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発明の名称 スペクトル拡散型レーダ装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3305(P2007−3305A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−182616(P2005−182616)
出願日 平成17年6月22日(2005.6.22)
代理人 【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
発明者 福田 健志
要約 課題
狭帯域信号の漏洩を抑制し、物体探知性能の高い高性能なスペクトル拡散型レーダ装置を提供する。

解決手段
スペクトル拡散型レーダ装置100は、タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の送信用擬似雑音符号、および互いに異なる2つ以上の受信用擬似雑音符号を生成する擬似雑音符号発生部102と、所定の周波数の信号に対して、2つ以上の送信用擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して拡散信号を生成する拡散変調部104と、拡散信号を探知用電波として放射する送信部105と、物体に反射されて戻ってきた探知用電波を受信信号として受信する受信部108と、受信信号に対して、2つ以上の受信用擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して逆拡散信号を生成する逆拡散変調部109と、逆拡散信号に基づいて、すくなくとも特定の周波数成分の信号強度を用いて前記物体の存在を探知する信号処理部110とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
スペクトル拡散された探知用電波を用いて物体を探知するスペクトル拡散型レーダ装置であって、
タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の擬似雑音符号を生成する擬似雑音符号発生手段と、
所定の周波数の信号に対して、前記2つ以上の擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して拡散信号を生成する拡散変調手段と、
前記拡散信号を前記探知用電波として放射する送信手段と
を備えることを特徴とするスペクトル拡散型レーダ装置。
【請求項2】
スペクトル拡散された探知用電波を用いて物体を探知するスペクトル拡散型レーダ装置であって、
タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の擬似雑音符号を生成する擬似雑音符号発生手段と、
前記物体に反射されて戻ってきた探知用電波を受信信号として受信する受信手段と、
前記受信信号に対して、前記2つ以上の擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して逆拡散信号を生成する逆拡散変調手段と、
前記逆拡散信号に基づいて、すくなくとも特定の周波数成分の信号強度を用いて前記物体の存在を探知する信号処理手段と
を備えることを特徴とするスペクトル拡散型レーダ装置。
【請求項3】
前記擬似雑音符号発生手段は、前記2つ以上の擬似雑音符号として、M系列符号を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスペクトル拡散型レーダ装置。
【請求項4】
前記擬似雑音符号発生手段は、前記2つ以上の擬似雑音符号として、互いに遅延量が異なり、同一の生成多項式に基づく1種類のM系列符号を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスペクトル拡散型レーダ装置。
【請求項5】
前記擬似雑音符号発生手段は、前記2つ以上の擬似雑音符号として、互いに異なる生成多項式に基づく多種類のM系列符号を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のスペクトル拡散型レーダ装置。
【請求項6】
スペクトル拡散された探知用電波を用いて物体を探知するスペクトル拡散型レーダ装置であって、
タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の送信用擬似雑音符号、および互いに異なる2つ以上の受信用擬似雑音符号を生成する擬似雑音符号発生手段と、
所定の周波数の信号に対して、前記2つ以上の送信用擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して拡散信号を生成する拡散変調手段と、
前記拡散信号を前記探知用電波として放射する送信手段と、
前記物体に反射されて戻ってきた前記探知用電波を受信信号として受信する受信手段と、
前記受信信号に対して、前記2つ以上の受信用擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して逆拡散信号を生成する逆拡散変調手段と、
前記逆拡散信号に基づいて、すくなくとも特定の周波数成分の信号強度を用いて前記物体の存在を探知する信号処理手段と
を備えることを特徴とするスペクトル拡散型レーダ装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、スペクトル拡散方式を利用したレーダ装置に関し、特に物体探知性能の高い高性能なスペクトル拡散型レーダ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車に搭載されるレーダ装置(以下、車載レーダ装置と呼称する。)に関する技術開発が活発化している。その一例として、スペクトル拡散方式を利用したレーダ装置(以下、スペクトル拡散型レーダ装置と呼称する。)等が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
車載レーダ装置は、衝突回避などの安全性向上、後退発車支援に代表される運転利便性向上などを目的とし、先行車両、後方障害物などの検出に利用される。このような目的において、自車以外の車両に搭載された同種のレーダ装置が発する電磁波による干渉など、不要電波の影響を抑える必要がある。
【0004】
これに対して、スペクトル拡散型レーダ装置では、拡散に用いる擬似雑音符号(以下、PN符号と呼称する。)により送信電波が変調されるため、異なる符号で変調された電波は受信機内で抑圧され、不要電波の影響を抑えることができる。同様に、符号変調のない他方式のレーダ装置から放射される不要な電波は受信機内で抑圧される。また、送信電波は、PN符号により周波数拡散されるため、単位周波数あたりの電力を小さくすることができ、他の無線システムに与える影響を低くすることができる。そして、PN符号のチップ・レートと符号周期とを調整することで、距離分解能と最大探知距離との関係を自由に設定することができる。また、電磁波を連続的に送信することが出来るため、ピーク電力を小さくすることができる。これにより、法令などで単位周波数あたりの電力が低く設定された帯域においても、利用することができる。
【0005】
図6は、上記のような優れた特徴を有するスペクトル拡散型レーダ装置の一般的な構成を表したものである。
【0006】
図6に示されるように、スペクトル拡散型レーダ装置300は、タイミング発生部301、PN符号発生部302、信号源303、送信用拡散変調部304、送信部305、送信アンテナ306、受信アンテナ307、受信部308、受信用拡散変調部309、信号処理部310、距離測定用符号遅延部311などを備える。
【0007】
次に、従来のスペクトル拡散型レーダ装置300の動作について説明する。送信側では信号源303が発生する狭帯域の信号とPN符号発生部302が生成するPN符号とにより、送信用拡散変調部304によって広帯域にスペクトル拡散され、周波数変換や増幅などの機能を有する送信部305を経て送信アンテナ306から物体探知用電波として放射される。ここで、送信用拡散変調部304は一般にバランス型ミキサなどの2相の位相変調器(BPSK変調器)により構成され、PN符号により入力信号の位相を0度または180度の2相で位相変調することにより、入力信号の周波数帯域をPN符号のビットレートの2倍の周波数帯域に拡散する。この拡散変調により、送信アンテナ306より放射する探知用電波の単位周波数あたりの電力を小さくすることができる。
【0008】
次に受信側では物体により反射された探知用電波を受信アンテナ307により受信し、低雑音増幅器や周波数変換器などで構成される受信部308を経て、送信用拡散変調部304へ供給されるPN符号eを距離測定用符号遅延部311で時間遅延させたPN符号fを用いて受信用拡散変調部309で逆拡散される。このとき、反射物体までの距離による探知電波の往復伝搬遅延に相当する遅延時間と距離測定用符号遅延部311による遅延時間が一致していれば、受信部308から出力される信号cに含まれる符号の位相は距離測定用符号遅延部311より出力されるPN符号fの位相と一致するので、受信用拡散変調部309から出力される信号dには信号源303から出力される信号aと同じ信号が復元され、信号の周波数成分は信号aと同じ狭帯域信号となる。一方、距離測定用符号遅延部311による遅延時間が探知電波の往復伝搬遅延時間と異なる場合には、信号dに現れる信号は逆拡散されずに広帯域に周波数拡散された状態となる。信号処理部310は入力される信号dの周波数成分のうち信号源303から出力される信号aの周波数と同じ成分を選択的に検出することにより、距離測定用符号遅延部311に設定した遅延時間に相当する距離に反射物体が存在するかどうかを検出することが出来る。ここで、他のレーダ装置や、同じ周波数帯を利用する無線装置などから放射される不要な電波が存在する場合においても、受信用拡散変調部309において距離測定用符号遅延部311から出力されるPN符号fと位相も含め同じ符号により拡散変調された信号以外の信号は狭帯域信号に変換されることがないので、レーダ装置の物体探知動作において大きな障害となることがないという好ましい特徴をスペクトル拡散型レーダ装置は有している。
【特許文献1】特開平7−12930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記従来の技術においては、送信用拡散変調部304、および受信用拡散変調部309において、入力信号が出力に漏洩することにより、レーダ装置の動作特性が劣化するという課題がある。図7(a)−(d)は図6において各部の信号の周波数成分を示したものである。
【0010】
ここで、送信用拡散変調部304から出力される信号bには現実には拡散された信号352の他に送信用拡散変調部304に入力される狭帯域信号351が漏洩した成分が含まれている(狭帯域信号353)。そして、狭帯域信号353のピーク電力が法令などで定められた単位周波数あたりの電波の放射強度の制限を満たす必要があり、その為には、送信アンテナ306と送信部305の間に減衰器を挿入するなどして、狭帯域信号353のピーク電力を抑制することが必要となる。結果、狭帯域信号353のピーク電力を抑えるとともに、広帯域に拡散された物体探知動作に必要な信号成分も含めた送信電力全体までも抑制することが必要となり、物体の探知能力が劣化する。すなわち、この漏洩した狭帯域信号353により、探知用電波に含まれる単位周波数あたりの電力を小さく出来るという本来の利点が大きく損なわれることになる。また、受信側においても送信側から拡散変調されることなく漏洩した狭帯域信号が受信され、受信用拡散変調部309の出力に僅かではあるが、そのまま漏洩する(狭帯域信号356)。この漏洩した狭帯域信号356はPN符号による拡散変調の影響を受けておらず、特定の遅延量だけ伝搬遅延を受けた探知電波のみを選択的に受信するという本来の動作とは無関係に出力され、物体の探知性能を劣化させる。
【0011】
図8は図6において受信用拡散変調部309から出力される信号dのうち、信号源303から出力される信号aと同じ周波数成分の信号強度を距離測定用符号遅延部311の遅延量に対して示したものである。遅延量が探知電波の伝搬遅延時間と等しいときには探知電波として広帯域に拡散された信号が逆拡散され、狭帯域信号が復元されるので、信号強度が大きくなる(信号361)が、遅延量が探知電波の伝搬遅延時間と一致しなくても、送信用拡散変調部304、受信用拡散変調部309における信号漏洩に起因した信号が観測される(信号362、363)。
【0012】
ここで、複数の反射物体が存在する場合、反射能の強い物体からの大きな反射信号に含まれる狭帯域の漏洩信号により、反射能の弱い物体からの信号が妨害され、検出が不可能になるという問題が発生する。
【0013】
このような動作特性による問題は、遠方の大型車両などによる強い信号によって、近距離の歩行者など、電波の反射能が小さい物体の検出が不可能になるものであり、安全性を損なう致命的な欠陥となる。
【0014】
そこで、本発明は、前記問題に鑑みてなされたものであり、狭帯域信号の漏洩を抑制し、物体探知性能の高い高性能なスペクトル拡散型レーダ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記目的を達成するために、本発明に係るスペクトル拡散型レーダ装置は、スペクトル拡散された探知用電波を用いて物体を探知するスペクトル拡散型レーダ装置であって、タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の擬似雑音符号を生成する擬似雑音符号発生手段と、所定の周波数の信号に対して、前記2つ以上の擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して拡散信号を生成する拡散変調手段と、前記拡散信号を前記探知用電波として放射する送信手段とを備えることとする。
【0016】
これによって、探知用電波に漏洩する狭帯域信号を抑制することができるので、漏洩した狭帯域信号により、探知用電波に含まれる単位周波数あたりの電力を小さく出来るというスペクトル拡散型レーダ装置の本来の利点が大きく損なわれ、法令などで定められた単位周波数あたりの電波の放射強度の制限を満たす為に、物体探知動作に必要な信号成分も含めた送信電力全体を抑制することが必要となり、物体の探知能力が制限されるという従来のスペクトル拡散型レーダ装置における課題を克服することができる。
【0017】
また、前記目的を達成するために、本発明に係るスペクトル拡散型レーダ装置は、スペクトル拡散された探知用電波を用いて物体を探知するスペクトル拡散型レーダ装置であって、タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の擬似雑音符号を生成する擬似雑音符号発生手段と、前記物体に反射されて戻ってきた探知用電波を受信信号として受信する受信手段と、前記受信信号に対して、前記2つ以上の擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して逆拡散信号を生成する逆拡散変調手段と、前記逆拡散信号に基づいて、すくなくとも特定の周波数成分の信号強度を用いて前記物体を探知する信号処理手段とを備えることとする。
【0018】
これによって、スペクトル拡散された探知用電波に狭帯域信号が漏洩していたとしても、受信側における複数回の逆拡散処理によって、探知電波に漏洩した狭帯域信号の成分が抑圧されるので、受信側において特定の遅延量だけ伝搬遅延を受けた電波のみを選択的に受信するという本来のレーダ動作とは無関係に出力される信号が抑圧され、反射能の強い物体からの大きな反射信号に含まれる狭帯域の漏洩信号により、反射能の弱い物体からの信号が妨害され、検出が不可能になるという従来のスペクトル拡散型レーダ装置における問題を克服することができる。
【0019】
なお、本発明は、スペクトル拡散型レーダ装置として実現されるだけではなく、スペクトル拡散された電波を使用した探知方法(以下、スペクトル拡散型探知方法と呼称する。)等として実現されるとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上、本発明に係るスペクトル拡散型レーダ装置によれば、送信側において、探知電波にレーダ探知動作と無関係な狭帯域信号が漏洩することを抑制し、受信側において、特定の遅延量だけ伝搬遅延を受けた電波のみを選択的に受信するという本来のレーダ動作とは無関係に出力される漏洩信号を抑圧することで、優れた物体探知性能を有するスペクトル拡散型レーダ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
(実施の形態)
以下、本発明に係る実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0022】
本発明に係る実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置は、(a)スペクトル拡散された探知用電波を用いて物体を探知するスペクトル拡散型レーダ装置であって、(b)タイミング信号に基づいて、互いに異なる2つ以上の送信用擬似雑音符号、および互いに異なる2つ以上の受信用擬似雑音符号を生成し、(c)所定の周波数の信号に対して、2つ以上の送信用擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して拡散信号を生成し、(d)その拡散信号を探知用電波として放射し、(e)物体に反射されて戻ってきた探知用電波を受信信号として受信し、(f)その受信信号に対して、2つ以上の受信用擬似雑音符号を個別に用いて段階的に変調して逆拡散信号を生成し、(g)その逆拡散信号に基づいて、すくなくとも特定の周波数成分の信号強度を用いて前記物体の存在を探知することを特徴とする。
【0023】
例えば、図1に示されるように、スペクトル拡散型レーダ装置は、車両11のフロントとテールとに備え、先行車両12、障害物13等の物体に対して、探知用電波を放射し、物体に反射された探知用電波を受信し、受信した探知用電波に基づいて、障害物の有無、距離、相対速度を算出する。
【0024】
以上の点を踏まえて実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置について説明する。
【0025】
先ず、実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置の構成について説明する。
【0026】
図2に示されるように、スペクトル拡散型レーダ装置100は、タイミング発生部101、擬似雑音符号発生部102、信号源103、拡散変調部104、送信部105、送信アンテナ106、受信アンテナ107、受信部108、逆拡散変調部109、信号処理部110などを備える。
【0027】
さらに、擬似雑音符号発生部102は、PN符号発生部121、送信用符号遅延部122、距離測定用符号遅延部123、受信用符号遅延部124などを備える。
【0028】
PN符号発生部121は、タイミング発生部101で生成されるタイミング信号に基づいて、擬似雑音符号(以下、PN符号とも呼称する。)eを生成する。
【0029】
送信用符号遅延部122は、PN符号発生部121で生成されたPN符号eを遅延させて、PN符号eとは異なるPN符号e´を出力する。
【0030】
距離測定用符号遅延部123は、PN符号発生部121で生成されたPN符号eを遅延させて、PN符号eとは異なるPN符号fを出力する。
【0031】
受信用符号遅延部124は、距離測定用符号遅延部123から出力されるPN符号fを遅延させて、PN符号fとは異なるPN符号f´を出力する。
【0032】
送信側では信号源103が発生する狭帯域の信号を、擬似雑音符号発生部102により発生させた擬似雑音符号を用い、拡散変調部104によって、スペクトル拡散変調処理を施し、広帯域信号に変換した後、送信部105によって、必要に応じて周波数変換や増幅などの信号処理を施し、送信アンテナ106から物体探知用電波として放射する。受信側では、物体に反射された探知用電波を受信アンテナ107で受信し、受信部108により、必要に応じて低雑音増幅や周波数変換などの処理を施し、PN符号発生部102で生成される擬似雑音符号を距離測定用符号遅延部123により遅延させた符号を用いて逆拡散変調部109により逆拡散変調処理を施す。信号処理部110は、逆拡散変調部109から出力される信号d´に含まれる周波数成分から、送信側の信号源103が生成する信号の周波数成分に含まれる成分を選択し、その強度を測定することにより、物体の有無を検出する。
【0033】
ここで、拡散変調部104は、第1の送信用拡散変調部141、第2の送信用拡散変調部142などを備える。そして、従来技術におけるスペクトル拡散型レーダ装置300の送信用拡散変調部304と同程度に入力信号が第1の送信用拡散変調部141の出力側に漏洩したとしても、2段目の第2の送信用拡散変調部142における拡散変調処理により、拡散変調部104全体を通して狭帯域の入力信号aが出力信号b´に漏洩する量を飛躍的に改善することができる。例えば、第1の送信用拡散変調部141、および第2の送信用拡散変調部142に、一般的なダブルバランス型ミキサを用いた場合、1つだと、入出力間のアイソレーションは20dB程度となるが、2つのダブルバランス型ミキサを直列に接続すれば、全体のアイソレーションは40dBとなり、出力への漏洩電力を従来の100分の1にすることができる。
【0034】
また、逆拡散変調部109は、第1の受信用拡散変調部191、第2の受信用拡散変調部192などを備える。そして、拡散変調部104における動作原理と同様の原理によって、逆拡散変調部109全体として、入力側から出力側へ漏洩する信号成分を飛躍的に抑制することが可能となる。例えば、第1の受信用拡散変調部191、および第2の受信用拡散変調部192に、一般的なダブルバランス型ミキサを用いた場合、1つだと、入出力間のアイソレーションは20dB程度となるが、2つのダブルバランス型ミキサを直列接続すれば、全体のアイソレーションは40dBとなり、出力への漏洩電力を従来の100分の1にすることができる。
【0035】
ここで、本発明のスペクトル拡散型レーダ装置における距離の測定原理について説明する。
【0036】
スペクトル拡散型レーダ装置100では、拡散変調部104のように、第1の送信用拡散変調部141、および第2の送信用拡散変調部142、すなわち、複数の拡散変調部をそれぞれ直列に接続し、それぞれの拡散変調部に異なった擬似雑音符号を供給して、多段階に拡散変調処理を行っている。また、逆拡散変調部109のように、第1の受信用拡散変調部191、および第2の受信用拡散変調部192についても同様である。
【0037】
このような構成により、それぞれの拡散変調部における入出力間の信号漏洩などを除いた理想的な処理結果を得ることができる。そして、実質的には、それぞれの拡散変調部に供給される拡散符号を排他的論理和演算した1つの符号により、入力信号を1段階で拡散処理した結果と同様の結果が得られる。
【0038】
送信側においては、拡散変調に用いる符号は1つのPN符号発生部121が発生するPN符号eを用いて第1の送信用拡散変調部141において拡散変調した後、同じPN符号eを送信用符号遅延部122により遅延させたPN符号e´を用いて、第2の送信用拡散変調部142により拡散変調させている。この結果、実質的にはPN符号eと、PN符号eを遅延させたPN符号e´の排他的論理和による符号で入力信号aを拡散した出力信号b´として得られる。
【0039】
具体的には、図3(a)に示されるように、第1の送信用拡散変調部141は、信号源103から信号a、すなわち、狭帯域信号151が供給されると、PN符号発生部121から供給されるPN符号eを用いて、狭帯域信号151を拡散させて信号bを出力する。
【0040】
このとき、図3(b)に示されるように、第1の送信用拡散変調部141から出力される信号bには、現実に拡散された拡散信号152の他に、信号源103から供給された狭帯域信号151によって漏洩した狭帯域信号153が含まれている。
【0041】
さらに、第2の送信用拡散変調部142は、第1の送信用拡散変調部141から出力された信号b、すなわち、拡散信号152および狭帯域信号153が入力されると、送信用符号遅延部122から出力されるPN符号e´を用いて、拡散信号152および狭帯域信号153を拡散させて出力信号b´を出力する。
【0042】
このとき、図3(c)に示されるように、第2の送信用拡散変調部142から出力される出力信号b´には、現実に拡散された拡散信号154の他に、第1の送信用拡散変調部141から出力された狭帯域信号153によってわずかながら漏洩した狭帯域信号155が含まれている。
【0043】
ここで、PN符号eとしてM系列符号を用いた場合、実質的にはもとのPN符号eを遅延させた符号で入力信号aを1段で拡散変調した結果が出力信号b´として得られる。このため、M系列符号が有する優れた自己相関特性など、レーダ装置として動作上好ましい特性を、そのまま受け継ぐことができる。
【0044】
このような特徴は、ある生成多項式から生成されるM系列符号と、同じ生成多項式を用いて生成されたM系列符号で位相の異なる符号との排他的論理和は、もとのM系列符号を時間遅延させたものになるという性質に基づいている。すなわち、もとのM系列符号と、もとのM系列符号を遅延させた符号との排他的論理和は、もとのM系列符号を時間遅延させたものになるという性質に基づいている。このようなM系列符号の数学的特性を利用することによって、多段階の拡散変調処理を施しても、符号の位相のみが異なるM系列符号で1段階の拡散変調を行った結果が得られることになり、M系列符号の優れた特徴を受け継ぐことができる。
【0045】
また、第1の送信用拡散変調部141、および第2の送信用拡散変調部142の各アイソレーションを20dB程度とすると、狭帯域信号155の電力を狭帯域信号151と比べて100分の1程度に抑圧することができ、拡散されずに漏洩する成分の影響を小さくすることができる。
【0046】
受信側においても、同様の原理で、第1の受信用拡散変調部191、第2の受信用拡散変調部192により、2段階の逆拡散変調を行い、逆拡散変調部109全体としての入出力間の信号漏洩を抑制しつつ、実質的にはPN符号fを遅延させた符号で1段階の逆拡散変調を行った場合と同じ結果が得られる。
【0047】
具体的には、図3(d)に示されるように、第2の受信用拡散変調部192は、第1の受信用拡散変調部191から出力された信号d、すなわち、拡散信号156および狭帯域信号157が入力されると、受信用符号遅延部124から出力されるPN符号f´を用いて、拡散信号156および狭帯域信号157を逆拡散させて出力信号d´を出力する。
【0048】
このとき、距離測定用符号遅延部123によって遅延量を変化させながら、自己相関が得られれば、図3(e)に示されるように、狭帯域信号158が復元される。自己相関が得られなければ、図3(f)に示されるように、拡散信号159および狭帯域信号160を含む信号が得られる。
【0049】
以上の原理により、送信側において多段階の拡散変調、または受信側において多段階の逆拡散変調を行っているにもかかわらず、実質的には従来のスペクトル拡散型レーダ装置と同様の信号処理となるため、実質的な送信用拡散符号に対する実質的な受信用拡散符号の遅延量が物体探知用電波の伝搬遅延量に等しい場合、広帯域に拡散された物体探知用電波が逆拡散され、逆拡散変調部109から出力される信号d´には送信側の信号源103の生成する狭帯域信号が再生される。信号処理部110は、逆拡散変調部109から出力される信号d´に含まれる周波数成分のうち、信号源103が発生する周波数成分に含まれる周波数成分を選択的に検出することにより、物体の存在を検出できる。
【0050】
例えば、図4に示されるように、遅延量が探知電波の伝搬遅延時間と等しいときには探知電波として広帯域に拡散された信号が逆拡散され、狭帯域信号が復元されるので、信号強度が大きくなる(信号161)。また、従来だと漏洩信号で隠れていた信号が、漏洩信号の抑圧に伴い観測され(信号162)、物体探知性能が向上する。
【0051】
ここで、送信側に供給されるPN符号eと拡散変調部104による実質的な1段階の拡散処理に対応する送信用拡散符号との時間遅延は送信用符号遅延部122による遅延量によって、一意に決定され、距離測定用符号遅延部123を経て受信側に供給されるPN符号fと、逆拡散変調部109による実質的な1段階の逆拡散処理に対応する実質的な受信用拡散符号との時間遅延は受信用符号遅延部124による遅延量によって一意に決定されるので、これらの遅延量を前もって考慮すれば、距離測定用符号遅延部123に設定した遅延時間に対応する物体探知用電波の伝搬遅延時間を決定することができる。
【0052】
特に、送信用符号遅延部122による遅延量と受信用符号遅延部124による遅延量を同一にすれば、拡散変調部104におけるPN符号eと実質的な送信用拡散符号との時間差と、逆拡散変調部109におけるPN符号fと実質的な受信用拡散符号との時間差を同じにすることができるので、物体探知用電波の往復遅延時間を距離測定用符号遅延部123に設定する遅延時間と直接対応させることができる。
【0053】
以上、本実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置によれば、送信側において、探知電波にレーダ探知動作と無関係な狭帯域信号が漏洩することを抑制し、受信側において、特定の遅延量だけ伝搬遅延を受けた電波のみを選択的に受信するという本来のレーダ動作とは無関係に出力される漏洩信号を抑圧することができ、レーダ装置として優れた物体探知性能を有する。
【0054】
(その他)
なお、多段階の拡散変調において、それぞれの拡散変調部に異なった生成多項式により発生させたM系列符号を供給してもよい。この場合、実質的には、それぞれのM系列符号を線形結合させることにより生成される符号で1段階の拡散変調を施した結果が得られる。このような、異なる生成多項式から発生される複数のM系列符号の線形結合により生成される符号はゴールド符号と呼ばれ、互いに独立した系列を多数発生させることが可能であり、互いに干渉しない多数のレーダ装置を実現することが可能という好ましい特徴を具備させることができる。
【0055】
さらに、多段階の拡散変調において、その他の符号を用いてもよい。この場合、多段階の拡散変調部のそれぞれに供給する符号の排他的論理和により生成される、実質的な拡散符号の自己相関特性がレーダ動作に相応しいものであれば、どのような符号であっても使用することができ、本発明の本質的な特徴となる、入出力間の信号漏洩を抑制するという利点を享受することが出来る。
【0056】
また、本発明に係る実施の形態では、送信側、受信側ともに2段階の拡散変調を行う場合についての例を示したが、送信側、または受信側の少なくともどちらかで、多段階の拡散変調部で構成されていれば、レーダ装置全体としての性能を向上させることが可能であり、たとえば、送信側のみ2段階の拡散変調部で構成され、受信側は1段の拡散変調部で構成されているとしてもよい。
【0057】
また、それぞれの拡散変調部は、周波数変換処理と一体化されているとしてもよい。例えば、図5に示されるように、送信側に局部発振器244を設けて、第3の送信用拡散変調部243で拡散符号E´を用いて局部発振信号Gを拡散させた信号E´´を生成し、この信号E´´を用いて第2の拡散変調部242で入力信号Bを拡散変調し、出力信号B´を生成してもよい。この場合、拡散符号E´による拡散処理と、局部発振信号Gによる周波数変換が複合的に施されることになるが、本質的には入力信号Bを拡散符号E´で拡散変調することになるため、本発明における拡散変調部の1つとして用いることができる。
【0058】
同様に、図5に示されるように、受信側にも局部発振器294を設けて、第3の受信用拡散変調部293で拡散符号Fを用いて局部発振信号Hを拡散させた拡散信号F´´を生成し、この拡散信号F´´を用いて第1の受信用拡散変調部291で入力信号Cを拡散変調し、出力信号Dを生成してもよい。この場合、拡散符号Fによる拡散処理と、局部発振信号Hによる周波数変換が複合的に施されることになるが、本質的には入力信号Cを拡散符号Fで拡散変調することになるため、本発明における拡散変調部の1つとして用いることができる。
【0059】
なお、スペクトル拡散型レーダ装置として実現されるだけではなく、スペクトル拡散された電波を使用した探知方法等として実現されるとしてもよい。
【0060】
なお、本発明はスペクトル拡散型レータ装置として実現されるだけではなく、スペクトル拡散型レーダ装置の送信側の機能、または受信側の機能が、それぞれが単独で実現されるとしてもよい。
【0061】
なお、拡散変調部104が2つ以上の拡散変調部を備え、それぞれの拡散変調部が直列に接続されていれば、逆拡散変調部109は、少なくとも1つの拡散変調部を備えるとしてもよい。すなわち、送信側において複数回の拡散処理を施して出力信号b´が生成されるならば、受信側において複数回の逆拡散処理を施さずとも1回の逆拡散処理で出力信号d´が生成されるとしてもよい。これによって、送信側で、漏洩した狭帯域信号に対して複数回の拡散処理が施され、探知用電波として放射される前に、その狭帯域信号が抑圧される。
【0062】
同様に、逆拡散変調部109が2つ以上の拡散変調部を備え、それぞれの拡散変調部が直列に接続されていれば、拡散変調部104は、少なくとも1つの拡散変調部を備えるとしてもよい。すなわち、受信側において複数回の逆拡散処理を施して出力信号d´が生成されるならば、送信側において複数回の拡散処理を施さずとも1回の拡散処理で出力信号b´が生成されるとしてもよい。これによって、受信側で、漏洩して拡散されずに放射された狭帯域信号に対して複数回の逆拡散処理が施され、信号処理部110に入力される前に、その狭帯域信号が抑圧される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、物体探知性能に優れた高性能なレーダ装置等として、利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明に係る実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置を車載レーダ装置とした場合を示す図である。
【図2】本発明に係る実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置の構成を示す図である。
【図3】(a)本発明に係る実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置の信号源の周波数スペクトル、(b)第1の送信用拡散変調部141の出力信号の周波数スペクトル、(c)第2の送信用拡散変調部142の出力信号の周波数スペクトル、(d)逆拡散変調部109の入力信号の周波数スペクトル、(e)拡散符号の位相が同期した場合の、逆拡散変調部109の出力信号の周波数スペクトル、(f)拡散符号の位相が同期しない場合の、逆拡散変調部109の出力信号の周波数スペクトルを示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置の逆拡散変調部109の出力信号のうち、信号源の周波数と同じ成分の強度を距離測定用符号遅延部123の遅延量に対して示す図である。
【図5】本発明に係るその他の実施の形態におけるスペクトル拡散型レーダ装置の構成を示す図である。
【図6】従来の技術におけるスペクトル拡散型レーダ装置の構成を示す図である。
【図7】(a)従来の技術におけるスペクトル拡散型レーダ装置の信号源の周波数スペクトル、(b)送信用拡散変調部の出力信号の周波数スペクトル、(c)拡散符号の位相が同期した場合の、受信用拡散変調部の出力信号の周波数スペクトル、(d)拡散符号の位相が同期しない場合の、受信用拡散変調部の出力信号の周波数スペクトルを示す図である。
【図8】従来の技術におけるスペクトル拡散型レーダ装置の受信用拡散変調部の出力信号のうち、信号源の周波数と同じ成分の強度を符号遅延部の遅延量に対して示す図である。
【符号の説明】
【0065】
11 車両
12 先行車両
13 障害物
100 スペクトル拡散型レーダ装置
101 タイミング発生部
102 擬似雑音符号発生部
103 信号源
104,204 拡散変調部
105 送信部
106 送信アンテナ
107 受信アンテナ
108 受信部
109,209 逆拡散変調部
110 信号処理部
121 PN符号発生部
122 送信用符号遅延部
123 距離測定用符号遅延部
124 受信用符号遅延部
141 第1の送信用拡散変調部
142 第2の送信用拡散変調部
191 第1の受信用拡散変調部
192 第2の受信用拡散変調部
241 第1の送信用拡散変調部
242 第2の送信用拡散変調部
243 第3の送信用拡散変調部
244 送信用局部発振器
291 第1の受信用拡散変調部
292 第2の受信用拡散変調部
293 第3の受信用拡散変調部
294 受信用局部発振器
300 スペクトル拡散型レーダ装置
301 タイミング発生部
302 PN符号発生部
303 信号源
304 送信用拡散変調部
305 送信部
306 送信アンテナ
307 受信アンテナ
308 受信部
309 受信用拡散変調部
310 信号処理部
311 距離測定用符号遅延部




 

 


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