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発明の名称 液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−33967(P2007−33967A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218385(P2005−218385)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 前田 強
要約 課題
配向能力が高く、配向安定性及び信頼性に優れた配向膜を容易に形成することのできる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供する。

解決手段
対向する一対の基板の間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板の対向する面側にITO電極11を形成する工程と、前記一対の基板の少なくとも一方の電極の表面にAl膜13を形成する工程と、Al膜13に対してイオンビームを照射することにより当該Al膜13に微細な異方的形状を付与する工程と、Al膜13について多孔質処理する工程とを含むことを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
対向する一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板の対向する面側に電極を形成する工程と、
前記一対の基板の少なくとも一方の電極の表面に金属膜を形成する工程と、
前記金属膜に対してイオンビームを照射することにより当該金属膜に異方的形状を付与する工程と、
前記金属膜について多孔質処理する工程とを含むことを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項2】
前記イオンビームの照射は、前記金属膜の表面に対して該イオンビームが所定の角度をなすように斜めに照射することを特徴とする請求項1に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項3】
前記多孔質処理は、電解液を用いて前記金属膜を陽極酸化することにより、前記基板の表面に、前記液晶を配向させるための複数の微細孔を有する陽極酸化膜を形成する処理であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項4】
前記金属膜は、アルミニウム、マグネシウム、又はこれらのいずれかの合金からなることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項5】
前記電解液は、シュウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸などの酸性の電解液からなることを特徴とする、請求項3又は4に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項6】
前記電極は、透明電極であり、
前記イオンビームは、アルゴンイオンビームであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項7】
前記金属膜は、前記異方的形状の付与及び多孔質処理が施されることにより、前記液晶層の液晶分子について所定のプレチルト角を持った垂直配向にするものとなることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項8】
前記一対の基板における一方の基板の電極の表面に、有機配向膜を形成する工程を備えたことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の液晶装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項1から8のいずれか一項に記載の製造方法を用いて製造された液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器に関するものである。特に、本発明は、安定なプレチルト角を有する液晶分子配向を簡便に実現することができる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶プロジェクタのライトバルブや携帯電話等のディスプレイとして用いられる液晶装置には、その液晶層を挟持する基板の最表面に、液晶分子の配列を制御するための配向膜が形成されている。この配向膜としては、ポリイミド等の有機膜をラビング処理したものが広く使用されている。しかし、このような有機配向膜は配向力に優れる反面、熱や光に弱く、長期間の使用によって、その配向力が次第に低下してしまうという問題があった。例えば光束密度が2〜10(lm/mm)程度の高強度の光が照射されるプロジェクタに搭載した場合には、配向膜は光源からの光や熱によって次第に分解されてしまい、液晶分子を所望のプレチルト角に配列できなくなる場合がある。
【0003】
これに対して、前記配向膜に無機配向膜を用い、この無機配向膜の形状効果によって液晶を配向させる技術が提案されている。例えば特許文献1では、斜方蒸着法により基板に対して斜めに配列した柱状構造物を形成する方法が開示されている。このような無機配向膜は、ポリイミド等の有機配向膜に比べて耐光性や耐溶剤性に優れており、液晶装置の信頼性を向上させることが可能である。
【特許文献1】特開昭57−112714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の無機配向膜は成膜工程に真空プロセスを用いるため、製造装置が大掛かりなものになってしまう。また、アクティブマトリクス型の液晶装置の電極面に配向膜を形成する場合、スイッチング素子の形成位置に対応して電極表面に段差部が形成され、その段差部において斜方蒸着方向から影となる部分ができる場合がある。このような不具合は、配向膜としての信頼性低下につながり、例えば液晶装置を表示装置として用いた場合、表示不良を生じさせる原因となる。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、配向能力が高く、配向安定性及び信頼性に優れた配向膜を容易に形成することのできる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供することを目的とする。
また、本発明は、安定なプレチルト角を有する液晶分子配向を簡便に実現することができる液晶装置の製造方法、液晶装置および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液晶装置の製造方法は、対向する一対の基板間に液晶層を挟持してなる液晶装置の製造方法であって、前記一対の基板の対向する面側に電極を形成する工程と、前記一対の基板の少なくとも一方の電極の表面に金属膜を形成する工程と、前記金属膜に対してイオンビームを照射することにより当該金属膜に(微細な)異方的形状を付与する工程と、前記金属膜について多孔質処理する工程とを含むことを特徴とする。
本発明によれば、前記イオンビームを照射する工程及び多孔質処理する工程により、安定なプレチルト角を有する液晶分子配向を簡便に実現することができる。例えば、電極に金属膜を形成する工程の後に、その金属膜の表面に対して斜め方向からイオンビームを照射する。すると、金属膜の表面に、イオンビームの照射方向に関連した微細な異方的形状が形成される。その後、陽極酸化法を用いて金属膜を陽極酸化することなどにより、異方的形状が形成された金属膜に、多数の微細孔を形成することができる。これらにより、金属膜は、例えば、液晶層の液晶分子について、所定のプレチルト角を持った垂直配向(又は水平配向)、すなわち傾斜配向にする配向制御膜となることができる。
したがって、本発明の製造方法によって製造された液晶装置によれば、この傾斜配向によって電圧印加時の液晶の動作方向を決定することができるので、リバースチルトドメイン(液晶分子の傾倒方向の異なる領域)などの配向欠陥をなくすことができ、高画質の液晶装置を実現することができる。また、本発明によれば、配向膜として無機膜を用いることができるため、従来の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性を高めることができる。さらに、本発明によれば、異方的形状及び徴細孔からなる液晶配向構造を実現することができ、すなわち微細な形状で液晶配向を実現でき、液晶配向を安定化することができる。このため、長寿命の液晶ディスプレイを実現することができる。さらに、本発明によれば、イオンビームの照射によって異方的形状を形成するので、配向能力が高く、配向安定性及び信頼性に優れた配向膜を容易に形成することのできる。
【0007】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記イオンビームの照射が、前記金属膜の表面に対して該イオンビームが所定の角度をなすように斜めに照射するものであることが好ましい。
本発明によれば、例えば、イオンビームの照射角度を調整することにより、プレチルト角の大きさを簡便に調整することができる。
【0008】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記多孔質処理が、電解液を用いて前記金属膜を陽極酸化することにより、前記基板の表面に、前記液晶を配向させるための複数の微細孔を有する陽極酸化膜を形成する処理であることが好ましい。
一般に、金属膜を陽極酸化した場合、その陽極酸化の条件を変えることによって緻密で欠陥のない膜から多孔質な膜まで様々な膜を形成することができる。例えば大きな電流で短時間陽極酸化を行った場合には、多数の微細孔がランダムに開孔した多孔質膜が形成され、逆に小さな電流で長時間陽極酸化を行った場合には、緻密で欠陥のない膜が形成される。また、その中間の条件をとった場合には、多数の微細孔が規則的に配列した2次元配列構造を有する多孔質膜が形成されるようになる。本方法は、陽極酸化法を用いて基板の表面に多孔質の陽極酸化膜を形成し、この陽極酸化膜の表面に形成された多数の微細孔によって液晶の配向を制御するようにしたものである。
本方法によれば、液晶が微細孔の内周面に沿って確実に配向されるため、高い配向能力を実現することができる。また、この配向膜は無機材料からなるため、ポリイミド等の有機配向膜に比べて耐光性や耐溶剤性に優れており、又、微細孔で液晶配向を実現している(即ち、形状配向膜の一種である)ので、安定した配向が得られる。さらに、陽極酸化法を用いることで製造装置を小型化でき、斜方蒸着のように影になる部分がないので配向ムラが生じることもない。また、陽極酸化法を用いた場合には、前記微細孔のピッチ,サイズ,形状,深さ等を陽極酸化の条件によって調節することができるため、最適化によって安定な配向状態を容易に実現することが可能である。
さらに、本発明によれば、陽極酸化膜の表面には、多数の微細孔のみならず、イオンビームの照射により異方的形状が形成される。そこで、本発明は、安定なプレチルト角を形成し、配向能力が高く、配向安定性及び信頼性に優れた配向膜を容易に形成することができる。
【0009】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記金属膜が、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、又はこれらのいずれかの合金からなることが好ましい。
前記金属膜としては、この他にタングステン(Ta)、チタン(Ti)等のいわゆるバルブ金属と呼ばれるものやその合金を使用することができるが、この中でもアルミニウムは前記のような微細孔を形成しやすい。また、金属膜として、例えば、アルミニウムを使用した場合に形成されるポーラスアルミナの陽極酸化皮膜(配向膜)は無機膜であるため、従来技術の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れた液晶装置を実現することができる。
【0010】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記電解液が、シュウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸などの酸性の電解液からなることが好ましい。
本発明によれば、前記陽極酸化を良好に実行でき、高い配向能力をもつ微細孔を金属膜に形成することができる。
【0011】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記電極が透明電極であり、前記イオンビームはアルゴンイオンビームであることが好ましい。
本発明によれば、アルゴンイオンビームによって、簡便に、金属膜の表面に異方的形状を付与することができる。また、本発明においては、液晶層を挟持する一対の基板の一方基板の電極は、透明電極に代えて、高反射率の金属電極であってもよい。このようにすると、反射型の液晶装置を製造することができる。
【0012】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記金属膜が、前記異方的形状の付与及び多孔質処理が施されることにより、前記液晶層の液晶分子について所定のプレチルト角を持った垂直配向にするものとなることが好ましい。
例えば、金属膜についての多孔質処理では、金属膜の表面に、垂直方向に孔軸をもった多数の微細孔が形成される。この微細孔により、液晶分子を垂直配向することはできるが所定のプレチルト角を持った垂直配向にすることは一般に困難である。そこで、本発明は金属膜の表面に、多数の微細孔のみならず異方的形状を形成することができるので、液晶層の液晶分子について所定のプレチルト角を持った垂直配向にする液晶装置を製造することができる。
【0013】
また、本発明の液晶装置の製造方法は、前記一対の基板における一方の基板の電極の表面に有機配向膜を形成する工程を備えることが好ましい。
本発明によれば、例えば、液晶層を挟持する一対の基板における一方の基板の電極には有機配向膜を形成し、他方の基板の電極には金属膜表面について異方的形状及び多孔質処理されてなる配向膜を形成することができる。そこで、本発明は、他方の基板の配向膜では、耐溶液性、耐光性などの信頼性を高めながら、液晶配向の安定性を高めることができ、長寿命の液晶装置を製造することができる。
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の液晶装置は、前記製造方法を用いて製造されたものであることを特徴とする。
本発明によれば、安定なプレチルト角を有する液晶分子配向構造を備えた液晶装置を低コストで提供することができる。また、本発明によれば、配向能力が高く、配向安定性及び信頼性に優れた配向膜を容易に形成することのできる液晶装置
を低コストで提供することができる。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明の電子機器は、上記液晶装置を備えたことを特徴とする。
本発明によれば、高画質な表示をすることができ、耐溶剤性、耐光性などの信頼性にも優れた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いた各図では、各層及び各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層及び各部材毎に縮尺を相違させてある。
【0017】
[第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置の製造方法を説明するための模式断面図である。そして、図1は、本製造方法における異方的形状を付与する工程を示しており、液晶層を挟持する一対の基板における一方の基板(陽極酸化により配向膜を形成しようとする基板)の模式的断面図である。図1に示すように、ガラス等の基板10上に透明電極であるITO電極11を形成し、このITO電極11上にAl(アルミ)膜13を形成する。例えば、純度99.9%のアルミニウムをスパッタ法で2000[オングストローム]の厚みで形成する。
【0018】
そして、Al膜13にAr(アルゴン)イオンビームを斜め上方向から照射する。例えば、照射角度θを30度とする。この照射は、基板10を図の右方向(矢印Bの方向)に移動させながら、Arイオンビームの出射位置は固定して行う。逆に、Arイオンビームの出射位置を水平移動させて、基板10の位置は固定して前記照射を行ってもよい。また、ある時点又は短時間でみたときに、Arイオンビームの照射位置がAl膜13表面で直線なすように(線光源)、かかる照射を行うこととしてもよい。また、この直線が基板10の移動方向(矢印Bの方向)に対して直交するように、かかる照射を行うこととしてもよい。
【0019】
Al膜13の表面は、Arイオンビームにより微細に削られ、イオンビーム照射方向(照射角度θ)に沿った例えば(昔の洗濯板のような)鋸歯状の溝が連続的に形成される。このようにして、Al膜13の表面に、イオンビームの照射方向に向かう異方的形状を付与する。
【0020】
図2は、本製造方法における多孔質処理の工程を示す図であり、ポーラス(多孔質)なアルミナ(Al)陽極酸化膜を作製する工程を模式的に示したものである。図2に示すように、Arイオンビームを照射したAl膜13についてアセトン等で脱脂処理を行った後、そのAl膜13について所定の電解液Eを用いて陽極酸化する。
【0021】
陽極酸化は、例えば以下の条件で行う。電解液Eの液温:20℃、印加電圧:直流10mA/dmを流す電圧V、陰極M2:白金(Pt)、陽極酸化時間:1時間。このような陽極酸化処理を行うと、Al膜13の表面には、電気分解反応によって微細な孔が、Al膜13の面に垂直に形成されていく。そして、反応の進行に伴って、Al膜13の表面にナノメートルスケールの小さな孔(ナノホール)が規則的に配列した酸化アルミニウムの薄い陽極酸化膜(配向膜)12が形成される。これは、酸化によって陽極酸化膜12の体積が増加し、これによって生じた膜中のストレスを緩和するように、前記孔が自己組織的に再配列されることによる。そして更に反応を進めていくと、前記孔は孔径を広げながら下層側に延びていき、最終的に、下地の層(ITO電極11)まで貫通したナノホールアレイが形成される。
【0022】
図3は、陽極酸化膜(配向膜)12の概略構造を示す模式斜視図である。この陽極酸化膜12は、セルと呼ばれる一定サイズの円柱状のアルミナ層Cが細密充填した構造からなる。各セルCの中心には均一な径の微細孔(ポア)Pが開孔しており、この微細孔PがAl膜面に垂直に配向して配列するという特異な幾何学構造となっている。各微細孔Pのピッチ(即ち、セルCのサイズ)、サイズ、深さ、下地のアルミニウムの残存率は、電解液Eの濃度、温度、陽極酸化時の電圧、電流密度、時間を変えることによって制御することができる。
【0023】
なお、基板10には、必要に応じて、画素スイッチング用の回路やカラーフィルタ等を形成することができる。Al膜13としては、他の金属膜として、タングステン(Ta)、チタン(Ti)、マグネシウム(Mg)等のいわゆるバルブ金属と呼ばれるものやその合金を使用することができる。中でもアルミニウムは規則的な細孔配列構造を形成し易いため、本例ではアルミニウムを用いている。また、前記電解液Eとしては、シュウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸等の弱酸性の電解液が好適である。本例では、0.3M(mol/l)の硫酸水溶液を用いている。
【0024】
図4は、本発明の第1実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。本液晶装置は図4に示すように、図1から図3で説明した方法を用いて、下側の基板10と上側の基板20とのITO電極11,21の上に、陽極酸化膜(配向膜)12,22を形成している。そして、これらの基板10,20を用いて空セルを作製し、この空セルの中にネマティック液晶LCを充填(例えば真空注入)する。以上により、図4に示す液晶装置(液晶セル)1が製造される。
【0025】
この配向膜12、22により、液晶LCの液晶分子をイオンビーム照射方向に傾斜配向をした状態とすることができる。この傾斜配向によるプレチルト角は、例えば水平線に対して89.5度から85度程度にすることができる。そして、液晶LCはセル内で均一な傾斜配向になっているため、電圧印加によってリバースチルトドメインの発生がなく、この液晶セルを2枚の偏光方向をクロスにした偏光板で挟み込めば、電圧OFF時に白表示、電圧ON時に黒表示を実現することができる。
【0026】
以上説明したように、本実施形態によれば、イオンビームの照射方向に異方的形状を付与した陽極酸化膜(配向膜)を使用することによって、ネマティック液晶を配向膜面に対して垂直から傾斜させて安定に配向させることができる。この傾斜配向によって電圧印加時の液晶の動作方向を決定することができるので、リバースチルトドメインなどの配向欠陥をなくすことができ、高画質の液晶装置を実現することができる。また、このポーラスアルミナ陽極酸化膜は無機膜であるため、従来技術の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れており、さらに異方的形状と徴細孔で液晶配向を実現しているので(微細な形状で液晶配向を実現)、液晶配向が安定している。このため、長寿命の液晶ディスプレイを実現することができる。
【0027】
なお、図1に示すArイオンビーム(線光源)の照射角度θは、液晶分子のプレチルト角(基板面からの角度)とは線形の関係(例えば正比例関係)にはならず、照射角度θと液晶分子のプレチルト角との関係は実験的に求めることができる。また、第1実施形態では、液晶分子の垂直配向からのチルト角を付与する例について示しているが、本発明は液晶分子の水平配向からのチルト角を付与する場合に同様に適用できるものである。
【0028】
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態について説明する。図5は、本発明の第2実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。本実施形態の液晶装置2は、ITO電極11,21上に酸化シリコン(SiO)膜14,24を介してイオンビームによる異方的形状付きアルミナ陽極酸化膜(配向膜)12,22を形成したガラス等の基板10,20で、液晶層を挟持した構成となっている。すなわち、本実施形態の液晶装置2における第1実施形態の液晶装置1との相違点は、ITO電極11,21と配向膜12,22との間に酸化シリコン膜14,24が形成されている点である。そして、本実施形態の液晶装置2においても第1実施形態と同様な方法で、異方的形状と微細孔を持つアルミナ陽極酸化皮膜として配向膜12,22を形成している。ただし、本実施形態では、陽極酸化における電解液として0.5M(mol/l)のシュウ酸(H)水溶液を用いた。
【0029】
図5において、上下基板間には、長軸方向の誘電率をε//短軸方向の誘電率をεとし、誘電率異方性が「Δε=ε//−ε>0」のネマティック液晶LCが真空注入されている。ネマティック液晶LCの液晶分子は電圧OFF時にITO電極11,21に対して平行から45度の角度で傾斜したチルト配向をしており、電圧ON時には誘電率異方性が正であるので基板とほぼ垂直になろうとする。この液晶装置2を2枚の偏光方向をクロスにした偏光板で挟み込めば、電圧OFF時に白表示、電圧ON時に黒表示を実現することができる。
【0030】
本実施形態によれば、液晶駆動用のITO電極11,21とイオンビームによる異方的形状付きのポーラスなアルミナ陽極酸化膜である配向膜12,22との間に酸化シリコン膜(SiO)14,24を形成することによって、陽極酸化時に電解液でITO電極11,21を溶解する恐れを回避することができる。つまり、ITO電極11,21の断線を防ぐことができる。
【0031】
さらに、本実施形態によれば、異方的形状構造と微細な孔を有する酸化膜12,22によって、ネマティック液晶を膜に対してチルト配向させることができる。この傾斜配向によって電圧印加時の液晶の動作方向を決定することができるので、リバースチルトドメインなどの配向欠陥をなくすことができ、高画質の液晶装置を実現することができる。このポーラスアルミナ陽極酸化膜である酸化膜12,22は無機膜であるため、従来技術の来液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れており、さらに微細孔及び微細な異方的形状で液晶配向膜を実現しているので(微細な形状で液晶配向を実現)液晶配向が安定している。このため、長寿命の液晶ディスプレイを実現することができる。
【0032】
図6は、本発明の第2実施形態の液晶装置2を3つ用いた3板式のカラー液晶プロジェクタの概略構成を示す図である。3つの液晶装置2は赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの光をスイッチングするのに用いられている。第2実施形態の液晶装置2を全ての色に用いても構わないし、また特に光のエネルギーが高い青(B)のみに用いてもよい。
【0033】
図6に示す液晶プロジェクタ100において、110は光源、113,114はダイクロイックミラー、115,116,117は反射ミラー、118は入射レンズ、119はリレーレンズ、120は出射レンズ、122,123,124は透過型液晶ライトバルブ、125はクロスダイクロイックプリズム、126は投射レンズを示す。
【0034】
光源110はメタルハライド等のランプ111とランプの光を反射するリフレクタ112とからなる。青色光、緑色光反射のダイクロイックミラー113は、光源110からの光束のうちの赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー117で反射されて、前記第2実施形態の液晶装置2を備えた赤色光用液晶ライトバルブ122に入射される。
【0035】
一方、ダイクロイックミラー113で反射された色光のうち緑色光は緑色光反射のダイクロイックミラー114によって反射され、前記第2実施形態の液晶装置2を備えた緑色光用液晶ライトバルブ123に入射される。
【0036】
なお、青色光は第2のダイクロイックミラー114も透過する。青色光に対しては、光路長が緑色光、赤色光と異なるのを補償するために、入射レンズ118、リレーレンズ119、出射レンズ120を含むリレーレンズ系からなる導光手段121が設けられ、これを介して青色光が前記第2実施形態の液晶装置2を備えた青色光用液晶ライトバルブ124に入射される。赤色光用液晶ライトバルブ122、緑色光用液晶ライトバルブ123、青色光用液晶ライトバルブ124の前後にはそれぞれ入射側偏光板と出射側偏光板が設置されている。入射側偏光板で直線偏光となった光は液晶ライトバルブにより変調された後、出射側偏光板を通過するが、この時決められた振動方向の光しか透過できないため調光が可能となる。
【0037】
各液晶ライトバルブと2枚の偏光板により調光された3つの色光はクロスダイクロイックプリズム125に入射する。このプリズムは4つの直角プリズムが貼り合わされ、その内面に赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とが十字状に形成されている。これらの誘電体多層膜によって3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投写光学系である投写レンズ126によってスクリーン127上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0038】
本例の投射型表示装置は、前記第2実施形態の液晶装置2を備えたものであるので、高画質な画像の投射を可能とすることができ、長寿命化を図ることもできる。なお、図6に示す例では、赤色光用、緑色光用、青色光用の各液晶ライトバルブに前記第2実施形態の液晶装置2を用いたが、係る液晶装置2は必ずしも全ての液晶ライトバルブに適用される必要はなく、少なくともいずれかの液晶ライトバルブに適用すれば、耐久性の向上を図ることができる。この場合、特に光のエネルギーが高い青色光用の液晶ライトバルブに適用するのが効果的である。
【0039】
プロジェクタのように非常に強い光が入射する液晶セルの配向膜を本実施形態の陽極酸化膜にすることによって、長寿命化を図ることができる。特に光のエネルギーが高い青(B)に用いれば、非常に効果が大きい。例えば、従来、ポリイミド有機膜を配向膜に用いた場合は2000時間程度であった寿命を10000時間以上にすることができる。
【0040】
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態について説明する。図7は、本発明の第3実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。本実施形態の液晶装置3は、上側の基板20にはITO電極21上に垂直配向性のポリイミド有機膜25を形成し、下側の基板10にはAl反射電極15の表面にイオンビームによる微小な異方的形状を有する陽極酸化膜(配向膜)12を形成した基板を用いている。ここで、陽極酸化膜(配向膜)12の形成は、第1実施形態と同様な方法により、異方的形状と微細孔を持つアルミナ陽極酸化皮膜としている。
【0041】
上下の基板10,20間には、長軸方向の誘電率をε//短軸方向の誘電率をεとし、誘電率異方性が「Δε=ε//−ε>0」のネマティック液晶LCが真空注入されている。ネマティック液晶LCの液晶分子は電圧OFF時にITO電極21に対して垂直に配向し、かつ反射電極15に対しては傾斜配向している(このような配向をハイブリッド配向と呼ぶ)。電圧ON時には、この液晶分子は誘電率異方性が正であるので、基板10,20と垂直になろうとする。この液晶装置3を2枚の偏光方向をクロスにした偏光板で挟み込めば、電圧OFF時に白表示、電圧ON時に黒表示を実現することができる。
【0042】
このように、陽極酸化によってAl反射電極15の表面に微細な異方的形状付きのアルミナ陽極酸化膜(配向膜12)を形成すれば、別途陽極酸化するためにAl層を用意する必要がない。また、従来のようにポリイミド有機膜を形成する必要がない。
【0043】
さらに、本実施形態によれば、異方的形状構造と微細な孔を有するアルミナ陽極酸化膜によってネマティック液晶を膜に対してチルト配向させることができる。また、このポーラスアルミナ陽極酸化膜(配向膜12)は無機膜であるため、従来技術の液晶装置で用いられているポリイミド有機膜よりも耐溶剤性、耐光性などの信頼性が優れている。さらにまた、微細孔及び微細な異方的形状で液晶配向膜を実現しているので(微細な形状で液晶配向を実現)液晶配向が安定している。このため、長寿命の液晶ディスプレイを実現することができる。
【0044】
図8は、本発明の第3実施形態の液晶装置3を3つ用いた3板式のカラー液晶プロジェクタの概略構成を示す図である。3つの液晶装置3は赤(R)、緑(G)、青(B)のそれぞれの光をスイッチングするのに用いられている。本発明の第3実施形態の液晶装置3を全ての色に用いても構わないし、また特に光のエネルギーが高い青(B)のみに用いてもよい。
【0045】
図8に示す液晶プロジェクタ200は、システム光軸Lに沿って配置した光源部210,インテグレータレンズ220、偏光変換素子230から概略構成される偏光照明装置201、この偏光照明装置201から出射されたS偏光光束をS偏光光束反射面241により反射させる偏光ビームスプリッタ240、偏光ビームスプリッタ240のS偏光光束反射面241から反射された光のうち、青色光(B)の成分を分離するダイクロックミラー242、分離された青色光(B)を変調する反射型液晶ライトバルブ245B、青色光が分離された後の光束のうち、赤色光(R)の成分を反射させて分離するダイクロックミラー243、分離された赤色光(R)を変調する反射型液晶ライトバルブ245R、ダイクロックミラー243を通過する残りの光の緑色光(G)を変調する反射型液晶ライトバルブ245G、3つの反射型液晶ライトバルブ245R,245G,245Bにて変調された光をダイクロックミラー243,242、偏光ビームスプリッタ240にて合成し、この合成光をスクリーン260に投写する投写レンズからなる投写光学系250から構成されている。前記3つの反射型液晶ライトバルブ245R,245G,245Bには、それぞれ前述の第3実施形態で説明した液晶装置3が用いられている。
【0046】
光源部210から出射されたランダムな偏光光束は、インテグレータレンズ220により複数の中間光束に分割された後、第2のインテグレータレンズを光入射側に有する偏光変換素子230により偏光光束がほぼ揃った一種類の偏光光束(S偏光光束)に変換されてから偏光ビームスプリッタ240に至るようになっている。偏光変換素子230から出射されたS偏光光束は、偏光ビームスプリッタ240のS偏光光束反射面241によって反射され、反射された光束のうち、青色光(B)の光束がダイクロックミラー242の青色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ245Bによって変調される。また、ダイクロックミラー242の青色光反射層を透過した光束のうち、赤色光(R)の光束はダイクロックミラー243の赤色光反射層にて反射され、反射型液晶ライトバルブ245Rによって変調される。一方、ダイクロックミラー243の赤色光反射層を透過した緑色光(G)の光束は反射型液晶ライトバルブ245Gにより変調される。以上のようにして反射型液晶ライトバルブ245R,245G,245Bによって色光の変調がなされる。
【0047】
これらの液晶パネルの画素から反射された色光のうち、S偏光成分はS偏光を反射する偏光ビームスプリッタ240を通過せず、P偏光成分は通過する。この偏光ビームスプリッタ240を透過した光により画像が形成される。
【0048】
本例の投射型表示装置は、前記第3実施形態の液晶装置3を備えたものであるので、高画質な画像の投射を可能とすることができ、長寿命化を図ることもできる。なお、図8に示す例では、赤色光用、緑色光用、青色光用の各液晶ライトバルブに前記第3実施形態の液晶装置3を用いたが、係る液晶装置3は必ずしも全ての液晶ライトバルブに適用される必要はなく、少なくともいずれかの液晶ライトバルブに適用すれば、耐久性の向上を図ることができる。この場合、特に光のエネルギーが高い青色光用の液晶ライトバルブに適用するのが効果的である。
【0049】
プロジェクタのように非常に強い光が入射する液晶セルの配向膜を本実施形態の陽極酸化膜にすることによって、長寿命化を図ることができる。特に光のエネルギーが高い青(B)に用いれば、非常に効果が大きい。例えば、従来、ポリイミド有機膜を配向膜に用いた場合は2000時間程度であった寿命を10000時間以上にすることができる。
【0050】
以上、本発明の第3実施形態について説明したが、第3実施形態の液晶装置3では、上側基板の配向膜にポリイミド有機膜25を用いたが、さらに長寿命化を図るためには、上側基板の配向膜にもアルミナ陽極酸化膜(配向膜12)を用いる方が望ましい。
【0051】
[第4実施形態]
図9は、上記第1から第3実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを搭載した電子機器の一例を示す図である。図9(a)に示す携帯電話300は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部301として備えて構成されている。図9(b)に示す腕時計310は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部311として備えて構成されている。図9(c)に示すパーソナルコンピュータ320は、上記実施形態の液晶装置1,2,3のいずれかを表示部321として備えて構成されている。
【0052】
このような構成により、高画質かつ寿命の長い液晶表示部を備えた電子機器を提供することができる。すなわち、本発明の実施形態に係る液晶装置及び電子機器は、微細な形状で液晶分子を配向させる無機膜を採用しているので、太陽光などの強い光のもとでも、長寿命の表示装置を実現することができる。
【0053】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。例えば、前記各実施形態の液晶装置は、前述した例に限らず、その他の種々の電子機器に搭載することができる。この電子機器としては例えば、電子ブック、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等があり、前記液晶装置はこれらの画像表示手段として好適に用いることができる。また、上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0054】
例えば、上記実施形態の液晶装置1,2,3は、アクティブマトリクス型若しくはパッシブ型のいずれの構造をとってもよい。アクティブマトリクス型の構造を採る場合には、画素スイッチング素子として、TFT(Thin Film Transistor;三端子素子)又はMIM構造を有するTFD(Thin Film Diode;二端子素子)のいずれを用いることもできる。また、上記実施形態の液晶装置1,2,3は、透過型若しくは反射型のいずれの構造であってもよく、さらに、これらの基板には必要に応じてカラーフィルタを設けた構成としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液晶装置の製造方法を示す模式断面図である。
【図2】同上の製造方法における多孔質処理の工程を示す図である。
【図3】同上の液晶装置の配向膜(陽極酸化膜)の構造を模式的に示す斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。
【図6】同上の液晶装置を用いた投射型表示装置の一例を示す図である。
【図7】本発明の第3実施形態に係る液晶装置を示す模式断面図である。
【図8】同上の液晶装置を用いた投射型表示装置の一例を示す図である。
【図9】本発明の実施形態に係る電子機器の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1,2,3…液晶装置、10,20…基板、11,21…ITO電極、12,22…陽極酸化膜(配向膜)、13…Al(アルミ)膜、14,24…酸化シリコン(SiO)膜





 

 


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