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発明の名称 特定物質の含有判定方法および含有判定装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−17306(P2007−17306A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2005−199512(P2005−199512)
出願日 平成17年7月8日(2005.7.8)
代理人 【識別番号】100094145
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 由己男
発明者 谷 美幸 / 岩本 洋 / 久角 隆雄 / 岩田 進裕
要約 課題
本発明では、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行う方法、装置を提供することを課題とする。

解決手段
本発明の特定物質の含有判定方法は、複数素材が層状に形成された判定対象物(106)において、特定物質を含有する素材を判定する方法であり、照射工程(ステップS201)と、検出工程(ステップS202)と、判定工程(ステップS204)とを備える。照射工程(ステップS201)は、判定対象物(106)に対して、照射条件を変化させてX線を照射する。検出工程(ステップS202)は、判定対象物(106)より放射する蛍光X線を検出する。判定工程(ステップS204)は、特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、特定物質を含有する素材として判定する。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数素材が層状に形成された判定対象物において、特定物質を含有する素材を判定する方法であって、
前記判定対象物に対して、照射条件を変化させてX線を照射する照射工程と、
前記判定対象物より放射する蛍光X線を検出する検出工程と、
前記検出工程の検出により前記特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、前記特定物質を含有する素材として判定する判定工程と、
を備える特定物質の含有判定方法。
【請求項2】
前記特定物質は、環境負荷物質である、
請求項1に記載の特定物質の含有判定方法。
【請求項3】
前記環境負荷物質は、Cd,Pb,Hg,Br,Crの少なくともいずれかを含む、
請求項2に記載の特定物質の含有判定方法。
【請求項4】
前記判定対象物は、前記X線の照射時には、前記X線の照射方向と、前記複数素材の層の長手方向に沿った方向とが交わるように配置される、
請求項1〜3のいずれか一項に記載の特定物質の含有判定方法。
【請求項5】
前記判定工程は、検出された前記蛍光X線における、前記複数素材のそれぞれの素材に対応するピークと前記特定物質に対応するピークとを比較し、前記特定物質に対応するピークに最も近い位置にピークを有する素材が前記特定物質を含有すると判定する、
請求項1〜4のいずれか一項に記載の特定物質の含有判定方法。
【請求項6】
複数素材が層状に形成された判定対象物において、特定物質を含有する素材を判定する装置であって、
前記判定対象物にX線を照射する照射部と、
前記判定対象物から放射する蛍光X線を検出する検出部と、
前記判定対象物に対して、照射条件を変化させてX線を照射するように前記照射部を動作させ、前記検出部の検出により前記特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、前記特定物質を含有する素材として判定する判定部と、
を備える特定物質の含有判定装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定物質の含有判定方法および含有判定装置、特に、複数素材が層状に形成された判定対象物において、特定物質を含有する素材を判定する特定物質の含有判定方法および含有判定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電子・電気機器を構成する部品内に含有する環境負荷物質の危険性が指摘され、法律、条令によりこれら環境負荷物質の含有量を制限する国、または州が登場している。例えば、EU各国においては、RoHS指令(特定有害物質使用禁止令:Restriction of the use of certain Hanzardous Substances in electrical and electric equipment)により、カドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、特定臭素系難燃剤(2種類:ポリ臭化ビフェニル(PBB),ポリ臭化ビフェニルエーテル(PBDE))、6価クロム(Cr(VI))を1000ppm(Cdは100ppm)以上含有する部品の使用などが禁止されようとしている。そのため、電気・電子機器製造メーカでは、製品を構成する各部品に規制値以上の環境負荷物質が含有していないことを確認することが必要不可欠となっている。
【0003】
各部品における環境負荷物質の含有を判定する際には、数10ppmの感度を有し、かつ非破壊で測定することができる蛍光X線分析装置を用いるのが一般的である。この蛍光X線分析装置を用いて、各部品に含まれている元素の濃度を定量する手順がよく知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
蛍光X線分析装置を用いて各部品における環境負荷物質の含有を判定する際には、それが複数の素材からなる部品であれば、各部品を素材別に分解し、素材毎に蛍光X線分析を行う。さらに、この素材毎の蛍光X分析の結果、部品全体としての環境負荷物質が所定の規制値を超えて含まれているか否かの判定が行われる。
【特許文献1】特開平8−43329号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
環境負荷物質の含有の判定とともにあるいは独立に、複数の素材からなる部品のいずれの素材に環境負荷物質が含有されているかについての判定を行うことも求められている。このような判定は、製品の製造時やる品質確認や、リサイクル時における品質確認において行われる。
【0006】
このような判定を行う場合、従来技術では、部品を素材別に分解し、その後、各素材毎に蛍光X線分析を行う。このため、多数の部品の判定を行うことが求められているにもかかわらず、判定のために必要となる分解に時間と手間とを要し、判定の効率向上を妨げている。特に、部品が複雑な構成を有する部品である場合には、このような分解にはさらに時間と手間とを要する。また、環境負荷物質に限らず、複数の素材からなる部品のいずれの素材に特定物質が含有されているかについての判定を行う場合にも、従来技術は同様の課題を有している。
【0007】
そこで、本発明は、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行う方法、装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
発明1に係る特定物質の含有判定方法は、複数素材が層状に形成された判定対象物において、特定物質を含有する素材を判定する方法であって、照射工程と、検出工程と、判定工程とを備えている。照射工程は、判定対象物に対して、照射条件を変化させてX線を照射する。検出工程は、判定対象物より放射する蛍光X線を検出する。判定工程は、検出工程の検出により特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、特定物質を含有する素材として判定する。
【0009】
ここで、判定対象物とは、例えば、特定物質の含有を判定する必要のある、電気・電子部品などである。また、複数素材とは、例えば、金属、プラスチック、それらに施されるめっきなどを含む複数の素材で構成される電子・電気部品などである。特定物質とは、例えば、環境負荷物質(より詳しくは、RoHS指令で指定されている物質)などである。
【0010】
照射工程では、照射条件を変化させる際に、例えば、X線を発生するX線管に印加する電圧を変化させることにより、X線強度を変化させる。検出工程では、X線が照射されることにより判定対象物より放射する蛍光X線が検出される。判定工程は、検出された蛍光X線に基づいて、判定対象物の蛍光X線分析を行う。照射工程では、照射条件を変化させてX線の照射を行っており、照射条件に応じて、判定対象物における蛍光X線分析の分析位置が変化する。このため、特定物質と特定物質を含む素材とは、ほぼ同期的に検出される。判定工程は、特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、特定物質を含有する素材として判定する。ここで、「ほぼ同期的に検出」とは、特定物質の検出とある素材の検出とが照射条件の変化に応じて似通った傾向を示すことを意味し、例えば、特定物質の検出のピークとある素材の検出のピークとが、同じまたはほぼ同じ照射条件の時にあらわれることなどを意味する。
【0011】
本発明の特定物質の含有判定方法では、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行うことが可能となる。より具体的には、本発明では、判定に際して、複数の素材を素材毎に分割する必要が無い。このため、分割に要する時間および手間の削減を行うことが可能となる。このことは、特に多数の部品について判定を行う場合には、有効である。
【0012】
発明2に係る特定物質の含有判定方法は、発明1に記載の方法であって、特定物質は、環境負荷物質である。
ここで、環境負荷物質とは例えば、RoHS指令で指定されている物質である、カドミウム、鉛、水銀、特定臭素系難燃剤(2種類:ポリ臭化ビフェニル(PBB),ポリ臭化ビフェニルエーテル(PBDE))、6価クロムなどである。
【0013】
本発明の特定物質の含有判定方法では、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質が含有されているかについての判定をより簡易に行うことが可能となる。
発明3に係る特定物質の含有判定方法は、発明2に記載の方法であって、環境負荷物質は、Cd,Pb,Hg,Br,Crの少なくともいずれかを含む。
【0014】
発明4に係る特定物質の含有判定方法は、発明1〜3のいずれか一項に記載の方法であって、判定対象物は、X線の照射時には、X線の照射方向と、複数素材の層の長手方向に沿った方向とが交わるように配置される。
ここで、複数素材の層の長手方向に沿った方向とは、例えば、積層方向に直交する方向である。
【0015】
上記のように判定対象物が配置されるため、照射条件、例えば、X線を照射するための印加電圧を変更することにより、判定対象物における蛍光X線分析の分析または測定対象深さを変更し、複数素材のそれぞれにおける蛍光X線分析を行うことが可能となる。
本発明の特定物質の含有判定方法では、層状に形成された判定対象物のいずれの層に環境負荷物質が含有されているかについての判定を行うことが可能となる。
【0016】
発明5に係る特定物質の含有判定方法は、発明1〜4のいずれかに一項に記載の方法であって、判定工程は、検出された蛍光X線における、複数素材のそれぞれの素材に対応するピークと特定物質に対応するピークとを比較し、特定物質に対応するピークに最も近い位置にピークを有する素材が特定物質を含有すると判定する。
【0017】
ここで、検出された蛍光X線におけるピークとは、例えば、蛍光X線の強度のピークを意味する。
判定工程は、検出された蛍光X線における、特定物質のピーク位置と複数素材のそれぞれの素材のピーク位置とを比較し、特定物質のピーク位置に最も近いピーク位置の素材を、特定物質を含有する素材として判定する。
【0018】
本発明の特定物質の含有判定方法では、特定物質を含む素材のピーク位置と特定物質のピーク位置とが同期的に検出されることを利用して、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行うことが可能となる。
【0019】
発明6に係る特定物質の含有判定装置は、複数素材が層状に形成された判定対象物において、特定物質を含有する素材を判定する装置であって、照射部と、検出部と、判定部とを備えている。照射部は、判定対象物にX線を照射する。検出部は、判定対象物から放射する蛍光X線を検出する。判定部は、判定対象物に対して、照射条件を変化させてX線を照射するように照射部を動作させ、検出部の検出により特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、特定物質を含有する素材として判定する。
【0020】
ここで、判定対象物とは、例えば、特定物質の含有を判定する必要のある、電気・電子部品などである。また、複数素材とは、例えば、金属、プラスチック、それらに施されるめっきなどを含む複数の素材で構成される電子・電気部品などである。特定物質とは、例えば、環境負荷物質(より詳しくは、RoHS指令で指定されている物質)などである。照射部とは、例えば、X線を発生するX線管を含む。検出部とは、例えば、蛍光X線を検出する半導体装置などを含む。
【0021】
判定部は、照射条件を変化させる際に、例えば、照射部に印加する電圧を変化させることにより、X線強度を変化させる。検出部では、X線が照射されることにより判定対象物より放射する蛍光X線が検出される。判定部は、検出された蛍光X線に基づいて、判定対象物の蛍光X線分析を行う。照射部は、照射条件を変化させてX線の照射を行っており、照射条件に応じて、判定対象物における蛍光X線分析の分析位置が変化する。このため、特定物質と特定物質を含む素材とは、ほぼ同期的に検出される。判定部は、特定物質とほぼ同期的に検出される素材を、特定物質を含有する素材として判定する。ここで、「ほぼ同期的に検出」とは、特定物質の検出とある素材の検出とが照射条件の変化に応じて似通った傾向を示すことを意味し、例えば、特定物質の検出のピークとある素材の検出のピークとが、同じまたはほぼ同じ照射条件の時にあらわれることなどを意味する。
【0022】
本発明の特定物質の含有判定方法では、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行うことが可能となる。より具体的には、本発明では、判定に際して、複数の素材を素材毎に分割する必要が無い。このため、分割に要する時間および手間の削減を行うことが可能となる。このことは、特に多数の部品について判定を行う場合には、有効である。
【発明の効果】
【0023】
本発明では、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行う方法、装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施形態について、図を用いて説明する。
<含有判定装置の構成>
以下、含有判定装置の構成について、図1を用いて説明する。
図1は、本発明に係る特定物質の含有判定装置100の概略図である。含有判定装置100は、複数の素材から構成される部品のいずれの素材に、特定物質、例えば、環境負荷物質の特定元素が含有されているかについての判定を行う装置である。ここで、環境負荷物質とは、例えば、RoHS指令において指定されるカドミウム(Cd)、鉛(Pb)、水銀(Hg)、特定臭素系難燃剤(2種類:ポリ臭化ビフェニル(PBB),ポリ臭化ビフェニルエーテル(PBDE))、6価クロム(Cr(VI))などを示し、特定元素とは、例えば、Cd,Pb,Hg,Br,Crなどを示す。
【0025】
含有判定装置100は、入力部101、演算制御部102(判定部)、コントローラ103、X線管104(照射部)、検出器108(検出部)、増幅器109、表示部110、記憶部111により構成される蛍光X線分析装置である。
入力部101は、判定対象物106に関する情報を入力するキーボードなどからなる。判定対象物106とは、例えば、電気・電子部品である。より具体的には、複数の素材が層状に形成された部品、一例としては、鉄に対して防錆めっきとして亜鉛めっきを施し、さらにクロメート処理(クロムめっき、例えば3価クロムクロメート処理など)した部品である。また、判定対象物106に関する情報とは、判定対象物106の部品番号や、判定対象物106の測定条件などである。
【0026】
演算制御部102は、測定条件を信号処理し、判定対象物106の蛍光X線分析を行う。コントローラ103は、X線管104の印加電圧、電流を制御し、それに基づいてX線管104は、X線を発光させ、一次線105として照射する。それにより、判定対象物106からは、蛍光X線107が放射され、検出器108は、蛍光X線107の光量を検出し、検出信号が得られる。さらに、増幅器109は、検出信号を増幅する。上述の演算制御部102は、増幅された検出信号を用いて、特定物質が判定対象物106のいずれの素材に含有されるかについての判定を行う(詳細は後述する)。表示部110は、判定結果などを出力、表示する。記憶部111は、判定対象物106の情報、演算結果などを保存している。
【0027】
<判定の動作>
以下、判定の動作について、図2〜図4を用いて説明する。
図2は、本実施形態に係る判定方法の概要を模式的に示す説明図である。図3は、本実施形態に係る判定方法の実行時に得られる蛍光X線分析の結果を示すグラフである。図4は、本実施形態の判定方法について説明するフローチャートである。
【0028】
まず、図2を用いて、本発明の判定方法の概要を説明する。図2は、鉄に対して防錆めっきとして亜鉛めっきを施し、さらにクロメート処理した判定対象物106の断面と、判定対象物106に対して照射される一次線105と、判定対象物106から放射される蛍光X線107とを示している。図2に示すように、蛍光X線分析に際して、判定対象物106は、一次線105の照射方向と、判定対象物106の層の長手方向に沿った方向とが交わるように配置されている。
【0029】
図2に示すように、一次線105の強度(X線管104に印加される電圧)に応じて、判定対象物106における一次線105の到達位置(到達深度)が変化する。すなわち、一次線105の強度が低い(X線管104に印加される電圧が低い)場合には、一次線105は、判定対象物106の表面近傍にしか到達せず、得られる蛍光X線107により判定対象物106の表層の分析を行うことができる。一方、一次線105の強度が高い(X線管104に印加される電圧が高い)場合には、一次線105は、判定対象物106の内部にまで到達し、得られる蛍光X線107により判定対象物106の深層の分析を行うことができる。より具体的には、図2に示すように、X線管104に印加する電圧を5KV(キロボルト)とすると、判定対象物106の表層であるクロムめっき層の分析を行うことができる。電圧を15KVに上げると、判定対象物106の中間層である亜鉛めっき層の分析を行うことができる。電圧を30KVに上げると、判定対象物106の深層である鉄層の分析を行うことができる。さらに電圧を50KVに上げると、判定対象物106の鉄層のさらに内部の分析を行うことができる。なお、ここに示す数値は、あくまで一例であり、電圧と一次線105の到達位置との関係は、判定対象物106のめっき層の厚さなどにより変わる。
【0030】
図3は、図2に示すように、一次線105の強度を変更しつつ、蛍光X線分析を行った結果を示している。より詳しくは、図3は、X線管104に印加した電圧(KV)を横軸に示し、それに対応して発生する元素毎の蛍光X線の強度(arb UNIT)を縦軸に示している。
【0031】
一次線105の強度に応じて、判定対象物106における蛍光X線分析の分析位置が異なる。このため、図3に示すように、元素毎の蛍光X線の強度は、異なる位置にピークを有する。言い換えれば、検出される元素の主成分は、一次線105の強度に応じて変化する。例えば、判定対象物106の表層に位置するクロムは、一次線105が表層までしか到達しないX線強度(例えば、電圧5KV)の場合に主に検出される。また、判定対象物106の中間層に位置する亜鉛は、一次線105が中間層まで到達するX線強度(例えば、電圧15KV)の場合に主に検出される。さらに、判定対象物106の深層に位置する鉄は、一次線105が深層層まで到達するX線強度(例えば、電圧30KV)を超える強度の場合に主に検出される。これらの現象は、一次線105の強度に応じて、判定対象物106における一次線105の到達深度が変化し、蛍光X線分析の分析位置が変化し、分析位置の主成分に応じた蛍光X線が放射されるために起こる。
【0032】
ここで、判定対象物106のいずれかの層に環境負荷物質などの特定物質が含まれているとする。例えば、亜鉛めっき層に環境負荷物質の特定元素であるカドミウムが含まれているとする。この場合、図3に示すように、カドミウムは、一次線105が亜鉛めっき層まで到達する強度(例えば、電圧15KV)の場合に検出される。すなわち、特定元素は、それが含まれる層の主成分と同期的に検出される。本発明は、このことを利用して、判定対象物106において特定物質を含有する位置(層)を特定する。
【0033】
図4を用いて、以上の処理についてさらに説明を加える。図4は、判定方法について説明するフローチャートである。
まず、入力部101から測定時間、X線の照射条件(印加電圧)などの測定条件が入力され、測定の開始が指令されると(ステップS200)、演算制御部102は、入力された測定条件に応じてコントローラ103にX線の照射条件を設定する(ステップS201)。これにより、コントローラ103は、X線管104への電圧の印加を行い、一次線105が判定対象物106に照射される。
【0034】
検出器108は、判定対象物106が放射する蛍光X線を検出する。さらに、演算制御部102は、検出された信号から、それぞれの元素に応じた蛍光X線の強度を測定する(ステップS202)。
さらに、演算制御部102は、入力部101から入力された測定条件の全てを用いて測定が行われたか否かを判断する(ステップS203)。具体的には、全ての照射条件(印加電圧)を用いたX線の照射が行われたか否かを判断する。判断結果が否定的である場合には、ステップS201に戻り、照射条件を再設定、具体的にはX線管104への印加電圧を変化させ、再度蛍光X線の強度を測定する。
【0035】
一方、判断結果が肯定的である場合には、上述したような判定処理が行われる。具体的には、演算制御部102は、ステップS202の測定結果に基づいて、特定元素(例えば、カドミウム)と同期的に検出される元素を特定し、特定された元素により構成される判定対象物106の層が特定物質を含むと判定する(ステップS204)。より具体的には、特定元素の蛍光X線の強度がピークを示す印加電圧に最も近い印加電圧でピークを示す元素により構成される層が特定物質を含むと判定する。さらに、演算制御部102は、表示部110に対して、判定結果を表示する(ステップS205)。判定結果は、特定物質が含まれる素材、層などを示す。
【0036】
以上により、複数の素材から構成される部品のいずれの素材に、環境負荷物質などの特定物質が含有されているかについて簡易に判定することが可能となる。より具体的には、複数の素材から構成される部品を分解することなく、特定物質を含む素材を特定することができるため、分解に要する時間の短縮、手間の削減を行うことが可能となる。
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0037】
(1)
上記実施形態では、特定元素と同期的に検出される元素とは、特定元素の蛍光X線の強度がピークを示す印加電圧に最も近い印加電圧でピークを示す元素である、と説明した。
一方、特定元素と同期的に検出される元素は、他の方法で特定されてもよい。例えば、特定元素の蛍光X線の強度がピークを示す測定条件(印加電圧)と同じ測定条件で検出される元素のうちの主要元素が、特定元素と同期的に検出される元素として特定されてもよい。
【0038】
(2)
上記実施形態では、含有を判定する特定物質である環境負荷物質の特定元素として主な5元素を挙げたが、判定の対象はこれに限定されない。例えば、同様の方法で、金、銀、白金、パラジウムなどの他の物質(有害物質を含む)でも、本発明の効果が得られる。
【0039】
(3)
上記実施形態では、記憶部111が含有判定装置100に内蔵されている例を示したが、構成はこれに限定されない。例えば、記憶部111は、含有判定装置100とケーブルなどで接続されている外部記憶装置であってもよい。
【0040】
(4)
上記実施形態では、結果出力が表示部110に表示される例を示したが、これに限定されない。例えば、結果を用紙に出力する形態などでもよい。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明にかかる特定物質の含有判定方法および含有判定装置は、複数の素材からなる部品のいずれの素材に、環境負荷物質など特定物質が含有されているかについての判定をより簡易に行う方法、装置が求められる分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】含有判定装置100の概略図
【図2】判定方法の概要を模式的に示す説明図
【図3】判定方法の実行時に得られる蛍光X線分析の結果を示すグラフ
【図4】判定方法について説明するフローチャート
【符号の説明】
【0043】
100 含有判定装置
101 入力部
102 演算制御部
103 コントローラ
104 X線管
105 1次線
106 判定対象物
107 蛍光X線
108 検出器
109 増幅器
110 表示部
111 記憶部




 

 


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