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発明の名称 変倍レンズ光学系、並びにそれを用いた撮像光学機器及び携帯型情報端末機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25373(P2007−25373A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−208895(P2005−208895)
出願日 平成17年7月19日(2005.7.19)
代理人 【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
発明者 宮崎 恭一
要約 課題
少ないレンズ枚数で、かつ、簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、良好な結像性能を得ることのできる変倍レンズ光学系を提供する。

解決手段
物体側から像面S側に向かって順に配置された、負のパワーの第1レンズ群1と、正のパワーの第2レンズ群2とにより変倍レンズ光学系を構成し、各レンズ群の間隔を変化させることによって2.2倍以上の変倍を行う。第1レンズ群1を、物体側から像面S側に向かって順に配置された、負のパワーのレンズ1Aと、両面に非球面を有する正のパワーのレンズ1Bとの2枚のレンズによって構成する。レンズ1Bのd線に対する屈折率をNd1B、レンズ1Bのd線に対するアッベ数をVd1Bとして、下記条件式(1)、(2)を満足させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
物体側から像面側に向かって順に配置された、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群とを備え、各レンズ群の間隔を変化させることによって2.2倍以上の変倍を行う変倍レンズ光学系であって、
前記第1レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に配置された、負のパワーを有するレンズ1Aと、両面に非球面を有し、かつ、正のパワーを有するレンズ1Bとの2枚のレンズからなり、下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする変倍レンズ光学系。
1.55<Nd1B<1.60 ・・・(1)
25<Vd1B<35 ・・・(2)
ここで、
Nd1B:前記レンズ1Bのd線に対する屈折率、
Vd1B:前記レンズ1Bのd線に対するアッベ数、
である。
【請求項2】
前記レンズ1Aが、下記条件式(3)を満足する請求項1に記載の変倍レンズ光学系。
50<Vd1A<75 ・・・(3)
ここで、
Vd1A:前記レンズ1Aのd線に対するアッベ数、
である。
【請求項3】
前記レンズ1Aが、少なくとも1面に非球面を有し、かつ、下記条件式(4)を満足する請求項1又は2に記載の変倍レンズ光学系。
0.5<(R11+R12)/(R11−R12)<2.0 ・・・(4)
ここで、
R11:前記レンズ1Aの物体側の面の曲率半径、
R12:前記レンズ1Aの像面側の面の曲率半径、
である。
【請求項4】
前記レンズ1Bが、ポリカーボネート樹脂によって成形された樹脂成形レンズである請求項1〜3のいずれかに記載の変倍レンズ光学系。
【請求項5】
光軸上で物体側から像面側に向かってX軸を定義したとき、前記レンズ1Bの非球面形状が下記(数1)で与えられ、
前記レンズ1Bの物体側の面、像面側の面ともに、X(H)のHによる2回微分量d2 X(H)/dH2 が有効径内でゼロとなる変曲点を有する請求項1〜4のいずれかに記載の変倍レンズ光学系。
【数1】


ここで、
CR:光学面の曲率半径、
K:円錐常数、
An:n次の非球面係数(n=4、6、8、10、12、・・・)、
である。
【請求項6】
物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、前記撮影光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備えた撮像光学機器であって、
前記撮像光学系は、請求項1〜5のいずれかに記載の変倍レンズ光学系であることを特徴とする撮像光学機器。
【請求項7】
物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、前記撮影光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備えた携帯型情報端末機器であって、
前記撮像光学系は、請求項1〜5のいずれかに記載の変倍レンズ光学系であることを特徴とする携帯型情報端末機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、変倍レンズ光学系、並びにそれを用いた撮像光学機器及び携帯型情報端末機器に関し、特に、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラに好適な変倍レンズ光学系、並びにそれを用いた撮像光学機器及び携帯型情報端末機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルスチルカメラやデジタルビデオカメラ(以下、単に「デジタルカメラ」という)に代表される撮像光学機器が急速に普及し、記録される画像の画素数が500万画素を超えるデジタルカメラが多数商品化され、中でも、小型軽量化されたものが広く市場に受け入れられている。そして、その撮像光学機器に搭載されるレンズ光学系においても、性能を向上させつつ、小型軽量化することが強く要望されている。
【0003】
また、最近では、携帯電話や携帯型情報端末機器においても、300万画素を超える撮像デバイスや光学的にズーム変倍を行う撮像デバイスを備えたものが商品化され、これら撮像デバイスに搭載されるレンズ光学系においては、小型軽量化と低コスト化が強く要望されている。
【0004】
レンズ光学系の高性能化、小型軽量化及び低コスト化を両立させるのに適した変倍光学系として、負のパワーを有する第1レンズ群と正のパワーを有する第2レンズ群とを有する2成分ズーム変倍タイプのレンズ光学系があり、従来例として以下のようなレンズ光学系が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0005】
特許文献1、2に記載されたレンズ光学系は、物体側から像面側に向かって順に配置された、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群とを有する2成分ズーム変倍タイプのレンズ光学系であり、レンズ枚数が5枚ないし6枚という少ないレンズ構成で、小型軽量化及び低コスト化が図られている。
【特許文献1】特開2001− 21806号公報
【特許文献2】特開2004−102211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特に特許文献1に記載されたレンズ光学系においては、低コスト化を図るために、3枚構成の第1レンズ群のレンズ全てがプラスチック樹脂レンズ(以下、単に「樹脂レンズ」という)によって構成されている。しかし、樹脂レンズは、種類が限られており、屈折率やアッベ数の可能な値が少ないため、樹脂レンズのみでは、収差補正が不十分となり、記録される画像の画素数が500万画素を超えるデジタルカメラに搭載される高性能なレンズ光学系を実現することはできない。また、レンズ枚数も多くなり、低コスト、軽量化を図ることはできても、高性能化、小型化の点で問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載されたレンズ光学系においては、第1レンズ群に2枚のガラスレンズを用いることにより、高性能化と小型化(レンズ枚数が少ない)が図られている。しかし、第1レンズ群は比較的レンズ直径が大きいレンズ群であり、当該第1レンズ群にガラスレンズを2枚用いると、高コスト化に繋がるという問題点がある。そして、高性能化を図るには非球面の使用が必要となるため、第1レンズ群のコストの高さは大きな問題となる。
【0008】
本発明者は、このような低コスト化、高性能化、小型軽量化という相反する要求を、最適なレンズ構成とすることによって満足させ、撮像光学機器や携帯型情報端末機器に好適な変倍レンズ光学系を得ることを考えた。
【0009】
まず、低コスト化を図る方法としては、レンズを樹脂によって成形することが知られている(上記した「樹脂レンズ」)。樹脂レンズは、非球面を安価に形成できる点で優れているが、上記したように屈折率の選択自由度が低いため、レンズ枚数を増やす必要がある場合が多い。しかし、それでは、低コスト化の効果が薄れるだけでなく、レンズ光学系の大型化にも繋がり、機器としての優位性が損なわれてしまう。従って、低コスト化、高性能化、小型軽量化という相反する要求を満足させるためには、レンズ枚数を増やすことなく実現できる最適な樹脂レンズを適用することが重要となる。
【0010】
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、少ないレンズ枚数で、かつ、簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、良好な結像性能を得ることのできる変倍レンズ光学系、並びにそれを用いた撮像光学機器及び携帯型情報端末機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記目的を達成するため、本発明に係る変倍レンズ光学系の構成は、物体側から像面側に向かって順に配置された、負のパワーを有する第1レンズ群と、正のパワーを有する第2レンズ群とを備え、各レンズ群の間隔を変化させることによって2.2倍以上の変倍を行う変倍レンズ光学系であって、前記第1レンズ群は、物体側から像面側に向かって順に配置された、負のパワーを有するレンズ1Aと、両面に非球面を有し、かつ、正のパワーを有するレンズ1Bとの2枚のレンズからなり、下記条件式(1)、(2)を満足することを特徴とする。
【0012】
1.55<Nd1B<1.60 ・・・(1)
25<Vd1B<35 ・・・(2)
ここで、
Nd1B:前記レンズ1Bのd線に対する屈折率、
Vd1B:前記レンズ1Bのd線に対するアッベ数、
である。
【0013】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成においては、前記レンズ1Aが、下記条件式(3)を満足するのが好ましい。
【0014】
50<Vd1A<75 ・・・(3)
ここで、
Vd1A:前記レンズ1Aのd線に対するアッベ数、
である。
【0015】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成においては、前記レンズ1Aが、少なくとも1面に非球面を有し、かつ、下記条件式(4)を満足するのが好ましい。
【0016】
0.5<(R11+R12)/(R11−R12)<2.0 ・・・(4)
ここで、
R11:前記レンズ1Aの物体側の面の曲率半径、
R12:前記レンズ1Aの像面側の面の曲率半径、
である。
【0017】
上記条件式(4)は、レンズ1Aのベンディング(bending)の形状係数(shape factor)を示す式であり、特に非点収差及び歪曲収差を良好に補正するために好ましい条件式である。
【0018】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成においては、前記レンズ1Bが、ポリカーボネート樹脂によって成形された樹脂成形レンズであるのが好ましい。
【0019】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成においては、光軸上で物体側から像面側に向かってX軸を定義したとき、前記レンズ1Bの非球面形状が下記(数2)で与えられ、前記レンズ1Bの物体側の面、像面側の面ともに、X(H)のHによる2回微分量d2 X(H)/dH2 が有効径内でゼロとなる変曲点を有するのが好ましい。
【0020】
【数2】


【0021】
ここで、
CR:光学面の曲率半径、
K:円錐常数、
An:n次の非球面係数(n=4、6、8、10、12、・・・)、
である。
【0022】
また、本発明に係る撮像光学機器の構成は、物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、前記撮影光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備えた撮像光学機器であって、前記撮像光学系は、前記本発明の変倍レンズ光学系であることを特徴とする。
【0023】
また、本発明に係る携帯型情報端末機器の構成は、物体の光学的な像を形成する撮像光学系と、前記撮影光学系によって形成された光学的な像を電気的な画像信号に変換する撮像素子とを備えた携帯型情報端末機器であって、前記撮像光学系は、前記本発明の変倍レンズ光学系であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
前記本発明の変倍レンズ光学系の構成によれば、少ないレンズ枚数で、かつ、簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、良好な結像性能を得ることのできる変倍レンズ光学系を実現することができる。また、レンズ1Bが両面に非球面を有することにより、広角時の球面収差及び非点収差を良好に補正することができる。
【0025】
上記条件式(1)の下限値を下回ると、レンズ1Bの屈折率が小さいために、その曲率半径が小さくなり、当該レンズ1Bにおける収差発生量が多くなってしまう。また、上記条件式(1)の上限値を超えると、第1レンズ群としてのペッツヴァルの条件が大きく外れるために、第1レンズ群全体での非点収差量が多くなり、変倍レンズ光学系全体での非点収差の補正が困難となる。
【0026】
上記条件式(2)の下限値を下回ると、レンズ1Bの色分散が大きくなるために、第1レンズ群の色収差が補正過剰(オーバー)となり、変倍レンズ光学系全体として色収差が悪くなる。また、上記条件式(2)の上限値を超えると、第1レンズ群の色収差が補正不足(アンダー)となるため、レンズ1Aとレンズ1Bの互いのパワーを強くする必要がある。そのため、球面収差と非点収差を効果的に補正することができなくなり、結像性能が悪化すると共に、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度が高くなる。
【0027】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成において、前記レンズ1Aが、上記条件式(3)を満足するという好ましい例によれば、レンズ1Aとレンズ1Bとに十分な分散の格差を与えて、各レンズのパワーを適当に設定することができるので、色収差を良好に補正することができると共に、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度を低減することができる。
【0028】
上記条件式(3)の下限値を下回ると、レンズ1Aとレンズ1Bとの分散の格差が不十分となり、色収差を良好に補正することができないと共に、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度が高くなってしまう。また、上記条件式(3)の上限値を超えた場合、色収差を良好に補正し、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度を低減することはできるが、高価な材料を使用する必要があるために、コストの低減を図ることができない。
【0029】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成において、前記レンズ1Aが、少なくとも1面に非球面を有し、かつ、上記条件式(4)を満足するという好ましい例によれば、レンズ1Aとレンズ1Bとがそれぞれ発生させる収差を良好に打ち消し合う構成とすることができる。
【0030】
上記条件式(4)の下限値を下回ると、樽型(負)の歪曲収差が大きくなって、像が大きく歪んでしまう。また、上記条件式(4)の上限値を超えた場合、歪曲収差を良好に補正することはできるが、非点収差が補正不足(アンダー)となってしまう。また、この場合、レンズ1Aの光軸方向の厚みが大きくなるために、変倍レンズ光学系が大型化してしまう。
【0031】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成において、前記レンズ1Bが、ポリカーボネート樹脂によって成形された成樹脂形レンズであるという好ましい例によれば、良好な収差補正を行って変倍レンズ光学系の高性能化を図ることが可能になる。また、ポリカーボネート樹脂によって成形された成樹脂形レンズは、軽量かつ安価であるため、変倍レンズ光学系の軽量化、低コスト化にも寄与し得る。
【0032】
また、前記本発明の変倍レンズ光学系の構成において、光軸上で物体側から像面側に向かってX軸を定義したとき、前記レンズ1Bの非球面形状が上記(数2)で与えられ、前記レンズ1Bの物体側の面、像面側の面ともに、X(H)のHによる2回微分量d2 X(H)/dH2 が有効径内でゼロとなる変曲点を有するという好ましい例によれば、両面非球面の効力を生かした大きなデビエーションによる収差補正を行うことができる。特に、非点収差においてサジタル像とメリディオナル像とについて高次収差を発生させ、非点収差を軸外まで良好に補正することができる。
【0033】
また、前記本発明の撮像光学機器の構成によれば、小型軽量で高性能な撮像機能を有する撮像光学機器を実現することができる。
【0034】
また、前記本発明の携帯型情報端末機器の構成によれば、小型軽量で高性能な撮像機能を有する携帯型情報端末機器を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
以下、実施の形態を用いて本発明をさらに具体的に説明する。
【0036】
[第1の実施の形態]
図1は本発明の第1の実施の形態の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態の変倍レンズ光学系は、物体側(図1では左側)から像面S側に向かって順に配置された、負のパワーを有する第1レンズ群1と、正のパワーを有する第2レンズ群2とにより構成されており、各レンズ群の間隔を変化させることによって2.2倍以上の変倍が行われる。第2レンズ群2の最も物体側には、光路を規制するための開口絞り3が配置されている。また、第2レンズ群2と像面Sとの間には、像面Sの近傍に位置して光学ローパスフィルタ4が配置されている。この光学ローパスフィルタ4は、像面Sに配置されるCCDやCMOS等の撮像素子のサンプリングによる折返し像を少なくするためのものであり、水晶板等の透明な平行平板を用いて形成されている。図1中、各レンズ群からの矢印は、広角側から望遠側へ変倍する際の各レンズ群の移動経路を示している。
【0038】
第1レンズ群1は、物体側から像面S側に向かって順に配置された、負のパワーを有するレンズ1Aと、両面に非球面を有し、かつ、正のパワーを有するレンズ1Bとの2枚のレンズにより構成され、レンズ1Bのd線に対する屈折率をNd1B、レンズ1Bのd線に対するアッベ数をVd1Bとしたとき、下記条件式(1)、(2)を満足する。
【0039】
1.55<Nd1B<1.60 ・・・(1)
25<Vd1B<35 ・・・(2)
以上のような構成とすることにより、少ないレンズ枚数で、かつ、簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、良好な結像性能を得ることのできる変倍レンズ光学系を実現することができる。
【0040】
上記条件式(1)の下限値を下回ると、レンズ1Bの屈折率が小さいために、その曲率半径が小さくなり、当該レンズ1Bにおける収差発生量が多くなってしまう。また、上記条件式(1)の上限値を超えると、第1レンズ群1としてのペッツヴァルの条件が大きく外れるために、第1レンズ群1全体での非点収差量が多くなり、変倍レンズ光学系全体での非点収差の補正が困難となる。
【0041】
上記条件式(2)の下限値を下回ると、レンズ1Bの色分散が大きくなるために、第1レンズ群1の色収差が補正過剰(オーバー)となり、変倍レンズ光学系全体として色収差が悪くなる。また、上記条件式(2)の上限値を超えると、第1レンズ群1の色収差が補正不足(アンダー)となるため、レンズ1Aとレンズ1Bの互いのパワーを強くする必要がある。そのため、球面収差と非点収差を効果的に補正することができなくなり、結像性能が悪化すると共に、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度が高くなる。
【0042】
本実施の形態の変倍レンズ光学系においては、レンズ1Aのd線に対するアッベ数をVd1Aとしたとき、レンズ1Aが、下記条件式(3)を満足するのが望ましい。
【0043】
50<Vd1A<75 ・・・(3)
上記条件式(3)を満足することにより、レンズ1Aとレンズ1Bとに十分な分散の格差を与えて、各レンズのパワーを適当に設定することができるので、色収差を良好に補正することができると共に、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度を低減することができる。
【0044】
上記条件式(3)の下限値を下回ると、レンズ1Aとレンズ1Bとの分散の格差が不十分となり、色収差を良好に補正することができないと共に、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度が高くなってしまう。また、上記条件式(3)の上限値を超えた場合、色収差を良好に補正し、各レンズの偏芯による性能劣化の敏感度を低減することはできるが、高価な材料を使用する必要があるために、コストの低減を図ることができない。
【0045】
また、本実施の形態の変倍レンズ光学系においては、レンズ1Aが、少なくとも1面に非球面を有し、かつ、レンズ1Aの物体側の面の曲率半径をR11、レンズ1Aの像面側の面の曲率半径をR12としたとき、下記条件式(4)を満足するのが望ましい。
【0046】
0.5<(R11+R12)/(R11−R12)<2.0 ・・・(4)
これにより、レンズ1Aとレンズ1Bとがそれぞれ発生させる収差を良好に打ち消し合う構成とすることができる。
【0047】
上記条件式(4)の下限値を下回ると、樽型(負)の歪曲収差が大きくなって、像が大きく歪んでしまう。また、上記条件式(4)の上限値を超えた場合、歪曲収差を良好に補正することはできるが、非点収差が補正不足(アンダー)となってしまう。また、この場合、レンズ1Aの光軸方向の厚みが大きくなるために、変倍レンズ光学系が大型化してしまう。
【0048】
また、本実施の形態の変倍レンズ光学系においては、光軸上で物体側から像面側に向かってX軸を定義したとき、レンズ1Bの非球面形状が下記(数3)で与えられ、レンズ1Bの物体側の面、像面側の面ともに、X(H)のHによる2回微分量d2 X(H)/dH2 が有効径内でゼロとなる変曲点を有するのが望ましい。
【0049】
【数3】


【0050】
ここで、
CR:光学面の曲率半径、
K:円錐常数、
An:n次の非球面係数(n=4、6、8、10、12、・・・)、
である。
【0051】
かかる構成により、両面非球面の効力を生かした大きなデビエーションによる収差補正を行うことができる。特に、非点収差においてサジタル像とメリディオナル像とについて高次収差を発生させ、非点収差を軸外まで良好に補正することができる。
【0052】
次に、各レンズ群の構成について詳細に説明する。
【0053】
第1レンズ群1は、物体側から像面S側に向かって順に配置された、物体側に凸形状を有する負のパワーのレンズ1Aと、像面S側に凹形状を有する正のパワーのレンズ1Bとの2枚のレンズにより構成されている。そして、収差を良好に補正するために、レンズ1Aの像面S側の面とレンズ1Bの両面とが非球面となっている。
【0054】
レンズ1Aは、ガラス非球面レンズであり、レンズ1Bは、ポリカーボネート樹脂によって成形された樹脂成形レンズである。
【0055】
第2レンズ群2は、物体側から像面S側に向かって順に配置された、開口絞り3と、第2Aレンズ群5と、第2Bレンズ群6とにより構成されている。ここで、第2Aレンズ群5は、ぶれ補正のために光軸7(以下、「光軸」という場合には、「光軸7」を指すものとする)と垂直な方向(矢印8)に移動(偏芯)可能なぶれ補正レンズ群である。また、第2Bレンズ群6は、フォーカス調整のために、第2Aレンズ群5との間の光軸方向の間隔を変化させるように光軸方向(矢印9)に移動可能なフォーカシングレンズ群である。
【0056】
第2Aレンズ群5は、物体側から像面S側に向かって順に配置された、物体側に正の非球面を有する正のパワーのレンズ(以下「正レンズ」という)と、物体側に凸形状を有する正レンズと像面S側に凹形状を有する負のパワーのレンズ(以下「負レンズ」という)との接合レンズとにより構成されている。そして、特に最も物体側の凸形状の非球面と最も像面S側の凹形状のレンズ面とにより、第2Aレンズ群5の軸上色収差、球面収差、コマ収差及び非点収差が良好に補正され、ぶれ補正機能を満たす仕様が実現されている。
【0057】
また、第2Bレンズ群6は、両凸の正の単レンズのみによって構成されている。そして、第2Bレンズ群6としての非点収差を良好に補正して、偏芯による性能劣化感度を低減するため、第2Bレンズ群6を構成する正の単レンズは、物体側の面が非球面となっている。
【0058】
開口絞り3、第2Aレンズ群5、第2Bレンズ群6、上記のように第2レンズ群2に含まれており、変倍時には略一体的に光軸方向に移動する。しかし、開口絞り3は、第2Aレンズ群5には含まれておらず、ぶれ補正時に偏芯することはない。
【0059】
[第2の実施の形態]
図2は本発明の第2の実施の形態の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。本実施の形態の変倍レンズ光学系は、主に、第2レンズ群の構成が上記第1の実施の形態の変倍レンズ光学系と異なっている。
【0060】
図2に示すように、第2レンズ群2の第2Bレンズ群6は、物体側に凸、像面S側に凹の正の単レンズのみによって構成されている。そして、第2Bレンズ群6としての非点収差を良好に補正して、偏芯による性能劣化感度を低減するため、第2Bレンズ群6を構成する正の単レンズは、その両面が非球面となっている。
【0061】
[第3の実施の形態]
図3は本発明の第3の実施の形態の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図である。本実施の形態の変倍レンズ光学系は、主に、第2レンズ群の構成が上記第1の実施の形態の変倍レンズ光学系と異なっている。
【0062】
図3に示すように、第2レンズ群2の第2Bレンズ群6は、物体側に凹、像面S側に凸の正の単レンズのみによって構成されている。そして、第2Bレンズ群6としての非点収差を良好に補正して、偏芯による性能劣化感度を低減するため、第2Bレンズ群6を構成する正の単レンズは、その両面が非球面となっている。
【0063】
[第4の実施の形態]
図4は本発明の第4の実施の形態における撮像光学機器の構成を示す斜視図である。
【0064】
図4に示すように、本実施の形態の撮像光学機器11は、レンズ鏡筒10と、ストロボ12と、光学ビューファインダ13とを備えており、レンズ鏡筒10は、上記第1〜第3の実施の形態のいずれかで説明した変倍レンズ光学系を含んでいる。
【0065】
このように本実施の形態の撮像光学機器11には、上記第1〜第3の実施の形態のいずれかで説明した変倍レンズ光学系が搭載されているので、小型軽量で高性能な撮像機能を有する撮像光学機器を実現することができる。
【0066】
[第5の実施の形態]
図5は本発明の第5の実施の形態における携帯型情報端末機器の構成を示す斜視図であり、図5(a)は裏側から見た図、図5(b)は表側から見た図である。
【0067】
図5に示すように、本実施の形態の携帯型情報端末機器15は、レンズ鏡筒14と、液晶表示部16とを備えており、レンズ鏡筒14は、上記第1〜第3の実施の形態のいずれかで説明した変倍レンズ光学系を含んでいる。
【0068】
このように本実施の形態の携帯型情報端末機器15には、上記第1〜第3の実施の形態のいずれかで説明した変倍レンズ光学系が搭載されているので、小型軽量で高性能な撮像機能を有する携帯型情報端末機器を実現することができる。
【実施例】
【0069】
以下、具体的実施例を挙げて、上記第1〜第3の実施の形態の変倍レンズ光学系をさらに詳細に説明する。
【0070】
(実施例1)
本実施例の変倍レンズ光学系は、上記第1の実施の形態の変倍レンズ光学系に対応している。
【0071】
下記(表1)に、本実施例における変倍レンズ光学系の具体的数値例を示す。
【0072】
【表1】


【0073】
上記(表1)において、FL(mm)は焦点距離、FNo.はFナンバー、ω(゜)は入射半画角、SURFは光学面番号、CR(mm)は光学面の曲率半径、T(mm)は光学面間の間隔、Ndはd線に対する屈折率、Vdはd線に対するアッベ数をそれぞれ示している(以下の実施例2、3についても同様である)。また、非球面を有する光学面は、「ASPH」を付して示している。尚、光学面間の間隔Tのうち、変倍時に可変な値は、下記(表3)に示している。
【0074】
また、非球面形状は、光軸上で物体側から像面側に向かってX軸を定義したとき、下記(数4)で与えられる(以下の実施例2、3についても同様である)。
【0075】
【数4】


【0076】
但し、上記(数4)中、Kは円錐常数、Anはn次の非球面係数を表している。
【0077】
下記(表2)に、本実施例における変倍レンズ光学系の円錐常数、非球面係数を示す。
【0078】
【表2】


【0079】
上記(表2)において、「D+00」、「D−04」等は、「×10+00 」、「×10-04 」等を表している(以下の実施例2、3についても同様である)。
【0080】
下記(表3)に、変倍時に可変な光学面間の間隔のデータを示す。
【0081】
【表3】


【0082】
上記(表3)において、「INF」は無限遠を表している(以下の実施例2、3についても同様である)。
【0083】
図6、図7に、上記(表1)〜(表3)に示した変倍レンズ光学系の収差性能図を示す。図6は通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図、図7は通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。尚、図6、図7において、(a)はd線に対する球面収差の図である。(b)はd線に対する非点収差の図であって、実線はサジタル方向の値、破線はメリディオナル方向の値を示している。(c)はd線に対する歪曲収差を示す図、(d)は軸上色収差の図であって、実線はd線、破線はg線に対する値を示している。(e)はd線に対するg線の倍率色収差の図である。以上の説明は、図8〜図11についても同じである。
【0084】
図6、図7から分かるように、本実施例における変倍レンズ光学系は、良好な収差性能を示している。
【0085】
(実施例2)
本実施例の変倍レンズ光学系は、上記第2の実施の形態の変倍レンズ光学系に対応している。
【0086】
下記(表4)に、本実施例における変倍レンズ光学系の具体的数値例を示す。
【0087】
【表4】


【0088】
下記(表5)に、本実施例における変倍レンズ光学系の非球面形状を示す。
【0089】
【表5】


【0090】
下記(表6)に、変倍時に可変な光学面間の間隔のデータを示す。
【0091】
【表6】


【0092】
図8、図9に、上記(表4)〜(表6)に示した変倍レンズ光学系の収差性能図を示す。図8は通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図、図9は通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
【0093】
図8、図9から分かるように、本実施例における変倍レンズ光学系は、良好な収差性能を示している。
【0094】
(実施例3)
本実施例の変倍レンズ光学系は、上記第3の実施の形態の変倍レンズ光学系に対応している。
【0095】
下記(表7)に、本実施例における変倍レンズ光学系の具体的数値例を示す。
【0096】
【表7】


【0097】
下記(表8)に、本実施例における変倍レンズ光学系の非球面形状を示す。
【0098】
【表8】


【0099】
下記(表9)に、変倍時に可変な光学面間の間隔のデータを示す。
【0100】
【表9】


【0101】
図10、図11に、上記(表7)〜(表9)に示した変倍レンズ光学系の収差性能図を示す。図10は通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図、図11は通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図である。
【0102】
図10、図11から分かるように、本実施例における変倍レンズ光学系は、良好な収差性能を示している。
【0103】
下記(表10)に、上記各実施例1〜3についての上記条件式(1)〜(4)の値を示す。
【0104】
【表10】


【0105】
上記(表10)より、上記各実施例1〜3とも上記条件式(1)〜(4)を満足していることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本発明の変倍レンズ光学系によれば、少ないレンズ枚数で、かつ、簡単な構成で、小型軽量化を達成しながら、良好な結像性能を得ることのできる変倍レンズ光学系を実現することができる。従って、本発明の変倍レンズ光学系は、小型軽量化が望まれる高性能なデジタルカメラなどに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明の第1の実施の形態の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図
【図2】本発明の第2の実施の形態の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図
【図3】本発明の第3の実施の形態の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端におけるレンズ構成を示す配置図
【図4】本発明の第4の実施の形態における撮像光学機器の構成を示す斜視図
【図5】本発明の第5の実施の形態における携帯型情報端末機器の構成を示す斜視図((a)は裏側から見た図、(b)は表側から見た図)
【図6】本発明の実施例1の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図
【図7】本発明の実施例1の変倍レンズ光学系の通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図
【図8】本発明の実施例2の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図
【図9】本発明の実施例2の変倍レンズ光学系の通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図
【図10】本発明の実施例3の変倍レンズ光学系の通常状態の広角端無限遠物点における縦収差図
【図11】本発明の実施例3の変倍レンズ光学系の通常状態の望遠端無限遠物点における縦収差図
【符号の説明】
【0108】
1A、1B レンズ
S 像面
1 第1レンズ群
2 第2レンズ群
3 開口絞り
4 光学ローパスフィルタ
5 第2Aレンズ群
6 第2Bレンズ群
7 光軸
10、14 レンズ鏡筒
11 撮像光学機器
12 ストロボ
13 光学ビューファインダ
15 携帯型情報端末機器
16 液晶表示部




 

 


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