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発明の名称 結晶評価方法および結晶評価装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−33402(P2007−33402A)
公開日 平成19年2月8日(2007.2.8)
出願番号 特願2005−221278(P2005−221278)
出願日 平成17年7月29日(2005.7.29)
代理人 【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
発明者 両角 浩一
要約 課題
ペロブスカイト型酸化物の結晶性薄膜の内部構造を評価することのできる結晶評価方法および結晶評価装置を提供する。

解決手段
試料台に載置されているペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に、X線を照射し、前記試料から発生した特性X線を検出する測定部110と、前記測定部が検出した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類を決定する処理部50と、を含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
(a)試料台に載置されているペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に、電子線を照射するステップと、
(b)前記試料から発生した特性X線を検出するステップと、
(c)検出した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類を決定するステップと、
を含む、結晶評価方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記ステップ(c)では、特定の結晶サイトに位置する元素の量を決定する、結晶評価方法。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記ステップ(c)では、特定の結晶サイトに位置する元素の変位を決定する、結晶評価方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかにおいて、
前記ステップ(a)では、複数の入射角度から電子線を照射し、
前記ステップ(b)では、前記入射角度ごとに、特性X線を検出する、結晶評価方法。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかにおいて、
前記ペロブスカイト型酸化物の結晶は、Aサイト、Bサイト、およびOサイトを有し、
前記ステップ(a)では、Aサイトと、当該Aサイトと隣り合うOサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度から電子線を照射し、
前記ステップ(c)では、AサイトまたはBサイトに位置する元素の種類、変位または量を決定する、結晶評価方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、
前記ペロブスカイト型酸化物の結晶は、Aサイト、Bサイト、およびOサイトを有し、
前記ステップ(a)では、Aサイトと、当該Aサイトと隣り合うBサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度から電子線を照射し、
前記ステップ(c)では、AサイトまたはBサイトに位置する元素の種類、変位または量を決定する、結晶評価方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかにおいて、
前記ステップ(a)の前に、前記試料に含まれている結晶の配向を示す配向情報を取得するステップをさらに含み、
前記ステップ(a)では、前記配向情報に基づいて決定された入射角度から電子線を照射する、結晶評価方法。
【請求項8】
試料台に載置されているペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に、電子線を照射し、前記試料から発生した特性X線を検出する測定部と、
前記測定部が検出した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類を決定する処理部と、
を含む、結晶評価装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶評価方法および結晶評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高画質、高速印刷を可能にするプリンターとして、インクジェットプリンターが知られている。インクジェットプリンターは、内容積が変化するキャビティーを備えたインクジェット式記録ヘッドを備え、このヘッドを走査させつつそのノズルからインク滴を吐出することにより、印刷を行うものである。このようなインクジェットプリンター用のインクジェット式記録ヘッドにおけるヘッドアクチュエーターとしては、従来、PZT(Pb(Zr,Ti)O)に代表されるペロブスカイト型酸化物を用いた圧電素子が用いられている。
【0003】
近年、インクジェットプリンターにおいては高速かつノズルの高密度化が望まれているため、このようなペロブスカイト型酸化物の結晶性薄膜の内部構造を評価することが重要になっている。
【特許文献1】特開2003−215069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、ペロブスカイト型酸化物の結晶性薄膜の内部構造を評価することのできる結晶評価方法および結晶評価装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる結晶評価方法は、
(a)試料台に載置されているペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に、電子線を照射するステップと、
(b)前記試料から発生した特性X線を検出するステップと、
(c)検出した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類を決定するステップと、
を含む。
【0006】
本発明にかかる結晶評価方法において、
前記ステップ(c)では、特定の結晶サイトに位置する元素の量を決定することができる。
【0007】
本発明にかかる結晶評価方法において、
前記ステップ(c)では、特定の結晶サイトに位置する元素の変位を決定することができる。
【0008】
本発明にかかる結晶評価方法において、
前記ステップ(a)では、複数の入射角度から電子線を照射し、
前記ステップ(b)では、前記入射角度ごとに、特性X線を検出することができる。
【0009】
本発明にかかる結晶評価方法において、
前記ペロブスカイト型酸化物の結晶は、Aサイト、Bサイト、およびOサイトを有し、
前記ステップ(a)では、Aサイトと、当該Aサイトと隣り合うOサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度から電子線を照射し、
前記ステップ(c)では、Aサイトに位置する元素の種類を決定することができる。
【0010】
本発明にかかる結晶評価方法において、
前記ペロブスカイト型酸化物の結晶は、Aサイト、Bサイト、およびOサイトを有し、
前記ステップ(a)では、Aサイトと、当該Aサイトと隣り合うBサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度からX線を照射し、
前記ステップ(c)では、AサイトまたはBサイトに位置する元素の種類を決定することができる。
【0011】
本発明にかかる結晶評価方法において、
前記ステップ(a)の前に、前記試料に含まれている結晶の配向を示す配向情報を取得するステップをさらに含み、
前記ステップ(a)では、前記配向情報に基づいて決定された入射角度からら電子線を照射することができる。
【0012】
本発明にかかる結晶評価装置は、
試料台に載置されているペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に、電子線を照射し、前記試料から発生した特性X線を検出する測定部と、
前記測定部が検出した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類を決定する処理部と、
を含む。
【0013】
本発明にかかるプログラムは、コンピュータに、
試料台に載置されているペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に、電子線を照射させ、
前記試料から発生した特性X線を検出させ、
検出した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類を決定させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
1.結晶評価装置
本実施の形態にかかる結晶評価装置100は、ペロブスカイト型酸化物の結晶を含む試料に電子線を照射し、試料から発生した特性X線の強度に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類や量を決定することができる。
【0016】
ペロブスカイト型とは、図1(a)、図1(b)に示すような結晶構造を有するもので、図1(a)、図1(b)においてAで示す位置をAサイト、Bに示す位置をBサイト、Oで示す位置をOサイトという。本実施の形態では、Aサイトに優先的に位置するイオンをAサイトイオンといい、Bサイトに優先的に位置するイオンをBサイトイオンという。たとえばPb(Mg,Nb)O−xPbTiO(以下、PMN−PTとする。)において、AサイトイオンはPb2+であり、BサイトイオンはMg2+、Ti4+およびNb5+である。なお、OサイトにはO2−が位置している。ペロブスカイト型酸化物には、単純ペロブスカイト型酸化物、複合ペロブスカイト型酸化物が含まれる。また、ペロブスカイト型酸化物はリラクサー材料からなることもできる。
【0017】
結晶評価装置100は、いわゆる角度分解電子チャンネリングX線分光法(ALCHEMI−HARECXS)を用いて、上述したペロブスカイト型酸化物の内部構造を評価することができる。
【0018】
角度分解電子チャンネリングX線分光法とは、試料にX線を複数の入射方向から照射し、試料から発生した特性X線を利用して結晶構造を解析する手法である。この測定手法では、X線を試料に照射して試料内で強い回折が生じると、入射した電子は試料内部で透過波や回折波の間で散乱を繰り返し、結晶の特定の部位に振幅極大をもつ幾つかのブロッホ波成分に分岐する。それぞれのブロッホ波成分の励起振幅は電子線の入射方位に依存しており、あるブロッホ波成分が強く励起されると、入射電子は結晶の特定の部位に集中してすすむチャンネリングをおこし、そこに存在する元素からの特性X線シグナルが強められる。この測定によって、特定の結晶サイトに位置する元素の種類とその量に関する情報を得ることができる。
【0019】
図2は、本実施の形態にかかる結晶評価装置100の主な機能構成を示すブロック図である。結晶評価装置100は、測定部110と、表示部42と、入力部44と、測定制御部46と、記憶部48と、処理部50とを備える。測定部110の詳細な構成については、後述する。
【0020】
測定制御部46は、測定部110に試料を測定させるための制御を行う。処理部50は、測定部110が測定した測定値を処理し、処理結果を記憶部48または表示部42に送る。記憶部48は、各種の設定データ(たとえば、測定制御用データなど)を記憶する他に、処理部50および測定制御部46の各種処理機能を実現するためのワーク領域となるもので、その機能はRAM、ROM、光ディスク、光磁気ディスクなどのハードウエアにより実現できる。また記憶部48には、結晶評価装置100の各部を機能させるためのプログラムが格納されていてもよい。結晶評価装置100は、記憶部48に格納されているプログラムを読み取って結晶評価装置100の各部の機能を実現させることができる。また、記憶部48に代えて、上述した各機能を実現するためのプログラム等を、伝送路を介してホスト装置等からダウンロードすることによって上述した結晶評価装置100の各部の機能を実現することも可能である。
【0021】
表示部42は、表示部42は、結晶評価装置100の設定状態、作動状態、または測定結果などを画像出力してもよく、その機能はCRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ等の公知のハードウエアにより実現できる。
【0022】
入力部44は、結晶評価装置100のオペレータが各種の設定データや操作データを入力するためのものであり、その機能は、キーボード、操作ボタン、タッチパネル型ディスプレイなどのハードウエアにより実現できる。
【0023】
次に、測定部110の詳細について説明する。図3は、本実施の形態にかかる測定部110の詳細な構成を示す図である。測定部110は、特定の入射角度から試料にX線を照射して、試料から発生した特性X線の強度を測定する機能を有し、たとえば透過型電子顕微鏡(TEM)を含む。測定部110は、図3に示すように、電子線を照射する電子線源と、電子線を集光する光学部材13と、特性X線を検出する検出部14および検出部15とを有する。検出部14および検出部15は、たとえば基板上に成長させられた結晶を含む試料12から発生した特性X線を検出する。光学部材13は、試料12上に電子線の焦点が一致するように集光する。X線源および検出部14は、回転中心を中心として互いに独立に回転運動可能なゴニオメータ構造となっていることができる。検出部14とX線源は、回転中心が光学部材13の焦点と一致するように設けられていてもよい。電子線の照射と、検出部14による特性X線の検出は、ゴニオメータによって角度を変化させながら順次行われることができる。
【0024】
2.結晶評価方法
(1)まず、試料12に含まれるペロブスカイト型酸化物の結晶の配向を示す配向情報が入力部44から入力される。
【0025】
(2)次に、測定制御部46は、入力部44から入力された配向情報に基づいて、試料12に照射されるX線の入射角度を決定する。このように、結晶評価装置100は、配向情報を取得することによって、試料に含まれる結晶の配向に応じた入射角度を決定することができる。すなわち、結晶評価装置100は、配向情報により、結晶中のAサイト、Bサイト、Oサイトの位置を予測することができ、たとえば、Aサイトと、当該Aサイトと隣り合うOサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度を決定することができる。この入射角度から電子線を照射すると、AサイトおよびOサイトと、Bサイトとを分離して特性X線を検出することができるため、たとえばAサイトとBサイトに同一の元素が位置していたとしても、AサイトとBサイトとを区別してそれぞれの元素の種類および量を決定することができる。
【0026】
また結晶評価装置100は、Aサイトと、当該Aサイトと隣り合うBサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度を決定することもできる。この入射角度から電子線を照射すると、AサイトおよびBサイトと、Oサイトとを分離して特性X線を検出することができるため、AサイトおよびBサイトと、Oサイトとを区別してそれぞれの元素の種類および量を決定することができる。
【0027】
(3)次に、測定部110は、測定制御部46が決定した入射角度からX線を照射し、試料12から発生した特性X線を検出する。
【0028】
(4)次に、処理部50は、測定部110が検出した特性X線に基づいて、特定の結晶サイトに位置する元素の種類、量、および変位量を決定する。
【0029】
3.実験例
3.1.試料の作製
Bridgman法により(001)配向のPMN−xPT(x=32、37at%)単結晶を作製した。評価用電極としてAgを形成し、1kV/mmの電界で分極処理を施した。
【0030】
Bridgman法は、単結晶原料を封入したるつぼを徐々に降下させながら結晶成長させ、ヒータ終端部に生じる温度勾配を利用して単核化させる方法である。PtるつぼにPMN−PT原料のPbO、MgO、Nb、TiO(各純度99.99%以上)粉末を各条件の比率で充填し、るつぼを炉内に設置して1380℃以上で溶解する。約10時間保持した後、0.1〜1mm/hの速度で降下させ(001)配向のPMN−xPT単結晶を得た。
【0031】
x=32at%の単結晶をPMN−32PTとし、x=37at%の単結晶をPMN−37PTとする。
【0032】
3.2.結晶評価方法および評価結果
得られた試料について、以下の評価を行った。
【0033】
角度分解電子チャンネリングX線分光法(ALCHEMI−HARECXS)により、PMN−32PTを解析した。実験は、111および130系統反射列について行った。
【0034】
111系統反射列は、A−OサイトとBサイトを分離観測可能な面、すなわちAサイトとOサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度からX線が照射されることにより解析可能となる面である。130系統反射列はA−BサイトとOサイトを分離観測可能な面、すなわちAサイトとBサイトとを結んだ直線に対して平行な入射角度からX線が照射されることにより解析可能となる面である。
【0035】
111系統では−3gから2gブラック条件まで、130系統では−2gから2gブラック条件まで連続的に傾斜させた時の、各構成元素の特性X線強度変化を連続的に観測し、図4(a)および図5(a)に示すプロファイルを得た。
【0036】
図4(a)は、111系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXS実験プロファイルを示す。図4(b)は、111系統反射列のALCHEMI−HARECXSプロファイルの理論値を示す。
【0037】
実験では、試料作製方位である[110]から[112]晶帯軸になるように試料を傾斜し、そこから[−110]方位に試料を傾斜させ、g=111系統反射列のみを励起させた。そして、−3gから2gブラック条件まで連続的に傾斜させた時の、各構成元素の特性X線強度変化を連続的に観測し、プロファイルを得た。比較として、内殻電子励起を考慮した動力学的回折理論を基に、Pb2+、Mg2+、Nb5+、Ti4+、O2ーがそれぞれA、B、B、B、Oサイトを占有している理想的イオン配列(自発変位無し、欠損無し、試料厚150nm)を仮定したHARECXS理論プロファイルを図4(b)に示す。HARECXS理論プロファイルは、規格化した各サイトの原子1個あたりのX線発生断面積(発生確率)を示している。また、計算を単純化させるため、結晶構造は立方晶(格子定数4.018Å)とした。
【0038】
図4(a)において、回折条件に依存して特性X線強度が大きく変化しており、対称励起条件を挟んだ−1<k/g111<1の範囲では、Pb2+とO2ーからのシグナルが強く、逆にNb5+とTi4+のシグナルは弱められ、高次反射側ではこの強度関係が逆転していることが確認された。これらの傾向は、図4(b)に示す理論強度プロファイルと一致し、A−OサイトにはPb2+とO2ーが位置し、BサイトにはNb5+とTi4+が位置していることが定性的に理解される。また、Mg2+については、回折条件の依存性が弱く、また理論強度プロファイルと挙動が明らかに異なるため、欠損または置換が生じていることが確認された。
【0039】
次に、130系統反射列のALCHEMI−HARECXSプロファイルを図5(a)に示す。実験では、試料作製方位である[−310]晶帯軸から[001]方位に試料を傾斜させ、g=130系統反射列のみを励起させた。そして、−2gから2gブラック条件まで連続的に傾斜させた時の、各構成元素の特性X線強度変化を連続的に観測し、プロファイルを得た。比較として、Pb2+、Mg2+、Nb5+、Ti4+、O2ーがそれぞれA、B、B、B、Oサイトを占有している理想的イオン配列(自発変位無し、欠損無し、試料厚100nm)を仮定したHARECXS理論プロファイルを図5(b)に示す。
【0040】
図5(a)では、回折条件に依存して特性X線強度が大きく変化しており、対称励起条件を挟んだ−1<k/g130<1の範囲では、Pb2+、Mg2+、Nb5+、Tiのシグナルが強く、また高次反射側ではこの強度関係が逆転している。一方で、O2ーのシグナルは回折条件の依存をほとんど示していないことがわかる。これらの傾向は、図5(b)に示す理論強度プロファイルと一致し、A−BサイトにはPb2+、Mg2+、Nb5+、Ti4+が位置し、OサイトにはO2ーが位置していることが定性的に理解される。図4のAサイトのPb2+と、BサイトのNb5+とTi4+の特性X線強度を比較すると、Nb5+とTi4+の回折条件の依存性が弱いことがわかる。格子点からの変位量が大きいと、高次反射のブラック条件付近の強度変化が抑えられることから、これは強誘電体の自発イオン変位による強度低下と解釈される。HARECXS法は、局所領域のイオン配列ばかりでなく、原子の格子点からの変位や試料膜厚にも敏感に依存するため、実験結果と理論計算の比較により、自発イオン変位量の定量化が可能である。
【0041】
図6(b)は、Mg2+とPb2+とを相互置換させた場合のHARECXS理論プロファイルである。図6(a)は、図4(a)と同様にALCHEMI−HARECXS実験プロファイルを示す。具体的に図6(b)は、Mg2+(総量4.32at%)の約45%(約2at%)がAサイトへ、等量のPb2+(総量19.15at%)の約10%がBサイトへ置換している場合のHARECXS理論プロファイルである。図6(b)は、図6(a)とほぼ一致していることから、PMN−32PTにおいて、AサイトイオンとBサイトイオンとが相互置換されていることが確認された。
【0042】
図5(a)は、130系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXSプロファイルを示す。図5(b)は、130系統反射列のALCHEMI−HARECXSプロファイルの理論値を示す。
【0043】
図7(a)は、130系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXSプロファイルを示す。図7(b)は、130系統反射列のPMN−32PTのMg2+とPb2+とを相互置換させた場合のHARECXS理論プロファイルである。図7(c)は、130系統反射列のPMN−32PTのMg2+とPb2+とを相互置換させた場合のHARECXS理論プロファイルである。
【0044】
図7に示すように、130系統反射列についても同様に、PMN−32PTにおいて、AサイトイオンとBサイトイオンとが相互置換されていることが確認された。
【0045】
図7(c)に示すように、Mg2+(総量4.32at%)の約45%(約2at%)がAサイトへ、等量のPb2+(総量19.15at%)の10%程度(約2at%)がBサイトを相互置換し、そして変位量をそれぞれPb2+(A):u=0.175Å、Pb2+(B):u=0.15Å、Mg2+(A):u=0.15Å、Mg2+(B):u=0.15Å、Nb5+(B):u=0.1Å、Ti4+(B):u=0.125Å、O(O):u=0.1Åとした場合に、図7(a)の実験値と近似したプロファイルを示した。
【0046】
一方、変位量をそれぞれPb2+(A):u=0.2Å、Pb2+(B):u=0.2Å、Mg2+(A):u=0.2Å、Mg2+(B):u=0.4Å、Nb5+(B):u=0.4Å、Ti4+(B):u=0.4Å、O2−(O):u=0.2Åとした場合は、図7(b)に示すように、対称励起条件を挟んだ−1<k/g111<1の範囲で、各イオンの相対強度関係が一致していない。これより、130系統列から見たNb5+とTi4+の変位量は、Pb2+の変位量以上にはならないことは明らかである。
【0047】
以上の評価方法により、ペロブスカイト型酸化物の結晶性薄膜の内部構造を評価することができた。
【0048】
上記のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】ペロブスカイト型酸化物の結晶構造を説明するための図。
【図2】本実施の形態にかかる結晶評価装置の機能構成を示すブロック図。
【図3】本実施の形態にかかる測定部の構成を示す図。
【図4】図4(a)は、111系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXS実験プロファイルを示す。図4(b)は、111系統反射列のPMN−32PTのHARECXS理論プロファイルを示す。
【図5】図5(a)は、130系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXS実験プロファイルを示す。図5(b)は、130系統反射列のPMN−32PTのHARECXS理論プロファイルを示す。
【図6】図6(a)は、111系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXS実験プロファイルを示す。図6(b)は、AサイトイオンとBサイトイオンとを相互置換させた場合における、111系統反射列のPMN−32PTのHARECXS理論プロファイルを示す。
【図7】図7(a)は、130系統反射列のPMN−32PTのALCHEMI−HARECXS実験プロファイルを示す。図7(b)は、130系統反射列のPMN−32PTのHARECXS理論プロファイルを示す。図7(b)は、130系統反射列のPMN−32PTのHARECXS理論プロファイルを示す。
【符号の説明】
【0050】
12 試料、13 光学部材、14 検出部、15 検出部、42 表示部、44 入力部、46 測定制御部、48 記憶部、50 処理部、100 結晶評価装置、110 測定部




 

 


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