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発明の名称 液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25530(P2007−25530A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−211028(P2005−211028)
出願日 平成17年7月21日(2005.7.21)
代理人 【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
発明者 田中 孝昭 / 小嶋 裕之 / 関 伸介
要約 課題
液晶分子及び配向膜間における光化学反応を抑制すると共に、液晶装置を迅速且つ効率良く製造する。

解決手段
反応活性サイトとなるシラノール基のうち配向膜16の表面に存在するOH部分にシラン化合物を反応させておくことによって、液晶分子50aと光化学反応するシラノール基を低減する。加えて、配向膜16の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基のうち30%以上にシラン化合物を結合することによって液晶分子及びシラノール基間に生じる光化学反応を抑制できるため、シラン化合物を用いた配向膜の表面に対する表面処理に要する処理時間を、配向膜16の表面の存在するシラノール基の略全てにシラン化合物を結合させる場合に比べて処理時間が短くて済む。
特許請求の範囲
【請求項1】
無機材料によって形成された無機垂直配向膜を備えた液晶装置であって、
前記無機垂直配向膜の表面は、該表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合した状態になるように前記シラン化合物を用いて処理されていること
を特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記シラン化合物は、下記一般式(1)で表される化学構造を有すること
を特徴とする液晶装置。
【化1】


(式中Aは置換基であり、lは1〜3の整数、mは0〜2の整数、nは0〜2の整数である。)
【請求項3】
前記置換基Aは、下記一般式(2)乃至(10)から選ばれた何れか一つの置換基であること
を特徴とする請求項2に記載の液晶装置。
(一般式(2)乃至(10)において、λは1〜16の整数、kは1〜16の整数である。)
【化2】


【化3】


【化4】


【化5】


【化6】


【化7】


【化8】


【化9】


【化10】


【請求項4】
無機材料によって形成された無機垂直配向膜を備えた液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であって、
斜方蒸着法を用いて前記無機垂直配向膜を形成する膜形成工程と、
前記無機垂直配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合した状態になるように前記シラン化合物を用いて前記表面を処理する表面処理工程とを備えたこと
を特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項5】
請求項1から3の何れか一項に記載の液晶装置を具備してなること
を特徴とする電子機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、垂直配向モードによって配向される液晶を備えた液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の液晶装置では、液晶分子の配向を規制するための液晶分子の配向モードとしては、電圧無印加状態で液晶分子が基板面に略平行で基板に垂直な方向にねじれた配向を持つツイステッド・ネマティック(Twisted Nematic;以下、TNと略記する)モードと、液晶分子が垂直に配向した垂直配向モードとが知られている。信頼性等の面から従来はTNモードが主流であったが、垂直配向モードがいくつかの優れた特性を持っているため、垂直配向モードの液晶装置が注目されている。
【0003】
垂直配向モードでは、例えば、液晶分子が基板面に対して垂直に配列された状態(法線方向から見た光学的リターデーションが無い)を黒表示として用いるため、黒表示の質が良く、高いコントラストが得られる。正面コントラストに優れる垂直配向型LCD(Liquid Crystal Display)では、一定のコントラストが得られる視角範囲は水平配向モードのTN液晶に比較して広くなる。加えて、画素内の液晶の配向方向を分割する配向分割(マルチドメイン)の技術を採用すれば、極めて広い視野角を得ることができる。
【0004】
この種の液晶装置において垂直配向モードによって液晶分子を配向制御する場合、ポリイミド等の有機材料から形成された有機垂直配向膜だけでなく、SiO又はSiO等の無機材料を基板に斜方蒸着することによって形成された無機垂直配向膜も用いられる。
【0005】
無機垂直配向膜を用いた液晶装置では、様々な観点から各種技術が開示されており、例えば、特許文献1では、液晶のプレチルト角を制御するために、無機配向膜の表面を有機の垂直配向剤で被覆する技術が開示されており、垂直配向剤の一例としてシランカップリング剤が挙げられている。特許文献2では、シリカ配向膜上に長鎖アルコールを反応させることによって液晶分子のプレチルト角を調整する技術が開示されている。特許文献3では、特許文献2で開示された長鎖アルコールをシリカ配向膜に反応させる反応方法について記載されている。特許文献4では、SiOx斜方蒸着膜である配向膜上に高級アルコールの層を形成することによって強誘電性液晶の動作電圧を低減する技術が開示されている。
【0006】
また、近年では、液晶プロジェクタの高精細化、高輝度化、及び低価格化に伴う液晶ライトバルブの小型化を求める要請によって、ライトバルブに入射させる光の強度が強くなってきている。そのためポリイミド膜等の有機材料で形成された垂直配向膜を使用した液晶ライトバルブでは、光や熱によって配向膜が劣化し、その結果、配向膜による液晶分子の配向規制力が低下して、液晶分子の配向状態が乱れ、コントラスト比が低下する等の表示不良が生じることがある。このため、有機垂直配向膜に比べて耐光性や耐熱性に優れた無機垂直配向膜が特に注目されている。このような無機垂直配向膜は、通常SiO又はSiO等の無機材料を用いて斜方蒸着法によって形成される。
【0007】
【特許文献1】特開平3−259116号公報
【特許文献2】特開平5−188376号公報
【特許文献3】特開平7−134299号公報
【特許文献4】特開2000−47211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、斜方蒸着法により基板面上に形成された無機垂直配向膜において、その表面や内部に例えばダングリングボンドが存在することで、電気的に不安定な欠陥部分が生じ、良好な膜質が得られないことがある。無機配向膜における電気的に不安定な欠陥部分には、例えば水分が反応してシラノール基が形成される。電気光学装置の組立後に、無機配向膜と接する例えば液晶分子が、液晶装置の動作時に発生する高輝度の光によって該シラノール基と光化学反応してしまう恐れがある。このような光化学反応が生じると、液晶分子とシラノール基との結合に起因する光漏れ等が生じることによって、電気光学装置内における表示画像の品質が劣化する問題点がある。上述した特許文献1乃至4では、液晶装置の高輝度化の要請によって液晶分子及びシラノール基の光化学反応による結合が顕在化し、表示画像の画質が低下する問題点について認識されていない。加えて、積極的に液晶分子及びシラノール基の光化学反応を抑制するための具体的な技術も開示されていない。例えば、特許文献1に開示された技術では、垂直配向剤は予め形成された無機配向膜による液晶分子の配向規制力を高めるために用いられており、本願発明者が指摘する問題点を解決するための技術については言及されていない。
【0009】
加えて、蒸着工程を経て無機垂直配向膜を形成する際には、有機材料で形成された配向膜を形成する場合に比べて液晶装置の製造工程が煩雑となる。より具体的は、無機垂直配向膜が形成される基板をチャンバー等に収容した後、所定の真空度に維持された状態で無機材料を基板に蒸着させるため、有機材料を用いた配向膜を形成する場合に比べて液晶装置を迅速に製造することがより強く求められる。
【0010】
このように、無機垂直配向膜を備えた液晶装置では、液晶装置の高輝度化の要請に伴い、表示性能及び製造プロセスに関して解決困難な問題点を抱えている。
【0011】
よって、本発明は、例えば無機垂直配向膜の表面に形成されたシラノール基及び液晶分子の光化学反応が抑制されており、且つ迅速な製造プロセスで製造可能な液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る液晶装置は上記課題を解決するために、無機材料によって形成された無機垂直配向膜を備えた液晶装置であって、前記無機垂直配向膜の表面は、該表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合した状態になるように前記シラン化合物を用いて処理されている。
【0013】
本発明に係る液晶装置によれば、無機垂直配向膜の表面に存在するシラノール基が光化学反応によって液晶分子と結合することを抑制できる。例えばSiO又はSiO等の無機材料を基板面に斜方蒸着させることによって形成された無機垂直配向膜及び液晶分子の光化学反応を低減でき、長期間に亘って高品質の画像を表示することが可能である。より具体的には、水分が無機垂直配向膜の欠陥部分に反応して形成されるシラノール基は反応活性が高いため、シラノール基のうち無機垂直配向膜の表面に存在するOH部分にシラン化合物を反応させておくことにより、液晶装置の動作時に液晶分子と光化学反応するシラノール基の反応活性を低減することが可能である。
【0014】
液晶分子及びシラノール基の結合は、無機垂直配向膜の表面を、この表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合した状態になるようにシラン化合物を用いて処理することによって抑制される。より具体的には、分子レベルのサイズで見て、シラノール基に結合するシラン化合物の末端基のサイズは、無機垂直配向膜の表面で隣接するシラノール基の間隔に比べて大きいため、シラノール基に結合したシラン化合物の末端基が、シラン化合物が結合されていないシラノール基及び液晶分子間で立体障害を生じさせることにより、シラノール基及び液晶分子の結合が抑制されると考えられる。
【0015】
シラノール基及び液晶分子間の結合を抑制する観点のみを考慮すれば、無機垂直配向膜の表面に存在するシラノール基の全てにシラン化合物を反応させておけばよいと考えられる。しかしながら、化学反応論的に見てシラノール基の全てにシラン化合物を結合させることは困難であり、加えてシラノール基及びシラン化合物を反応させるために長時間に亘って無機垂直配向膜の表面処理に時間を要することは、迅速な製造プロセスによって液晶装置を製造する観点からは好ましくない。したがって、無機垂直配向膜の表面を、この表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合した状態になるようにシラン化合物を用いて処理しておけば、液晶分子及びシラノール基の結合を抑制できることに加え、無機垂直配向膜の表面処理も迅速且つ効率的に行うことが可能である。
【0016】
尚、シラン化合物と結合される単位面積当たりのシラノール基は30%以上であれば如何なる値でもよく、無機垂直配向膜の表面処理に用いるシラン化合物の種類、各種無機配向膜の構成材料、或いは各種製造条件の許容範囲に応じて個別具体的に設定すればよい。
【0017】
本発明の「無機垂直配向膜」とは、典型的には、基板上にシリカ(SiO2)等の無機材料を例えば斜方蒸着法により堆積して形成されており、液晶分子を垂直配向モードで配向規制する配向膜である。無機垂直配向膜によって液晶分子の配向を規制する配向規制力は、無機垂直配向膜の表面形状によって概ね決まる。より具体的には蒸着された無機材料で構成される柱状結晶の高さや基板面に対する柱状結晶の傾斜角で決まる。このような柱状結晶の高さ(通常数十nm)に対して、無機垂直配向膜の表面におけるシラノール基とシラン化合物の反応層(通常十オングストローム程度)は極めて薄いため、シラン化合物で無機垂直配向膜を処理することによって液晶分子に対する配向規制力は影響を受けない。したがって、無機垂直配向膜の配向規制力を低下させることなく、無機垂直配向膜の寿命を延ばすことができる。また、無機垂直配向膜が形成される基板は、例えば画素電極や画素駆動用のTFT等が形成されたTFTアレイ基板、或いはTFTアレイ基板と対向配置されて液晶を挟持する対向基板であり、無機垂直配向膜はこれら基板の基板面のうち液晶に臨む側に形成されことによって、より効果的に液晶分子の配向規制力を高めることができる。TFTアレイ基板面上には、例えば無機垂直配向膜の下地として、画素電極を駆動するための配線や駆動素子が作りこまれた積層構造が形成され、この積層構造の最上層に画素電極が画素毎に所定のパターンで島状やストライプ状に形成される。無機垂直配向膜が形成された対向基板は、画素毎に開口領域を規定するための遮光膜が作りこまれているとともに、複数の画素電極と対向することになる対向電極が最上層に配置された積層構造を有する。
【0018】
以上のように、本発明に係る液晶装置によれば、その動作時にシラノール基及び液晶分子の光化学反応が生じることを低減できるため、結果的に長期間に亘って高画質の画像表示を行うことができる。即ち、本発明に係る液晶装置は優れた寿命特性を有する。加えて、シラノール基及び液晶分子の光化学反応を低減するためには、無機垂直配向膜の表面に存在するシラノール基の30%以上をシラン化合物と結合させておけばよいため、無機垂直配向膜の表面を迅速に表面処理でき、液晶装置を効率良く製造することが可能である。
【0019】
本発明に係る液晶装置では、前記シラン化合物は、下記一般式(1)で表される化学構造を有していてもよい。
【0020】
【化1】


【0021】
(式中Aは置換基であり、lは1〜3の整数、mは0〜2の整数、nは0〜2の整数である。)
この態様によれば、一般式(1)で表されるシラン化合物をシラノール基に結合させた際に、置換基Aが液晶分子に最も近い位置に位置することになる。置換基Aのサイズは、向き垂直配向膜の表面に存在するシラノール基の間隔に比べて大きい。したがって、置換基Aが液晶分子及び未反応のシラノール基間で立体障害を生じさせ、液晶分子及びシラノール基間で生じる光化学反応を抑制できる。
【0022】
この態様では、前記置換基Aは、下記一般式(2)乃至(10)から選ばれた何れか一つの置換基(一般式(2)乃至(10)において、λは1〜16の整数、kは1〜16の整数である。)を含んでいてもよい。
【0023】
【化2】


【0024】
【化3】


【0025】
【化4】


【0026】
【化5】


【0027】
【化6】


【0028】
【化7】


【0029】
【化8】


【0030】
【化9】


【0031】
【化10】


【0032】
この態様では、無機垂直配向膜の表面におけるシラノール基及び液晶分子の光化学反応の抑制効果、即ち無機垂直配向膜の耐光性の向上が可能になることに加え、置換基Aの種類に応じて無機垂直配向膜の疎水性又は液晶分子に対する親和性を高めることができる。より具体的には、疎水性或いは撥水性が向上することにより、無機垂直配向膜の表面にシラノール基が形成されることを抑制でき、間接的に無機垂直配向膜及び液晶分子の光化学反応を抑制できる。また、液晶分子に対する親和性が向上することにより無機垂直配向膜による液晶分子の配向規制が容易となり、長期間に亘って高品質の画像表示が可能になる。
【0033】
この態様の「置換基A」は、シラン化合物のうちシラン化合物中の鎖状炭化水素(C2m)と結合する部分であり、一般式(2)、(3)、(4)、(5)、(6)、(7)、(8)、(9)及び(10)の夫々で表したアルキル基、パーフルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、フェニルアミノ基、スチリル基、ベンゼトリフルオリド基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシプロピル基等の置換基である。これら置換基の化学的な特性に応じて無機垂直配向膜の疎水性、撥水性又は液晶分子に対する親和性を高めることができる。
【0034】
本発明に係る液晶装置の製造方法は上記課題を解決するために、無機材料によって形成された無機垂直配向膜を備えた液晶装置を製造するための液晶装置の製造方法であって、
斜方蒸着法を用いて前記無機垂直配向膜を形成する膜形成工程と、前記無機垂直配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合した状態になるように前記シラン化合物を用いて前記表面を処理する表面処理工程とを備える。
【0035】
本発明に係る液晶装置の製造方法によれば、上述した本発明の液晶装置と同様に液晶装置の高輝度化の要請に伴って顕在化する液晶分子の耐光性低下、即ち液晶分子及びシラノール基が結合することに起因する画質の低下を抑制でき、長期間に亘って高品質の画像を表示できるうえ、液晶装置を効率良く製造することが可能である。
【0036】
膜形成工程では、例えば画素電極が形成されたTFTアレイ基板等の基板面の法線方向に対して所定の角度で酸化シリコン等の無機材料を蒸着させることによって、基板面に対して所定の角度で配列された柱状結晶を成長させる単純な斜方蒸着により膜厚10nmから50nm程度の無機垂直配向膜を形成することができる。
【0037】
表面処理工程では、シラン化合物を所定の溶媒に所定の濃度となるように溶解させた溶液を作製し、この溶液に無機垂直配向膜が形成された基板を浸漬させることによって無機垂直配向膜の表面に形成されたシラノール基とシラン化合物とを化学的に反応させることができる。この態様では、無機垂直配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上がシラン化合物と結合されていればよいので、無機垂直配向膜の表面に存在するシラノール基の略全てにシラン化合物を結合させる場合に比べて表面の処理時間を短縮することが可能である。
【0038】
本発明に係る電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の液晶装置を備えている。
【0039】
本発明に係る電子機器によれば、上述した本発明に係る液晶装置を具備してなるので、高品位の表示が長期間に亘って可能な、投射型表示装置、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。また、本発明に係る電子機器として、例えば電子ペーパなどの電気泳動装置等も実現することが可能である。
【0040】
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下図面を参照しながら、本実施形態の液晶装置及びその製造方法、並びに電子機器を説明する。以下の実施形態では、本発明の液晶装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0042】
(液晶装置の構成)
先ず、本実施形態に係る液晶装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側からみた平面図であり、図2は、図1のH−H´断面図である。尚、以下で参照する各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0043】
図1及び図2において、本実施形態の液晶装置1では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0044】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。図2には、ギャップ材56として略球状のガラスビーズを、シール材52に混入した構成を示してある。尚、ギャップ材56を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0045】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0046】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0047】
TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0048】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図2には図示を省略してあるが、この積層構造の最上層に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。そして、画素電極9a上には、例えばシリカ(SiO)等の無機材料からなる配向膜16が設けられている。
【0049】
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0050】
そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成される。また、遮光膜23上に、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図2には図示しないカラーフィルタが形成されるようにしてもよい。
【0051】
対向基板20の対向面上における、これら各種の構成要素が作り込まれた積層構造上には、例えばシリカ(SiO)等の無機材料からなる配向膜22が形成されている。対向電極21は、対向基板20上の積層構造の最上層に配置されると共に、対向電極21上に配向膜22が形成されている。
【0052】
尚、TFTアレイ基板10及び対向基板20のいずれか一方の対向面上に配向膜を形成するようにしてもよい。但し、液晶装置1が備える配向膜16及び22は、寿命を延ばすために無機材料で形成されている。加えて、配向膜16及び22は、液晶分子を垂直配向モードで配向制御するように、基板面に対して所定の角度で結晶成長させた柱状結晶からなる無機垂直配向膜である。液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で、一対の配向膜16及び22間で、所定の配向状態をとる。
【0053】
後に詳述するように、配向膜16及び22の表面は、液晶50が注入される前に予めシラン化合物を用いて表面処理されている。
【0054】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0055】
ここで、図3には、図2に対応する断面の構成について、特に、TFTアレイ基板10上に形成された配向膜16による液晶の配向について模式的に示してある。
【0056】
図3において、TFTアレイ基板10において液晶層50と対向する側の基板面上に、TFT等の各種構成要素が作りまれた積層構造90が形成されており、積層構造90の最上層に画素電極9aが画素毎に形成されている。そして、画素電極9a上に、無機材料の柱状構造物16aがTFTアレイ基板10の基板面に対して所定の角度をなして配列することにより、無機材料が堆積して、配向膜16が形成されている。このように形成された配向膜16は、表面形状効果により、液晶分子50aの配向状態を垂直配向モードによって規制できる。尚、図3を参照して説明した配向膜16による液晶の配向については、対向基板20上に形成された配向膜22についても同様である。
【0057】
次に、以上の如く構成された液晶装置1における回路構成及び動作について、図4を参照して説明する。ここに図4は、液晶装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。
【0058】
図4において、本実施形態における液晶装置1の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、・・・、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0059】
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、・・・、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、・・・、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0060】
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、・・・、Snは、対向基板20に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0061】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
【0062】
(配向膜の表面における化学的な構造)
次に図5乃至図7を参照しながら、液晶装置1が備える配向膜16の表面の化学的な構造について説明する。図5は、シラン化合物で表面処理されていない配向膜16における表面の化学的な構造を模式図である。図6は、本実施形態の液晶装置1の配向膜16における表面の化学的な構造を示す模式図であり、シラン化合物で表面処理された状態を示す図である。図7は、図6と同趣旨の図であり、隣接するシラノール基に結合したシラン化合物が互いに結合した状態を示す。
尚、配向膜22についても、配向膜16と同様にシラン化合物を用いて表面処理されているため、配向膜22について詳細な説明は省略する。
【0063】
図5において、シリカ(SiO)等の無機材料からなる配向膜16は、外部の水分と反応しやすく、典型的には、その表面にシラノール基(−Si−OH)を有している。シラノール基は、反応性が高く、仮に何らの対策も施さねば、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に狭持された液晶層50の液晶分子と反応してしまう。特に例えばプロジェクタ等の装置として使用される際に照射される光によって反応する、即ち光化学反応を生じてしまう。このような光化学反応が液晶装置の動作時に照射される光によって生じるため、液晶装置の動作に伴い、配向膜16による液晶分子の配向制御力が低下し、配向膜16の耐光性が低下する。即ち、液晶装置の表示性能が序々に低下し、液晶装置が高品質の画像を表示できる期間が短くなってしまう。
【0064】
そこで図6及び図7に示すように、液晶装置1において、配向膜16の表面は、この表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上が下記一般式(1)で表されるシラン化合物と結合した状態になるようにこのシラン化合物を用いて処理されている。
【0065】
【化11】


【0066】
より具体的には、例えばトリメトキシシラン系のシラン化合物を用いた場合、図6に示すように、トリメトキシシラン系のシラン化合物が互いに結合することなく、表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上の夫々に個別に結合している。ここで、シラノール基に結合したトリメトキシシラン系のシラン化合物の分子サイズは、配向膜16の表面に存在するシラノール基の間隔に比べて大きい。したがって、配向膜16の表面に存在するシラノール基の略全てにシラン化合物が結合させなくても、シラノール基に結合したシラン化合物の末端基が、シラン化合物が結合されていないシラノール基及び液晶分子間で立体障害を生じさせる。この場合、末端基Rが、立体障害の発生に主に寄与し、シラノール基に結合したシラン化合物が、液晶装置の動作時にシラン化合物が結合されていないシラノール基と液晶分子とが光化学反応によって結合することを抑制でき、配向膜16の耐光性を高めることが可能である。
【0067】
また、図7に示すように、シラノール基及びトリメトキシシラン系のシラン化合物が結合した状態でシラン化合物が互いに結合することによって、配向膜16の表面に部分的に単一分子層で構成される反応層31が形成されていてもよい。ここで、シラノール基に個別に結合したシラン化合物のサイズ、及び反応層31のサイズは、配向膜16の膜厚に比べて極めて小さい。例えば、配向膜16を構成する柱状結晶の高さ(通常数十nm)に対して、配向膜16の表面におけるシラノール基とシラン化合物との反応層(通常十Å程度)は極めて薄いため、シラン化合物で配向膜16を処理することによって液晶分子に対する配向規制力は影響を受けない。したがって、基板上にシリカ(SiO)等の無機材料を例えば斜方蒸着法により堆積して形成されており、液晶分子を垂直配向モードで配向規制する配向膜16の配向規制力が、シラノール基に結合したシラン化合物によって阻害されることはない。
【0068】
尚、シラン化合物と結合させる単位面積当たりに存在するシラノール基の下限値は、シラノール基及び液晶分子間に生じる光化学反応が生じないようにシラノール基に結合させるシラン化合物のサイズ、即ち化学構造に応じて理論的或いは実験的に求めればよく、後述するように表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上にシラン化合物が結合するように配向膜16の表面をシラン化合物を用いて処理しておけば、液晶装置の耐光性能が向上する。
(実施例)
次に図8を参照しながら、配向膜の耐光性が向上するためにどの程度のシラノール基とシラン化合物とを結合させればよいかを確認するために本願発明者が行った実験結果を説明する。図8は、本願発明者が行った実験結果を示したグラフであり、横軸が表面被覆率(%)、即ち、配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基のうちシラン化合物と結合されたシラノール基の割合を示している。縦軸は、シラン化合物で表面処理された配向膜を備える液晶装置の耐光寿命を示している。ここで、耐光寿命とは、シラン化合物で表面処理されていない配向膜を備えた液晶装置に対する相対的な寿命を意味し、表示画像の画質が低下するまでの期間を相対的に数値化したものである。より具体的には、未処理の配向膜を備えた液晶装置を動作させた場合に表示画像が一定の画質以下になる期間を基準として、配向膜が表面処理された液晶装置の表示画像の画質が一定の基準以下になるまでの期間を相対的に数値したものである。即ち、耐光寿命が1以上であれば、シラン化合物によって表面処理を行うことによって配向膜の耐光性が高められていることになる。配向膜は、SiO又はSiO等の無機材料を斜方蒸着法によって基板に蒸着させてなるものであり、垂直配向モードで液晶を配向制御する無機垂直配向膜である。
【0069】
本実験では、先ずシラン化合物の一例であるビニルトリエトキシシランをエタノールに溶解させ、40℃の環境下でビニルエトキシシランの濃度が0.1重量%となるようにエタノール溶液を作製し、このエタノール溶液に配向膜を浸漬させ、加熱した。その後、基板をエタノール溶液から取り出して乾燥させた後、シラン化合物を含まない溶剤で洗浄し、未反応物を除去した後に乾燥させた基板を用いて液晶装置を組み上げて本実験を行った。
【0070】
その結果、図8において、耐光寿命は、表面被覆率が30%で顕著に向上し、それ以上表面被覆率において耐光寿命が高い水準に維持されることが分かった。即ち、配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上のビニルエトキシシランを結合させることによって、耐光性が顕著に高まることが確認された。
【0071】
本実施例では、シラン化合物の一例としてビニルエトキシシランを用いて配向膜の表面を処理したが、一般式(1)で表されるシラン化合物に含まれる置換基Aを化学式(2)乃至(10)で表される置換基で置換したシラン化合物1乃至9を用いても同様の効果が得られる。尚、一般式(2)乃至(10)に表した置換基は、順にアルキル基、パーフルオロアルキル基、ビニル基、フェニル基、フェニルアミノ基、スチリル基、ベンゼトリフルオリド基、エポキシシクロヘキシル基、グリシドキシプロピル基である。下記一般式(1)乃至(10)において、lは1〜3の整数、mは0〜2の整数、nは0〜2の整数、λは1〜16の整数、kは1〜16の整数である。
【0072】
【化12】


【0073】
【化13】


【0074】
【化14】


【0075】
【化15】


【0076】
【化16】


【0077】
【化17】


【0078】
【化18】


【0079】
【化19】


【0080】
シラン化合物の夫々は、置換基Aの化学的特性に応じて配向膜の耐光性を向上させる他にも、液晶装置の表示性能を高めるための各種化学的特性を有している。より具体的には、オクタデシルトリエトキシシラン(化合物1)は疎水性を有しており、配向膜の表面におけるシラノール基の生成を抑制できる。トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン(化合物2)及びp−トリフルオロメチルフェニルトリメトキシシラン(化合物7)は撥水性を有しているため、オクタデシルトリエトキシシラン(化合物1)と同様にシラノール基の生成を抑制できる。また、ビニルトリエトキシシラン(化合物3)、フェニルトリメトキシシラン(化合物4)、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(化合物5)、p−スチリルトリメトキシシラン(化合物6)、p−トリフルオロメチルフェニルトリメトキシシラン(化合物7)、2−(3、4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(化合物8)、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(化合物9)は液晶親和性が高いため、他のシラン化合物を用いて配向膜の表面を処理する場合に比べて配向制御力が大きくすることが可能である。化合物1乃至9の化学構造を下記化学式(11)乃至(19)に順に示す。
【0081】
これら例示したシラン化合物1乃至9を用いて配向膜の表面を処理することによって、液晶分子及び配向膜間の光化学反応を抑制できるだけでなく、配向膜の表面に生成されるシラノール基の抑制、或いは配向膜の配向制御力の向上を図ることが可能であり、より効果的に液晶装置の寿命を延ばすことができる。
【0082】
以上説明したように本発明に係る液晶装置によれば、配向膜の表面に存在するシラノール基が光化学反応によって液晶分子と結合することを抑制でき、例えばSiO又はSiO等の無機材料を基板面に斜方蒸着させることによって形成された配向膜及び液晶分子の光化学反応を低減でき、長期間に亘って高品質の画像を表示することが可能である。加えて、配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基のうち30%以上をシラン化合物と結合させることによって配向膜の耐光性は十分な水準に高めることができる。よって、液晶装置の製造プロセスにおいて、配向膜の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上にシラン化合物が結合するように、このシラン化合物で処理するために許容される処理時間に応じて配向膜の処理時間を設定することが可能である。したがって、シラノール基の略全てにシラン化合物を結合させるために要する表面処理時間に比べて、化学反応論的に見て格段に短い時間で、液晶分子と光化学反応しない配向膜を備えた液晶装置を形成できる。
(液晶装置の製造方法)
次に図9を参照しながら、上述の液晶装置1を製造するための液晶装置の製造方法を説明する。図9は、液晶装置1の製造プロセスの各工程を説明するためのフローチャートである。
【0083】
図9において、TFTアレイ基板10上に、例えば蒸着やスパッタリング等による成膜、エッチングやフォトグラフィ等によるパターンニング、熱処理などによって、データ線6aや走査線11a、TFT30等が作り込まれた積層構造90(図3参照)の最上層に、例えばスパッタリングによりITOから画素電極9aを形成する(ステップS11)。
【0084】
続いて、配向膜形成工程によって、例えば斜方蒸着法を、TFTアレイ基板10に対して施すことで、TFTアレイ基板10における画素電極9aが形成された基板面上にシリカ(SiO)からなる配向膜16を例えば約40nmの膜厚で形成する(ステップS12)。尚、配向膜16は、異方性スパッタリングや例えばインクジェット法等の塗布法によって形成してもよい。この際、蒸着源から発生されたシリカ(SiO)等の無機材料の蒸気流が、TFTアレイ基板10の基板面上において、積層構造90の最表面と接触することにより、積層構造90上に無機材料が蒸着する。基板面上に蒸着した無機材料の柱状構造物16aが基板面に対して所定の角度をなして配列することで、無機材料が基板面上に堆積する。
【0085】
次に、シラン化合物を溶剤に溶解させたシラン化合物溶液を用いてTFTアレイ基板10が備える配向膜16の液晶層50に面する側の表面を処理する(ステップS13)。ここで、配向膜16の表面の単位面積当たりに存在するシラノール基の30%以上にシラン化合物を結合させることによって配向膜16の耐光性を高めることができるため、例えば40℃の環境下でシラン化合物の濃度が0.1重量%となるように濃度調整されたエタノール溶液を用いて配向膜の表面を処理する場合、配向膜16の表面がシラン化合物で被覆される割合を示す被覆率が30%であれば配向膜16の表面に対するシラン化合物の反応時間は15分程度であり、被覆率を90%にする場合に比べて反応時間が1/3程度に済む。したがって、迅速且つ効果的に配向膜の耐光性を高めることが可能である。
【0086】
次に、シラン化合物及びその他の不純物を含まない純粋な溶剤を用いて、表面処理された配向膜16を洗浄する(ステップ14)。次に、配向膜16を乾燥させる(ステップ15)。尚、対向基板20には、ステップ11乃至15と相前後して遮光膜及び対向電極が形成される(ステップ21)と共に、配向膜22が形成される(ステップ22)。そして、TFTアレイ基板10の場合と同様に、対向基板20に形成された配向膜22も、シラン化合物を溶解させたシラン化合物溶液を用いて表面処理される(ステップ23)。そして、表面処理された配向膜22は、洗浄(ステップ24)及び乾燥(S25)される。
【0087】
その後、乾燥工程まで夫々終了したTFTアレイ基板10及び対向基板20を、TFTアレイ基板10において配向膜16が形成された側と、対向基板20において配向膜22が形成された側とをシール材52を介して貼り合わせる(ステップS31)。
【0088】
続いて、互いに貼り合わされた状態のTFTアレイ基板10及び対向基板20間に液晶を注入し(ステップS32)、液晶装置1が形成される。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の液晶装置の製造方法によれば、上述した液晶装置を製造することができる。ここで特に、配向膜の表面がシラン化合物で被覆される割合を示す被覆率が30%であれば配向膜の耐光性は十分な水準に維持されるため、製造プロセスの許容範囲内で迅速且つ効果的に配向膜の耐光性を高めることが可能である。
【0090】
(電子機器)
次に、上述した液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0091】
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図10は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。図10に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0092】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0093】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0094】
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0095】
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図11は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0096】
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図12は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
【0097】
尚、図10乃至図12を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0098】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う液晶装置、液晶装置の製造方法及び該液晶装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H´の断面図である。
【図3】配向膜による液晶の配向について説明するための模式図である。
【図4】複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【図5】表面処理が施されていない配向膜の表面を示す模式図である。
【図6】表面処理が施された配向膜の表面(その1)を示す模式図である。
【図7】表面処理が施された配向膜の表面(その2)を示す模式図である。
【図8】本願発明者が行った実験結果を示すグラフである。
【図9】本実施形態に係る液晶装置の製造プロセスの各工程を説明するためのフローチャートである。
【図10】液晶装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【図11】液晶装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図12】液晶装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0100】
9a・・・画素電極、10・・・TFTアレイ基板、10a・・・画像表示領域、16、22・・・配向膜、20・・・対向基板、21・・・対向電極、50・・・液晶層、101・・・データ線駆動回路、104・・・走査線駆動回路




 

 


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