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発明の名称 電気泳動装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3359(P2007−3359A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−184262(P2005−184262)
出願日 平成17年6月24日(2005.6.24)
代理人 【識別番号】100081813
【弁理士】
【氏名又は名称】早瀬 憲一
発明者 松田 晋幸 / 上甲 茂樹 / 矢田 明也 / 西原 俊介
要約 課題

電気泳動によって分離して得た生体高分子試料の画分を、短時間に、かつ容易に回収でき、生体高分子試料の画分の回収作業の効率化を実現できる電気泳動装置を提供する。

解決手段
特許請求の範囲
【請求項1】
生体高分子試料を分離解析する電気泳動装置において、
前記生体高分子試料を、支持体を用いて電気泳動させるための電気泳動槽と、
前記電気泳動槽を、X軸およびY軸方向のいずれか、あるいはその双方に移動可能に搭載したテーブル機構と、
前記支持体の両端に電圧を印加して、前記生体高分子試料を電気泳動させる電圧印加手段と、
前記生体高分子試料の電気泳動の結果を撮影する画像撮影手段と、
前記電気泳動の結果を撮影する前記画像撮影手段を搭載しており、該画像撮影手段を、X軸およびY軸方向のいずれか、あるいはその双方に移動可能とするキャリッジ機構と、
前記画像撮影手段により獲得した画像に基づき、前記支持体により分離した前記生体高分子試料の分画画分の位置情報を算出し、該生体高分子試料の分画画分を切り出す切り出し手段とを備え、
前記切り出し手段の一部は、前記キャリッジ機構に、前記X軸およびY軸方向のいずれか、あるいはその双方に移動可能であり、かつZ軸方向にも移動可能であるよう、搭載され、
前記切り出し手段の前記一部は、前記キャリッジ機構に搭載され、切り出し器具を把持する切り出し器具把持部であり、
前記切り出し手段の残部は、前記切り出し器具把持部により脱着可能に把持される切り出し器具と、前記電気泳動槽の一側部に配置され、複数個の前記切り出し器具を収容可能な切り出し器具ホルダーと、よりなる、
ことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項2】
請求項1に記載の電気泳動装置において、
前記切り出し器具は、
その本体部の上方に設けられた、前記キャリッジ機構にZ軸方向に駆動可能に搭載された前記切り出し器具把持部により把持される接続部と、
前記本体部の下方に設けられた、その先端に抜き型開口を有する切り出し部と、
該切り出し部の該抜き形開口形成部と一体に形成され、該抜き型開口を介して切り出した支持体を収納する支持体収納部と、
該支持体収納部に近接する位置に配置された、該支持体収納部内の支持体に対し電圧を印加することにより該切り出し器具から生体高分子試料を抽出するための試料抽出用電極と、を有する、
ことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の電気泳動装置において、
前記切り出し器具ホルダーは、前記切り出し器具をそれぞれ収容する複数の孔部を有し、
前記複数の孔部の各々は、その一部に、該孔部に挿入される前記切り出し器具の向きを決めるための切り欠き部を有し、
該切り出し器具ホルダーの上面には、該電気泳動装置本体に設けた電力供給部、および前記切り出し器具が有する前記切り出し器具電極の外方に露出する部分、の両方に接続される導電部が設けられ、
前記複数の孔部の各々の下方端には、該孔部に挿入される前記切り出し器具の前記支持体収納部の下端との間に、半透膜を介在させて、生体高分子画分捕集部が設けられている、
ことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気泳動装置において、
前記電気泳動槽は、前記切り出しを行った後の複数の前記切り出し器具を挿入した前記切り出し器具ホルダーを、収容するための切り出し器具ホルダー設置部を有し、
前記電気泳動槽は、前記切り出し器具ホルダー設置部の底面に、前記各切り出し器具内の切り出し器具電極を一方の電極とし、これに対する他方の電極としての、前記生体高分子試料画分を回収するための電圧を印加する画分回収電極を有する、
ことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気泳動装置において、
前記電気泳動を行ったときの前記生体高分子試料の各画分の泳動距離を測定する泳動距離測定手段と、
前記泳動距離測定手段により測定した前記各画分の泳動距離、そのときの印加電圧、および電圧印加時間を用いて、前記生体高分子試料の各画分の抽出を行うための電気泳動条件を決定する泳動条件決定手段とを備えた、
ことを特徴とする電気泳動装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電気泳動装置において、
前記切り出し器具は、抜き型状の切り出し部の内部に、爪部を有する、
ことを特徴とする電気泳動装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体高分子、とりわけ、核酸を電気泳動により分離したのち、核酸のみを回収する電気泳動装置に関するものである。
【0002】
本発明は、核酸の電気泳動システムに関し、より詳細には、電気泳動システムにより核酸を分子量毎に分離し、核酸を電気泳動をさせた支持体より、核酸の切り出し、および抽出回収を行う技術に関する。
【0003】
本発明は、電気泳動における生体高分子試料の抽出・回収に係り、特に電気泳動により核酸を分子量毎に分離させた結果に基づき、電気泳動の実施、電気泳動支持体からの核酸の切り出し・抽出回収までを、一貫したシステム内で好適に実現できるものである。
【背景技術】
【0004】
従来より、生体高分子、とりわけ核酸の電気泳動装置による分子量に基づいた分離、解析方法は、簡便かつ安価であると共に、分析精度も高いため、核酸分析の装置として広範囲に利用されている。以下、核酸の電気泳動に関して述べる。
【0005】
電気泳動による核酸の分析は、まず、両端に電圧を導電する電極を、緩衝液で接触させる電気泳動槽に、核酸試料が移動する支持体を付設することにより構成されている。この電気泳動の支持体としては、アガロース、あるいはポリアクリルアミドなどのゲル状物質が使用されている。また、装置の形態としては、取り扱いの容易さから支持体を横面に設置する水平方式の電気泳動装置が汎用されている。電気泳動の動作は、支持体の一端に形成した溝に核酸試料を滴下し、支持体の両端に電圧を印加させ、支持体中の核酸試料を電気的に移動させる。この時に、支持体の網目構造により核酸試料の移動が制約を受け、分子量が大きい程、移動度が遅くなることにより、核酸の分子量に基づいた分離が可能となる。さらにこのようにして分離した核酸を、支持体より核酸画分毎に切り出し、VogelsteinとGillespieの方法(非特許文献1)、あるいはMolecular Cloningに記載の方法(非特許文献2)などの適当な方法で核酸を抽出回収することにより、核酸試料からの不純物質の分離除去、ベクターへの組み込み、配列マッピング、などを行うことがなされている。
【0006】
なお、この核酸分画を回収する方法としては、電気泳動装置を利用する方法以外にも、高速液体クロマトグラフィーに代表されるカラムクロマトグラフィーを利用する方法などがあるが、核酸の分離精度に対する装置の簡便性、融通性、装置価格、維持費用などを勘案した場合、電気泳動装置による方法は極めて高効率であるため、核酸画分の回収には、専ら電気泳動による方法が利用されている。
【0007】
また、この電気泳動装置の利便性をさらに向上させるため、支持体の小型化、電圧印加により生じるジュール熱の抑制のための提案がなされ、これらにおいては、電気泳動の短時間化が可能となり、設置場所も制約を受けないため、作業効率の向上に貢献している(特許文献1および特許文献2)。
【0008】
次に、電気泳動により分離した核酸の検出方法については、臭化エチジウム等の核酸結合性蛍光試薬を、電気泳動前に予め支持体中に混合させ、あるいは電気泳動させた後、支持体をこれらの溶液中に浸漬し、支持体中に浸潤させ、支持体中の核酸試料と、この蛍光試薬を結合させた後、蛍光試薬を、紫外線により励起し、蛍光発色させて、支持体中の分離した核酸試料を可視化させるようにしている。ここで、この紫外線を照射する装置はトランスイルミネーターと呼ばれている。
【0009】
この紫外線照射により可視化した核酸試料の結果は、従来、フィルム式カメラによる画像撮影によりデータを取得していたが、近年の電子デバイスの進歩と共に、電荷結合素子(CCD)式カメラを採用した電気泳動画像撮影装置が提案され(特許文献3、非特許文献3)、画像をデジタル化することが可能となり、フィルム式に比べ、撮影の簡便性、データの保存性、およびコンピュータ等のデジタルデバイスとの親和性が高く、電気泳動の短時間化と共に、一連の電気泳動手技の作業効率向上に貢献している。
【0010】
さらに近年、電気泳動装置と画像撮影装置を一体化させて、電気泳動のリアルタイムモニタリングを行うようにしたものが提案されており、電気泳動による最適な核酸分離分析、及び画像の取得を可能にしている(特許文献4、特許文献5および特許文献6)。
【0011】
電気泳動により分離した核酸の支持体からの抽出回収については、従来、鋭利な刃物を利用して、支持体より目的の核酸画分を切り出し、非特許文献1、あるいは2などの適当な方法により核酸を抽出回収していたが、近年、機械的に支持体より核酸分画を切り出す装置、および抽出回収装置(特許文献7、特許文献8、特許文献9、特許文献10)が提案され、従来の手動による方法に比べ、作業効率を大幅に向上している。
【特許文献1】特開平10−288597号公報
【特許文献2】特開2002−328113号公報
【特許文献3】特許第2838117号公報
【特許文献4】特開2000−105219号公報
【特許文献5】特開2002−357590号公報
【特許文献6】特開2003−240756号公報
【特許文献7】特許第3381484号公報
【特許文献8】特開2001−221776号公報
【特許文献9】実用新案登録第310144号公報
【特許文献10】特開2000−88804号公報
【非特許文献1】ヴォーゲルステイン(Vogelstein. B.)、ギレスピー(Gillespie. D.),「米国科学アカデミー紀要(Proc. Natl. Acad. Sci. USA)」,1979年,第76巻,p.615−619
【非特許文献2】サンブルック(Sambrook. J.)、フリッチ(Fritsch. E. F.)、マニアティス(Maniatis. T.)編,モレキュラークローニング(Molecular Cloning)第2版,コールドスプリングハーバー研究所出版(Cold Spring Harbor Laboratory Press)刊,1989年
【非特許文献3】サザーランド(Sutherland. J. F.)ら,「アナリティカルバイオケミストリー(Anal. Biochem.)」1987年,第163巻,p.446−457
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、前記従来の電気泳動装置では、装置本体を小型化することにより核酸試料量を軽減し、電気泳動時間の短縮に貢献できているが、その利用用途が、少ない試料数の核酸試料に対して、試料中の核酸の分子量を決定する、あるいは、核酸試料の夾雑物の有無を判定する目的だけに限定され、多量、あるいは多数の試料に対する電気泳動を実施すること、および電気泳動により分離した核酸画分の適当量を分取することが、困難となるという、課題を有していた。
【0013】
また、電気泳動後の支持体からの核酸画分の切り出しは、専ら手動で鋭利な刃物を利用して切り出すため、紫外線を直視しながら操作する必要があった。ここで、紫外線の暴露から作業者を保護するために保護具を着用するが、通常、紫外線ランプには、紫外光以外にも紫色可視光を混合させているため、高光量の紫色可視光を直視しなければならず、作業者に重篤な眼性疲労を誘引する原因となっていた。目的とする核酸を含む支持体の一部の切り出しを行い、かつ、その後の工程として核酸画分を支持体から抽出回収する装置も提案されているが、支持体の切り出し、および支持体からの核酸画分の抽出回収を、核酸画分ごとに1つずつ実施していることから、1回の電気泳動により得られる多数の核酸画分の切り出し、抽出回収を行うためには、長時間を要するだけでなく、時間の経過とともに、核酸画分が支持体内で拡散し、目的とする核酸画分を十分に回収することは困難であった。
【0014】
本発明は、前記従来の課題を解決するためになされたもので、複数の核酸画分を含む支持体の切り出しと、支持体に含まれる核酸画分の抽出回収を、短時間に行うことのできる電気泳動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記従来の課題を解決するために、本発明の請求項1にかかる電気泳動装置は、前記生体高分子試料を、支持体を用いて電気泳動させるための電気泳動槽と、前記電気泳動槽を、X軸およびY軸方向のいずれか、あるいはその双方に移動可能に搭載したテーブル機構と、前記支持体の両端に電圧を印加して、前記生体高分子試料を電気泳動させる電圧印加手段と、前記生体高分子試料の電気泳動の結果を撮影する画像撮影手段と、前記電気泳動の結果を撮影する前記画像撮影手段を搭載しており、該画像撮影手段を、X軸およびY軸方向のいずれか、あるいはその双方に移動可能とするキャリッジ機構と、前記画像撮影手段により獲得した画像に基づき、前記支持体により分離した前記生体高分子試料の分画画分の位置情報を算出し、該生体高分子試料の分画画分を切り出す切り出し手段とを備え、前記切り出し手段の一部は、前記キャリッジ機構に、前記X軸およびY軸方向のいずれか、あるいはその双方に移動可能であり、かつZ軸方向にも移動可能であるよう、搭載され、前記切り出し手段の前記一部は、前記キャリッジ機構に搭載され、切り出し器具を把持する切り出し器具把持部であり、前記切り出し手段の残部は、前記切り出し器具把持部により脱着可能に把持される切り出し器具と、前記電気泳動槽の一側部に配置され、複数個の前記切り出し器具を収容可能な切り出し器具ホルダーとよりなる、ことを特徴とする。
【0016】
本発明の請求項2にかかる電気泳動装置は、請求項1に記載の電気泳動装置において、その本体部の上方に設けられた、前記キャリッジ機構にZ軸方向に駆動可能に搭載された前記切り出し器具把持部により把持される接続部と、前記本体部の下方に設けられた、その先端に抜き型開口を有する切り出し部と、該切り出し部の該抜き形開口形成部と一体に形成され、該抜き型開口を介して切り出した支持体を収納する支持体収納部と、該支持体収納部に近接する位置に配置された、該支持体収納部内の支持体に対し電圧を印加することにより該切り出し器具から生体高分子試料を抽出するための試料抽出用電極と、を有することを特徴とする。
【0017】
本発明の請求項3にかかる電気泳動装置は、請求項1または請求項2に記載の電気泳動装置において、前記切り出し器具ホルダーは、前記切り出し器具をそれぞれ収容する複数の孔部を有し、前記複数の孔部の各々は、その一部に、該孔部に挿入される前記切り出し器具の向きを決めるための切り欠き部を有し、該切り出し器具ホルダーの上面には、該電気泳動装置本体に設けた電力供給部、および前記切り出し器具が有する前記切り出し器具電極の外方に露出する部分、の両方に接続される導電部が設けられ、前記複数の孔部の各々の下方端には、該孔部に挿入される前記切り出し器具の前記支持体収納部の下端との間に、半透膜を介在させて、生体高分子画分捕集部が設けられている、ことを特徴とする。
【0018】
本発明の請求項4にかかる電気泳動装置は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の電気泳動装置において、前記電気泳動槽は、前記切り出しを行った後の複数の前記切り出し器具を挿入した前記切り出し器具ホルダーを、収容するための切り出し器具ホルダー設置部を有し、前記電気泳動槽は、前記切り出し器具ホルダー設置部の底面に、前記各切り出し器具内の切り出し器具電極を一方の電極とし、これに対する他方の電極としての、前記生体高分子試料画分を回収するための電圧を印加する画分回収電極を有する、ことを特徴とする。
【0019】
本発明の請求項5にかかる電気泳動装置は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の電気泳動装置において、前記電気泳動を行ったときの前記生体高分子試料の各画分の泳動距離を測定する泳動距離測定手段と、前記泳動距離測定手段により測定した前記各画分の泳動距離、そのときの印加電圧、および電圧印加時間を用いて、前記生体高分子試料の各画分の抽出を行うための電気泳動条件を決定する泳動条件決定手段とを備えた、ことを特徴とする。
【0020】
本発明の請求項6にかかる電気泳動装置は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の電気泳動装置において、前記切り出し器具は、抜き型状の切り出し部の内部に、爪部を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明にかかる電気泳動装置によれば、目的とする核酸画分を支持体の一部とともに切り出す工程と、切り出した支持体から核酸画分を回収する工程とを、一括して実施可能とし、かつ、該切り出しを行のための複数の切り出し器具、および複数の切り出し器具を収容可能な切り出し器具ホルダーを備えることで、複数の核酸画分を含む支持体の切り出しと、支持体に含まれる核酸画分の回収を、容易にかつ短時間に実施可能にできるとともに、電気泳動に関する作業の安全性の向上と、作業の自動化に伴う研究作業の効率化とを、達成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明にかかる電気泳動装置の実施の形態を、図面とともに詳細に説明する。
なお以下では、生体高分子の試料を核酸(デオキシリボ核酸)とし、電気泳動用の支持体にアガロースゲルを使用した場合について、説明する。
【0023】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1による電気泳動装置を備えた電気泳動システムの概略構成を示すものである。また、図2は、該電気泳動システムの内部の概略構成を示す。
【0024】
本発明の実施の形態1による電気泳動装置は、主に、Y軸方向に駆動可能なテーブル機構40、X軸方向に駆動可能なキャリッジ機構60、Z軸方向に駆動可能な切り出し手段62、画像撮影手段61、および紫外線照射部70、から構成されている。テーブル機構40は、動力伝達部42を有しており、該動力伝達部42は、複数の歯車51、及び53等を介して、ステッピングモータなどの駆動量を制御可能な駆動用モータ50に接続され、前記駆動用モータ50の回転動力を直線運動に変換する。さらに、前記テーブル機構40には、該テーブル機構40内をY軸方向にスライド移動可能なスライドテーブル45を挿入可能であり、スライドテーブル45は、前記テーブル機構40と同様に、中心部が窓状に開口しているか、または、スライドテーブル45に電気泳動槽10を設置可能である。
【0025】
図3は、本実施の形態1における、電気泳動槽10の概略図を示したものである。前記スライドテーブル45に設置可能な電気泳動槽10は、支持体である電気泳動用ゲル101を付設するための支持体付設面11と、切り出し器具ホルダー30を設置するための切り出し器具ホルダー設置部16とを有し、さらに、支持体付設面11に設置された電気泳動用ゲル101の両端に電圧を印加するための白金線等の電極12と、前記切り出し器具ホルダー30の直下に設置された、生体高分子試料画分の回収用の電極13とを有している。
【0026】
図4は、本実施の形態1における、支持体を切り出すための切り出し器具20の詳細図を示している。該切り出し器具20は、前記キャリッジ機構60にZ軸方向に駆動可能に搭載された切り出し手段の一部62aにより把持される接続部21と、キャリッジ機構60により駆動される切り出し手段の一部62aをZ軸方向に駆動させることで電気泳動によって分離された核酸画分を電気泳動用ゲル101の一部と共に切り出すためのその先端に抜き型開口を有する切り出し部22と、該抜き型開口を介して切り出したゲルを保持する支持体収納部23と、該支持体収納部23に近接する位置に配置され該支持体収納部23内の支持体に対し生体高分子試料の切り出しのための電圧を印加する切り出し器具電極24と、前記切り出し器具ホルダー30の各孔部31に設けられた、該孔部31内の前記切り出し器具20の向きを決める切り欠き部31aと嵌合する位置決め用凸部25aを有している。
【0027】
より詳述すれば、切り出し器具20は、その外部に露出する部分24cが、前記切り出し器具ホルダー30の導電部34と接続可能であり、その内部に位置する部分24aは、切り出し器具20の中央の透孔部28と壁部27上にて、支持体収納部23に近接して位置しており、該支持体収納部23内の支持体に、生体高分子画分の切り出しのための電圧を印加する切り出し器具電極24と、切り出し器具ホルダー30の孔部31の切り欠き部31aと嵌合して該孔部31に挿入される切り出し器具の位置決めを行う位置決め用凸部25aとを有し、さらに、該切り出し器具電極24を押さえる電極押さえ凸部25bを有している。
【0028】
図5は、本実施の形態1における、切り出し器具ホルダー30を示した図である。切り出し器具ホルダー30は、前記切り出し器具20を複数個収容可能な孔部31と、該孔部31の下方端にて、該孔部31内に収納される前記切り出し器具20の支持体収納部23との間の位置に半透膜32を介在させて配置した生体高分子試料捕集部33と、切り出し器具ホルダー30の上面に設けられた、前記切り出し器具電極24の外部に露出する部分24cに、および電気泳動システム本体に設けられた電力供給部(図示せず)に、接続可能な導電部34とを備えている。また、前記テーブル機構40の直上には、画像撮影手段61と、前記切り出し器具20を把持可能な切り出し器具把持ピン63、およびこれにより把持される切り出し器具20等により構成される切り出し手段62を、一体として有するキャリッジ機構60が配置されている。
【0029】
図6は、本実施の形態1による電気泳動装置における、切り出し手段62の概略図を示したものである。
前記切り出し手段62は、電気泳動槽10の支持体付設面11に対して垂直なZ軸方向に動作するように、切り出し器具動作用モータ52と、該切り出し器具動作用モータ52に接続された歯車と連結されるようにラック部を有する切り出し器具把持ピン63と、から構成される。切り出し器具把持ピン63は、切り出し器具20の接続部21に接続可能な構造となっている。前記キャリッジ機構60は、X軸方向に直線移動が可能なようにX軸方向に設置された直動シャフトと、スラスト軸受け部によって連結され、また、キャリッジ機構60の駆動機構として、キャリッジモータ60aに接続されたリードスクリューとスクリューナットによって連結されている。
【0030】
また、前記テーブル機構40の下部に、紫外線照射部70を設けている。紫外線照射部70は、紫外線光源71を設置し、さらに、該紫外線光源71と、テーブル機構40との間に、可視光以上の波長の光(例えば400nm以上の波長の光)をカットする第1の光学フィルター91を設置する。また、前記キャリッジ機構60に搭載された画像撮影手段61には、紫外線をカットする(例えば、600nm以下の光をカットする)第2の光学フィルター92を設置してある。さらに、本実施の形態1の電気泳動装置は、紫外線照射部70の点灯、画像撮影手段61の撮影制御、撮影された画像を元にした電気泳動槽10の電圧制御、自動的に、または手動により指定した箇所のゲルを切り出すためのテーブル機構40の駆動、キャリッジ機構60の駆動、切り出し手段62の駆動、を制御するシステム制御部110を備えている。
【0031】
また、上記の方法を用い、図7の本実施の形態1における電気泳動システムのブロック図に示す制御により、核酸試料の泳動中の状態を、連続的に、または一定間隔の時間で撮影し、核酸画分位置を計測する手段122を用いて、最適な泳動パターンを自動で判断し、電気泳動槽10の電極への印加電圧を制御することが可能である。
【0032】
以上のように構成された本実施の形態1における電気泳動システムについて、以下その動作、および作用を説明する。
まず、電気泳動槽10内に電気泳動用ゲル101を設置する。支持体である電気泳動用ゲル101の一端に設けた注入口に、核酸試料を注入した後、ゲル101の両端に設置された1対の電極12(図3(a)においては、下側の電極は見えない。)間に、規定の電圧を印加する。このように、電圧を印加することで、負に帯電している核酸試料は、陰極から陽極方向に向かって移動を開始する。ゲル内部は、微細な網目状となっているため、ゲル内部を移動する核酸試料は、その分子量の大きさによって移動する速度が異なるため、一定時間の電圧を加えたゲル内部では、分子量に基づいてゲルの注入口とほぼ同じ幅の帯状に分離される。このとき、紫外線光源71を点灯して核酸試料に紫外線を照射すると、核酸試料に予め混合しておいた臭化エチジウムなどの核酸結合性蛍光試薬が、蛍光発色する。
【0033】
この蛍光を、画像撮影手段61にて撮影することで、核酸試料が分子量に基づいて帯状に分離している電気泳動パターンの画像を、得ることが出来る。このとき、第1の光学フィルター91により、紫外線光源71から発している紫外線より長い波長の不要な光をカットすることで、撮影画質を向上させることができる。また、画像撮影手段61に取り付けられた第2の光学フィルター92により、紫外線光源から発光される紫外線をカットすることで、核酸試料に混合された核酸結合性蛍光試薬の蛍光状態のみを、より鮮明に撮影することができる。本実施の形態1では、詳しくは紫外線照射部70の発光面に、400nm以上の波長の光を遮断する第1の光学フィルター91を設け、画像撮影手段においては、撮影面には、600nm以下の波長の光を遮断する第2の光学フィルター92を設けている。
【0034】
次に、電気泳動実施後の分離した核酸を、核酸画分毎に切り出す、本実施の形態1における、切り出し手段62について説明する。前記までで述べたように、電気泳動から撮影まで実施した核酸試料を、更に後の実験にて使用する際には、ゲルの切り出しによる核酸試料の抽出・回収が必要となる。
【0035】
本実施の形態1における生体高分子試料を回収する手段においては、まず前記のような方法によって電気泳動パターンを撮影した後、その電気泳動パターン画像を元に、目的とする核酸試料が含まれる核酸画分を自動的に検出するか、または表示部に表示された電気泳動パターンの画像を元に、作業者によって手動で指定する。
【0036】
作業者によって切り出し開始命令が実行されると、キャリッジ機構60が、スライドテーブル45上の切り出し器具ホルダー30に収納された、切り出し器具20の直上まで移動し、その位置で切り出し手段62を下方向に移動させると、該切り出し手段62は、切り出し器具20を把持する。
【0037】
次に、電気泳動パターン撮影画像を元に、指定された場所へ切り出し手段62を移動させるために、システム制御部120において、その移動させるべき量を、テーブル機構40と、キャリッジ機構60の駆動量に変換し、それぞれの駆動用モータを回転駆動させる。キャリッジ機構60が指定した位置へ移動したのちは、切り出し器具動作用モータ52を駆動させることにより、切り出し器具把持ピン63をゲル設置方向へ降下させ、把持している切り出し器具20をゲルに押し付け、ゲルの切り出しを行う。切り出された支持体が、切り出し器具20の支持体収納部23に留まった状態で、キャリッジ機構60は、切り出し器具ホルダー30の直上まで移動し、ゲルを内部に留置した状態の切り出し器具20を、切り出し手段62から外して、該切り出し器具20を、切り出し器具ホルダー30の各孔部31内へ収納する。切り出し器具ホルダー30に収納された切り出し器具20の切り出し器具電極24は、切り出し器具ホルダー30の導電部34を介して、本電気泳動装置本体の電力供給部(図示せず)に接続された状態となる。
【0038】
次に、電気泳動槽10に設けられた生体高分子試料画分の回収用電極13に、正の電圧を印加し、切り出し器具20に設けられた切り出し器具電極24に、電力供給部(図示せず)を介して負の電圧を印加する。これにより、切り出し器具20により切り出した、支持体収納部23内に保持された支持体内の核酸は、電気泳動の作用によって、切り出し器具ホルダー30の孔部31の下端側へとその支持体とともに泳動される。該支持体収納部23内をその支持体とともに泳動された核酸は、切り出し器具ホルダー30の下方端部に設けられた半透膜32によってその支持体のさらに下方への泳動を阻止されることで、その核酸のみが、切り出し器具ホルダー30の孔部31の下方位置において、切り出し器具20の下端の下に位置する、切り出し器具ホルダー30の画分捕集部33に滞留することとなり、このようにして、前記切り出した支持体から核酸のみを抽出、回収することが出来ることとなる。
【0039】
ここで、前記核酸の抽出のための電気泳動条件は、前記核酸の分離のために電気泳動を行った際に、各核酸画分の位置を計測することのできる、したがってその泳動距離をも測定できる核酸画分位置計測手段122によって得た、各核酸画分の泳動距離と、印加電圧、電圧印加時間の情報を元に、泳動条件決定手段126により目的とする核酸画分の泳動距離についての、印加電圧、および電圧印加時間を求めて、該各核酸画分の抽出のための電気泳動条件を決定する。より詳しくは、核酸画分の抽出を行うための目的とする核酸の泳動が、支持体の厚みをL1として、電圧V0、および電圧印加時間t0で、泳動距離がL0である場合、核酸抽出に必要な電圧を、核酸の分離時の電圧V0として、電圧印加時間t1は、t1=L1/(L0/t0)と求めることが可能であり、これより、核酸の支持体からの抽出のために印加する電圧をV0、電圧印加時間をt1以上とすることで、核酸の確実な抽出を行うことが可能である。
【0040】
上記、核酸試料の抽出が終了した後は、テーブル機構40がテーブル排出動作に移行し、電気泳動槽10、および切り出し器具ホルダー30を、電気泳動システムの外部へと排出する。作業者は、切り出し器具ホルダー30を電気泳動槽10から取り出し、さらに切り出し器具ホルダー30から切り出し器具20を取り出す。切り出し器具ホルダー30の孔部31の先端の画分捕集部33には、前述の核酸試料抽出によって、核酸試料のみが滞留しており、作業者は、ピペットなどで該核酸試料を取り出すことが可能である。
【0041】
以上のように、本実施の形態1による電気泳動装置においては、電気泳動、および泳動パターンの撮影、生体高分子の画分を含む支持体の切り出し、を行う機能を備えた電気泳動システムに、電気泳動用ゲル101を付設するための支持体付設面11、切り出し器具ホルダー設置部16、支持体付設面11に設置された電気泳動用ゲル101の両端において電圧を印加するための白金線等の電極12、および、該切り出し器具ホルダー30直下に設置された生体高分子試料画分回収用電極13、を有する電気泳動槽10と、切り出し器具把持ピン63にて把持される接続部21、該切り出し器具把持ピン63をZ軸方向に駆動させることで電気泳動によって分離された核酸試料を支持体である電気泳動用ゲル101と共に切り出す切り出し部22、切り出した支持体を収納する支持体収納部23、支持体収納部23と隣接し、切り出し器具ホルダー30の導電部34と接続可能な切り出し器具電極24、切り出し器具ホルダー30の孔部31の切り欠き部31aと嵌合する位置決め用凸部25aを有する切り出し器具20を、また、各々切り出し器具20を収容可能な複数の孔部31、該孔部31の下端に半透膜32を有する生体高分子試料捕集部33、その上面に、前記切り出し器具20の切り出し器具電極外方部24c、および、電気泳動システム本体に設けられた電力供給部(図示せず)に、接続可能に設けられた導電部34を有する切り出し器具ホルダー30を、備えるようにしたので、目的とする生体高分子試料を含む画分を切り出し、かつ、支持体と目的とする生体高分子試料とを分離回収することを、容易に、かつ短時間で実施可能であり、しかも、電気泳動に関する作業の安全性の向上と、作業の自動化に伴う研究作業の効率化を、大きく期待することのできる電気泳動装置を実現できる効果が得られる。
【0042】
(実施の形態2)
図8は、本発明の実施の形態2による電気泳動システムにおける、爪付き切り出し器具26を示した図である。
【0043】
本実施の形態2において、実施の形態1と異なる点は、切り出し器具の切り出し部の内部に、爪部29を設けた点である。実施の形態1のように、電気泳動、泳動パターンの撮影、および目的とする核酸を含む支持体の切り出しを実施するにあたり、実施の形態2における爪付き切り出し器具26を用いて、支持体である電気泳動用ゲル101の切り出しを行うと、切り出された支持体は、実施の形態1におけると同様に、支持体収納部23に保持されるが、更に逆止構造になった爪部29を設けていることから、支持体収納部23に保持された支持体が、重力の影響によって切り出し器具ホルダー30の孔部31の先端方向へ落下するのを防止することができ、より好適に生体高分子試料の画分を回収することができる。
【0044】
このように、本実施の形態2によれば、切り出し器具の切り出し部の内部に、爪部29を設けたことにより、支持体の切り出しによって支持体収納部23に保持された支持体が、重力によって切り出し器具ホルダー30の孔部31の先端方向へ落下するのを防止することができ、より好適に生体高分子試料の画分の回収を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明にかかる電気泳動システムにおいては、生体高分子試料回収手段は、ゲル電気泳動後の核酸試料の切り出し作業、および核酸試料の支持体からの抽出を、自動的に一括して実施可能であり、作業者の安全と労力の低減を図り、生体高分子の分析において一般的に利用される電気泳動に関連する技術分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態1による電気泳動装置の概要を示した斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1による電気泳動装置の内部の概要を示した斜視図。
【図3】本発明の実施の形態1による電気泳動装置における電気泳動槽の構成を示した図。
【図4】本発明の実施の形態1における、切り出し器具を示した図。
【図5】本発明の実施の形態1における、切り出し器具ホルダーを示した図。
【図6】本発明の実施の形態1における、切り出し手段を示した図。
【図7】本発明の実施の形態1による電気泳動装置のブロック構成図。
【図8】本発明の実施の形態2における、切り出し器具を示した図。
【符号の説明】
【0047】
10 電気泳動槽
11 支持体付設面
12 白金線等の電極
13 生体高分子試料画分回収用電極
16 切り出し器具ホルダー設置部
20 切り出し器具
21 接続部
22 切り出し部
23 支持体収納部
24 切り出し器具電極
24a 切り出し器具電極内方部
24c 切り出し器具電極外方部
25a 位置決め用凸部
25b 電極押さえ凸部
26 爪付き切り出し器具
27 壁部
28 透孔部
29 爪部
30 切り出し器具ホルダー
30a 切り出し器具ホルダー凹部
31 孔部
31a 切り欠き部
32 半透膜
33 生体高分子試料捕集部
34 導電部
40 テーブル機構
45 スライドテーブル
52 切り出し器具動作用モータ
51、53 歯車
60 キャリッジ機構
60a キャリッジモータ
61 画像撮影手段
62 切り出し手段
62a 切り出し手段の一部(切り出し器具保持具)
63 切り出し器具把持部(切り出し器具把持ピン)
70 紫外線照射部
71 紫外線光源
91 第1の光学フィルター
92 第2の光学フィルター
101 電気泳動用ゲル
120 システム制御部
122 核酸画分位置計測手段(泳動距離測定手段)
125 記録装置
126 泳動条件決定手段




 

 


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