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発明の名称 液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−33966(P2007−33966A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−218383(P2005−218383)
出願日 平成17年7月28日(2005.7.28)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 山田 周平
要約 課題
良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置を提供する。

解決手段
本発明の液晶装置は、液晶を保持する一対の基板10,20と、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に設けられた斜方蒸着膜と、前記斜方蒸着膜の表面に有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜19,29とを有する液晶装置であって、前記液晶装置の動作時において、前記斜方蒸着膜の表面温度が領域により異なり、前記被膜19,29は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域(被膜19a,29aが形成された領域)には、最も表面温度が高い領域(被膜19b,29bが形成された領域)に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
液晶を保持する一対の基板と、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に設けられた斜方蒸着膜と、前記斜方蒸着膜の表面に有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜とを有する液晶装置であって、
前記液晶装置の動作時において、前記斜方蒸着膜の表面温度が領域により異なり、
前記被膜は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域には、最も表面温度が高い領域に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されていることを特徴とする、液晶装置。
【請求項2】
複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、
前記画像表示領域は、前記液晶装置の動作時おいて、前記画像表示領域の周辺部が最も表面温度が低くなり、前記画像表示領域の中央部が最も表面温度が高くなり、
前記被膜は、前記表面温度の最も低くなる領域には、前記表面温度が最も高くなる領域に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されされていることを特徴とする、請求項1記載の液晶装置。
【請求項3】
複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、
前記画素間の領域には遮光膜が設けられ、
前記画素間の領域又は画素内の領域の一方が最も表面温度が低くなり、他方が最も表面温度が高くなり、
前記被膜は、前記表面温度の最も低くなる領域には、前記表面温度が最も高くなる領域に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の液晶装置。
【請求項4】
液晶を保持する一対の基板と、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に設けられた斜方蒸着膜と、前記斜方蒸着膜の表面に有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜とを有する液晶装置であって、
前記液晶装置の動作時において、前記斜方蒸着膜の表面温度が領域により異なり、
前記被膜は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域に設けられ、最も高い領域には設けられていないことを特徴とする、液晶装置。
【請求項5】
複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、
前記画像表示領域は、前記液晶装置の動作時おいて、前記画像表示領域の周辺部が最も表面温度が低くなり、前記画像表示領域の中央部が最も表面温度が高くなり、
前記被膜は、最も表面温度の低い前記画像表示領域の周辺部に設けられ、最も表面温度の高い前記画像表示領域の中央部には設けられていないことを特徴とする、請求項4記載の液晶装置。
【請求項6】
複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、
前記画素間の領域には遮光膜が設けられ、
前記液晶装置の動作時おいて、前記画素間の領域又は画素内の領域の一方が最も表面温度が低くなり、他方が最も表面温度が高くなり、
前記被膜は、最も表面温度の低い前記一方の領域に設けられ、最も表面温度の高い前記他方の領域には設けられていないことを特徴とする、請求項4又は5記載の液晶装置。
【請求項7】
基板の表面に斜方蒸着膜を形成する工程と、前記斜方蒸着膜の表面を有機表面処理材料を含有する処理液によって処理し、前記斜方蒸着膜の表面に前記有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜を形成する工程とを有する液晶装置の製造方法であって、
前記処理液による処理は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域に、最も表面温度が高い領域に使用する前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料を使用することを特徴とする、液晶装置の製造方法。
【請求項8】
基板の表面に斜方蒸着膜を形成する工程と、前記斜方蒸着膜の表面を有機表面処理材料を含有する処理液によって処理し、前記斜方蒸着膜の表面に前記有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜を形成する工程とを有する液晶装置の製造方法であって、
前記処理液による処理は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域に対して行なわれ、最も高い領域に対しては行なわれないことを特徴とする、液晶装置の製造方法。
【請求項9】
請求項1〜6のいずれかの項に記載の液晶装置又は請求項7若しくは8記載の液晶装置の製造方法により製造されてなる液晶装置を備えたことを特徴とする、電子機器。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法、電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、液晶装置は一対の基板間に液晶を挟持した構成を備えており、前記液晶と当接する前記基板の内面には、液晶の初期配向状態を制御するための配向膜が形成されている。このような配向膜としては、ポリイミド等の有機配向膜が一般的であるが、耐熱性、耐光性の点で十分なものとはいえなかった。そこで、光や熱の影響を受けにくい配向膜として、酸化シリコン等の無機材料からなる無機配向膜を用いることが提案されている。
【0003】
無機配向膜は、一般に斜方蒸着法により形成される。斜方蒸着膜は、複数の細孔を有し、その表面および細孔の内面には、分極した水酸基が多数存在している。この水酸基は、ブレンステッド酸点として活性があり、液晶分子や液晶装置に含まれる不純物、特に極性基を持つ化合物を吸着したり反応したりし易い。ここで、不純物には、シール剤中の不純物および未反応成分、液晶層中の不純物および水分、製造過程で付着した汚れ等が含まれる。斜方蒸着膜の表面に不純物が吸着したり、反応したりすると、表面の形状や極性が変化して垂直アンカリング力が低下し、液晶分子が配向異常を起こすことが知られている。また、直接液晶分子が水酸基と化学反応をすることも知られている。そこで、斜方蒸着膜の表面改質を行なう方法として、斜方蒸着膜の表面の水酸基を高級アルコールで処理する方法が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特開平5−203958号公報
【特許文献2】特開平11−160711号公報
【特許文献3】特開2000−47211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1〜3には、酸化シリコンの斜方蒸着膜の表面を高級アルコールやシランカップリング剤等の有機表面処理材料で処理した配向膜が開示されている。これらの処理は、配向規制力の弱い斜方蒸着膜の配向を安定させることを目的としている。しかしながら、このような有機表面処理材量は、配向力に優れる反面、熱や光に弱く、長期間の使用によってその配向力が次第に低下してしまうという問題がある。すなわち、有機表面処理材料は分子量が大きくなるほど高い配向規制力を示すが、分子量が大きくなりすぎると、プロジェクタ等のように強い光が照射される環境下では信頼性の低下を招いてしまう。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、良好な配向特性と高い信頼性とを兼ね備えた液晶装置及びその製造方法を提供することを目的とする。また、このような液晶装置を備えることにより、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えた電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶装置は、液晶を保持する一対の基板と、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に設けられた斜方蒸着膜と、前記斜方蒸着膜の表面に有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜とを有する液晶装置であって、前記液晶装置の動作時において、前記斜方蒸着膜の表面温度が領域により異なり、前記被膜は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域には、最も表面温度が高い領域に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されていることを特徴とする。ここで、前記有機表面処理材料としては、アルコールやシランカップリング材等の種々の材料が適用可能である。
一般に、アルキル基の長い材料は、液晶に対するアンカリング力が大きく、高い配向規制力が得られるが、強い光に対して分解され易くなるため、信頼性の面で劣る。一方、アルキル基の短い材料は、光に対する信頼性は高いが、アンカリング力が小さくなるため、配向規制力は弱い。本発明では、このような特性を利用して、それぞれの領域毎に適切な材料を選択している。このため、液晶装置全体として、十分な配向特性と信頼性を実現することができる。この場合、表面温度の高い領域では配向規制力は弱くなるが、周囲に配向規制力の強い領域(表面温度の低い領域)が存在するので、その影響によって、表面温度の高い領域においても良好な配向特性を実現することができる。一般に、配向特性と信頼性とはトレードオフの関係となるため、両方の特性を同時に実現することはできなかったが、本発明では、これらの特性を別々の領域で実現させることで、両方の特性を同時に満たすことが可能となっている。
【0006】
本発明においては、複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、前記画像表示領域は、前記液晶装置の動作時おいて、前記画像表示領域の周辺部が最も表面温度が低くなり、前記画像表示領域の中央部が最も表面温度が高くなり、前記被膜は、前記表面温度の最も低くなる領域には、前記表面温度が最も高くなる領域に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されされているものとすることができる。
この構成によれば、画像表示領域の中央部のみで極端に被膜の劣化が進むことにより、被膜全体が不良とされることがなくなり、結果として、液晶装置全体としての寿命を延ばすことができる。
また、液晶装置の周辺部では、水分の侵入やシール材からの溶出成分により、中央部よりも早く配向が乱れる傾向にあるが、本発明においては画像表示領域の周辺部が中央部に比べて配向特性の良好な状態に形成されるため、このような不具合は生じにくくなる。
【0007】
本発明においては、複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、前記画素間の領域には遮光膜が設けられ、前記画素間の領域又は画素内の領域の一方が最も表面温度が低くなり、他方が最も表面温度が高くなり、前記被膜は、前記表面温度の最も低くなる領域には、前記表面温度が最も高くなる領域に使用される前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料が使用されされているものとすることができる。
この構成によれば、画素間の領域と画素内の領域の被膜の寿命を同程度とすることができる。このため、画素内の領域のみ又は画素間の領域のみで極端に被膜の劣化が進むことにより、被膜全体が不良とされることがなくなり、結果として、液晶装置全体としての寿命を延ばすことができる。
【0008】
本発明の液晶装置は、液晶を保持する一対の基板と、前記一対の基板のうち少なくとも一方の基板に設けられた斜方蒸着膜と、前記斜方蒸着膜の表面に有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜とを有する液晶装置であって、前記液晶装置の動作時において、前記斜方蒸着膜の表面温度が領域により異なり、前記被膜は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域に設けられ、最も高い領域には設けられていないことを特徴とする。
この構成によれば、表面温度の低い領域にのみ表面処理を施す構成としているので、信頼性の面で従来よりも高い特性が得られるようになる。一方、表面温度の高い領域では配向規制力は弱くなるが、周囲に配向規制力の強い領域(表面温度の低い領域)が存在するので、その影響によって、表面温度の高い領域においても良好な配向特性を実現することができる。このため、本発明においても良好な配向特性と高い信頼性を兼ね備えた液晶装置を提供することができる。
【0009】
本発明においては、複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、前記画像表示領域は、前記液晶装置の動作時おいて、前記画像表示領域の周辺部が最も表面温度が低くなり、前記画像表示領域の中央部が最も表面温度が高くなり、前記被膜は、最も表面温度の低い前記画像表示領域の周辺部に設けられ、最も表面温度の高い前記画像表示領域の中央部には設けられていないものとすることができる。
この構成によれば、画像表示領域の中央部のみで極端に被膜の劣化が進むことにより、被膜全体が不良とされることがなくなり、結果として、液晶装置全体としての寿命を延ばすことができる。
また、液晶装置の周辺部では、水分の侵入やシール材からの溶出成分により、中央部よりも早く配向が乱れる傾向にあるが、本発明においては画像表示領域の周辺部が中央部に比べて配向特性の良好な状態に形成されるため、このような不具合は生じにくくなる。
【0010】
本発明においては、複数の画素が配列されてなる画像表示領域を有し、前記画素間の領域には遮光膜が設けられ、前記液晶装置の動作時おいて、前記画素間の領域又は画素内の領域の一方が最も表面温度が低くなり、他方が最も表面温度が高くなり、前記被膜は、最も表面温度の低い前記一方の領域に設けられ、最も表面温度の高い前記他方の領域には設けられていないものとすることができる。
この構成によれば、画素内の領域のみ又は画素間の領域のみで極端に被膜の劣化が進むことにより、被膜全体が不良とされることがなくなり、結果として、液晶装置全体としての寿命を延ばすことができる。
【0011】
本発明の液晶装置の製造方法は、基板の表面に斜方蒸着膜を形成する工程と、前記斜方蒸着膜の表面を有機表面処理材料を含有する処理液によって処理し、前記斜方蒸着膜の表面に前記有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜を形成する工程とを有する液晶装置の製造方法であって、前記処理液による処理は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域に、最も表面温度が高い領域に使用する前記有機表面処理材料に対し相対的にアルキル基の長い前記有機表面処理材料を使用することを特徴とする。
この方法によれば、表面温度の高い領域と表面温度の低い領域に対してそれぞれ適切な有機表面処理材料を選択することで、良好な配向特性と高い信頼性を兼ね備えた液晶装置を提供することができる。
【0012】
本発明の液晶装置の製造方法は、基板の表面に斜方蒸着膜を形成する工程と、前記斜方蒸着膜の表面を有機表面処理材料を含有する処理液によって処理し、前記斜方蒸着膜の表面に前記有機表面処理材料を化学結合させてなる被膜を形成する工程とを有する液晶装置の製造方法であって、前記処理液による処理は、前記液晶装置の動作時における前記斜方蒸着膜の表面温度の最も低い領域に対して行なわれ、最も高い領域に対しては行なわれないことを特徴とする。
この方法によれば、表面温度の低い領域にのみ表面処理を施す構成としているので、信頼性の面で従来よりも高い特性が得られるようになる。一方、表面温度の高い領域では配向規制力は弱くなるが、周囲に配向規制力の強い領域(表面温度の低い領域)が存在するので、その影響によって、表面温度の高い領域においても良好な配向特性を実現することができる。このため、本発明においても良好な配向特性と高い信頼性を兼ね備えた液晶装置を提供することができる。
【0013】
本発明の電子機器は、前述した本発明の液晶装置又は前述した本発明の液晶装置の製造方法により製造されてなる液晶装置を備えたことを特徴とする。
この構成によれば、良好な表示特性と高い信頼性とを兼ね備えた電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態を説明する。
以下の実施の形態では、薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor;TFT)を画素スイッチング素子として備えたアクティブマトリクス型の液晶装置を例に挙げて説明する。この液晶装置は、例えばプロジェクタのライトバルブ(光変調手段)として用いられるものである。なお、以下の説明に用いた各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0015】
[第1の実施の形態]
[液晶装置の構成]
図1は、本実施形態の液晶装置100を各構成要素とともに対向基板の側から見た平面図であり、図2は、図1のH−H’線に沿う断面図である。
図1および図2に示すように、本実施の形態の液晶装置100は、互いに対向して配置されたTFTアレイ基板10と対向基板20とを備えている。また、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、互いに対向する面の周縁部に矩形枠状に設けられたシール材52により貼り合わされており、前記両基板10,20とシール材52とに囲まれる領域(セルギャップ内)に、電気光学物質である液晶50が封入(保持)されている。
【0016】
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる遮光膜(周辺見切り)53が形成されており、この遮光膜53の内側の領域には、複数の画素が平面視マトリクス状に配列された平面視矩形状の画像表示領域100Aが形成されている。シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201および外部回路実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域100Aの両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。また、対向基板20の角部においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的導通をとるための基板間導通材206が配設されている。
【0017】
なお、データ線駆動回路201および走査線駆動回路204をTFTアレイ基板10の上に形成する代わりに、例えば、駆動用LSIが実装されたTAB(Tape Automated Bonding)基板とTFTアレイ基板10の周辺部に形成された端子群とを異方性導電膜を介して電気的および機械的に接続するようにしてもよい。
また、液晶装置100においては、使用する液晶モードの種類、すなわち、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertical Alignment)モード、OCB(Optically Compensated Bend)モード、IPS(In Plain Switching)モード、STN(Super Twisted Nematic)モード等の動作モードや、ノーマリホワイトモード/ノーマリブラックモードの別に応じて、位相差板、偏光板等が所定の向きに配置されるが、ここでは図示を省略する。
【0018】
図3は、液晶装置100の画像表示領域100Aにおいてマトリクス状に形成された複数の画素100aにおける各種素子、配線等の等価回路を示す図である。
図3に示すように、画像表示領域100Aには、複数の画素100aがマトリクス状に形成されているとともに、これらの画素100aの各々には、画素スイッチング用のTFT30が形成されており、画素信号S1、S2、…、Snを供給するデータ線6aがTFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画素信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次で供給してもよく、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。また、TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmをこの順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画素信号S1、S2、…、Snを各画素に所定のタイミングで書き込む。このようにして画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画素信号S1、S2、…、Snは、図2に示す対向基板20の対向電極21との間で一定期間保持される。また、保持された画素信号S1、S2、…、Snがリークするのを防ぐために、画素電極9と対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量60が付加されている。符号3bは蓄積容量60を構成する容量線である。
【0019】
次に、図4および図5に基づいて、本実施形態の液晶装置のTFTアレイ基板の画素部の構造について詳細に説明する。図4は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図5は図4のA−A’線に沿う断面図である。
図4に示すように、液晶装置100のTFTアレイ基板10上には、マトリクス状に複数の透明な画素電極9(点線部9aにより輪郭が示されている)が設けられており、画素電極9の縦横の境界に各々沿ってデータ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。データ線6aは、コンタクトホール5を介してポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち後述のソース領域に電気的に接続されており、画素電極9は、コンタクトホール8を介して半導体層1aのうち後述のドレイン領域に電気的に接続されている。画素電極ピッチは、20μm程度以下、好ましくは15μm程度以下とされている。また、半導体層1aのうち後述のチャネル領域(図中右上がりの斜線の領域)に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3a自体がゲート電極として機能する。
【0020】
容量線3bは、走査線3aに沿ってほぼ直線状に伸びる本線部(すなわち、平面的に見て、走査線3aに沿って形成された第1領域)と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って前段側(図中上向き)に突出した突出部(すなわち、平面的に見て、データ線6aに沿って延設された第2領域)とを有している。そして、図4中右上がりの斜線で示した領域には、複数の第1遮光膜11aが設けられている。より具体的には、第1遮光膜11aは、画素部において半導体層1aのチャネル領域を含むTFTをTFTアレイ基板の側から見て覆う位置に設けられており、さらに、容量線3bの本線部に対向して走査線3aに沿って直線状に伸びる本線部と、データ線6aと交差する箇所からデータ線6aに沿って隣接する後段側(図中下向き)に突出した突出部とを有している。第1遮光膜11aの各段(画素行)における下向きの突出部の先端は、データ線6a下において次段における容量線3bの上向きの突出部の先端と重なっている。この重なった箇所には、第1遮光膜11aと容量線3bとを相互に電気的に接続するコンタクトホール13が設けられている。すなわち、本実施の形態では、第1遮光膜11aは、コンタクトホール13により前段あるいは後段の容量線3bに電気的に接続されている。
【0021】
次に断面構造を見ると、図5に示すように、本実施の形態の液晶装置は、一対の透明基板を有しており、その一方の基板をなすTFTアレイ基板10と、これに対向配置された他方の基板をなす対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10には、例えばインジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide, 以下、ITOと略記する)等の透明導電性膜からなる画素電極9が設けられ、TFTアレイ基板10上の各画素電極9に隣接する位置に、各画素電極9をスイッチング制御するTFT30が設けられている。TFT30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁する絶縁薄膜2、データ線6a、半導体層1aの低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1dおよび高濃度ドレイン領域1eを備えている。
【0022】
また、上記走査線3a上、絶縁薄膜2上を含むTFTアレイ基板10上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール5および高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が各々形成された第2層間絶縁膜4が形成されている。つまり、データ線6aは、第2層間絶縁膜4を貫通するコンタクトホール5を介して高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。さらに、データ線6a上および第2層間絶縁膜4上には、高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール8が形成された第3層間絶縁膜7が形成されている。つまり、高濃度ドレイン領域1eは、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7を貫通するコンタクトホール8を介して画素電極9に電気的に接続されている。これら第3層間絶縁膜7や画素電極9は配向膜16の下地層となっている。
【0023】
また、ゲート絶縁膜となる絶縁薄膜2を走査線3aの一部からなるゲート電極に対向する位置から延設して誘電体膜として用い、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fとし、さらにこれらに対向する容量線3bの一部を第2蓄積容量電極とすることにより、蓄積容量60が構成されている。
【0024】
また、TFTアレイ基板10表面の各画素スイッチング用TFT30に対応する位置には、第1遮光膜11aが設けられている。第1遮光膜11aとTFT30との間には、例えば高絶縁性ガラス、酸化シリコン膜、窒化シリコン膜等からなる第1層間絶縁膜(絶縁体層)12が設けられている。さらに、第1層間絶縁膜12は、TFTアレイ基板10の全面に形成されており、第1遮光膜111パターンの段差を解消するために表面を研磨し、平坦化処理を施してある。
【0025】
他方、対向基板20には、TFTアレイ基板10上のデータ線6a、走査線3a、画素スイッチング用TFT30の形成領域に対向する領域、すなわち各画素部の開口領域以外の領域に第2遮光膜23が設けられている。さらに、第2遮光膜23上を含む対向基板20上には、その全面にわたって対向電極(共通電極)21が設けられている。対向電極21もTFTアレイ基板10の画素電極9と同様、ITO膜等の透明導電性膜から形成されている。第2遮光膜23の存在により、対向基板20の側からの入射光が画素スイッチング用TFT30の半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域領域1b、低濃度ドレイン領域1cに侵入することはない。
【0026】
TFTアレイ基板10の画素スイッチング用TFT30、データ線6a及び走査線3aの形成領域にあたる第3層間絶縁膜7上及び画素電極9上には、配向膜16が形成されている。この配向膜16は、斜方蒸着法により形成された無機酸化物膜(斜方蒸着膜)を主体として構成されたものである。
【0027】
図6は、配向膜16が形成されている部分及びその近傍部分の斜方蒸着方向に沿った断面構造を模式的に示す図である。
図6に示すように、配向膜16は、斜方蒸着法により形成された無機酸化物膜16aと、この無機酸化物膜16aの表面を有機表面処理材料によって処理することによって形成された被膜19とを備えている。本実施形態では、有機表面処理材料として後述のようなアルコールを用いているが、この代わりにシランカップリング材等を用いても構わない。斜方蒸着法とは、対象となる基板をある角度で固定して一方向から酸化シリコン等の無機材料を蒸着させ、基板に対して所定の角度で配列された柱状構造物(以下、カラムともいう)を成長させるものである。無機酸化物膜16aには、このようにして形成された多数のカラムが疎に形成されており、隣接するカラムの間に細孔16Hが空いた状態となっている。
【0028】
各細孔16Hの軸は、TFTアレイ基板10に対して傾斜した状態で一軸配向している。ここで、各細孔16Hの軸が一軸配向しているとは、大多数の細孔16Hの軸がほぼ等しい方向を向いていること(細孔16Hの軸の平均的な方向が制御されていること)をいい、複数の細孔16Hの中には、軸の方向が大多数のものと異なる方向を向いた細孔16Hが含まれていてもよい。このように、各細孔16Hが規則的に配列していることにより、無機酸化物膜16aは、高い構造規則性を有している。
このような高い構造規則性を有する無機酸化膜は一般的には斜方蒸着法により得られるが、イオンビームスパッタ法を用いて基板の斜め方向から成膜させる方法や、平坦な無機酸化膜に斜め方向からイオンビームを照射させることによっても得られる。基板に対して傾斜した状態で一軸配向した細孔が存在し、高い構造規則性を有している無機酸化膜であれば良い。
【0029】
図5に戻り、TFTアレイ基板10側の配向膜16と対向する位置にあたる対向基板20の対向電極21上にも、同様の材料からなる配向膜22が設けられている。この配向膜22も、配向膜16と同様、第2遮光膜23や対向電極21等を形成した対向基板20に、上記と同様に酸化シリコン等の斜方蒸着膜からなる無機酸化物膜22aを形成し、この無機酸化物膜22aの表面に被膜29を形成することにより形成されたものである。
【0030】
再び図6に戻る。このような構成により、液晶層50が含有する液晶分子50aは、垂直配向(ホメオトロピック配向)し易くなる。したがって、このような構成の配向膜16,22は、VA(Vertical Alignment:垂直配向)型の液晶パネルの構築に有用である。また、配向膜16,22が高い構造規則性を有することから、液晶分子50aの配向方向もより正確に一定方向(垂直方向)に揃うようになり、その結果、液晶装置100の性能の向上も図ることができる。
【0031】
なお、無機酸化物膜16a,22aの細孔と基板10,20の上面とのなす角度θは、特に限定されないが、30〜70°程度であるのが好ましく、40〜60°程度であるのがより好ましい。これにより、液晶分子50aを所定のプレチルト角θでプレチルトさせた状態で確実に垂直配向させることができる。
【0032】
無機酸化物膜16a,22aは、無機酸化物を主材料として構成された膜である。一般に、無機材料は、有機材料に比べて、優れた化学的安定性(光安定性)を有している。このため、無機酸化物膜16a,22aは、有機材料で構成された配向膜に比べて、特に優れた耐光性を有するものとなる。
【0033】
また、無機酸化物膜16a,22aを構成する無機酸化物は、その誘電率が比較的低いものが好ましい。これにより、液晶装置100において焼き付き等をより効果的に防止することができる。
【0034】
このような無機酸化物としては、例えば、SiO、SiOのようなシリコン酸化物、Al、MgO、TiOTiO、In,Sb,Ta、Y、CeO、WO、CrO、GaO、HfO、Ti、NiO、ZnO、Nb、ZrO、Ta等の金属酸化物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、特に、SiOまたはAlを主成分とするものが好ましい。SiOやAlは、誘電率が特に低く、かつ、高い光安定性を有する。
【0035】
このような無機酸化物膜16a,22aの少なくとも表面(本実施形態では、表面および細孔の内面)に沿って、被膜19,29が形成されている。この被膜19,29は、後述する処理液を用いて無機酸化物膜16a,22aを処理することにより形成された膜、すなわち、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に存在する活性な水酸基と、アルコール(有機表面処理材料)が有する水酸基とが化学反応(脱水縮合反応)して形成された膜であり、アルコールの主骨格部分を主としてなる膜である。
【0036】
被膜19,29を形成することにより、無機酸化物膜16a,22aに存在する活性な水酸基の数を減少させることができ、無機酸化物膜16a,22aに対して各種不純物が付着することや、無機酸化物膜16a,22aが液晶分子と反応すること等を防止することができる。このため、例えば、配向膜16,22の液晶分子に対する垂直アンカリング力の低下等を防止することができ、結果として、液晶分子に配向異常が生じるのを防止する(すなわち配向を安定化させる)ことができる。特に、本実施形態では、細孔の内面に存在する水酸基にもアルコールが化学結合しているため、前記効果がより顕著となる。
【0037】
図7は、液晶装置100を構成する2枚の基板の平面図である。図7(a)及び図7(b)は、それぞれTFTアレイ基板10側の被膜19の構成及び対向基板20側の被膜29の構成を示している。
【0038】
図7に示すように、各基板10,20には、画像表示領域周辺部の矩形枠状の領域に被膜19a,29aが形成され、その内側である画像表示領域中央部の矩形状の領域に被膜19b、29bが形成されている。これらは、画像表示領域100Aの中央部と周辺部の無機酸化物膜に、それぞれ異なる表面処理を施すことによって形成されたものである。この表面処理の違いは、モジュール動作時(液晶装置100を含むプロジェクタの表示動作中)における無機酸化物膜の表面温度の分布に基づいている。すなわち、プロジェクタ用の液晶装置では、画像表示領域100Aの周辺部に対して中央部の光の強度が5%〜15%程度高くなっている。また、液晶装置の冷却は全面に風を送ると同時に液晶装置周辺部に取り付けられる枠からも行われるため、これに伴って、配向膜の表面温度も中央部が周辺部よりも高くなっている。液晶装置全体で見ると、画像表示領域100Aの中心部で最も表面温度が高く、外周部に向かうにつれて表面温度が低くなり、画像表示領域100Aの最外周部近傍又はその外側の領域で最も表面温度が低くなっている。一般に有機物の光劣化は温度が10℃上昇すると1.5〜3倍程度速くなるため、表面温度の異なる領域に対して共通の表面処理を施すと、表面温度の高い領域で被膜の劣化が速く進み、他の部分では劣化していなくても、被膜全体として不良と判断されてしまう。そのため、本実施形態では、モジュール動作時における配向膜の表面温度の違いに応じて、使用する有機表面処理材料を異ならせ、それぞれの領域毎に温度条件に最も適した材料を選択するようにしている。
【0039】
具体的には、無機酸化物膜に化学結合される被膜のアルキル基の長さを調節することによって、領域毎に適切な特性が得られるようにしている。一般に、アルキル基の長い材料は、液晶に対するアンカリング力が大きく、高い配向規制力が得られるが、強い光に対して分解され易くなるため、信頼性の面で劣る。一方、アルキル基の短い材料は、光に対する信頼性は高いが、アンカリング力が小さくなるため、配向規制力は弱い。このため、モジュール動作時の配向膜の表面温度が相対的に低くなる画像表示領域100Aの周辺部(表面温度が最も低くなる画像表示領域100Aの最外周部近傍又はその外側の領域を含む領域)では、配向規制力の強化を図る観点から、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコール(有機表面処理材料)の被膜19a,29aとして、アルキル基の長いものが選択されている。一方、モジュール動作時の配向膜の表面温度が相対的に高くなる画像表示領域の中央部(表面温度が最も高くなる画像表示領域100Aの中心部を含む領域)では、配向の長期信頼性を向上させる観点から、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコール(有機表面処理材料)の被膜19b,29bとして、アルキル基の短いものが選択されている。この場合、被膜19b,29bが形成された画像表示領域100Aの中央部において配向規制力が弱くなるが、この部分の液晶分子は、配向規制力の強い画像表示領域100Aの周辺部からの配向の影響を受けるため、配向特性が極端に悪くなることはない。
【0040】
なお、表面温度の高い領域と表面温度の低い領域の被膜のアルコールには、それらの平均的なアルキル基の長さに差が存在していれば良く、アルコールとしては、高分子量のアルコールと低分子量のアルコールとを適宜組み合わせるようにしてもよい。特に、高分子量のアルコールを用いるべき画像表示領域周辺部において低分子量のアルコールを組み合わせて用いると、高分子量のアルコール同士の間の水酸基や、細孔の奥に存在する水酸基にもアルコールを化学結合させることができ、無機酸化物膜16a,22aに残存する水酸基をより確実に減少させることができるという利点がある。
【0041】
表面温度の低い領域に形成される被膜19a,29aのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が5以上のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、100〜400程度であるのが好ましく、120〜400程度であるのがより好ましい。このような炭素数及び平均分子量のものを用いることにより、良好な配向安定性が得られるようになる。また、液晶分子に対する親和性がより高いため、液晶分子に対する垂直アンカリング力を確実に増大させることができる。
【0042】
このようなアルコールとしては、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、脂環アルコール、複素環アルコール、多価アルコールまたはこれらのハロゲン置換体(特に、フッ素置換体)が挙げられるが、これらの中でも、脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはそのフッ素置換体(フルオロアルコール)が好ましい。脂肪族アルコール、脂環アルコールまたはそのフッ素置換体を用いることにより、液晶分子に対する垂直アンカリング力がさらに増大し、液晶分子をより確実に垂直配向させることができる。
【0043】
また、脂環アルコールまたはそのフッ素置換体は、ステロイド骨格を有するものがより好ましい。ステロイド骨格を有する脂環アルコールまたはそのフッ素置換体は、平面性の高い構造を有するため、液晶分子を配向制御する機能に特に優れるものである。
【0044】
これらのことから、画像表示領域の周辺部の処理に用いるアルコールとしては、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、ドデカノール、トリデカノール、テトラデカノール、ペンタデカノール、ヘキサデカノール、ヘプタデカノール、オクタデカノール、エイコサノール、ヘンエイコサノール、ドコサノール、トリコサノール、テトラコサノール等の脂肪族アルコール、コレステロール、エピコレステロール、コレスタノール、エピコレスタノール、エルゴスタノール、エピエルゴスタノール、コプレスタノール、エピコプレスタノール、α−エルゴステロール、β−シトステロール、スチグマステロール、カンペステロール等の脂環アルコールまたはこれらのフッ素置換体を主とするものが好適である。また、脂肪族アルコールまたはそのフッ素置換体は、その炭化水素部分またはフッ化炭素部分(主骨格部分)が、直鎖状をなすもの、分枝状をなすもののいずれであってもよい。
【0045】
一方、表面温度の高い領域に形成される被膜19b,29bのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が1〜4のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、32〜70程度であるのが好ましく、32〜60程度であるのがより好ましい。このような炭素数及び平均分子量のものを用いることにより、長期信頼性に優れた配向膜が得られるようになる。また、このような炭素数のアルコールは、分子サイズが小さいため、細孔の奥深くにまで確実に浸透させることもできる。また、常温で液状であるため、後述する処理液により無機酸化物膜16a,22aを処理する際の取り扱いが容易である。
【0046】
このようなアルコールとしては、メタノール、エタノール、プロパノールまたはこれらのフッ素置換体を主とするものが好適である。液晶分子には、フッ素化されたものが多いことから、フッ素置換体を用いることにより、液晶分子との親和性が向上し、液晶分子を垂直配向させる効果がより高まる。
【0047】
[液晶装置の製造方法]
次に、配向膜の形成方法に着目しながら、液晶装置100の製造方法について説明する。図8は、配向膜の形成方法を示す工程フローである。
なお、配向膜16と配向膜22の形成方法は基本的に同じである。このため、ここでは主に配向膜16を形成する方法について説明する。
【0048】
まず、公知の方法により製造されたTFTアレイ基板10上に、斜方蒸着法により無機酸化物膜16aを形成する(工程S1)。斜方蒸着法を用いることにより、複数の細孔16Hを有する無機酸化物膜16aが得られる。
ここで、蒸発源から気化した無機酸化物が、TFTアレイ基板10の表面に到達する角度を適宜設定することにより、細孔16HのTFTアレイ基板10に対する角度θ(図6参照)を調整することができる。
【0049】
次に、画像表示領域100Aの周辺部に、1−ヘキサノール等を含む第1の処理液を塗布する(工程S2)。
第1の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0050】
第1の処理液としては、このようなアルコールそのもの(アルコールの含有量がほぼ100%のもの)でもよく、適当な希釈溶媒で希釈したものでもよい。アルコールを溶媒に混合または溶解する場合には、溶媒として、当該アルコールを混合または溶解可能であり、かつ、当該アルコールよりも極性の低いものが選択される。これにより、溶媒が後工程S3における無機酸化物膜16aの水酸基とアルコールとの反応を妨げることを防止することができ、化学反応を確実に生じさせることができる。
【0051】
第1の処理液は、無機酸化物膜16aの細孔16Hの内部にまで十分浸透することが必要である。このため、第1の処理液を塗布したら、減圧雰囲気で細孔内の空気を脱気し、細孔16H内に第1の処理液を十分浸透させることが望ましい。
【0052】
第1の処理液の塗布方法としては、基板の所定領域にのみ選択的に塗布することのできるフレキソ印刷法やインクジェット印刷法等が好適である。
【0053】
第1の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S3)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に存在する水酸基と、アルコールが有する水酸基との間に脱水縮合反応が生じ、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールが化学結合する。その結果、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に沿って、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜19aが形成される。
【0054】
基板10の加熱温度は、特に限定されないが、80〜250℃程度であるのが好ましく、100〜200℃程度であるのがより好ましい。加熱温度が低過ぎると、アルコールの種類や、無機酸化物の種類等によっては、無機酸化物膜16aにアルコールを十分に化学結合させることができないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
【0055】
また、基板10の加熱時間も、特に限定されないが、20〜180分程度であるのが好ましく、40〜100分程度であるのがより好ましい。加熱時間が短過ぎると、加熱温度等の他の条件によっては、無機酸化物膜16aにアルコールを十分に化学結合させることができないおそれがあり、一方、加熱温度を前記上限値を超えて高くしても、それ以上の効果の増大が見込めない。
【0056】
本工程では、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に存在する水酸基とアルコールとを反応させる方法として加熱による方法を用いているが、前記反応は加熱による方法に限定されず、例えば紫外線の照射、赤外線の照射等により行なうこともできる。
【0057】
なお、アルコールとして複数種のものを用いる場合には、前記処理液中に複数のアルコールを同時に混合するようにしてもよい。この場合、無機酸化物膜16aに化学結合する複数種のアルコールの比率は、例えば、処理液中における複数種のアルコールの配合比、種類や分子量、処理条件等を適宜設定することにより調整することができる。また、各アルコールをそれぞれ含有する複数の処理液を用意し、各処理液を順次用いて、前述したようにして基板10を処理するようにしてもよい。この場合、最も分子量の小さいアルコールを含有する処理液から、より分子量の大きいアルコールを含有する処理液へと順に変更して、基板10を処理するのが好ましい。これにより、低分子量のアルコールを細孔16Hの奥にまでより確実に化学結合させることができる。
【0058】
以上により画像表示領域100Aの周辺部の表面処理が終了したら、今度は画像表示領域100Aの中央部に、イソプロピルアルコール等を含む第2の処理液を塗布する(工程S4)。
第2の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向膜の信頼性向上に適した平均分子量の小さい又は炭素数の少ないアルコールを含むものである。
第2の処理液の調整方法、塗布方法、塗布後の脱気処理等の条件については第1の処理液の場合と同様である。
【0059】
第2の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S5)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に存在する水酸基と、アルコールが有する水酸基との間に脱水縮合反応が生じ、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールが化学結合する。その結果、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に沿って、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜19bが形成される。
加熱温度や加熱時間等の条件は第1の処理液の場合と同様である。
【0060】
以上により、画像表示領域100Aの中央部及び周辺部の双方について表面処理が終了し、これにより無機酸化膜16が完成する。
なお、ここでは、最初に画像表示領域100Aの周辺部の処理を行ない、その後画像表示領域100Aの中央部の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。
【0061】
次に、同様の方法を用いて、対向基板20の表面に配向膜22を形成する。
そして、これらの基板10,20を枠状に設けたシール材52を介して貼り合わせ、そのシール材52の枠内に液晶を充填する。その後、基板10,20の外面側に必要に応じて偏光板等を貼着する。
以上により、液晶装置100が完成する。
【0062】
以上説明したように、本実施形態では、モジュール動作時における配向膜16,22の表面温度の分布に応じて、表面温度の高い画像表示領域100Aの中央部と表面温度の低い画像表示領域100Aの周辺部に対してそれぞれ適切な有機表面処理材料を選択している。具体的には、表面温度の低い領域については、光に対する信頼性は低いが、配向規制力に優れた有機表面処理材料を用い、表面温度の高い領域については、配向規制力は若干劣るが、光に対する信頼性は高い有機表面処理材料を用いている。このため、画像表示領域100Aの中央部のみで極端に被膜の劣化が進むことにより、被膜全体が不良とされることがなくなり、結果として、液晶装置全体としての寿命を延ばすことができる。この場合、表面温度の高い領域では配向規制力は弱くなるが、周囲に配向規制力の強い領域(表面温度の低い領域)が存在するので、その影響によって、表面温度の高い領域においても良好な配向特性を実現することができる。一般に、配向特性と信頼性とはトレードオフの関係となるため、両方の特性を同時に実現することはできなかったが、本発明では、これらの特性を別々の領域で実現させることで、両方の特性を同時に満たすことが可能となっている。
【0063】
また、液晶装置の周辺部では、水分の侵入やシール材からの溶出成分により、中央部よりも早く配向が乱れる傾向にあるが、本実施形態では画像表示領域の周辺部が中央部に比べて配向特性の良好な状態に形成されるため、このような不具合は生じにくくなる。
【0064】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。
図9は、本実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程フローである。この工程の基本的な部分は第1実施形態のものと同じであり、異なるのは処理液を基板の所定位置に選択的に配置する手法のみである。このため、第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0065】
本実施形態では、まず、公知の方法により製造されたTFTアレイ基板10上に、斜方蒸着法により無機酸化物膜16aを形成する(工程S11)。
【0066】
次に、基板10全体に、イソプロピルアルコール等を含む第2の処理液を塗布する(工程S12)。
第2の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向膜の信頼性向上に適した平均分子量の小さい又は炭素数の少ないアルコールを含むものである。
第2の処理液の塗布方法としては、基板全体に均一に塗布することのできるスピンコート法やディップコート法等が好適である。
【0067】
第2の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S13)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜19bが形成される。
【0068】
次に、マスクを用いて画像表示領域100Aの周辺部及びこれよりも外側の領域に紫外線を照射し、当該領域の被膜19bを選択的に除去する(工程S14)。
本工程では、被膜19bを除去する方法として紫外線を照射する方法を用いているが、被膜を選択的に除去できる方法であれば、これ以外の方法であっても構わない。
【0069】
以上により画像表示領域100Aの中央部の表面処理が終了したら、今度は画像表示領域100Aの周辺部に、1−ヘキサノール等を含む第1の処理液を塗布する(工程S15)。
第1の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0070】
第1の処理液の塗布方法としては、フレキソ印刷法やインクジェット印刷法等のように基板10の周辺部のみに選択的に塗布できるようなものだけでなく、スピンコート法やディップコート法等のように基板全体に塗膜が形成されるようなものも用いることができる。画像表示領域100Aの中央部には既に第2の処理液によって表面処理が施されており、その無機酸化物膜16aの表面及び細孔16Hの内面には第2の処理液に含まれるアルコールが強固に結合されているため、第1の処理液によって改めて表面処理を施しても、その部分にはアルコールが付着しないからである。
【0071】
第1の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S16)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜19aが形成される。
【0072】
以上により、画像表示領域100Aの中央部及び周辺部の双方について表面処理が終了し、これにより無機酸化膜16が完成する。
なお、ここでは、最初に画像表示領域100Aの中央部の処理を行ない、その後画像表示領域100Aの周辺部の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。
【0073】
次に、同様の方法を用いて、対向基板20の表面に配向膜22を形成する。
そして、これらの基板10,20を枠状に設けたシール材52を介して貼り合わせ、そのシール材52の枠内に液晶を充填する。その後、基板10,20の外面側に必要に応じて偏光板等を貼着する。
以上により、液晶装置が完成する。
【0074】
本実施形態では、全体に表面処理を施した後、その表面処理を部分的に除去することにより、領域毎に異なる表面処理を実現している。このため、処理液の塗布の段階ではパターニングが不要になり、その分、工程が容易になる。
【0075】
[第3の実施の形態]
[液晶装置の構成]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。
図10は、本実施形態の液晶装置を構成する2枚の基板の平面図である。図10(a)及び図10(b)は、それぞれTFTアレイ基板10側の被膜191の構成及び対向基板20側の被膜291の構成を示している。図10中、一点鎖線で示した枠内には、マトリクス状に配置された画素100aの一部を拡大して示している。
この液晶装置の基本構造は第1実施形態のものと同じであり、異なるのは表面処理によって形成される被膜の位置とその構成のみである。このため、第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0076】
図10に示すように、各基板10,20には、画素電極9が配置される矩形状の領域(画素内の領域)に被膜191b,291bが形成され、画素間を構成する格子状の領域(画素間の領域)に被膜191a,291aが形成されている。これらは、画素内の領域と画素間の領域に、それぞれ異なる表面処理を施すことによって形成されたものである。この表面処理の違いは、モジュール動作時における無機酸化物膜の表面温度の分布に基づいている。すなわち、対向基板20には、図10(b)に示すように、画素間の領域に対応して平面視格子状の遮光膜23が形成されており、1画素について見ると、この遮光膜23によって入射光が遮られる領域(遮光領域)と遮られない領域(非遮光領域)とで温度条件が異なったものとなっている。より具体的には、非遮光領域である画素内領域の中心部で最も表面温度が高く、画素内領域の最外周部近傍又は遮光領域である画素間領域で最も表面温度が低くなっている。そのため、本実施形態では、このようなモジュール動作時における配向膜の表面温度の違いに応じて、使用する有機表面処理材料を異ならせ、それぞれの領域毎に温度条件に最も適した材料を選択するようにしている。
【0077】
具体的には、無機酸化物膜に化学結合される被膜のアルキル基の長さを調節することによって、領域毎に適切な特性が得られるようにしている。すなわち、光が遮られることによって表面温度が相対的に低くなる遮光領域では、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜191a,291aとして、アルキル基の長い材料が選択されており、光が透過されることによって表面温度が相対的に高くなる非遮光領域では、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜191b,291bとして、アルキル基の短い材料が選択されている。この場合、被膜191b,291bが形成された画素内の領域では配向規制力は弱くなるが、この部分の液晶分子は配向規制力の強い画素周辺部からの配向の影響を受けるため、配向特性が極端に悪くなることはない。特にプロジェクタの光変調手段として用いるような小型の液晶装置であれば、1画素の大きさが非常に小さいので、画素中心部の配向特性が劣ったものであっても、画素間領域の配向特性が良好なものであれば、その配向の影響によって、画素中心部においても良好な配向特性が実現できる。
【0078】
なお、遮光領域と非遮光領域の表面温度の分布は、入射される光の強度や遮光膜の材料等によっては上記のものとは逆になる場合がある。すなわち、遮光膜が光を吸収しやすい材料で構成されている場合には、かえって光を吸収することで遮光領域が加熱され、表面温度が高くなる場合もある。この場合には、画素内領域の最外周部又は画素間領域の表面温度が最も高くなり、画素内領域の中央部で表面温度が最も低くなるため、上記の構成とは逆に、表面温度が相対的に低くなる非遮光領域には、アルキル基の長い材料を選択し、表面温度が相対的に高くなる遮光領域には、アルキル基の短い材料を選択することが望ましい。
【0079】
表面温度の低い領域に形成される被膜191a,291aのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が5以上のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、100〜400程度であるのが好ましく、120〜400程度であるのがより好ましい。一方、表面温度の高い領域に形成される被膜191b,291bのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が1〜4のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、32〜70程度であるのが好ましく、32〜60程度であるのがより好ましい。これらのアルコールとしては、前述のものを用いることができる。
【0080】
[液晶装置の製造方法]
次に、配向膜の形成方法に着目しながら、液晶装置の製造方法について説明する。図11は、配向膜の形成方法を示す工程フローである。
なお、配向膜16と配向膜22の形成方法は基本的に同じである。このため、ここでは主に配向膜16を形成する方法について説明する。
【0081】
まず、公知の方法により製造されたTFTアレイ基板10上に、斜方蒸着法により無機酸化物膜16aを形成する(工程S21)。
【0082】
次に、画像表示領域100Aにおける画素間の領域に、1−ヘキサノール等を含む第1の処理液を塗布する(工程S22)。
第1の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
第1の処理液の塗布方法としては、画素間の領域のみに選択的に塗布できるよインクジェット印刷法等が好適である。
【0083】
第1の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S23)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜191aが形成される。
【0084】
以上により画素内の領域の表面処理が終了したら、今度は画像表示領域100Aにおける画素内の領域に、イソプロピルアルコール等を含む第2の処理液を塗布する(工程S24)。
第2の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向膜の信頼性向上に適した平均分子量の小さい又は炭素数の少ないアルコールを含むものである。
第2の処理液の塗布方法としては、画素内の領域のみに選択的に塗布できるインクジェット印刷法等が好適である。
【0085】
第2の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S25)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜191bが形成される。
【0086】
以上により、画素内の領域及び画素間の領域の双方について表面処理が終了し、これにより無機酸化膜16が完成する。
なお、ここでは、最初に画素間の領域の処理を行ない、その後画素内の領域の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。
【0087】
次に、同様の方法を用いて、対向基板20の表面に配向膜22を形成する。
そして、これらの基板10,20を枠状に設けたシール材52を介して貼り合わせ、そのシール材52の枠内に液晶を充填する。その後、基板10,20の外面側に必要に応じて偏光板等を貼着する。
以上により、液晶装置が完成する。
【0088】
本実施形態では、画素間の領域と画素内の領域の表面温度の違いに応じて、それぞれ適切な表面処理材料を用いているので、より配向安定性及び信頼性に優れた液晶装置を提供することができる。この場合、画素内の領域の配向規制力は弱くなるが、プロジェクタ用の液晶装置では1画素の大きさが10μm程度と非常に小さいので、周囲の配向特性の高い領域(画素間領域)の影響によって画素内領域の配向特性の低さを十分に補うことができる。
【0089】
[第4の実施の形態]
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。
図12は、本実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程フローである。この工程の基本的な部分は第3実施形態のものと同じであり、異なるのは処理液を基板の所定位置に選択的に配置する手法のみである。このため、第3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0090】
本実施形態では、まず、公知の方法により製造されたTFTアレイ基板10上に、斜方蒸着法により無機酸化物膜16aを形成する(工程S31)。
【0091】
次に、基板10全体に、イソプロピルアルコール等を含む第2の処理液を塗布する(工程S32)。
第2の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向膜の信頼性向上に適した平均分子量の小さい又は炭素数の少ないアルコールを含むものである。
第2の処理液の塗布方法としては、基板全体に均一に塗布することのできるスピンコート法やディップコート法等が好適である。
【0092】
第2の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S33)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜191bが形成される。
【0093】
次に、マスクを用いて画像表示領域100Aの画素間の領域に紫外線を照射し、当該領域の被膜191bを選択的に除去する(工程S34)。
本工程では、被膜191bを除去する方法として紫外線を照射する方法を用いているが、被膜を選択的に除去できる方法であれば、これ以外の方法であっても構わない。
【0094】
以上により画素内の領域の表面処理が終了したら、今度は画像表示領域100Aの画素間の領域に、1−ヘキサノール等を含む第1の処理液を塗布する(工程S35)。
第1の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0095】
第1の処理液の塗布方法としては、インクジェット印刷法等のように画素間の領域のみに選択的に塗布できるようなものだけでなく、スピンコート法やディップコート法等のように基板全体に塗膜が形成されるようなものも用いることができる。画素内の領域には既に第2の処理液によって表面処理が施されており、その無機酸化物膜16aの表面及び細孔16Hの内面には第2の処理液に含まれるアルコールが強固に結合されているため、第1の処理液によって改めて表面処理を施しても、その部分にはアルコールが付着しないからである。
【0096】
第1の処理液を塗布したら、基板10を加熱する(工程S36)。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜191aが形成される。
【0097】
以上により、画素内の領域及び画素間の領域の双方について表面処理が終了し、これにより無機酸化膜16が完成する。
なお、ここでは、最初に画素内の領域の処理を行ない、その後画素間の領域の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。
【0098】
次に、同様の方法を用いて、対向基板20の表面に配向膜22を形成する。
そして、これらの基板10,20を枠状に設けたシール材52を介して貼り合わせ、そのシール材52の枠内に液晶を充填する。その後、基板10,20の外面側に必要に応じて偏光板等を貼着する。
以上により、液晶装置が完成する。
【0099】
本実施形態では、全体に表面処理を施した後、その表面処理を部分的に除去することにより、領域毎に異なる表面処理を実現している。このため、処理液の塗布の段階ではパターニングが不要になり、その分、工程が容易になる。
【0100】
[第5の実施の形態]
[液晶装置の構成]
次に、本発明の第5の実施の形態について説明する。
図13は、本実施形態の液晶装置を構成する2枚の基板の平面図である。図13(a)及び図13(b)は、それぞれTFTアレイ基板10側の被膜192の構成及び対向基板20側の被膜292の構成を示している。
この液晶装置の基本構造は第1実施形態のものと同じであり、異なるのは無機酸化物膜の表面処理を画像表示領域100Aの周辺部にのみ行なっている点のみである。このため、第1実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0101】
この液晶装置においては、各基板10,20の画像表示領域100Aの周辺部、すなわちモジュール動作時の配向膜の表面温度が相対的に低くなる領域にのみ表面処理が施されており、表面温度が相対的に高くなる画像表示領域100Aの中央部には表面処理は施されていない。このため、表面処理によって形成される被膜192,292は、画像表示領域100Aの周辺部にのみ矩形枠状に配置されることになり、第1実施形態のものに比べて光に対する信頼性の高い構造となっている。この構成においては、表面処理が行なわれない画像表示領域100Aの中央部において配向規制力が弱くなるが、この部分の液晶分子は、配向規制力の強い画像表示領域100Aの周辺部からの配向の影響を受けるため、配向特性が極端に悪くなることはない。ただし、表面処理の行なわれない領域が広くなりすぎると、周辺部の配向の影響を中心部まで十分に及ぼすことができなくなるため、この領域の面積はモジュール動作時に生じる温度分布等の状況に応じて、できる限り小さくすることが望ましい。
【0102】
被膜192,292のアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が5以上のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、100〜400程度であるのが好ましく、120〜400程度であるのがより好ましい。このようなアルコールとしては、前述のものを用いることができる。
【0103】
表面処理の方法としては、次の方法を用いることができる。
まず、フレキソ印刷法やインクジェット印刷法等を用いて、画像表示領域100Aの周辺部に1−ヘキサノール等を含む処理液を選択的に塗布する。この処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0104】
処理液を塗布したら、基板を加熱する。
これにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜192,292が形成される。この被膜192,292は、処理液を画像表示領域100Aの周辺部に選択的に塗布したことから、画像表示領域100Aの周辺部にのみ選択的に形成される。
【0105】
表面処理の方法としては、次の方法を用いることもできる。
まず、基板全体に1−ヘキサノール等を含む処理液を塗布する。この処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0106】
処理液を塗布したら、基板を加熱する。
これにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜192,292が形成される。
【0107】
次に、マスクを用いて画像表示領域100Aの中央部に紫外線を照射し、当該領域の被膜191,292を選択的に除去する。これにより、画像表示領域100Aの周辺部にのみ被膜192,292が選択的に形成される。
【0108】
本実施形態では、配向膜の表面処理を画像表示領域100Aの周辺部にのみ行ない、表面処理の行なわれない画像表示領域100Aの中央部の配向特性を、画像表示領域周縁部の安定した配向の影響によって補うものとしている。このため、液晶の配向特性を比較的良好に維持しながら、光に対する信頼性も向上させることができる。
【0109】
[第6の実施の形態]
[液晶装置の構成]
次に、本発明の第6の実施の形態について説明する。
図14は、本実施形態の液晶装置を構成する2枚の基板の平面図である。図14(a)及び図14(b)は、それぞれTFTアレイ基板10側の被膜193の構成及び対向基板20側の被膜293の構成を示している。図14中、一点鎖線で示した枠内には、マトリクス状に配置された画素100aの一部を拡大して示している。
この液晶装置の基本構造は第3実施形態のものと同じであり、異なるのは表面処理によって形成される被膜の位置とその構成のみである。このため、第3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0110】
図14に示すように、各基板10,20には、画像表示領域100Aの周辺部に被膜193A,293Aが形成され、画像表示領域100Aの中央部に被膜193B,293Bが形成されている。また、被膜193B,293Bには、画素電極9が配置される矩形状の領域(画素内の領域)に形成された被膜193b,293bと、画素間を構成する格子状の領域(画素間の領域)に形成された被膜193a,293aとが含まれている。これらの被膜は、画像表示領域の中央部と周辺部に、又は画像表示領域内における画素内の領域と画素間の領域に、それぞれ異なる表面処理を施すことによって形成されたものである。この表面処理の違いは、モジュール動作時における無機酸化物膜の表面温度の分布に基づいており、具体的には、無機酸化物膜に化学結合される被膜のアルキル基の長さを調節することによって、領域毎に適切な特性が得られるようにしている。
【0111】
すなわち、モジュール動作時の配向膜の表面温度が相対的に低くなる画像表示領域100Aの周辺部では、配向規制力の強化を図る観点から、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜193A,293Aとして、アルキル基の長いものが選択されている。一方、画像表示領域100Aの中央部では、遮光膜23によって光が遮られる遮光領域(画素間の領域)と光が遮られない非遮光領域(画素内の領域)とで表面温度が異なることから、その表面温度の違いに応じて、それぞれの領域毎に最も適した材料が選択されている。すなわち、光が遮られることによって表面温度が相対的に低くなる遮光領域では、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜193a,293aとして、アルキル基の長い材料が選択され、光が透過されることによって表面温度が相対的に高くなる非遮光領域では、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜193b,293bとして、アルキル基の短い材料が選択されている。この場合、画像表示領域100Aの周辺部の被膜193A,293Aと画素間の領域の被膜193a,293aは、共に配向規制力の強化を目的として、アルキル基の長い材料が使用されることから、両者は共通の処理によって形成することが可能である。本実施形態でもそのように形成している。しかし、それぞれの領域毎に条件を最適化する場合等には、両者を異なる処理によって形成することも勿論可能である。
【0112】
表面温度の低い領域に形成される被膜193A,293A,193a,293aのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が5以上のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、100〜400程度であるのが好ましく、120〜400程度であるのがより好ましい。一方、表面温度の高い領域に形成される被膜193B,293B,193b,293bのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が1〜4のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、32〜70程度であるのが好ましく、32〜60程度であるのがより好ましい。これらのアルコールとしては、前述のものを用いることができる。また、この領域に表面処理を行なわないことも可能である。
【0113】
なお、遮光領域と非遮光領域の表面温度の分布は、入射される光の強度や遮光膜の材料等によっては上記のものとは逆になる場合がある。この場合には、上記の構成とは逆に、表面温度が相対的に低くなる非遮光領域には、アルキル基の長い材料を選択し、表面温度が相対的に高くなる遮光領域には、アルキル基の短い材料を選択することが望ましい。
【0114】
表面処理の方法としては、次の方法を用いることができる。
まず、インクジェット印刷法等を用いて、画像表示領域周辺部、及び画像表示領域中央部の画素間の領域に第1の処理液を選択的に塗布する。
第1の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0115】
第1の処理液を塗布したら、基板を加熱する。
これにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜193A,293A,193a,293aが形成される。
【0116】
以上により画像表示領域周辺部、及び画像表示領域中央部の画素間の領域の表面処理が終了したら、インクジェット印刷法等を用いて、今度は画像表示領域中央部の画素内の領域に第2の処理液を選択的に塗布する。
第2の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向膜の信頼性向上に適した平均分子量の小さい又は炭素数の少ないアルコールを含むものである。
【0117】
第2の処理液を塗布したら、基板を加熱する。
これにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜193b,293bが形成される。
【0118】
以上により、画像表示領域100Aの中央部及び周辺部の双方について表面処理が終了する。
なお、ここでは、最初に画像表示領域周辺部と画素間領域の処理を行ない、その後画素内領域の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。
【0119】
表面処理の方法としては、次の方法を用いることもできる。
まず、基板全体に第1の処理液を塗布する。
第1の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向規制力を強化するのに適した平均分子量の大きい又は炭素数の多いアルコールを含むものである。
【0120】
第1の処理液を塗布したら、基板を加熱する。
これにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜が形成される。
【0121】
次に、マスクを用いて画像表示領域中央部の画素内の領域に紫外線を照射し、当該領域の被膜を選択的に除去する。
【0122】
以上により画像表示領域周辺部、及び画像表示領域中央部の画素間の領域の表面処理が終了したら、今度は画像表示領域中央部の画素内の領域に第2の処理液を選択的に塗布する。
第2の処理液は、有機表面処理材料として、前述のように配向膜の信頼性向上に適した平均分子量の小さい又は炭素数の少ないアルコールを含むものである。
【0123】
第2の処理液の塗布方法としては、インクジェット印刷法等のように画素内の領域のみに選択的に塗布できるようなものだけでなく、スピンコート法やディップコート法等のように基板全体に塗膜が形成されるようなものも用いることができる。画像表示領域周辺部及び画素間の領域には既に第1の処理液によって表面処理が施されており、その無機酸化物膜16aの表面及び細孔16Hの内面には第1の処理液に含まれるアルコールが強固に結合されているため、第2の処理液によって改めて表面処理を施しても、その部分にはアルコールが付着しないからである。
【0124】
第2の処理液を塗布したら、基板10を加熱する。
これにより、無機酸化物膜16aの表面および細孔16Hの内面に、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜193b,293bが形成される。
【0125】
以上により、画像表示領域100Aの中央部及び周辺部の双方について表面処理が終了する。
なお、ここでは、最初に画像表示領域周辺部と画素間領域の処理を行ない、その後画素内領域の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。
【0126】
本実施形態では、画素間領域と画素内領域の表面温度の違いに応じて、それぞれ適切な有機表面処理材料を使用しているので、より配向安定性及び信頼性に優れた液晶装置を提供することができる。この場合、画素内領域の配向規制力は弱くなるが、プロジェクタ用の液晶装置では1画素の大きさが10μm程度と非常に小さいので、周囲の配向特性の高い領域(画素間領域)の影響によって画素内領域の配向特性の低さを十分に補うことができる。また、画像表示領域100Aの周辺部に配向特性の良好な領域を形成しているので、この領域からの配向の影響が加わることで、更に良好な配向特性が得られる。また、画像表示領域100Aの周辺部の配向規制力を高めることで、液晶装置周辺部からの水分の侵入やシール材からの溶出成分によって配向が乱れるといった不具合も生じにくくなる。
【0127】
[第7の実施の形態]
[液晶装置の構成]
次に、本発明の第7の実施の形態について説明する。
図15及び図16は、本実施形態の液晶装置を構成する2枚の基板の平面図である。図15(a)はTFTアレイ基板10側の被膜194の全体構成を示しており、図15(b)及び図15(c)は、その画像表示領域の周辺部及び中央部の1画素の構成をそれぞれ示している。また、図16(a)は対向基板20側の被膜294の全体構成を示しており、図16(b)及び図16(c)は、その画像表示領域の周辺部及び中央部の1画素の構成をそれぞれ示している。
この液晶装置の基本構造は第3実施形態のものと同じであり、異なるのは表面処理によって形成される被膜の位置とその構成のみである。このため、第3実施形態と共通する構成要素については同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0128】
図15及び図16に示すように、各基板10,20には、画像表示領域100Aの周辺部に被膜194A,294Aが形成され、画像表示領域100Aの中央部に被膜194B,294Bが形成されている。また、被膜194A,294Aには、画素電極9が配置される矩形状の領域(画素内の領域)に形成された被膜194b,294bと、画素間を構成する格子状の領域(画素間の領域)に形成された被膜194a,294aとが含まれており、被膜194B,294Bには、画素内の領域に形成された被膜194d,294dと、画素間の領域に形成された被膜194c,294cとが含まれている。これらの被膜は、画素内の領域と画素間の領域にそれぞれ異なる表面処理を施すことによって形成されたものである。この表面処理の違いは、モジュール動作時における無機酸化物膜の表面温度の分布に基づいており、具体的には、無機酸化物膜に化学結合される被膜のアルキル基の長さを調節することによって、領域毎に適切な特性が得られるようにしている。
【0129】
すなわち、画素間領域に対応して形成された遮光膜23によって、1画素について見ると、非遮光領域である画素内領域の中心部で最も表面温度が高く、画素内領域の最外周部近傍又は遮光領域である画素間領域で最も表面温度が低くなっている。このため、光が遮られることによって表面温度が相対的に低くなる遮光領域では、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜194a,194c,294a,294cとして、アルキル基の長い材料が選択され、光が透過されることによって表面温度が相対的に高くなる非遮光領域では、無機酸化物膜16a,22aに化学結合させるアルコールの被膜194b,194d,294b,294dとして、アルキル基の短い材料が選択されている。一方、画像表示領域全体として見ると、画像表示領域100Aの周辺部では中央部に比べて配向膜の表面温度が低くなることから、画像表示領域周辺部の画素間領域の被膜194aには、画像表示領域中央部の画素間領域の被膜194cよりもアルキル基の長い材料が選択され、画像表示領域周辺部の画素内領域の被膜194bには、画像表示領域中央部の画素内領域194dよりもアルキル基の長い材料が選択されている。同様に、画像表示領域周辺部の画素間領域の被膜294aには、画像表示領域中央部の画素間領域の被膜294cよりもアルキル基の長い材料が選択され、画像表示領域周辺部の画素内領域の被膜294bには、画像表示領域中央部の画素内領域294dよりもアルキル基の長い材料が選択されている。
【0130】
表面温度の低い領域に形成される被膜194a,194c,294a,294cのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が5以上のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、100〜400程度であるのが好ましく、120〜400程度であるのがより好ましい。一方、表面温度の高い領域に形成される被膜194b,194d,294b,294dのアルコールは、炭素数(アルキル基の長さ)が1〜4のものを主成分とするものが好ましい。また、アルコールの平均分子量は、32〜70程度であるのが好ましく、32〜60程度であるのがより好ましい。これらのアルコールとしては、前述のものを用いることができる。また、この領域に表面処理を行なわないことも可能である。
【0131】
なお、遮光領域と非遮光領域の表面温度の分布は、入射される光の強度や遮光膜の材料等によっては上記のものとは逆になる場合がある。この場合には、上記の構成とは逆に、表面温度が相対的に低くなる非遮光領域には、アルキル基の長い材料を選択し、表面温度が相対的に高くなる遮光領域には、アルキル基の短い材料を選択することが望ましい。
【0132】
表面処理の方法としては、次の方法を用いることができる。
まず、インクジェット印刷法等を用いて、画像表示領域周辺部の画素間領域に第1の処理液を選択的に塗布する。そして、基板を加熱することにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に沿って、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜194a,294aを形成する。
【0133】
次に、インクジェット印刷法等を用いて、画像表示領域中央部の画素間の領域に第2の処理液を選択的に塗布する。そして、基板を加熱することにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に沿って、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜194c,294cを形成する。
【0134】
次に、インクジェット印刷法等を用いて、画像表示領域周辺部の画素内の領域に第3の処理液を選択的に塗布する。そして、基板を加熱することにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に沿って、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜194b,294bを形成する。
【0135】
次に、インクジェット印刷法等を用いて、画像表示領域中央部の画素内の領域に第4の処理液を選択的に塗布する。そして、基板を加熱することにより、無機酸化物膜16a,22aの表面および細孔の内面に沿って、アルコールの主骨格部分を主としてなる被膜194d,294dを形成する。
【0136】
なお、第1の処理液〜第4の処理液は、有機表面処理材料として、前述の条件を満たすアルコールを含むものである。
【0137】
以上により、画像表示領域100Aの中央部及び周辺部の双方について表面処理が終了する。
なお、ここでは、最初に画素間の領域の処理を行ない、その後画素内の領域の処理を行なっているが、この順番はどちらが先でも構わない。同様に、画像表示領域の周辺部と中央部はどちらを先に処理しても構わない。また、インクジェット印刷法等により個々の領域に表面処理を行なったが、この代わりに、スピンコート法等により基板全体に表面処理を行ない、紫外線照射等により不要な部分の被膜を除去する方法を用いてもよい。
【0138】
本実施形態では、画素間の領域と画素内の領域の表面温度の違い及び画像表示領域の周辺部と中央部の表面温度の違いに応じて、それぞれ適切な表面処理材料を用いているので、より配向安定性及び信頼性に優れた液晶装置を提供することができる。
【0139】
[投射型表示装置]
次に、本発明の電子機器の具体例である投射型表示装置(プロジェクタ)につき、図17を用いて説明する。図17は、投射型表示装置の要部を示す概略構成図である。この投射型表示装置は、上述した各実施形態に係る液晶装置を、光変調手段として備えたものである。
【0140】
図17において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0141】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。なお、上記各光変調手段822,823,824には、上記各実施形態の液晶装置が採用されている。
【0142】
各光変調手段により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0143】
係る投射型表示装置には、上記各実施形態の液晶装置が採用されているので、高強度の光照射を行なっても配向膜の光劣化は従来ほど大きくは進行しない。したがって、長期間にわたって安定した表示を行なうことができる。
【0144】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
また、本発明の液晶装置は、投射型表示装置の光変調手段に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれにおいても信頼性が高く表示品質に優れた電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】第1実施形態の液晶装置を示す平面図。
【図2】図1のH−H’線に沿う断面図。
【図3】同、液晶装置の画像表示領域においてマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図。
【図4】同、液晶装置のTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群を示す平面図。
【図5】図4のA−A’線に沿う断面図。
【図6】同、液晶装置の配向膜が形成された部分の断面構造を模式的に示す図。
【図7】無機酸化物膜の表面に形成された被膜の構成を示す平面図。
【図8】同、液晶装置の製造方法を示す工程フロー。
【図9】第2実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程フロー。
【図10】第3実施形態の液晶装置における被膜の構成を示す平面図。
【図11】同、液晶装置の製造方法を示す工程フロー。
【図12】第4実施形態の液晶装置の製造方法を示す工程フロー。
【図13】第5実施形態の液晶装置における被膜の構成を示す平面図。
【図14】第6実施形態の液晶装置における被膜の構成を示す平面図。
【図15】第7実施形態の液晶装置のTFTアレイ基板側の被膜の構成を示す平面図。
【図16】同、液晶装置の対向基板側の被膜の構成を示す平面図。
【図17】電子機器の一例である投射型表示装置を示す図。
【符号の説明】
【0146】
10…TFTアレイ基板、16…配向膜、16a…無機酸化物膜(斜方蒸着膜)、19,19a,19b,191,191a,191b,192,193,193A,193B,193a,193b,194,194A,194B,194a,194b,194c,194d…被膜、20…対向基板、22…配向膜、22a…無機酸化物膜(斜方蒸着膜)、23…遮光膜、29,29a,29b,291,291a,291b,292,293,293A,293B,293a,293b,294,294A,294B,294a,294b,294c,294d…被膜、50…液晶、100…液晶装置、100a…画素、100A…画像表示領域





 

 


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