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発明の名称 レンズ装置の調整方法およびレンズ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3842(P2007−3842A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184178(P2005−184178)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100113859
【弁理士】
【氏名又は名称】板垣 孝夫
発明者 福島 慎治
要約 課題
画像を確認しながらレンズの軸ずれや画像の片ぼけなどの悪影響がなくなるようにレンズの位置を良好に位置調整できるともに、良好な位置調整状態を維持したままで位置固定することができ、しかも、部品点数も少なくて済み、かつ組立による加工費も少なくて済み、さらに、調整するための機構によりレンズ装置が大型化することを防止できるレンズ装置の調整方法を提供する。

解決手段
第2の固定レンズ群3をレンズ鏡筒1に対して固定して配設し、変倍用のレンズ群5と焦点調節用のレンズ群7とを光軸方向に移動可能に支持させるガイドポール8を第1の固定レンズ群2の光軸に対して傾倒自在な姿勢で支持させ、ガイドポール8を傾けて変倍用のレンズ群5や焦点調節用のレンズ群7も傾ける。この方法により、レンズ装置の光軸位置をレンズ装置の外部から容易に調整できる。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数のレンズ群として、第1の固定レンズ群と変倍用のレンズ群と第2の固定レンズ群と焦点調節用のレンズ群とが設けられ、ガイドポールによって前記変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群が光軸方向に移動可能に支持されるレンズ装置においてこのレンズ装置の光軸位置を調整するレンズ装置の調整方法であって、解像度に与える影響の最も大きい特定レンズもしくはレンズ群を固定して配設し、前記特定レンズもしくはレンズ群以外の少なくとも一部のレンズ群を保持する保持枠にガイドポールを係合させ、前記ガイドポールを前記特定レンズもしくはレンズ群に対して傾倒自在な姿勢で支持させ、前記ガイドポールを傾けてこのガイドポールに係合する保持枠で保持されたレンズ群も傾けることで、レンズ装置の光軸位置を調整することを特徴とするレンズ装置の調整方法。
【請求項2】
特定レンズとしての第2の固定レンズ群をレンズ鏡筒に対して固定して配設し、ガイドポールにより変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群を光軸方向に移動可能に支持させるとともに、このガイドポールを、前記レンズ鏡筒における第1の固定レンズ群の保持部分またはその近傍箇所から、前記第1の固定レンズ群に対する傾きを変倍用のレンズ群と焦点調節用のレンズ群で決定される光軸の傾きとして調整可能な状態で立設させ、ガイドポールを傾けてこのガイドポールにより支持された変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群も傾斜させることで、レンズ装置の光軸位置を調整することを特徴とする請求項1記載のレンズ装置の調整方法。
【請求項3】
ガイドポールの後端部を、撮像素子を固定した撮像素子固定枠に係合させ、レンズ鏡筒の後面部と前記撮像素子固定枠とを、第2の固定レンズ群の光軸に対して垂直となる摺接面で摺接して位置調整可能に配置し、レンズ鏡筒の後面部に対する撮像素子固定枠の相対位置を調整してガイドポールを傾けることで、レンズ装置の光軸を調整し、解像度が良好な状態となった姿勢で、撮像素子固定枠に外部に露出可能な状態で取り付けた固定用部材によりレンズ鏡筒に対する撮像素子固定枠およびガイドポールの位置を固定することを特徴とする請求項2記載のレンズ装置の調整方法。
【請求項4】
複数のレンズ群として、第1の固定レンズ群と変倍用のレンズ群と第2の固定レンズ群と焦点調節用のレンズ群とが設けられ、ガイドポールによって前記変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群が光軸方向に移動可能に支持されるレンズ装置において、少なくとも第2の固定レンズ群をレンズ鏡筒に対して固定して配設し、変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群を保持する保持枠を前記レンズ鏡筒に対する相対位置を変更可能に配設し、前記ガイドポールの前端部を、前記レンズ鏡筒における第1の固定レンズ群の保持部分またはその近傍箇所から傾斜可能な姿勢で立設させ、前記保持枠に前記ガイドポールを係合させて、前記ガイドポールに伴って前記保持枠が移動するように配設し、前記ガイドポールの後端部を係合させた固定枠を、前期レンズ鏡筒に対して、光軸に対して略直交する方向に移動可能に配設し、前記固定枠に、前記レンズ鏡筒またはレンズ鏡筒に固定された部材に対して固定枠を位置固定される固定用部材を外部に露出可能に取り付けたことを特徴とするレンズ装置。
【請求項5】
固定枠は、撮像素子を固定した撮像素子固定枠であることを特徴とする請求項4に記載のレンズ装置。
【請求項6】
ガイドポールの後端部側をレンズ鏡筒の後面部に設けた貫通孔で概略的に支持可能に構成し、前記ガイドポールと前記レンズ鏡筒に設けた挿通孔との隙間を20μmから50μmとしたことを特徴とする請求項4〜5の何れか1項に記載のレンズ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ズームレンズ装置等のレンズ装置およびその光学的位置の調整方法、より具体的には調芯に関するレンズ装置の解像度調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ズームレンズ装置等のレンズ装置においては、部品精度および組立精度に起因してレンズの偏芯を生じることがある。この場合にはその光学性能を最適の状態に確保することは困難であり、画像に片ぼけが生ずることがあった。したがって、このようなレンズの偏芯に起因する悪影響を除去することが必要であり、特に、近年のレンズ装置の高倍率化や小型化に伴い、ますます、レンズの偏芯による悪影響を如何にして除去するかが重要な課題となってきた。
【0003】
この課題に対して、レンズの偏芯を除去する特別の機構を設けることが考えられる。しかし、レンズの偏芯の要素としては、単なる軸ずれのみならず、レンズの倒れもあるため、これらをすべて除去する機構は高度で複雑なものとなり、製造過程でレンズ装置にゴミが混入したり、レンズを傷付けたりする場合が多くなるという欠点も生じる。
【0004】
このような課題や欠点を改善する従来の手法として、特定のレンズもしくはレンズ群を、これらを保持する枠体などに対して偏芯した状態で保持させ、前記レンズもしくはレンズ群を、光軸を中心として回転させてその取付位置や取付姿勢を調整することで、レンズの偏芯による画像劣化、片ぼけの抑制を図る構造が提案されている。
【0005】
しかしながら、このように固定レンズもしくは固定レンズ群を回転させることにより調整する方法では、レンズの倒れに対してはある程度の効果があるが、レンズの軸ずれに対しては効果が認められず、画像に片ぼけが残ってしまう場合が多い。
【0006】
この問題を改善する手法として、レンズ鏡筒に対して移動自在なレンズ保持枠を別途用意し、このレンズ保持枠を固定ねじで仮固定した状態で、前記レンズ保持枠の位置を調整する機構を設け、前記レンズ鏡筒に対して前記レンズ保持枠を摺動させることで、レンズ若しくはレンズ群を光軸に対して直交する平面に沿って位置調整可能に構成したものが例えば、特許文献1等に開示されている。
【0007】
この特許文献1に開示されたレンズ装置は、図4、図5に示すように、第1の固定レンズ群51や変倍用のレンズ群52よりも後方(固定撮像素子50寄り)に配置される第2の固定レンズ群53を、図6に示すようなレンズ保持枠54によって保持し、このレンズ保持枠54に形成された外向きフランジ部54aを、レンズ鏡筒55に形成されたフランジ部56に対して固定ねじ57によりその固定位置を位置調整可能な状態で取り付けている。なお、外向きフランジ部54cとフランジ部56との摺接面は、光軸Pに対して垂直となるように設定されている。
【0008】
図6〜図8に示すように、レンズ保持枠54には貫通孔54aとこれにつながるスリット54bとが形成され、貫通孔54aが設けられている箇所が、レンズ鏡筒55のフランジ部56に形成されたガイドポール58に遊嵌されている。また、前記スリット54bが設けられている箇所がレンズ鏡筒55のフランジ部56に形成されたボス59に係合された状態で、レンズ保持枠54をA方向(突出部54cを中心として回動する方向)、並びにB方向(突出部54c並びにボス59に沿う直線方向)に位置調整可能である。
【0009】
また、レンズ保持枠54の一部はレンズ鏡筒55から外部に突出する突出部54dを有しており、固定ねじ57を緩めた状態で、前記突出部54dに位置調整装置50を係合させて移動させることで、第2の固定レンズ群53の位置を調整できるよう構成されている。なお、第2の固定レンズ群53を良好な位置に調整した後は、レンズ鏡筒55における第1の固定レンズ群51や変倍用のレンズ群52を保持した部分を取り外して、固定ねじ57を締め付けて固定する。
【0010】
また、図4、図5における60は、各固定ねじ57に介装されたばねワッシャ、61は、焦点調節用のレンズ群、62は、ファインダー系に光を分けて送るビームスプリッタである。
【特許文献1】特開平6−174991号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記したように、固定レンズもしくは固定レンズ群を回転させることにより調整する従来の光学調整方法では、レンズの倒れに対してはある程度の効果があるが、レンズの軸ずれに対しては効果が認められず、画像に片ぼけが残ってしまうという問題を有していた。
【0012】
この問題を改善する手法として、上記特許文献1に記載された構造によれば、レンズの軸ずれに対する偏芯状態を除去できる効果を有する。しかしながら、特許文献1に記載された構造では以下のような課題がある。
【0013】
まず、調整を行うために必要となる部品(レンズ保持枠54、レンズ鏡筒55のフランジ部56、位置調整装置50)が多数あるとともに、その部品の形成や、組立による加工費がかかるなどの要因で、高価なレンズ装置となる。また、調整するための構造物(レンズ保持枠54、レンズ鏡筒55のフランジ部56、固定ねじ57、ばねワッシャ60など)をレンズ鏡筒55の内部に配設した構造であるので、レンズ鏡筒55を含めた構造全体のサイズアップがあり、小型化に対する障害となる。さらに、位置調整後に本固定する固定ねじ57などの配設部位がレンズ鏡筒55の内側であることから、位置調整を行う際は位置調整装置50を外側から操作して位置を変更できるものの、固定ねじ57を緩めたり、締め付けたりする際には、レンズ保持枠54を取り付けているレンズ鏡筒部55Bから、第1の固定レンズ群51や変倍用のレンズ群52並びにこれらの箇所を組みつけているレンズ鏡筒部55Aを取り外さなければならず、結局、固定ねじ57を固定して最終的な位置決めを行う際には、画像を確認しながらの位置調整ができないという課題がある。この課題を解決するために、前記固定ねじ57をレンズ鏡筒55の外側に配置する等の対応策を用いることも構造上困難である。
【0014】
本発明は上記課題を解決するもので、画像を確認しながらレンズの軸ずれや画像の片ぼけなどの悪影響がなくなるようにレンズの位置を良好に位置調整できるとともに、良好な位置調整状態を維持したままで位置固定することができ、しかも、部品点数も少なくて済み、かつ組立による加工費も少なくて済み、さらに、調整するための機構によりレンズ装置が大型化することを防止できるレンズ装置の調整方法およびレンズ装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、本発明のレンズ装置の調整方法は、複数のレンズ群として、第1の固定レンズ群と変倍用のレンズ群と第2の固定レンズ群と焦点調節用のレンズ群とが設けられ、ガイドポールによって前記変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群が光軸方向に移動可能に支持されるレンズ装置においてこのレンズ装置の光軸位置を調整するレンズ装置の調整方法であって、解像度に与える影響の最も大きい特定レンズもしくはレンズ群を固定して配設し、前記特定レンズもしくはレンズ群以外の少なくとも一部のレンズ群を保持する保持枠にガイドポールを係合させ、前記ガイドポールを前記特定レンズもしくはレンズ群に対して傾倒自在な姿勢で支持させ、前記ガイドポールを傾けてこのガイドポールに係合する保持枠で保持されたレンズ群も傾けることで、レンズ装置の光軸位置を調整することを特徴とする。
【0016】
この方法により、ガイドポールを傾けることで、ガイドポールに伴って、ガイドポールに係合する保持枠で保持されたレンズ部が傾けられ、レンズ装置の光軸位置を調整することができる。また、ガイドポールをレンズ鏡筒などから外部に突出させて固定することで、内部に調整用の部品を追加しなくても済むので、部品点数の増加を最小限に抑えることができるとともに、調整するための機構によりレンズ装置が大型化することがなく、さらに、ガイドポールを利用して直接外部から調整できるので、画像を確認しながらレンズ装置の軸ずれや画像の片ぼけなどの悪影響がなくなるようにレンズの位置を良好に位置調整できる。
【0017】
また、本発明のレンズ装置の調整方法は、特定レンズとしての第2の固定レンズ群をレンズ鏡筒に対して固定して配設し、ガイドポールにより変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群を光軸方向に移動可能に支持させるとともに、このガイドポールを、前記レンズ鏡筒における第1の固定レンズ群の保持部分またはその近傍箇所から、前記第1の固定レンズ群に対する傾きを変倍用のレンズ群と焦点調節用のレンズ群で決定される光軸の傾きとして調整可能な状態で立設させ、ガイドポールを傾けてこのガイドポールにより支持された変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群も傾斜させることで、レンズ装置の光軸位置を調整することを特徴とする。
【0018】
この調整方法により、ガイドポールを傾けることで、ガイドポールに伴って変倍用のレンズ群と焦点調節用のレンズ群が傾けられ、レンズ装置の光軸位置を調整することができる。
【0019】
また、本発明のレンズ装置の調整方法は、ガイドポールの後端部を、撮像素子を固定した撮像素子固定枠に係合させ、レンズ鏡筒の後面部と前記撮像素子固定枠とを、第2の固定レンズ群の光軸に対して垂直となる摺接面で摺接して位置調整可能に配置し、レンズ鏡筒の後面部に対する撮像素子固定枠の相対位置を調整してガイドポールを傾けることで、レンズ装置の光軸を調整し、解像度が良好な状態となった姿勢で、撮像素子固定枠に外部に露出可能な状態で取り付けた固定用部材によりレンズ鏡筒に対する撮像素子固定枠およびガイドポールの位置を固定することを特徴とする。
【0020】
また、本発明のレンズ装置は、複数のレンズ群として、第1の固定レンズ群と変倍用のレンズ群と第2の固定レンズ群と焦点調節用のレンズ群とが設けられ、ガイドポールによって前記変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群が光軸方向に移動可能に支持されるレンズ装置において、少なくとも第2の固定レンズ群をレンズ鏡筒に対して固定して配設し、変倍用のレンズ群および焦点調節用のレンズ群を保持する保持枠を前記レンズ鏡筒に対する相対位置を変更可能に配設し、前記ガイドポールの前端部を、前記レンズ鏡筒における第1の固定レンズ群の保持部分またはその近傍箇所から傾斜可能な姿勢で立設させ、前記保持枠に前記ガイドポールを係合させて、前記ガイドポールに伴って前記保持枠が移動するように配設し、前記ガイドポールの後端部を係合させた固定枠を、前期レンズ鏡筒に対して、光軸に対して略直交する方向に移動可能に配設し、前記固定枠に、前記レンズ鏡筒またはレンズ鏡筒に固定された部材に対して固定枠を位置固定される固定用部材を外部に露出可能に取り付けたことを特徴とする。ここで、固定枠は、撮像素子を固定した撮像素子固定枠であると好適である。
【0021】
これらのレンズ装置の調整方法およびレンズ装置において、固定用部材を緩めた、または取り付けていない状態で、レンズ鏡筒に対して撮像素子固定枠などの固定枠をスライドさせることにより、固定枠とガイドポールとの位置が同様に調整されるとともに特定レンズ以外の少なくとも一部のレンズ部(変倍用のレンズ群と焦点調節用のレンズ群)との光軸の傾きも調整され、レンズの位置および撮像素子の位置を良好に位置調整できるとともに位置調整した状態で良好かつ容易に位置固定することが可能となり、しかも、内部に調整用の部品を追加しなくても済むので、調整するための機構によりレンズ装置が大型化することがない。また、固定枠として撮像素子を固定した撮像素子固定枠を用いて、撮像素子の出力を外部に取り出すことで、画像を確認しながらレンズの軸ずれや画像の片ぼけなどの悪影響がなくなるようにレンズの位置を良好に位置調整できるとともに、固定用ねじなどの固定用部材が外部に露出可能に取り付けられているので、位置調整したそのままの姿勢を維持した状態で容易に位置固定することができる。
【発明の効果】
【0022】
以上のように本発明によれば、複数のレンズ群の中で解像度に与える影響の最も大きい特定レンズもしくはレンズ群を固定して配設し、前記特定レンズ以外の少なくとも一部のレンズ群を保持する保持枠に係合してレンズ装置の光軸を決定するガイドポールを前記特定レンズに対して傾倒自在な姿勢で支持させ、前記ガイドポールを傾けてこのガイドポールに係合する保持枠で保持されたレンズ群も傾けることで、レンズ装置の光軸位置を調整することにより、ガイドポールを傾けながら、レンズ装置の光軸位置を調整することができ、ガイドポールをレンズ鏡筒などから外部に突出させて固定することで、内部に調整用の部品を追加しなくても済むので、部品点数の増加を最小限に抑えることができて低コスト化を図ることができるとともに、調整するための機構によりレンズ装置が大型化することがなくて小型化でき、さらに、ガイドポールを利用してレンズ鏡筒の外部から直接調整でき、画像を確認しながらレンズ装置の軸ずれや画像の片ぼけなどの悪影響がなくなるようにレンズ群の位置を良好に位置調整することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、本発明の実施の形態に係るレンズ装置およびその調整方法を図面とともに詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るレンズ装置の、その光軸に沿って切断した平面断面図であり、図2は同レンズ装置の撮像素子側から矢視した右側面図である。このレンズ装置は、例えばビデオカメラ、電子スチルカメラなどに用いられる。
図1に示すように、レンズ装置は、略筒形状のレンズ鏡筒1と、レンズ鏡筒1における前端部に嵌め込まれて固定された第1の固定レンズ群2と、レンズ鏡筒1内における後方寄りの位置で固定支持枠11を介してレンズ鏡筒1に固定された位置に配設された第2の固定レンズ群3(この実施の形態では、第2の固定レンズ群3が1枚のレンズである場合を図示しているが、これに限らず、第2の固定レンズ群3が複数枚のレンズから構成されている場合でも適用可能である)と、第1保持枠4により保持されて光軸Pに沿って移動可能とされた変倍用のレンズ群5と、第2保持枠6により保持されて光軸Pに沿って移動可能とされた焦点調節用のレンズ群7と、レンズ鏡筒1内における筒状部分の内周位置において、光軸Pと同じ方向に配設されている複数本(この実施の形態では2本)のガイドポール8と、レンズ鏡筒1の後面部1cに摺接した状態でその後方に配設されているとともにCCD等の撮像素子9を固定状態で保持した固定枠としての撮像素子固定枠10とを備えており、レンズ鏡筒1内に、前方から、第1の固定レンズ群2、変倍用のレンズ群5、第2の固定レンズ群3、焦点調節用のレンズ群7の順で配置されて収容されている。なお、この実施の形態においては、レンズ鏡筒1は第1の固定レンズ群2を固定している前鏡筒1aと、第2の固定レンズ群3の固定枠11を固定した(図示せず)主鏡筒1bとからなり、互いに固定されて一体化されている場合を示しているが、これに限るものではなく、さらに多くの分割鏡筒部から構成して一体化してもよく、互いの位置が固定されていればよい。つまり、レンズ鏡筒1は、その構成上の制約や成型上の自由度を得るためなどの理由から、複数個に分割し、固定ねじ等で固定される場合もある。また、図1においては示していないが、このレンズ装置には絞り部(アイリス部)も設けられている。
【0024】
また、変倍用のレンズ群5を保持する第1保持枠4と、焦点調節用のレンズ群7を保持する第2保持枠6とは、ガイドポール8により案内されて、光軸方向に移動自在に支持されている。
【0025】
また、前記光軸Pは、第1の固定レンズ群2、変倍用のレンズ群5、第2の固定レンズ群3、焦点調節用のレンズ群7を結ぶ直線で形成され、構成する各部品の精度および組立精度に問題が無ければ、厳密な意味での各レンズの光軸が一本の直線上に配置される。
【0026】
また、撮像素子9を固定した撮像素子固定枠10は、固定用部材としての固定ねじ12によりレンズ鏡筒1の後面部1cに固定されており、撮像素子固定枠10には固定ねじ12を挿通させる挿通孔15が形成され、固定ねじ12がねじ込まれるレンズ鏡筒1の後面部1cにはねじ孔16が形成されている。
【0027】
また、レンズ鏡筒1の後面部1cと撮像素子固定枠10との双方には互いに対応する位置に、基準となる位置決めを行うための位置決め孔17、18が形成されており、これらの位置決め孔17、18に跨って治具ピン(図示せず)等を貫通させることができるよう構成されている。そして、位置調整を行わなくても、片ぼけ等が一切ない理想的な状態を想定し、これらの位置決め孔17、18に跨って治具ピンを挿入させた状態で、片ぼけ等が無い場合には、この状態で固定ねじ12を締め付けることによって、レンズ鏡筒1と撮像素子固定枠10ならびにガイドポール8の相対位置を精度よく固定することが可能である。なお、固定後は、治具ピンが引き抜かれる。
【0028】
ここで特に、各ガイドポール8の前端部は、レンズ鏡筒1における第1の固定レンズ群2の保持部分に嵌め込まれており、第1の固定レンズ群2に対する傾き(詳しくは、前方レンズ部2のみにおける光軸に対する傾き)を調整可能な状態で立設されている。そして、ガイドポール8の後端部は、レンズ鏡筒1の後面部1cに設けられた貫通孔19を通して、撮像素子固定枠10に設けられた取付孔13に挿入されて支持されており、撮像素子固定枠10が固定ねじ12で固定されていない状態では、撮像素子固定枠10の位置を移動させることでガイドポール8を傾倒自在に調整可能な構造とされている。なお、レンズ鏡筒1の後面部1cと撮像素子固定枠10との摺接面(摺接支持面と称す)14は、光軸Pに対して略直交する方向に沿うように形成され、撮像素子固定枠10はこの摺接支持面14に沿って移動可能に配設されている。
【0029】
また、レンズ鏡筒1の後面部1cにおいてガイドポール8の後端部を通すために設けられた貫通孔19により、ガイドポール8の後方側部分を概略的に支持できるように構成されているが、この貫通孔19は、貫通孔19の内壁面が、ガイドポール8の外周面との間に20μmから50μmの範囲内の隙間Lが空くような大きさで形成されている。すなわち、ガイドポール8に対してレンズ鏡筒1の後面部1cの相対位置を前記隙間L分だけ調整できるようになっている。また、この箇所で位置調整できるように、撮像素子固定枠10における固定ねじ12を挿通させる挿通孔15においても、少なくとも前記隙間(20μmから50μm)で位置調整できるように、挿通孔15が大きめに形成されている。
【0030】
以上の構造により、第1の固定レンズ群2、撮像素子9、およびガイドポール8により支持された変倍用のレンズ群5および焦点調節用のレンズ群7が一体となり、光軸Pが構成されることとなる。これに対し、レンズ鏡筒1に固定された第2の固定レンズ群3は、後述する光軸Pの調整によって、各部品(第1の固定レンズ群2、撮像素子9、およびガイドポール8により支持された変倍用のレンズ群5および焦点調節用のレンズ群7)の動きとは別で固定される。つまり、固定ねじ12を緩めた状態においては、撮像素子固定枠10の位置をずらして、光軸Pを傾けることによる結果として、実質的には、光軸Pに対する第2の固定レンズ群3の相対位置を調整できる。
【0031】
上記構成において、撮像素子9が固定された撮像素子固定枠10をレンズ鏡筒1に組付ける際には、レンズ鏡筒1の後面部1cに設けられた位置決め孔17と、撮像素子固定枠10に設けられた位置決め孔18とに跨って治具ピンを一時的に挿入し、この状態で、固定ねじ12をねじ込んで撮像素子固定枠10を固定し、固定後は治具ピンを外す。そして、通常の組立工程においては、上記の工程によってレンズ装置が完成され、通常の映像検査等で解像度に問題がなければそのまま出荷される。
【0032】
しかし、組立精度や部品精度のばらつきにより、映像検査で解像度の問題が検出された場合には、レンズ装置の光軸Pに対する調芯が不良であるとみなして、以下の調芯に関する調整方法を行う。
【0033】
まず、調整すべきレンズ装置を調整台(図示しない)に固定すると共に、レンズ装置により撮影される画像を観察するために、撮像素子9に画像処理回路を介してモニター(図示しない)を接続する。この後、固定ねじ12を僅かに緩め、撮像素子固定枠10の固定を解除する。この時、撮像素子固定枠10は、レンズ鏡筒1の撮像素子固定枠10を取り付けるレンズ鏡筒1の後面部1cの摺接支持面14に適切な力で押し付けられており、レンズ装置の光軸Pに対して直角な方向にのみ移動可能である。また、この実施の形態においては、撮像素子固定枠10の移動範囲は、レンズ鏡筒1に設けられた貫通孔19とガイドポール8との間の隙間Lにより定まる範囲内である。この隙間Lを適切に設定することによって、ガイドポール8の傾きが大きくなり過ぎ、調整作業性に問題が生じることを予防可能となる。本実施の形態では、前記隙間Lは20μmから50μmに設定される。このことは、光軸Pおよび第2の固定レンズ群3の位置を調整して決定できながら、レンズ鏡筒1内に、調整するための部品を別途に設けていないため、部品の点数を少なくでき、またその結果として、撮像素子固定枠10を大きく移動させる必要が無いことによる。こうして、前記撮像素子固定枠10の移動量を制限すると、調整し過ぎることによる画像乱れを防ぐことができ、調整作業に不慣れな人でも比較的簡単に調整作業を行うことを可能にする。
【0034】
また、調整するために固定を解除する固定ねじ12が、レンズ装置の完全な外側に配置されていることから、調整前の固定ねじ12を緩める作業や調整後の固定を簡単に行うことができ、加工費を抑えることができる。同様に、調整後の固定が不完全であることに起因して、調整後に、特に製品出荷後の固定ねじ12の緩みや製品取扱いでの衝撃等で調整位置がずれることによる、レンズ装置の解像性能が悪くなるという不具合も簡単に防ぐことができる。実際に固定ねじ12を緩めて位置調整するにあたっては、緩み具合で移動量が左右され、移動させ過ぎたり、逆に思ったほど移動させられないといったこととなり、固定ねじ12を何度も緩めたり締めたりする場合が多い。このことを考えると、固定ねじ12が外部から簡単に操作できる意味は大きい。また、調整後に、固定後の緩みや撮像素子固定枠10の位置ずれを防ぐために、接着剤等で固定する場合においても、重要な意味を持つことになる。
【0035】
また、同様の構造を持つズームレンズ装置においては、特にズーム倍率が高くなると、光軸Pに対する撮像素子9の位置がずれることによって、光軸ずれと呼ばれる不具合が発生する。光軸Pに対して撮像素子9の位置がずれる要因のひとつに、光軸Pに対する解像度に与える影響の最も大きい特定のレンズもしくはレンズ群の位置ずれがある。勿論、他のレンズもしくはレンズ群も同様に光軸ずれの要因となり得るが、解像度と同様に与える影響の最も大きいレンズもしくはレンズ群であり、このことは解像度と光軸ずれとも同じである。しかし、光軸に対して解像度に与える影響の最も大きい特定のレンズもしくはレンズ群の位置を調整することが通常困難であることから、従来例においては、撮像素子9の位置を調整する方法などで対応する場合が多い。
【0036】
これに対し、本発明は、従来行っている光軸ずれ対策のための光軸に対する撮像素子9の位置調整作業によって、光軸ずれだけでなく解像度も同時に改善することも可能としている。
【0037】
一方、従来の調整方法の技術においては、解像度が改善できるように、光軸に対する解像度に与える影響の最も大きい特定のレンズもしくはレンズ群の位置を調整した場合においても、光軸ずれが解消されなかったり、解像度に合せて調整することによって逆に光軸ずれが発生してしまったりすることによって撮像素子の位置調整が別途要となるケースも生じる。このことは、光軸ずれの方がその要因となる要素が多いこともあるが、作用点までの距離の関係で、撮像素子の調整量に対して解像度に与える影響の最も大きい特定のレンズもしくはレンズ群の調整量が小さくなることから、調整量に対する影響度が違うことによる。つまり、解像度を確認しながら解像度に与える影響の最も大きい特定のレンズもしくはレンズ群の位置を移動させた場合、撮像素子を移動させた場合と比べると微妙な調整が要求されることから、解像度はOKと判断されるが最適値からはずれる可能性が高くなり、結果として光軸に対する撮像素子の位置が最適値からずれる量が大きくなることによる。
【0038】
ここで、図3はあるレンズ装置の解像特性を示すグラフであり、縦軸は解像度、横軸は光軸上の位置である。また、横軸の点0は当該レンズ装置の焦点面の位置、即ち、電子スチルカメラにあってはCCD等の固体撮像素子、通常のカメラにあってはフィルムが配置される位置を示している。また、実線で示す曲線は光軸中心における解像度の曲線であり、点線の曲線は、光軸から離れた画面周辺部の点におけるタンジェンシャル成分の解像度の曲線である。ここで、図3(a)は偏心が全くないレンズ装置の解像特性を示しており、この図から、光軸中心を通る画像のピントは焦点面で合い、画面周辺部での画像のピントはアンダー側、即ちいわゆる前ピン状態となっていることが分かる。また、この図3(a)の例においては、光軸を中心として互いに点対称となる画面周辺部の2点について解像特性を採取してあるが、偏心が全くないレンズ装置の場合、その解像特性は完全に一致し、図では1本の曲線のように描かれる。図3(b)は、1枚のレンズに倒れが生じているレンズ装置の解像特性を示している。この場合、全体的な解像度の低下が認められる。また、図3(b)の点線から理解できるように、光軸に対して点対称となる画面周辺部の2点についての解像度にはずれが生じている。このずれが、焦点面の位置におけるピントの状態の違いとなって現れ、これが画像の片ぼけとなって現れる。
【0039】
解像度は、図3(a),(b)に示すように、結果として光軸に対する撮像素子の位置が最適値からずれる量が大きくなることによる。また解像度は、図3に示すような解像特性を計測したデータと調整後の解像特性の計測結果およびそれが所定の解像特性となったかの確認を、毎回焦点調節用のレンズ群や変倍用のレンズ群を移動させながら計測・計算することによって得られるため、高価な設備と調整時間が必要となる場合が多い。これを、目視による官能で判断して調整した場合は、微妙なボケ具合を官能で判断することによって、作業者や微妙な測定条件等で判定基準が変化し、安定した品質を得ることが困難となり、また調整時間が多くなるといった課題が生じる。
【0040】
これに対し、光軸ずれの調整であれば、ずれた量が簡単に測定できる長さで測定されることから、測定条件や作業者によって数値が変化することなく、比較的容易に調整することが可能であり、かつ撮像素子の位置の調整量が大きいことから光軸ずれがOKとなる範囲のなかで、解像度がより良いポイントを探して調整することも可能である。このことは、特別な設備等が不要であることを示し、また高度な技術を要さないことから海外工場での生産にも適している。もちろん、調整装置を導入し、無人化することによってトータルでのコストダウンを図ることも可能であるが、従来の技術で必要とされる装置と比べると安価とすることが可能である。
【0041】
さらに、本発明によるレンズ装置においては、解像度調整機構のための特別な部品が使用していないことから、正常な部品と正常な作業であれば、調整作業を必要としないで、解像度を満足することも十分可能である。従来の技術による、調整のための部品が増えることによる部品の累積公差の増加が無いためである。このことから、まずは調整工程を通さないでの生産とし、調整が必要となった一部のレンズ装置のみ別工程で調整を行うといったことも可能となり、レンズ装置の加工費の低減にも寄与することができる。
【0042】
なお、上記実施の形態はレンズ装置について本発明を適用した例であるが、他のレンズ装置に本発明を適用することも可能であり、第2の固定レンズ群3以外の一部のレンズをガイドポール8の傾きと同時に調整することも可能である。上記実施の形態におけるレンズ装置においては、シミュレーション等の結果により、第2の固定レンズ群3が、他のレンズ群と比べて解像度に与える影響が最も大きいことから、第2の固定レンズ群3のみを光軸Pから位置をずらすこととしている。シミュレーション等の結果で、別の固定レンズの影響が大きいと判断された場合は、同様に解像度に与える影響が最も大きい固定レンズの位置を調整するため、光軸Pと連動しない構成とするものである。また、上記の実施の形態では固定用部品として固定ねじ12を用いた場合を述べたが、ねじ以外の固定用部品を用いてもよい。
【0043】
このように、上述したレンズ装置の調整方法ならびに構成によれば、撮像素子9の位置をガイドポール8の傾きと同時に調整することで、レンズ若しくはレンズ群の部品精度および組立精度による偏芯による片ぼけを改善することを可能とし、かつ調芯に必要な特別な構造物を廃し、そのことによるレンズ装置の小型化に対する制約やコストアップを無くすといった効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明のレンズ装置およびその調整方法は、例えばビデオカメラ、電子スチルカメラなどに用いられる可変焦点のレンズ装置に有用であり、さらには、撮像素子に代えてフィルム送り構造とすることで、フィルムカメラのレンズ装置にも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の実施の形態に係るレンズ装置の、その光軸に沿って切断した平面断面図
【図2】同レンズ装置の撮像素子側から矢視した右側面図
【図3】本発明に係るレンズ装置の偏芯に関する調整方法を理論的に説明するための図であり、(a)は偏芯のないレンズ装置における解像度特性を示すグラフ、(b)は偏芯のあるレンズ装置における解像度特性を示すグラフ
【図4】従来のレンズ装置を示す光軸に沿って切断した垂直断面図
【図5】同従来のレンズ装置の水平断面図
【図6】同従来のレンズ装置のレンズ枠の正面図
【図7】同従来のレンズ装置のレンズ鏡筒のレンズ枠配置箇所の断面図
【図8】同従来のレンズ装置のレンズ鏡筒およびレンズ保持枠の断面図
【符号の説明】
【0046】
1 レンズ鏡筒
2 第1の固定レンズ群
3 第2の固定レンズ群
5 変倍用のレンズ群
7 焦点調節用のレンズ群
8 ガイドポール
9 撮像素子
10 撮像素子固定枠
12 固定ねじ
13 取付孔
15 挿通孔
19 貫通孔
P 光軸




 

 


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