米国特許情報 | 欧州特許情報 | 国際公開(PCT)情報 | Google の米国特許検索
 
     特許分類
A 農業
B 衣類
C 家具
D 医学
E スポ−ツ;娯楽
F 加工処理操作
G 机上付属具
H 装飾
I 車両
J 包装;運搬
L 化学;冶金
M 繊維;紙;印刷
N 固定構造物
O 機械工学
P 武器
Q 照明
R 測定; 光学
S 写真;映画
T 計算機;電気通信
U 核技術
V 電気素子
W 発電
X 楽器;音響


  ホーム -> 測定; 光学 -> 富士フイルム株式会社

発明の名称 2光子吸収記録材料、2光子吸収光記録方法、2光子吸収光記録再生方法、2光子吸収光記録媒体
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17887(P2007−17887A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−202023(P2005−202023)
出願日 平成17年7月11日(2005.7.11)
代理人 【識別番号】100105647
【弁理士】
【氏名又は名称】小栗 昌平
発明者 滝沢 裕雄
要約 課題
2光子吸収化合物を利用して高感度にて屈折率変調、吸収率変調または発光強度変調による記録後、光を記録材料に照射してその反射率、透過率または発光強度の違いを検出することにより再生することが可能な2光子吸収記録材料を提供する。

解決手段
少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により酸を発生する酸発生剤と、酸により吸収変化を伴う反応を起こすことができる一般式(1)で表される色素前駆体とを有し、該吸収変化による屈折率、吸収率または発光強度の変調を用いて記録する2光子吸収記録材料。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により酸を発生する酸発生剤と、酸により吸収変化を伴う反応を起こすことができる一般式(1)で表される色素前駆体とを有し、該吸収変化による屈折率、吸収率または発光強度の変調を用いて記録することを特徴とする2光子吸収記録材料。
一般式(1)
PD1−AP
一般式(1)中、PD1はAPとの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分を含む基を表し、APは酸によりPD1との結合を切断することができる部位を含む基を表す。
【請求項2】
請求項1記載の2光子吸収記録材料がさらにバインダーポリマーを有することを特徴とする2光子吸収記録材料。
【請求項3】
請求項1の一般式(1)で表される色素前駆体が、中性もしくは塩基性条件下ではPD1−APの結合は切断されずに吸収変化を伴う反応を起こさないことを特徴とする請求項1または2記載の2光子吸収記録材料。
【請求項4】
請求項1の一般式(1)で表される色素前駆体が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
一般式(2)
PD2−X−AP
一般式(2)中、APは一般式(1)と同義である。Xは−O−、−S−、−COO−、−SO−、−P(O)(OR31)O−、−NR32−、−+NR3334−、−N(SO35)−、−N(COR36)−、−CR3738−のいずれかを表し、PD2はXと共に、XとAPの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分を含む基を形成する基を表す。
ここで、R31、R32、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R33、R34、R35はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し、R37、R38はそれぞれ独立に置換基を表す。
【請求項5】
請求項1にて、吸収変化を伴う反応が発色反応であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
【請求項6】
請求項1の一般式(1)のPD1または請求項4の一般式(2)のPD2−Xが、解
離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型ベンジリデン色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素のいずれかの解離体から成る基であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
【請求項7】
前記一般式(2)で表される色素前駆体が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする請求項4〜6のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
【化1】


一般式(3)中、PD2、Xは一般式(2)と同義であり、PD2はXと共に、XとAPの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分であり、−C(=O)(O)a139は酸によりXとの結合を切断することができる部位を表す。R39はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、及びヘテロ環基のうちのいずれかを表し、a1は0または1を表す。
【請求項8】
請求項7の一般式(3)にてR39がt−ブチル基であり、a1が1であることを特徴とする請求項7記載の2光子吸収記録材料。
【請求項9】
請求項1記載の2光子吸収化合物、酸発生剤、色素前駆体に加えさらに、2光子記録光とは異なる光照射または熱印加により塩基を発生することができる塩基発生剤を有することを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
【請求項10】
請求項9にて、塩基発生剤は2光子記録時には塩基を発生しないことを特徴とする請求項9記載の2光子吸収記録材料。
【請求項11】
請求項9にて、2光子記録後における、塩基発生剤から塩基を発生する際の2光子記録光とは異なる光照射または熱印加により、同時に酸発生剤からも酸を発生することができることを特徴とする請求項9または10記載の2光子吸収記録材料。
【請求項12】
少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、酸を発生する酸発生剤と、酸により発色反応を起こすことができるが中性または塩基性下では発色反応を起こさない前記一般式(1)〜(3)で表される色素前駆体とを有し、2光子記録時酸発生による一般式(1)〜(3)で表せる色素前駆体の発色反応による屈折率、吸収率または発光強度変調を用い記録し、さらにその後、2光子記録光とは異なる光の全面照射または熱全面印加により塩基発生剤より塩基を発生させつつ、酸発生剤からも酸を発生させ中和し、2光子記録時の色素前駆体の発色による屈折率、吸収率または発光強度変調による記録を保ったまま、酸発生剤及び塩基発生剤を分解して定着でき、その結果、光を照射して再生する際に、記録を消したり新たな書き込みを起こしたりせずに再生できることを特徴とする2光子吸収光記録再生方法。
【請求項13】
請求項12にて2光子記録後の光全面照射または熱全面印加による定着時に2光子吸収化合物を分解することを特徴とする請求項12記載の2光子吸収光記録再生方法。
【請求項14】
請求項12にて、塩基発生剤は光塩基発生剤であることを特徴とする請求項12または13記載の2光子吸収光記録再生方法。
【請求項15】
請求項1にて、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用した記録が書き換えできない方式であることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
【請求項16】
2光子吸収記録材料に含まれる2光子吸収化合物が、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、フタロシアニン色素、アゾ色素または下記一般式(21)にて表されることを特徴とする、請求項1〜14のいずれかに記載の2光子吸収記録材料。
一般式(21)
【化2】


式中、R101、R102、R103、R104はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R101、R102、R103、R104のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよい。n101およびm101はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n101およびm101が2以上の場合、複数個のR101、R102、R103、R104は同一でもそれぞれ異なってもよい。ただし、n101、m101同時に0となることはない。X101およびX102は独立に、アリール基、ヘテロ環基、または一般式(22)で表される基を表す。
一般式(22)
【化3】


式中、R105は水素原子または置換基を表し、R106は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、Z101は5または6員環を形成する原子群を表す。
【請求項17】
前記シアニン色素が下記一般式(23)にて、メロシアニン色素が下記一般式(24)にて、オキソノール色素が一般式(25)にて表されることを特徴とする、請求項16記載の2光子吸収記録材料。
【化4】


一般式(23)〜(25)中、Za、Za及びZaはそれぞれ5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わし、Za、Za及びZaはそれぞれ5員または6員環を形成する原子群を表わす。Ra、Ra及びRaはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
Ma〜Ma14はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na、na及びnaはそれぞれ0または1であり、ka、及びkaはそれぞれ0〜3の整数を表わす。kaが2以上の時、複数のMa、Maは同じでも異なってもよく、kaが2以上の時、複数のMa12、Ma13は同じでも異なってもよい。kaは0〜8の整数を表わし、kaが2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
【請求項18】
請求項12〜14のいずれかに記載の2光子吸収光記録再生方法から成る2光子吸収3次元光記録再生方法。
【請求項19】
請求項1〜11、15〜17のいずれかに記載の2光子吸収記録材料から成る2光子吸収3次元光記録媒体。
【請求項20】
請求項1〜11、15〜17、19のいずれかに記載の2光子吸収記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする2光子吸収光記録媒体。
【請求項21】
請求項1〜11、15〜18、19、20のいずれかに記載の2光子吸収記録材料に、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収のモル吸光係数が10以下の波長のレーザー光を照射して誘起された2光子吸収を利用して記録を起こすことを特徴とする2光子吸収光記録方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、3次元光記録材料などの高密度光記録媒体、3次元ボリュームディスプレイ等への応用可能な2光子吸収記録材料及び2光子吸収光記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、非線形光学効果とは、印加する光電場の2乗、3乗あるいはそれ以上に比例する非線型な光学応答のことである。近年、3次の非線形光学効果が注目されており、その中でも特に、非共鳴2光子吸収が注目を集めている。2光子吸収とは、化合物が2つの光子を同時に吸収して励起される現象であり、化合物の(線形)吸収帯が存在しないエネルギー領域で2光子の吸収が起こる場合を非共鳴2光子吸収という。なお、以下の記述において特に明記しなくても2光子吸収とは非共鳴2光子吸収を指す。
【0003】
ところで、非共鳴2光子吸収の効率は印加する光電場の2乗に比例する(2光子吸収の2乗特性)。このため、2次元平面にレーザーを照射した場合においては、レーザースポットの中心部の電界強度の高い位置のみで2光子の吸収が起こり、周辺部の電界強度の弱い部分では2光子の吸収は全く起こらない。一方、3次元空間においては、レーザー光をレンズで集光した焦点の電界強度の大きな領域でのみ2光子吸収が起こり、焦点から外れた領域では電界強度が弱いために2光子吸収が全く起こらない。印加された光電場の強度に比例してすべての位置で励起が起こる線形吸収に比べて、非共鳴2光子吸収では、この2乗特性に由来して空間内部の1点のみで励起が起こるため、空間分解能が著しく向上する。
通常、非共鳴2光子吸収を誘起する場合には、化合物の(線形)吸収帯が存在する波長領域よりも長波長でかつ吸収の存在しないレーザーを用いることが多い。透明領域のレーザーを用いるため、レーザー光が吸収や散乱を受けずに試料内部まで到達でき、非共鳴2光子吸収の2乗特性のために試料内部の1点を極めて高い空間分解能で励起できる。その点が通常の1光子(線形)吸収に対する大きな利点となる。
【0004】
一方、従来から、レーザー光により一回限りの情報の記録が可能な光情報記録媒体(光ディスク)が知られており、追記型CD(いわゆるCD−R)、追記型DVD(いわゆるDVD−R)などが実用化されている。
例えば、DVD−Rの代表的な構造は、照射されるレーザー光のトラッキングのための案内溝(プレグルーブ)がCD−Rに比べて半分以下(0.74〜0.8μm)と狭く形成された透明な円盤状基板上に、色素からなる記録層、そして通常は該記録層の上に光反射層、そして更に必要により保護層からなる。
DVD−Rへの情報の記録は、可視レーザー光(通常は630nm〜680nmの範囲)を照射し、記録層の照射部分がその光を吸収して局所的に温度上昇し、物理的あるいは化学的変化(例えば、ピットの生成)が生じてその光学的特性を変えることにより行われる。一方、情報の読み取り(再生)もまた記録用のレーザー光と同じ波長のレーザー光を照射することにより行われ、記録層の光学的特性が変化した部位(記録部分)と変化しない部位(未記録部分)との反射率の違いを検出することにより情報が再生される。この反射率の違いはいわゆる「屈折率の変調」に基づくものである。
【0005】
最近、インターネット等のネットワークやハイビジョンTVが急速に普及している。また、HDTV(High Definition Television)の放映も間近にひかえて、民生用途においても50GB以上、好ましくは100GB以上の画像情報を安価簡便に記録するための大容量記録媒体の要求が高まっている。
さらにコンピューターバックアップ用途、放送バックアップ用途等、業務用途においては、1TB程度あるいはそれ以上の大容量の情報を高速かつ安価に記録できる光記録媒体が求められている。
そのような中、DVD−Rのような従来の2次元光記録媒体は物理原理上、たとえ記録再生波長を短波長化したとしてもせいぜい片面25GB程度で、将来の要求に対応できる程の充分大きな記録容量が期待できるとは言えない状況である。
【0006】
そのような状況の中、究極の高密度、高容量記録媒体として、3次元光記録媒体が俄然注目されてきている。3次元光記録媒体は、3次元(膜厚)方向に何十、何百層もの記録を重ねることで、従来の2次元記録媒体の何十、何百倍もの超高密度、超高容量記録を達成しようとするものである。3次元光記録媒体を提供するためには、3次元(膜厚)方向の任意の場所にアクセスして書き込みできなければならないが、その手段として、2光子吸収材料を用いる方法とホログラフィ(干渉)を用いる方法とがある。
2光子吸収材料を用いる3次元光記録媒体では、上記で説明した物理原理に基づいて何十、何百倍にもわたっていわゆるビット記録が可能であって、より高密度記録が可能であり、まさに究極の高密度、高容量光記録媒体であると言える。
2光子吸収材料を用いた3次元光記録媒体としては、記録再生に蛍光性物質を用いて蛍光で読み取る方法(レウ”ィッチ、ユージーン、ポリス他、特表2001−524245号[特許文献1]、パベル、ユージエン他、特表2000−512061号[特許文献2])、フォトクロミック化合物を用いて吸収または蛍光で読み取る方法(コロティーフ、ニコライ・アイ他、特表2001−522119号[特許文献3]、アルセノフ、ウ”ラディミール他、特表2001−508221号[特許文献4])等が提案されているが、いずれも具体的な2光子吸収材料の提示はなく、また抽象的に提示されている2光子吸収化合物の例も2光子吸収効率の極めて小さい2光子吸収化合物を用いている。さらに、これらの特許文献にて用いているフォトクロミック化合物は可逆材料であるため、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えない。
特に非破壊読出し、記録の長期保存性等の点では、不可逆材料を用いて反射率または透過率(屈折率または吸収率)または発光強度の変化で再生するのが好ましいが、このような機能を有する2光子吸収材料を具体的に開示している例はなかった。
また、河田聡、川田善正、特開平6−28672号[特許文献5]、河田聡、川田善正他、特開平6−118306号[特許文献6]には、屈折率変調により3次元的に記録する記録装置、及び再生装置、読み出し方法等が開示されているが、2光子吸収3次元光記録材料を用いた方法についての記載はない。
【特許文献1】特表2001−524245号公報
【特許文献2】特表2000−512061号公報
【特許文献3】特表2001−522119号公報
【特許文献4】特表2001−508221号公報
【特許文献5】特開平6−28672号公報
【特許文献6】特開平6−118306号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上に述べたように、非共鳴2光子吸収により得た励起エネルギーを用いて反応を起こし、その結果レーザー焦点(記録)部と非焦点(非記録)部で屈折率、吸収率または発光強度を変調することができれば、3次元空間の任意の場所に極めて高い空間分解能で記録することができ、究極の高密度記録媒体と考えられる3次元光記録媒体への応用が可能となる。
しかし、現時点で利用可能な2光子吸収化合物では、2光子吸収能が低いため、光源としては非常に高出力のレーザーが必要で、かつ記録時間も長くかかる。
特に3次元光記録媒体に使用するためには、速い転送レート達成のために、記録を高感度にて2光子吸収により行うことができる2光子吸収3次元光記録材料の構築が必須である。そのためには、高効率に2光子を吸収し励起状態を生成することができる2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態を用いて何らかの方法にて2光子吸収光記録材料の屈折率、吸収率または発光強度の違いを効率的に形成できる記録成分を含む材料が有力であるが、そのような材料は今まで開示されておらず、そのような材料の構築が望まれていた。
また、公知の2光子吸収光記録方法の多くは可逆材料であるフォトクロミック化合物を用いており、非破壊読み出し、記録の長期保存性、再生のS/N比等に問題があり、光記録媒体として実用性のある方式であるとは言えなかった。
【0008】
そこで本発明の目的は、2光子吸収断面積が大きい2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して高感度にて屈折率変調、吸収率変調または発光強度変調による記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率、透過率または発光強度の違いを検出することにより再生することを特徴とする2光子吸収光記録再生方法及びそのような記録再生が可能な2光子吸収記録材料を提供するものである。
さらに、非破壊読み出し、記録の長期保存性等を改良した2光子吸収記録材料を提供するものである。
さらに、それらを用いた2光子吸収3次元光記録材料及び2光子吸収3次元光記録方法及び再生方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明者らの鋭意検討の結果、本発明の上記目的は、下記の手段により達成された。
【0010】
(1)少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により酸を発生する酸発生剤と、酸により吸収変化を伴う反応を起こすことができる一般式(1)で表される色素前駆体とを有し、該吸収変化による屈折率、吸収率または発光強度の変調を用いて記録することを特徴とする2光子吸収記録材料。
【0011】
一般式(1)
PD1−AP
【0012】
一般式(1)中、PD1はAPとの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分を含む基を表し、APは酸によりPD1との結合を切断することができる部位を含む基を表す。
(2)(1)記載の2光子吸収記録材料がさらにバインダーポリマーを有することを特徴とする2光子吸収記録材料。
(3)(1)の一般式(1)で表される色素前駆体が、中性もしくは塩基性条件下ではPD1−APの結合は切断されずに吸収変化を伴う反応を起こさないことを特徴とする(1)または(2)記載の2光子吸収記録材料。
(4)(1)の一般式(1)で表される色素前駆体が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする(1)〜(3)記載の2光子吸収記録材料。
【0013】
一般式(2)
PD2−X−AP
【0014】
一般式(2)中、APは一般式(1)と同義である。Xは−O−、−S−、−COO−、−SO−、−P(O)(OR31)O−、−NR32−、−+NR3334−、−N(SO35)−、−N(COR36)−、−CR3738−のいずれかを表し、PD2はXと共に、XとAPの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分を含む基を形成する基を表す。
ここで、R31、R32、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、R33、R34、R35はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、R37、R38はそれぞれ独立に置換基を表す。
(5)(4)の一般式(2)にて、Xは−O−、−S−、−NR32−、−N(SO35)−、−N(COR36)−、−CR3738−のいずれかを表すことを特徴とする(4)記載の2光子吸収記録材料。
(6)(4)の一般式(2)にて、Xは−O−であることを特徴とする(4)記載の2光子吸収記録材料。
(7)(1)にて、吸収変化を伴う反応が発色反応であることを特徴とする(1)〜(6)記載の2光子吸収記録材料。
(8)(1)の一般式(1)のPD1または(4)の一般式(2)のPD2−Xが、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型ベンジリデン色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素のいずれかの解離体から成る基であることを特徴とする(1)〜(7)記載の2光子吸収記録材料。
(9)(1)の一般式(1)のPD1または(4)の一般式(2)のPD2−Xが、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型ベンジリデン色素のいずれかの解離体から成る基であることを特徴とする(8)記載の2光子吸収記録材料。
(10)(1)の一般式(1)のPD1または(4)のPD2−Xが、解離型アゾ色素、解離型ベンジリデン色素のいずれかの解離体から成る基であることを特徴とする(8)記載の2光子吸収記録材料。
(11)(4)の一般式(2)で表される色素前駆体が、下記一般式(3)で表されることを特徴とする(4)〜(10)記載の2光子吸収記録材料。
【0015】
【化1】


【0016】
一般式(3)中、PD2、Xは一般式(2)と同義であり、PD2はXと共に、XとAPの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分であり、−C(=O)(O)nR39は酸によりXとの結合を切断することができる部位を表す。R39はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、a1は0または1を表す。
(12)(11)の一般式(3)にて、a1が1であることを特徴とする(11)記載の2光子吸収記録材料。
(13)(11)の一般式(3)にてR39がt−ブチル基であり、a1が1であることを特徴とする(11)記載の2光子吸収記録材料。
(14)(1)記載の2光子吸収化合物、酸発生剤、色素前駆体に加えさらに、2光子記録光とは異なる光照射または熱印加により塩基を発生することができる塩基発生剤を有することを特徴とする(1)〜(13)記載の2光子吸収記録材料。
(15)(14)にて、塩基発生剤は2光子記録時には塩基を発生しないことを特徴とする(14)記載の2光子吸収記録材料。
(16)(14)にて、2光子記録後における、塩基発生剤から塩基を発生する際の2光子記録光とは異なる光照射または熱印加により、同時に酸発生剤からも酸を発生することができることを特徴とする(14)または(15)記載の2光子吸収記録材料。
(17)少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、酸を発生する酸発生剤と、酸により発色反応を起こすことができるが中性または塩基性下では発色反応を起こさない一般式(1)〜(3)で表される色素前駆体とを有し、2光子記録時酸発生による一般式(1)〜(3)で表せる色素前駆体の発色反応による屈折率、吸収率または発光強度変調を用い記録し、さらにその後、2光子記録光とは異なる光の全面照射または熱全面印加により塩基発生剤より塩基を発生させつつ、酸発生剤からも酸を発生させ中和し、2光子記録時の色素前駆体の発色による屈折率、吸収率または発光強度変調による記録を保ったまま、酸発生剤及び塩基発生剤を分解して定着でき、その結果、光を照射して再生する際に、記録を消したり新たな書き込みを起こしたりせずに再生できることを特徴とする2光子吸収光記録再生方法。
(18)(17)にて2光子記録後の光全面照射または熱全面印加による定着時に2光子吸収化合物を分解することを特徴とする(17)記載の2光子吸収光記録再生方法。
(19)(17)にて、塩基発生剤は光塩基発生剤であることを特徴とする(17)または(18)記載の2光子吸収光記録再生方法。
(20)(1)にて、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用した記録が書き換えできない方式であることを特徴とする(1)〜(16)記載の2光子吸収記録材料。
(21)2光子吸収記録材料に含まれる2光子吸収化合物が、シアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、フタロシアニン色素、アゾ色素または下記一般式(21)にて表されることを特徴とする、(1)〜(20)記載の2光子吸収記録材料。
一般式(21)
【0017】
【化2】


【0018】
式中、R101、R102、R103、R104はそれぞれ独立に、水素原子、または置換基を表し、R101、R102、R103、R104のうちのいくつかが互いに結合して環を形成してもよい。n101およびm101はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、n101およびm101が2以上の場合、複数個のR101、R102、R103、R104は同一でもそれぞれ異なってもよい。ただし、n101、m101同時に0となることはない。X101およびX102は独立に、アリール基、ヘテロ環基、または一般式(22)で表される基を表す。
一般式(22)
【0019】
【化3】


【0020】
式中、R105は水素原子または置換基を表し、R106は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表し、Z101は5または6員環を形成する原子群を表す。
(22)(21)にて、シアニン色素が下記一般式(23)にて、メロシアニン色素が下記一般式(24)にて、オキソノール色素が一般式(25)にて表されることを特徴とする、(21)記載の2光子吸収記録材料。
【0021】
【化4】


【0022】
一般式(23)〜(25)中、Za、Za及びZaはそれぞれ5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わし、Za、Za及びZaはそれぞれ5員または6員環を形成する原子群を表わす。Ra、Ra及びRaはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基を表す。
Ma〜Ma14はそれぞれ独立にメチン基を表わし、置換基を有していても良く、他のメチン基と環を形成しても良い。na、na及びnaはそれぞれ0または1であり、ka、及びkaはそれぞれ0〜3の整数を表わす。kaが2以上の時、複数のMa、Maは同じでも異なってもよく、kaが2以上の時、複数のMa12、Ma13は同じでも異なってもよい。kaは0〜8の整数を表わし、kaが2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
(23)(17)〜(19)記載の2光子吸収光記録再生方法から成る2光子吸収3次元光記録再生方法。
(24)(1)〜(16)、(20)〜(22)記載の2光子吸収記録材料から成る2光子吸収3次元光記録媒体。
(25)(1)〜(16)、(20)〜(22)、(24)記載の2光子吸収記録材料が、記録光及び再生光以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターを2光子吸収記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることを特徴とする2光子吸収記録材料。
(24)(1)〜(16)、(20)〜(22)、(24)、(25)記載の2光子吸収記録材料が保存時に遮光カートリッジ内に保存されていることを特徴とする2光子吸収光記録媒体。
(25)(1)〜(16)、(20)〜(22)、(24)〜(26)記載の2光子吸収記録材料に、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形吸収のモル吸光係数が10以下の波長のレーザー光を照射して誘起された2光子吸収を利用して記録を起こすことを特徴とする2光子吸収光記録方法。
【発明の効果】
【0023】
本発明の2光子吸収記録材料及び光記録再生方法を用いることにより、再生光を照射しても劣化が起こらない、すなわち非破壊再生が可能で保存性に優れることがわかる。
また本発明の2光子吸収化合物は2光子吸収断面積(感度)が大きいため、それを用いた本発明の2光子吸収記録材料を用いることにより、高感度にて2光子吸収による屈折率変調、吸収率変調または発光強度変調による記録を行うことができる。
さらに、本発明の2光子吸収記録材料を用いることで、2光子吸収3次元光記録及び再生が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下に本発明の2光子吸収記録材料、2光子吸収光記録方法、2光子吸収光記録再生方法について詳しく説明する。
【0025】
本発明の2光子吸収光記録再生方法としては、2光子吸収化合物を有する2光子吸収記録材料に、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して屈折率変調または吸収率変調による記録を行った後、光を記録材料に照射してその反射率の違いを検出することにより再生する方法が好ましい。
また一方で、2光子吸収化合物を有する2光子吸収記録材料に、2光子吸収化合物の2光子吸収を利用して発光能変調による記録を行った後、光を記録材料に照射してその発光強度の違いを検出することにより再生する方法が好ましい。
その際発光は蛍光でもりん光でも良いが、蛍光であることが発光効率の点で好ましい。
【0026】
本発明の2光子吸収記録材料は、少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により酸を発生する酸発生剤と、酸により吸収変化を伴う反応を起こすことができる一般式(1)で表される色素前駆体とを有し、該吸収変化による屈折率、吸収率または発光強度の変調を用いて記録することができることを特徴とする2光子吸収記録材料である。
【0027】
一般式(1)
PD1−AP
【0028】
一般式(1)中、PD1はAPとの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分を含む基を表し、APは酸によりPD1との結合を切断することができる部位を含む基を表す。
【0029】
本発明の2光子吸収記録材料においては、レーザー焦点部分と非焦点部分にて屈折率を変調できることが重要である。
ここで、色素の屈折率は一般に、吸収極大波長(λmax)付近からそれより長波長な領域で高い値を取り、特にλmaxからλmaxより200nm程長波長な領域において非常に高い値を取り、色素によっては1.8を超え、場合によっては2を超えるような高い値をとる。その一方で、バインダーポリマー等の色素ではない有機化合物は通常1.4〜1.6程度の屈折率である。
そこで、本発明の2光子吸収記録材料においては、2光子記録光を吸収して生成した2光子吸収励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により酸発生剤から酸を発生させ、一般式(1)で表される色素前駆体を反応させてその吸収変化による屈折率、吸収率または発光強度の変調を用いて記録する方法が好ましい。
【0030】
ここで一般式(1)で表され色素前駆体の吸収変化は発色反応であることが、屈折率変調量が大きい観点で好ましい。
本発明にて発色反応とは、200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光の領域にて、吸収スペクトル形が変化するような反応を示し、より好ましくは吸収スペクトルにおいてλmaxが長波長化、εが増大のいずれかが起こるような反応を示し、さらに好ましくはその両方が起こるような反応を示す。また、発色反応は200〜1000nmの波長領域で起こることがより好ましく、300〜900nmの波長領域で起こることがさらに好ましい。
【0031】
さらに、大きな屈折率変調を与えるたには、本発明の色素前駆体は、2光子記録後、2光子記録波長に吸収を有さず、2光子記録波長と2光子記録波長から300nm短波長な波長の間の領域に、吸収極大を有する発色体となることが好ましく、2光子記録波長と2光子記録波長から200nm短波長な波長の間の領域に吸収極大を有する発色体となることがより好ましい。
【0032】
なお、本発明の2光子吸収記録材料は、湿式処理を行わないことが好ましい。
本発明の2光子吸収記録材料は、書き換えできない方式であることが好ましい。なおここで、書き換えできない方式とは、不可逆反応により記録される方式であり、一度記録されたデータは、さらに上書き記録して書き換えしようとしても書き換えされることなく保存できる方式を示す。したがって重要でかつ長期保存が必要なデータの保存に適する。ただし無論、まだ記録されていない領域に新たに追記して記録していくことは可能である。そのような意味で、一般には「追記型」または「ライトワンス型」と呼ばれる。
【0033】
本発明の2光子吸収記録材料の記録にはレーザーを用いることが好ましい。本発明に用いる光は好ましくは波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかであり、より好ましくは波長300〜1000nmの紫外光、可視光または赤外光であり、さらに好ましくは400〜800nmの可視光または赤外光である。
用いることができるレーザーは特に限定されないが、具体的には、中心波長1000nm付近に発振波長を有するTi−サファイア等の固体レーザーやファイバーレーザー、780nm付近の発振波長を有するCD−Rなどでも用いられている半導体レーザーや固体レーザー、ファイバーレーザー、620〜680nmの範囲の発振波長を有するDVD−Rなどでも用いられているAlGaInP等の半導体レーザーや固体レーザー、400〜415nm付近の発振波長を有するGaNやInGaN等の半導体レーザーなどを好ましく用いることができる。
また他にも、可視光域に発振波長を有するYAG・SHGレーザーなどの固体SHGレーザー、半導体SHGレーザーなども好ましく用いることができる。
本発明に用いるレーザーはパルス発振レーザーであってもCWレーザーであっても良い。
【0034】
なお、本発明の2光子吸収記録材料に記録を行う際は、2光子吸収化合物の有する線形吸収帯よりも長波長でかつ線形(1光子)吸収のモル吸光係数が10以下の波長のレーザー光を照射して誘起された2光子吸収を利用して記録を起こすことが好ましく、1以下であることがより好ましく、0.1以下であることがさらに好ましく、線形吸収がないことが最も好ましい。
【0035】
再生の際使用する光は、例えば上記レーザー光であることが好ましい。また、パワーまたはパルス形状は同じか異なるものの、記録時と同じ波長のレーザーを用いて再生することがより好ましい。
また、再生の際使用する光として、カーボンアーク、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、蛍光ランプ、タングステンランプ、LED、有機ELなども挙げられる。特定の波長域の光を照射するために、必要に応じてシャープカットフィルターやバンドパスフィルター、回折格子等を用いることも好ましい。
【0036】
本発明の2光子吸収記録材料にて、記録により生成する反応部または発色部の大きさは10nm〜100μmの範囲内であることが好ましく、50nm〜5μmの範囲であることがより好ましく、50nm〜2μmの範囲であることがさらに好ましい。
また、記録材料の再生を可能にするためには、反応部または発色部の大きさは照射光波長の1/20〜20倍の大きさであることが好ましく、1/10〜10倍の大きさであることがより好ましく、1/5〜5倍の大きさであることが最も好ましい。
【0037】
なお、本発明の2光子吸収記録材料において、2光子吸収を行うことにより起こる化学反応、発色反応等は熱分解によらない反応、すなわちフォトンモードにて起こることが特に高感度化の点で好ましい。
すなわち、既存のCD−RやDVD−Rにて実用されている方法とは異なる機構で記録することが、特に記録材料における書き込み転送速度を考える際に好ましい。
【0038】
本発明の2光子吸収光記録再生方法は、DVD−R、DVD−BL(BD)のような光記録再生方法、近接場光記録再生方法、3次元光記録再生方法、3次元ボリュームディスプレイ記録再生方法等に用いることが好ましいが、より好ましくは3次元光記録再生方法に用いることが好ましい。すなわち、本発明の2光子吸収光記録再生方法は、2光子吸収3次元光記録再生方法または2光子吸収3次元ボリュームディスプレイ記録再生方法に用いることが好ましい。
同様に、本発明の2光子吸収記録材料は、DVD−R、DVD−BL(BD)のような光記録媒体、近接場光記録媒体、3次元光記録媒体、3次元ボリュームディスプレイ記録材料等に用いることが好ましいが、より好ましくは3次元光記録材料(媒体)に用いることが好ましい。すなわち、本発明の2光子吸収記録材料は、2光子吸収3次元光記録媒体または2光子吸収3次元ボリュームディスプレイ記録材料に用いることが好ましい。
【0039】
なお、本発明の2光子吸収記録材料を光記録媒体に用いる際は、保存時2光子吸収記録材料は遮光カートリッジ内に保存されていることが好ましい。また、記録光及び再生光波長以外の紫外光、可視光、赤外光の波長域の一部をカットすることができる遮光フィルターを2光子吸収記録材料の表面、裏面またはその両面に備え付けていることも好ましい。
【0040】
本発明の2光子吸収記録材料を光記録媒体に用いる際は、光記録媒体はディスク状でもカード状でもテープ状であっても良く、その他いかなる形状であっても良い。
【0041】
また、本発明の2光子吸収化合物及び2光子吸収記録材料は3光子以上の多光子吸収を行っても構わない。
【0042】
以下に、本発明の一般式(1)で表される色素前駆体について、さらに詳しく説明する。
【0043】
なお、本発明において、特定の部分を「基」と称した場合には、特に断りの無い限りは、一種以上の(可能な最多数までの)置換基で置換されていても、置換されていなくても良いことを意味する。例えば、「アルキル基」とは置換または無置換のアルキル基を意味する。また、本発明における化合物に使用できる置換基は、置換可能などのような置換基でも良い。
また、本発明において、特定の部分を「環」と称した場合、あるいは「基」に「環」が含まれる場合は、特に断りの無い限りは単環でも縮環でも良く、置換されていても置換されていなくても良い。
例えば、「アリール基」はフェニル基でもナフチル基でも良く、置換フェニル基でも良い。
【0044】
一般式(1)で表される色素前駆体は、中性もしくは塩基性条件下ではPD1−APの結合は切断されずに吸収変化を伴う反応を起こさず、酸性条件下でのみ吸収変化を伴う反応、好ましくは発色を起こすことが好ましい。
【0045】
一般式(1)で表される本発明の色素前駆体は、下記一般式(2)で表されることがより好ましい。
【0046】
一般式(2)
PD2−X−AP
【0047】
一般式(2)中、APは一般式(1)と同義である。Xは−O−、−S−、−COO−、−SO−、−P(O)(OR31)O−、−NR32−、−+NR3334−、−N(SO35)−、−N(COR36)−、−CR3738−のいずれかを表し、PD2はXと共に、XとAPの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分を含む基を形成する基を表す。
ここで、R31、R32、R36はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)を表し、好ましくは水素原子、アルキル基またはアリール基である。R33、R34、R35はそれぞれ独立にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表し(以上好ましい例はR32に挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基を表す。
37、R38はそれぞれ独立に置換基を表し、置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ニトロフェニル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル、3,5−ジメトキシベンゾイル、4−メトキシベンゾイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)、であり、より好ましくは電子求引性基であることが好ましく、さらに好ましくは、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ニトロ基、アシル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
【0048】
一般式(2)にて、Xは−O−、−S−、−NR32−、−N(SO35)−、−N(COR36)−、−CR3738−のいずれかであることが好ましく、−O−または−NR32−であることがより好ましく、−O−であることが最も好ましい。
【0049】
ここで、一般式(1)のPD1または一般式(2)のPD2−Xは、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型ベンジリデン色素、解離型キサンテン色素、解離型フルオラン色素、解離型トリフェニルメタン型色素のいずれかの解離体から成る基であることが好ましい。
なお、解離型色素とは、色素クロモフォア上にpKa12以下、より好ましくはpKa10以下の解離してプロトンを放出しやすい解離基を有しており、非解離型から解離型になることにより、吸収が長波長化、あるいは無色から有色となる化合物のことである。解離基として好ましくは、OH基、SH基、COOH基、PO(OR31)H基、SOH基、NHR32基、NR3334H+基、NHSO35基、−N(COR36)基、−CHR3738基が挙げられる。R31〜R38は前記と同義である。
一般式(1)のPD1または一般式(2)のPD2−Xは、解離型アゾ色素、解離型アゾメチン色素、解離型オキソノール色素、解離型ベンジリデン色素のいずれかの解離体から成る基であることがより好ましく、解離型アゾ色素、解離型ベンジリデン色素のいずれかの解離体から成る基であることが最も好ましい。
【0050】
さらに本発明の一般式(1)で表される色素前駆体は、下記一般式(3)で表されることがより好ましい。
【0051】
【化5】


【0052】
一般式(3)中、PD2、Xは一般式(2)と同義であり、PD2はXと共に、XとAPの結合が切断されることにより吸収変化を起こす成分である。
【0053】
一般式(3)中、−C(=O)(O)a139は酸によりXとの結合を切断することができる部位を表す。R39はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表す。
【0054】
一般式(3)中、a1は0または1を表し、好ましくは1を表す。
【0055】
一般式(3)中、R39はアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基のいずれかを表し、(以上好ましい例はR32に挙げた例に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基を表す。
a1が1の時、R39はより好ましくはアルキル基を表し、最も好ましくはt−ブチル基を表す。
【0056】
なお、本発明の2光子吸収記録材料において、色素前駆体が一般式(3)で表され、a1が1でR39がt−ブチル基である場合などは、下記の通り酸により色素前駆体のX−C(=O)結合が酸により切断されて吸収変化、好ましくは発色反応が起こった後、再び酸が自己増殖的に再生するため記録感度上好ましい。
【0057】
【化6】


【0058】
以下に、一般式(1)〜(3)で表される本発明の色素前駆体の好ましい例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0059】
【化7】


【0060】
【化8】


【0061】
【化9】


【0062】
【化10】


【0063】
次に、本発明の2光子吸収記録材料に用いる2光子吸収化合物について詳しく説明する。
【0064】
本発明の2光子吸収化合物は、非共鳴2光子吸収(化合物の(線形)吸収帯が存在しないエネルギー領域で2つの光子を同時に吸収して励起される現象)を行う化合物である。
2光子吸収記録材料、特に2光子吸収3次元光記録材料に応用する際は、速い転送(記録)速度達成のために、高感度にて2光子吸収を行って励起状態を効率良く生成することができる2光子吸収化合物が必要である。
2光子吸収化合物が2光子吸収を行う効率は2光子吸収断面積δで表され、1GM=1×10−50cms/photonで定義される。本発明の2光子吸収記録材料における2光子吸収化合物の2光子吸収断面積δは100GM以上であることが、書き込み速度向上、レーザー小型化・安価化等の点で好ましく、1000GM以上であることがより好ましく、5000GM以上であることがより好ましく、10000GM以上であることが最も好ましい。
【0065】
本発明の2光子吸収化合物は好ましくは有機化合物である。
2光子吸収化合物して好ましくは、波長200〜2000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかを2光子吸収して励起状態を生成するものであり、より好ましくは波長400〜1100nmの可視光または赤外光を吸収して励起状態を生成するものであり、さらに好ましくは400〜800nmの可視光または赤外光を吸収して励起状態を生成するものである。
【0066】
本発明の2光子吸収化合物は、波長200〜1000nmの紫外光、可視光、赤外光のいずれかに線形吸収を有すること、つまり色素であることが好ましく、波長200〜700nmの紫外光、可視光のいずれかに線形吸収を有することがより好ましい。
【0067】
本発明における2光子吸収化合物としてはいかなるものでも良いが、例えば、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、3核メロシアニン色素、4核メロシアニン色素、ロダシアニン色素、コンプレックスシアニン色素、コンプレックスメロシアニン色素、アロポーラー色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、ヘミオキソノール色素、スクアリウム色素、クロコニウム色素、アズレニウム色素、クマリン色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、アントラキノン色素、キノン色素、トリフェニルメタン色素、ジフェニルメタン色素、キサンテン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、アゾメチン色素、フルオレノン色素、ジアリールエテン色素、スピロピラン色素、フルギド色素、ペリレン色素、フタロペリレン色素、インジゴ色素、ポリエン色素、アクリジン色素、アクリジノン色素、ジフェニルアミン色素、キナクリドン色素、キノフタロン色素、ポルフィリン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、縮環芳香族系色素、スチレン系色素、メタロセン色素、金属錯体色素、フェニレンビニレン色素、またはスチルバゾリウム色素が好ましく、より好ましくは、シアニン色素、ヘミシアニン色素、ストレプトシアニン色素、スチリル色素、ピリリウム色素、メロシアニン色素、アリーリデン色素、オキソノール色素、スクアリウム色素、ケトクマリン色素、スチリルクマリン色素、ピラン色素、チオキサンテン色素、フェノチアジン色素、フェノキサジン色素、フェナジン色素、アゾ色素、ポリエン色素、アザポルフィリン色素、クロロフィル色素、フタロシアニン色素、または金属錯体色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、オキソノール色素、アゾ色素、またはフタロシアニン色素であり、さらに好ましくはシアニン色素、メロシアニン色素、またはオキソノール色素であり、最も好ましくはシアニン色素である。
【0068】
本発明の2光子吸収化合物がシアニン色素の時、好ましくは一般式(23)にて表わされる。
【0069】
一般式(23)中、Za及びZaはそれぞれ5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わす。形成される5員または6員の含窒素複素環として好ましくは炭素原子数(以下C数という)3〜25のオキサゾール核(例えば、2−3−エチルオキサゾリル、2−3−スルホプロピルオキサゾリル、2−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−3−エチルベンゾオキサゾリル、2−3−スルホプロピル−γ−ナフトオキサゾリル、2−3−エチル−α−ナフトオキサゾリル、2−3−メチル−β−ナフトオキサゾリル、2−3−スルホプロピル−β−ナフトオキサゾリル、2−5−クロロ−3−エチル−α−ナフトオキサゾリル、2−5−クロロ−3−エチルベンゾオキサゾリル、2−5−クロロ−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5、6−ジクロロ−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5−ブロモ−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−3−エチル−5−フェニルベンゾオキサゾリル、2−5−フェニル−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5−(4−ブロモフェニル)−3−スルホブチルベンゾオキサゾリル、2−5−(1−ピロリル)−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−5,6−ジメチル−3−スルホプロピルベンゾオキサゾリル、2−3−エチル−5−メトキシベンゾオキサゾリル、2−3−エチル−5−スルホベンゾオキサゾリルなどが挙げられる)、C数3〜25のチアゾール核(例えば、2−3−エチルチアゾリル、2−3−スルホプロピルチアゾリル、2−3−エチルベンゾチアゾリル、2−3−スルホプロピルベンゾチアゾリル、2−3−メチル−β−ナフトチアゾリル、2−3−スルホプロピル−γ−ナフトチアゾリル、2−3,5−ジメチルベンゾチアゾリル、2−5−クロロ−3−エチルベンゾチアゾリル、2−5−クロロ−3−スルホプロピルベンゾチアゾリル、2−3−エチル−5−ヨードベンゾチアゾリル、2−5−ブロモ−3−メチルベンゾチアゾリル、2−3−エチル−5−メトキシベンゾチアゾリル、2−5−フェニル−3−スルホプロピルベンゾチアゾリルなどが挙げられる)、C数3〜25のイミダゾール核(例えば、2−1,3−ジエチルイミダゾリル、2−5,6−ジクロロ−1,3−ジエチルベンゾイミダゾリル、2−5、6−ジクロロ−3−エチル−1−スルホプロピルベンゾイミダゾリル、2−5−クロロ−6−シアノ−1,3−ジエチルベンゾイミダゾリル、2−5−クロロ−1,3−ジエチル−6−トリフルオロメチルベンゾイミダゾリルなどが挙げられる)、C数10〜30のインドレニン核(例えば、3,3−ジメチル−1−ペンチルインドレニン、3,3、−ジメチル−1−スルホプロピルインドレニン、5−カルボキシ−1、3,3−トリメチルインドレニン、5−カルバモイル−1、3,3−トリメチルインドレニン、1,3,3,−トリメチル−4,5−ベンゾインドレニンなどが挙げられる)、C数9〜25のキノリン核(例えば、2−1−エチルキノリル、2−1−スルホブチルキノリル、4−1−ペンチルキノリル、4−1−スルホエチルキノリル、4−1−メチル−7−クロロキノリル、などが挙げられる)、C数3〜25のセレナゾール核(例えば、2−3−メチルベンゾセレナゾリルなどが挙げられる)、C数5〜25のピリジン核(例えば、2−ピリジルなどが挙げられる)などが挙げられ、さらに他にチアゾリン核、オキサゾリン核、セレナゾリン核、テルラゾリン核、テルラゾール核、ベンゾテルラゾール核、イミダゾリン核、イミダゾ[4,5−キノキザリン]核、オキサジアゾール核、チアジアゾール核、テトラゾール核、ピリミジン核を挙げることができる。
【0070】
これらは置換されても良く、置換基として好ましくは例えば、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、アルキニル基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、アシルアミノ基、イミノ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイルアミノ基であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。
【0071】
これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。縮環する環として好ましくはベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環等が挙げられる。
【0072】
Za及びZaにより形成される5員または6員の含窒素複素環としてより好ましくは、オキサゾール核、イミダゾール核、チアゾール核、インドレニン核であり、さらに好ましくはオキサゾール核、イミダゾール核、インドレニン核であり、最も好ましくはオキサゾール核であり、特にベンゾオキサゾール核が好ましい。
【0073】
Ra及びRaはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、またはヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)であり、より好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)またはスルホアルキル基(好ましくは3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル)である。
【0074】
Ma〜Maはそれぞれメチン基を表わし、置換基を有していても良く(好ましい置換基の例はZa及びZa上の置換基の例と同じ)、置換基として好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、シアノ基などが挙げられ、置換基としてより好ましくはアルキル基である。
Ma〜Maは無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、またはメチル基置換のメチン基である。
Ma〜Maは互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0075】
na及びnaは0または1であり、好ましくは共に0である。
kaは0〜3の整数を表わし、より好ましくはkaは0〜2を表し、さらに好ましくはkaは1または2を表す。
kaが2以上の時、複数のMa、Maは同じでも異なってもよい。
【0076】
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
【0077】
本発明の2光子吸収化合物がメロシアニン色素の時、好ましくは一般式(24)で表わされる。
【0078】
一般式(24)中、Zaは5員または6員の含窒素複素環を形成する原子群を表わし(好ましい例はZa、Zaと同じ)、これらは置換されても良く(好ましい置換基の例はZa、Za上の置換基の例と同じ))、これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。
【0079】
Zaにより形成される5員または6員の含窒素複素環としてより好ましくは、オキサゾール核、イミダゾール核、チアゾール核、またはインドレニン核であり、さらに好ましくはベンゾオキサゾール核、ベンゾチアゾール核、またはインドレニン核である。
【0080】
Zaは5員または6員環を形成する原子群を表わす。Zaから形成される環は一般に酸性核と呼ばれる部分であり、James 編、The Theory of the Photographic Process、第4版、マクミラン社、1977年、第198頁により定義される。
Zaとして好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、イミダゾリン−5−オン、ヒダントイン、2または4−チオヒダントイン、2−イミノオキサゾリジン−4−オン、2−オキサゾリン−5−オン、2−チオオキサゾリン−2,4−ジオン、イソローダニン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、インドリン−2−オン、インドリン−3−オン、2−オキソインダゾリウム、5,7−ジオキソ−6,7−ジヒドロチアゾロ〔3,2−a 〕ピリミジン、3,4−ジヒドロイソキノリン−4−オン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリンー2,4−ジオン、インダゾリン−2−オン、ピリド[1,2−a]ピリミジン−1,3−ジオン、ピラゾロ〔1,5−b〕キナゾロン、ピラゾロピリドンなどの核が挙げられる。
Zaから形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、クマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくは、ピラゾリジン−3,5−ジオン、インダン−1,3−ジオン、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはピラゾリジン−3,5−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸である。
【0081】
Zaから形成される環は置換されても良く、(好ましい置換基の例はZa上の置換基の例と同じ)置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
【0082】
これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。縮環する環として好ましくはベンゼン環、ベンゾフラン環、ピリジン環、ピロール環、インドール環、チオフェン環等が挙げられる。
【0083】
Raはそれぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基であり(以上好ましい例はRa、Raと同じ)、より好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)またはスルホアルキル基(好ましくは3−スルホプロピル、4−スルホブチル、3−メチル−3−スルホプロピル、2’−スルホベンジル)である。
【0084】
Ma〜Ma11はそれぞれメチン基を表わし、置換基を有していても良く(好ましい置換基の例はZa及びZa上の置換基の例と同じ)、置換基として好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、シアノ基などが挙げられ、置換基としてより好ましくはアルキル基である。
Ma〜Ma11は無置換メチン基またはアルキル基(好ましくはC数1〜6)置換メチン基であることが好ましく、より好ましくは無置換、エチル基置換、またはメチル基置換のメチン基である。
Ma〜Ma11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0085】
naは0または1であり、好ましくは0である。
kaは0〜8の整数を表わし、好ましくは0〜4の整数を表し、より好ましくは1〜3の整数を表す。
kaが2以上の時、複数のMa10、Ma11は同じでも異なってもよい。
【0086】
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
【0087】
本発明の2光子吸収化合物がオキソノール色素の時、好ましくは一般式(25)で表わされる。
【0088】
一般式(25)中、Za及びZaは各々5員または6員環を形成する原子群を表わし(好ましい例はZaと同じ)、これらは置換されても良く(好ましい置換基の例はZa上の置換基の例と同じ)、これらの複素環はさらに縮環されていてもよい。
Za及びZaから形成される環としてより好ましくは、2−ピラゾロン−5−オン、ピラゾリジン−3,5−ジオン、ローダニン、インダン−1,3−ジオン、チオフェン−3−オン、チオフェン−3−オン−1,1−ジオキシド、1,3−ジオキサン−4,6−ジオン、バルビツール酸、2−チオバルビツール酸、またはクマリンー2,4−ジオンであり、さらに好ましくはバルビツール酸、または2−チオバルビツール酸であり、最も好ましくはバルビツール酸である。
【0089】
Ma12〜Ma14は各々メチン基を表わし、置換基を有していても良く、(好ましい置換基の例はZa及びZa上の置換基の例と同じ)、置換基として好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、ニトロ基、アルコキシ基、アリール基、ニトロ基、ヘテロ環基、アリールオキシ基、アシルアミノ基、カルバモイル基、スルホ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキルチオ基、シアノ基などが挙げられ、より好ましくはアルキル基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、カルバモイル基、またはカルボキシ基であり、さらに好ましくはアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である。
Ma12〜Ma14は無置換メチン基であることが好ましい。
Ma12〜Ma14は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはシクロヘキセン環、シクロペンテン環、ベンゼン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0090】
kaは0から3までの整数を表わし、好ましくは0から2までの整数を表し、より好ましくは1または2を表す。
kaが2以上の時、Ma12、Ma13は同じでも異なってもよい。
【0091】
CIは電荷を中和するイオンを表わし、yは電荷の中和に必要な数を表わす。
【0092】
また、本発明の化合物は一般式(21)にて表されることも好ましい。
【0093】
一般式(21)において、R101、R102、R103、R104はそれぞれ独立に、水素原子または置換基を表し、置換基として好ましくは、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基である。R101、R102、R10、R104として好ましくは水素原子またはアルキル基であり、R101、R102、R103、R104のうちのいくつか(好ましくは2つ)が互いに結合して環を形成してもよい。特に、R101とR103が結合して環を形成することが好ましく、その際カルボニル炭素原子と共に形成する環が6員環または5員環または4員環であることが好ましく、5員環または4員環であることがより好ましく、5員環であることが最も好ましい。
【0094】
一般式(21)において、n101およびm101はそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、好ましくは1〜4の整数を表す。ただし、n101、m101同時に0となることはない。n101及びm101が2以上の場合、複数個のR101、R102、R103、R104は同一でもそれぞれ異なってもよい。
【0095】
101およびX102はそれぞれ独立に、アリール基[好ましくはC数6〜20、好ましくは置換アリール基(例えば置換フェニル基、置換ナフチル基、置換基の例として好ましくはMa〜Maの置換基と同じ)であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、またはアシルアミノ基が置換したアリール基を表し、さらに好ましくはアルキル基、アミノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、またはアシルアミノ基が置換したアリール基を表し、最も好ましくは4位にジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基が置換したフェニル基を表す。その際複数の置換基が連結して環を形成しても良く、形成する好ましい環としてジュロリジン環が挙げられる。]、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、好ましくは3〜8員環、より好ましくは5または6員環、例えばピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリル、インドリル、カルバゾリル、フェノチアジノ、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ、より好ましくはインドリル、カルバゾリル、ピロリル、フェノチアジノ。ヘテロ環は置換していても良く、好ましい置換基は前記アリール基の際の例と同じ)、または一般式(22)で表される基を表す。
【0096】
一般式(22)中、R105は水素原子または置換基(好ましい例はR101〜R10と同じ)を表し、好ましくは水素原子またはアルキル基であり、より好ましくは水素原子である。
106は水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、またはヘテロ環基(これらの置換基の好ましい例はR101〜R104と同じ)を表し、好ましくはアルキル基(好ましくはC数1〜6のアルキル基)である。
【0097】
101は5または6員環を形成する原子群を表す。
形成されるヘテロ環として好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、キノリン環、またはピリジン環であり、より好ましくはインドレニン環、アザインドレニン環、ピラゾリン環、ベンゾチアゾール環、チアゾール環、チアゾリン環、ベンゾオキサゾール環、オキサゾール環、オキサゾリン環、ベンゾイミダゾール環、チアジアゾール環、またはキノリン環であり、最も好ましくは、インドレニン環、アザインドレニン環、ベンゾチアゾール環、ベンゾオキサゾール環、またはベンゾイミダゾール環である。
101により形成されるヘテロ環は置換基を有しても良く(好ましい置換基の例はZa、Za上の置換基の例と同じ)、置換基としてより好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
【0098】
101およびX102として好ましくはアリール基または一般式(22)で表される基で表され、より好ましくは4位にジアルキルアミノ基またはジアリールアミノ基が置換したアリール基または一般式(22)で表される基で表される。
【0099】
本発明の2光子吸収化合物は水素結合性基を分子内に有することも好ましい。
ここで水素結合性基とは、水素結合における水素を供与する基または水素を受容する基を表し、そのどちらの性質も有している基がより好ましい。本発明の水素結合性基としては、−COOH、−CONHのいずれかが好ましい。
【0100】
本発明の2光子吸収化合物はモノマー状態で用いても良いが、会合状態で用いても良い。ここで、色素発色団同士が特定の空間配置に、共有結合又は配位結合、あるいは種々の分子間力(水素結合、ファン・デル・ワールス力、クーロン力等)などの結合力によって固定されている状態を、一般的に会合(又は凝集)状態と称している。会合体の吸収波長の観点では、モノマー吸収に対して、吸収が短波長にシフトする会合体をH会合体(2量体は特別にダイマーと呼ぶ)、長波長にシフトする会合体をJ会合体と呼ぶ。
本発明の化合物は会合により短波長化(H会合)しても長波長化(J会合)してもその両方でもいずれでも良いが、J会合体を形成することがより好ましい。
【0101】
会合状態を取っているかどうかは、前記の通りモノマー状態からの吸収(吸収λmax、ε、吸収形)の変化により確認することができる。
本発明の2光子吸収化合物は、分子間会合状態で用いても、2光子吸収を行うクロモフォアを分子内に2個以上有し、それらが分子内会合状態にて2光子吸収を行う状態で用いても良い。
【0102】
化合物の分子間会合状態は様々な方法に形成することができる。
例えば溶液系では、ゼラチンのようなマトリックスを添加した水溶液(例えばゼラチン0.5wt%・化合物10−4M水溶液)、KClのような塩を添加した水溶液(例えばKCl5%・化合物2×10−3M水溶液)に化合物を溶かす方法、良溶媒に化合物を溶かしておいて後から貧溶媒を加える方法(例えばDMF−水系、クロロホルム−トルエン系等)等が挙げられる。
また膜系では、ポリマー分散系、アモルファス系、結晶系、LB膜系等の方法が挙げられる。
さらに、バルクまたは微粒子(μm〜nmサイズ)半導体(例えばハロゲン化銀、酸化チタン等)、バルクまたは微粒子金属(例えば金、銀、白金等)に吸着、化学結合、または自己組織化させることにより分子間会合状態を形成させることもできる。カラー銀塩写真における、ハロゲン化銀結晶上のシアニン色素J会合吸着による分光増感はこの技術を利用したものである。
分子間会合に関与する化合物数は2個であっても、非常に多くの化合物数であっても良い。
【0103】
以下に、本発明で用いられる2光子吸収化合物の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0104】
【化11】


【0105】
【化12】


【0106】
【化13】


【0107】
【化14】


【0108】
【化15】


【0109】
【化16】


【0110】
【化17】


【0111】
【化18】


【0112】
【化19】


【0113】
【化20】


【0114】
【化21】


【0115】
【化22】


【0116】
他の2光子吸収化合物の好ましい例、2光子吸収化合物の合成例としては、特開2004−123668号、特開2004−224864号、特開2003−183213号、特開2005−25152号、特開2004−279795号、特開2004−279794号、特開2004−250545号、特開2004−279646号、特開2004−339435号、特開2004−341425号、特開2004−126440号、特開2004−149517号、特開2005−71570号等に記載されている。
【0117】
次に本発明の2光子吸収記録材料における、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により酸を発生する酸発生剤について詳しく説明する。
【0118】
2光子吸収化合物励起状態からのエネルギー移動機構により酸発生剤から酸を発生する場合は、2光子吸収化合物1重項励起状態からエネルギー移動が起こるフェルスター型機構でも、3重項励起状態からエネルギー移動が起こるデクスター型機構でもどちらでも良い。
その際、エネルギー移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起エネルギーが、酸発生剤の励起エネルギーよりも大きいことが好ましい。
【0119】
一方、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動機構により酸発生剤から酸を発生する場合は、2光子吸収化合物1重項励起状態から電子移動が起こる機構でも、3重項励起状態から電子移動が起こる機構でもどちらでも良い。
また、2光子吸収化合物励起状態が酸発生剤に電子を与えても、電子を受け取っても良い。2光子吸収化合物励起状態から電子を与える場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起状態における励起電子の存在する軌道(LUMO)エネルギーが、酸発生剤のLUMO軌道のエネルギーよりも高いことが好ましい。
2光子吸収化合物励起状態が電子を受け取る場合、電子移動が効率良く起こるためには、2光子吸収化合物の励起状態におけるホールの存在する軌道(HOMO)エネルギーが、酸発生剤のHOMO軌道のエネルギーよりも低いことが好ましい。
【0120】
本発明における酸発生剤は2光子吸収化合物励起状態からの電子移動により酸を発生することができる化合物であることが好ましい。
またそれ以外にも、紫外光や可視光を直接吸収しても光反応して酸を発生できる酸発生剤であることも好ましい。
また、酸発生剤は暗所では安定であることが好ましい。
【0121】
本発明の酸発生剤として好ましくは、以下の6個の系が挙げられる。
なお、これらの酸発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
【0122】
1)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
2)ジアゾニウム塩系重合開始剤
3)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
4)スルホニウム塩系重合開始剤
5)金属アレーン錯体系重合開始剤
6)スルホン酸エステル系重合開始剤
【0123】
以下に好ましい上記の系について具体的に説明していく。
【0124】
1)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
【0125】
トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(11)にて表される。
【0126】
【化23】


【0127】
一般式(11)中、R21、R22、R23はそれぞれ独立にハロゲン原子を表し、好ましくは塩素原子を表す。R24、R25はそれぞれ独立に水素原子、−CR212223、置換基を表す。置換基として好ましい例はR37にて挙げた例が挙げられるが、好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、シアノ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
24は好ましくは−CR212223を、より好ましくは−CCl基を表し、R25は好ましくは、−CR212223、アルキル基、アルケニル基、またはアリール基である。
【0128】
トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤の具体例としては、2−メチル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−トリフルオロメチルフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(p−メトキシフェニルビニル)−1,3,5−トリアジン、2−(4’−メトキシ−1’−ナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−1,3,5−トリアジンなどが例示される。好ましい例として、英国特許1388492号および特開昭53−133428号公報記載の化合物も挙げられる。
【0129】
2)ジアゾニウム塩系重合開始剤
【0130】
ジアゾニウム塩系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(12)にて表される。
【0131】
【化24】


【0132】
26はアリール基またはヘテロ環基を表し、好ましくはアリール基であり、より好ましくはフェニル基である。
27は置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、a21は0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR27は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
21は、HX21がpKa4以下(水中、25℃)、好ましくは3以下、より好ましくは2以下の酸となる陰イオンで、好ましくは例えば、クロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどである。
【0133】
ジアゾニウム系重合開始剤の具体例としては例えば、ベンゼンジアゾニウム、4−メトキシジアゾニウム、4−メチルジアゾニウムの上記X21−塩などが挙げられる。
【0134】
3)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
【0135】
ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(13)にて表される。
【0136】
【化25】


【0137】
一般式(13)中、X21は一般式(12)と同義である。R28、R29はそれぞれ独立に置換基を表し(以上置換基として好ましくはR24にて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基を表す。
a22、a23はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜1の整数を表す。a21が2以上の時、複数のR28、R29は同じでも異なっても良く、互いに連結して環を形成しても良い。
【0138】
ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、4,4’−ジクロロジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメトキシジフェニルヨードニウム、4,4’−ジメチルジフェニルヨードニウム、4,4’−t−ブチルジフェニルヨードニウム、3,3’−ジニトロジフェニルヨードニウム、フェニル(p−メトキシフェニル)ヨードニウム、フェニル(p−オクチルオキシフェニル)ヨードニウム、ビス(p−シアノフェニル)ヨードニウムなどのクロリド、ブロミド、ヨージド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが挙げられる。
また、「マクロモレキュールス(Macromolecules)」、第10巻、p1307(1977年)に記載の化合物、特開昭58−29803号公報、特開平1−287105号公報、特願平3−5569号に記載されているようなジアリールヨードニウム塩類も挙げられる。
【0139】
4)スルホニウム塩系重合開始剤
【0140】
スルホニウム塩系重合開始剤は好ましくは以下の一般式(14)にて表される。
【0141】
【化26】


【0142】
一般式(14)中、X21は一般式(12)と同義である。R30、R31、R32はそれぞれ独立にアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基(以上好ましい例はR24に同じ)を表し、好ましくは、アルキル基、フェナシル基、またはアリール基を表す。
【0143】
スルホニウム塩系重合開始剤の具体例としては、トリフェニルスルホニウム、ジフェニルフェナシルスルホニウム、ジメチルフェナシルスルホニウム、ベンジル−4−ヒドロキシフェニルメチルスルホニウム、4−ターシャリーブチルトリフェニルスルホニウム、トリス(4−メチルフェニル)スルホニウム、トリス(4−メトキシフェニル)スルホニウム、4−チオフェニルトリフェニルスルホニウム、4−フェニルチオトリフェニルスルホニウム、ビス−1−(4−(ジフェニルスルホニウム)フェニル)スルフィドなどのスルホニウム塩のクロリド、ブロミド、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、パークロレート、トリフルオロメタンスルホネート、9,10−ジメトキシアントラセン−2−スルホネート、メタンスルホレート、ベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、トシレート、テトラ(ペンタフルオロフェニル)ボレートなどが例示される。
【0144】
5)金属アレーン錯体系重合開始剤
【0145】
金属アレーン錯体系重合開始剤としては、金属は鉄またはチタンが好ましい。
具体的には、特開平1−54440号、ヨーロッパ特許第109851号、ヨーロッパ特許第126712号および「ジャーナル・オブ・イメージング・サイエンス(J.Imag.Sci.)」、第30巻、第174頁(1986年)記載の鉄アレーン錯体、「オルガノメタリックス(Organometallics)」、第8巻、第2737頁(1989年)記載の鉄アレーン有機ホウ素錯体、「Prog.Polym.Sci、第21巻、7〜8頁(1996年)記載の鉄アレーン錯体塩、特開昭61−151197号公報に記載されるチタセノン類、などが好ましい例として挙げられる。
【0146】
6)スルホン酸エステル系重合開始剤
【0147】
スルホン酸エステル系重合開始剤としては、好ましくはスルホン酸エステル類、スルホン酸ニトロベンジルエステル類、イミドスルホネート類、等を挙げることができる。
【0148】
スルホン酸エステル類の具体例としては好ましくは、ベンゾイントシレート、ピロガロールトリメシレート、スルホン酸ニトロベンジルエステル類の具体例としては好ましくは、o−ニトロベンジルトシレート、2,6−ジニトロベンジルトシレート、2’,6’−ジニトロベンジル−4−ニトロベンゼンスルホネート、p−ニトロベンジル−9,10−ジエトキシアントラセン−2−スルホネート、2−ニトロベンジルトリフルオロメチルスルホネート、イミドスルホネート類の具体例として好ましくはN−トシルフタル酸イミド、9−フルオレニリデンアミノトシレート、α−シアノベンジリデントシルアミン、等が挙げられる。
【0149】
他に、酸発生剤としては、例えば「UV硬化;科学と技術(UV CURING;SCIENCE AND TECHNOLOGY)」[p.23〜76、S.ピーター・パーパス(S.PETER PAPPAS)編集、ア・テクノロジー・マーケッティング・パブリケーション(A TECHNOLOGY MARKETING PUBLICATION)]及び「コメンツ・インオーグ.ケム.(Comments Inorg.Chem.)」[B.クリンゲルト、M.リーディーカー及びA.ロロフ(B.KLINGERT、M.RIEDIKER and A.ROLOFF)、第7巻、No.3、p109−138(1988)]などに記載されているものを用いることもできる。
【0150】
また、上記以外の酸発生剤として、S.Hayaseetal,J.Po lymerSci.,25,753(1987)、E.Reichmanisetal,J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,23,1(1985)、D.H.R.Bartonetal,J.Chem.Soc.3571(1965)、P.M.Collinsetal,J.Chem.Soc.,PerkinI,1695(1975)、M.Rudinsteinetal,TetrahedronLett.,(17),1445(1975)、J.W.Walkeretal,J.Am.Chem.Soc.,110,7170(1988)、S.C.Busmanetal,J.ImagingTechnol.,11(4),191(1985)、H.M.Houlihanetal,Macromolecules,21,2001(1988)、P.M.Collinsetal,J.Chem.Soc.,Chem.Commun.,532(1972)、S.Hayaseetal,Macromolecules,18,1799(1985)、E.Reichmanisetal,J.Electrochem.Soc.,SolidStateSci.Technol.,130(6)、F.M.Houlihanetal,Macro‐molecules,21,2001(1988)、欧州特許第0290,750号、同046,083号、同156,535号、同271,851号、同0,388,343号、米国特許第3,901,710号、同4,181,531号、特開昭60−198538号、特開昭53−133022号などに開示されているo−ニトロベンジル型保護基を有する光酸発生剤、特開平4−338757号に開示されているハロゲン化スルホラン誘導体(具体的には、3,4−ジブロモスルホラン、3,4−ジクロロスルホランなど)、メチレングリコールビス(2,3−ジブロモプロピル)エーテルなどのハロゲン含有アルキレングリコールエーテル化合物類、1,1,3,3−テトラブロモアセトン、ヘキサクロロアセトンなどのハロゲン含有ケトン類、2,3−ジブロモプロパノールなどのハロゲン含有アルコール類なども挙げることができる。
【0151】
さらに、本発明の酸発生剤として酸を発生する基を主鎖もしくは側鎖に導入したポリマーを用いることもできる。本発明の酸発生剤が酸を発生する基を主鎖もしくは側鎖に導入したポリマーである場合には、該ポリマーがバインダーの役割を兼ねて行ってもよい。
本発明の酸を発生する基、あるいは化合物をポリマーの主鎖又は側鎖に導入した化合物として具体的には、M.E.Woodhouseetal,J.Am.Chem.Soc.,104,5586(1982)、S.P.Pappasetal,J.ImagingSci.,30(5),218(1986)、S.Kondoetal.Makromol.Chem.,RapidCommun.,9,625(1988)、J.V.Crivelloetal.J.PolymerSci.,PolymerChem.Ed.,17,3845(1979)、米国特許第3,849,137号、独国特許第3,914,407、特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146037、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、特開2000‐143796号に開示されている化合物を用いることができる。
【0152】
本発明の酸発生剤としては、より好ましくは、
1)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
3)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
4)スルホニウム塩系重合開始剤
6)スルホン酸エステル系重合開始剤
が挙げられ、さらに好ましくは、
1)トリハロメチル置換トリアジン系重合開始剤
3)ジアリールヨードニウム塩系重合開始剤
が挙げられる。
【0153】
本発明の2光子吸収記録材料は、酸増殖剤を用いることも高感度化の点で好ましい。酸増殖剤の好ましい例として具体的に例えば、有光晃二、市村国宏、「機能材料」、1997年、17巻、16頁、市村国宏、「機能材料」、2000年、20巻、27頁、K.Arimitsu,K.Ichimura.et.al.,J.Photopolymer,Sci.,Technol.,1995年、8巻、43頁、K.Arimitsu,K.Ichimura.et.al.,J.Am.Chem.Soc.,1998年、120巻、37頁、特開平9−34106号、特開平10−1508号に記載の化合物が挙げられる。
【0154】
本発明の2光子吸収記録材料は、さらにバインダーポリマーを有することが好ましい。
【0155】
バインダーポリマーは組成物の成膜性、膜厚の均一性、保存時安定性を向上させる等の目的で通常使用される。バインダーポリマーとしては、2光子吸収化合物、酸発生剤、色素前駆体と相溶性の良いものが好ましい。
バインダーポリマーとしては、溶媒可溶性の熱可塑性重合体が好ましく、単独又は互いに組合せて使用することができる。
【0156】
バインダーポリマーは反応性部位を有して、架橋剤や重合性モノマーやオリゴマーと反応して架橋、硬膜等されても良い。その際の反応性部位としては、ラジカル反応性部位として、アクリル基、メタクリル基に代表されるエチレン性不飽和基、カチオン反応性部位としてオキシラン化合物、オキセタン化合物、ビニルエーテル基、縮重合反応部位としてカルボン酸、アルコール、アミン等が好ましく挙げられる。
【0157】
本発明に用いるバインダーポリマーとして好ましくは例えば、アクリレート及びアルファ−アルキルアクリレートエステル及び酸性重合体及びインターポリマー(例えばポリメタクリル酸メチル及びポリメタクリル酸エチル、メチルメタクリレートと他の(メタ)アクリル酸アルキルエステルの共重合体)、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸/アクリル酸ビニル、ポリ酢酸/メタクリル酸ビニル及び加水分解型ポリ酢酸ビニル)、エチレン/酢酸ビニル共重合体、飽和及び不飽和ポリウレタン、ブタジエン及びイソプレン重合体及び共重合体及びほぼ4,000〜1,000,000の平均分子量を有するポリグリコールの高分子量ポリ酸化エチレン、エポキシ化物(例えば、アクリレート又はメタクリレート基を有するエポキシ化物)、ポリアミド(例えば、N−メトキシメチルポリヘキサメチレンアジパミド)、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテート、セルロースアセテートサクシネート及びセルロースアセテートブチレート)、セルロースエーテル(例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、エチルベンジルセルロース)、ポリカーボネート、ポリビニルアセタール(ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、適当なバインダーとして機能する酸含有重合体及び共重合体として、米国特許3,458,311中及び米国特許4,273,857中に開示されているものなどが挙げられる。
さらに、ポリスチレン重合体、並びに例えばアクリロニトリル、無水マレイン酸、アクリル酸、メタクリル酸及びそのエステルとの共重合体、塩化ビニリデン共重合体(例えば、塩化ビニリデン/アクリロニトリル共重合体、ビニリデンクロリド/メタクリレート共重合体、塩化ビニリデン/酢酸ビニル共重合体)、ポリ塩化ビニル及び共重合体(例えば、ポリビニルクロリド/アセテート、塩化ビニル/アクリロニトリル共重合体)、ポリビニルベンザル合成ゴム(例えば、ブタジエン/アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、メタクリレート/アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、2−クロロブタジエン−1,3重合体、塩素化ゴム、スチレン/ブタジエン/スチレン、スチレン/イソプレン/スチレンブロック共重合体)、コポリエステル(例えば、式HO(CH)nOH(式中nは、2〜10の整数である)のポリメチレングリコール、並びに(1)ヘキサヒドロテレフタル酸、セバシン酸及びテレフタル酸、(2)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸、(3)テレフタル酸及びセバシン酸、(4)テレフタル酸及びイソフタル酸の反応生成物から製造されたもの、並びに(5)該グリコール及び(i)テレフタル酸、イソフタル酸及びセバシン酸及び(ii)テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸及びアジピン酸から製造されたコポリエステルの混合物)、ポリN−ビニルカルバゾール及びその共重合体、並びにH.カモガワらによりJournal of Polymer Science:Polymer Chemistry Edition,18巻、9〜18頁(1979)中開示されているようなカルバゾール含有重合体などが挙げられる。
【0158】
本発明の2光子吸収記録材料は、2光子吸収化合物、酸発生剤、色素前駆体に加えさらに、2光子記録光とは異なる光照射(1光子吸収による)または熱印加により塩基を発生することができる塩基発生剤を有することが好ましい。なお、塩基発生剤は2光子記録時には塩基を発生しないことがより好ましい。
さらには、2光子記録後における、塩基発生剤から塩基を発生する際の2光子記録光とは異なる光照射(1光子吸収による)または熱印加により、同時に酸発生剤からも酸を発生することが好ましい。
【0159】
塩基発生剤も用いる場合の本発明の好ましい2光子記録再生方法としては、「少なくとも、2光子吸収により励起状態を生成する2光子吸収化合物と、2光子吸収化合物励起状態からの電子移動またはエネルギー移動により、酸を発生する酸発生剤と、酸により発色反応を起こすことができるが中性または塩基性下では発色反応を起こさない一般式(1)〜(3)で表される色素前駆体とを有し、2光子記録時酸発生による一般式(1)〜(3)で表せる色素前駆体の発色反応による屈折率、吸収率または発光強度変調を用い記録し、さらにその後、2光子記録光とは異なる光(1光子吸収)の全面照射または熱全面印加により塩基発生剤より塩基を発生させつつ、酸発生剤からも酸を発生させ中和し、2光子記録時の色素前駆体の発色による屈折率、吸収率または発光強度変調による記録を保ったまま、酸発生剤及び塩基発生剤を分解して定着でき、その結果、光を照射して再生する際に、記録を消したり新たな書き込みを起こしたりせずに再生できることを特徴とする2光子吸収光記録再生方法」、が挙げられる。
【0160】
定着工程において全面照射する光は、可視光または紫外光であることが好ましい。
以下に上記の本発明の2光子吸収光記録再生方法を概念図で説明するが、本概念図はひとつの例であって本発明はこれに限定されるものではない。
【0161】
【数1】


【0162】
ポイントは定着時の残存酸発生剤及び塩基発生剤の光分解時に中性〜塩基性条件を保つことによって、2光子記録時レーザー非焦点部であった部分の色素前駆体は発色させることなくそのまま色素前駆体として残すことである。
【0163】
以下に、本発明の塩基発生剤について詳しく説明する。
本発明の塩基発生剤は光塩基発生剤であっても熱塩基発生剤であっても良い。熱塩基発生剤である時は有機また無機塩基の固体分散物やマイクロカプセル中に存在する有機または無機塩基などが好ましい。また熱により分解して塩基を発生する化合物でも良い。
本発明の塩基発生剤は光塩基発生剤であることがより好ましい。
【0164】
本発明の光塩基発生剤としては、2光子記録時に生成する2光子吸収化合物励起状態との電子移動やエネルギー移動によっては塩基発生しないものの、紫外光や可視光による直接励起により塩基を発生するものがより好ましい。
【0165】
本発明の塩基発生剤は、光によりブレンステッド塩基を発生することが好ましく、有機塩基を発生することがさらに好ましく、有機塩基としてアミン類を発生することが特に好ましい。
【0166】
本発明の塩基発生剤として好ましくは、一般式(4−1)〜(4−4)で表される。なお、これらの塩基発生剤は、必要に応じて任意の比率で2種以上の混合物として用いてもよい。
【0167】
【化27】


【0168】
一般式(4−1)または(4−2)にて、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基(好ましくは炭素原子数(以下C数という)1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−オクタデシル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリ
ル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、またはシクロペンチル基を表す。
、Rは互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
、Rのより好ましい組み合わせとしては、Rが置換しても良いシクロヘキシル基で、Rが水素原子、Rが置換しても良いアルキル基でRが水素原子、R、Rが連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成する場合、等が挙げられる。
【0169】
一般式(4−1)または(4−2)にて、n1は0または1であり、好ましくは1である。
【0170】
一般式(4−1)にて、Rはそれぞれ独立に置換基を表し、置換基として好ましい例は例えば、アルキル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、n−ペンチル、ベンジル、3−スルホプロピル、4−スルホブチル、カルボキシメチル、5−カルボキシペンチル)、アルケニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、ビニル、アリル、2−ブテニル、1,3−ブタジエニル)、シクロアルキル基(好ましくはC数3〜20、例えばシクロペンチル、シクロヘキシル)、アリール基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニル、2−クロロフェニル、4−メトキシフェニル、3−メチルフェニル、1−ナフチル)、ヘテロ環基(好ましくはC数1〜20、例えば、ピリジル、チエニル、フリル、チアゾリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピロリジノ、ピペリジノ、モルホリノ)、アルキニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、エチニル、2−プロピニル、1,3−ブタジイニル、2−フェニルエチニル)、ハロゲン原子(例えば、F、Cl、Br、I)、アミノ基(好ましくはC数0〜20、例えば、アミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジブチルアミノ、アニリノ)、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、メルカプト基、カルボキシル基、スルホ基、ホスホン酸基、アシル基(好ましくはC数1〜20、例えば、アセチル、ベンゾイル、サリチロイル、ピバロイル)、アルコキシ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メトキシ、ブトキシ、シクロヘキシルオキシ)、アリールオキシ基(好ましくはC数6〜26、例えば、フェノキシ、1−ナフトキシ)、アルキルチオ基(好ましくはC数1〜20、例えば、メチルチオ、エチルチオ)、アリールチオ基(好ましくはC数6〜20、例えば、フェニルチオ、4−クロロフェニルチオ)、アルキルスルホニル基(好ましくはC数1〜20、例えば、メタンスルホニル、ブタンスルホニル)、アリールスルホニル基(好ましくはC数6〜20、例えば、ベンゼンスルホニル、パラトルエンンスルホニル)、スルファモイル基(好ましくはC数0〜20、例えばスルファモイル、N−メチルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、カルバモイル基(好ましくはC数1〜20、例えば、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N、N−ジメチルカルバモイル、N−フェニルカルバモイル)、アシルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、イミノ基(好ましくはC数2〜20、例えばフタルイミノ)、アシルオキシ基(好ましくはC数1〜20、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ)、アルコキシカルボニル基(好ましくはC数2〜20、例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニル)、またはカルバモイルアミノ基(好ましくはC数1〜20、例えばカルバモイルアミノ、N−メチルカルバモイルアミノ、N−フェニルカルバモイルアミノ)であり、より好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、スルホ基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリールスルホニル基、スルファモイル基、カルバモイル基、またはアルコキシカルボニル基である。
【0171】
一般式(4−1)にて、Rはニトロ基またはアルコキシ基であることが好ましく、ニトロ基またはメトキシ基であることがより好ましく、ニトロ基であることが最も好ましい。
一般式(4−1)にて、n2は0〜5の整数であり、好ましくは0〜3の整数であり、より好ましくは1または2である。n2が2以上の時、複数のRは同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(4−1)にて、Rがニトロ基である時、2位または2、6位に置換することが好ましく、Rがアルコキシ基である時、3、5位に置換することが好ましい。
【0172】
一般式(4−1)にて、R、Rはそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、水素原子、アルキル基、アリール基のいずれかを表し、より好ましくは水素原子、メチル基、2−ニトロフェニル基のいずれかを表す。
、Rのより好ましい組み合わせとしては、R、R共水素原子、Rがメチル基でRが水素原子、R、R共メチル基、Rが2−ニトロフェニル基でRが水素原子、等が挙げられ、さらに好ましくはR、R共水素原子である。
【0173】
一般式(4−2)にて、R、R、nは一般式(4−1)におけると同義であり、好ましい範囲も同じである。R、Rは置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは、アルコキシ基、アルキルチオ基、ニトロ基、アルキル基を表し、より好ましくはメトキシ基を表す。
一般式(4−2)にて、n3、n4はそれぞれ独立に0〜5の整数を表し、好ましくは0〜2の整数を表す。n3、n4が2以上の時、複数のR、Rは同じでも異なっても良く、連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはベンゼン環、ナフタレン環等が挙げられる。
一般式(4−2)にて、Rは3、5位に置換したアルコキシ基であることがより好ましく、3、5位に置換したメトキシ基であることがさらに好ましい。
【0174】
一般式(4−2)にて、Rは水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアリール基であり、より好ましくは水素原子である。
【0175】
一般式(4−3)にて、Rは置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基、アリール基、ベンジル基、またはアミノ基であり、より好ましくは置換しても良いアルキル基、t−ブチル基、フェニル基、ベンジル基、置換しても良いアニリノ基、またはシクロヘキシルアミノ基を表す。
なお、一般式(4−3)で表される化合物はRからポリマー鎖に連結した化合物であっても良い。
【0176】
一般式(4−3)にて、R10、R11はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくはアルキル基またはアリール基を表し、より好ましくはメチル基、フェニル基、または2−ナフチル基を表す。
10、R11は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環としては例えばフルオレン環が好ましい。
【0177】
一般式(4−4)にて、R12はアリール基またはヘテロ環基を表し、より好ましくは下記アリール基またはヘテロ環基である。
【0178】
【化28】


【0179】
一般式(4−4)にて、R13、R14、R15はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基(以上好ましい例はR、Rに同じ)のいずれかを表し、好ましくはアルキル基を表し、より好ましくはブチル基を表す。なお、R13、R14、R15は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環である。
【0180】
一般式(4−4)にて、R16、R17、R18、R19はそれぞれ独立にアルキル基またはアリール基を表し、R16、R17、R18はフェニル基であり、R19はn−ブチル基またはフェニル基であることがより好ましい。
【0181】
本発明の塩基発生剤は一般式(4−1)または(4−3)で表されることが好ましく、一般式(4−1)で表されることがより好ましい。
【0182】
以下に、本発明の塩基発生剤の好ましい具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0183】
【化29】


【0184】
【化30】


【0185】
【化31】


【0186】
【化32】


【0187】
さらに本発明の2光子吸収記録材料は、前記定着処理の速度を速める目的で塩基増殖剤を併用しても好ましい。
【0188】
本発明の塩基増殖剤は、塩基が存在しない場合は安定であるのに対し、塩基が存在すると分解して塩基を放出し、その塩基でまた別の塩基増殖剤を分解させてまた塩基を放出する、というように塩基発生剤により発生した小量の塩基をトリガーとして塩基を増殖する化合物である。
その際、塩基増殖剤としては、下記一般式(5)で表されることが好ましい。
【0189】
【化33】


【0190】
一般式(5)中、R121、R122はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、またはヘテロ環基を表し(以上置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、より好ましくは水素原子、アルキル基、またはシクロアルキル基を表し、さらに好ましくは、水素原子、メチル基、エチル基、シクロヘキシル基、またはシクロペンチル基を表す。
121、R122は互いに連結して環を形成しても良く、形成するヘテロ環として好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環、モロホリン環、ピリジン環、キノリン環、またはイミダゾール環であり、より好ましくは、ピペリジン環、ピロリジン環、またはイミダゾール環であり、最も好ましくはピペリジン環である。
121、R122のより好ましい組み合わせとしては、R121が置換しても良いシクロヘキシル基でR122が水素原子、R121が置換しても良いアルキル基でR122が水素原子、R121、R122が連結してピペリジン環またはイミダゾール環を形成、等が挙げられる。
【0191】
123、R124はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子、アリール基またはアリールスルホニル基を表し、より好ましくはアリール基を表す。
123、R124は互いに連結して環を形成しても良く、形成する環として好ましくはフルオレン環が挙げられる。
【0192】
125、R126はそれぞれ独立に水素原子または置換基を表し(置換基として好ましくはRにて挙げた置換基の例に同じ)、好ましくは水素原子またはアルキル基を表し、より好ましくは水素原子またはメチル基を表す。
【0193】
n102は0または1の整数を表し、好ましくは1を表す。
【0194】
本発明の塩基増殖剤はより好ましくは一般式(6−1)または(6−2)で表される。
【0195】
【化34】


【0196】
一般式(6−1)、(6−2)中、R121、R122は一般式(5)と同義である。
【0197】
本発明の塩基増殖剤は一般式(6−1)で表されることがより好ましい。
【0198】
以下に本発明の塩基増殖剤の具体例を示すが本発明はこれに限定されるわけではない。
【0199】
【化35】


【0200】
塩基増殖時には加熱することが好ましいため、本発明の2光子吸収記録材料用組成物において塩基増殖剤を用いる場合は、2光子記録露光後、加熱処理することが好ましい。
【0201】
本発明の2光子吸収記録材料は、前記のような2光子吸収化合物、記録成分、重合開始剤、重合性化合物、バインダー、消色性色素、消色剤前駆体等に加えて、さらに必要に応じて電子供与性化合物、電子受容性化合物、連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の添加物を用いることができる。
【0202】
電子供与性化合物は2光子吸収化合物、発色体または消色性色素のラジカルカチオンを還元する能力を有し、電子受容性化合物は2光子吸収化合物、発色体または消色性色素のラジカルアニオンを酸化する能力を有し、共に2光子吸収化合物、発色体または消色性色素を再生する機能を有する。具体的には例えば、特開2005−71570号に記載されている例が好ましい例として挙げられる。
特に電子供与性化合物は、色素前駆体群への電子移動後の2光子吸収化合物、発色体または消色性色素ラジカルカチオンを素早く再生できるため高感度のために有用である。電子供与性化合物としては、酸化電位が2光子吸収化合物、発色体または消色性色素の酸化電位よりも卑なものが好ましい。電子供与性化合物の好ましい具体例を以下に挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0203】
【化36】


【0204】
電子供与性化合物としては特に、フェノチアジン系化合物(例えば10−メチルフェノチアジン、10−(4‘−メトキシフェニル)フェノチアジン)、トリフェニルアミン系化合物(例えばトリフェニルアミン、トリ(4’−メトキシフェニル)アミン、TPD系化合物(例えばTPD)等が好ましく、フェノチアジン系化合物がさらに好ましく、N−メチルフェノチアジンが最も好ましい。
【0205】
なお、前述してきた本発明の2光子吸収化合物、酸発生剤、塩基発生剤、色素前駆体、消色性色素、消色剤前駆体、電子供与性化合物等はオリゴマーまたはポリマーでも良く、その際は主鎖に含まれても側鎖に含まれても良く、共重合体であっても良い。
ポリマー主鎖としてはどのような構造でも良いが、ポリアクリレートやポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル、ポリエステル、ポリアミド等が好ましく挙げられる。
その際、本発明のポリマーまたはオリゴマーとしては繰り返し単位が2以上100万以下であり、好ましくは3以上100万以下であり、より好ましくは5以上50万以下であり、もっとも好ましくは10以上10万以下である。
またポリマーまたはオリゴマーの分子量としては好ましくは500以上1000万以下であり、より好ましくは1000以上500万以下であり、さらに好ましくは2000以上100万以下であり、最も好ましくは3000以上100万以下である。
【0206】
連鎖移動剤、架橋剤、熱安定剤、可塑剤、溶媒等の具体例として好ましい例は、特開2004−346238号に記載されている例が挙げられる。
【0207】
本発明の2光子吸収記録材料は通常の方法で調製されてよい。
例えば、本発明の2光子吸収記録材料の製膜方法としては、前記のバインダーや各成分を溶媒等に溶かしてスピンコーターまたはバーコーター等を用いて塗布しても良い。
その際、溶媒として好ましくは例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールジアセテート、乳酸エチル、セロソルブアセテートなどのエステル系溶媒、シクロヘキサン、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系溶媒、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルセロソルブなどのセロソルブ系溶媒、メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、ジアセトンアルコールなどのアルコール系溶媒、2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールなどのフッ素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素系溶媒、N、N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、またはアセトニトリル、プロピオニトリルなどのニトリル系溶媒が挙げられる。
【0208】
本発明の2光子吸収記録材料は、スピンコーター、ロールコーターまたはバーコーターなどを用いることによって基板上に直接塗布することも、あるいはフィルムとしてキャストしついで通常の方法により基板にラミネートすることもでき、それらにより2光子吸収記録材料とすることができる。
ここで、「基板」とは、任意の天然又は合成支持体、好適には柔軟性又は剛性フィルム、シートまたは板の形態で存在することができるものを意味する。
基板として好ましくは、ポリエチレンテレフタレート、樹脂下塗り型ポリエチレンテレフタレート、火炎又は静電気放電処理されたポリエチレンテレフタレート、セルロースアセテート、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ガラス等である。
使用した溶媒は乾燥時に蒸発除去することができる。蒸発除去には加熱や減圧を用いても良い。
【0209】
また本発明の2光子吸収記録材料は、各成分を含むバインダーをバインダーのガラス転移温度または融点以上の温度にしてメルトさせ溶融押し出しまたは射出成型して製膜しても良い。その際、バインダーとして反応性架橋バインダーを使用し、押し出しまたは成型後に架橋させて膜を硬化させ、膜強度を増しても良い。その場合、架橋反応にはラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。また、特開2000−250382号、特開2000−172154号等記載の方法も好ましく使用することができる。
また、バインダーを形成するモノマー溶液に各成分を溶解させておいた上でモノマーを熱重合または光重合させてポリマーとし、バインダーとして使用する方法も好ましく使用できる。その際の重合法としても、ラジカル重合反応、カチオン重合反応、縮合重合反応、付加重合反応等が使用できる。
【0210】
さらに、2光子吸収記録材料の上に、酸素遮断のための保護層を形成してもよい。保護層は、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンテレフタレートまたはセロファンフィルムなどのプラスチック製のフィルムまたは板を静電的な密着、押し出し機を使った積層等により貼合わせるか、前記ポリマーの溶液を塗布してもよい。また、ガラス板を貼合わせてもよい。また、保護層と感光膜の間および/または、基材と感光膜の間に、気密性を高めるために粘着剤または液状物質を存在させてもよい。
【0211】
本発明の2光子吸収記録材料を2光子吸収3次元光メモリ用途に用いる場合、2光子吸収記録材料は2光子記録前後で収縮等が起こらない方が信号再生時のS/N比向上の点でより好ましい。
そのため、例えば本発明の2光子吸収記録材料に特開2000−86914号記載の膨張剤を用いたり、特開2000−250382号、2000−172154、特開平11−344917号記載の耐収縮性のあるバインダーを用いることも好ましい。
【0212】
以上のように、本発明の2光子吸収記録材料は、前述の課題を抜本的に解決した、とりわけ高感度と良保存性、乾式処理、高記録密度を両立できる全く新しい記録方式を与えるものであり、特に、光記録媒体に用いることが好ましい。
【0213】
さらに、本発明の2光子吸収記録材料は、光記録媒体の他にも、3次元ボリュームディスプレイ、光学材料、レンズ、セキュリティ用途等にも好ましく用いることができる。
【0214】
[実施例]
以下に、本発明の具体的な実施例について実験結果を基に説明した。勿論、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
【0215】
〔2光子吸収発色方式による3次元的屈折率、吸収率及び発光強度変調方法]
【0216】
まず、本発明の2光子吸収記録材料が2光子吸収により色素前駆体から発色体を生成する方法により、屈折率、吸収率または発光強度を変調して再生する方法について述べる。
暗室下にて、表1に示した2光子吸収化合物、電子供与性化合物、酸発生剤、色素前駆体、光塩基発生剤、バインダーPMMA−EA(ポリ(メチルメタクリレート−5%エチルアクリレート)共重合体、Mw101000)を、2.5〜4倍質量の塩化メチレン(必要によりアセトンまたはアセトニトリルも併用した)に溶解し、2光子吸収記録材料用組成物101〜103を調液した。なお%はすべてバインダーPMMA−EAに対した質量%を表す。
【0217】
【化37】


【0218】
【表1】


【0219】
試料101〜103、比較試料1〜3はプレパラートガラス板上にバーコート塗布し、溶媒乾燥後、プレパラートガラスを載せて評価試料とした。膜厚は約10μmとなった。
【0220】
本発明の2光子吸収重合性組成物の性能評価には、700nmから1000nmの波長範囲で測定可能なTi:sapphireパルスレーザー(パルス幅:100fs、繰り返し:80MHz、平均出力:1W、ピークパワー:100kW)を用い、本発明の2光子吸収重合性組成物に該レーザー光をNA0.6のレンズで集光して照射した。
試料101〜103、比較試料1〜3に対しては740nmのレーザー光を照射して2光子吸収を起こした。
【0221】
その後、キセノンランプとバンドパスフィルターを用いて紫外光を照射し、酸発生剤と光塩基発生剤を共に分解して定着処理を行った。
その結果、試料101〜103において、光照射部のレーザー焦点部(記録部)にて発色を確認できた。記録部と非記録部の吸収率の変化は光学顕微鏡等を用い目視にて確認できた。発色部(記録部)の屈折率をエリプソメーターにて測定した所、レーザー非焦点部(非記録部)に比較して増加した。試料101〜103に反射型共焦点顕微鏡を用い740nmのレーザー光を照射した所、記録部と非記録部にて屈折率の違いによる反射率の違いを確認できた。
また、記録した試料101〜103に透過型共焦点顕微鏡を用い532nmのレーザーを照射した所、記録部と非記録部にて、吸収率の違いによる透過率の違いを確認できた。また、発光強度の違いも確認できた。
【0222】
それに対して、本発明の2光子吸収化合物D−7を含まない比較試料1〜3は740nmのレーザーを照射しても何も変化せず、発色(屈折率変調)は2光子吸収化合物が2光子吸収により励起状態を生成することにより起こることが明らかである。
また、レーザー焦点位置を水平及び深さ方向に走査することにより、3次元方向の任意の場所に発色させることができた。740nmのレーザー照射により屈折率変調による3次元的な反射率変調が、660nmのレーザー照射により吸収率変調による3次元的な反射率変調または3次元的な発光強度変調が可能であることが確認できた。
【0223】
さらに本発明の2光子吸収記録材料では定着処理時に2光子吸収化合物や酸発生剤も分解できているため、740nm光を再生光として10時間照射続けても、反射率の低下は見られず好ましい。また、532nm光を再生光として10時間照射し続けても、吸収率の低下は観測されず好ましい。
また、室温で1ヶ月放置後本発明の2光子吸収記録材料の反射率または透過率を再測定したが特に低下は観測されなかった。
【0224】
なお、試料101〜103にて、2光子吸収化合物をD−2、D−5、D−8、D−10、D−12、D−13、D−14、D−15、D−20、D−22、D−24、D−25、D−28、D−32、D−35、D−36、D−47、D−50、D−52、D−64、D−65、D−66、D−73、D−76、D−78、D−80、D−81、D−86、D−88、D−89、D−90、またはD−119に変更しても同様な効果が得られた。
また、試料101〜103にて酸発生剤をI−4〜I−10のいずれかに等モル置き換えで変更しても、同様な効果が得られた。
また、試料101〜103にて、色素前駆体をAD−1、AD−3〜AD−7、AD−12〜AD−20、AD−42〜AD−47のいずれかに等モル置き換えで変更しても同様な効果が得られた。
また、試料101〜103にて塩基発生剤を、PB−1〜PB−11、PB−14、PB−21のいずれかに当量置き換えで変更しても、同様な効果が得られた。
また、試料101〜103にて電子供与性化合物をA−2〜A−6、A−9〜A−11のいずれかに変更しても同様な効果が得られた。
また試料101〜110にて、バインダーをポリメチルメタクリレート(Mw996000、350000、120000)、ポリ(メチルメタクリレート−ブチルアクリレート共重合体(Mw75000)、ポリビニルアセタール(Mw83000)、ポリカーボネート、セルロースアセテートブチレートのいずれかに変更しても同様な効果が得られた。




 

 


     NEWS
会社検索順位 特許の出願数の順位が発表

URL変更
平成6年
平成7年
平成8年
平成9年
平成10年
平成11年
平成12年
平成13年


 
   お問い合わせ info@patentjp.com patentjp.com   Copyright 2007-2013