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発明の名称 配向膜の製造装置、配向膜の製造方法、液晶装置、及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25119(P2007−25119A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205470(P2005−205470)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 中田 英男 / 宮川 拓也 / 奥山 規生
要約 課題
配向膜の製造に際してのメンテナンスの負荷を軽減し、これによって生産性を向上した配向膜の製造装置、配向膜の製造方法、この製造方法で製造された配向膜を有した液晶装置、電子機器を提供する。

解決手段
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置1である。成膜室2と、成膜室2内にて基板Wに配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段3と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部11を有し、蒸着手段3と基板Wとの間に設けられて基板Wの非配向膜形成領域を覆う遮蔽板4と、を備えてなる。蒸着手段3における蒸着源3aと遮蔽板4との間で、蒸着源3aの近傍に、蒸着源3aの昇華方向を規制するための規制部材5を設けた。
特許請求の範囲
【請求項1】
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部を有し、前記蒸着手段と前記基板との間に設けられて該基板の非配向膜形成領域を覆う遮蔽板と、を備えてなり、
前記蒸着手段における蒸着源と前記遮蔽板との間で、該蒸着源の近傍に、該蒸着源の昇華方向を規制するための規制部材を設けたことを特徴とする配向膜の製造装置。
【請求項2】
前記規制部材は、前記蒸着源の昇華方向を前記遮蔽板の開口部内とその近傍に規制するスリットを、開閉可能に有したことを特徴とする請求項1記載の配向膜の製造装置。
【請求項3】
前記規制部材には、前記蒸着源の側方を覆う防着材が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の配向膜の製造装置。
【請求項4】
前記遮蔽板と前記規制部材との間に、該規制部材で規制された蒸着源の昇華方向をさらに規制するための第2の規制部材を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項記載の配向膜の製造装置。
【請求項5】
前記第2の規制部材が複数設けられ、これら第2の規制部材は、前記遮蔽板に近づくに連れて蒸着源の昇華方向の規制範囲を狭めるように形成されていることを特徴とする請求項4記載の配向膜の製造装置。
【請求項6】
前記遮蔽板には、前記開口部が複数形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項7】
前記遮蔽板の開口部は、そのスリット幅が可変に形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項8】
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造方法であって、
前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するに際し、蒸着源の近傍に配設した規制部材によって該蒸着源の昇華方向を規制し、この昇華方向を規制した昇華物を、スリット状の開口部を有した遮蔽板の、前記開口部を通して前記基板に蒸着させことを特徴とする配向膜の製造方法。
【請求項9】
請求項8記載の配向膜の製造方法で得られた配向膜を有してなることを特徴とする液晶装置。
【請求項10】
請求項9記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向膜の製造装置、配向膜の製造方法、液晶装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、画像光を作製するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。ラビング処理とは、柔らかい布からなるローラで、高分子膜の表面を所定方向に擦ることにより、高分子を所定方向に配向させるものである。その配向性高分子と液晶分子との分子間相互作用により、配向性高分子に沿って液晶分子が配置されるので、非選択電圧印加時の液晶分子を所定方向に配向させることができるようになっている。また、側鎖アルキル基により、液晶分子にプレティルトを与えることができるようになっている。
【0004】
しかしながら、このような有機配向膜を備えた液晶装置をプロジェクタの光変調手段として採用した場合、光源から照射される強い光や熱によって配向膜が次第に分解されるおそれがある。そして、長期間の使用後には、液晶分子を所望のプレティルト角に配列することができなくなるなど液晶分子の配向制御機能が低下し、液晶プロジェクタの表示品質が低下してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、耐光性および耐熱性に優れた無機材料からなる配向膜の使用が提案されており、このような無機配向膜の製造方法としては、例えば斜方蒸着法による酸化珪素(SiO)膜の成膜が知られている。斜方蒸着法により無機配向膜を製造する場合、配向膜を所望の配向状態に形成するためには、配向膜材料の入射角度を制御する必要がある。このような制御を行うため、従来、配向膜材料と基板との間にスリットを形成した遮蔽板を配設し、このスリットを通して所定の入射角度で選択的に蒸着をなさせることにより、所望の配向膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この技術では、特にスリットを形成した遮蔽板が基板の直近に配設されることにより、蒸着源から昇華してきた配向膜材料の回り込みが防止されている。したがって、得られる配向膜は、ばらつき無く所定の蒸着角で形成されるようになっている。
【特許文献1】特開2002−365639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、蒸着源から昇華する配向膜材料は、蒸着源を中心にして放射状に広がって流れることから、遮蔽板の開口部を通って基板に成膜されるのは一部でしかなく、残りは、前記遮蔽板の底面や、成膜室の壁面に設置された防着板に付着してしまう。このような基板以外への配向膜材料の付着は、基板のサイズが大きくなるほどその量が増大する。すなわち、基板のサイズが大きくなると成膜室も大きくなり、蒸着源と基板(遮蔽板)との間の距離が長くなることから、付着する面積が増大してしまうのである。
【0007】
その結果、例えば遮蔽板や防着板に付着した配向膜材料を洗浄により除去したり、これら遮蔽板や防着板を別のものと交換した後、これらに付着した配向膜材料を洗浄によって除去するといったメンテナンスを頻繁に行う必要が生じ、そのための作業負荷が大きくなってしまうことから、生産性が低下してしまう。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、配向膜の製造に際してのメンテナンスの負荷を軽減し、これによって生産性を向上した配向膜の製造装置、配向膜の製造方法、この製造方法で製造された配向膜を有した液晶装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本発明の配向膜の製造装置は、対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部を有し、前記蒸着手段と前記基板との間に設けられて該基板の非配向膜形成領域を覆う遮蔽板と、を備えてなり、
前記蒸着手段における蒸着源と前記遮蔽板との間で、該蒸着源の近傍に、該蒸着源の昇華方向を規制するための規制部材を設けたことを特徴としている。
【0010】
この配向膜の製造装置によれば、蒸着源の近傍に、該蒸着源の昇華方向を規制するための規制部材を設けたので、成膜時に、遮蔽板の底面や成膜室の壁面に設置された防着板に付着してしまう配向膜材料の量を、この規制部材によって少なくすることができる。したがって、遮蔽板や防着板に配向膜材料が付着することによるメンテナンス時の作業負荷を軽減し、生産性の向上を図ることができる。
【0011】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記規制部材が、前記蒸着源の昇華方向を前記遮蔽板の開口部内とその近傍に規制するスリットを、開閉可能に有しているのが好ましい。
蒸着手段により配向膜材料を昇華させた際、昇華開始初期においては昇華速度が安定せず、したがってその状態で成膜を行った場合に、得られる配向膜にむらが生じてしまうおそれがある。そこで、規制部材において規制をなすスリットを開閉可能にし、昇華開始初期にはこのスリットを閉じることで蒸着源を覆うことにより、昇華速度が安定するまで成膜を待つことができる。そして、このように蒸着源を覆っておくことで、成膜室内に配向膜材料が付着してしまうのを防止することができる。
【0012】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記規制部材には、前記蒸着源の側方を覆う防着材が設けられているのが好ましい。
このようにすれば、昇華により蒸着源からその側方に流れる配向膜材料についても、例えば成膜室の壁面に設置された防着板に付着させることなく、前記防着材に付着させることができる。したがって、防着板に配向膜材料が付着することによるメンテナンス時の作業負荷を軽減し、生産性の向上を図ることができる。
【0013】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記遮蔽板と前記規制部材との間に、該規制部材で規制された蒸着源の昇華方向をさらに規制するための第2の規制部材を設けるのが好ましい。
このようにすれば、これら規制部材によって蒸着源の昇華方向をより精度良く規制し、遮蔽板側において配向膜材料が広がることなく遮蔽板の開口部内に流入させることが可能になる。したがって、遮蔽板やさらには防着板への配向膜材料の付着を少なくし、メンテナンス時の作業負荷を軽減することができる。
【0014】
なお、この製造装置においては、前記第2の規制部材が複数設けられ、これら第2の規制部材は、前記遮蔽板に近づくに連れて蒸着源の昇華方向の規制範囲を狭めるように形成されているのが好ましい。
このようにすれば、これら規制部材によって蒸着源の昇華方向をさらに精度良く規制することが可能になる。
【0015】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記遮蔽板には、前記開口部が複数形成されているのが好ましい。
規制部材によって蒸着源の昇華方向がある程度規制されていることで、蒸着源からの配向膜材料は、遮蔽板の開口部のうちの、設定された一つに対してのみほぼ選択的に流れ込むようになる。したがって、遮蔽板に開口部を複数形成しておき、成膜によって一つの開口部に配向膜材料が付着したら、例えば遮蔽板の位置をずらすことで他の開口部を蒸着源の昇華方向に対応させることにより、初期の成膜条件で安定して成膜を行うことが可能になる。すなわち、配向膜材料が開口部内を通ることにより、その一部は遮蔽板の開口部の内縁部にも付着する。すると、このスリット状の開口部のスリット幅が狭くなってしまい、この開口部で規定された入射角度などについての成膜条件が成膜初期に比べて変わってしまう。そこで、前記したように成膜に供する開口部を新たなものに代えることにより、初期の成膜条件で安定して成膜を行うことができるようになる。
【0016】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記遮蔽板の開口部は、そのスリット幅が可変に形成されているのが好ましい。
このようにすれば、基板の前処理条件や蒸着手段での蒸着(昇華)条件などが変わることで、開口部で規定する配向膜材料の入射角度などについても変える必要が生じた際、スリット幅を変えることでこれに容易に対応することが可能になる。
【0017】
本発明の配向膜の製造方法は、対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造方法であって、
前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するに際し、蒸着源の近傍に配設した規制部材によって該蒸着源の昇華方向を規制し、この昇華方向を規制した昇華物を、スリット状の開口部を有した遮蔽板の、前記開口部を通して前記基板に蒸着させことを特徴としている。
【0018】
この配向膜の製造方法によれば、遮蔽板の開口部を通して配向膜材料を基板に蒸着させる際に、蒸着源の近傍に配設した規制部材によって該蒸着源の昇華方向を規制しているので、この規制部材により、遮蔽板の底面や成膜室の壁面に設置された防着板に付着してしまう配向膜材料の量を少なくすることができる。したがって、遮蔽板や防着板に配向膜材料が付着することによるメンテナンス時の作業負荷を軽減し、生産性の向上を図ることができる。
【0019】
本発明の液晶装置は、前記の配向膜の製造方法で得られた配向膜を有してなることを特徴としている。
この液晶装置によれば、前述したように配向膜の製造についての生産性が向上していることから、この液晶装置自体の生産性も向上したものとなる。
【0020】
本発明の電子機器は、前記の液晶装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、生産性が向上した液晶装置を備えているので、この電子機器自体も生産性が向上したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
図1は本発明における配向膜の製造装置の一実施形態の概略構成を示す図であり、図1中符号1は配向膜の製造装置(以下、製造装置と記す)である。この製造装置1は、液晶装置の構成部材となる基板Wの表面に無機材料からなる配向膜を形成するためのもので、真空チャンバーによって形成される成膜室2と、蒸着手段3と、この蒸着手段3と前記基板Wとの間に配設される遮蔽板4と、前記蒸着手段3における蒸着源3aの昇華方向を規制するための規制部材5とを備えて構成されたものである。
【0022】
成膜室2は、配向膜形成の前処理(例えば基板の加熱処理)を行うための前処理室(図示せず)と、配向膜形成後の後処理(例えば基板の冷却処理)を行うための後処理室(図示せず)とにそれぞれ連通したもので、これら処理室との間の連通を気密に閉塞するゲートバルブ(図示せず)が備えられ、これによって前処理室からの基板Wの搬入、及び後処理室への基板Wの搬出が、室内の真空度を大きく低下させることなく行えるように構成されたものである。ここで、この成膜室2内には、前処理室から搬入された基板Wを前記遮蔽板上に連続的または断続的に搬送し、さらに後処理室に搬出するための搬送手段(図示せず)が設けられている。また、この成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための真空ポンプ6が配管7を介して接続されている。
【0023】
この成膜室2内には、一方の側壁側に蒸着手段3が配設されている。蒸着手段3は、前記基板Wに対して配向膜材料を物理的蒸着法、すなわち、蒸着法やイオンビームスパッタ法等のスパッタ法によって蒸着し、配向膜を形成するためのものである。本実施形態では、配向膜材料からなる蒸着源3aと、この蒸着源3aに電子ビームを照射して加熱昇華させる電子ビーム銃ユニット(図示せず)とにより、蒸着手段3が構成されている。なお、電子ビーム銃ユニットに代えて、抵抗加熱方式のヒータを、蒸着源3aの加熱手段として用いることもできる。配向膜材料としては二酸化珪素(SiO)等の酸化珪素(SiOx)が用いられる。
【0024】
この蒸着手段3では、蒸着源3aを保持するルツボ(図示せず)の開口が、後述する遮蔽板4の開口部に向くように配設されており、これによって蒸着手段3は、配向膜材料の昇華物(蒸着物)を、主に図1中の二点鎖線で示す方向に出射するようになっている。ただし、配向膜材料の昇華物(蒸着物)は、その流れ方向がルツボの開口に制限されるものの、ある程度の距離を流れるとその先では蒸着源3aを中心にして放射状に広がって流れてしまう。
【0025】
そこで、本発明では、この蒸着源3aからの配向膜材料の昇華物(蒸着物)の流れ、すなわち蒸着源3aの昇華方向を、後述する遮蔽板4の開口部とその近傍に規制するべく、蒸着源3aの近傍に規制部材5が配設されている。規制部材5は、図2に示すように一対の規制板5a、5bによって構成されたもので、これら規制板5a、5b間にスリット8を有したものである。すなわち、この規制部材5は、矩形状の規制板5aと、この規制板5aに対向する側の辺に切欠8aを形成した略矩形状の規制板5bとからなるもので、規制板5aと規制板5bの切欠8aとの間にスリット8を形成したものである。このスリット8は、前記蒸着源3aと遮蔽板4の開口部とを結ぶ位置に形成配置されたもので、これによって蒸着源3aの昇華方向を、遮蔽板4の開口部とその近傍に規制したものである。
【0026】
また、この規制部材5では、一方の規制板に進退機構(図示せず)が設けられたことにより、一方の規制板が他方の規制板に対して移動(進退)可能になっている。このような構成によって規制部材5は、図2中二点鎖線で示すように、前記の切欠8aを規制板5aで塞ぐことにより、スリット8を閉じることができるようになっている。すなわち、規制部材5は、スリット8を開閉可能に有したものとなっている。したがって、後述するように特に配向材料の昇華開始初期において、スリット8を閉じて規制部材5で蒸着源3aを覆うことにより、蒸着源3aの昇華速度が安定するまで、基板Wに対する成膜を停止させることができるようになっている。
【0027】
また、この規制部材5には、その外周部に、前記蒸着源3aの側方を覆う防着材9が設けられている。この防着材9は、規制部材5の外周部より下方に下げられて設けられた板状のもので、蒸着源3aの四方を覆うことで、昇華により蒸着源3aからその側方に流れる配向膜材料を、そのまま成膜室2内の壁面側にまで流すことなく、その流れを遮断してこれを付着させるものである。
【0028】
遮蔽板4は、成膜室2内に取り付けられた搬送板10に着脱可能に保持され、固定されるもので、金属やセラミックス、樹脂等によって形成されたものである。搬送板10は、その上面側に基板Wを保持し、かつ、前記搬送手段(図示せず)によってこれを移動可能にしたもので、成膜室2内において前記蒸着手段3と反対の側壁側に遮蔽板4保持用の開口10aを形成したものである。この開口10aには、例えばその下面側の内縁部に内側に延出する保持部10bが形成されている。これによって遮蔽板4は、前記開口10a内に嵌め込まれ、前記保持部10b上に載置された状態で搬送板10に保持固定されるようになっている。
【0029】
また、この遮蔽板4には、適宜な幅のスリット状の開口部(スリット)11が形成されている。この開口部11は、遮蔽板4が適宜に配置されたことにより、前記基板Wの搬送方向と直交するように位置させられたもので、前記蒸着手段3からの配向膜材料(蒸着物)を、基板Wに選択的に蒸着させるためのものである。また、この開口部11は、その内部に臨む基板Wの面を、前記蒸着源3aに対して所定の角度範囲にするように形成配置されている。これによって配向膜材料の昇華物(蒸着物)は、基板Wの成膜面に対して、所定の角度で斜方蒸着するようになっている。なお、この開口部11は、前記蒸着源3aとスリット8とを結ぶ直線の延長上にほぼ配設されている。このような構成のもとに蒸着源3aからの昇華物は、スリット8で規制されたことにより、成膜室2内を放射状に広がることなく、開口部11とその近傍のみに向けて流れるようになっている。
【0030】
一方、遮蔽板4自体は、基板Wの底面側を覆うことで、開口部11によって規定された成膜領域以外の、非配向膜形成領域を覆い、この領域への配向膜材料の蒸着を阻むようになっている。ただし、基板Wは開口部11に対して移動することから、基板Wの成膜領域(配向膜形成領域)を、時間をずらしつつ全て開口部11内に臨ませることで、この成膜領域の全面に配向膜材料を斜方蒸着させることができるようになっている。
なお、成膜室2内には、その内壁面に配向膜材料が付着するのを防止するため、防着板12が成膜室2に対して着脱可能に配設されている。
【0031】
次に、このような構成の製造装置1による配向膜の製造方法について説明する。
まず、真空ポンプ6を作動させ、成膜室2内を所望の真空度に調整しておくとともに、図示しない加熱手段によって成膜室2内を所定の温度に調整する。また、これとは別に、規制部材5の規制板5a、5bを閉じてスリット8を閉塞しておき、これによって蒸着源3aを規制部材5で覆っておく。そして、この状態で蒸着手段3を作動させ、配向膜材料を昇華させる。
【0032】
その後、配向膜材料の昇華速度が安定したら、規制板5a(5b)を移動し、スリット8を開けることによって蒸着源3aを開放する。このようにスリット8で蒸着源3aを開放することにより、このスリット8で配向膜材料の昇華物の流れる方向(出射方向)を規制することができる。すなわち、スリット8を通過した配向膜材料の昇華物が、図1中の二点鎖線で示すように、遮蔽板4の開口部12に向かってこの開口部12とその近傍のみに流れるように規制することができる。なお、蒸着源3aから昇華した配向膜材料のうち、スリット8を通過しない昇華物については、その流れが規制部材5や防着材9に遮られることによってここに付着する。したがって、遮蔽板4や成膜室2の内面側の防着板12に至り、そこに付着するといったことが防止されている。
【0033】
続いて、前処理室で加熱等の前処理がなされた基板Wを成膜室2内に搬入する。そして、この基板Wを搬送手段で連続的あるいは断続的に移動させる。
このようにして配向膜材料を昇華させつつ、基板Wを搬送板11上で移動させ、遮蔽板4上に到達させてその成膜面を開口部11に臨ませる。
【0034】
すると、開口部11が蒸着源3aに対して所定の角度範囲となるように形成配置されていることにより、蒸着源3aから昇華してきた配向膜材料は、基板Wの成膜面に対して所定の角度で斜方蒸着する。そして、このような斜方蒸着を、開口部11に対して基板Wを連続的あるいは断続的に移動させつつ行うことで、最終的に、基板Wの成膜領域(配向膜形成領域)の全面に配向膜材料を斜方蒸着させ、これにより所望の配向膜を形成することができる。
【0035】
このような構成の製造装置1にあっては、蒸着源3aの近傍に、該蒸着源3aの昇華方向を規制するための規制部材5を設けたので、成膜時に、遮蔽板4の底面や成膜室2の壁面に設置された防着板12に付着してしまう配向膜材料の量を、この規制部材5によって格段に少なくすることができる。したがって、遮蔽板4や防着板12に配向膜材料が付着することによるメンテナンス時の作業負荷を軽減し、生産性の向上を図ることができる。
【0036】
また、蒸着手段3により配向膜材料を昇華させた際、昇華開始初期においては昇華速度が安定せず、したがってその状態で成膜を行った場合に、得られる配向膜にむらが生じてしまうおそれがあるが、前記製造装置1ではその規制部材5のスリット8を開閉可能に構成しているので、昇華開始初期にはこのスリット8を閉じることで蒸着源3aを覆うことにより、昇華速度が安定するまで成膜を待つことができる。そして、このように成膜を待つ間、規制部材5により蒸着源3aを覆っておくことで、成膜室2内に配向膜材料が付着してしまうのを防止することができる。
【0037】
また、蒸着源3aの側方を覆う防着材9を規制部材5に設けているので、昇華により蒸着源3aからその側方に流れる配向膜材料についても、成膜室2の壁面に設置した防着板12に付着させることなく、前記防着材9に付着させることができる。したがって、防着板12に配向膜材料が付着することによるメンテナンス時の作業負荷を軽減し、生産性の向上を図ることができる。
【0038】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変更が可能である。例えば、図1中二点鎖線で示すように、規制部材5と遮蔽板4との間に、規制部材5で規制された蒸着源の昇華方向をさらに規制するための第2の規制部材13を設けてもよく、その場合に、この第2の規制部材13を複数設けてもよい。ここで、これら第2の規制部材13には、前記の規制部材5と同様にスリット14を形成しておき、このスリット14により、蒸着源3aから昇華した配向膜材料の昇華方向をさらに規制するようにする。
【0039】
このようにすれば、規制部材5に加えて第2の規制部材13によっても蒸着源3aの昇華方向を規制することにより、この昇華方向をより精度良く規制することができ、したがって遮蔽板4側において配向膜材料を広がらせることなく、配向膜材料を遮蔽板4の開口部11内に確実に流入させることができる。よって、遮蔽板4やさらには防着板12への配向膜材料の付着をより少なくし、メンテナンス時の作業負荷を軽減することができる。
また、特に第2の規制部材13を複数設けた場合には、これら第2の規制部材13が、遮蔽板4に近づくに連れて蒸着源3aの昇華方向の規制範囲を狭めるように形成するのが好ましい。このように形成することにより、蒸着源3aの昇華方向をさらに精度良く規制することができる。
【0040】
また、前記実施形態では、遮蔽板4に一つのスリット状開口部11を形成したが、本発明では、例えば図3(a)の斜視図に示すように遮蔽板4に複数のスリット状開口部11を、その長さ方向と直交する方向に等ピッチで並列させ、形成してもよい。その場合には、この遮蔽板4が、前記搬送板10に対して移動可能に保持されるように構成しておく。例えば、図3(a)に示したように搬送板10の開口10aを遮蔽板4に対して十分に長く形成しておき、図示しない移動機構により、遮蔽板4がこの開口10a内を図3(a)中矢印方向に所定距離(開口部11、11間のピッチ分の距離)ずつ移動できるようにしておく。
【0041】
このように構成しておくことにより、一つの開口部11内に配向膜材料がある程度付着したら、遮蔽板4を移動させて成膜に供していた開口部11をずらし、次の開口部11を用いて新たに成膜を行うようにすることができる。すなわち、前記の蒸着による成膜では、蒸着手段3による配向膜材料からの昇華物(蒸着物)を、開口部11内だけに完全に選択して出射するのは不可能であり、通常は、図4に示すように遮光板4の下面の、開口部11の近傍、さらには開口部11の内縁部に配向膜材料14が蒸着し付着してしまう。そして、成膜処理の時間が長くなるに連れ、配向膜材料14の付着量が多くなり、この付着した配向膜材料14によって、得られる配向膜の膜性能が低下してしまうおそれが生じる。
【0042】
このようなおそれを無くすためには、遮蔽板4の交換など成膜室2内のメンテナンスを十分に行う必要があるが、その場合には生産性の低下を招いてしまう。なぜなら、蒸着による成膜は、通常、成膜室2内を真空雰囲気にして行うが、成膜室2内のメンテナンス時には当然真空雰囲気から大気圧に戻す必要がある。したがって、メンテナンス後再度成膜を行うためには、成膜室2内を再度真空引きし、所望の真空度にする必要がある。しかしながら、成膜室2内を真空引きするには時間がかかり、例えば基板Wが多数個取りの大型基板である場合などでは、装置が大型となるため、真空引きに例えば10数時間から1日程度要することもあるからである。
【0043】
そこで、図3(a)に示したように開口部11を複数形成しておき、例えば設定した時間成膜処理を行ったら、前述したように遮蔽板4を移動させ、成膜に供していた開口部11をずらし、次の開口部11を用いて新たに成膜を行うようにする。このようにすれば、初期の成膜条件で安定して成膜を行うことができ、しかも、遮蔽板4を交換するために成膜室2内の真空引きを行うことで生産性の低下を招いてしまうことも、最小限に抑えることができる。
【0044】
また、遮蔽板4に複数のスリット状開口部11を形成するにあたっては、特に遮蔽板4を円板状に形成した場合、図3(b)の平面図に示すようにこの遮蔽板4の中心に対して放射状に等ピッチで開口部11を形成してもよい。その場合には、この遮蔽板4が、前記搬送板10に対して回動可能に保持されるように構成しておく。すなわち、図示しない回動機構によって遮蔽板4が搬送板10の開口10a内を所定角度ずつ回動できるようにしておき、これによって最初に開口部11があった位置に次の開口部11が入れ替わり、以下、順次これが繰り返されるようにしておく。
【0045】
このように構成しておくことにより、図3(a)に示した遮蔽板4の場合と同様に、一つの開口部11内に配向膜材料がある程度付着したら、遮蔽板4を回動させて成膜に供していた開口部11をずらし、次の開口部11を用いて新たに成膜を行うようにすることができる。したがって、初期の成膜条件で安定して成膜を行うことができ、しかも、遮蔽板4を交換するために成膜室2内の真空引きを行うことで生産性の低下を招いてしまうことも、最小限に抑えることができる。
【0046】
ここで、図3(a)、(b)に示したように遮蔽板4に開口部12を複数形成することで、前記の効果が良好に得られるのは、特に本発明では規制部材5によって蒸着源3aの昇華方向をある程度規制しているからである。すなわち、規制部材5によって蒸着源3aの昇華方向をある程度規制していることで、蒸着源3aからの配向膜材料は、遮蔽板4の開口部11のうちの、設定された一つに対してのみほぼ選択的に流れ込むようになる。したがって、遮蔽板4に開口部11を複数形成しておき、成膜によって一つの開口部11に配向膜材料が付着したら、遮蔽板4の位置をずらすことで他の開口部11を蒸着源3aの昇華方向に対応させることにより、初期の成膜条件で安定して成膜を行うことができる。すなわち、配向膜材料が開口部11内を通ることにより、その一部が該開口部11の内縁部にも付着すると、このスリット状の開口部11のスリット幅が狭くなってしまい、この開口部11で規定された入射角度などについての成膜条件が成膜初期に比べて変わってしまう。そこで、前記したように成膜に供する開口部11を新たなものに代えることにより、初期の成膜条件で安定して成膜を行うことができるようになる。
【0047】
また、前記実施形態では、遮蔽板4の開口部11のスリット幅については一定にしているが、例えばこの遮蔽板4についても、図2に示した規制部材5と同様に構成することで、その開口部11のスリット幅を可変に形成してもよい。このように構成すれば、基板Wの前処理条件や蒸着手段での蒸着(昇華)条件などが変わることで、開口部11で規定する配向膜材料の入射角度などについても変える必要が生じた際、開口部11のスリット幅を変えることでこれに容易に対応することができる。
【0048】
次に、このような製造装置1による製造方法によって形成された配向膜を備えた、本発明の液晶装置について説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図5は、本発明の液晶装置の一実施形態の概略構成を示すTFTアレイ基板の平面図であり、図5中符号80はTFTアレイ基板(基板)である。このTFTアレイ基板80の中央には画像作製領域101が形成されている。その画像作製領域101の周縁部に前記シール材89が配設されて、画像作製領域101に液晶層(不図示)が封止されている。この液晶層は、TFTアレイ基板80上に液晶が直接塗布されて形成されたもので、シール材89には液晶の注入口が設けられていない、いわゆる封口レス構造となっている。そのシール材89の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動素子110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動素子120とが実装されている。その駆動素子110、120から、TFTアレイ基板80の端部の接続端子79にかけて、配線76が引き廻されている。
【0049】
一方、TFTアレイ基板80に貼り合わされる対向基板90(図8参照)には、共通電極61(図8参照)が形成されている。この共通電極61は、画像作製領域101のほぼ全域に形成されたもので、その四隅には基板間導通部70が設けられている。この基板間導通部70からは、接続端子79にかけて配線78が引き廻されている。
そして、外部から入力された各種信号が、接続端子79を介して画像作製領域101に供給されることにより、液晶装置が駆動されるようになっている。
【0050】
図6は、液晶装置の等価回路図である。透過型液晶装置の画像作製領域を構成すべくマトリクス状に配置された複数のドットには、それぞれ画素電極49が形成されている。また、その画素電極49の側方には、該画素電極49への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースにはデータ線46aが接続されている。各データ線46aには、前述したデータ線駆動素子から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
【0051】
また、TFT素子30のゲートには走査線43aが接続されている。走査線43aには、前述した走査線駆動素子から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT素子30のドレインには画素電極49が接続されている。そして、走査線43aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンにすると、データ線46aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極49を介して各ドットの液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0052】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極49と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極49と容量線43bとの間に蓄積容量17が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光源光が変調されて、画像光が作製されるようになっている。
【0053】
図7は、液晶装置の平面構造の説明図である。本実施形態の液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極49(破線49aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。また、画素電極49の縦横の境界に沿って、データ線46a、走査線43aおよび容量線43bが設けられている。本実施形態では、各画素電極49の形成された矩形領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
【0054】
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層41aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール45を介して、データ線46aが接続されている。また、半導体層41aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール48を介して、画素電極49が接続されている。一方、半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分には、チャネル領域41a’が形成されている。
【0055】
図8は、液晶装置の断面構造の説明図であり、図6のA−A’線における矢視側断面図である。図8に示すように、本実施形態の液晶装置60は、TFTアレイ基板80と、これに対向配置された対向基板90と、これらの間に挟持された液晶層50とを主体として構成されている。TFTアレイ基板80は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体80A、およびその内側に形成されたTFT素子30や画素電極49、無機配向膜86などを主体として構成されている。一方の対向基板90は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体90A、およびその内側に形成された共通電極61や無機配向膜92などを主体として構成されている。
【0056】
TFTアレイ基板80の表面には、後述する第1遮光膜51aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜52の表面に半導体層41aが形成され、この半導体層41aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分にはチャネル領域41a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域41bと高濃度ソース領域41dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域41cと高濃度ドレイン領域41eとが形成されている。
【0057】
半導体層41aの表面には、ゲート絶縁膜42が形成されている。そして、ゲート絶縁膜42の表面に走査線43aが形成されて、チャネル領域41a’との対向部分がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜42および走査線43aの表面には、第2層間絶縁膜44が形成されている。そして、第2層間絶縁膜44の表面にデータ線46aが形成され、第2層間絶縁膜44に形成されたコンタクトホール45を介して、そのデータ線46aが高濃度ソース領域41dに接続されている。さらに、第2層間絶縁膜44およびデータ線46aの表面には、第3層間絶縁膜47が形成されている。そして、第3層間絶縁膜47の表面に画素電極49が形成され、第2層間絶縁膜44および第3層間絶縁膜47に形成されたコンタクトホール48を介して、その画素電極49が高濃度ドレイン領域41eに接続されている。さらに、画素電極49を覆って、前記製造装置1で形成された無機配向膜86が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0058】
なお、本実施形態では、半導体層41aを延設して第1蓄積容量電極41fが形成されている。また、ゲート絶縁膜42を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線43bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、前述した蓄積容量57が構成されている。
また、TFT素子30の形成領域に対応する基板本体80Aの表面に、第1遮光膜51aが形成されている。第1遮光膜51aは、液晶装置に入射した光が、半導体層41aのチャネル領域41a’、低濃度ソース領域41bおよび低濃度ドレイン領域41cに侵入することを防止するものである。
【0059】
一方、対向基板90における基板本体90Aの表面には、第2遮光膜63が形成されている。第2遮光膜63は、液晶装置に入射した光が半導体層41aのチャネル領域41a’や低濃度ソース領域41b、低濃度ドレイン領域41c等に侵入するのを防止するものであり、平面視において半導体層41aと重なる領域に設けられている。また対向基板90の表面には、ほぼ全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極61が形成されている。さらに、共通電極61の表面には、前記製造装置1で形成された無機配向膜92が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0060】
そして、TFTアレイ基板80と対向基板90との間には、ネマチック液晶等からなる液晶層50が挟持されている。このネマチック液晶分子は、正の誘電率異方性を有するものであり、非選択電圧印加時には基板に沿って水平配向し、選択電圧印加時には電界方向に沿って垂直配向する。またネマチック液晶分子は、正の屈折率異方性を有するものであり、その複屈折と液晶層厚との積(リタデーション)Δndは、例えば約0.40μm(60℃)となっている。なお、TFTアレイ基板80の配向膜86による配向規制方向と、対向基板90の配向膜92による配向規制方向とは、約90°ねじれた状態に設定されている。これにより、本実施形態の液晶装置60は、ツイステッドネマチックモードで動作するようになっている。
【0061】
また両基板80、90の外側には、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素をドープした材料等からなる偏光板58、68が配置されている。なお、各偏光板58、68は、サファイヤガラスや水晶等の高熱伝導率材料からなる支持基板上に装着して、液晶装置60から離間配置することが望ましい。各偏光板58、68は、その吸収軸方向の直線偏光を吸収し、透過軸方向の直線偏光を透過する機能を有する。TFTアレイ基板80側の偏光板58は、その透過軸が配向膜86の配向規制方向と略一致するように配置され、対向基板90側の偏光板68は、その透過軸が配向膜92の配向規制方向と略一致するように配置されている。
【0062】
液晶装置60は、対向基板90を光源側に向けて配置される。その光源光のうち偏光板68の透過軸と一致する直線偏光のみが偏光板68を透過して液晶装置60に入射する。
非選択電圧印加時の液晶装置60では、基板に対して水平配向した液晶分子が液晶層50の厚さ方向に約90°ねじれたらせん状に積層配置されている。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、約90°旋光されて液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板68の透過軸と一致するため、偏光板68を透過する。したがって、非選択電圧印加時の液晶装置60では白表示が行われるようになっている(ノーマリーホワイトモード)。
【0063】
また、選択電圧印加時の液晶装置60では、液晶分子が基板に対して垂直配向している。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、旋光されることなく液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板58の透過軸と直交するため、偏光板58を透過しない。したがって、選択電圧印加時の液晶装置60では黒表示が行われるようになっている。
【0064】
ここで、前述したように両基板80、90の内側には、前記製造装置1で形成された無機配向膜86、92が形成されている。これら無機配向膜86、92は、前述したようにSiOやSiO等の酸化珪素によって好適に形成されるが、Al、ZnO、MgOやITO等の金属酸化物等によって形成することもできる。
【0065】
このような無機配向膜86、92を形成してなる液晶装置60にあっては、前述したように製造装置1で形成されたことによってこれら無機配向膜86、92の膜性能の低下が防止されていることから、この液晶装置60自体も良好な品質を有するものとなる。また、無機配向膜86、92の製造についての生産性が向上していることから、この液晶装置60自体の生産性も向上したものとなる。
【0066】
(プロジェクタ)
次に、本発明の電子機器としてプロジェクタの一実施形態について、図9を用いて説明する。図9は、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。このプロジェクタは、前述した実施形態に係る液晶装置を光変調手段として備えたものである。
【0067】
図9において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0068】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
【0069】
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0070】
前述したプロジェクタは、前記の液晶装置を光変調手段として備えている。この液晶装置は、前述したように耐光性および耐熱性に優れた無機配向膜を備えているので、光源から照射される強い光や熱により配向膜が劣化することはない。また、この液晶装置は、生産性が向上しているので、このプロジェクタ(電子機器)自体も生産性が向上したものとなる。
【0071】
なお、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、前記実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、反射型液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態ではTN(Twisted Nematic)モードで機能する液晶装置を例にして説明したが、VA(Vertical Alignment)モードで機能する液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、実施形態では3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0072】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明の製造装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】規制部材の概略構成を説明するための斜視図である。
【図3】(a)、(b)は複数の開口部を形成した遮蔽板の説明図である。
【図4】遮蔽板の開口部近傍の状態を説明するための要部側断面図である。
【図5】液晶装置のTFTアレイ基板の平面図である。
【図6】液晶装置の等価回路図である。
【図7】液晶装置の平面構造の説明図である。
【図8】液晶装置の断面構造の説明図である。
【図9】プロジェクタの要部を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0074】
1…配向膜の製造装置、2…成膜室、3…蒸着手段、3a…蒸着源、4…遮蔽板、5…規制部材、8…スリット、9…防着材、11…開口部、13…第2の規制部材、14…配向膜材料、50…液晶層、60…液晶装置、80…基板(TFTアレイ基板)、80A…基板本体、86…無機配向膜、90…基板(対向基板)、90A…基板本体、92…無機配向膜、W…基板




 

 


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