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発明の名称 配向膜の製造装置、液晶装置、及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25118(P2007−25118A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205469(P2005−205469)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 中田 英男 / 宮川 拓也
要約 課題
配向膜の製造における生産性を向上し、また、配向膜の膜性能の低下をも防止した配向膜の製造装置と、液晶装置、電子機器を提供する。

解決手段
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置1である。成膜室2と、成膜室2内にて基板Wに配向膜材料を蒸着し、配向膜を形成する蒸着手段7と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部12を有し、蒸着手段7と基板Wとの間に設けられて基板Wの非配向膜形成領域を覆う遮蔽板10と、を備えてなる。成膜室2にゲートバルブ14を介して連通する真空チャンバーからなる給除材室3と、給除材室3に連通し、遮蔽板10の予備を収容する遮蔽板収容室4と、給除材室3に設けられて、成膜室2内の遮蔽板10と遮蔽板収容室4内の予備の遮蔽板10とを交換する交換装置18と、が設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置であって、
真空チャンバーからなる成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部を有し、前記蒸着手段と前記基板との間に設けられて該基板の非配向膜形成領域を覆う遮蔽板と、を備えてなり、
前記成膜室にゲートバルブを介して連通する真空チャンバーからなる給除材室と、該給除材室に連通し、前記遮蔽板の予備を収容する遮蔽板収容室と、前記給除材室に設けられて、前記成膜室内の遮蔽板と前記遮蔽板収容室内の予備の遮蔽板とを交換する交換装置と、が設けられていることを特徴とする配向膜の製造装置。
【請求項2】
前記遮蔽板収容室は、前記給除材室にゲートバルブを介して連通していることを特徴とする請求項1記載の配向膜の製造装置。
【請求項3】
前記交換装置は、前記成膜室内の遮蔽板を前記遮蔽板収容室内に排出する排出アームと、前記遮蔽板収容室内の予備の遮蔽板を前記成膜室内に供給する供給アームとを備えてなることを特徴とする請求項1又は2記載の配向膜の製造装置。
【請求項4】
前記給除材室と遮蔽板収容室とがそれぞれ複数ずつ設けられ、前記給除材室に前記交換装置が少なくとも一つ設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項5】
前記成膜室に、前記遮蔽板が複数設けられることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項6】
前記成膜室には前記遮蔽板を保持する保持部が設けられ、該保持部と前記遮蔽板との間には、前記遮蔽板の開口部が所定の位置となるように遮蔽板の位置決めをするための位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項7】
前記蒸着手段には、その蒸着源を開閉可能に覆うシャッターが備えられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置で製造された配向膜を有してなることを特徴とする液晶装置。
【請求項9】
請求項8記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向膜の製造装置、液晶装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、画像光を作製するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。ラビング処理とは、柔らかい布からなるローラで、高分子膜の表面を所定方向に擦ることにより、高分子を所定方向に配向させるものである。その配向性高分子と液晶分子との分子間相互作用により、配向性高分子に沿って液晶分子が配置されるので、非選択電圧印加時の液晶分子を所定方向に配向させることができるようになっている。また、側鎖アルキル基により、液晶分子にプレティルトを与えることができるようになっている。
【0004】
しかしながら、このような有機配向膜を備えた液晶装置をプロジェクタの光変調手段として採用した場合、光源から照射される強い光や熱によって配向膜が次第に分解されるおそれがある。そして、長期間の使用後には、液晶分子を所望のプレティルト角に配列することができなくなるなど液晶分子の配向制御機能が低下し、液晶プロジェクタの表示品質が低下してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、耐光性および耐熱性に優れた無機材料からなる配向膜の使用が提案されており、このような無機配向膜の製造方法としては、例えば斜方蒸着法による酸化珪素(SiO)膜の成膜が知られている。斜方蒸着法により無機配向膜を製造する場合、配向膜を所望の配向状態に形成するためには、配向膜材料の入射角度を制御する必要がある。このような制御を行うため、従来、配向膜材料と基板との間にスリットを形成した遮蔽板を配設し、このスリットを通して所定の入射角度で選択的に蒸着をなさせることにより、所望の配向膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−365639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の技術では、配向膜材料であるSiOが基板だけでなく遮蔽板にも蒸着することから、長時間処理を行うと、例えば遮蔽板のスリット幅が狭くなってしまう。すると、スリットで規定された入射角度などについての成膜条件が成膜初期に比べて変わってしまい、蒸着むらなどによって所望の配向膜が得られなくなってしまうことがある。さらに、遮蔽板のスリット近傍にも配向膜材料が付着するが、そのような状態で処理を続けると、この付着物がパーティクルとなって配向膜上に付着し、膜性能を低下させるおそれもある。
【0007】
また、このような不都合を回避するためには、遮蔽板の交換など装置内のメンテナンスを頻繁に行う必要があるが、その場合には、生産性が著しく低下してしまうといった新たな不都合を生じてしまう。なぜなら、蒸着による成膜は、通常、装置内を真空雰囲気にして行うが、装置内のメンテナンス時には当然真空雰囲気から大気圧に戻す必要がある。したがって、メンテナンス後再度成膜を行うためには、装置内を再度真空引きし、所望の真空度にする必要がある。しかしながら、装置内を真空引きするには時間がかかり、例えば被成膜物である基板が多数個取りの大型基板である場合などでは、装置が大型となるため、真空引きに例えば10数時間から1日程度要することもあるからである。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、配向膜の製造における生産性を向上し、また、配向膜の膜性能の低下をも防止した配向膜の製造装置、この製造装置で製造された配向膜を有した液晶装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本発明の配向膜の製造装置は、対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置であって、
真空チャンバーからなる成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部を有し、前記蒸着手段と前記基板との間に設けられて該基板の非配向膜形成領域を覆う遮蔽板と、を備えてなり、
前記成膜室にゲートバルブを介して連通する真空チャンバーからなる給除材室と、該給除材室に連通し、前記遮蔽板の予備を収容する遮蔽板収容室と、前記給除材室に設けられて、前記成膜室内の遮蔽板と前記遮蔽板収容室内の予備の遮蔽板とを交換する交換装置と、が設けられていることを特徴としている。
【0010】
この配向膜の製造装置によれば、給除材室を真空状態にしておくことで、例えば蒸着による成膜処理を所定時間行った後のメンテナンス時に、成膜室内の真空状態を維持したままで、交換装置によって遮蔽板を予備の新しい遮蔽板に交換することが可能になる。したがって、新しい遮蔽板によって成膜条件を成膜初期における条件に戻すことができ、これにより製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。また、遮蔽板に付着した配向膜材料の影響で、製造した配向膜にすじが形成されてしまうなどの成膜むらが生じてしまうのを防止することができ、さらに、遮蔽板に付着した配向膜材料がパーティクルとなって配向膜上に付着することも防止することができる。よって、製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。
また、このメンテナンス時に、真空状態を維持したままで遮蔽板の交換を行うことができるので、従来のごとく一旦真空状態から大気圧にし、再度真空引きするといった操作が不要になり、したがって真空引き操作に要する時間の無駄をなくして生産性を格段に向上することができる。
【0011】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記遮蔽板収容室が、前記給除材室にゲートバルブを介して連通しているのが好ましい。
このようにすれば、遮蔽板収容室に収容した予備の遮蔽板が全て使用済みとなった際、前記ゲートバルブを閉じて前記給除材室の真空状態を維持したまま、遮蔽板収容室内の遮蔽板の交換を行うことができる。そして、このように給除材室の真空状態を維持しておくことで、前記のメンテナンス時に成膜室と給除材室とを連通させた際、成膜室の真空状態が低下してしまうことを防止することができる。
【0012】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記交換装置が、前記成膜室内の遮蔽板を前記遮蔽板収容室内に排出する排出アームと、前記遮蔽板収容室内の予備の遮蔽板を前記成膜室内に供給する供給アームとを備えてなるのが好ましい。
このようにすれば、使用済みの遮蔽板の排出と、予備の遮蔽板の供給とを並行して行うことができるので、遮蔽板の交換に要する時間を短縮することができ、生産性をより一層高めることができる。
【0013】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記給除材室と遮蔽板収容室とがそれぞれ複数ずつ設けられ、前記給除材室に前記交換装置が少なくとも一つ設けられているのが望ましい。
このようにすれば、一つの給除材室によって成膜室内から使用済みの遮蔽板を排出するとともに、これと並行して、他の給除材室によって遮蔽板収容室から予備の遮蔽板を供給することができる。したがって、遮蔽板の交換に要する時間を短縮することができ、生産性をより一層高めることができる。また、例えば成膜室内にて複数の遮蔽板を用いて処理を行う場合に、給除材室と遮蔽板収容室とがそれぞれ複数ずつ設けられてことにより、これら複数の遮蔽板を同時に交換することも可能になる。
【0014】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記成膜室に、前記遮蔽板が複数設けられるようにしてもよい。
このようにすれば、それぞれの遮蔽板に対応させることで複数の基板を同時にあるいは断続的に成膜処理することが可能になり、これによって生産性の向上を図ることができる。
【0015】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記成膜室には前記遮蔽板を保持する保持部が設けられ、該保持部と前記遮蔽板との間には、前記遮蔽板の開口部が所定の位置となるように遮蔽板の位置決めをするための位置決め部が設けられているのが好ましい。
このようにすれば、遮蔽板を交換した際に、その開口部の位置が所定の位置となるように容易に位置決めしセットすることが可能になる。
【0016】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記蒸着手段には、その蒸着源を開閉可能に覆うシャッターが備えられているのが好ましい。
蒸着手段により配向膜材料を昇華させた際、昇華開始初期においては昇華速度が安定せず、したがってその状態で成膜を行った場合に、得られる配向膜にむらが生じてしまうおそれがある。そこで、蒸着源を開閉可能に覆うシャッターを設け、昇華開始初期においては蒸着源を覆っておくことで、昇華速度が安定するまで成膜を待つことができる。また、このように蒸着源を覆っておくことで、成膜室内に配向膜材料が付着してしまうのを防止することができる。
【0017】
なお、このようなシャッターについても、長時間使用すると配向膜材料の付着量が多くなり、この付着物がパーティクルとなって配向膜上に付着し、膜性能を低下させるおそれもある。そこで、このシャッターについても、前記遮蔽板と同様に、給除材室とシャッター収容室と交換装置とを備えることで、成膜室内の真空状態を大きく変えることなく、自動交換を行えるように構成しておくのが好ましい。
【0018】
本発明の液晶装置は、前記の配向膜の製造装置で製造された配向膜を有してなることを特徴としている。
この液晶装置によれば、前述したように配向膜の膜性能の低下が防止されていることから、この液晶装置自体も良好な品質を有するものとなる。また、配向膜の製造についての生産性が向上していることから、この液晶装置自体の生産性も向上したものとなる。
【0019】
本発明の電子機器は、前記の液晶装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、良好な品質を有し、生産性が向上した液晶装置を備えているので、この電子機器自体も良好な品質を有し、生産性が向上したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
図1は本発明における配向膜の製造装置の一実施形態の概略構成を示す図であり、図1中符号1は配向膜の製造装置(以下、製造装置と記す)である。この製造装置1は、液晶装置の構成部材となる基板Wの表面に無機材料からなる配向膜を形成するためのもので、真空チャンバーからなる成膜室2と、該成膜室2に連通する真空チャンバーからなる給除材室3と、該給除材室3に連通する遮蔽板収容室4とを備えて構成されたものである。
【0021】
成膜室2は、配向膜形成の前処理(例えば基板の加熱処理)を行うための前処理室(図示せず)と、配向膜形成後の後処理(例えば基板の冷却処理)を行うための後処理室(図示せず)とにそれぞれ連通したもので、これら処理室との間の連通を気密に閉塞するゲートバルブ(図示せず)が備えられ、これによって前処理室からの基板Wの搬入、及び後処理室への基板Wの搬出が、室内の真空度を大きく低下させることなく行えるように構成されたものである。なお、この成膜室2内には、前処理室から搬入された基板Wを、連続的または断続的に搬送し、さらに後処理室に搬出するための搬送手段(図示せず)が設けられている。
【0022】
この成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための真空ポンプ5が配管6を介して接続されている。また、この成膜室2内には、一方の側壁側に蒸着手段7が配設されている。蒸着手段7は、前記基板Wに対して配向膜材料を物理的蒸着法、すなわち、蒸着法やイオンビームスパッタ法等のスパッタ法によって蒸着し、配向膜を形成するためのものである。本実施形態では、配向膜材料からなる蒸着源7aと、この蒸着源7aに電子ビームを照射して加熱昇華させる電子ビーム銃ユニット(図示せず)とにより、蒸着手段7が構成されている。ここで、配向膜材料としては、二酸化珪素(SiO)等の酸化珪素(SiOx)や、Al、ZnO、MgO、ITOなどの金属酸化物が用いられる。この蒸着手段7では、蒸着源7aを保持するルツボ(図示せず)の開口が、後述する遮蔽板の開口部に向くように配設されており、これによって蒸着手段7は、配向膜材料の昇華物(蒸着物)を、図1中の二点鎖線で示す方向、すなわち遮蔽板の開口部近傍に効率良く出射するようになっている。
【0023】
また、この蒸着手段7には、その蒸着源7aを開閉可能に覆うシャッター8が備えられている。このシャッター8は、本実施形態では図示しない進退機構に接続されて、蒸着源7aを開放した状態(図1中に実線で示す状態)と、蒸着源7aを覆った状態(図1中に破線で示す状態)との間を、移動できるように構成されたものである。このような構成のもとにシャッター8は、後述するように特に配向材料の昇華開始初期において、蒸着源7aを覆うことで、蒸着源7aの昇華速度が安定するまで、基板Wに対する成膜を停止させることができるようになっている。
【0024】
前記蒸着手段7と前記基板Wとの間には保持板9が設けられている。この保持板9は、その上面側に基板Wを保持し、かつ、前記搬送手段(図示せず)によってこれを移動可能にしたものである。この保持板9には、成膜室2内において前記蒸着手段7と反対の側壁側に、遮蔽板10を保持固定するための保持部11が形成されている。保持部11は、遮蔽板10に対応した形状の開口11aと、この開口11aの内縁部下側にて、内側に延出して形成された支持部11bとからなるものである。このような構成によって遮蔽板10は、前記開口11a内に嵌め込まれ、支持部11b上に載置されることにより、保持板9に着脱可能に保持固定されるようになっている。
【0025】
遮蔽板10は、金属やセラミックス、樹脂等によって形成されたもので、前記保持板9の保持部11に保持固定されることより、後述するように前記基板Wの非配向膜形成領域を覆うようになっている。この遮蔽板10には、図2に示すように適宜な幅のスリット状の開口部(スリット)12が形成されている。この開口部12は、遮蔽板10が所定の状態に配置されたことにより、前記基板Wの搬送方向と直交するように位置させられたもので、前記蒸着手段7からの配向膜材料(蒸着物)を、基板Wに選択的に蒸着させるためのものである。また、この開口部12は、その内部に臨む基板Wの面を、前記蒸着源7aに対して所定の角度範囲にするように形成配置されている。これによって配向膜材料の昇華物(蒸着物)は、基板Wの成膜面に対して、所定の角度で斜方蒸着するようになっている。
【0026】
ここで、本実施形態では、遮蔽板10が前記基板Wに対して所定の状態に配置されるように、すなわち、その開口部12が前記蒸着源7aに対して所定の位置となるように、遮蔽板10と保持部11との間に位置決め部が設けられている。遮蔽板10は、図2に示したようにその平面形状が略円形状で、その周縁部に直線部10aが、開口部12と平行に形成されている。一方、この遮蔽板10を保持する保持板9の保持部11には、その開口11aの内縁に、前記直線部10aに対応する直線部11cが形成されている。このような構成のもとに遮蔽板10は、図2に示したようにその直線部10aが、保持部11における直線部11cに対向する状態でのみ、該保持部11に保持固定されるようになっている。すなわち、本実施形態では、遮蔽板10の直線部10aと、保持部11の直線部11cとにより、遮蔽板10の位置決めをなすための位置決め部が形成されているのである。
【0027】
なお、このような直線部10a、11cによる構成以外にも、これら直線部10a、11c以外の形状による係合や、ピンと孔とによる係合など、従来公知の係合等による位置決めの手段を、本発明における位置決め部として採用するようにしてもよい。
【0028】
また、遮蔽板10自体は、基板Wの底面側を覆うことで、開口部12によって規定された成膜領域以外の、非配向膜形成領域を覆い、この領域への配向膜材料の蒸着を阻むようになっている。ただし、基板Wは開口部12に対して移動することから、基板Wの成膜領域(配向膜形成領域)を、時間をずらしつつ全て開口部12内に臨ませることで、この成膜領域の全面に配向膜材料を斜方蒸着させることができるようになっている。
なお、成膜室2内には、その内壁面に配向膜材料が付着することを防止するため、防着板13が成膜室2に対して着脱可能に配設されている。
【0029】
この成膜室2には、前記給除材室3が、ゲートバルブ14を介して連通して接続されている。給除材室3は、真空チャンバーによって形成されたもので、成膜室2と同様に、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための真空ポンプ(図示せず)を備えたものである。ゲートバルブ14は、開閉可能に構成されて、給除材室3と成膜室2との間の連通を気密に閉塞し、あるいはこれを開放するためのものである。
【0030】
この給除材室3には、前記遮蔽板収容室4が、ゲートバルブ15を介して連通して接続されている。遮蔽板収容室4は、前記遮蔽板10の予備を複数収容するもので、真空チャンバーによって形成されたものであり、成膜室2や給除材室3と同様に、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための真空ポンプ(図示せず)を備えたものである。ゲートバルブ15は、前記ゲートバルブ14と同様に開閉可能に構成されたもので、遮蔽板収容室4と給除材室3との間の連通を気密に閉塞し、あるいはこれを開放するためのものである。
【0031】
遮蔽板収容室4にはカセット昇降装置16が設けられており、カセット昇降装置16には収納カセット17が設けられている。カセット昇降装置16は、エアーシリンダや油圧シリンダなどによる公知の昇降装置であって、昇降ロッド16a上に支持板(図示せず)を備え、この支持板上に収納カセット17を着脱可能に保持したものである。
収納カセット17は、遮蔽板10の予備、すなわち、未使用あるいはクリーニング後のもので、配向膜材料の付着がない遮蔽板10を、複数枚収納したものである。ここで、遮蔽板収容室4には、前記ゲートバルブ15とは別に、外部に連通するゲートバルブ(図示せず)が設けられている。そして、収納カセット17は、収納した遮蔽板10の予備の全てが使用済みの遮蔽板10に交換させられた際、このゲートバルブを開くことで、別に用意された収納カセット17と交換させられるようになっている。
【0032】
また、前記給除材室3には、前記成膜室2内の遮蔽板10と、前記遮蔽板収容室4内の予備の遮蔽板10とを交換する交換装置18が設けられている。この交換装置18は、給除材室3内において、成膜室2と遮蔽板収容室4との間、すなわちゲートバルブ14、15間を走行する走行部18aと、この走行部18aに回動可能かつ昇降可能に設けられたアーム18bとを備えて形成されたものである。アーム18bは伸縮可能に形成されたもので、その先端部には、遮蔽板10を保持するための保持部(図示せず)が、磁石や静電チャックなどによって設けられている。
このような構成のもとに交換装置18は、その走行部18aを一方のゲートバルブ側に移動させ、アーム18bを動作させることにより、遮蔽板10を保持し、さらにこれを移送するようになっている。
【0033】
次に、このような構成の製造装置1による配向膜の製造方法と、この製造装置1のメンテナンスについて説明する。
まず、ゲートバルブ14を閉じておき、その状態で真空ポンプ5を作動させ、成膜室2内を所望の真空度に調整しておくとともに、図示しない加熱手段によって成膜室2内を所定の温度に調整する。
また、これとは別に、シャッター8によって蒸着源7aを覆い、その状態で蒸着手段7を作動させ、配向膜材料を昇華させる。そして、配向膜材料の昇華速度が安定したら、シャッター8を移動させ、蒸着源7aを開放する。このように蒸着源7aを開放することで、図1中の二点鎖線で示す範囲に配向膜材料を昇華させ、出射させることができる。
【0034】
続いて、前処理室で加熱等の前処理がなされた基板Wを成膜室2内に搬入する。そして、この基板Wを搬送手段で連続的あるいは断続的に移動させ、遮蔽板10上に到達させてその成膜面を開口部12に臨ませる。
すると、開口部12が蒸着源7aに対して所定の角度範囲となるように形成配置されていることにより、蒸着源7aから昇華してきた配向膜材料は、基板Wの成膜面に対して所定の角度で斜方蒸着する。そして、このような斜方蒸着を、開口部12に対して基板Wを連続的あるいは断続的に移動させつつ行うことで、最終的に、基板Wの成膜領域(配向膜形成領域)の全面に配向膜材料を斜方蒸着させ、これにより所望の配向膜を形成することができる。
【0035】
ところで、このような蒸着による成膜では、蒸着手段7による配向膜材料からの昇華物(蒸着物)を、開口部12内にのみ選択的に出射するのはほとんど不可能であり、通常は、図3に示すように遮光板4の下面の、開口部12の近傍、さらには開口部12の内縁部に配向膜材料19が蒸着し付着してしまう。そして、成膜処理の時間が長くなるに連れ、配向膜材料19の付着量が多くなり、この付着した配向膜材料19によって、前述したように得られる配向膜の膜性能が低下してしまうおそれが生じる。
【0036】
そこで、本発明においてもこのような膜性能の低下を防止するため、メンテナンスとして遮蔽板10の交換を行う。ただし、本発明では、従来と異なり、成膜室2内を大気圧に戻すことなく、交換装置18によって自動的に遮蔽板10を交換する。
すなわち、本発明の実施形態では、基板Wに配向膜を形成した後、成膜室2内を大気圧に戻すことなく、この基板Wを後処理室に搬出するとともに、蒸着手段7による配向膜材料の昇華を停止する。また、このメンテナンス(交換)に先立ち、給除材室3内及び遮蔽板収容室4内を、それぞれ所望の真空状態にしておく。なお、このメンテナンス(交換)のタイミングについては、特に限定されることなく、1枚の基板Wに成膜処理する毎に行ってもよく、予め設定した枚数の基板Wを成膜処理した後に行うようにしてもよい。
【0037】
続いて、ゲートバルブ14を開き、交換装置18の走行部18aをゲートバルブ14側に移動させる。そして、アーム18bを動作させることにより、成膜室2内の遮蔽板10を保持部11から外し、そのまま保持してこれを給除材室3内に引き入れる。さらに、アーム18bを回動させて保持した遮蔽板10を遮蔽板収容室4側に向け、走行部18aをゲートバルブ15側に移動させる。次いで、ゲートバルブ15を開き、保持していた使用済みの遮蔽板10を収容カセット17内に入れ、さらにこの収容カセット17から予備の遮蔽板10を取り出し、これを保持する。そして、再度アーム18bをゲートバルブ14側に向け、走行部18aを移動させ、保持した遮蔽板10の予備を、成膜室2内の保持部11にセットする。このとき、保持部11と遮蔽板10との間には、前述した直線部10a、11cによる位置決め部が形成されているので、この位置決め部に規制される状態で遮蔽板10を保持部11にセットすることにより、遮蔽板10の開口部12を所定の位置に位置合わせることができる。
【0038】
このようにして遮蔽板10の交換を行ったら、成膜室2と給除材室3との間のゲートバルブ14を閉じ、交換後の新たな遮蔽板10を用いて再度基板Wに対する成膜を行う。
また、このような遮蔽板10の交換が進み、収納カセット17内の遮蔽板10が全て使用済みの遮蔽板10に交換させられたら、ゲートバルブ15を閉じ、遮蔽板収容室4内を大気圧に戻す。そして、前記ゲートバルブ15とは別の、外部に連通するゲートバルブ(図示せず)を開き、収納カセット17を、別に用意しておいた、新たな(予備の)遮蔽板10を収納した収納カセット17と交換する。その後、ゲートバルブを閉じ、遮蔽板収容室4内を所定の真空状態に戻し、その状態で待機する。
【0039】
なお、給除材室3と遮蔽板収容室4とについては、これらの間にゲートバルブ15を設けて、それぞれを独立した真空チャンバとして構成したが、これらを単に連通させただけで、一つの真空チャンバとして構成してもよい。このように構成しても、成膜室2と給除材室3との間のゲートバルブ14の開閉で成膜室2内の真空状態を制御することで、成膜室2内の真空度を著しく低下させることなく、遮蔽板10の交換を行うことができる。
【0040】
このような構成の製造装置1にあっては、給除材室3を真空状態にしておくことで、例えば蒸着による成膜処理を所定時間行った後のメンテナンス時に、成膜室2内の真空状態を維持したままで、交換装置18によって遮蔽板10を予備の新しい遮蔽板10に交換することができる。したがって、新しい遮蔽板10によって成膜条件を成膜初期における条件に戻すことができ、これにより製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。また、遮蔽板10に付着した配向膜材料の影響で、製造した配向膜にすじが形成されてしまうなどの成膜むらが生じてしまうのを防止することができ、さらに、遮蔽板10に付着した配向膜材料がパーティクルとなって配向膜上に付着することも防止することができる。よって、製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。
また、このメンテナンス時に、真空状態を維持したままで遮蔽板10の交換を行うことができるので、従来のごとく一旦真空状態から大気圧にし、再度真空引きするといった操作が不要になり、したがって真空引き操作に要する時間の無駄をなくして生産性を格段に向上することができる。
【0041】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、本発明の要旨を逸脱しない限り種々の変更が可能である。例えば、前記実施形態では給除材室3に一台の交換装置18を設けたが、これを複数台設けるようにしてもよい。すなわち、給除材室3に例えば二台の交換装置18を設け、一方の交換装置18を、成膜室2内の遮蔽板10を遮蔽板収容室4内に排出する専用の交換装置とし、そのアーム18bを排出アームとする。また、他方の交換装置18を、遮蔽板収容室4内の予備の遮蔽板10を成膜室2内に供給する専用の交換装置とし、そのアーム18bを供給アームとする。
【0042】
このように構成することで、使用済みの遮蔽板10の排出と、予備の遮蔽板10の供給とを並行して行うことができ、したがって遮蔽板10の交換に要する時間を短縮し、生産性をより一層高めることができる。
なお、一台の交換装置18に二つのアーム18bを設け、これら二つのアームのうちの一方を排出アームとし、他方を供給アームとしてもよい。
【0043】
また、一つの成膜室2に対して、給除材室3と遮蔽板収容室4とをそれぞれ複数ずつ設けてもよい。その場合に、複数の給除材室3のそれぞれに、前記実施形態で示した交換装置18を設けてもよく、また、複数の給除材室3において、一つの交換装置を設けるようにしてもよい。すなわち、一つの給除材室3には、成膜室2内の遮蔽板10を遮蔽板収容室4内に排出する専用の排出アームを設け、他の給除材室3には、遮蔽板収容室4内の予備の遮蔽板10を成膜室2内に供給する専用の供給アームを設ける。このように構成することで、排出アームと供給アームとを有した交換装置を、実質的に一台のみ設けることができる。
【0044】
このように構成すれば、一つの給除材室3によって成膜室2内から使用済みの遮蔽板10を排出するとともに、これと並行して、他の給除材室3によって遮蔽板収容室4から予備の遮蔽板10を供給することができる。したがって、遮蔽板10の交換に要する時間を短縮することができ、生産性をより一層高めることができる。また、例えば成膜室2内にて複数の遮蔽板10を用いて処理を行う場合に、給除材室3と遮蔽板収容室4とがそれぞれ複数ずつ設けられてことにより、これら複数の遮蔽板10を同時に交換することもできる。
【0045】
図4は、前述したように成膜室2内にて複数の遮蔽板10を用いて処理を行う場合の例を示す図であって、遮蔽板10を複数設けた配向膜の製造装置の、平面視した状態を示す模式図である。この製造装置では、平面視円形の成膜室2の中心に蒸着源7a(蒸着手段7)が配設され、この蒸着源7aに対して複数の遮蔽板10が放射状に配設されている。すなわち、蒸着源7aの上方に配設された保持板9には、その外周側に四つの保持部11が等間隔に形成配置されており、これら四つの保持部11にそれぞれ遮蔽板10がセットされている。
また、前記各保持部9の外側には、前記四つの保持部11にそれぞれ対応して給除材室3と遮蔽板収容室4とが設けられており、四つの給除材室3には、交換装置18がそれぞれに設けられている。
【0046】
このように複数(四つ)の遮蔽板10を設けることで、各遮蔽板10毎で異なる基板Wに対して配向膜の斜方蒸着による成膜を行うことができる。すなわち、一つの蒸着源7a(蒸着手段7)からそれぞれ同じ角度で各遮蔽板10の開口部12が位置させられることにより、前記蒸着手段7(蒸着源7a)によって四つの基板Wを同時に、あるいは時間をずらして断続的に成膜処理を行うことができる。したがって、生産性の向上を図ることができる。
また、メンテナンス時に、各保持部11に対応する給除材室3及び遮蔽板収容室4と交換装置18とにより、それぞれの遮蔽板10を同時に交換することもできる。したがって、遮蔽板10の交換に要する時間を短縮し、生産性をより一層高めることができる。
【0047】
また、前記配向膜の製造装置においては、特に蒸着源7aを開閉可能に覆うシャッター8についても、所定時間成膜処理に供した後には、新しいものと交換するのが好ましい。これは、シャッター8の内面側に付着した配向膜材料の量が多くなると、その付着物の一部がパーティクルとなり、形成する配向膜に異物となって付着してしまうおそれがあるからである。
【0048】
そこで、このシャッター8を交換する機構についても、例えば図1中二点鎖線で示すように、前記給除材室3と同様の構成からなる給除材室20と、前記遮蔽板収容室4と同様の構成からなるシャッター収容室21と、交換装置18とを備えることで、成膜室2内の真空状態を大きく変えることなく、自動交換を行えるように構成しておくのが好ましい。
【0049】
次に、このような製造装置1によって形成された配向膜を備えた、本発明の液晶装置について説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図5は、本発明の液晶装置の一実施形態の概略構成を示すTFTアレイ基板の平面図であり、図5中符号80はTFTアレイ基板(基板)である。このTFTアレイ基板80の中央には画像作製領域101が形成されている。その画像作製領域101の周縁部に前記シール材89が配設されて、画像作製領域101に液晶層(不図示)が封止されている。この液晶層は、TFTアレイ基板80上に液晶が直接塗布されて形成されたもので、シール材89には液晶の注入口が設けられていない、いわゆる封口レス構造となっている。そのシール材89の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動素子110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動素子120とが実装されている。その駆動素子110、120から、TFTアレイ基板80の端部の接続端子79にかけて、配線76が引き廻されている。
【0050】
一方、TFTアレイ基板80に貼り合わされる対向基板90(図8参照)には、共通電極61(図8参照)が形成されている。この共通電極61は、画像作製領域101のほぼ全域に形成されたもので、その四隅には基板間導通部70が設けられている。この基板間導通部70からは、接続端子79にかけて配線78が引き廻されている。
そして、外部から入力された各種信号が、接続端子79を介して画像作製領域101に供給されることにより、液晶装置が駆動されるようになっている。
【0051】
図6は、液晶装置の等価回路図である。透過型液晶装置の画像作製領域を構成すべくマトリクス状に配置された複数のドットには、それぞれ画素電極49が形成されている。また、その画素電極49の側方には、該画素電極49への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースにはデータ線46aが接続されている。各データ線46aには、前述したデータ線駆動素子から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
【0052】
また、TFT素子30のゲートには走査線43aが接続されている。走査線43aには、前述した走査線駆動素子から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT素子30のドレインには画素電極49が接続されている。そして、走査線43aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンにすると、データ線46aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極49を介して各ドットの液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0053】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極49と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極49と容量線43bとの間に蓄積容量17が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光源光が変調されて、画像光が作製されるようになっている。
【0054】
図7は、液晶装置の平面構造の説明図である。本実施形態の液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極49(破線49aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。また、画素電極49の縦横の境界に沿って、データ線46a、走査線43aおよび容量線43bが設けられている。本実施形態では、各画素電極49の形成された矩形領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
【0055】
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層41aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール45を介して、データ線46aが接続されている。また、半導体層41aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール48を介して、画素電極49が接続されている。一方、半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分には、チャネル領域41a’が形成されている。
【0056】
図8は、液晶装置の断面構造の説明図であり、図6のA−A’線における矢視側断面図である。図8に示すように、本実施形態の液晶装置60は、TFTアレイ基板80と、これに対向配置された対向基板90と、これらの間に挟持された液晶層50とを主体として構成されている。TFTアレイ基板80は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体80A、およびその内側に形成されたTFT素子30や画素電極49、無機配向膜86などを主体として構成されている。一方の対向基板90は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体90A、およびその内側に形成された共通電極61や無機配向膜92などを主体として構成されている。
【0057】
TFTアレイ基板80の表面には、後述する第1遮光膜51aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜52の表面に半導体層41aが形成され、この半導体層41aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分にはチャネル領域41a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域41bと高濃度ソース領域41dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域41cと高濃度ドレイン領域41eとが形成されている。
【0058】
半導体層41aの表面には、ゲート絶縁膜42が形成されている。そして、ゲート絶縁膜42の表面に走査線43aが形成されて、チャネル領域41a’との対向部分がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜42および走査線43aの表面には、第2層間絶縁膜44が形成されている。そして、第2層間絶縁膜44の表面にデータ線46aが形成され、第2層間絶縁膜44に形成されたコンタクトホール45を介して、そのデータ線46aが高濃度ソース領域41dに接続されている。さらに、第2層間絶縁膜44およびデータ線46aの表面には、第3層間絶縁膜47が形成されている。そして、第3層間絶縁膜47の表面に画素電極49が形成され、第2層間絶縁膜44および第3層間絶縁膜47に形成されたコンタクトホール48を介して、その画素電極49が高濃度ドレイン領域41eに接続されている。さらに、画素電極49を覆って、前記製造装置1で形成された無機配向膜86が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0059】
なお、本実施形態では、半導体層41aを延設して第1蓄積容量電極41fが形成されている。また、ゲート絶縁膜42を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線43bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、前述した蓄積容量57が構成されている。
また、TFT素子30の形成領域に対応する基板本体80Aの表面に、第1遮光膜51aが形成されている。第1遮光膜51aは、液晶装置に入射した光が、半導体層41aのチャネル領域41a’、低濃度ソース領域41bおよび低濃度ドレイン領域41cに侵入することを防止するものである。
【0060】
一方、対向基板90における基板本体90Aの表面には、第2遮光膜63が形成されている。第2遮光膜63は、液晶装置に入射した光が半導体層41aのチャネル領域41a’や低濃度ソース領域41b、低濃度ドレイン領域41c等に侵入するのを防止するものであり、平面視において半導体層41aと重なる領域に設けられている。また対向基板90の表面には、ほぼ全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極61が形成されている。さらに、共通電極61の表面には、前記製造装置1で形成された無機配向膜92が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0061】
そして、TFTアレイ基板80と対向基板90との間には、ネマチック液晶等からなる液晶層50が挟持されている。このネマチック液晶分子は、正の誘電率異方性を有するものであり、非選択電圧印加時には基板に沿って水平配向し、選択電圧印加時には電界方向に沿って垂直配向する。またネマチック液晶分子は、正の屈折率異方性を有するものであり、その複屈折と液晶層厚との積(リタデーション)Δndは、例えば約0.40μm(60℃)となっている。なお、TFTアレイ基板80の配向膜86による配向規制方向と、対向基板90の配向膜92による配向規制方向とは、約90°ねじれた状態に設定されている。これにより、本実施形態の液晶装置60は、ツイステッドネマチックモードで動作するようになっている。
【0062】
また両基板80、90の外側には、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素をドープした材料等からなる偏光板58、68が配置されている。なお、各偏光板58、68は、サファイヤガラスや水晶等の高熱伝導率材料からなる支持基板上に装着して、液晶装置60から離間配置することが望ましい。各偏光板58、68は、その吸収軸方向の直線偏光を吸収し、透過軸方向の直線偏光を透過する機能を有する。TFTアレイ基板80側の偏光板58は、その透過軸が配向膜86の配向規制方向と略一致するように配置され、対向基板90側の偏光板68は、その透過軸が配向膜92の配向規制方向と略一致するように配置されている。
【0063】
液晶装置60は、対向基板90を光源側に向けて配置される。その光源光のうち偏光板68の透過軸と一致する直線偏光のみが偏光板68を透過して液晶装置60に入射する。
非選択電圧印加時の液晶装置60では、基板に対して水平配向した液晶分子が液晶層50の厚さ方向に約90°ねじれたらせん状に積層配置されている。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、約90°旋光されて液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板68の透過軸と一致するため、偏光板68を透過する。したがって、非選択電圧印加時の液晶装置60では白表示が行われるようになっている(ノーマリーホワイトモード)。
【0064】
また、選択電圧印加時の液晶装置60では、液晶分子が基板に対して垂直配向している。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、旋光されることなく液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板58の透過軸と直交するため、偏光板58を透過しない。したがって、選択電圧印加時の液晶装置60では黒表示が行われるようになっている。
【0065】
ここで、前述したように両基板80、90の内側には、前記製造装置1で形成された無機配向膜86、92が形成されている。これら無機配向膜86、92は、前述したようにSiOやSiO等の酸化珪素によって好適に形成されるが、Al、ZnO、MgOやITO等の金属酸化物等によって形成することもできる。
【0066】
このような無機配向膜86、92を形成してなる液晶装置60にあっては、前述したように製造装置1で形成されたことによってこれら無機配向膜86、92の膜性能の低下が防止されていることから、この液晶装置60自体も良好な品質を有するものとなる。また、無機配向膜86、92の製造についての生産性が向上していることから、この液晶装置60自体の生産性も向上したものとなる。
【0067】
(プロジェクタ)
次に、本発明の電子機器としてプロジェクタの一実施形態について、図9を用いて説明する。図9は、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。このプロジェクタは、前述した実施形態に係る液晶装置を光変調手段として備えたものである。
【0068】
図9において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0069】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
【0070】
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0071】
前述したプロジェクタは、前記の液晶装置を光変調手段として備えている。この液晶装置は、前述したように耐光性および耐熱性に優れた無機配向膜を備えているので、光源から照射される強い光や熱により配向膜が劣化することはない。また、この液晶装置は、良好な品質を有し、生産性が向上しているので、このプロジェクタ(電子機器)自体も良好な品質を有し、生産性が向上したものとなる。
【0072】
なお、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、前記実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、反射型液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態ではTN(Twisted Nematic)モードで機能する液晶装置を例にして説明したが、VA(Vertical Alignment)モードで機能する液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、実施形態では3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0073】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の製造装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】遮蔽板及び保持部の構成を説明するための要部平面図である。
【図3】遮蔽板の開口部近傍の状態を説明するための要部側断面図である。
【図4】遮蔽板を複数設けた製造装置の模式図である。
【図5】液晶装置のTFTアレイ基板の平面図である。
【図6】液晶装置の等価回路図である。
【図7】液晶装置の平面構造の説明図である。
【図8】液晶装置の断面構造の説明図である。
【図9】プロジェクタの要部を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0075】
1…配向膜の製造装置、2…成膜室、3…給除材室、4…遮蔽板収容室、7…蒸着手段、7a樹着源、8…シャッター、9…保持板、10…遮蔽板、10a…直線部、11…保持部、11c…直接部、12…開口部、14…ゲートバルブ、15…ゲートバルブ、18…交換装置、19…配向膜材料、50…液晶層、60…液晶装置、80…基板(TFTアレイ基板)、80A…基板本体、86…無機配向膜、90…基板(対向基板)、90A…基板本体、92…無機配向膜、W…基板




 

 


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