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発明の名称 角速度センサ素子およびその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−24810(P2007−24810A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−210928(P2005−210928)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄
発明者 西脇 英謙 / 林 信和
要約 課題
誤検出を低減させることができるとともに、角速度センサ素子の耐久信頼性を向上させることができる角速度センサ素子を提供することを目的とする。

解決手段
振動部2と、この振動部2を支持する固着部3と、振動部2の一面に形成され、かつこの振動部2を励振させる駆動電極6と、振動部2における駆動電極6と同一方向の面に形成され、かつ振動部2が回転運動をすることにより励振方向の垂直方向に生じる振動を検知する検出電極7とを備え、前記振動部2における駆動電極6および検出電極7が形成された面のみに駆動電極6および検出電極7を覆う保護膜8を設けたものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
振動部と、この振動部を支持する固着部と、前記振動部の一面に形成され、かつこの振動部を励振させる駆動電極と、前記振動部における前記駆動電極と同一方向の面に形成され、かつ前記振動部が回転運動をすることにより励振方向の垂直方向に生じる振動を検知する検出電極とを備え、前記振動部における前記駆動電極および前記検出電極が形成された面のみに前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を設けた角速度センサ素子。
【請求項2】
保護膜を振動部と固着部との境界部にも形成し、かつこの境界部に位置する保護膜に溝を形成するか、または振動部と固着部との境界部に保護膜を形成せずに欠落部を設けた請求項1記載の角速度センサ素子。
【請求項3】
振動部における保護膜に振動部の長手方向と直角の方向に1または2以上の溝を形成した請求項1または2記載の角速度センサ素子。
【請求項4】
保護膜を振動部における駆動電極および検出電極が形成された面、およびこの面と対向する面の両方に形成した請求項1〜3のいずれかに記載の角速度センサ素子。
【請求項5】
保護膜を振動部の熱膨張係数と等しい熱膨張係数の材料で構成した請求項1〜3のいずれかに記載の角速度センサ素子。
【請求項6】
保護膜を樹脂系の材料で形成した請求項1〜3のいずれかに記載の角速度センサ素子。
【請求項7】
保護膜の厚みを0.1μm〜5μmの範囲に設定した請求項1〜3のいずれかに記載の角速度センサ素子。
【請求項8】
パッケージを付加し、このパッケージの内部に角速度センサ素子を配置した請求項1〜7のいずれかに記載の角速度センサ素子。
【請求項9】
パッケージを少なくとも2以上の部品を溶接で接合したもので構成した請求項8記載の角速度センサ素子。
【請求項10】
1枚の板状のウェハから1または2以上の角速度センサ素子を製造する方法において、ウェハの一方の面に直接または間接的に複数の駆動電極と複数の検出電極とを形成する工程と、前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を形成する工程と、前記ウェハを所定形状の個片に分割し角速度センサ素子を形成する工程とを備えた角速度センサ素子の製造方法。
【請求項11】
板状のウェハを所定形状の個片に分割する工程の前に前記板状のウェハにおける複数の駆動電極と複数の検出電極とが形成されていない面に保護膜を形成する工程を付加した請求項10記載の角速度センサ素子の製造方法。
【請求項12】
保護膜をスピンコートまたはディップにより形成した請求項10または11記載の角速度センサ素子の製造方法。
【請求項13】
下部電極をウェハ上に形成し、かつ、駆動電極および検出電極を圧電体を介して前記下部電極に対向するように形成し、さらに、保護膜を形成する工程の前に前記圧電体の分極を行う工程を付加した請求項10または11記載の角速度センサ素子の製造方法。
【請求項14】
請求項10〜13のいずれかに記載の角速度センサ素子の製造方法に、前記角速度センサ素子をパッケージの中に入れる工程を付加した角速度センサ素子の製造方法。
【請求項15】
角速度センサ素子をパッケージの中に入れる工程を、前記角速度センサ素子を少なくとも2以上の部品で覆い、この少なくとも2以上の部品を溶接により接合する工程にした請求項14記載の角速度センサ素子の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機、車両など移動体の姿勢制御やナビゲーションシステムおよびカメラ等の民生用機器の手ぶれ補正等に用いられる角速度センサ素子およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、航空機、車両など移動体の姿勢制御やナビゲーションシステムおよびカメラ等の民生用機器の手ぶれ補正等に用いられる角速度センサ素子には、柱状の形状のものと音叉形状のもの、さらにはアルファベットの「H」形状のものなどがある。ここでは、音叉形状のものを例にして説明する。角速度センサ素子は固着部と一対の柱状の振動部とにより構成され、それぞれの振動部の上面には2つの駆動電極と1つの検出電極およびモニタ電極が同一面上に形成されている。固着部の上面には外部への出力取り出し用の電極部が設けられており、そしてこの出力取り出し用の電極部は、駆動電極、検出電極およびモニタ電極のそれぞれと同一面上に形成された配線パターンにより接続されている。角速度センサ素子は台座等に実装された後、ワイヤーボンディング等により外部回路と接続され、処理回路であるICとともにパッケージされて、角速度センサとなる。
【0003】
角速度センサ素子の各振動部の2つの駆動電極に交流電圧を印加することにより固有振動数で屈曲運動させることができる。このとき、ある瞬間に振動部のある部分が速度Vで運動しているとする。角速度センサ素子が振動部の長手方向と平行な軸周りに角速度ωで回転すると、振動部にF=2mV・ωのコリオリ力が発生する。このコリオリ力により検出電極に電荷が発生し、これを外部の処理回路で増幅し処理することにより角速度を検出する。
【0004】
角速度センサ素子を作製する場合、角速度センサ素子の耐久信頼性向上や、電極間への異物の付着によるショート防止等のために、角速度センサ素子の表面に保護膜を設ける場合がある。
【0005】
なお、この出願の発明に関する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開平11−145758号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記従来の角速度センサ素子は、振動部の全面にわたって浸漬と熱処理によって保護膜を形成するため、この保護膜の膜厚が均一でないと、振動部が振動した際に振動方向以外にも振動し、これにより、角速度が加わっていなくても検出電極に電荷が発生し、誤検出をしてしまうという課題を有していた。
【0007】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、誤検出を低減させることができるとともに、角速度センサ素子の耐久信頼性を向上させることができる角速度センサ素子およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
【0009】
本発明の請求項1に記載の発明は、振動部と、この振動部を支持する固着部と、前記振動部の一面に形成され、かつこの振動部を励振させる駆動電極と、前記振動部における前記駆動電極と同一方向の面に形成され、かつ前記振動部が回転運動をすることにより励振方向の垂直方向に生じる振動を検知する検出電極とを備え、前記振動部における前記駆動電極および前記検出電極が形成された面のみに前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を設けたもので、この構成によれば、前記振動部における前記駆動電極および前記検出電極が形成された面のみに前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を設けているため、角速度センサ素子の耐久信頼性を向上させることができ、また、振動部における駆動電極および検出電極が形成されない面には保護膜を形成しないため、保護膜を形成する面積を小さくでき、これにより、保護膜の厚みのばらつきに起因する誤検出を極力低減させることができるという作用効果を有するものである。
【0010】
本発明の請求項2に記載の発明は、特に、保護膜を振動部と固着部との境界部にも形成し、かつこの境界部に位置する保護膜に溝を形成するか、または振動部と固着部との境界部に保護膜を形成せずに欠落部を設けたもので、この構成によれば、振動部において振動した際の歪が最も大きい部分である振動部と固着部との境界部に位置する保護膜に溝を形成するか、または振動部と固着部との境界部に保護膜を形成せずに欠落部を設けているため、効率よく角速度を検知することができるという作用効果を有するものである。
【0011】
本発明の請求項3に記載の発明は、特に、振動部における保護膜に振動部の長手方向と直角の方向に1または2以上の溝を形成したもので、この構成によれば、振動部において保護膜を形成したことによる曲げ剛性の上昇を低下させることができるため、駆動効率の低下を減少させることができるという作用効果を有するものである。
【0012】
本発明の請求項4に記載の発明は、特に、保護膜を振動部における駆動電極および検出電極が形成された面、およびこの面と対向する面の両方に形成したもので、この構成によれば、振動部の上下面に均等に保護膜を形成できるため、振動時に上下方向の不要信号が発生しないという作用効果を有するものである。
【0013】
本発明の請求項5に記載の発明は、特に、保護膜を振動部の熱膨張係数と等しい熱膨張係数の材料で構成したもので、この構成によれば、使用温度が変化しても振動部は保護膜からの応力を受けないという作用効果を有するものである。
【0014】
本発明の請求項6に記載の発明は、特に、保護膜を樹脂系の材料で形成したもので、この構成によれば、振動部の動作を阻害することがなく、機械的強度に優れた保護膜が得られるという作用効果を有するものである。
【0015】
本発明の請求項7に記載の発明は、特に、保護膜の厚みを0.1μm〜5μmの範囲に設定したもので、この構成によれば、最適な膜厚を設定することにより振動部の動作を阻害することがなく、保護膜としての効果が得られるという作用効果を有するものである。
【0016】
本発明の請求項8に記載の発明は、特に、パッケージを付加し、このパッケージの内部に角速度センサ素子を配置したもので、この構成によれば、機械的衝撃に対しては主としてパッケージによって角速度センサ素子を保護し、耐久信頼性の向上に対してはパッケージと保護膜により行い、電極間のショート防止に対しては主として保護膜により行うようにしているため、角速度センサ素子の保護をより適切に行うことができるという作用効果を有するものである。
【0017】
本発明の請求項9に記載の発明は、特に、パッケージを少なくとも2以上の部品を溶接で接合して構成したもので、この構成によれば、パッケージ内に角速度センサ素子を容易に配置することができるという作用効果を有するものである。
【0018】
本発明の請求項10に記載の発明は、1枚の板状のウェハから1または2以上の角速度センサ素子を製造する方法において、ウェハの一方の面に直接または間接的に複数の駆動電極と複数の検出電極とを形成する工程と、前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を形成する工程と、前記ウェハを所定形状の個片に分割し角速度センサ素子を形成する工程とを備えたもので、この製造方法によれば、前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を形成しているため、角速度センサ素子の耐久信頼性を向上させることができ、また、保護膜を形成した後にウェハを分割するようにしているため、保護膜がウェハの分割面すなわち角速度センサ素子の側面に形成されることはなくなり、これにより、保護膜の厚みのばらつきに起因する誤検出を極力低減させることができるという作用効果を有するものである。
【0019】
本発明の請求項11に記載の発明は、特に、板状のウェハを所定形状の個片に分割する工程の前に前記板状のウェハにおける複数の駆動電極と複数の検出電極とが形成されていない面に保護膜を形成する工程を付加したもので、この製造方法によれば、角速度センサ素子における駆動電極等が形成された面と、この面と対向する面の両方に保護膜が形成されるため、振動部の上下面に均等に保護膜が位置することになり、これにより、振動時に上下方向の不要信号が発生しないという作用効果を有するものである。
【0020】
本発明の請求項12に記載の発明は、特に、保護膜をスピンコートまたはディップにより形成したもので、この製造方法によれば、安価な方法で優れた保護膜を安定して得ることができるという効果を有するものである。
【0021】
本発明の請求項13に記載の発明は、特に、下部電極をウェハ上に形成し、かつ、駆動電極および検出電極を圧電体を介して前記下部電極に対向するように形成し、さらに、保護膜を形成する工程の前に前記圧電体の分極を行う工程を付加したもので、この製造方法によれば、ウェハを高温にする必要がある分極を行う工程の後に、保護膜を形成する工程を設けているため、保護膜が分極時の熱によるダメージを受けることはないという作用効果を有するものである。
【0022】
本発明の請求項14に記載の発明は、特に、角速度センサ素子をパッケージの中に入れる工程を付加したもので、この製造方法によれば、機械的衝撃に対しては主としてパッケージによって角速度センサ素子を保護し、耐久信頼性の向上に対してはパッケージと保護膜により行い、電極間のショート防止に対しては主として保護膜により行うようにしているため、角速度センサ素子の保護をより適切に行うことができるという作用効果を有するものである。
【0023】
本発明の請求項15に記載の発明は、特に、角速度センサ素子をパッケージの中に入れる工程を、前記角速度センサ素子を少なくとも2以上の部品で覆い、この少なくとも2以上の部品を溶接により接合する工程にしたもので、この製造方法によれば、パッケージ内に角速度センサ素子を容易に配置することができるという作用効果を有するものである。
【発明の効果】
【0024】
以上のように本発明の角速度センサ素子は、振動部と、この振動部を支持する固着部と、前記振動部の一面に形成され、かつこの振動部を励振させる駆動電極と、前記振動部における前記駆動電極と同一方向の面に形成され、かつ前記振動部が回転運動をすることにより励振方向の垂直方向に生じる振動を検知する検出電極とを備え、前記振動部における前記駆動電極および前記検出電極が形成された面のみに前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を設けているため、前記振動部における前記駆動電極および前記検出電極が形成された面に前記駆動電極および前記検出電極を覆う保護膜を形成でき、これにより、角速度センサ素子の耐久信頼性を向上させることができ、また、振動部における駆動電極および検出電極が形成されない面には保護膜を形成していないため、保護膜を形成する面積を小さくでき、これにより、保護膜の厚みのばらつきに起因する誤検出を極力低減させることができるという優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(実施の形態1)
以下、実施の形態1を用いて、本発明の特に請求項1、5〜7、10、12、13に記載の発明について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態1における角速度センサ素子の上面図、図2は図1のA−A線断面図、図3は本発明の実施の形態1における角速度センサ素子の製造中の部分拡大図である。
【0026】
図1〜図3において、1はSiからなる基板で、この基板1は略音叉形状を有している。2は音叉形状の基板1において振動可能な振動部で、この振動部2は直方体形状であって、略平行に2本並んで配置されている。3は振動部2を支持している固着部である。4は前記振動部2上に形成された下部電極で、この下部電極4はそれぞれの振動部2の長手方向に略平行に3本ずつ形成されている。5はそれぞれの下部電極4上に形成された圧電体で、この圧電体5はPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)薄膜により構成されている。6は3本の圧電体5のうち、両側に位置する圧電体5上に形成された駆動電極であり、7は3本の圧電体5のうち、中央に位置する圧電体5上に形成された検出電極である。8は前記振動部2における駆動電極6および検出電極7が形成された面に、この駆動電極6および検出電極7を覆うように形成された保護膜である。9は前記駆動電極6または検出電極7と電気的に接続されると共に、外部の電気回路(図示せず)と接続するための導線等と物理的に接続するための接続電極である。この接続電極9と外部の電気回路との接続方法としては、例えばワイヤーボンディングで接続する方法があるが、はんだ付けでリード線を接続してもよい。また、外部の電気回路の基板上にランドを形成しておき、そのランドと直接接触させて接続させるフェイスダウン法によって接続してもよい。
【0027】
次に、本発明の実施の形態1における角速度センサ素子の製造方法について説明する。
【0028】
まず、Siからなる円盤状のウェハである基板1上に、スパッタまたは蒸着により下部電極4となるPtとTiを約0.4μmの膜厚となるように成膜し、引き続き圧電体5となる膜厚約2.5μmのPZTを成膜する。この上に駆動電極6または検出電極7となるAuとTiを約0.3μmの膜厚となるように成膜する。その後、上記のように積層された薄膜をフォトリソグラフィー、エッチングにより所定のパターン形状に加工する。次に駆動電極6と下部電極4間、および検出電極7と下部電極4間に電圧を印加することにより圧電体5の分極ベクトル方向を一定方向に揃える。この後、スピンコートにより保護膜8となるポリイミドを塗布、乾燥させる。この状態が図3である。そして、保護膜8をフォトリソグラフィーおよびウェット処理により所定の形状にパターニングする。この時、接続電極9や素子分割時にダイシングを行う箇所には保護膜8を形成しないようにしておく。その後、250〜300℃でポリイミドの硬化のための熱処理を行うが、この熱処理により圧電体5の安定化の効果も同時に得ることができる。保護膜8を形成した後、エッチングおよびダイシングを行うことにより、各素子の形状形成と分割を行い、角速度センサ素子を得る。
【0029】
次に、以上のようにして製造された角速度センサ素子の動作について説明する。
【0030】
圧電体5は圧電特性を有するものであり、電圧を印加すると歪みを生じ、また機械的に歪みを生じさせると電位を生じるものである。この性質を利用して角速度センサ素子の振動部2を励振させる。具体的には、駆動電極6とこれと対向する下部電極4間に交流電圧を印加する際に、1本の振動部2における2本の駆動電極6への電圧印加の位相を180°ずらす等の工夫をすることによって、振動部2を図1における紙面左右方向へ励振させることができる。他方の振動部2における駆動電極6についても同様に電圧を印加する。このとき、2本の振動部2を略平行な状態に振動させるのではなく閉じたり開いたりするように振動させる。すなわち、図1において、右側の振動部2が右に傾いているときには、左側の振動部2を左側へ傾け、一方、右側の振動部2が左に傾いているときには、左側の振動部2を右側へ傾けるような振動の状態にする。
【0031】
このような振動を行っているときに、角速度センサ素子を振動部2の長手方向に平行な軸周りに角速度運動をさせると、コリオリの力により振動部2が図1における紙面手前側または紙面奥側へ歪まされ、これにより検出電極7に接している圧電体5中に電位が生じる。この電位を知ることによって、角速度センサ素子に与えられた角速度を検出することができる。
【0032】
上記した本発明の実施の形態1における角速度センサ素子は、振動部2における駆動電極6および検出電極7が形成された面のみに、駆動電極6および検出電極7を覆うように保護膜8を形成し、そして駆動電極6および検出電極7が形成されない振動部2の側面および裏面には保護膜8を形成していないため、保護膜8を形成する面積を小さくできる。すなわち、必要な部分のみに保護膜8を形成することにより、保護膜8の厚みのばらつきに起因する誤検出を極力低減させることができ、かつ角速度センサ素子の耐久信頼性も向上させることができる。
【0033】
また、保護膜8を振動部2の熱膨張係数と等しい熱膨張係数の材料で構成すれば、使用温度が変化しても検出電極7の近傍においては、実質的に熱応力が発生せず、これにより、使用温度によらず精度の高い角速度の検出ができる。
【0034】
そしてまた、保護膜8は樹脂系の材料で構成しているため、振動部2の動作を阻害することはなく、かつ機械的強度にも優れた保護膜8が得られる。
【0035】
さらに、保護膜8の厚みを0.1μm〜5μmの範囲の厚みに設定すれば、振動部2の動作を阻害することはなく、保護膜8としての効果が得られる。
【0036】
さらにまた、保護膜8をスピンコートまたはディップにより形成すれば、安定して安価な方法で優れた保護膜8を得ることができる。
【0037】
また、圧電体5の分極を行う工程の後に保護膜8を形成する工程を設けているため、保護膜8が分極時の熱によりダメージを受けることもないという効果が得られるものである。
【0038】
(実施の形態2)
以下、実施の形態2を用いて、本発明の特に請求項8、9、14、15に記載の発明について説明する。
【0039】
図4は本発明の実施の形態2における角速度センサ素子の断面図を示したもので、この図4においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一番号を付しており、その説明は省略する。
【0040】
この図4に示すように、本発明の実施の形態2が上記した実施の形態1と相違する点は、角速度センサ素子をパッケージ12で囲んだ点である。
【0041】
図4において、10は上パッケージ、11は下パッケージで、この下パッケージ11と前記上パッケージ10とによりパッケージ12を構成している。そして、このパッケージ12の内部には角速度センサ素子が配置されている。また、パッケージ12を構成する材料としては、金属や、セラミックなどが考えられるが、パッケージ12を封止するために上パッケージ10と下パッケージ11の溶接を行うためには、少なくとも上パッケージ10と下パッケージ11との接合部は金属である必要がある。このようにパッケージ12の内部に角速度センサ素子を配置することにより、外部からの機械的衝撃から角速度センサ素子を保護することができる。また、パッケージ12を真空状態にしたり、あるいは窒素を充填し、酸素を排除することにより、角速度センサ素子の酸化防止も図ることができるため、角速度センサ素子の耐久信頼性も向上させることができる。なお、この場合、保護膜8を形成することにより、下部電極4、圧電体5、駆動電極6および検出電極7は保護膜8で覆われるため、これらの電極等の耐久信頼性の向上も図ることができ、さらには、パッケージ12による保護との相乗効果によって、角速度センサ素子の保護をより一層強固に行うことができる。
【0042】
また、この場合には、パッケージ12が密封状態となるように上パッケージ10と下パッケージ11とを封止するように接合する必要がある。この接合方法として溶接を用いることができるが、この溶接時にはパッケージ12を構成する金属がパッケージ12から剥がれて、パッケージ12内に混入するおそれがある。このような場合であっても、保護膜8が下部電極4、駆動電極6および検出電極7を覆っているため、これらの間のショートを防止することができる。
【0043】
上記したように本発明の実施の形態2における角速度センサ素子は、角速度センサ素子をパッケージ12で囲んでいるため、機械的衝撃に対しては主としてパッケージ12によって角速度センサ素子を保護することができ、また、耐久信頼性の向上はパッケージ12と保護膜8により行い、さらに、電極間のショート防止に対しては主として保護膜8により行うようにしているため、角速度センサ素子の保護をより適切に行うことができるものである。
【0044】
また、溶接でパッケージ12を封止する場合には、溶接時に金属片が飛び散ることがあるが、この場合も、保護膜8で覆っているため、下部電極4、駆動電極6、検出電極7間のショートを防止することができるものである。
【0045】
(実施の形態3)
以下、実施の形態3を用いて、本発明の特に請求項4、11に記載の発明について説明する。
【0046】
図5は本発明の実施の形態3における角速度センサ素子の断面図を示したものであり、この図5においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一番号を付しており、その説明は省略する。
【0047】
この図5に示すように、本発明の実施の形態3が上記した実施の形態1と相違する点は、保護膜8を、振動部2における駆動電極6等が形成された面と、この面と対向する面の両方に形成した点である。
【0048】
図5において、8は保護膜で、この保護膜8は振動部2における駆動電極6および検出電極7が形成された面だけでなく、この面と対向する面にも形成されているものである。
【0049】
この角速度センサ素子の製造方法は、上記した本発明の実施の形態1における角速度センサ素子の製造方法と同様にして行うことができるもので、振動部2における駆動電極6および検出電極7が形成された面に保護膜8を形成する工程の前後、または同時にこの面と対向する面に保護膜8を形成すればよい。
【0050】
このように、振動部2の上下面に均等に保護膜8を形成することにより、振動時に上下方向の不要信号が発生しないという効果を得ることができるものである。
【0051】
なお、本発明の実施の形態3における角速度センサ素子についても、上記本発明の実施の形態2で説明したように、角速度センサ素子の周囲をパッケージ12で囲む構成にすることができるもので、この場合にも、上記本発明の実施の形態2と同様の効果を得ることができるものである。
【0052】
(実施の形態4)
以下、実施の形態4を用いて、本発明の特に請求項2、3に記載の発明について説明する。
【0053】
図6は本発明の実施の形態4における角速度センサ素子の側面図を示したもので、この図6においては、上記した本発明の実施の形態1の構成と同様の構成を有するものについては、同一番号を付しており、その説明は省略する。
【0054】
この図6に示すように、本発明の実施の形態4が上記した本発明の実施の形態1と相違する点は、保護膜8の形状を変えている点である。
【0055】
この図6に示す角速度センサ素子は、保護膜8と振動部2と固着部3にそれぞれ形成し、そして、振動部2と固着部3との境界部には保護膜8を形成せずに、欠落部を設けたものである。この製造方法としては、振動部2と固着部3との境界部をマスクした状態で保護膜8を形成しても良いし、一方、保護膜8を図6における振動部2の上面全体に形成した後にエッチング等により欠落部を形成してもよいものである。
【0056】
この構成によれば、振動部2において振動した際の歪が最も大きい部分である振動部2と固着部3との境界の保護膜8を欠落させているため、効率よく角速度を検知することができるものである。
【0057】
上記本発明の実施の形態4における角速度センサ素子の構成は上記構成に限定されることはなく、様々なバリエーションをとり得るもので、これらについて、図7、図8を用いて説明をする。
【0058】
図7は本発明の実施の形態4における角速度センサ素子の第1のバリエーションの側面図を示したもので、この図7に示す角速度センサ素子は、保護膜8を振動部2と固着部3との境界部にも形成し、かつこの境界部に位置する保護膜8を他の部分より薄く形成したものである。言い換えると、振動部2と固着部3との境界部に位置する保護膜8に溝を形成したものである。このようにすれば、振動部2と固着部3との境界部における角速度センサ素子の保護を図ることができるとともに、効率よく角速度を検知することができるものである。
【0059】
図8は本発明の実施の形態4における角速度センサ素子の第2のバリエーションの側面図を示したもので、この図8に示す角速度センサ素子は、保護膜8に振動部2の長手方向と直角の方向に1または2以上の溝を形成したものである。この構成によれば、振動部2に保護膜8を形成したことによる曲げ剛性の上昇を低下させることができるため、効率よく角速度を検知することができるものである。
【0060】
なお、図6〜図8に記載のいずれの角速度センサ素子も、本発明の実施の形態2のようにパッケージ12の中に配置させることができるとともに、図5に示す本発明の実施の形態3のように振動部2の上下に保護膜8を形成することもできるものである。さらに、本発明の実施の形態2と実施の形態3の両方を適用すれば、パッケージ12の中に配置させることができるとともに、振動部2の上下に保護膜8を形成することもできるものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明にかかる角速度センサ素子およびその製造方法は、誤検出を低減させることができるとともに、角速度センサ素子の耐久信頼性も向上させることができるもので、航空機、車両など移動体の姿勢制御やナビゲーションシステムの他、カメラ等の民生用機器の手ぶれ補正等のセンサ等として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の実施の形態1における角速度センサ素子の上面図
【図2】図1のA−A線断面図
【図3】本発明の実施の形態1における角速度センサ素子の製造中の部分拡大図
【図4】本発明の実施の形態2における角速度センサ素子の断面図
【図5】本発明の実施の形態3における角速度センサ素子の断面図
【図6】本発明の実施の形態4における角速度センサ素子の側面図
【図7】同角速度センサ素子の第1のバリエーションの側面図
【図8】同角速度センサ素子の第2のバリエーションの側面図
【符号の説明】
【0063】
1 基板
2 振動部
3 固着部
4 下部電極
5 圧電体
6 駆動電極
7 検出電極
8 保護膜
9 接続電極
10 上パッケージ
11 下パッケージ
12 パッケージ




 

 


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