延伸フィルムと未延伸フィルムとを多重に積層して、延伸方向の屈折率差を大きくすることにより反射率ならびに透過率の異方性を有する輝度向上フィルムが知られており、誘電体ミラーの原理を用いた多層膜方式(国際公開第95/17691号パンフレット、国際公開第95/17692号パンフレット、国際公開第95/17699号パンフレットの各明細書記載)やコレステリック液晶方式(欧州特許606940A2号明細書、特開平8−271731号公報記載)が知られている。誘電体ミラーの原理を用いた多層方式の輝度向上フィルムとしてはDBEF―E、DBEF−D、DBEF−M(いずれも3M社製)、コレステリック液晶方式の輝度向上フィルムとしてはNIPOCS(日東電工(株)製)が本発明で好ましく使用される。NIPOCSについては、日東技報,vol.38,No.1,May,2000,19頁〜21頁などを参考にすることができる。
【0265】
また、本発明では国際公開第97/32223号パンフレット、国際公開第97/32224号パンフレット、国際公開第97/32225号パンフレット、国際公開第97/32226号パンフレットの各明細書および特開平9−274108号、同11−174231号の各公報に記載された正の固有複屈折性ポリマーと負の固有複屈折性ポリマーとをブレンドして一軸延伸した異方性散乱方式の輝度向上フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。異方性散乱方式輝度向上フィルムとしては、DRPF−H(3M社製)が好ましい。
【0266】
(他の機能性光学フィルム)
本発明における偏光板は、さらに、ハードコート層、前方散乱層、アンチグレア(防眩)層、ガスバリア層、滑り層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けた機能性光学フィルムと組み合わせて使用することも好ましい。また、これらの機能層は、前述の反射防止フィルムにおける反射防止層、あるいは光学異方性層等と同一層内で相互に複合して使用することも好ましい。これらの機能層は、偏光子側および偏光子と反対面(より空気側の面)のどちらか片面、もしくは両面に設けて使用できる。
【0267】
〔ハードコート層〕
本発明における偏光板は耐擦傷性等の力学的強度を付与するため、ハードコート層を透明支持体の表面に設けた機能性光学フィルムと組み合わせることが好ましく行われる。ハードコート層を、前述の反射防止フィルムに適用して用いる場合は、特に、透明支持体と高屈折率層の間に設けることが好ましい。
前記ハードコート層は、光および/または熱による硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、又加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものを好ましく使用することができる。
ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜100μmであることが好ましい。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0268】
ハードコート層を形成する材料は、エチレン性不飽和基を含む化合物、開環重合性基を含む化合物を用いることができ、これらの化合物は単独あるいは組み合わせて用いることができる。エチレン性不飽和基を含む化合物の好ましい例としては、エチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等のポリオールのポリアクリレート類;ビスフェノールAジグリシジルエーテルのジアクリレート、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルのジアクリレート等のエポキシアクリレート類;ポリイソシナネートとヒドロキシエチルアクリレート等の水酸基含有アクリレートの反応によって得られるウレタンアクリレート等を好ましい化合物として挙げることができる。また、市販化合物としては、EB−600、EB−40、EB−140、EB−1150、EB−1290K、IRR214、EB−2220、TMPTA、TMPTMA(以上、ダイセル・ユーシービー(株)製)、UV−6300、UV−1700B(以上、日本合成化学工業(株)製)等が挙げられる。
【0269】
また、開環重合性基を含む化合物の好ましい例としては、グリシジルエーテル類としてエチレングリコールジグリシジルエーテル、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセロールトリグリシジルエーテル、トリグリシジルトリスヒドロキシエチルイソシアヌレート、ソルビトールテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシルエーテル、クレゾールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテル、フェノールノボラック樹脂のポリグリシジルエーテルなど、脂環式エポキシ類としてセロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、フェノールノボラック樹脂のポリシクロヘキシルエポキシメチルエーテルなど、オキセタン類としてOXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)などが挙げられる。その他にグリシジル(メタ)アクリレートの重合体、或いはグリシジル(メタ)アクリレートと共重合できるモノマーとの共重合体をハードコート層に使用することもできる。
【0270】
ハードコート層には、ハードコート層の硬化収縮の低減、基材との密着性の向上、本発明においてハードコート処理物品のカールを低減するため、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム等の酸化物微粒子やポリエチレン、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル類、ポリジメチルシロキサン等の架橋粒子、SBR、NBRなどの架橋ゴム微粒子等の有機微粒子等の架橋微粒子を添加することも好ましく行われる。これらの架橋微粒子の平均粒子サイズは、1nm〜20000nmであることが好ましい。また、架橋微粒子の形状は、球状、棒状、針状、板状など特に制限無く使用できる。微粒子の添加量は硬化後のハードコート層の60体積%以下であることが好ましく、40体積%以下がより好ましい。
【0271】
上記で記載した無機微粒子を添加する場合、一般にバインダーポリマーとの親和性が悪いため、ケイ素、アルミニウム、チタニウム等の金属を含有し、かつアルコキシド基、カルボン酸基、スルホン酸基、ホスホン酸基等の官能基を有する表面処理剤を用いて表面処理を行うことも好ましく行われる。
【0272】
ハードコート層は、熱または活性エネルギー線を用いて硬化することが好ましく、その中でも放射線、ガンマー線、アルファー線、電子線、紫外線等の活性エネルギー線を用いることがより好ましく、安全性、生産性を考えると電子線、紫外線を用いることが特に好ましい。熱で硬化させる場合は、プラスチック自身の耐熱性を考えて、加熱温度は140℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
【0273】
〔前方散乱層〕
前方散乱層は、本発明における偏光板を液晶表示装置に適用した際の、上下左右方向の視野角特性(色相と輝度分布)改良するために使用される。本発明では、前方散乱層は屈折率の異なる微粒子をバインダー分散した構成が好ましく、例えば、前方散乱係数を特定化した特開11−38208号公報、透明樹脂と微粒子との相対屈折率を特定範囲とした特開2000−199809号公報、ヘイズ値を40%以上と規定した特開2002−107512号公報等の構成を使用することができる。また、本発明における偏光板をヘイズの視野角特性を制御するため、住友化学(株)の技術レポート「光機能性フィルム」31頁〜39頁に記載された「ルミスティ」と組み合わせて使用することも好ましく行うことができる。
【0274】
〔アンチグレア層〕
アンチグレア(防眩)層は、反射光を散乱させ映り込みを防止するために使用される。アンチグレア機能は、液晶表示装置の最表面(表示側)に凹凸を形成することにより得られる。アンチグレア機能を有する光学フィルムのヘイズは、3〜30%であることが好ましく、5〜20%であることがさらに好ましく、7〜20%であることが最も好ましい。
フィルム表面に凹凸を形成する方法は、例えば、微粒子を添加して膜表面に凹凸を形成する方法(例えば、特開2000−271878号公報等)、比較的大きな粒子(粒子サイズ0.05〜2μm)を少量(0.1〜50質量%)添加して表面凹凸膜を形成する方法(例えば、特開2000−281410号公報、同2000−95893号公報、同2001−100004号公報、同2001−281407号公報等)、フィルム表面に物理的に凹凸形状を転写する方法(例えば、エンボス加工方法として、特開昭63−278839号公報、特開平11−183710号公報、特開2000−275401号公報等記載)等を好ましく使用することができる。
【0275】
<液晶表示装置>
次に本発明の液晶表示装置について説明する。
【0276】
図1は、本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。図1において、液晶表示装置10は、液晶層7とこの上下に配置された液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8とを有する液晶セル、液晶セルの両側に配置された上側偏光板1および下側偏光板12からなる。液晶セルと各偏光板との間にカラーフィルターを配置してもよい。前記液晶表示装置10を透過型として使用する場合は、冷陰極あるいは熱陰極蛍光管、あるいは発光ダイオード、フィールドエミッション素子、エレクトロルミネッセント素子を光源とするバックライトを背面に配置する。〔
【0277】
上側偏光板1および下側偏光板12は、それぞれ2枚の保護フィルムで偏光子を挟むように積層した構成を有しており、本発明の液晶表示装置10は、一方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが上記の式(1)〜(5)の特性を有し、他方の偏光板の液晶セル側の保護フィルムが上記の式(6)〜(10)の特性を有する。本発明の液晶表示装置10は、装置の外側(液晶セルから遠い側)から、透明保護フィルム、偏光子、本発明におけるセルロースアシレートフィルムの順序で積層することが好ましい。液晶表示装置10には、画像直視型、画像投影型や光変調型が含まれる。TFTやMIMのような3端子または2端子半導体素子を用いたアクティブマトリックス液晶表示装置が本発明は有効である。もちろん時分割駆動と呼ばれるSTNモードに代表されるパッシブマトリックス液晶表示装置でも有効である。
【0278】
(VAモード)
本発明の液晶表示装置の液晶セルはVAモードであることが好ましい。
VAモードでは上下基板間に誘電異方性が負で、Δn=0.0813、Δε=−4.6程度の液晶をラビング配向により、液晶分子の配向方向を示すダイレクタ、いわゆるチルト角を、約89°で作製する。図1における液晶層7の厚さdは3.5μmに設定してある。ここで厚さdと屈折率異方性Δnとの積Δndの大きさにより白表示時の明るさが変化する。このため最大の明るさを得るためには液晶層の厚みを0.2μm〜0.5μmの範囲になるように設定する。
【0279】
液晶セルの上側偏光板1の吸収軸2と下側偏光板12の吸収軸13は略直交に積層する。液晶セル上電極基板5および液晶セル下電極基板8のそれぞれの配向膜の内側には透明電極(図示せず)が形成されるが、電極に駆動電圧を印加しない非駆動状態では、液晶層7中の液晶分子は、基板面に対して概略垂直に配向し、その結果液晶パネルを通過する光の偏光状態はほとんど変化しない。すなわち、液晶表示装置では、非駆動状態において理想的な黒表示を実現する。これに対し、駆動状態では、液晶分子は基板面に平行な方向に傾斜し、液晶パネルを通過する光はかかる傾斜した液晶分子により偏光状態を変化させる。換言すると、液晶表示装置では、駆動状態において白表示が得られる。なお図1において、符号6および9は、配向制御方向である。
【0280】
ここでは上下基板間に電界が印加されるため、電界方向に垂直に液晶分子が応答するような、誘電率異方性が負の液晶材料を使用した。また電極を一方の基板に配置し、電界が基板面に平行の横方向に印加される場合は、液晶材料は正の誘電率異方性を有するものを使用する。
またVAモードの液晶表示装置では、TNモードの液晶表示装置で一般的に使われているカイラル剤の添加は、動的応答特性の劣化させるため用いることは少ないが、配向不良を低減するために添加されることもある。
【0281】
VAモードの特徴は、高速応答であることと、コントラストが高いことである。しかし、コントラストは正面では高いが、斜め方向では劣化する課題がある。黒表示時に液晶分子は基板面に垂直に配向している。正面から観察すると、液晶分子の複屈折はほとんどないため透過率は低く、高コントラストが得られる。しかし、斜めから観察した場合は液晶分子に複屈折が生じる。さらに上下の偏光板吸収軸の交差角が、正面では90°の直交であるが、斜めから見た場合は90°より大きくなる。この2つの要因のために斜め方向では漏れ光が生じ、コントラストが低下する。これを解決するために光学補償シートを配置する。
【0282】
また白表示時には液晶分子が傾斜しているが、傾斜方向とその逆方向では、斜めから観察した時の液晶分子の複屈折の大きさが異なり、輝度や色調に差が生じる。これを解決するためには、液晶表示装置の一画素を複数の領域に分割するマルチドメインと呼ばれる構造にする。
【0283】
[マルチドメイン]
例えば、VA方式では液晶分子が電界印加により、一つの画素内で異なる複数の領域に傾斜することで視角特性が平均化される。一画素内で配向を分割するには、電極にスリットを設けたり、突起を設け、電界方向を変えたり電界密度に偏りを持たせる。全方向で均等な視野角を得るにはこの分割数を多くすればよいが、4分割、あるいは8分割以上することでほぼ均等な視野角が得られる。特に8分割時は偏光板吸収軸を任意の角度に設定できるので好ましい。
【0284】
また配向分割の領域境界では、液晶分子が応答しずらい。そのためノーマリーブラック表示では黒表示が維持されるため、輝度低下が問題となる。そこで液晶材料にカイラル剤を添加して境界領域を小さくすることが可能である。
【実施例】
【0285】
(偏光板保護フィルムA−1の作製)
[セルロースアシレート溶液の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
【0286】
(セルロースアシレート溶液01の組成)
・セルロースアセテートブチレート 100.0質量部
(アセチル化度1.0、ブチリル化度1.5)
・可塑剤:トリフェニルホスフェート 3.0質量部
・可塑剤:ビフェニルホスフェート 1.5質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 250.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 45.0質量部
・n−ブタノール(第3溶媒) 10.0質量部
【0287】
[マット剤溶液11の調製]
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液11を調製した。
【0288】
(マット剤溶液組成)
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
・メチレンクロリド(第1溶媒) 75.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
・セルロースアシレート01溶液 10.3質量部
【0289】
[レターデーション発現剤21溶液の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液21を調製した。
【0290】
(レターデーション発現剤溶液21の組成)
・レターデーション発現剤(G) 10.0質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 67.1質量部
・メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
・セルロースアシレート溶液01 12.8質量部
【0291】
【化47】


【0292】
上記セルロースアシレート溶液01(94.7質量部)、マット剤溶液11(1.3質量部)およびレターデーション発現剤溶液21(4.0質量部)をそれぞれ濾過した後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。得られたウェブをバンドから剥離し、130℃の条件でテンターを用いて35%の延伸倍率で横延伸した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、延伸セルロースアシレートフィルムA−1を製造した。でき上がった延伸セルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は0.2質量%であり、膜厚は80μmであった。
【0293】
(偏光板保護フィルムA−2の作製)
[セルロースアシレート溶液02の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液02を調製した。
【0294】
(セルロースアシレート溶液02の組成)
・セルロースアシレート 100.0質量部
(アセチル化度1.0、ベンゾイル化度1.3)
・可塑剤:トリフェニルホスフェート 3.0質量部
・可塑剤:ビフェニルホスフェート 1.5質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 250.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 45.0質量部
【0295】
[マット剤溶液12の調製]
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液12を調製した。
【0296】
(マット剤溶液組成12)
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
・メチレンクロリド(第1溶媒) 75.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
・セルロースアシレート02溶液 10.3質量部
【0297】
[レターデーション発現剤溶液22の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液22を調製した。
【0298】
(レターデーション発現剤溶液22の組成)
・上記レターデーション発現剤(G) 5.0質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 71.5質量部
・メタノール(第2溶媒) 10.7質量部
・セルロースアシレート溶液02 12.8質量部
【0299】
上記セルロースアシレート溶液02(94.7質量部)、マット剤溶液12(1.3質量部)およびレターデーション発現剤溶液22(4.0質量部)をそれぞれ濾過した後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。得られたウェブをバンドから剥離し、135℃の条件でテンターを用いて35%の延伸倍率で横延伸した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、延伸セルロースアシレートフィルムA−2を製造した。でき上がった延伸セルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は0.3質量%であり、膜厚は78μmであった。
【0300】
(偏光板保護フィルムA−3の作製)
[セルロースアシレート溶液03の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液03を調製した。
【0301】
(セルロースアシレート溶液03の組成)
・セルロースアシレート 100.0質量部
(アセチル化度1.0、ベンゾイル化度1.2)
・可塑剤:トリフェニルホスフェート 3.0質量部
・可塑剤:ビフェニルホスフェート 1.5質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 250.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 45.0質量部
【0302】
[マット剤溶液13の調製]
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液13を調製した。
【0303】
(マット剤溶液組成13)
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
・メチレンクロリド(第1溶媒) 75.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
・セルロースアシレート03溶液 10.3質量部
【0304】
上記セルロースアシレート溶液03(98.7質量部)およびマット剤溶液13(1.3質量部)をそれぞれ濾過した後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。得られたウェブをバンドから剥離し、140℃の条件でテンターを用いて38%の延伸倍率で横延伸した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、延伸セルロースアシレートフィルム(A−3)を製造した。でき上がった延伸セルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は0.3質量%であり、膜厚は80μmであった。
【0305】
(偏光板保護フィルムA−4の作製)
[セルロースアシレート溶液04の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液04を調製した。
【0306】
(セルロースアシレート溶液04の組成)
・セルロースアシレート 100.0質量部
(アセチル化度2.2、ベンゾイル化度0.4)
・可塑剤:トリフェニルホスフェート 7.0質量部
・可塑剤:ビフェニルホスフェート 3.5質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 250.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 45.0質量部
【0307】
[マット剤溶液14の調製]
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液14を調製した。
【0308】
(マット剤溶液組成14)
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
・メチレンクロリド(第1溶媒) 75.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
・セルロースアシレート04溶液 10.3質量部
【0309】
[レターデーション発現剤溶液24の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液24を調製した。
【0310】
(レターデーション発現剤溶液24の組成)
・上記レターデーション発現剤(20) 5.0質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 71.5質量部
・メタノール(第2溶媒) 10.7質量部
・セルロースアシレート溶液04 12.8質量部
【0311】
上記セルロースアシレート溶液04(94.7質量部)、マット剤溶液14(1.3質量部)およびレターデーション発現剤溶液24(4.0質量部)をそれぞれ濾過した後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。得られたウェブをバンドから剥離し、135℃の条件でテンターを用いて45%の延伸倍率で横延伸した後、縦(搬送方向)に10%緩和させた。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、延伸セルロースアシレートフィルムA−4を製造した。でき上がった延伸セルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は0.2質量%であり、膜厚は83μmであった。
【0312】
(比較例1)
(偏光板保護フィルムA−5の作製)
[セルロースアシレート溶液の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液を調製した。
【0313】
(セルロースアシレート溶液05の組成)
・セルロースアセテート 100.0質量部
(アセチル化度2.8)
・可塑剤:トリフェニルホスフェート 8.0質量部
・可塑剤:ビフェニルホスフェート 3.5質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 260.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 40.0質量部
【0314】
[マット剤溶液15の調製]
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液15を調製した。
【0315】
(マット剤溶液組成)
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子 2.0質量部
“AEROSIL R972”日本アエロジル(株)製
・メチレンクロリド(第1溶媒) 75.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
・セルロースアシレート05溶液 10.3質量部
【0316】
[レターデーション発現剤25溶液の調製]
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液25を調製した。
【0317】
(レターデーション発現剤溶液25の組成)
・レターデーション発現剤(II)−4 10.0質量部
・メチレンクロリド(第1溶媒) 67.1質量部
・メタノール(第2溶媒) 10.0質量部
・セルロースアシレート溶液01 12.8質量部
【0318】
上記セルロースアシレート溶液05(92.7質量部)、マット剤溶液15(1.3質量部)およびレターデーション発現剤溶液25(6.0質量部)をそれぞれ濾過した後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。得られたウェブをバンドから剥離し、145℃の条件でテンターを用いて30%の延伸倍率で横延伸した。その後、クリップを外して140℃で20分間乾燥させ、延伸セルロースアシレートフィルムA−5を製造した。でき上がった延伸セルロースアシレートフィルムの残留溶媒量は0.2質量%であり、膜厚は82μmであった。
【0319】
(参考例用の位相差フィルムA−6、C−3の作製)
国際公開第2003/032060号パンフレットに記載の方法により下記表2に記載のレターデーション特性を有する共重合PCフィルムA−6を作製した。
さらに、国際公開第2003/032060号パンフレットに記載の方法により下記表2に記載のレターデーション特性を有する延伸ARTONフィルムC−3を得た。
【0320】
(偏光板保護フィルムC−1の作製)
<セルロースアシレート溶液06の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、撹拌して各成分を溶解し、セルロースアシレート溶液06を調製した。
【0321】
(セルロースアシレート溶液06組成)
・セルロースアセテート 100.0質量部
(アセチル化度2.80)
・トリフェニルフォスフェート(可塑剤) 5.0質量部
・ビフェニルフォスフェート(可塑剤) 3.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 402.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 60.0質量部
【0322】
<マット剤溶液16の調製>
下記の組成物を分散機に投入し、撹拌して各成分を溶解し、マット剤溶液14を調製した。
(マット剤溶液14組成)
・平均粒子サイズ20nmのシリカ粒子
(AEROSIL R972、日本アエロジル(株)製) 2.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 75.0質量部
・メタノール(第2溶媒) 12.7質量部
・セルロースアシレート溶液06 10.3質量部
【0323】
<レターデーション発現剤溶液26の調製>
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、加熱しながら撹拌して、各成分を溶解し、レターデーション発現剤溶液23を調製した。
(レターデーション発現剤溶液26組成)
・レターデーション発現剤(B−121) 7.0質量部
・レターデーション発現剤(B−122) 13.0質量部
・メチレンクロライド(第1溶媒) 58.4質量部
・メタノール(第2溶媒) 8.7質量部
・セルロースアシレート溶液06 12.8質量部
【0324】
上記セルロースアシレート溶液06(94.5質量部)、マット剤溶液16(1.3質量部)、レターデーション発現剤溶液26(4.8質量部)をそれぞれを濾過後に混合し、バンド流延機を用いて流延した。残留溶剤含量23%でフィルムをバンドから剥離し、135℃の条件でフィルムをテンターを用いて5%の延伸倍率で横延伸し、延伸後の幅のまま135℃で30秒間保持した。その後、クリップを外して130℃で40分間乾燥させ、本発明におけるセルロースアシレートフィルム(偏光板保護フィルムC−1)を製造した。できあがった偏光板保護フィルムC−1の残留溶剤量は0.2%であり、膜厚は81μmであった。
【0325】
(比較用偏光板保護フィルムC−2の作製)
市販のセルローストリアセテートフィルム(フジタックTD80UF、富士写真フイルム(株)製)の片面に、ポリビニルアルコールを塗布し、ラビングにより配向処理して配向膜を形成した。次いで、配向膜に、下記液晶材料AとBとを質量比で1/1で混合した液晶層を塗布し、90℃で3分間加熱した後、コレステリック相状態に冷却固定化することにより、厚さ5μmのコレステリック液晶層を形成し、光学フィルムを得た。コレステリック液晶層の正面位相差:2nm、厚み方向の位相差:240nmであった。
【0326】
【化48】


【0327】
以上のようにして作製したフィルムA−1〜A−6およびC−1〜3について、自動複屈折率計(KOBRA−WR、王子計測機器(株)製)により25℃・相対湿度60%における波長446nm、548nm、628nmのReおよびRthを測定した。結果を下記表1に示す。
【0328】
【表1】


【0329】
(偏光板保護フィルムA−1の鹸化処理)
(フィルムのアルカリ処理)
作製した偏光板保護フィルムA−1を、2.3mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で3分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。このようにして、偏光板保護フィルムA−1表面の鹸化処理を行った。
【0330】
(偏光板保護フィルムA−2〜A−5、C−1、C−2の鹸化処理)
前記偏光板保護フィルムA−1と同様にして偏光板保護フィルムA−2〜A−5、C−1、およびC−2の表面をそれぞれ鹸化した。
【0331】
<偏光板の作製>
(偏光板保護フィルムの鹸化処理)
市販のセルロースアシレートフィルム(富士タック(株)製、TD80)を1.5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液に、55℃で1分間浸漬した。室温の水洗浴槽中で洗浄し、30℃で0.05mol/Lの硫酸を用いて中和した。再度、室温の水洗浴槽中で洗浄し、さらに100℃の温風で乾燥した。
【0332】
(偏光子の作製)
重合度1700、厚さ39μmのポリビニルアルコールフィルムを、30℃の温水浴にて膨潤した後、ヨウ素とヨウ化カリウムの水溶液からなる30℃の染色浴にて約4倍に延伸した。次いで、ホウ酸とヨウ化カリウムとの入った50℃の架橋浴にて総延伸倍率が5.5倍になるように延伸し、架橋した。これを、35℃のヨウ化カリウム水溶液中に10秒間浸漬して色相の調整を行った。さらに水洗、乾燥して、厚さ18μmの偏光子を得た。この偏光子の水分率は14%であった。また波長900nmにおける複屈折率(Δn)は0.0482、透過率は43%、偏光度は99.9%であった。
【0333】
なお、複屈折率は、900nmの波長光により、平行ニコル回転法を用いて位相差値(Δnd)を求め、厚さd(nm)で割ることにより求めた。
【0334】
透過率は、分光光度計(村上色彩技術研究所製、DOT−3)を用いて測定し、JIS Z8701の2度視野(C光源)により、視感度補正を行ったY値である。
【0335】
偏光度は、2枚の同じ偏光子を偏光軸が平行になるように重ね合わせた場合の透過率(H0)と直交に重ね合わせた場合の透過率(H90)を、上記の透過率の測定に準じて測定し、以下の式から求めた。なお、偏光の透過率(H0)と直交の透過率(H90)は、視感度補正したY値である。
【0336】
【数6】


【0337】
(接着剤の調製)
ポリエステル系ウレタン(三井武田ケミカル(株)製,タケラックXW−74−C154)10部およびイソシアネート系架橋剤(三井武田ケミカル(株)製,タケネートWD−725)1部を、水に溶解し、固形分を20%に調整した溶液を調製した。これを接着剤として用いた。
【0338】
(偏光板A’−1の作製)
上記偏光子の両面に、上記接着剤溶液を塗布した後、鹸化処理した偏光板保護フィルムA−1と上記で作製した鹸化処理済みの富士タック(株)製のTD80とを偏光子を挟み込むように貼り合わせ、40℃のオーブンで72時間乾燥キュアして、偏光板A’−1を作製した。
【0339】
(偏光板A’−2、A’−3、A’−4、C’−1の作製)
偏光板保護フィルムA−2、A−3、A’−4、C−1を用いて偏光板A−1と同様にして偏光板A’−2、A’−3、A’−4、C’−1をそれぞれ作製した。
【0340】
(比較用偏光板A’−5、C’−2の作製)
前記比較用偏光板保護フィルムA−5、C−2を用いて偏光板A’−1と同様にして比較用偏光板A’−5、C’−2をそれぞれ作製した。なお、比較用偏光板C’−2については光学異方性層が空気側となるように貼り合せた。
【0341】
(比較用偏光板A’−6)の作製
前記参考例の位相差フィルムA−6を用いて粘着剤を用いて市販の偏光板である(株)サンリッツ社製のHLC2−5618の片面に粘着剤を用いて貼り付けた。
【0342】
(比較用偏光板C’−3)の作製
前記参考例の位相差フィルムC−3を、粘着剤を用いて市販の偏光板である(株)サンリッツ社製HLC2−5618の片面に粘着剤を用いて貼り付け、偏光板C’−3を作製した。
【0343】
(液晶表示装置の作製)
VAモードの液晶セルに、図1における上側偏光板1として偏光板A‘−1を本発明における偏光板保護フィルムA−1が液晶セル側となるように、また、下側偏光板12には偏光板C‘−1を本発明における偏光板保護フィルムC−1が液晶セル側となるように、粘着剤を介して、観察者側およびバックライト側に一枚ずつ貼り付けた。観察者側の偏光板の透過軸が上下方向に、そして、バックライト側の偏光板の透過軸が左右方向になるように、クロスニコル配置とした。このようにして液晶表示装置201を作製した。
さらに、上側偏光板、下側偏光板の液晶セル側のフィルムを下記表2の内容に変更して本発明の液晶表示装置202〜204および比較例の液晶表示装置205〜208を作製した。
【0344】
(色味視野角の変化)
上記で作製した液晶表示装置201〜208について極角60°において、方位角0°と方位角80°との色味変化をELDIM社製Ezcontrastにより測定し、xy色度図上での色味変化の絶対値Δx,Δyを求めた。結果を表2に示す。
【0345】
【表2】


【0346】
表2の結果から本発明の液晶表示装置201〜204は比較例の液晶表示装置205〜207に対して視角による色味変化が小さく好ましいことがわかる。また、本発明の液晶表示装置201〜204は偏光板保護フィルムが光学補償フィルムを兼ねているため比較例の液晶表示装置208に対して貼り合せ工程が少なく好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0347】
【図1】本発明の液晶表示装置の例を示す概略図である。
【符号の説明】
【0348】
1 上側偏光板
2 上側偏光板吸収軸の方向
5 液晶セル上電極基板
6 上基板の配向制御方向
7 液晶層
8 液晶セル下電極基板
9 下基板の配向制御方向
10 液晶表示装置
12 下側偏光板
13 下側偏光板吸収軸の方向




 

 


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