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発明の名称 経路旅行時間推定予測装置および方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11596(P2007−11596A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190117(P2005−190117)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100115107
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 猛
発明者 音喜多 亨 / 織田 利彦
要約 課題
区間毎に計測された交通流データから、経路の旅行時間を推定し予測する。

解決手段
経路旅行時間推定予測装置は、処理部と、現時点小区間旅行時間合計部と、過去類似時点抽出部と、類似時点小区間旅行時間合計部と、経路推定旅行時間算出部と、予測モデル構築部と、経路予測旅行時間算出部とを備える。現時点小区間旅行時間合計部は現時点小区間旅行時間総和を求める。過去類似時点抽出部は過去における類似の交通状況の時点を抽出する。類似時点小区間旅行時間合計部は過去の類似時点小区間旅行時間総和を求める。経路推定旅行時間算出部は過去の経路推定旅行時間を求める。予測モデル構築部は類似時点小区間旅行時間総和と経路推定旅行時間または経路計測旅行時間との間の関係を表現する予測モデルを求める。そして、経路予測旅行時間算出部は予測モデルと現時点小区間旅行時間総和とから経路予測旅行時間を求める。
特許請求の範囲
【請求項1】
任意の2地点を出発地点と到着地点として構成される区間内に存在する複数の小区間を含む経路において、該小区間毎に計測し得られた交通流データにより当経路の旅行時間を推定予測する経路旅行時間推定予測装置であって、
各小区間の予測を行なう現時点における旅行時間を合計し、現時点小区間旅行時間総和を求める現時点小区間旅行時間合計部と、
現時点から所定時間の分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布と、過去時点の時空間のデータ分布のマッチングによって、過去における類似の交通状況の時点を抽出する過去類似時点抽出部と、
前記過去における類似の交通状況の時点における旅行時間を合計し、類似時点小区間旅行時間総和を求める類似時点小区間旅行時間合計部と、
(A)該経路上の出発地点を、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める、または(B)該経路上の到着地点に、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に到着したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める、経路推定旅行時間算出部と、
前記類似時点小区間旅行時間総和と前記経路推定旅行時間または経路計測旅行時間との間の関係を表現する予測モデルを求める予測モデル構築部と、
前記予測モデルと前記現時点小区間旅行時間総和とから、現時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発または到着するとして経路予測旅行時間を求める経路予測旅行時間算出部と、
を備える経路旅行時間推定予測装置。
【請求項2】
請求項1記載の経路旅行時間推定予測装置であって、
前記過去類似時点抽出部は、前記交通流データに含まれる速度データをベクトルとみなし、
現時点から所定時間の分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布のベクトルと、過去時点の時空間のデータ分布のベクトルとの間の距離を算出する、経路路旅行時間推定予測装置。
【請求項3】
請求項1記載の経路旅行時間推定予測装置であって、
前記予測モデルは、前記類似時点小区間旅行時間総和と前記経路推定旅行時間との間の線形性を表わす線形モデルである、経路路旅行時間推定予測装置。
【請求項4】
任意の2地点を出発地点と到着地点として構成される区間内に存在する複数の小区間を含む経路において、該小区間毎に計測し得られた交通流データにより当経路の旅行時間を推定予測する経路旅行時間推定予測方法であって、
各小区間の予測を行なう現時点における旅行時間を合計し、現時点小区間旅行時間総和を求めるステップと、
現時点から所定時間の分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布と、過去時点の時空間のデータ分布のマッチングによって、過去における類似の交通状況の時点を抽出するステップと、
前記過去における類似の交通状況の時点における旅行時間を合計し、類似時点小区間旅行時間総和を求めるステップと、
(A)該経路上の出発地点を、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める、または(B)該経路上の到着地点に、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に到着したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求めるステップと、
前記類似時点小区間旅行時間総和と前記経路推定旅行時間または経路計測旅行時間との間の関係を表現する予測モデルを求めるステップと、
前記予測モデルと前記現時点小区間旅行時間総和とから、現時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発または到着するとして経路予測旅行時間を求めるステップと、
を備える経路旅行時間推定予測方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路交通分野に係り、特に交通管制や道路交通情報提供といった道路交通管理または運用に利用するための経路旅行時間推定予測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、任意地点間を複数の小区間で構成するような区間の旅行時間は、AVI (車番認識装置) による車番認識や光ビーコンによる車両と路側間の双方向通信を用いての、経路区間の端点である出発地点と到着地点を通ったと特定された車両の通過時刻の差から、一定時間(例えば 5 分) 間隔の時点毎の平均出発旅行時間や到着旅行時間として求められる。例えば、特許文献1では複数の地点に設置した AVI によって認識された車両データを地点間でマッチングし地点間の旅行時間を求めている。光ビーコンの場合、任意の車両が任意の設置地点を通過した経歴も得られるため、これらを利用して概ね AVI と同様の方法で経路の旅行時間を得られる。
【0003】
また、昨今、移動する車両から位置や時刻データを送信し、当車両の動向を記録したり当データを集積して道路交通情報を獲得するプローブカーシステムが存在する。これによれば、任意車両毎に経路と旅行時間を求めることができ、複数車両のデータを集計すれば平均旅行時間が求められる。
【0004】
任意の区間や経路の旅行時間を推定する際には、軌跡追跡法が一般的に適用される。各小区間の交通流データは各時刻で異なるため、各時点でのデータ毎に旅行時間も相違する。この方法では、小区間の各時点間での交通流データを用いて、車両が出発時点から当小区間を当時点のデータで走行するよう再現し、到着地点に到るまで旅行時間と旅行距離分だけ順次移動しながら小区間の旅行時間を算出、これらの総和によって区間または経路旅行時間が求められる。これによれば、区間や経路を走行した車両が存在しなくとも、小区間のデータを用いて旅行時間を推定可能である。
【0005】
一方、区間や経路の旅行時間予測に関しては、過去データを用いた代表的な手法として、非特許文献1に示す統計差分/比例手法が存在する。この手法は、過去の区間旅行時間の収集・蓄積データを用いて時間軸上でその平均値を算出し、それを時刻に対するパターンして予測元時刻と予測先時刻でもってトレースし、将来の旅行時間を予測する。パターンは、通常、先験的な知識や道路利用形態から曜日等に基づいて複数用意される。
【0006】
過去データから予め用意したパターンを用いる方法は他にもあるが、非特許文献2に代表されるように、生成パターンと予測先の曜日等の特性に基づいて修正し予測値を算出する方法が主流である。
【0007】
あるいは、現時点での交通流データを用いた予測として、同時刻和手法が存在する。この手法では、予測する現時点での経路を一区間として、同区間に含まれる小区間の当時点での速度と区間距離から旅行時間を算出し、この同時点での旅行時間の総和を求め、区間または経路予測旅行時間とする。その他、現時点のデータではなく、特許文献2、3に示すように、個々の小区間データを、上記統計差分/比例同様に時間帯データを用いたり、時系列的手法等で順次予測しながら経路を探索したり予測旅行時間を算出する方法もある。なお、同時刻和手法は、この方法において交通流データが変わらないとおいた場合に等しい。
【特許文献1】特開平05-094598号広報
【特許文献2】特開2004-301677号広報
【特許文献3】特開平11-328572号広報
【非特許文献1】広域交通管制技術の研究報告II(財団法人 日本交通管理技術協会)、pp.7-6,7-7、平成 2年 3月
【非特許文献2】蛭阪 隆、科学警察研究所 交通部交通規制研究室: 車両感知器データを用いた交通量変動特性の一分析、科学警察研究所報告交通編、pp.84-91、Vol.41、No.2、March 2001
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来技術には次のような問題が存在する。地点間の経路は複数あるいは多数存在する。さらには、同経路でも、時刻等により経路の旅行時間は異なる。AVI (車番認識装置) や光ビーコンといった個々車両を固定地点で認識するような場合、任意区間をはさむ 2 地点間でのマッチングによるため、計測する経路毎に適当な地点に計測機器を設置する必要があり、把握可能な経路は設置地点に依存してしまう。通常、地点間の経路は複数あり、特に一般道においては2地点間のマッチングだけでは、どの経路の走行による旅行時間であるのかは判断できないという問題が多々発生する。また、経路上の小区間を逸脱した車両を特定することが難しい場合もある。このため、特許文献1の方法を含め、AVI の適用は、主要区間や短区間、比較的分岐が少なく経路が限定されやすい高速道路等に限られる。光ビーコンによるならば、車両 ID を用いるため任意車両の走行軌跡を得ることが可能であるが、光ビーコンは必ずしも全ての経路を把握可能なよう設置されているわけではなく、かつまた走行車両によって全経路を網羅しデータを取得できるとは限らない。設置コスト面からも、適用区間が限定され、あらゆる経路には対応できない。
【0009】
統計差分/比例も同様に各経路毎にパターンを分類し生成する必要があることから、主要な経路あるいは区間が対象であり、全ての経路に対応することは困難である。
【0010】
プローブカーシステムによれば、任意車両毎に経路と旅行時間が獲得でき、複数車両のデータを集計すれば平均旅行時間が求められる。しかし、多数の車両が同時間帯に同経路上を走行する保証はなく、また、全時間帯における任意地点間の多数の経路の旅行時間を得られるとは限らない。
【0011】
前述の軌跡追跡法によれば、既に得られている小区間データを用いて、任意の経路の旅行時間を求めることが可能である。但し、あくまで、過去の指定時刻における 2 地点間の経路旅行時間であり、予測旅行時間を求められるわけではない。このため、カーナビゲーションシステム等においては、一般道や高速道路といった道路種別毎や上記特許文献にあるように時間帯毎に予め走行速度を設定しておき、その設定速度で走行するものとして経路旅行時間を算出するといった方法が取られる。しかし、これでは、速度の設定値に依るため、道路状況に即応して旅行時間を求めたり予測したりできない。また、一定速度での経路旅行時間の算出では、時々刻々と変化する交通状況に一致せず、ズレが大きくなる場合が発生する。これに対しては、時間帯に応じて複数の速度を所有する方法を考えることができるが、多数の小区間毎に適切に設定する必要が発生する。
【0012】
同時刻和手法だと、一意の予測旅行時間しか算出しないため、未来の異なる時点の予測には対応できないという問題がある。
【0013】
統計差分/比例の場合には、経路の旅行時間パターンが必要となる。現実には、2地点間の経路は複数存在するため、全経路の実旅行時間データを獲得できるとは限らない。また全経路の旅行時間を蓄積しておくことも困難である。実際には、主要な経路に対応できるのみとなる。
【0014】
小区間毎に将来値を算出し経路旅行時間の予測値を求める方法もあるが、各小区間毎の予測処理を要するため負荷が大きく、各小区間毎の予測誤差が蓄積し、誤差拡大の恐れがある。
【0015】
本発明は、このような問題を解決するものであり、経路の旅行時間を推定予測する装置であって、AVI や光ビーコン、プローブカー等で計測し小区間毎に得られた交通流データを有効に用いて、計測されない経路や区間を含め、任意の2地点間の小区間で構成する経路または区間の旅行時間推定予測を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、任意の2地点を出発地点と到着地点として構成される区間内に存在する複数の小区間を含む経路において、該小区間毎に計測し得られた交通流データにより当経路の旅行時間を推定予測する経路旅行時間推定予測装置であって、各小区間の予測を行なう現時点における旅行時間を合計し、現時点小区間旅行時間総和を求める現時点小区間旅行時間合計部と、現時点から所定時間の分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布と、過去時点の時空間のデータ分布のマッチングによって、過去における類似の交通状況の時点を抽出する過去類似時点抽出部と、前記過去における類似の交通状況の時点における旅行時間を合計し、類似時点小区間旅行時間総和を求める類似時点小区間旅行時間合計部と、(A)該経路上の出発地点を、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める、または(B)該経路上の到着地点に、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に到着したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める、経路推定旅行時間算出部と、前記類似時点小区間旅行時間総和と前記経路推定旅行時間または経路計測旅行時間との間の関係を表現する予測モデルを求める予測モデル構築部と、前記予測モデルと前記現時点小区間旅行時間総和とから、現時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発または到着するとして経路予測旅行時間を求める経路予測旅行時間算出部と、を備える。
【0017】
前記過去類似時点抽出部が、前記交通流データに含まれる速度データをベクトルとみなした場合、現時点から所定時間の分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布のベクトルと、過去時点の時空間のデータ分布のベクトルとの間の距離を算出する。
【0018】
また、前記予測モデルは、前記類似時点小区間旅行時間総和と前記経路推定旅行時間との間の線形性を表わす線形モデルを採用することができる。
【0019】
また、本発明は、任意の2地点を出発地点と到着地点として構成される区間内に存在する複数の小区間を含む経路において、該小区間毎に計測し得られた交通流データにより当経路の旅行時間を推定予測する経路旅行時間推定予測方法であって、各小区間の予測を行なう現時点における旅行時間を合計し、現時点小区間旅行時間総和を求めるステップと、現時点から所定時間の分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布と、過去時点の時空間のデータ分布のマッチングによって、過去における類似の交通状況の時点を抽出するステップと、前記過去における類似の交通状況の時点における旅行時間を合計し、類似時点小区間旅行時間総和を求めるステップと、(A)該経路上の出発地点を、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める、または(B)該経路上の到着地点に、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に到着したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求めるステップと、前記類似時点小区間旅行時間総和と前記経路推定旅行時間または経路計測旅行時間との間の関係を表現する予測モデルを求めるステップと、前記予測モデルと前記現時点小区間旅行時間総和とから、現時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発または到着するとして経路予測旅行時間を求めるステップと、を備える。
【0020】
本発明は、過去の蓄積データから当経路の予測時点に対する類似の交通状況として、経路上の小区間データを含めた交通流データ分布の類似する過去時点を見い出す。そして、過去の類似時点での旅行時間の合計値を求め、また、過去の類似の交通状況に基づいて将来時点に対する当経路の旅行時間を推定する。
【0021】
さらに、過去の類似状況下の交通流データを用いた経路旅行時間合計値と推定旅行時間または経路の計測旅行時間が存在する場合には、当時間との間の予測モデルを構成し、この合計値と推定または計測旅行時間によるモデルと、予測時点での旅行時間合計値を用いて予測旅行時間を得る。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、交通状況に応じた経路の旅行時間の推定予測の精度を向上させることができ、過去の交通流データを収集・蓄積し、活用して、任意の経路の旅行時間を容易に推定予測することが可能となる。さらには交通情報提供に対する維持管理や処理のコストを低減することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付図面を用いて本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0024】
図1は、本発明の経路旅行時間推定予測装置100の全体構成及び適用態様の概略を示す。道路1上の任意の小区間2 Si (i=1,2,3,…) を車両3が走行し、計測手段によって走行車両データが計測され、小区間2の交通流データとして集計される。計測手段は、車両感知器やプローブカーシステムといった装置により構成されるが、本実施形態では、車両感知器4によって速度が計測されている。車両感知器4は、道路上の任意地点に設けられた超音波式車両感知器、マイクロ波式車両感知器、電波ビーコン、光ビーコン等により構成される。
【0025】
一般的に、車両感知器4により、交通量 Q[台/5分] と占有時間T[秒] が計測されている場合には、交通量 Q に平均車長 CL を乗じた値を占有時間Tで除算した値として平均速度 V (=Q×CL/T) が求められる。プローブカーや AVI (車番認識装置) による場合、任意車両 c の2 地点間 (小区間 Si とする) の通過時刻の差 Tc(Si) と2 地点間の距離 (小区間 Si の距離 L(Si) とする) から速度 Vc(Si) (=L(Si)/Tc(Si)) を求めることができ、これを同時間帯に通過した車で集計し平均化等すればよい。交通量がなく、データが得られないような場合には、制限速度等からデフォルト値を設定すればよい。
【0026】
経路旅行時間推定予測装置100は、処理部5と、現時点小区間旅行時間合計部7と、過去類似時点抽出部8と、類似時点小区間旅行時間合計部9と、経路推定旅行時間算出部10と、予測モデル構築部11と、経路予測旅行時間算出部12と、小区間データベース6とを備える。経路旅行時間推定予測装置100は、道路上に設けられた各車両感知器4と接続されており、道路管制センターや道路交通情報を管理するVICSセンターなどに設置される。ただし、経路旅行時間推定予測装置100と各車両感知器4の接続方法や、経路旅行時間推定予測装置100の配置場所等は特に限定されない。
【0027】
処理部5は、経路旅行時間推定予測装置100の動作を制御するもので、所定のプログラムによって動作するプロセッサ(図示せず)を主体に構成される。処理部5は、プロセッサによって実行される各種プログラムを記憶するメモリ、プログラム実行時のワークエリアとなるメモリ、路旅行時間推定予測装置100の各種設定データを記憶するメモリ等の各種メモリ(図示せず)を含んでいる。これらのメモリは、その用途に応じて、アクセス速度、記憶容量、揮発性と不揮発性の別等の異なる複数種類のメモリが用いられる。
【0028】
処理部5は、小区間 Si の走行速度を 5 分間毎、例えば時刻 00:00〜00:05 の間で集計し、年月日を伴って 5 分毎の時点t=00:05の5分間平均速度V(Si,t)を算出する。この算出された平均速度は、小区間データベース6に蓄積される。小区間データベース6には、対象とする小区間の過去の一定期間、例えば1年分のデータが蓄積されている。ただし、走行速度の集計の回数は5分間には限定されず、任意の期間毎に集計を行なうことができる。
【0029】
また、処理部5は、各時点において集計された5分間平均速度に基いて、現時点小区間旅行時間合計部7、過去類似時点抽出部8、類似時点小区間旅行時間合計部9、経路推定旅行時間算出部10、予測モデル構築部11、経路予測旅行時間算出部12を制御し、任意の経路 Ro の旅行時間の推定予測を行なう。本例では、現時点すなわち予測元時点tでここまでの5分間平均速度が蓄積されていると想定し、予測先時点t'の経路の旅行時間を予測するものとする。予測先時点 t' は任意の時点差 Δt (=1,2,3,….ここでは時点は5分毎なので、時間は 5分×Δt として求められる)を伴う、t'=t+Δt として表現できる将来とする。
【0030】
本明細書においては、図2に示した出発地点 Op から到着地点 Dp に至る経路 Roを対象とする。経路 Roは小区間 Sr (出発側から r=1,2,3,…,R) を含む。また、経路旅行時間推定予測装置100は、図3に示した概略手順のフロー処理を行なう。以下、各構成部分の作用について説明する。
【0031】
図4は、現時点小区間旅行時間合計部7の処理フローを示す(図3のステップA)。現時点小区間旅行時間合計部7は、まず、処理部5より、出発地点 Op から到着地点 Dp に至る経路 Ro を構成する区間に含まれる小区間 Sr (出発側から r=1,2,3,…,R) のt 時点の速度と区間距離 L(Sr) を読み出す(S201)。実施形態では、便宜的に出発地点と到着地点は小区間の各々の端点に相当するものと仮定する。すなわち、出発地点と到着地点間の距離は小区間距離の総和に等しい。この速度と距離から、予測を行なう予測元時点における経路上の小区間旅行時間 T(Sr,t) = L(Sr)/V(Sr,t) を求める(S202)。そしてこの小区間旅行時間から、現時点小区間旅行時間総和 Ts(Ro,t) = Σr T(Sr,t) を求める(S203)。この値は処理部5に書き込まれ、保持される(S204)。
【0032】
次に過去類似時点抽出部8において、予測を行なう現時点から一定時間分過去の時間帯と経路上の小区間を含む周辺の小区間とからなる時空間の交通流データ分布を求める。さらに、過去における時空間の交通流データ分布を求める。この二つの交通流データ分布のマッチングによって、過去における類似の交通状況の時点を抽出する。
【0033】
本実施の形態では、上述の時空間として、経路Ro 上の小区間 Sr の1時点の交通流データ分布を対象とし、これをベクトルとみなし、過去時点での交通流データ分布と同様のベクトル間との距離が近いものほど類似として、その時点を抽出する。
【0034】
図5は、過去類似時点抽出部8の処理フローを示す(図3のステップB)。まず、蓄積している過去からの経路 Ro 上の小区間 Sr (r=1,2,…,R)の全速度データ V(Sr,t-i) (i=0,1,2,3,…) を処理部より読み込む(S301)。そして、複数の過去の時点データ各々と1時点の交通流データとの間の距離を算出する。
【0035】
本実施形態においては、現在の予測元時点 t から過去一定時間内として、1時点分の経路 Ro 上の小区間の速度データを1つのベクトルすなわちV'(Ro,t) = (V(S1,t), V(S2,t), …, V(SR,t))とみなす。そして、同様に構成される過去の同次元のベクトルV'(Sr,t-i) = (V(S1,t-i), V(S2,t-i), …, V(SR,t-i))をも算出する。この過去のベクトルV’は複数の過去の時点において求められる。そして、両者の距離を算出する。ここでは、予測元時刻 t でのベクトルを基準ベクトルとし、この基準ベクトルと蓄積している過去時点 t-p (p=1,2,3,…)の同次元のベクトル間のユークリッド距離Dv(t-p) = ‖ V'(Ro,t) - V'(Ro,t-p) ‖を算出する(S302)。この後、算出したベクトル間距離に基づいて、互いのベクトルが類似する時点を抽出する(S303)。ここでは、距離の小さい上位の任意個数 N 、例えば 10 の過去の時点を選択するものとし、選択した時点をp(j) (j=1,2,…,Nで、ここでは N=10) として処理部5に書き込む(S304)。
【0036】
次に、類似時点小区間旅行時間合計部9において、経路を構成する区間に含まれる小区間のこれら過去の類似交通状況下の時点における旅行時間を合計し、類似時点小区間旅行時間総和を求める。
【0037】
図6は、類似時点小区間旅行時間合計部9の処理フローを示す(図3のステップC)。まず、過去類似時点抽出部8によって、交通状況が類似として抽出された時点p(j) (j=1,2,…,N.ここでは N=10) を読み込む(S401)。この後、現時点小区間旅行時間合計部7と同様、処理部5から、経路 Ro を構成する区間に含まれる小区間 Sr (r=1,2,3,…,R) の p(j) 時点の速度と、区間距離 L(Sr) を読み込む(S402)。この速度と距離から、各類似時点における経路上の小区間旅行時間 T(Sr,p(j)) = L(Sr)/V(Sr,p(j)) を求め(S403)、さらに類似時点小区間旅行時間総和 Ts(Ro,p(j)) = Σr T(Sr,p(j)) を求める(S404)。この値は処理部5に書き込まれ、保持される(S405)。
【0038】
次の段階では、経路推定旅行時間算出部10において、当経路上の出発地点を、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める。
【0039】
または、経路推定旅行時間算出部10において、当経路上の到着地点に、過去において類似の交通状況下の時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に到着したとして、過去の交通流データに基づき当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し、当経路の過去における将来時点での経路推定旅行時間を求める。ここでは、経路の出発からの推定旅行時間を求める。
【0040】
図7は、経路推定旅行時間算出部10の処理フローを示す(図3のステップD)。まず、過去類似時点抽出部8によって、交通状況が類似として抽出された時点p(j) (j=1,2,…,10) を読み込む(S501)。続いて、処理部5から、経路 Ro を構成する区間に含まれる小区間 Sr (r=1,2,3,…,R) の過去 t-i (i=0,1,2,…) の速度と区間距離 L(Sr) を読み込む(S502)。そして、出発地点 Op 側の小区間 (ここでは S1) から、交通状況類似時点から Δt の時間差を伴う過去の予測先時点 p(j)+Δt に出発したとして、経路の出発推定旅行時間 Te(Ro,p(j)+Δt) を軌跡追跡法により求める(S503)。
【0041】
つまり、経路 Ro 上の小区間 Sr の出発地点 Op 側の S1 から過去の速度データ V(Sr,p(j)+k) (k=0,1,2,…) を用いて順次移動していき、到着地点 Dp に到達した時刻 t'' との差 t''-p(j)+Δt から旅行時間を求める。この旅行時間を経路推定旅行時間 Te(Ro,p(j)+Δt) として処理部5に書き込む(S504)。到着側からの旅行時間を推定する場合には、到着地点側から同様に軌跡追跡法を適用すればよい。ここでは、推定旅行時間のみを用いるが、計測旅行時間が得られている場合には、その旅行時間も用いて平均旅行時間を算出し用いればよい。
【0042】
図8は、これら類似時点小区間旅行時間総和や経路推定旅行時間の概念を示す。本図のグラフは、横軸が距離、縦軸が時刻を表現しており、よって傾きの逆数が速度に相当する。図では出発旅行時間を例に示しており、グラフ中の折線が速度に基づいて車両の移動を追跡した軌跡となる。類似時点小区間旅行時間総和は各小区間で類似時点 p(j) の速度がそのまま移行すると考えるため、同じ小区間では同じ速度すなわち傾きで推移する。一方、推定旅行時間は過去の類似時点から Δt 先の予測先時点からの旅行時間を各小区間の該当時点の速度でたどることになる。
【0043】
この後、予測モデル構築部11において、過去の類似交通状況下の時点の小区間旅行時間を合計し求めた類似時点小区間旅行時間総和と当経路上の小区間を順次たどりながら旅行時間を累積し求めた経路推定旅行時間との間の関係を求める。
【0044】
図9は、予測モデル構築部11の処理フローを示す(図3のステップE)。処理部5から、類似時点小区間旅行時間合計部9により得られた類似時点小区間旅行時間総和 Ts(Ro,p(j)) (j=1,2,…,N.ここでは N=10)と、経路推定旅行時間算出部10により得られた過去の予測先時点での経路推定旅行時間 Te(Ro,p(j)+Δt) を読み込む(S701)。この Ts(Ro,p(j))と Te(Ro,p(j)+Δt) は、過去の類似の交通状況時点 p(j) の旅行時間総和と過去での予測先時点 p(j)+Δt での推定旅行時間であるから、これらの旅行時間の関係を求める。ここでは、線形モデルを用い、Te = a Ts + b として定式化する。このモデルの係数 a, b を、(Ts(Ro,p(j)), Te(Ro,p(j)+Δt)) (j=1,2,…,10) のデータセットと最小自乗法で導出する(S702)。得られたモデル係数 a,b を処理部5に書き込む(S703)。
【0045】
最後に、経路予測旅行時間算出部12において、この予測モデルと現時点小区間旅行時間総和とから、現時点に対して予測すべき時点差を伴なう将来時点に出発または到着するとして、経路予測旅行時間を求める。
【0046】
図10は、経路予測旅行時間算出部12の処理フローを示す(図3のステップF)。まず、処理部5から、現時点小区間旅行時間合計部7で求められた現時点小区間旅行時間総和 Ts(Ro,t) を読み込む(S801)。次に、予測モデル構築部11で求めたモデル係数 a,b を読み込む(S802)。モデル Te = a Ts + b に Ts(Ro,t) を代入し、予測先時点t'=t+Δt での旅行時間T'(Ro,t') を a Ts(Ro,t) + b として求める(S803)。この予測旅行時間を処理部5に書き込む(S804)。
【0047】
以上の処理を各予測時点や経路毎に繰り返し、各予測旅行時間を求めればよい。各推定旅行時間や予測旅行時間を、処理部5を通じて、外部の他の装置とやり取り可能に構成することができる。
【0048】
本発明の旅行時間推定予測装置及び方法によれば、収集・蓄積された過去の交通状況に関するデータを活用し、交通状況に応じた経路の旅行時間の推定予測の精度を向上させることができる。
【0049】
また、道路上の小区間や得られた経路に対する過去の交通状況に関するデータを収集し蓄積しておき、経路旅行時間の推定値または計測値を求める本発明の装置・方法を用いることにより、出発と到着地点間に存在する多数の経路への旅行時間推定や予測にも容易に対応できる。これによって、交通情報提供に対する維持管理や処理のコストを低減することが可能となる。
【0050】
以上、本発明の各種実施形態を説明したが、本発明は前記実施形態において示された事項に限定されず、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者がその変更・応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、交通状況に応じた経路の旅行時間の推定予測の精度を向上させることのできる旅行時間推定予測装置及び方法を提供する。本発明により、交通情報提供に対する維持管理や処理のコストを低減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の経路旅行時間推定装置の構成及びその使用態様を示す図
【図2】対象となる経路の概略図
【図3】経路旅行時間推定装置の概略処理フロー
【図4】図3のステップAにおける現時点小区間旅行時間合計部の処理フロー
【図5】図3のステップBにおける過去類似時点抽出部の処理フロー
【図6】図3のステップCにおける類似時点小区間旅行時間合計部の処理フロー
【図7】図3のステップDにおける経路推定旅行時間算出部の処理フロー
【図8】類似時点小区間旅行時間総和及び経路推定旅行時間の算出の概念図
【図9】図3のステップEにおける予測モデル構築部の処理フロー
【図10】図3のステップFにおける経路予測旅行時間算出部の処理フロー
【符号の説明】
【0053】
1 道路
2 小区間
3 車両
4 車両感知器
5 処理部
6 交通流データベース
7 現時点小区間旅行時間合計部
8 過去類似時点抽出部
9 類似時点小区間旅行時間合計部
10 経路推定旅行時間算出部
11 予測モデル構築部
12 経路予測旅行時間算出部




 

 


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