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発明の名称 細胞電位測定用容器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10429(P2007−10429A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190211(P2005−190211)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】110000040
【氏名又は名称】特許業務法人池内・佐藤アンドパートナーズ
発明者 渡部 英二 / 中谷 将也 / 樋口 朗
要約 課題
測定対象の細胞数が増えた場合であっても、配線構造を単純化してノイズを抑制可能な細胞電位測定用容器を提供する。

解決手段
第1溶液溜め部14、第2溶液溜め部15、仕切り基板18、第1電極27a、第2電極27b、第1測定用端子13a及び第2測定用端子13bを有し、第1溶液溜め部14と第2溶液溜め部15とは仕切り基板18により仕切られ、仕切り基板18には貫通孔19が設けられ、貫通孔19の一端は第1溶液溜め部14に向かって開口し、貫通孔19の他端は第2溶液溜め部15に向かって開口し、貫通孔19の前記一端開口部は細胞を保持可能であり、第1電極27aは第1溶液に接触可能なように配置され、第2電極27bは第2溶液と接触可能なように配置された細胞電位測定用容器において、さらにスイッチング装置17を配置し、これを介して第1電極27aもしくは第2電極27bを第1測定用端子13aもしくは第2測定用端子13bに接続する。
特許請求の範囲
【請求項1】
第1溶液溜め部、第2溶液溜め部、仕切り基板、第1電極および第2電極とを備える測定単位と、第1測定用端子および第2測定用端子とを有し、
前記測定単位において、前記第1溶液溜め部と前記第2溶液溜め部とは前記仕切り基板により仕切られ、前記仕切り基板には、貫通孔が設けられ、前記貫通孔の一端は前記第1溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の他端は、前記第2溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の前記一端の開口部は細胞を保持可能であり、前記第1電極は第1溶液に接触可能なように配置され、前記第2電極は第2溶液と接触可能なように配置され、
前記測定単位を複数有し、
さらに、スイッチング装置およびスイッチング信号入力用端子を有し、
前記スイッチング装置と前記スイッチング信号入力用端子とが電気的に接続され、
複数の前記測定単位、一つの前記スイッチング装置、一つの前記第1測定用端子および一つの前記第2測定用端子から一つの測定グループが構成され、
前記測定グループにおいて、
複数の前記第2電極は、一つの前記第2測定用端子と共通配線構造で接続され、
複数の前記第1電極のいずれかは、一つの前記スイッチング装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続され、前記スイッチング装置により、複数の前記第1電極の中から前記第1測定用端子と電気的に接続される一つの前記第1電極が選択される細胞電位測定用容器。
【請求項2】
第1溶液溜め部、第2溶液溜め部、仕切り基板、第1電極および第2電極とを備える測定単位と、第1測定用端子および第2測定用端子とを有し、
前記測定単位において、前記第1溶液溜め部と前記第2溶液溜め部とは前記仕切り基板により仕切られ、前記仕切り基板には、貫通孔が設けられ、前記貫通孔の一端は前記第1溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の他端は、前記第2溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の前記一端の開口部は細胞を保持可能であり、前記第1電極は第1溶液に接触可能なように配置され、前記第2電極は第2溶液と接触可能なように配置され、
前記測定単位を複数有し、
さらに、スイッチング装置およびスイッチング信号入力用端子を有し、
前記スイッチング装置と前記スイッチング信号入力用端子とが電気的に接続され、
複数の前記測定単位、一つの前記スイッチング装置、一つの前記第1測定用端子および一つの前記第2測定用端子から一つの測定グループが構成され、
前記測定グループにおいて、
複数の前記第1電極は、一つの前記第2測定用端子と共通配線構造で接続され、
複数の前記第2電極のいずれかは、一つの前記スイッチング装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続され、前記スイッチング装置により、複数の前記第2電極の中から前記第1測定用端子と電気的に接続される一つの前記第2電極が選択される細胞電位測定用容器。
【請求項3】
さらに、電気信号増幅装置および電力供給用端子を有し、前記電力供給用端子は、前記電気信号増幅装置と電気的に接続され、
前記測定グループにおいて、
複数の前記第1電極のいずれかは、一つの前記スイッチング装置および一つの前記電気信号増幅装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続されている請求項1記載の細胞電位測定用容器。
【請求項4】
さらに、電気信号増幅装置および電力供給用端子を有し、前記電力供給用端子は、前記電気信号増幅装置と電気的に接続され、
前記測定グループにおいて、
複数の前記第2電極のいずれかは、一つの前記スイッチング装置および一つの前記電気信号増幅装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続されている請求項2記載の細胞電位測定用容器。
【請求項5】
前記測定グループを複数有する請求項1から4のいずれか一項に記載の細胞電位測定用容器。
【請求項6】
前記第1溶液溜め部の下に、前記第2溶液溜め部が配置されている請求項1から5のいずれか一項に記載の細胞電位測定用容器。
【請求項7】
前記第1電極が、前記仕切り基板の第1溶液溜め部側表面に配置され、前記第2電極が、前記仕切り基板の第2溶液溜め部側表面に配置されている請求項1から6のいずれか一項に記載の細胞電位測定用容器。
【請求項8】
前記仕切り基板に、複数の前記貫通孔が設けられている請求項1から7のいずれか一項に記載の細胞電位測定用容器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞電位測定用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
電気生理学の初期のころから、ガラス電極を細胞に刺入して細胞の膜電位を測定することが行われ、細胞膜におけるイオンチャネルの存在が予見されていた。そして、細胞膜電位の測定は、パッチクランプ法の開発により、大きく進展した。パッチクランプ法は、1976年にNeher および Sakmannによって開発され(非特許文献1)、これにより、実際にイオンチャンネルの存在を証明するという画期的成果を生み出した。さらに、1981年に、Hamill等によってホールセルクランプ(whole−cell−clamp)法が開発され、これにより細胞膜表面全体に存在するイオンチャネルの全電流の測定が可能となった。ホールセルパッチクランプ法は、医薬品開発において重要であるため、これを高速で実施可能にするための技術が開発されている。例えば、高速処理スクリーニングのために、平板デバイスに複数の貫通孔を設け、ここに接着した細胞の連続層を含み、電極で電位依存性のイオンチャネル活性を測定する技術がある(特許文献1)。しかし、複数の細胞を基板上に保持し、各細胞は隣接する細胞と堅く結合しなければならず、電気的なシール状態を実現することは、技術的に難しい。この問題を解決するために、電位差を利用した電気泳導によって測定対象となる細胞のポジショニングと電気的シールを密にする技術がある(特許文献2)。この他に、基板の上に複数のウェルを形成し、前記ウェルの底に細胞を保持するための窪みを形成し、前記窪みと吸引手段とが貫通孔で連結されている細胞外電位測定用デバイスがある(特許文献3)。この細胞外電位測定用デバイスにおいて、さらに細胞保持を確実にするために、ウェルの底部に、第1の開口、第2の開口および空洞部を形成し、前記第1の開口で測定対象の細胞が保持され、前記第1の開口と前記第2の開口とが前記空洞部を介して連結し、前記第1の開口の径が前記空洞部の径より小さく、前記第2の開口部の径よりも大きく、かつ測定対象の細胞の径より小さくするという技術がある(特許文献4)。また、細胞外電位測定用デバイスにおいて、細胞の電気的シールを密にするために、基板の一面側にダイアフラムを設け、このダイアフラムを構成するいずれかの面に少なくとも一つ以上の曲面からなる窪みを設け、この窪みの最深部より上部に貫通孔を設け、この貫通孔の前記窪みと反対側の開口部に検出電極を設けることにより、前記貫通孔内の培養液のイオン濃度を効率よく測定する技術がある(特許文献5)。同様に、細胞外電位測定用デバイスにおいて、細胞の電気的シールを密にするために、基板の一面側にダイアフラムを設け、このダイアフラムのいずれかの面に第一の窪みを設け、この第一の窪に貫通孔を設け、この貫通孔の前記第一の窪みと反対側の開口部に第二の窪みを設け、この第二の窪みの一部に検出電極を設けることにより、前記貫通孔内の培養液のイオン濃度を効率よく測定する技術がある(特許文献6)。
【0003】
これらの技術によれば、複数の細胞の細胞外電位を測定することができ、かつ電気的シールも密にすることができるため、高精度での測定が可能になる。しかしながら、測定対象の細胞数を増やすと、電気的なノイズが発生するという問題があり、これらの従来の技術では、このノイズの問題を解決することができなかった。
【特許文献1】特表2002−518678号公報
【特許文献2】特許第3486171号公報
【特許文献3】WO02/055653A1
【特許文献4】特開2004−12215号公報
【特許文献5】特開2004−271330号公報
【特許文献6】特開2004−271331号公報
【非特許文献1】Neher E & Sakmann B (1976) Single channel currents recorded from membrane of denervated frog muscle fibers. Nature 260 : 799−802
【非特許文献2】Hamill OP, Marty A, Neher E, Sakmann B & Sigworth FJ (1981) Improved patch−clamp techniques for high−resolution current recording from cells and cell−free membrane patches. Pflugers Arch 391 : 85 − 100.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は、測定対象の細胞数が増えた場合であっても、ノイズを抑制してさらに高精度の細胞電位の測定が可能な細胞電位測定用容器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するために、本発明の細胞電位測定用容器は、
第1溶液溜め部、第2溶液溜め部、仕切り基板、第1電極および第2電極とを備える測定単位と、第1測定用端子および第2測定用端子とを有し、
前記測定単位において、前記第1溶液溜め部と前記第2溶液溜め部とは前記仕切り基板により仕切られ、前記仕切り基板には、貫通孔が設けられ、前記貫通孔の一端は前記第1溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の他端は、前記第2溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の前記一端の開口部は細胞を保持可能であり、前記第1電極は第1溶液に接触可能なように配置され、前記第2電極は第2溶液と接触可能なように配置され、
前記測定単位を複数有し、
さらに、スイッチング装置およびスイッチング信号入力用端子を有し、
前記スイッチング装置と前記スイッチング信号入力用端子とが電気的に接続され、
複数の前記測定単位、一つの前記スイッチング装置、一つの前記第1測定用端子および一つの前記第2測定用端子から一つの測定グループが構成され、
前記測定グループにおいて、
複数の前記第2電極は、一つの前記第2測定用端子と共通配線構造で接続され、
複数の前記第1電極のいずれかは、一つの前記スイッチング装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続され、前記スイッチング装置により、複数の前記第1電極の中から前記第1測定用端子と電気的に接続される一つの前記第1電極が選択される細胞電位測定用容器である。
【発明の効果】
【0006】
このように、本発明の細胞電位測定用容器では、前記スイッチング装置を有するため、配線を少なくし、かつ短くし、さらに配線構造を単純化することができるため、ノイズを抑制することが可能であり、例えば、高速スクリーニングのために測定対象の細胞数が多くなった場合であっても、従来よりもさらに高精度の細胞電位の測定が可能となる。なお、本発明の細胞電位測定用容器は、測定対象の細胞数が少ない場合であっても、従来技術よりも高精度の細胞電位の測定が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の細胞電位測定用容器において、測定の対象となるのは、細胞膜を境界とする細胞内外の電位である。前記細胞電位は、例えば、受容体の活性化、細胞内信号伝達系の作用によって、細胞膜内に存在するイオンチャンネルを通して、例えば、Na、K、Ca2+、Clなどのイオンが細胞内外を移動することに伴って値が変化する信号である。また、本発明の細胞電位測定用容器において、測定対象となる細胞電位は、電圧および電流の少なくとも一方である。すなわち、本発明の細胞電位測定用容器では、例えば、電流を固定して電圧を測定してもよいし、電圧を固定して電流を測定してもよい。前述のように、細胞電位の変化は、イオンの移動の変化により生じるものであり、電流変化を測定しても、電圧変化を測定しても、前記イオンの移動の変化を測定することに変わりはない。したがって、本発明の細胞電位測定用容器において、例えば、細胞の電圧変化を測定する場合は、前記第1測定用端子および前記第2測定用端子を用いて、前記電圧変化を測定し、細胞の電流変化を測定する場合は、前記第1測定用端子および前記第2測定用端子を用いて、前記電流変化を測定すればよい。
【0008】
本発明の細胞電位測定用容器において、前記スイッチング装置は、前記第1電極と前記第1測定用端子との前記接続に使用することに限定されず、例えば、前記第2電極と前記第1測定用端子との前記接続に使用してもよい。
【0009】
すなわち、本発明の細胞電位測定用容器は、第1溶液溜め部、第2溶液溜め部、仕切り基板、第1電極および第2電極とを備える測定単位と、第1測定用端子および第2測定用端子とを有し、
前記測定単位において、前記第1溶液溜め部と前記第2溶液溜め部とは前記仕切り基板により仕切られ、前記仕切り基板には、貫通孔が設けられ、前記貫通孔の一端は前記第1溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の他端は、前記第2溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の前記一端の開口部は細胞を保持可能であり、前記第1電極は第1溶液に接触可能なように配置され、前記第2電極は第2溶液と接触可能なように配置され、
前記測定単位を複数有し、
さらに、スイッチング装置およびスイッチング信号入力用端子を有し、
前記スイッチング装置と前記スイッチング信号入力用端子とが電気的に接続され、
複数の前記測定単位、一つの前記スイッチング装置、一つの前記第1測定用端子および一つの前記第2測定用端子から一つの測定グループが構成され、
前記測定グループにおいて、
複数の前記第1電極は、一つの前記第2測定用端子と共通配線構造で接続され、
複数の前記第2電極のいずれかは、一つの前記スイッチング装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続され、前記スイッチング装置により、複数の前記第2電極の中から前記第1測定用端子と電気的に接続される一つの前記第2電極が選択される細胞電位測定用容器であってもよい。
【0010】
本発明の細胞電位測定用容器において、前記測定グループは、単数であってもよいが、複数が好ましい。前記測定グループが複数で多いほど、測定対象の細胞数を増やすことができ、これにより、さらに医薬品候補化合物等の高速処理スクリーニングが可能となる。
【0011】
本発明の細胞電位測定用容器において、さらにノイズを低減できるという理由から、電気信号増幅装置および電力供給用端子を有することが好ましい。前記電力供給用端子は、前記電気信号増幅装置と電気的に接続されている。この場合の前記測定グループの配線構造は、例えば、下記の2つの配線構造がある。なお、本発明の細胞電位測定用容器において、電圧信号を測定する場合は、前記電気信号増幅装置として、電圧信号増幅装置を用い、電流信号を測定する場合は、前記電気信号増幅装置として、電流信号増幅装置を用いればよい。
【0012】
第1の配線構造は、前記測定グループにおいて、複数の前記第1電極および一つの前記第1測定用端子とが、一つの前記スイッチング回路および一つの前記電気信号増幅装置を介して接続されているという配線構造である。
【0013】
第2の配線構造は、前記測定グループにおいて、複数の前記第2電極および一つの前記第1測定用端子とが、一つの前記スイッチング回路および一つの前記電気信号増幅装置を介して接続されているという配線構造である。
【0014】
本発明の細胞電位測定用容器において、さらに、第2溶液用流路を有し、前記第2溶液用流路の上に、単数もしくは複数の前記測定単位が配置され、前記第2溶液用流路と前記第2溶液溜め部とが連通し、前記第2溶液用流路の一端開口部は前記第2溶液の導入口であり、前記第2溶液用流路の他端開口部は前記第2溶液の排出口あるという構成であってもよい。この場合、例えば、前記測定グループ毎に、一つの前記第2溶液用流路が形成されていてもよい。
【0015】
本発明の細胞電位測定用容器が、前記第2溶液用流路を有する場合、前記第2溶液用流路の前記第2溶液溜め部に対応する位置に、前記第2溶液を前記第2溶液溜め部に向かって流すための流方向制御手段が配置されていることが好ましい。前記流方向制御手段は、特に制限されないが、例えば、前記第2溶液用流路内部に形成された突起部であることが好ましい。
【0016】
本発明の細胞電位測定用容器が、前記第2溶液用流路を有する場合、前記第2溶液用流路が複数であり、複数の各前記第2溶液用流路に単数もしくは複数の前記測定単位が形成されていることが好ましい。
【0017】
本発明の細胞電位測定用容器において、例えば、前記第1溶液溜め部の下に、前記第2溶液溜め部が配置されているという構成でもよい。
【0018】
本発明の細胞電位測定用容器において、例えば、前記第1電極が、前記仕切り基板の前記第1溶液溜め部側表面に配置され、前記第2電極が、前記仕切り基板の前記第2溶液溜め部側表面に配置されているという構成でもよい。
【0019】
本発明の細胞電位測定用容器において、例えば、前記仕切り基板に、複数の前記貫通孔が設けられているという構成でもよい。
【0020】
本発明の細胞電位測定用容器は、その形態は特に制限されない。例えば、本発明の細胞電位測定用容器は、容器本体プレート、樹脂部、仕切り基板、第1電極、第2電極、第1配線、第2配線、第1測定用端子、第2測定用端子、スイッチング装置およびスイッチング信号入力用端子を有し、前記容器本体プレートの表面に孔が形成され、前記孔を覆う状態で前記仕切り基板が前記容器本体プレート表面に配置され、前記仕切り基板には貫通孔が形成され、この貫通孔を囲む状態で前記容器本体プレート表面に前記樹脂部が配置され、前記樹脂部で囲まれた空間が第1溶液を溜めるための第1溶液溜め部であり、前記孔内部が第2溶液を溜めるための第2溶液溜め部であり、前記貫通孔の一端が前記第1溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の他端が前記第2溶液溜め部に向かって開口し、前記貫通孔の前記一端開口部が細胞を保持可能であり、前記仕切り基板の表面に前記第1電極が前記第1溶液に接触可能なように配置され、前記仕切り基板の裏面に前記第2電極が前記第2溶液と接触可能なように配置され、前記第1溶液溜め部、前記第2溶液溜め部、前記仕切り基板、前記第1電極および前記第2電極から測定単位が構成され、前記測定単位が複数であり、前記第1配線、前記第2配線、前記第1測定用端子、前記第2測定用端子、前記スイッチング装置および前記スイッチング信号入力用端子が前記容器本体プレート表面に配置され、複数の前記測定単位、一つの前記第1測定用端子、一つの前記第2測定用端子および一つの前記スイッチング装置から一つの測定グループが構成され、前記測定グループにおいて、複数の前記第2電極は、前記第2配線により、一つの前記第2測定用端子と共通配線構造で接続され、複数の前記第1電極のいずれかは、前記第1配線により、一つの前記スイッチング装置を介して一つの前記第1測定用端子に電気的に接続されているという形態であってもよい。なお、前述のように、前記スイッチング装置は、前記第1電極と前記第1測定用端子との接続に使用する他、前記第2電極と前記1測定用端子との接続に使用してもよい。
【0021】
前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、複数の前記測定単位毎に前記樹脂部が形成されているという構成であってもよい。この他に、前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、前記樹脂部が、複数の孔が形成された樹脂プレートであり、複数の前記測定単位における前記孔が、複数の前記測定単位の前記第1溶液溜め部を形成するように前記樹脂プレートが前記容器本体プレート表面に配置されているという構成であってもよい。
【0022】
前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、前記第1測定用端子および前記第2測定用端子が、前記容器本体プレートの端部表面に配置されているという構成であってもよい。
【0023】
前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、前記第2溶液用流路を有する場合、前記容器本体プレート内部に第2溶液用流路が形成され、前記第2溶液用流路と、前記第2溶液溜め部を形成する前記孔とが、連通しており、前記第2溶液用流路の一端は前記容器本体プレート表面で開口し、前記開口が前記樹脂部の貫通孔と連通して前記貫通孔の開口部が前記第2溶液導入口となっており、前記第2溶液用流路の他端は前記容器本体プレート表面で開口し、前記開口が前記樹脂部の貫通孔と連通して前記貫通孔の開口部が第2溶液排出口となっているという構成であってもよい。また、前記第2溶液用流路の前記第2溶液溜め部に対応する位置に、前記第2溶液を前記第2溶液溜め部に向かって流すための流方向制御手段が配置されていることが好ましい。前記流方向制御手段は、特に制限されないが、前記第2溶液用流路内部に形成された突起部であることが好ましい。また、前記第2溶液用流路を複数有し、複数の各前記第2溶液用流路の上に単数もしくは複数の前記測定単位が形成されていることが好ましい。
【0024】
前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、前記第1配線は、前記容器本体プレート表面上に形成された配線パターンと、導電ワイヤとから構成され、前記配線パターンと前記第1電極とが前記導電ワイヤにより電気的に接続されていることが好ましい。また、前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、第2配線は、前記容器本体プレート表面上に形成された配線パターンであり、前記配線パターンの端部の上に、前記仕切り基板の裏面の第2電極が配置されているという構成が好ましい。
【0025】
前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、前記樹脂部により、前記第1配線および第2配線の一部若しくは全部が封止されていることが好ましく、前記導電ワイヤを有する場合は、少なくとも前記導電ワイヤが前記樹脂部で封止されていることが好ましい。また、前記形態の本発明の細胞電位測定用容器において、前記樹脂部により、前記仕切り基板の縁部が覆われているという構成が好ましい。
【0026】
つぎに、本発明の実施例ついて説明する。ただし、本発明は、下記の実施例により制限されない。
【実施例1】
【0027】
図1、図2、図3および図4に、本発明の細胞電位測定用容器の一実施例を示す。図1は、前記細胞電位測定用容器の斜視図であり、図2は、その平面図であり、図3は、図1のA−A方向に見た断面図であり、図4は、図3の断面図の部分拡大断面図であり、これらの図において、同一部分には同一符号を付している。
【0028】
図示のように、本実施例の細胞電位測定用容器では、ボトムプレート11bの上にトッププレート11aが配置されて容器本体プレート11が構成されており、容器本体プレート11の上に樹脂部12が配置されている。容器本体プレート11の形状は、長方形板状であり、樹脂部12の形状は、容器本体プレート11よりも長さが短い長方形板状であり、容器本体プレート11の長手方向の両端部表面は露出している。容器本体プレート11内部において、その長手方向に沿って延びる第2溶液用流路20が4本形成され、各第2溶液用流路20の上に、これと連通する孔が4個形成され、孔内部が第2溶液溜め部15であり、これらの孔を覆う状態で、孔毎に、仕切り基板18が容器本体プレート11表面に配置されている。第2溶液用流路20の第2溶液溜め部15に対応する個所には、それぞれ三角状の突起部22が設けられている。樹脂部12には、各第2溶液溜め部15に対応する位置と第2溶液用流路20の両端に対応する位置に、孔が形成され、第2溶液溜め部15に対応する孔の内部が第1溶液溜め部14であり、第2溶液用流路20の両端に対応する孔の内部が第2溶液導入口21aと第2溶液排出口21bである。仕切り基板18には、複数の貫通孔19が形成されている。図4の断面図に示すように、仕切り基板18の第1溶液溜め部14側の表面には、第1溶液と接触可能な状態で第1電極27aが配置されており、仕切り基板18の第2溶液溜め部15側の表面(仕切り基板18の裏面)には、第2溶液と接触可能な状態で第2電極27bが配置されている。そして、第1溶液溜め部14、第2溶液溜め部15、仕切り基板18、第1電極27aおよび第2電極27bから、一つの測定単位が構成されている。本実施例の細胞電位測定用容器において、測定単位は、容器本体プレート11の長手方向にそって4個直列しており、この列は、容器本体プレート11の幅方向に沿って4本並列している。容器本体プレート11の表面には、第1配線パターン28aおよび第2配線パターン28bが形成されている。第1配線パターン28aは、その端部で導電ワイヤ29の一端と接続し、導電ワイヤ29の他端は第1電極と接続している。本実施例の細胞電位測定用容器において、第1配線パターン28aと導電ワイヤ29とにより第1配線が構成されている。また、本実施例の細胞電位測定用容器において、第2配線パターン28bが、第2配線であり、第2配線パターン28bの端部の上に第2電極27bが位置して両者が電気的に接合されている。なお、第1配線パターン28a、導電ワイヤ29および第2配線パターン28bは、樹脂部12によって封止されている。本実施例の細胞電位測定用容器において、容器本体プレート11の一方の端部(図1〜図3において上側若しくは右側)の表面には、4個の第2測定用端子13b(COM1,COM2,COM3,COM4)が配置され、容器本体プレート11の他方の端部(図1〜図3において下側若しくは左側)の表面には、4個の第1測定用端子13a(A1,A2,A3,A4)、3個のスイッチング信号入力用端子26(C1,C2,C3)、一組の電力供給用端子25(+、−、GND)が配置されている。また、容器本体プレート11の他方の端部表面において、前記の4種類の端子(13a,26,25)と樹脂部12との間に、4個の電気信号増幅装置16(アンプ)および4個のスイッチング装置17(マルチプレクサ)が配置されている。なお、23は、電気信号増幅装置16若しくはスイッチング装置17を構成する抵抗器である。電気信号増幅装置16、スイッチング装置17および抵抗器23は、封止樹脂24によって封止されている。本実施例の細胞電位測定用容器において、直列状に配置された4個の測定単位と、一つの電気信号増幅装置16と、一つのスイッチング装置17と、一つの第1測定用端子13aと、一つの第2測定用端子13bとで、一つの測定グループが構成されており、本実施例の細胞電位測定用容器は、全部で4個の測定グループを備える。なお、電気信号増幅装置16は、細胞の電圧信号を測定する場合では、電圧信号増幅装置であり、細胞の電流信号を測定する場合では、電流信号増幅装置である。
【0029】
容器本体プレート11(トッププレート11a,ボトムプレート11b)の形成材料は、特に制限されず、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)等の有機系樹脂材料に加え、ガラス、石英、セラミック等の無機系材料が使用可能である。また、容器本体プレート11の大きさは、特に制限されないが、その形状が長方形板状の場合、例えば、縦84〜86mm×横127〜129mm×厚み1〜5mmである。また、トッププレート11aの厚みは、例えば、0.5〜4.5mmであり、ボトムプレート11bの厚みは、例えば、5〜4.5mmである。容器本体プレート11の第2溶液溜め部15および第2溶液用流路20は、トッププレート11aの所定の位置に溝および孔を形成し、トッププレート11aと、ボトムプレート11bを張り合わせることで形成できる。トッププレート11aおよびボトムプレート11bの貼り合わせは、例えば、接着剤を使用することができ、接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコン系接着剤など通常のものが使用できるが、使用中に溶液内へ溶け出し細胞の活性に影響を与えることのないよう配慮が必要である。プレート貼り合わせの別の方法として、トッププレート11aおよびボトムプレート11bが熱可塑型樹脂(例えばポリスチレン)である場合、接着剤を使わずに接着面をレーザや超音波などの手段により溶融させて接合する溶着法によって強固に接合することが可能である。
【0030】
樹脂部12の形成材料は、特に制限されず、トッププレート、ボトムプレートと同様に例えば、PS、PC,PET等が使用できる。また、樹脂部12の大きさは、特に制限されないが、その形状が長方形板状の場合、例えば、縦70〜86mm×横110〜129mm×厚み3〜10mmである。第1溶液溜め部14は、樹脂部の所定位置に孔を設けることで形成できる。樹脂部12は、例えば、トランスファーモールド等の樹脂形成工法により形成できる。
【0031】
本実施例の細胞電位測定用容器において、測定単位は16個であるが、本発明は、これに限定されず、例えば、24〜数百個、好ましくは規格化されているマイクロタイタープレートのウエルの数と同じ数の、24個、96個、384個等にしてもよい。また、第1溶液としては、例えば、NaClを主成分とする生理的塩類溶液で、一般には細胞外液と呼ばれるものを使用するが、測定対象の細胞種によって種種の変更が加えられる。第2溶液としては、例えば、KClを主成分とする生理的塩類溶液で、一般には細胞内液と呼ばれ、細胞外液同様に細胞種によって様々な変更が加えられる。また、第2溶液は、細胞膜に孔を形成する物質を含んでいることが好ましく、このような物質としては、例えば、ナイスタチンが使用できる。
【0032】
本実施例の細胞電位測定用容器の仕切り基板18の一例を、図5の斜視図に示す。同図において、図1〜図4と同一部分には同一符号を付している。図示のように、仕切り基板18は、正方形板状であり、その表面の中心部には、4個×4個の状態で正方形状に整列した16個の貫通孔19が形成されている。そして、貫通孔19を取り囲む状態で、仕切り基板18表面に第1電極27aが形成され、同様に、仕切り基板18裏面に第2電極27bが形成されている。貫通孔19の第1溶液溜め部14側の端部開口部は、図4および図6(A)の断面図に示すように、略半球状であってもよい。このような形状であれば、図6(A)に示すように、細胞39を、しっかりと保持でき、電気的シール状態を密にすることができる。図6において、図1〜図5と同一部分には、同一符号を付している。なお、貫通孔19の形状は、特に制限されず、例えば、図6(B)に示すように、貫通孔19は、軸方向に沿って内径が一定であってもよいし、図6(C)に示すように、貫通孔19の第1溶液溜め部14側の開口部周辺を盛り上げた形状にしてもよい。
【0033】
仕切り基板18の形成材料は、特に制限されず、例えば、シリコン、石英、ガラスなどの無機系材料に加え、PC,PET,ポリイミド(PI),ポリジメチルシロキサン(PDMS)などの有機系樹脂材料も使用できる。仕切り基板18の大きさは、特に制限されないが、その形状が正方形板状の場合、例えば、縦0.3〜3.0mm×横0.3〜3.0mm×厚み0.001〜1.0mmである。貫通孔19の数は、前述の16個に制限されず、例えば、1〜100個、好ましくは2〜50個、より好ましくは3〜10個である。貫通孔の内径は、測定対象の細胞の最大直径よりも小さければ、特に制限されず、例えば、0.5〜10μmである。
【0034】
第1電極および第2電極の形成材料は、特に制限されず、例えば、銀−塩化銀、金、白金である。第1電極および第2電極の厚みは、例えば、0.1〜100μmである。第1電極および第2電極は、前述の材料を用いて、例えば、蒸着、スパッタリング等の通常の薄膜形成手段に加えて、印刷、メッキなどの電極形成手段により形成できる。
【0035】
本実施例の細胞電位測定用容器において、第1電極および第2電極と第1配線および第2配線との接続の一例について、図7の部分断面斜視図および図9の斜視図を用いて説明する。図7および図9において、図1〜図6と同一部分には同一符号を付している。図示のように、本実施例の細胞電位測定用容器では、容器本体プレート11の表面に、第1配線パターン28aおよび第2配線パターン28bが形成されている。図7および図9において、一つの測定グループ毎に、第1配線パターン28aが4本形成され、それぞれの端部が、導電ワイヤ29の一端と接続し、導電ワイヤ29の他端は、第1電極27aと接続しており、第1配線パターン28aおよび導電ワイヤ29で第1配線が構成され、第1配線は、スイッチング装置(図示せず)を介して、一つの第1測定用端子(図示せず)と接続している。一方、図示のように、第2配線パターン28bは、一つの直線状配線パターンから4本の枝配線パターンが分岐しており、各枝配線パターンの端部が、ボンディングパッドに形成されているという構成であり、前記ボンディングパッドの上に第2電極(図示せず)が配置されて両者が接続されている。第2配線パターンが第2配線であり、第2配線は、共通配線構造をとって、第2測定用端子と接続している。つぎに、図7および図9に示す配線パターンと異なる配線パターンを図10の部分断面図斜視図に示す。図示のように、第1配線パターン28aは、容器本体プレート11の長手方向に沿って延びる直線状配線パターンと、直線状配線パターンから分岐した4個の端部から構成されている。そして、第1配線パターン28aの4個の前記端部は、導電ワイヤ29の一端と接続し、導電ワイヤ29の他端は、各第1電極27aと接続しており、第1配線パターン28aと導電ワイヤ29とで本発明の第1配線が構成されている。この配線構造では、第1電極27aと接続する第1配線は、共通配線構造をとって、第2測定用端子と接続している。一方、前記第2配線パターン28bは、ボンディングパッドと、前記ボンディングパッドから容器本体プレート11の長手方向に沿って延びる直線状配線パターンとから構成されている。この配線構造において、第2配線パターン28bが、本発明の第2配線であり、図示していないが第2配線と接続する第2電極27bは、スイッチング装置によって切り替え可能となっており、スイッチング装置を介して、第1測定用端子と接続している。
【0036】
第1配線パターンおよび第2配線パターンの形成材料は、特に制限されず、例えば、プリント回路基板の配線で用いられる銅もしくは銅合金などが使用できる。第1配線パターンおよび第2配線パターンは、前述の材料を用いて、プリント回路基板における公知の配線形成法である、フォトリソグラフィーや印刷などの方法により形成できる。導電ワイヤの形成材料には、例えば、金やアルミ系の金属が使用できる。導電ワイヤは、例えば、半導体パッケージの組立で使用されるワイヤボンディングにより第1配線パターン28aの端部と第1電極27aに接合される。なお、第1配線パターン28aの端部の表面ならびに第1電極27aの表面のワイヤが接合される表面には、例えば、ワイヤとの接合性をよくするためのめっき層(図示省略)が形成されている。
【0037】
本実施例の細胞電位測定用容器における配線構成の一例を、図8の回路図に示す。図8において、図1〜図7と同一部分には同一符号を付している。図示のように、本実施例の細胞電位測定用容器では、第2溶液用流路毎に、4個の測定単位30で一つの測定グループを形成している。そして、一つの測定グループ毎に、一つの第1測定用端子13a、一つの第2測定用端子13b、一つの電気信号増幅装置16および一つのスイッチング装置17が配置されている。各測定グループにおいて、4個の測定単位30における4個の第1電極27aは、一つのスイッチング装置17を介して一つの電気信号増幅装置16に接続され、電気信号増幅装置16は一つの第1測定用端子13a(A1,A2,A3若しくはA4)に接続している。また、4個の測定単位における4個の第2電極27bは、共通配線構造により一つの第2測定用端子13b(COM1,COM2,COM3若しくはCOM4)に接続している。各測定グループにおけるスイッチング装置17は、3個のスイッチング信号入力用端子26(C1,C2およびC3)と接続され、スイッチング信号入力用端子26から入力される信号により、測定対象となるいずれかの測定単位30が選択され、選択された測定単位30の第1電極27aと第1測定用端子13aとを接続する。なお、本発明は、この配線構造に限定されず、図14の回路図に示すように、第1電極27aを、共通配線構造により、一つの第2測定用端子13b(COM1,COM2,COM3若しくはCOM4)に接続し、第2電極27bを、スイッチング装置17および電気信号増幅装置16を介して、一つの第1測定用端子13a(A1,A2,A3若しくはA4)に接続していてもよい。図14において、図1〜図7と同一部分には同一符号を付している。
【0038】
つぎに、本実施例の細胞電位測定用容器と共に用いる細胞電位測定装置の一例を説明する。図11の機能ブロック図に、細胞電位測定装置の構成の一例を示す。図示のように、細胞電位測定装置は、測定装置本体31と、表示部37と、操作・入力部38とから構成される。測定装置本体31は、電気信号測定部32、電力供給部33、スイッチング信号出力部34、記録処理部35および記憶部36を有する。電気信号測定部32は、第1測定用端子(A1,A1,A3およびA4)および第2測定用端子(COM1,COM2,COM3およびCOM4)と接続可能であり、かつ、両電圧測定用端子から入力された信号(電圧若しくは電流)を所定のサンプリング周期でデジタル変換して記録処理部35に送信する。電力供給部33は、電力供給用端子(+、−、GND)と接続可能であり、電気信号増幅装置16に電力を供給する。スイッチング信号出力部34は、スイッチング信号入力用端子26(C1,C2およびC3)と接続可能であり、スイッチング装置17に信号を送信して測定対象となるいずれかの前記測定単位を選択する。また、スイッチング信号出力部34は、選択した測定単位を特定可能な情報を記録処理部35へ出力する。記録処理部35は、スイッチング信号出力部34から送られた情報、すなわち測定単位を特定する情報と電気信号測定部32から送られてくるデジタル変換された信号とを関連付けして記憶部36に記憶する。スイッチング信号の入力等の操作は、操作・入力部38または予め設定した切り替えパターンで自動的に行われる。操作・入力部は、例えば、キーボードやマウス等の通常の操作・入力装置が使用される。また、測定結果は、記憶部36に記憶される他、表示部37において表示される。表示部37は、例えば、通常用いられるディスプレィが使用される。
【0039】
細胞電位測定装置は、細胞電位測定用容器の各端子と接続するための接続用プローブを備えている。次にこのプローブの構造について図12の斜視図を参照して説明する。図12において、図1〜11と同一部分には同一符号を付している。図示のように、細胞電位測定装置は、プローブヘッド本体40と、第1プローブ保持部42と、第2プローブ保持部41とを備える。第1プローブ保持部42は、第1測定用端子13aと接続するためのプローブ43と、電力供給用端子25と接続するためのプローブ45と、スイッチング信号入力用端子26と接続するためのプローブ44とを備え、第2プローブ保持部41は、第2測定用端子と接続するためのプローブ46を備える。プローブヘッド本体40は、図示しない昇降機構により昇降動作を行う。従って、測定台47の上に細胞電位測定用容器を載せた状態で、昇降機構を作動させてプローブヘッド本体40を上から下降させることにより、各プローブ(43、44、45、46)を、細胞電位測定用容器の各端子(13a,13b,25,26)に接続する。
【0040】
つぎに、本実施例の細胞電位測定用容器を用いた細胞電位の測定方法の一例について説明する。まず、測定対象の細胞を準備し、これを第1溶液に分散させる。細胞が分散した第1溶液を、第1溶液溜め部14に注入し、細胞を、貫通孔19の一端開口部(第1溶液溜め部14側の開口部)に保持する。この細胞の保持は、細胞を、貫通孔19、第2溶液溜め部15、第2溶液用流路20および第2溶液導入口21a(若しくは第2溶液排出口21b)を通じて、吸引ポンプ(図示せず)で吸引することにより実施できる。この際、電気的シールが密になるように細胞を保持する。一方、第2溶液導入口21aから、第2溶液を第2溶液用流路20に導入し、さらに第2溶液溜め部15にも導入する。この時、三角状の突起部22により、第2溶液は、貫通孔19に向かって流れる。そして、測定対象の細胞が、貫通孔19の開口部に保持された状態で、細胞電位を測定する。細胞電位の測定は、別途準備した細胞電位測定装置を本実施例の細胞電位測定用容器に接続して実施する。
【0041】
以上の手順により、細胞電位の測定準備が完了したら、以下のようにして細胞の電位を測定する。まず、細胞電位測定容器を細胞電位測定装置の測定台47上に載せ、プローブヘッド本体40を下降させてプローブ43,44,45,46を第1測定用端子13a,スイッチング信号入力用端子26,電力供給用端子25,第2測定用端子13bにそれぞれ接触させる。これにより、細胞電位測定装置と細胞電位測定容器が回路的に一体となるとなり、電力供給部33からの電力により電気信号増幅装置16とスイッチング装置17が作動可能な状態になる。
次に、細胞電位測定装置のスイッチング信号出力部34からスイッチング装置17にスイッチング信号を送信する。すると、スイッチング装置17はスイッチング信号によって指示された測定単位を選択してこの測定単位の第1電極27aと第1測定用端子とを接続する。そして、選択された測定単位の第1電極および第2電極で検知された電気信号は、電気信号増幅装置により増幅されて測定装置の電気信号測定部32で計測される。電気信号測定部32で計測された電気信号は所定のサンプリング周期でデジタル変換され、記録処理部35を介して記憶部36に送信されて記録される。このようにして、スイッチング装置により測定対象の測定単位を次々に切り替えて細胞電位を測定する。測定対象の測定単位の切り替えは、キーボード等の操作・入力部38を通じて手動で行ってもよいし、予め設定した切り替え順序(切り替えパターン)を記憶部36に記憶させておき、これに基づき、自動的に実施してもよい。
【0042】
測定装置と本実施例の細胞電位測定用容器との接続方法として、前述の接続用プローブを使用する方法の他に、図13に示すようにコネクタを使用する方法がある。図13において、図1〜図12と同一部分には同一符号を付している。すなわち、本実施例の細胞電位測定用容器において、容器本体プレート11の一端の表面に、コネクタ端子49を設け、コネクタ端子49内に、第1測定用端子、第2測定用端子、電力供給用端子およびスイッチング信号入力用端子を配置する。一方、細胞電位測定装置(図示せず)と、コネクタ端子48とを配線で接続する。そして、両コネクタ端子48,49を接続させることで、細胞電位測定装置と本実施例の細胞電位測定用容器とが接続される。
【0043】
本発明において、自然な状態の細胞の電位を測定する他、化学物質、医薬品候補物質の存在下で細胞の電位を測定してもよく、この他、光、熱、電磁波、圧力、機械的力の存在下で細胞の電位を測定してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明の細胞電位測定用容器では、前記スイッチング装置を有するため、配線を少なくし、かつ短くし、さらに配線構造を単純化することができるため、ノイズを抑制することが可能であり、例えば、高速スクリーニングのために測定対象の細胞数が多くなった場合であっても、従来よりもさらに高精度の細胞電位の測定が可能となる。したがって、本発明の細胞電位測定用容器は、細胞電位を測定する全ての分野に有用であり、例えば、細胞電気生理学の研究や医薬品の開発に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】図1は、本発明の一実施例の細胞電位測定用容器の斜視図である。
【図2】図2は、前記実施例の細胞電位測定用容器の平面図である。
【図3】図3は、図1のA−A方向に見た前記実施例の細胞電位測定用容器の断面図である。
【図4】図4は、図3の断面図の一部拡大断面図である。
【図5】図5は、前記実施例の細胞電位測定用容器の基板の斜視図である。
【図6】図6(A),(B)および(C)は、前記実施例の細胞電位測定用容器の前記基板の貫通孔を示す断面図である。
【図7】図7は、前記実施例の細胞電位測定用容器の配線構造を示す一部断面斜視図である。
【図8】図8は、前記実施例の細胞電位測定用容器の配線回路を示す回路図である。
【図9】図9は、前記実施例の細胞電位測定用容器の配線構造を示す一部斜視図である。
【図10】図10は、前記実施例のその他の配線構造を示す一部断面斜視図である。
【図11】図11は、細胞電位測定装置の一例の構成を示す機能ブロック図である。
【図12】図12は、前記実施例の細胞電位測定用容器と前記細胞電位測定装置との接続状態の一例を示す斜視図である。
【図13】図13は、前記実施例の細胞電位測定用容器と前記細胞電位測定装置との接続状態のその他の例を示す斜視図である。
【図14】図14は、前記実施例のその他の配線構造を示す回路図である。
【符号の説明】
【0046】
11 容器本体プレート
11a トッププレート
11b ボトムプレート
12 樹脂部
13a 第1測定用端子
13b 第2測定用端子
14 第1溶液溜め部
15 第2溶液溜め部
16 電気信号増幅装置
17 スイッチング装置
18 仕切り基板
19 貫通孔
20 第2溶液用流路
21a 第2溶液導入口
21b 第2溶液排出口
22 突起部
23 抵抗器
24 封止樹脂
25 電力供給用端子
26 スイッチング信号入力用端子
27a 第1電極
27b 第2電極
28a 第1配線パターン
28b 第2配線パターン
29 導電ワイヤ
30 測定単位
31 細胞電位測定装置本体
32 電気信号測定部
33 電力供給部
34 スイッチング信号出力部
35 記録処理部
36 記憶部
37 操作・入力部
38 表示部
39 細胞
40 プローブヘッド本体
41 第2プローブ保持部
42 第1プローブ保持部
43、44、45、46 プローブ
47 測定台
48,49 コネクタ端子




 

 


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