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発明の名称 ファイバグレーティング及びその製造装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25437(P2007−25437A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−209726(P2005−209726)
出願日 平成17年7月20日(2005.7.20)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 伊藤 彰宏 / 安達 仁吾 / 若林 信一
要約 課題
光ファイバ伝送において分散補償を行う際に問題となる群遅延リップル特性を抑制したファイバグレーティングを提供する。

解決手段
ファイバグレーティングのグレーティング長手方向に対する屈折率分布において、グレーティング形成領域では平均屈折率は一定とし、さらにグレーティング形成領域とグレーティング形成外部領域との境界からグレーティング形成外部領域へと徐々に減少させることで、グレーティング形成領域の両端におけるエタロンの不要共振によるファイバグレーティングの群遅延特性のリップルの抑制と群遅延特性の線形性を向上させることができる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ファイバグレーティングの長手方向に対する有効屈折率分布において、グレーティング形成部における平均有効屈折率は一定であり、グレーティング端からグレーティング形成外部へ有効屈折率が減少する構造であることを特徴とするファイバグレーティング。
【請求項2】
ファイバグレーティングの長手方向に対する有効屈折率分布において、グレーティング形成部における平均有効屈折率は一定であり、グレーティング端からグレーティング形成外部へ有効屈折率が減少する構造であることを特徴とするファイバグレーティングの製造装置であって、
光ファイバへ照射させる紫外光ビームの光ファイバの長手方向に対する長さを決定するスリットと、
紫外光ビームを光ファイバ長手方向へ照射させるための紫外光照射手段と、
光ファイバへ与えられる屈折率上昇量を光ファイバ長手方向に対して分布を持たせるためのアポダイズ用回転スリットと
を備えており、
前記紫外光を光ファイバ長手方向全体に照射させるために紫外光を走査する工程と、
前記紫外光を通過させる開口部の調整を、スリットの開口部で前記紫外光の通過領域を限定する工程と、
前記紫外光をアポダイズ用回転スリット開口部の回転により前記紫外光の通過領域を縮小させる工程と、
アポダイズ用回転スリットを前記紫外光が通過する開口部から前記紫外光を遮断する遮光部へと変更する工程と、
前記アポダイズ用回転スリット遮光部を回転させることで前記紫外光の通過領域を拡大する工程と、
前記アポダイズ用回転スリットを回転させることで前記ファイバグレーティングのグレーティング形成外部における前記紫外光の通過領域を縮小する工程と、
前記アポダイズスリット遮光部によって遮られた紫外光以外の紫外光を用いて前記光ファイバのグレーティング形成部の有効屈折率の均一化を行う工程と、を有することで形成されることを特徴とするファイバグレーティングの製造装置。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファイバ回折格子の製造方法並びにその構造に関し、特に光ファイバ通信に用いられる波長分散を適切に制御できる分散補償用ファイバグレーティングの構造並びにその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の光ネットワークの進歩に伴い、光ファイバ伝送路の分散補償技術の重要性がますます増加している。
【0003】
既設の1.3μm帯の伝送路において、低伝送損失である1.5μm帯の光を用いて伝送させる場合、17ps/km・nm程度の波長分散があるために40Gbpsを超えるような伝送速度が高速になる場合や、伝送距離が長くなる場合になると波長分散が生じてしまう。その結果、光信号が劣化するために個々の分散に対して補償する必要がある。
【0004】
従来、分散を補償する手段として代表的なものに分散補償器がある。これは、通常の光ファイバの分散特性とは逆の分散特性を持つ分散補償ファイバにより構成されており、伝送路の波長分散を補償している。このような手段では、分散を補償するための分散補償ファイバが数km以上必要であり、装置が小型化できない欠点がある。
【0005】
一方、光ファイバのコア中に回折格子を形成するファイバグレーティングは、ある特定の波長の光を反射する性質を持っており、光ファイバの長軸方向に向かって回折格子の周期を変化させた回折格子を形成することで光の波長により反射位置が異なる性質を持った素子となる。
【0006】
ファイバグレーティングは光ファイバのコア中に連続的な屈折率変調の周期をArの2次高調波やKrFの紫外レーザ光で干渉露光、もしくは位相マスクを用いて作製される。ブラッグ波長λBはグレーティングの周期Λとグレーティングの実効屈折率neffを用いてλB=2×neff×Λと表される。長手方向に回折格子周期が変化しているチャープファイバグレーティングはチャープファイバグレーティングと呼ばれている。反射波長λBに対応した光が、周期Λが連続的に変化するために、反射波長も連続的に変化し、広帯域な波形が得られる。ファイバグレーティング内の各反射波長に対応した光の反射点までの距離に応じて遅延時間が異なるため、波長分散を持たせることができる。こうした性質を利用して、波長分散補償器を実現することができ、光サーキュレータと組み合わせることで、分散補償ファイバと同様な機能を持たせることができる。導波路が光ファイバであるので外部との接続が容易であり、かつ分散補償ファイバに比べて非常に小型で伝送特性・安定性に優れているために有力な分散補償技術として用いられる。
【0007】
従来の分散補償に用いるファイバグレーティングの製造方法としては特許文献1に開示されている方法がある。
【0008】
以下に図7から図11を用いて、従来のファイバグレーティングの製造方法について述べる。
【0009】
図7は、従来のチャープファイバグレーティングを作製する際の露光光学系と製造方法を示しており、1はファイバ回折格子が形成される光ファイバ、2は回折周期が場所によって次第に変化するような構造の位相マスク、3は光ファイバ1のコアに屈折率変調を形成するための露光に用いる紫外光、4は位相マスク2によって回折された紫外光3の+1次回折光、5は位相マスク2によって回折された紫外光3の−1次回折光である。6は回転スリット、7は回転ネガスリットである。
【0010】
図7を用いて分散補償用ファイバ回折格子を作製する手順を説明する。はじめに、光ファイバ1を位相マスク2に接近させて配置する。次に、紫外光3を回転スリット6及び位相マスク2を通して光ファイバ1に照射する。紫外光3は、位相マスク2を通過すると+1次光4と−1次光5に分けられて互いに干渉し、光ファイバ1のコアでは、紫外光3の干渉光の強度に対応し、屈折率の高低が形成される。結果として、位相マスク2のちょうど半分の周期の屈折率変調が光ファイバ1の中に形成される。
【0011】
図8はファイバ回折格子の作製の一工程図(a)と、長軸方向における紫外線照射強度分布特性図(b)及び波長特性図(c)であり、図8(a)は図7記載の一工程を拡大したもので、紫外線露光の第一工程を示している。
【0012】
また、図10はファイバ回折格子の作製に用いる露光用治具の構成を示す概略図で、図9はその露光用治具の設置方法を示す概略図であり、図10(a)は紫外線露光の第一工程における設置方法、図10(b)は紫外線露光の第二工程における設置方法を示す。
【0013】
紫外線露光の第一工程では、図7の右下及び図8(a)に記載のように、紫外光3を照射する際に回転スリット6を回転させることで、光ファイバ1に照射する紫外光3の照射強度を、図7の右下のグラフによる照射強度8のようにアボダイズを施した凸状の分布となるように露光する。このようなアボダイズを施した凸状の紫外線照射強度分布とするために本実施の形態では、図9に構成を示した露光用治具を用いる。これを用いることで、屈折率変調が連続的に変化しているコア部の長手方向の中央部に向かって凸状の紫外線照射強度の変化を与えることができる。
【0014】
すなわち、図9記載の形状を有する遮光板すなわち回転スリット6を配置し、図10(a)記載のように露光用治具の回転スリット6の開口部のおよそ中心の高さが光ファイバ1の高さに合うようにセッティングし、回転ステージを回転させることで回転スリット6を回転させながら、光ファイバ1への紫外光3の照射を行う。
【0015】
具体的には、紫外光3の照射領域が、光ファイバ1に屈折率変調が形成されている中央のみとなるまで照射したところ、すなわち、回転スリット6が90°回転したところで、紫外線照射を止める。この結果、光ファイバの端部から中央部に向かって紫外光の照射時間が異なる、すなわち、端部では照射量が少なく、中央部では照射量が多いため、図8(b)や図7右下のグラフに示す照射強度8のように中央部に向かって紫外線照射強度が、アボダイズを施された凸状の分布を有するファイバ回折格子で、且つ、位相マスク2による回折光が照射されているため屈折率変調が連続的に変化したファイバ回折格子が得られる。
【0016】
このように、図8(b)のような紫外線照射強度分布を光ファイバ1に与えた場合、回折格子の屈折率変調が連続的に変化するように設計された位相マスク2を介した回折光が照射されたため、図8(c)のように長軸方向zに対する反射波長は次第に大きくなるような特性を有する回折格子が形成される。図8(c)は、屈折率変調の変化が線形となるように位相マスクが設計された場合であり、反射波長も線形的に変化する。
【0017】
しかし、光ファイバが受ける紫外線の照射量は、回転スリット6を用いたことで、図8(b)のように長軸方向の位置zにより異なるため、光ファイバ1の長軸方向の位置に対する有効屈折率の分布は必ずしも一定とならず、反射波長のような線形も有さないため、次に紫外線露光の第二工程を設け、図7の左下に記載のように、回転スリット6を回転ネガスリット7に変更して、紫外光3を照射する際に回転ネガスリット7を回転させることで、光ファイバ1に照射する紫外光3の照射強度を、図7の左下のグラフによる照射強度9のように、露光の第一工程でアボダイズを施した凸状分布とは逆の照射量分布(アボダイズを施した凹状分布)となるように、紫外線を露光する。この際、屈折率変調の連続的変化は既に第一工程により形成されているため、位相マスク2は外して露光を行う。
【0018】
この紫外線露光の第二工程において、露光の第一工程で用いた図9記載の露光用治具を用いて露光を行う。この露光用治具は、回転スリットと回転ネガ部とが一つの遮光板に形成され、紫外光3が照射される高さを変えることでそれぞれ回転スリット6と回転ネガスリット7の役目を果たす。
【0019】
この第二工程では、屈折率変調が連続的に変化しているコア部の長手方向の中央部に向かって、第一工程とは逆分布となる紫外線照射強度の変化を与えるために、図8記載の形状を有する遮光板すなわち回転ネガスリット7を配置し、図10(b)記載のように回転ネガスリット7の高さが光ファイバ1の高さに合うようにセッティングし、回転ステージを回転させることで回転ネガスリット7を回転させながら、光ファイバ1に対して再度紫外光3の照射を行う。これにより、光ファイバの長軸方向での有効屈折率変化が与えられる。
【0020】
具体的には、紫外光3の照射領域が、光ファイバ1に屈折率変調が形成されている中央まで照射したところ、すなわち、回転ネガスリット7が90°回転したところで、紫外線照射を止める。この結果、光ファイバ1の中央部に向かって紫外光3の照射時間が異なるため、図7左下のグラフによる照射強度9のように中央部に向かって紫外線照射強度は、アボダイズを施された凹状の分布を有するように与えられる。
【0021】
このように、2度目の紫外線照射で図7左下のような紫外線照射強度分布を光ファイバ1に与えた場合、1度目の紫外線照射による照射強度分布とは逆の強度分布が与えられるため、このような2度の紫外線照射によりファイバ回折格子形成部で光ファイバの紫外線強度分布が打ち消され、紫外線強度分布が均一化される。したがって、光ファイバ1の長軸方向zの位置に対する有効屈折率分布の関係は、結果として図11の点線で示したようになる。すなわち、1度目の紫外線照射時に位相マスクを介して照射されているため屈折率変調の周期は長軸方向に対して次第に大きくなり(図11の実線)、2度目の紫外線照射で紫外線照射強度分布が均一化されるため、光ファイバの有効屈折率は長軸方向zに沿って平均化されて一定となる(図11の点線)。
【0022】
このように、アボダイズを施すような紫外線照射を2回行うことで紫外線強度分布を均一化したことにより、光ファイバの有効屈折率が平均化され、ファイバ回折格子を形成した終端面では屈折率差に起因する光の干渉を生じないファイバ回折格子を得ることが可能となっている。
【0023】
従来の実施形態によるファイバ回折格子の製造方法によれば、遮光板としての回転スリットと回転ネガスリットに回転を加えた紫外線照射法を用いて2度の紫外線照射を行うことにより、光ファイバに対して紫外線照射強度分布の変化と有効屈折率の均一化とを与えることができ、光ファイバとファイバ回折格子形成部での急激な屈折率変化の変動を緩和し、ファイバ回折格子を形成した終端面での光の干渉を生じにくく、群遅延曲線上のリップルが低減された、分散補償精度の高い安定したファイバ回折格子を得ることができる。
【特許文献1】特開2004−117633公報
【特許文献2】特開平11-052148号公報
【非特許文献1】J.Opt.Soc.Am.B11(1994)2100
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0024】
図12(a)、(b)、(c)にそれぞれ、従来の方法で作製したファイバグレーティングの反射特性、群遅延特性と群遅延リップル特性を示す。
【0025】
図12(c)のように、従来の方法で作製したファイバグレーティングの群遅延特性には、5ps程度の細かいリップル成分が生じている。さらに、群遅延リップルは±5ps程度の振動成分が見られ、ファイバグレーティングの群遅延特性の線形性が損なわれていることが分かる。
【0026】
本発明者らは、従来の方法で作製した図11に示されているファイバグレーティングの分散補償機能について調べた。
【0027】
今回、アナログ光伝送における2次相互変調歪(IM2)の評価を図13にあるような伝送系で行った。アナログ光伝送において、伝送品質を決定する重要な特性として2次相互変調歪(IM2)が挙げられる。2次相互変調歪(IM2)とは、半導体レーザを2つのキャリア周波数(例えば、f1とf2:f1<f2)で変調した場合、デバイスの非線形性によりf1±f2の周波数に2次の項によって現れる変調歪成分のことである。この2次変調歪電力とキャリア電力の比、即ち抑圧比をIM2と呼ぶ。(図14参照)2次相互変調歪は、光ファイバの波長分散の影響により伝送後に劣化することが知られており、こうした歪の劣化を抑制するためにファイバグレーティングの分散補償機能を用いて光ファイバ伝送路の分散を補償する。
【0028】
図13において、10は高周波信号発生源、11は高周波信号発生源、12は3dBカプラ、13は可変電気アッテネータ、14はバイアスティー、15はレーザダイオード、16は光ファイバ、17は光アイソレータ、18は光サーキュレータ、19はファイバグレーティング、20は可変光アッテネータ、21はフォトディテクタ、22は電気スペクトラムアナライザである。
【0029】
図13を用いて、2次相互変調歪の評価について以下に述べる。高周波信号発生源10から出力する副搬送波信号周波数f1を2120MHz、高周波信号発生源11から出力する付加信号周波数f2を100MHzとし、副搬送波信号周波数f1に制御信号である付加信号周波数f2を多重して光ファイバ16で伝送した時の10km伝送時における2次相互変調歪の特性を調べた。2次相互変調歪測定周波数は2020MHzとし、レーザダイオード15の中心波長を1550nm、フォトディテクタ21での受光パワーPrは−12.0dBmと設定した。
【0030】
図14は従来の方法で作製したファイバグレーティング19のLDの光変調度に対する2次相互変調歪特性である。図15の2次相互変調歪特性はBack−to−Back、SMF10km伝送、SMF10kmとファイバグレーティングを伝送させた場合の特性である。SMF10km伝送させた際の2次相互変調歪は、SMFの波長分散の影響によって劣化する。
【0031】
この波長分散の影響により劣化した2次相互変調歪を低減させるために、ファイバグレーティング19の分散補償効果を用いたところ、光変調度が25%以上ではファイバグレーティング19の分散補償効果により2次相互変調歪が低減されていることが確認できたが、光変調度が20%以下の領域、特に光変調度が10%以下の領域ではSMF10km伝送時の値よりも劣化することが確認された。
【0032】
図7にあるような従来の作製方法では、ファイバグレーティング作製中にアポダイズを施すことでファイバへ照射される紫外光によるファイバコアの屈折率上昇が得られる部分と、屈折率上昇が得られない部分との境界即ち、グレーティング形成部とグレーティング形成外部との境界における屈折率の急激な変化の抑制を試みているが、従来の作製方法でファイバグレーティングの作製を行っても、ファイバへ照射される紫外光によるファイバコアの屈折率上昇が得られる部分と、屈折率上昇が得られない部分との境界即ち、グレーティング形成部とグレーティング形成外部との境界において急激な屈折率変化が結局のところ生じてしまい、グレーティング形成部の両端におけるエタロンの不要共振によってファイバグレーティングの群遅延特性にリップルが生じ、さらに群遅延特性の線形性が劣化する。その結果、ファイバグレーティングの分散補償効果が得られないといった問題があった。
【0033】
ここで、ファイバグレーティングの屈折率の照射時間の依存性は非特許文献1に示されるように、以下の数1で示される。
【0034】
【数1】


ここで、A、B、αは定数であり、B=0、α=1/3程度である。また、tは照射時間である。光ファイバの屈折率をn0、100回目の照射後の屈折率をn100、100回目の照射後の屈折率の変化量をΔn100とするとΔn100=n100−n0と表される。
【0035】
従来のファイバグレーティングの製造方法のように、アポダイズを施してファイバグレーティングを作製したとすると、ファイバグレーティングの中心波長部の屈折率変化量がΔn100であり、ファイバグレーティングのグレーティング端部における屈折率変化量がΔn1であるような屈折率分布が形成されるポジ型スリットを用いて紫外光照射した場合は図15(a)のような屈折率変化の分布となり、ファイバグレーティングの中心波長部の屈折率変化量がΔn1であり、ファイバグレーティングのグレーティング端部における屈折率変化量がΔn100であるような屈折率分布が形成されるネガ型スリットを用いて紫外光照射した場合は図15(b)のような屈折率変化の分布となる。その結果、ファイバグレーティングの屈折率変化の平均値navgは図15(c)となる。例えば、100回目(i=100)の露光後の屈折率の変化量Δn100=n100−n0に対する1回目の露光による屈折率の変化量Δn1=n1−n0は、Δn1/Δn100=i-1/3=(1/100)1/3 = 0.22となり、1回目の露光で22%の屈折率上昇分だけ露光されていることになる。
【0036】
図15(c)のような有効屈折率分布を持つファイバグレーティングの場合、グレーティング端部における光ファイバとファイバグレーティングとの屈折率変化量の差が大きく、グレーティングの両端部を反射端面とするエタロンが形成され、エタロンの特性周波数に対応した波長周期を有する群速度リップルが形成されている可能性がある。
【0037】
本発明は、上記課題を解決するためになされ、主たる目的は、光ファイバのコア中に形成されるグレーティングの屈折率上昇によって生じるファイバグレーティングのグレーティング形成部両端におけるエタロンの不要共振を抑制し、ファイバグレーティングの群遅延特性の線形性を向上させることが可能なファイバグレーティングの構造並びにその製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0038】
本発明のファイバグレーティングの屈折率分布は、グレーティング形成部における有効屈折率は一定であり、グレーティング端からグレーティング形成外部へ有効屈折率が徐々に減少する構造である。
【0039】
本発明のファイバグレーティングの製造方法は、光ファイバへ照射させる紫外光ビームの光ファイバの長手方向に対する長さを決定するスリットと、紫外光ビームを光ファイバ長手方向へ照射させるための紫外光照射手段と、光ファイバへ与えられる屈折率上昇量を光ファイバ長手方向に対して分布を持たせるためのアポダイズ用回転スリットを備えており、
前記紫外光を光ファイバ長手方向全体に照射させるために紫外光を走査する工程と、
前記紫外光を通過させる開口部の調整を、スリットの開口部で前記紫外光の通過領域を限定する工程と、
前記紫外光をアポダイズ用回転スリット開口部の回転により前期紫外光の通過領域を縮小させる工程と、
アポダイズ用回転スリットを前期紫外光が通過する開口部から前記紫外光を遮断する遮光部へと変更する工程と、
前記アポダイズ用回転スリット遮光部を回転させることで前期紫外光の通過領域を拡大する工程と、
前記アポダイズ用回転スリットを回転させることで前期ファイバグレーティングのグレーティング形成外部における前期紫外光の通過領域を縮小する工程と、
前記アポダイズスリット遮光部によって遮られた紫外光以外の紫外光を用いて前記光ファイバのグレーティング形成部の有効屈折率の均一化を行う工程と、を有するファイバグレーティングの製造装置である。
【0040】
好ましい実施形態において、前記ファイバグレーティングの周期はファイバ軸方向に沿って同一、または変化している。
【0041】
好ましい実施形態において、前記アポダイズ用回転スリットの開口部は前記ファイバグレーティングのグレーティング長と同一である。
【発明の効果】
【0042】
本発明によれば、ファイバグレーティングの屈折率分布を、グレーティング形成部では一定とし、さらにグレーティング形成部とグレーティング形成外部との境界からグレーティング形成外部へと徐々に減少させることで、グレーティング形成部とグレーティング形成外部との境界において急激な屈折率変化を抑制でき、グレーティング形成部の両端におけるエタロンの不要共振によるファイバグレーティングの群遅延特性のリップルの抑制と群遅延特性の線形性を向上させることができる。その結果、光アナログ伝送におけるファイバグレーティングの分散補償効果を得ることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明する。もちろんこの発明は以下の例によって制限されるものではない。また、説明に使用する図面内の寸法、寸法比率及び位置関係は必ずしも正確ではない。
【0044】
以下、図面を参照しながら、本発明によるファイバグレーティングの構造並びにその製造方法についての好ましい実施形態を説明する。
【0045】
まず、本実施例に関するファイバグレーティングの製造方法について以下に述べる。本実施例では、ファイバグレーティング製造時に施すアポダイズを行う際に用いるアポダイズ用回転スリットの構造に着目した。
【0046】
(アポダイズ用回転スリットの構造)
図1(a)は本実施例で用いたアポダイズ用回転スリット101の構造を示す図である。アポダイズ用回転スリット101には、ファイバグレーティングを作製する際に形成される屈折率分布が、ファイバグレーティングの中心波長部の屈折率変化量がΔncであり、ファイバグレーティングのグレーティング端部における屈折率変化量がΔneとなるポジ型スリット102と、ファイバグレーティングの中心波長部の屈折率変化量がΔneであり、ファイバグレーティングのグレーティング端部における屈折率変化量がΔncとなるネガ型スリット103とで構成されている。ここで、Δnc>Δneである。
【0047】
ポジ型スリット102は光ファイバ108に形成されるグレーティング形成部の長手方向の長さと同じ長さの開口部104を有している。
【0048】
また、ネガ型スリット103もポジ型スリット102と同様に光ファイバ108に形成されるグレーティング形成部の長手方向の長さと同じ長さの閉口部105を持つ。さらに、ネガ型スリット103は遮光部106、107を有している。
【0049】
アポダイズ用回転スリット101は、アポダイズ用回転スリット101のファイバ108長手方向における中心部で支柱110と回転ステージ111により支えられており、回転ステージ111が図1(a)の紙面と平行な軸で回転することにより、支柱110とアポダイズ用スリット101は紙面と平行な軸で回転することができる。このため前記のように、ファイバグレーティングを作製する際に形成される屈折率分布が、ポジ型スリット102の場合、ファイバグレーティングの中心波長部の屈折率変化量がΔncで、ファイバグレーティングのグレーティング端部における屈折率変化量がΔneとなり、ネガ型スリット103の場合、ファイバグレーティングの中心波長部の屈折率変化量がΔneであり、ファイバグレーティングのグレーティング端部における屈折率変化量がΔncとなる。
【0050】
以下、アポダイズ用回転スリット101を用いたファイバグレーティングの製造方法について詳細に述べる。
【0051】
(アポダイズ用回転スリットによるファイバグレーティングの製造方法)
今回作製したファイバグレーティングは長さL=45mm、チャープ量は0.083nm/mmである。アポダイズ用回転スリット101のポジ型スリット102の開口部104の光ファイバ108の長手方向の長さはL=45mm、ネガ型スリット103の閉口部105の光ファイバ108の長手方向の長さはL=45mm、ネガ型スリット103の閉口部105と遮光部106、107との間隔は22.5mmとした。
【0052】
光ファイバ108にグレーティングを形成するために、光ファイバ108の長手方向に対して紫外光ビーム109をスキャンさせた。
【0053】
(ポジ型スリット102による紫外光照射第一工程)
ファイバグレーティングの長手方向に紫外光ビーム109の照射を一回行う毎に、図1のアポダイズ用回転スリット101を、紙面と平行な軸で回転することにより紫外光ビーム109の照射範囲を調節する。具体的には、アポダイズ用回転スリット101のポジ型スリット102にある開口部104の光ファイバ108の長手方向に対する開口面積を調節して光ファイバ108に照射される紫外光ビーム109の照射範囲を変える。こうすることにより、光ファイバ108に照射される紫外光ビーム109による屈折率変化は以下のように与えられる。アポダイズ用回転スリット101のポジ型スリット102にある開口部104が、回転ステージ111がアポダイズ用回転スリット101のファイバ108長手方向における中心部で図1(a)の紙面と平行な軸で回転することにより、アポダイズ用回転スリット101のポジ型スリット102にある開口部104の中心部では、光ファイバ108の長手方向とアポダイズ用回転スリット101との成す角θが大きくなるにつれ、光ファイバ108に与えられる紫外光強度は、光ファイバ108の端部から中央部に向かって紫外光の照射時間が異なる、すなわち、端部では照射量が少なく、中央部では照射量が多いような凸状の屈折率分布ができる。
【0054】
このため、凸状のアポダイズを与えることができ、図2(a)にある凸状の照射強度501となるように紫外光ビーム109を照射する紫外光照射第一工程を与えることができる。
【0055】
ここでは、グレーティング形成部両端からグレーティング形成外部へ与えた屈折率変化量は、tanh型の関数:tanh{−2(z−L/2)/z}で表されるものを用いた。zはファイバグレーティング長手方向の距離であり、Lはファイバグレーティングのグレーティング形成部の長さである。
【0056】
紫外光ビーム109の照射範囲を徐々に小さくする、即ち図1にあるポジ型スリット102の開口部104が開いた状態から閉じた状態へとアポダイズ用回転スリット101を回転させて、光ファイバ108とアポダイズ用回転スリット101との成す角θを大きくすることで紫外光照射第一工程を与えることができる。
【0057】
アポダイズ用回転スリット101を、ファイバ長手方向に平行な位置関係から光ファイバ108長手方向に垂直となる位置関係へと徐々に回転させることで光ファイバ108へ照射される紫外光ビーム109の照射範囲が徐々に小さくなり、光ファイバ108に凸状のアポダイズの形成が可能である。
【0058】
(ポジ型スリット103による紫外光照射第二工程)
続いて、前記紫外光露光第一工程の後、前記グレーティング形成部の有効屈折率が光ファイバ108の長手方向に沿って平均化されるように前記グレーティング部に対して紫外光ビーム109を照射する紫外光照射第二工程について述べる。
【0059】
図1にあるネガ型スリット103の閉口部105を光ファイバ108の長手方向の閉口面積を調節することで、図1(a)にあるように紫外光ビーム109の照射強度分布が凸状のアポダイズ形状を有する101であるグレーティング形成部に対して、ファイバグレーティングの有効屈折率が光ファイバ長手方向に沿って平均化、即ち一定となるように凸状のアポダイズ形状を有する照射強度101とは逆の凹状のアポダイズ形状を有する照射強度102を与えることができる(図2(b))。
【0060】
ここでは、紫外光露光第一工程の場合と同様に、グレーティング形成部両端からグレーティング形成外部へ与えた屈折率変化量は、tanh型の関数:tanh{−2(z−L/2)/z}で表されるものを用いた。zはファイバグレーティング長手方向の距離であり、Lはファイバグレーティングのグレーティング形成部の長さである。
【0061】
具体的には、前記紫外光露光第一工程の後に、紫外光ビーム109の照射範囲を徐々に大きくする、即ち図1のネガ型スリット103の閉口部105が光ファイバ108の長手方向に対して平行な位置状態から光ファイバ108の長手方向に垂直となる位置関係へと、回転ステージ111により徐々に回転させて光ファイバ108とネガ型スリット103との成す角θを大きくすることで、光ファイバ108へ照射される紫外光ビーム109の照射範囲が徐々に大きくなり、凹状のアポダイズの形成が可能である。
【0062】
ここまでは特許文献1と基本的に同じである。
【0063】
本発明においては、ネガ型スリット103が遮光部106、107を有している。
【0064】
これらの遮光部106、107は、光ファイバ108の長手方向に対して、ファイバグレーティングのグレーティング形成領域から離れた領域(以下、この領域を「グレーティング形成外部領域」という)に対応している。アポダイズ用回転スリット101が回転することによって、これらの遮光部106、107を介して光ファイバ108へ照射される紫外光ビーム109の照射強度は、図2(c)となる。
【0065】
前記に示した紫外光露光第一工程と紫外光露光第二工程とを光ファイバに対して施すことにより、結果として光ファイバに形成される有効屈折率、若しくは屈折率分布は、図2(a)〜(c)の各照射強度を足し合わせて得られる図3となる。すなわち、グレーティング形成領域では有効屈折率分布は一定であり、グレーティング形成外部領域では徐々に屈折率が減少している。
【0066】
ファイバグレーティングは前記特許文献1に示した従来例のように、位相マスクを介した回折光が照射されて屈折率の濃淡が形成される。そのため、図4のように本実施例のファイバグレーティングの屈折率分布は、実際のグレーティング形成領域では屈折率の増減の変調が形成されており、グレーティング形成外部領域における屈折率はグレーティング形成部から遠ざかるに従って小さくなっている。
【0067】
グレーティング形成外部領域における屈折率の変化量の差を小さくすることでグレーティング形成外部領域におけるエタロンの形成を抑制し、エタロンによる反射係数が低減して、図5に示すようなファイバグレーティングの反射特性と群遅延特性のようにリップルを減少できたことが確認できた。
【0068】
以上の実施例で作製したファイバグレーティングの分散補償効果について調べるため、アナログ光伝送における2次相互変調歪(IM2)の評価を前記に述べた図13にあるような伝送系で行った。その結果を図6に示す。従来の技術で作製したファイバグレーティングで問題となった光変調度が20%以下の領域、特に光変調度が10%以下の領域における2次相互変調歪の劣化が低減可能なことが確認でき、本実施例の有効性が確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0069】
以上のように本発明はファイバグレーティングの屈折率分布に着目し、本発明によれば、ファイバグレーティングの屈折率分布を、グレーティング形成領域では一定とし、さらにグレーティング形成領域とグレーティング形成外部領域との境界からグレーティング形成外部領域へと徐々に減少させることで、グレーティング形成領域の両端におけるエタロンの不要共振によるファイバグレーティングの群遅延特性のリップルの低減と群遅延特性の線形性を向上させることができる。その結果、光アナログ伝送におけるファイバグレーティングの分散補償効果を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)本発明の実施形態におけるアポダイズ用回転スリットを示す図 (b) 本発明の実施形態におけるアポダイズ用回転スリットを、板厚垂直方向から見た図
【図2】(a)本発明の実施形態におけるアポダイズ用回転スリットのポジ型スリットを用いて紫外光を光ファイバへ照射した際の照射強度を示す図 (b) 本発明の実施形態におけるアポダイズ用回転スリットのネガ型スリットの閉口部を用いて紫外光を光ファイバへ照射した際の照射強度を示す図 (c)本発明の実施形態におけるアポダイズ用回転スリットのネガ型スリットによる光ファイバへの紫外光照射強度分布を示す図
【図3】本発明の実施形態におけるファイバグレーティングの有効屈折率分布を概略的に示した図
【図4】本発明の実施形態におけるファイバグレーティングの屈折率分布を概略的に示した図
【図5】(a)本発明の実施形態におけるファイバグレーティングの反射率を示す図 (b)本発明の実施形態におけるファイバグレーティングの群遅延特性を示す図 (c)本発明の実施形態におけるファイバグレーティングの群遅延リップル特性を示す図
【図6】本発明の実施形態により作製したファイバグレーティングの2次相互変調歪特性を示した図
【図7】従来の実施形態による分散補償用ファイバ回折格子の製造方法を示す概略図
【図8】従来の実施形態によるファイバ回折格子の作製の一工程図と、長軸方向における紫外線照射強度分布及び反射波長を示す特性図
【図9】従来の実施形態によるファイバ回折格子の作製に用いる露光用治具の構成を示す概略図
【図10】従来の実施形態によるファイバ回折格子の作製に用いる露光用治具の設置方法を示す概略図
【図11】従来の実施形態により作製されたファイバ回折格子の長軸方向における屈折率分布を示す特性図
【図12】(a)従来の実施形態におけるファイバグレーティングの反射率を示す図 (b)従来の実施形態におけるファイバグレーティングの群遅延特性を示す図 (c)従来の実施形態におけるファイバグレーティングの群遅延リップル特性を示す図
【図13】2次相互変調歪特性を評価する実験系を示す図
【図14】従来の実施形態におけるファイバグレーティングの2次相互変調歪特性を示す図
【図15】(a)従来の実施形態における回転スリットによって形成されたファイバググレーティングの屈折率分布を示す図 (b)従来の実施形態における回転ネガスリットによって形成されたファイバググレーティングの屈折率分布を示す図 (c)従来の実施形態におけるファイバグレーティングの屈折率分布を示す図
【符号の説明】
【0071】
101 アポダイズ用回転スリット
102 ポジ型スリット
103 ネガ型スリット
104 開口部
105 閉口部
106 遮光部
107 遮光部
108 光ファイバ
109 紫外光ビーム
201 凸状アポダイズ
202 凹状アポダイズ
1 光ファイバ
2 位相マスク
3 紫外光
4 +1次光
5 −1次光
6 回転スリット
7 回転ネガスリット
8 回転スリットを通過する紫外光の照射強度
9 回転ネガスリットを通過する紫外光の照射強度
10 高周波信号発生源
11 高周波信号発生源
12 3dBカプラ
13 可変電気アッテネータ
14 バイアスティー
15 レーザダイオード
16 光ファイバ
17 光アイソレータ
18 光サーキュレータ
19 ファイバグレーティング
20 可変光アッテネータ
21 フォトディテクタ
22 電気スペクトラムアナライザ





 

 


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