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発明の名称 カメラモジュール
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17706(P2007−17706A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199173(P2005−199173)
出願日 平成17年7月7日(2005.7.7)
代理人 【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
発明者 大山 一朗 / 飯島 友邦 / 玉木 悟史 / 田米 正樹
要約 課題
アクチュエータを駆動する信号を適切に設定することにより、アクチュエータの共振振動を抑えることができるカメラモジュールを提供する。

解決手段
撮像素子2と、撮像素子の受光面に略垂直な光軸を有するレンズ1と、レンズおよび撮像素子の相対位置を変化させるアクチュエータ4と、アクチュエータの動作指令信号を作成する指令作成手段12と、アクチュエータを動作指令信号に基づき駆動するアクチュエータ駆動手段5と、特定周波数成分を減衰させるノッチ特性を有し、動作指令信号の特定周波数成分を減衰させてアクチュエータ駆動部へ出力する制振フィルタ部14とを備え、制振フィルタが減衰させる周波数成分がアクチュエータの共振周波数の近傍に設定されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
撮像素子と、
前記撮像素子の受光面に略垂直な光軸を有するレンズと、
前記レンズおよび前記撮像素子の相対位置を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作指令信号を作成する指令作成手段と、
前記アクチュエータを前記動作指令信号に基づき駆動するアクチュエータ駆動手段と、
特定周波数成分を減衰させるノッチ特性を有し、前記動作指令信号の前記特定周波数成分を減衰させて前記アクチュエータ駆動部へ出力する制振フィルタ部とを備え、
前記制振フィルタ部が減衰させる周波数成分が前記アクチュエータの共振周波数の近傍に設定されていることを特徴とするカメラモジュール。
【請求項2】
前記制振フィルタ部は、ローパスフィルタを含む請求項1記載のカメラモジュール。
【請求項3】
前記制振フィルタ部は、伝達関数に減衰項を有し、前記制振フィルタ部の伝達関数の零点と、前記レンズおよび前記アクチュエータの伝達関数の極とが一致する請求項1または2記載のカメラモジュール。
【請求項4】
前記制振フィルタ部は、所定のタイミングで、出力する指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点を、前記動作指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点に一致させる位置ずれ補償手段を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項5】
前記制振フィルタ部は、前記アクチュエータの複数の共振周波数に対応して、異なるノッチ特性を有するフィルタを、複数直列接続して構成された請求項1〜3のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項6】
前記制振フィルタ部は、前記各フィルタに対して所定のタイミングで、出力する指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点を、前記動作指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点に一致させる位置ずれ補償手段を有する請求項5記載のカメラモジュール。
【請求項7】
前記制振フィルタ部は、前記アクチュエータの共振周波数を検知し、検知した前記共振周波数に基づき前記制振フィルタの特性を決定するパラメータ設定手段を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のカメラモジュール。
【請求項8】
撮像素子と、
前記撮像素子の受光面に略垂直な光軸を有するレンズと、
前記レンズおよび前記撮像素子の相対位置を変化させるアクチュエータと、
前記アクチュエータの動作指令信号を作成する指令作成手段と、
前記アクチュエータを前記動作指令信号に基づき駆動するアクチュエータ駆動手段とを備え、
前記動作指令信号は、前記アクチュエータの移動時に前記アクチュエータに加わる推力の継続時間が前記アクチュエータの共振振動の周期の整数倍となるように設定されたことを特徴とするカメラモジュール。
【請求項9】
前記指令作成手段がアクチュエータ駆動手段へ入力する動作指令信号は、前記アクチュエータが複数の異なる周波数の振動を発生する場合に、前記推力の継続時間が、抑制する全ての共振振動の周期に対して整数倍である信号である請求項8記載のカメラモジュール。
【請求項10】
前記アクチュエータの共振振動の周期を検知し、検知した前記共振振動の周期に基づき、前記継続時間を決定するパラメータ設定手段をさらに備えた請求項8または9記載のカメラモジュール。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、可動部を備えたカメラモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
オートフォーカス、光学ズーム、手ぶれ補正あるいは画素ずらし機能などを実現するために、可動部を有するカメラモジュールが多数提案されている。可動部を動かすアクチュエータとして、例えば、ステッピングモータを用いたもの(例えば特許文献1参照)あるいは、図2に示すように巻線部14、板ばね15および永久磁石16で構成され、巻線部14に電流を流し、変位量を制御する電磁アクチュエータがある。さらに、圧電式アクチュエータ、高分子アクチュエータ、静電アクチュエータあるいは形状記憶合金によるものがあり、近年では、これらのアクチュエータをMEMS技術を用いて作成した小型アクチュエータもある。
【特許文献1】特開平6−153592号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
アクチュエータとして、ステッピングモータを用いる場合、モータの1ステップで駆動される送り量は、位置決め精度により決定される最小ピッチ以下に設定する必要があり、高精度な位置決めを行う場合、ステッピングモータが脱調しないようにパルスレートを設定すると、変位量が大きくなるに従い駆動時間が長くなり高速化が図れない。
【0004】
一方、図2に示すような電磁アクチュエータ、圧電式アクチュエータ、高分子アクチュエータ、静電アクチュエータあるいは形状記憶合金アクチュエータなどを用いた場合では、電圧出力段の分解能により、もしくはフィードバック制御を行う際は更にアクチュエータの位置検出の分解能により位置決め精度が決まり、高精度位置決めが可能である。しかし、高速に動かした場合、図4に示すようにアクチュエータのばね要素による共振振動が発生するため、実質上は振動が許容レベル以下まで減衰するのに時間がかかり高速駆動することができない。なお、図4(a)はアクチュエータの変位xを示す波形、図4(b)はこのときアクチュエータに印加したステップ状の電圧Vの波形である。
【0005】
つまり、可動部を持つカメラモジュールのアクチュエータは、高速化と高精度化を両立させる位置決め制御を実現することができず、オートフォーカスや光学ズーム、手ぶれ補正、画素ずらし機能などの高速化ができないという問題がある。
【0006】
本発明は、従来の問題を解決するためになされたものであり、アクチュエータを駆動する信号を適切に設定することにより、アクチュエータの共振振動を抑えることを可能にしたカメラモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記問題を解決するために、本発明の第1のカメラモジュールは、撮像素子と、前記撮像素子の受光面に略垂直な光軸を有するレンズと、前記レンズおよび前記撮像素子の相対位置を変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータの動作指令信号を作成する指令作成手段と、前記アクチュエータを前記動作指令信号に基づき駆動するアクチュエータ駆動手段と、特定周波数成分を減衰させるノッチ特性を有し、前記動作指令信号の前記特定周波数成分を減衰させて前記アクチュエータ駆動部へ出力する制振フィルタ部とを備え、前記制振フィルタ部が減衰させる周波数成分が前記アクチュエータの共振周波数の近傍に設定されていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の第2のカメラモジュールは、前記撮像素子の受光面に略垂直な光軸を有するレンズと、前記レンズおよび前記撮像素子の相対位置を変化させるアクチュエータと、前記アクチュエータの動作指令信号を作成する指令作成手段と、前記アクチュエータを前記動作指令信号に基づき駆動するアクチュエータ駆動手段とを備え、前記動作指令信号は、前記アクチュエータの移動時に前記アクチュエータに加わる推力の継続時間が前記アクチュエータの共振振動の周期の整数倍となるように設定されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アクチュエータを駆動する信号を適切に設定することにより、アクチュエータの共振振動を抑えることができるカメラモジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の第1、第2のカメラモジュールは、レンズと撮像素子の相対位置を変化させる場合に、共振振動を抑えることができ、アクチュエータの高速化および高精度化を実現することができる。つまり、オートフォーカス、光学ズーム、手ぶれ補正や画素ずらし機能などを高速化かつ高精度化することができる。
【0011】
本発明の第1のカメラモジュールは、前記制振フィルタ部は、ローパスフィルタを含む構成にすることもできる。この構成により、制振フィルタ部から出力される指令信号の過渡応答時における信号の変動を小さくすることができる。そのため、アクチュエータの動作音などの制約に容易に対処することができる。
【0012】
また、前記制振フィルタ部は、伝達関数に減衰項を有し、前記制振フィルタ部の伝達関数の零点と、前記レンズおよび前記アクチュエータの伝達関数の極とが一致する構成にすることもできる。この構成により、共振振動を抑えることができる。なお、制振フィルタ部の伝達関数零点とアクチュエータの伝達関数の極が完全に一致すると理論上、共振振動を完全に無くすことができるが、完全に一致する必要はなく、極の近傍に零点があれば、共振振動を抑制することができる。
【0013】
また、前記制振フィルタ部は、所定のタイミングで、出力する指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点を、前記動作指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点に一致させる位置ずれ補償手段を有する構成にすることもできる。この構成により、制振フィルタ部の誤差による位置決め誤差を無くすことができる。
【0014】
また、前記制振フィルタ部は、前記アクチュエータの複数の共振周波数に対応して、異なるノッチ特性を有するフィルタを、複数直列接続して構成されることもできる。この構成により、複数の共振周波数を有するアクチュエータに対して共振振動を抑制することができる。
【0015】
また、前記制振フィルタ部は、前記各フィルタに対して所定のタイミングで、出力する指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点を、前記動作指令信号の前記撮像素子あるいは前記レンズの到達点に一致させる位置ずれ補償手段を有する構成にすることもできる。
【0016】
また、前記制振フィルタ部は、前記アクチュエータの共振周波数を検知し、検知した前記共振周波数に基づき前記制振フィルタ部の特性を決定するパラメータ設定手段を有する構成にすることもできる。この構成により、量産時におけるアクチュエータの個体差により生じる共振周波数のずれに対応することができる。
【0017】
また、本発明の第2のカメラモジュールは、前記指令作成手段がアクチュエータ駆動手段へ入力する動作指令信号は、前記アクチュエータが複数の異なる周波数の振動を発生する場合に、前記推力の継続時間が、抑制する全ての共振振動の周期に対して整数倍である信号である構成にすることもできる。
【0018】
また、前記アクチュエータの共振振動の周期を検知し、検知した前記共振振動の周期に基づき、前記継続時間を決定するパラメータ設定手段をさらに備えた構成にすることもできる。
【0019】
以下、本発明の具体的な実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0020】
(実施の形態1)
本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールは、オートフォーカス(以下、AFと略す)時に、レンズをアクチュエータで高速に動かした際に生じる機械共振振動を、アクチュエータの駆動信号から特定の周波数成分を低減する制振フィルタ部を用いることにより抑制するものである。
【0021】
まず、本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの全体構成について説明する。図1は、本実施の形態に係るカメラモジュールの一構成例を示すブロック図である。1はレンズである。2は、レンズ1から投射される画像を取り込むCCDあるいはCMOSイメージセンサで構成される撮像素子である。3は、演算回路6からの駆動信号を受け、撮像素子2を駆動する撮像素子駆動部である。4は、レンズ1と撮像素子2の相対位置を変化するアクチュエータであり、5は、演算回路6からの指令信号を受け、アクチュエータ4を駆動するアクチュエータ駆動部(アクチュエータ駆動手段)である。演算回路6は、DSPあるいはマイコンなどで構成され、撮像素子2からの画像データを受信し、撮像素子駆動部3に駆動信号、アクチュエータ駆動部5に指令信号を与え、カメラモジュール全体を制御する。
【0022】
演算回路6は、外部との入出力制御を行う入出力部7と、演算回路6全体を制御するシステム制御回路8と、画像データの処理を行う画像処理部9と、撮像素子2からの入力制御を行う信号入力部10と、レンズ1の位置を決定するAF演算部11と、レンズ1の位置を制御するための信号を発生するレンズ位置指令作成部12(指令作成手段)と、その信号をフィルタリングする制振フィルタ部13とで構成されている。
【0023】
入出力部7は、システム制御部8と接続され、外部装置からのコマンド入力、カメラモジュール内部のアラーム出力、あるいは撮影した画像の表示、画像データの保存のための入出力の制御を行うインターフェースである。システム制御部8は、撮像素子3およびAF演算部11に信号を入力し、信号入力部10からの信号を画像データに変換し、演算回路6全体を制御する。画像処理部9は、システム制御部8から処理する画像データを受け取り、画像データに例えば、エッジ強調処理などの加工を行う。信号入力部10は、撮像素子2からの信号を演算回路6に取り込む入力装置である。
【0024】
AF演算部11は、撮像画像のフォーカス状態を最適にするレンズ1の位置を決定する。レンズ位置指令作成部12は、AF演算部11の演算結果に基づき、アクチュエータ4がレンズ1を現在の位置から移動させる移動行程を求め、移動行程に沿ってレンズ1を移動させる動作指令信号を作成して制振フィルタ部13へ入力する。制振フィルタ部13は、レンズ1がアクチュエータ4により移動する際に生じる振動を抑制するため、動作指令信号に対して、アクチュエータ4の共振周波数成分を除去した指令信号をアクチュエータ駆動部5に入力する。
【0025】
次に、本実施の形態に係るカメラモジュールの全体的な動作について説明する。AF演算部11は、フォーカス位置とレンズ1位置とのずれを求め、そのフォーカス調整信号をレンズ位置指令作成部12に入力する。レンズ位置指令作成部12は、フォーカス調整信号に基づいてレンズ1を移動させるための動作指令信号を作成し、制振フィルタ部13に入力する。制振フィルタ部13は、動作指令信号に対してフィルタリング処理を行い、アクチュエータ駆動部5に入力する。アクチュエータ駆動部5は、アクチュエータ4を駆動してレンズ1を移動させる。
【0026】
次に、レンズ1、撮像素子2およびアクチュエータ4の具体的構成および動作特性について、図2〜4を参照しながら説明する。図2は、レンズ1、撮像素子2およびアクチュエータ4の一構成例を示す断面図である。巻線部14は、電流を流す事ができる巻線および巻線ホルダ等で構成され、レンズ1に固定させる。永久磁石16は、鏡筒17に接続され、板ばね15は、巻線部14と永久磁石16を接続する。板ばね15が曲がることで、巻線部14と永久磁石16の相対位置を可変とすることができる。撮像素子固定基板18は、鏡筒17に固定され、撮像素子固定基板18上に撮像素子2が固定されている。以上のとおり、レンズ1と撮像素子2の相対位置は、巻線部14、板ばね15、永久磁石16で構成されるアクチュエータ4により可変である。
【0027】
このアクチュエータ4は、巻線部14に流れる電流が形成する磁界と、永久磁石16が形成する磁界が作用して、推力を生じ、レンズ1および巻線部14を図2の左右方向に移動させる。この時、板ばね15が曲がることにより、推力と反対の向きに、巻線部14と永久磁石16の相対的位置に応じた力(反力)が発生する。アクチュエータ4は、推力と反力の合力が0となる位置で静止する(静特性)。そのため、レンズ1と撮像素子2の相対位置を、アクチュエータ4の巻線部14に印加する電圧もしくは電流を制御することにより制御でき、AF機能を実現することができる。
【0028】
このアクチュエータ4の動特性を求めるために、図2を単純化した数式モデルで示すと図3となる。この数式モデルは、質量mの物体19をばね定数kのばね20および粘性摩擦係数Dのダンパ21で接合した構成であり、図3の右向きにx軸をとる。質量mは、レンズ1および巻線部14の質量でほぼ求められる。ばね定数kは、板ばね15のばね定数により求めることができる。粘性摩擦係数Dは、板ばね15の特性などにより求めることができる。
【0029】
この数式モデルに基づいたアクチュエータ4の伝達関数G1(s)(レンズ1を含む。以下同じ。)は、
G1(s)=1/((1/ω)・s+2・(D/ω)・s+1) ・・・(式1)
と表わされる。ここで、ωはアクチュエータ4の固有角周波数であり、ω=(k/m)1/2であり、Dはアクチュエータ4の減衰係数であり、D=1/2・(D/(m・k)1/2)である。
【0030】
図4(a)は伝達関数G1(s)のステップ応答を示す図であり、(b)はその入力(巻線部14に印加する電圧)を示す図である。アクチュエータ4は、巻線部14の巻線に電圧Vをステップ状に与えると、基準位置x0から移動し、平衡位置x1を中心として板ばね15の影響により残留振動(以下、共振振動と称す)が生じる特性を有する。つまり、アクチュエータ4の減衰係数Dは、1より小さい。従って、この共振振動の振幅が許容値以下に減衰するまで撮像素子2の画像取り込みを待つことになり、AF機能の高速化の妨げとなる。特に携帯機器で使用されるカメラモジュールでは、低消費電力化や薄型化の要求で図2の板ばね15が薄型化され、ばね定数kが小さくなる事などに起因して、共振振動が低周波数になり、ますますアクチュエータ4の高速駆動が難しくなっている。
【0031】
次に、制振フィルタ部13について説明する。制振フィルタ部13は、実際にはディジタルフィルタで構成されるが、説明の便宜上アナログフィルタとして説明する。図5は、制振フィルタ部13の周波数特性を示す図であり、(a)は入出力ゲイン、(b)は位相を示す。(a)に示すように制振フィルタ部13は、特定周波数にノッチ特性を有する。ここで、ノッチ特性とは、特定周波数およびその近傍の周波数に対して、入出力ゲインを急峻にかつ大幅に減少する特性を言う。
【0032】
このノッチ特性を示す特定周波数をアクチュエータ4の共振周波数もしくはその近傍の周波数に設定することにより、レンズ位置指令作成部12で作成された動作指令信号から共振周波数成分を除去もしくは大幅に低減する。それにより、図6に示すように、アクチュエータ4を共振振動の小さい状態で、高速に目標位置まで移動させることができる。つまり、共振振動の振幅が許容値以下に減衰する時間が短くなり、AF機能の高速化を実現することができる。
【0033】
次に、ノッチ特性をアクチュエータ4の共振周波数に合わせる具体的な実現方法を(式2)および(式3)用いて説明する。(式2)は、ラプラス演算子sを用いた制振フィルタ部13の伝達関数G2(s)を示す。
【0034】
G2(s)=((1/ω)・s+1)/((1/ω)・s+2・(D/ω)・s+1) ・・・(式2)
【0035】
ここで、ωは設定角周波数、ωはフィルタ角周波数、Dはフィルタ減衰定数である。この伝達関数G2(s)は、周波数応答G2(jω)において、ωが設定角周波数ωの場合にゲイン0となり、分子が2次フィルタであるように設計されている。ここで、jは虚数単位である。つまり、伝達関数G2(s)は、分子が設定角周波数ω、言い換えると周波数ω/(2π)の周波数成分を除去してアクチュエータ4の共振振動を抑制し、分母が制振フィルタ部13の出力値の急峻な変動を抑えるように設計されている。
【0036】
図7(a)は、レンズ位置指令作成部12の出力である動作指令信号を示し、図7(b)、(c)は、この時の制振フィルタ部13の出力である指令信号を示す。図7(b)は伝達関数G2(s)のωが高い場合、(c)はωが低い場合を示す。フィルタ角周波数ωを低くすると制振フィルタ部13の出力の最大値を小さくすることができる。従って、(式2)示すように、制振フィルタ部13の伝達関数G2(s)のωを低く設定することで、ローパスフィルタを含むこととなる。ωを変化させることにより、出力の電圧範囲の上限あるいはアクチュエータ4の移動時における動作音などの制約に応じて制振フィルタ部13の出力の最大値を調整することが容易になる。
【0037】
なお、フィルタ減衰定数Dは、伝達関数G2(s)の分子を1とした時に、ゲインが全周波数領域で1以上とならないように、つまり共振振動が生じないように、1以上の値に設定することが望ましい。さらに、レンズ1を指定位置に速く移動させるためには、フィルタ減衰定数Dは、1に近いことがさらに望ましい。
【0038】
次に、(式3)示すように(式2)の分子に減衰項(ラプラス演算子sの一次の項)を挿入した制振フィルタ部13の伝達関数G3(s)を示す。
【0039】
G3(s)=((1/ω)・s+2・(D/ω)・s+1)/((1/ω)・s+2・(D/ω)・s+1) ・・・(式3)
【0040】
ここで、Dは設定減衰定数である。図8は、制振フィルタ部13の伝達関数がG3(s)の場合において、パラメータを適切に設定した際のステップ入力によるアクチュエータ4の変位xを示す図である。制振フィルタ部13へ入力されるレンズ位置指令作成部12の出力は、図7(a)と同一であり、伝達関数G3(s)の分子に減衰項2・(D/ω)・sを挿入することにより、共振振動を完全に除去することができることが判る。このとき、制振フィルタ部13からの指令信号は、図7(c)とほぼ同一である。なお、図8の縦軸、横軸の縮尺は、図4、図6の応答波形と同じである。また、図7(a)、図7(b)および図7(c)の各図の縦軸、横軸の縮尺は同じであり、制振フィルタ部13の出力波形を見やすくするために、図8よりも拡大表示している。
【0041】
次に、伝達関数G2(s)に対して、伝達関数G3(s)の分子に減衰項を挿入することにより、共振振動を完全に除去することができる原理について図9の極平面を用いて説明する。図9は、横軸が実軸、縦軸が虚軸である極平面であり、○は制振フィルタ部13の伝達関数の零点、×はアクチュエータ4のモデルにおける伝達関数の極を示す。アクチュエータ4の伝達関数G1(s)は、1>Dより、
G1(s)=1/((1/ω)・s+2・(D/ω)・s+1)
=1/(s+(D・ω+(1−D−1/2ωj))・(s+(D・ω−(1−D−1/2ωj)
となり、極は、−D・ω+(1−D1/2・ωj、−D・ω−(1−D1/2・ωjと求められる。したがって、図9に示すように、極(共振極)が極平面上の左半平面に実軸を対称に存在する。ここで、この極を実軸上に移動させるか、もしくは図9のように零点により極零相殺を行うことにより、共振振動を理論上完全に除去することができる。
【0042】
本発明では、制振フィルタ部13の伝達関数に零点を設け、アクチュエータ4の伝達関数の極と一致させることにより極零相殺を行い、共振振動を理論上完全に除去する。なお、零点は、極と完全に一致しなくても、その近傍に配置されれば大きな振動抑制効果を生じる。(式3)の分子に減衰項を設けない場合、つまり(式2)では伝達関数G2(s)の零点は、設定角周波数ωを変化させると虚軸上を移動する。したがって、この零点の虚部と、アクチュエータ4の伝達関数における極の虚部とが同一の場合に、これら零点と極との距離が最も短くなり、この極による振動は大幅に低減される(図6の応答波形)。しかし、この極が虚軸上にない限り極零相殺はできず、共振振動を完全に除去することはできない。(式3)のように減衰項2・(D/ω)・sを挿入し、D、ωを適切に設定することにより、制振フィルタ部13は極平面上の任意の点に零点を配置できるようになる。そのため図9に示すように、零点を極と一致させることにより、図8に示す応答波形のように極零相殺による完全な振動の除去が可能となる。
【0043】
次に、制振フィルタ部13が有する位置ずれ補償機能について説明を行う。制振フィルタ部13は、双一次変換などを行うことにより、(式2)や(式3)から求められる入出力の関係を有するディジタルフィルタである。ディジタルフィルタである制振フィルタ部13の入出力の関係式は、(式3)を、双一次変換を用いることにより(式4)に示すように表わすことができる。
【0044】
y(n)=K1・z(n)+K2・z(n−1)+K3・z(n−2)+K4・y(n−1)+K5・y(n−2)・・・(式4)
ここで、zは制振フィルタ部13の入力値、yは出力値である。添え字のnは、時系列に並ぶ現在を示し、n−1は時系列の現在から一つ前の時を示し、n−2は時系列の現在から二つ前の時を示す。係数K1、K2、K3、K4、K5は、(式4)の制振フィルタ部13の特性を決めるパラメータであり、設定角周波数ω、設定減衰定数D、フィルタ角周波数ω、フィルタ減衰定数D、サンプリング周期Tを用いて、
K1=(4/(ω・T)+4・D/(ω・T)+1)/K0
K2=(−8/(ω・T)+2)/K0
K3=(4/(ω・T)−4・D/(ω・T)+1)/K0
K4=(8/(ω・T)−2)/K0
K5=(−4/(ω・T)+4・D/(ω・T)−1)/K0
K0=4/(ω・T)+4・D/(ω・T)+1
と表わすことができる。
【0045】
このようにして、制振フィルタ部13のディジタルフィルタを作成した場合、IIRフィルタの原理上の問題や、丸め誤差等に起因して、制振フィルタ部13へ入力される信号のアクチュエータ4が到達すべき位置と、出力される信号のそれがずれる場合が生じる。この位置ずれを回避するために、レンズ位置指令作成部12(位置ずれ補償手段)は、図10に示すように、制振フィルタ部13に入力される動作指令信号の開始時点A(もしくは動作指令信号の終了時点)から所定の時間T後の時点B1に、制振フィルタ部13の出力信号の到達位置を入力信号の到達位置に合わせる。なお、図10の点線は制振フィルタ部13の入力波形、実線は出力波形を示している。
【0046】
または、図11に示すように制振フィルタ部13の出力が点線の所定の範囲に入った時点B2で、制振フィルタ部13の出力の到達位置を入力の到達位置に合わせる構成にしてもよい。このとき、時点B2で急激に入力と出力の値を一致させると振動が発生する場合があるので、段階的に一致させる方がよい。
【0047】
次に、制振フィルタ部13のパラメータ設定の説明を行う。アクチュエータ4の共振角周波数と制振フィルタ部13の設定角周波数ωの差が大きい場合、アクチュエータ4の共振振動は大きくなる。カメラモジュールを量産する場合、個体差によりアクチュエータ4の共振周波数が異なる可能性があるため、個体ごとに共振周波数を測定し、その結果に基づき制振フィルタ部13のパラメータをそれぞれ設定する必要が生じる場合がある。カメラモジュールごとに、パラメータを設定することにより、すべての個体で共振振動の無いもしくは小さい、高速で高精度なレンズ位置決めが可能となり、高速で高精度なAF機能を実現することができる。
【0048】
図12は、制振フィルタ部13のパラメータを設定するための構成を示すブロック図である。指令作成部22は、ステップ指令などアクチュエータ4の共振振動を励起しやすい指令信号を出力する。指令作成部22からアクチュエータ駆動部5に信号が入力され、アクチュエータ駆動部5は、アクチュエータ4を介してレンズ1を移動させる。検出部23は、レンズ1もしくはアクチュエータ4もしくはその近傍の変位を観測する変位センサ、またはアクチュエータ4の巻線の電流もしくは電圧を観測するセンサなどで構成される。周波数演算部24(パラメータ設定手段)は、検出部23および制振フィルタ部13と接続され、検出部23からの信号に基づいて、共振周波数を算出する。
【0049】
指令作成部22で作成された信号により、アクチュエータ4およびレンズ1を振動させる。検出部23は、レンズ1もしくはアクチュエータ4の振動を検出する。周波数演算部24は、検出部23からの信号をもとに共振周波数を算出する。
【0050】
周波数演算部24の共振周波数の算出方法としては、検出部23から入力される振動成分を含む信号からバンドパスフィルタなどを用いて振動成分を抽出し、その波形の値がゼロクロスする間隔から共振周波数を求める方法、検出部23から入力される振動成分を含む信号の振動のピーク値を検出し、そのピーク値の時間間隔から共振周波数を求める方法、検出部23から入力される振動成分を含む信号にフーリエ変換を施し、その結果から共振周波数を求める方法などがある。
【0051】
制振フィルタ部13には、周波数演算部24で算出された共振周波数に2πを乗じた設定角周波数ωを設定する。また、設定減衰定数Dも設定する場合は、検出部23から検出される共振振動のピーク値の減衰度に応じて、または前述のフーリエ変換による共振周波数成分の算出値に応じて設定減衰定数Dを求め、設定する。また、フィルタ角波数ωも設定する場合は、前述の設定した設定角周波数ωに応じて、設定角周波数ωとフィルタ角周波数ωの対応関係を定義したテーブルあるいは、設定角周波数ωとフィルタ角周波数ωの関係式等を用いてフィルタ角周波数ωを求め、設定する。以上のように、制振フィルタ部13のパラメータが設定される。
【0052】
なお、検出部23、周波数演算部24はカメラモジュールに内蔵してもよいし、別装置として構成してもよい。
【0053】
本実施の形態に係るカメラモジュールは、AF時にレンズ1をアクチュエータ4で高速に動かした際に生じる機械的な共振振動を、アクチュエータ駆動部5に入力される指令信号からアクチュエータ4の共振周波数成分を低減もしくは除去する制振フィルタ部13を挿入することにより大幅に抑制もしくは除去する。したがって、高速で高精度なレンズ1の位置決めが可能となり、高速で高精度なAF機能を実現することができる。また、個体ばらつきの発生する量産時においても、各個体に対して、共振周波数を測定し、パラメータ設定を行うことにより、すべての個体について高速で高精度なAF機能を実現することができる。
【0054】
なお、アクチュエータ駆動部5は、制振フィルタ部13からの指令信号を受けアクチュエータ4を駆動する際に、オープンループ制御でも、クローズドループ制御でもよい。
【0055】
また、アクチュエータ駆動部5をクローズドループ制御で構成した場合に、クローズドループの系の設計に起因する振動が発生する場合がある。しかし、本実施の形態によれば、この振動に関しても前述の共振振動と同様の原理、同様のパラメータ設定方法により、共振振動を抑制することが可能である。
【0056】
また、撮像素子駆動部3及びアクチュエータ駆動部5は、演算回路6に含まれる構成であっても良い。
【0057】
また、アクチュエータ4の共振周波数が複数ある場合は、制振フィルタ部13が前述の(式2)もしくは(式3)を複数直列に組み合わせた伝達関数を有する構成とすることで同様の効果を得ることができる。この時の制振フィルタ部13のブロック構成を図13に示す。図13のブロック1は、角周波数ωr1の共振振動を抑制し、ブロック2は角周波数ωr2の共振振動を抑制する。他のブロックについても、同様にブロックごとに抑制したい角周波数を設定する。
【0058】
この際の位置ずれ補償は、前述同様に所定の時間Tの経過後、もしくは各ブロックの出力が所定の範囲に入った時点で行う。また、このとき制振フィルタ部13の入力と出力でなく、図13のブロックごとに位置ずれ補償を行う方が位置ずれ補償時点のずれ量を低減することができ、位置ずれ補償による急激な指令信号(電圧値)の変動に起因する振動の発生を回避することが容易になる。
【0059】
図14は、光学ズームを行うカメラモジュールのブロック図である。本実施の形態に係るカメラモジュールのAF演算部11を光学ズーム演算部25に置換えた点が異なり、他の構成は同一である。光学ズーム演算部25はユーザからの指令等に基づき最適なレンズ位置を決定する。
【0060】
本実施の形態では、AF機能の高速、高精度化について述べたが、光学ズーム機能に関しても図14の構成において、レンズ1と撮像素子2との相対位置を高速、高精度に位置決めすることにおいて同一である。したがって、本実施の形態に係るカメラモジュールのAF演算部11を光学ズーム演算部25に置換えることにより、高速で高精度な光学ズーム機能を実現することができる。さらに、個体ばらつきの発生する量産時においても、AF機能同様に、共振周波数測定及びパラメータ設定により、すべての個体について高速で高精度な光学ズーム機能を実現することができる。
【0061】
図15は、光学式手ぶれ補正機能を有するカメラモジュールのブロック図である。本実施の形態に係るカメラモジュールのAF演算部11を手ぶれ補正演算部26に置換えた点が異なり、他の構成は同一である。手ぶれ補正演算部26は、ジャイロセンサ等からの加速度情報、もしくは時間を変えて撮影した撮影画像から算出した加速度情報等に基づき、最適なレンズ1位置を決定する。AF機能、光学ズーム機能では、レンズ1は撮像素子の撮像面に対して垂直方向に移動するが、手ぶれ補正の場合では、レンズ1は撮像素子の撮像面に対して平行方向に移動する。しかし、共振振動を抑制する点は、同一である。
【0062】
手ぶれ補正演算部26は、ジャイロセンサ等から手ぶれに関するの加速度情報を受信し、手ぶれ補正を行う信号を発生する。AF機能の場合と同様に、レンズ位置作成部12がレンズ1の基準位置を示す信号を作成し、制振フィルタ部13で共振角周波数を抑制し、アクチュエータ4によりレンズ1を動かし、手ぶれを補正する。
【0063】
個体ばらつきの発生する量産時においても、AF機能同様に、共振周波数測定及びパラメータ設定により、すべての個体について高精度な光学式手ぶれ補正機能を実現することができる。
【0064】
図16は、画素ずらし機能を有するカメラモジュールのブロック図である。本実施の形態に係るカメラモジュールのAF演算部11を画素ずらし演算部27に置換えた点が異なり、他の構成は同一である。画素ずらし演算部27は、撮像素子2の画像取込みタイミング情報などに基づき最適なレンズ位置を決定する。レンズ1の位置を高速、高精度に位置決めすることにより、高速で高精度な画素ずらし機能を実現することができる。この場合もレンズ1は、撮像素子の撮像面と平行方向に移動する。また、個体ばらつきの発生する量産時においても、手ぶれ補正機能同様に、共振周波数測定及びパラメータ設定により、すべての個体について高速で高精度な画素ずらし機能を実現することができる。
【0065】
また、アクチュエータ4の構成は、図2のようなボイスコイルモータのみでなく、それ以外の電磁式アクチュエータ、静電式アクチュエータ、圧電式アクチュエータ、高分子アクチュエータ、形状記憶合金などで機械共振振動が発生するものであれば、すべての種類のアクチュエータに適用することができる。
【0066】
また、手ぶれ補正機能や画素ずらし機能などの機能では、アクチュエータ4が複数のアクチュエータで構成される。この場合においても、制振フィルタ部13が各アクチュエータ4の共振周波数を除去する構成とすることで、共振振動を抑制することができる。
【0067】
また、本実施の形態のカメラモジュールにおいて、レンズ1をアクチュエータ4で移動する構成であるが、レンズ1の代わりに撮像素子2を移動してレンズ1と撮像素子2の相対位置を変化させる構成にすることもできる。
【0068】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールは、AF時に、レンズをアクチュエータで高速に動かした際に生じる機械共振振動を、移動時にアクチュエータにかかる推力の継続時間を共振振動の周期の整数倍にすることにより抑制するものである。
【0069】
図17は、本実施の形態に係るカメラモジュールの一構成例を示すブロック図である。206はDSPやマイコンなどを有する演算回路、212はレンズ1の位置制御を行うための動作指令信号を作成するレンズ位置指令作成部(指令作成手段)である。本実施の形態に係るカメラモジュールのその他の構成は、制振フィルタ部13が無い点を除き実施の形態1と同様であり、同一の番号を付して説明を省略する。レンズ位置指令作成部212は、AF演算部11から入力されるアクチュエータ4の変位量に基づき、図18に示すようにアクチュエータ4を移動させる動作指令信号をアクチュエータ駆動部5へ出力する。
【0070】
本実施の形態において、実施の形態1と同様に、アクチュエータ4を図2に示した電磁アクチュエータにより実現した場合を例に説明を行う。特に携帯機器で使用されるカメラモジュールでは、低消費電力化や薄型化の要求により、板ばね15が薄型化される事などに起因して、共振周波数が低くになり、ますますアクチュエータ4の高速駆動が難しくなっている。
【0071】
図18は、アクチュエータ4に入力される駆動信号を示す図である。横軸は時刻であり、縦軸はアクチュエータ4の位置あるいは位置に相当する電圧値である。レンズ位置指令作成部212は、アクチュエータ4が位置Cから位置Dまで変化する時間(アクチュエータ移動時の推力継続時間Ta)をアクチュエータ4の共振振動の周期Tvの整数倍に設定する。
【0072】
図19はアクチュエータ4の位置xを示す図であり、(a)はアクチュエータ4の移動時の推力継続時間Taが振動周期Tvの整数倍の時の応答、(b)はアクチュエータ4の移動時の推力継続時間Taが振動周期Tvの整数倍でない場合の応答を示す。図19(a)と図19(b)は横軸、縦軸とも同じ縮尺である。従って、アクチュエータ4の移動時の推力継続時間Taが振動周期Tvの整数倍であると、共振振動が大幅に低減されることが判る。
【0073】
次に、アクチュエータ4の共振周波数が複数ある場合のTaについてその設定方法を説明する。例えばアクチュエータ4が2つの共振周波数を持ち、その振動周期がそれぞれTv1、Tv2である場合、アクチュエータ4の移動時の推力継続時間Taを、振動周期Tv1と振動周期Tv2の両方の整数倍となるよう設定する。数値例を挙げると、振動周期Tv1が10ms、振動周期Tv2が15msである場合は、推力継続時間Taを30msとすれば、Tv1、Tv2の両方の整数倍となるから、振動周期Tv1、Tv2の両方の振動を抑制することができる。共振周波数が3つ以上の場合も、推力継続時間Taを抑制したいすべての振動周期の整数倍とすることにより、すべての抑制したい共振振動を抑制することが可能となる。
【0074】
次に、レンズ位置指令作成部212のパラメータ設定について説明する。振動周期Tvとレンズ位置指令作成部212が作成するアクチュエータ4の推力継続時間Taとのずれが大きい場合、アクチュエータ4の振動は大きくなる。カメラモジュールを量産する場合、個体差によりアクチュエータ4の共振周波数が異なる可能性がある。そのため、個体ごとに共振振動の周期を測定し、レンズ位置指令作成部212のパラメータである推力継続時間Taをそれぞれ設定する。その結果、すべての個体について、共振振動の無いもしくは小さい、高速で高精度なレンズ位置決めが可能となり、高速で高精度なAF機能を実現することができる。
【0075】
図20は、レンズ位置指令作成部212のパラメータを設定するための構成を示すブロック図である。実施の形態1の図12で示したパラメータ設定方法に対して、周波数演算部24と制振フィルタ部13を、周期演算部224とレンズ位置指令作成部212に変更した構成である。その他の構成は、図12と同様であるので同一の符号を付して説明を省略する。周期演算部224は、検出部23からの信号に基づいて共振振動の周期を算出する。
【0076】
周期演算部224における共振振動の周期算出方法としては、検出部23から入力される振動成分を含む信号からバンドパスフィルタなどを用いて振動成分を抽出し、その波形の値がゼロクロスする間隔に基づき共振振動の周期を求める方法、検出部23から入力される振動成分を含む信号の共振振動のピーク値を検出し、そのピーク値の時間間隔に基づき共振振動の周期を求める方法、検出部23から入力される共振振動成分を含む信号にフーリエ変換を施し、その結果から共振振動の周期を求める方法などがある。レンズ位置指令作成部212は、周期演算部224で算出された共振振動の周期に基づき、アクチュエータ4の移動時の推力継続時間Taの設定を行う。検出部23、周期演算部224はカメラモジュールに内蔵してもよいし、別装置として構成してもよい。
【0077】
パラメータの設定方法としては、まず指令作成部22がアクチュエータ4に対して共振振動を励起しやすい指令信号を出力し、アクチュエータ4を共振振動させる。
【0078】
次に、検出部23は、その振動を検知し、検知した信号を周期演算部224へ送る。周期演算部224は、検知した信号から共振振動の周期を求める。レンズ位置指令作成部212は、周期演算部224で算出された共振振動の周期に基づき、アクチュエータ4の推力継続時間Taを設定する。このようにしてレンズ位置指令作成部212のパラメータ設定を行う。
【0079】
以上のような構成により、本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールは、AF時にレンズ1をアクチュエータ4により高速に動かした際に生じる機械共振振動を、アクチュエータ4にかかる推力の継続時間を共振振動の周期の整数倍にすることにより抑制する。したがって、高速で高精度なレンズ位置決めが可能となり、高速で高精度なAF機能を実現することができる。また、個体ばらつきが発生する量産時においても、共振振動の周期測定及びパラメータの設定により、すべての個体について高速で高精度なAF機能を実現することができる。
【0080】
なお、アクチュエータ駆動部5は、レンズ位置指令作成部212からの指令信号を受けアクチュエータ4を駆動する際に、オープンループ制御あるいはクローズドループ制御のどちらを用いてもよい。
【0081】
また、撮像素子駆動部3及びアクチュエータ駆動部5は、演算回路206に含まれる場合もある。
【0082】
また、本実施の形態では、AF機能の高速、高精度化及び量産時のパラメータの設定について述べたが、AF機能に限定されるものではない。
【0083】
図21は、光学ズーム機能を有するカメラモジュールのブロック図である。図17におけるカメラモジュールに対して、AF演算部11を光学ズーム演算部25に変更した構成である。光学ズーム演算部25はユーザからの指令等に基づき最適なレンズ位置を決定する。この構成により、レンズ1と撮像素子2との相対位置を高速、高精度に位置決めすることにより、高速で高精度な光学ズーム機能を実現することができる。また、個体ばらつきの発生する量産においても、AF機能同様に、共振周期測定及びパラメータの設定により、すべての個体について高速で高精度な光学ズーム機能を実現することができる。
【0084】
また、図22は、光学式手ぶれ補正機能を有するカメラモジュールのブロック図である。図17におけるカメラモジュールに対して、AF演算部11を手ぶれ補正演算部26に変更した構成である。手ぶれ補正演算部26はジャイロセンサ等からの加速度情報や、時間を変えて撮影した撮影画像から算出した加速度情報等に基づき最適なレンズ位置を決定する。AF機能、光学ズーム機能において、レンズ1は撮像素子2の撮像面に対して垂直方向に移動するが、この場合レンズ1は撮像素子2の撮像面と平行方向に移動する。しかし、垂直方向に動く場合と同様の制御を行うことにより同様の効果を得ることができる。個体ばらつきの発生する量産時においても、AF機能同様に、共振振動の周期測定及びパラメータの設定により、すべての個体について高精度な光学式手ぶれ補正機能を実現することができる。
【0085】
また、図23は、画素ずらし機能を有するカメラモジュールのブロック図である。図17におけるカメラモジュールに対して、AF演算部11を画素ずらし演算部27に変更した構成である。画素ずらし演算部27は撮像素子2の画像取込みタイミング情報などに基づき最適なレンズ1の位置決定を行う。この構成により、撮影画像の高画素化などを目的とした画素ずらし機能に関しても、レンズ1の位置を高速、高精度に位置決めを行うことにより、高速で高精度な画素ずらし機能を実現することができる。画素ずらし機能の場合においても、レンズ1は撮像素子の撮像面と平行方向に移動するが、光学式手ぶれ補正機能の場合と同様制御可能である。個体ばらつきが発生する量産時においても、AF機能同様に、共振振動の周期測定及びパラメータの設定により、すべての個体について高速で高精度な画素ずらし機能を実現することができる。
【0086】
また、アクチュエータ4の構成は、図2のようなボイスコイルモータのみでなく、それ以外の電磁式アクチュエータ、静電式アクチュエータ、圧電式アクチュエータ、高分子アクチュエータ、形状記憶合金などで機械共振振動を発生するものであれば、すべての種類のアクチュエータに適用することができる。
【0087】
また、アクチュエータ4は、機能により複数のアクチュエータで構成されてもよい。
【0088】
ここで、図2と異なる種類の電磁アクチュエータによりアクチュエータ4を構成した場合の例を図24に示す。図2と同一の構成は、同一の符号を付して、説明を省略する。28はx軸を回転軸とした回転方向に回転トルクを発生するモータ、29はみぞを有し、モータ28の回転トルクをx方向の推力に変換するボールねじ、30はガイドである。31はレンズ1を固定しガイド30をx方向にスライドするホルダ、32はレンズ1を固定しボールねじ29からx方向の推力を受けるホルダである。モータ28の回転トルクがホルダ32のx軸方向の推力に変換され、ホルダ32に固定されたレンズ1がx軸方向に変位する構成である。ガイド30、ホルダ31は、レンズ1が変位しても光軸と撮像素子2の撮像面とが垂直を保つ目的で構成される。
【0089】
図25は、オートフォーカス時のレンズ1の変位を示す図であり、図26は、その際のレンズ1に係るトルクを示す図である。この構成のアクチュエータでは、レンズ1がx軸方向に図25のようにEからFに変位するとき、図26のように加速推力と減速推力が必要となる。この場合は、図26の推力継続時間(加速)Ta1と推力継続時間(減速)Ta2をそれぞれ振動周期Tvの整数倍に設定すれば同様に、制振効果が得られる。
【0090】
また、図17、図21、図22、図23ではレンズ1をアクチュエータ4で駆動しているが、レンズ1の代わりに撮像素子2を駆動してもよいことは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、アクチュエータの共振振動を抑制し、高速、高精度にレンズと受光素子の相対位置を変化させることができるカメラモジュールとして、カメラの分野特に可動部を有し、可動部の移動にアクチュエータを用いた高速位置決めが必要なカメラの分野などにおいて利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1及び2に係るカメラモジュールのアクチュエータとレンズの構成を示す断面図
【図3】本発明の実施の形態1に係るカメラモジュールのアクチュエータとレンズを簡略化したモデルを示す図
【図4】同上カメラモジュールのアクチュエータとレンズの数式モデルによる(a)ステップ応答、(b)ステップ入力を示す図
【図5】同上カメラモジュールの制振フィルタ部の(a)周波数特性、(b)位相特性例を示す図
【図6】同上カメラモジュールのアクチュエータの応答を示す図
【図7】同上カメラモジュールの(a)制振フィルタ部に入力される動作指令信号、(b)(c)制振フィルタ部から出力される指令信号を示す図
【図8】同上カメラモジュールのアクチュエータの応答を示す図
【図9】同上カメラモジュールの振動抑制原理を説明するための図
【図10】同上カメラモジュールの位置ずれ補償機能の説明図
【図11】同上カメラモジュールの位置ずれ補償機能の説明図
【図12】同上カメラモジュールのパラメータ設定を行う構成を示すブロック図
【図13】同上カメラモジュールの複数の共振周波数を抑制する制振フィルタ部を示すブロック図
【図14】同上カメラモジュールの光学ズーム機能を有する構成を示すブロック図
【図15】同上カメラモジュールの手ぶれ補正機能を有する構成を示すブロック図
【図16】同上カメラモジュールの画素ずらし機能を有する構成を示すブロック図
【図17】本発明の実施の形態2に係るカメラモジュールの構成を示すブロック図
【図18】同上カメラモジュールのレンズ位置指令作成部が作成するアクチュエータの移動行程を示す図
【図19】同上カメラモジュールの(a)推力継続時間をアクチュエータの共振周期の定数倍にした場合、(b)定数倍でない場合のレンズの位置の応答示す図
【図20】同上カメラモジュールのパラメータ設定を行う構成を示すブロック図
【図21】同上カメラモジュールの光学ズーム機能の構成を示すブロック図
【図22】同上カメラモジュールの手ぶれ補正機能の構成を示すブロック図
【図23】同上カメラモジュールの画素ずらし機能の構成を示すブロック図
【図24】同上カメラモジュールのアクチュエータとレンズの構成を示す構成図
【図25】同上カメラモジュールのオートフォーカス時におけるレンズ1の変位を示す図
【図26】同上カメラモジュールのオートフォーカス時のアクチュエータに対する推力を示す図
【符号の説明】
【0093】
1 レンズ
2 撮像素子
3 撮像素子駆動部
4 アクチュエータ
5 アクチュエータ駆動部
6、206 演算回路
7 入出力部
8 システム制御部
9 画像処理部
10 信号入力部
11 AF演算部
12、212 レンズ位置指令作成部
13 制振フィルタ部
14 巻線部
15 板ばね
16 永久磁石
17 鏡筒
18 撮像素子固定基板
19 マス
20 ばね
21 ダンパ
22 指令作成部
23 検出部
24 周波数演算部
25 光学ズーム演算部
26 手ぶれ補正演算部
27 画素ずらし演算部
28 モータ
29 ボールねじ
30 ガイド
31、32 ホルダ
224 周期演算部




 

 


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