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発明の名称 配向膜の製造装置、液晶装置、及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−25117(P2007−25117A)
公開日 平成19年2月1日(2007.2.1)
出願番号 特願2005−205468(P2005−205468)
出願日 平成17年7月14日(2005.7.14)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 永田 康史 / 清水 雄一
要約 課題
配向膜の製造における生産性を向上し、また、配向膜の膜性能の低下をも防止した配向膜の製造装置、この製造装置で製造された配向膜を有した液晶装置、電子機器を提供する。

解決手段
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置1である。成膜室2と、成膜室2内にて基板Wに配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段3と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部12を有し、蒸着手段3と基板Wとの間に設けられて基板Wの非配向膜形成領域を覆う遮蔽板4と、を備えてなる。遮蔽板4に付着した配向膜材料18を除去するためのクリーニング媒体を、遮蔽板4の蒸着手段側における開口部12近傍に供給する、クリーニング手段5が備えられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部を有し、前記蒸着手段と前記基板との間に設けられて該基板の非配向膜形成領域を覆う遮蔽板と、を備えてなり、
前記遮蔽板に付着した前記配向膜材料を除去するためのクリーニング媒体を、前記遮蔽板の前記蒸着手段側における前記開口部近傍に供給する、クリーニング手段が備えられていることを特徴とする配向膜の製造装置。
【請求項2】
前記クリーニング媒体として、前記配向膜材料と化学反応することでこれを遮蔽板から除去する反応性ガスが用いられることを特徴とする請求項1記載の配向膜の製造装置。
【請求項3】
前記クリーニング媒体として、前記配向膜材料を物理的に除去することでこれを遮蔽板から除去する固体微粒子が用いられることを特徴とする請求項1記載の配向膜の製造装置。
【請求項4】
前記クリーニング手段は、前記開口部に対して進退可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項5】
前記遮蔽板に付着した前記配向膜材料の除去が終了したときの終点を検知する、終点検知手段が備えられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の配向膜の製造装置で製造された配向膜を有してなることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
請求項6記載の液晶装置を備えたことを特徴とする電子機器。


発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、配向膜の製造装置、液晶装置、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等の投射型表示装置の光変調手段として用いられる液晶装置は、一対の基板間の周縁部にシール材が配設され、その中央部に液晶層が封止されて構成されている。その一対の基板の内面側には液晶層に電圧を印加する電極が形成され、これら電極の内面側には非選択電圧印加時において液晶分子の配向を制御する配向膜が形成されている。このような構成によって液晶装置は、非選択電圧印加時と選択電圧印加時との液晶分子の配向変化に基づいて光源光を変調し、画像光を作製するようになっている。
【0003】
ところで、前述した配向膜としては、側鎖アルキル基を付加したポリイミド等からなる高分子膜の表面に、ラビング処理を施したものが一般に用いられている。ラビング処理とは、柔らかい布からなるローラで、高分子膜の表面を所定方向に擦ることにより、高分子を所定方向に配向させるものである。その配向性高分子と液晶分子との分子間相互作用により、配向性高分子に沿って液晶分子が配置されるので、非選択電圧印加時の液晶分子を所定方向に配向させることができるようになっている。また、側鎖アルキル基により、液晶分子にプレティルトを与えることができるようになっている。
【0004】
しかしながら、このような有機配向膜を備えた液晶装置をプロジェクタの光変調手段として採用した場合、光源から照射される強い光や熱によって配向膜が次第に分解されるおそれがある。そして、長期間の使用後には、液晶分子を所望のプレティルト角に配列することができなくなるなど液晶分子の配向制御機能が低下し、液晶プロジェクタの表示品質が低下してしまうおそれがある。
【0005】
そこで、耐光性および耐熱性に優れた無機材料からなる配向膜の使用が提案されており、このような無機配向膜の製造方法としては、例えば斜方蒸着法による酸化珪素(SiO)膜の成膜が知られている。斜方蒸着法により無機配向膜を製造する場合、配向膜を所望の配向状態に形成するためには、配向膜材料の入射角度を制御する必要がある。このような制御を行うため、従来、配向膜材料と基板との間にスリットを形成した遮蔽板を配設し、このスリットを通して所定の入射角度で選択的に蒸着をなさせることにより、所望の配向膜を形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−365639号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記の技術では、配向膜材料であるSiOが基板だけでなく遮蔽板にも蒸着することから、長時間処理を行うと、例えば遮蔽板のスリット幅が狭くなってしまう。すると、スリットで規定された入射角度などについての成膜条件が成膜初期に比べて変わってしまい、蒸着むらなどによって所望の配向膜が得られなくなってしまうことがある。さらに、遮蔽板のスリット近傍にも配向膜材料が付着するが、そのような状態で処理を続けると、この付着物がパーティクルとなって配向膜上に付着し、膜性能を低下させるおそれもある。
【0007】
また、このような不都合を回避するためには、遮蔽板の交換など装置内のメンテナンスを頻繁に行う必要があるが、その場合には、生産性が著しく低下してしまうといった新たな不都合を生じてしまう。なぜなら、蒸着による成膜は、通常、装置内を真空雰囲気にして行うが、装置内のメンテナンス時には当然真空雰囲気から大気圧に戻す必要がある。したがって、メンテナンス後再度成膜を行うためには、装置内を再度真空引きし、所望の真空度にする必要がある。しかしながら、装置内を真空引きするには時間がかかり、例えば被成膜物である基板が多数個取りの大型基板である場合などでは、装置が大型となるため、真空引きに例えば10数時間から1日程度要することもあるからである。
また、遮蔽板を新しいものに交換した場合には、成膜初期において成膜の安定性が低いため、交換後しばらくはならし運転をしなければならず、これによっても生産性が損なわれてしまう。
【0008】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、配向膜の製造における生産性を向上し、また、配向膜の膜性能の低下をも防止した配向膜の製造装置、この製造装置で製造された配向膜を有した液晶装置、電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的を達成するため本発明の配向膜の製造装置は、対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置の配向膜の製造装置であって、
成膜室と、該成膜室内にて前記基板に配向膜材料を物理的蒸着法で蒸着し、配向膜を形成するための蒸着手段と、配向膜材料を選択的に蒸着させるためのスリット状の開口部を有し、前記蒸着手段と前記基板との間に設けられて該基板の非配向膜形成領域を覆う遮蔽板と、を備えてなり、
前記遮蔽板に付着した前記配向膜材料を除去するためのクリーニング媒体を、前記遮蔽板の前記蒸着手段側における前記開口部近傍に供給する、クリーニング手段が備えられていることを特徴としている。
【0010】
この配向膜の製造装置によれば、メンテナンス時、成膜室内の真空状態を維持したまま、クリーニング手段によって遮蔽板に付着した配向膜材料を除去することが可能になる。したがって、開口部の内縁部に付着した配向膜材料も除去することにより、成膜条件を成膜初期における条件に戻すことができ、これにより製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。また、遮蔽板に付着した配向膜材料がパーティクルとなって配向膜上に付着することも防止することができ、これによっても製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。
また、このメンテナンス時に、真空状態を維持したままで遮蔽板のクリーニングを行うことができるので、従来のごとく一旦真空状態から大気圧にし、再度真空引きするといった操作が不要になり、したがって真空引き操作に要する時間の無駄をなくして生産性を格段に向上することができる。
【0011】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記クリーニング媒体として、前記配向膜材料と化学反応することでこれを遮蔽板から除去する反応性ガスが好適に用いられる。
このような反応性ガスを用いることで、遮蔽板に付着した配向膜材料を良好に、また材料によっては選択的に除去することが可能になる。
【0012】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記クリーニング媒体として、前記配向膜材料を物理的に除去することでこれを遮蔽板から除去する固体微粒子が好適に用いられる。
このような固体微粒子を用いることで、遮蔽板に付着した配向膜材料を良好に除去することが可能になる。
【0013】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記クリーニング手段が、前記開口部に対して進退可能に設けられているのが好ましい。
このようにすることにより、クリーニング時には、クリーニング手段を開口部に対して前進させることで、遮蔽板の開口部の内縁部やその近傍に付着した配向膜材料を確実に除去することが可能になる。また、蒸着による配向膜の成膜時には、クリーニング手段を開口部に対して後退させることで、クリーニング手段が成膜処理に干渉してしまうことを防止するとともに、クリーニング手段自体に配向膜材料が付着してしまうのを防止することが可能になる。
【0014】
また、前記配向膜の製造装置においては、前記遮蔽板に付着した前記配向膜材料の除去が終了したときの終点を検知する、終点検知手段が備えられているのが好ましい。
このようにすれば、終点検知手段によって配向膜材料の除去の終点を検知し、その時点でクリーニングを終了することにより、遮蔽板を過剰にクリーニングすることによる、時間のロスや遮蔽板の損傷を防止することが可能になる。
【0015】
本発明の液晶装置は、前記の配向膜の製造装置で製造された配向膜を有してなることを特徴としている。
この液晶装置によれば、前述したように配向膜の膜性能の低下が防止されていることから、この液晶装置自体も良好な品質を有するものとなる。また、配向膜の製造についての生産性が向上していることから、この液晶装置自体の生産性も向上したものとなる。
【0016】
本発明の電子機器は、前記の液晶装置を備えたことを特徴としている。
この電子機器によれば、良好な品質を有し、生産性が向上した液晶装置を備えているので、この電子機器自体も良好な品質を有し、生産性が向上したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。
図1(a)は本発明における配向膜の製造装置の一実施形態の概略構成を示す図、図1(b)は図1(a)の要部拡大図であり、図1(a)、(b)中符号1は配向膜の製造装置(以下、製造装置と記す)である。この製造装置1は、液晶装置の構成部材となる基板Wの表面に無機材料からなる配向膜を形成するためのもので、真空チャンバーによって形成される成膜室2と、蒸着手段3と、この蒸着手段3と前記基板Wとの間に配設される遮蔽板4と、この遮蔽板4をクリーニングするためのクリーニング手段5とを備えて構成されたものである。
【0018】
成膜室2は、配向膜形成の前処理(例えば基板の加熱処理)を行うための前処理室(図示せず)と、配向膜形成後の後処理(例えば基板の冷却処理)を行うための後処理室(図示せず)とにそれぞれ連通したもので、これら処理室との間の連通を気密に閉塞するシャッター(図示せず)が備えられ、これによって前処理室からの基板Wの搬入、及び後処理室への基板Wの搬出が、室内の真空度を大きく低下させることなく行えるように構成されたものである。
【0019】
この成膜室2には、その内部圧力を制御し、所望の真空度を得るための真空ポンプ6が配管7を介して接続されている。また、本実施形態では、前記クリーニング手段5の近傍に排気管8が配設されており、この排気管8には、終点検知手段となるフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)9が接続され、さらに吸引ポンプ10が接続されている。なお、この成膜室2内には、前処理室から搬入された基板Wを、図1(a)中の矢印A方向に連続的または断続的に搬送し、さらに後処理室に搬出するための搬送手段(図示せず)が設けられている。
【0020】
また、この成膜室2内には、一方の側壁側に蒸着手段3が配設されている。蒸着手段3は、前記基板Wに対して配向膜材料を物理的蒸着法、すなわち、蒸着法やイオンビームスパッタ法等のスパッタ法によって蒸着し、配向膜を形成するためのものである。本実施形態では、配向膜材料からなる蒸着源3aと、この蒸着源3aに電子ビームを照射して加熱昇華させる電子ビーム銃ユニット(図示せず)とにより、蒸着手段3が構成されている。ここで、配向膜材料としては二酸化珪素(SiO)等の酸化珪素(SiOx)が用いられる。この蒸着手段3では、蒸着源3aを保持するルツボ(図示せず)の開口が、後述する遮蔽板4の開口部に向くように配設されており、これによって蒸着手段3は、配向膜材料の昇華物(蒸着物)を、図1(a)中の二点鎖線で示す方向に選択的に出射するようになっている。
【0021】
遮蔽板4は、成膜室2内に取り付けられた搬送板11に着脱可能に保持され、固定されたもので、金属やセラミックス、樹脂等によって形成されたものである。搬送板11は、その上面側に基板Wを保持し、かつ、前記搬送手段(図示せず)によってこれを矢印A方向に移動可能にしたもので、成膜室2内において前記蒸着手段3と反対の側壁側に遮蔽板4保持用の開口11aを形成したものである。この開口11aには、例えばその下面側の内縁部に内側に延出する保持部11bが形成されている。これによって遮蔽板4は、前記開口11a内に嵌め込まれ、前記保持部11b上に載置された状態で、例えばこの保持部11bに螺子止めされることなどにより、搬送板11に保持固定されるようになっている。
【0022】
また、この遮蔽板4には、適宜な幅のスリット状の開口部(スリット)12が形成されている。この開口部12は、遮蔽板4が適宜に配置されたことにより、前記基板Wの搬送方向(矢印A方向)と直交するように位置させられたもので、前記蒸着手段3からの配向膜材料(蒸着物)を、基板Wに選択的に蒸着させるためのものである。また、この開口部12は、その内部に臨む基板Wの面を、前記蒸着源3aに対して所定の角度範囲にするように形成配置されている。これによって配向膜材料の昇華物(蒸着物)は、基板Wの成膜面に対して、所定の角度で斜方蒸着するようになっている。
【0023】
一方、遮蔽板4自体は、基板Wの底面側を覆うことで、開口部12によって規定された成膜領域以外の、非配向膜形成領域を覆い、この領域への配向膜材料の蒸着を阻むようになっている。ただし、基板Wは開口部12に対して移動することから、基板Wの成膜領域(配向膜形成領域)を、時間をずらしつつ全て開口部12内に臨ませることで、この成膜領域の全面に配向膜材料を斜方蒸着させることができるようになっている。
【0024】
また、成膜室2には、遮蔽板4に付着した配向膜材料(蒸着物)を除去するためのクリーニング装置(クリーニング手段)5が設けられている。このクリーニング装置5は、クリーニング媒体の供給源14と、この供給源14に接続されたフレキシブル配管15と、このフレキシブル配管15に接続された媒体供給管16とから構成されたものである。媒体供給管16は、遮蔽板4の、蒸着手段3側における開口部12の近傍に配設されたもので、図2に示すように開口部12の長さ方向に沿ってこれの両側にそれぞれ配設された管状のものである。
【0025】
これら媒体供給管16には、その長さ方向、すなわち開口部12の長さ方向に沿って供給口16aが形成されている。媒体供給管16は、この供給口16aからクリーニング媒体を吹き出しまたはまたは噴射することにより、遮蔽板4の開口部12近傍にクリーニング媒体を供給するようになっている。クリーニング媒体は、供給源14に貯蔵されあるいはここで生成され、送気ポンプなどによって供給源14から送出されることなどにより、フレキシブル配管15を介して供給口16aから遮蔽板4側に供給されるもので、本実施形態では、特に遮蔽板4に付着した配向膜材料と化学反応し、これによって該配向膜材料を遮蔽板4から除去する反応性ガスが用いられる。
【0026】
この反応性ガスは、配向膜材料の種類に応じて適宜選択され、用いられる。本実施形態では、配向膜材料としてSiO等の酸化珪素が用いられていることから、この酸化珪素と化学反応して、得られる反応物が例えばガス化することで遮蔽板4から除去されるものが用いられる。具体的には、CF、C、NF等のPFC(per fluoro compound)ガスをプラズマで活性化させたガスやラジカル、Clや(F/H)等のガスを紫外線等で活性化させた光励起ガス、さらにはSiOとの反応性が高いHF等のガスなどが好適に用いられる。このようなガスを媒体供給管16から供給し、必要に応じてプラズマや紫外線等で活性化させることにより、この反応性ガスは配向膜材料であるSiO等の酸化珪素と反応し、例えばフッ化珪素(SiF)となることで配向膜材料をガス化させ、遮蔽板4から除去するようになる。なお、プラズマの発生手段や紫外線等の光照射手段については、予め成膜室2の中あるいは外に設けておくものとする。
【0027】
また、このようなクリーニング装置5には、その媒体供給管16を、前記開口部12に対して進退させる進退機構(図示せず)が設けられている。この進退機構は、例えば図2に示すように媒体供給管16の両端部を保持する保持ロッド17と、該保持ロッド17に接続されてこれら保持ロッド17を進退させるエアシリンダー(図示せず)とからなるもので、エアシリンダーが例えば成膜室2の外に配置されて構成されたものである。ここで、このような進退機構による媒体供給管16の開口部12に対する進退は、後述するように、クリーニング時には媒体供給管16が開口部12に対して前進させられ、配向膜の成膜時には媒体供給管16が開口部12に対して後退させられるようになっている。
【0028】
前記のフーリエ変換赤外分光光度計(FT−IR)9は、特にクリーニング媒体としてフッ素(F)を含有する反応性ガスを用いた場合に、終点検知手段として機能するものである。すなわち、PFC等のFを含有するガスは、前述したように配向膜材料である酸化珪素と反応してフッ化珪素(SiF)となり、吸引ポンプ10の作動により排気管8を通ってフーリエ変換赤外分光光度計9に導入される。このフーリエ変換赤外分光光度計9は、導入されたガス中のフッ化珪素(SiF)の量を検出することで、後述するようにクリーニングの終点を検知するようになっている。
【0029】
次に、このような構成の製造装置1による配向膜の製造方法と、この製造装置1のメンテナンスについて説明する。
まず、真空ポンプ6を作動させ、成膜室2内を所望の真空度に調整しておくとともに、図示しない加熱手段によって成膜室2内を所定の温度に調整する。また、クリーニング装置5の進退機構により、前記媒体供給管16を、図1(a)中二点鎖線で示すように開口部12に対して後退させておく。
【0030】
続いて、前処理室で加熱等の前処理がなされた基板Wを成膜室2内に搬入する。そして、この基板Wを搬送手段で図1(a)中の矢印A方向に連続的あるいは断続的に移動させる。また、これとは別に蒸着手段3を作動させ、図1(a)中の二点鎖線で示す範囲に配向膜材料を昇華させる。
このようにして配向膜材料を昇華させつつ、基板Wを搬送板11上で移動させ、遮蔽板4上に到達させてその成膜面を開口部12に臨ませる。
【0031】
すると、開口部12が蒸着源3aに対して所定の角度範囲となるように形成配置されていることにより、蒸着源3aから昇華してきた配向膜材料は、基板Wの成膜面に対して所定の角度で斜方蒸着する。そして、このような斜方蒸着を、開口部12に対して基板Wを連続的あるいは断続的に移動させつつ行うことで、最終的に、基板Wの成膜領域(配向膜形成領域)の全面に配向膜材料を斜方蒸着させ、これにより所望の配向膜を形成することができる。
【0032】
ところで、このような蒸着による成膜では、蒸着手段3による配向膜材料からの昇華物(蒸着物)を、開口部12内にのみ選択的に出射するのはほとんど不可能であり、通常は、図1(b)に示すように遮光板4の下面の、開口部12の近傍、さらには開口部12の内縁部に配向膜材料18が蒸着し付着してしまう。そして、成膜処理の時間が長くなるに連れ、配向膜材料18の付着量が多くなり、この付着した配向膜材料18によって、前述したように得られる配向膜の膜性能が低下してしまうおそれが生じる。
【0033】
そこで、本発明においてもこのような膜性能の低下を防止するため、メンテナンスを行うが、本発明では従来と異なり、遮蔽板4の交換を行うことなく、したがって成膜室2内を大気圧に戻すことなく、クリーニング装置5によるクリーニングによって、遮蔽板4から配向膜材料18を除去するようにしている。
すなわち、本発明の実施形態では、基板Wに配向膜を形成した後、成膜室2内を大気圧に戻すことなく、この基板Wを後処理室に搬出するとともに、蒸着手段3による配向膜材料の昇華を停止する。続いて、クリーニング装置5の進退機構により、前記媒体供給管16を、図1(a)中実線で示すように開口部12に対して前進させる。
【0034】
そして、クリーニング装置5の供給源14からクリーニング媒体としての反応性ガスを送出させ、フレキシブル配管15を介して媒体供給管16に送り、さらに供給口16aから吹き出させまたは噴射させることにより、遮蔽板4の開口部12近傍に反応性ガスを供給する。また、これとは別に、反応性ガスの種類に応じて必要により、遮蔽板4の開口部12近傍にプラズマを発生させ、あるいは紫外線等の励起光を遮蔽板4の開口部12近傍に照射する。
【0035】
このようにすることで、活性な反応性ガスが遮蔽板4の開口部12近傍に供給され、遮蔽板4に付着した配向膜材料18とこの反応性ガスとが化学反応する。そして、例えばフッ化珪素(SiF)となることで配向膜材料18がガス化し、遮蔽板4から除去させられる。これにより、遮光板4に付着した配向膜材料18を除去し、遮光板4を清浄化してその開口部12のスリット幅も元の設定通りの幅にすることができる。
【0036】
また、このようにしてクリーニングを行う間、吸引ポンプ10を作動させ、反応性ガスが供給された遮蔽板4の開口部12近傍のガスを排気管8によって吸引し、排気する。そして、この吸引した排気ガスを分光光度計9に導入し、排気ガス中のフッ化珪素(SiF)の量を検出する。すると、遮光板4に配向膜材料18が付着している状態では、クリーニングによってクリーニング媒体(反応性ガス)と配向膜材料18とが反応することにより、フッ化珪素が生成することでこれが検出される。しかし、遮光板4に付着した配向膜材料18がほとんど除去されると、フッ化珪素の生成が少なくなる。そして、遮光板4に付着した配向膜材料18がほぼ完全に除去されると、フッ化珪素が生成しなくなり、これがほとんど検出されなくなる。
【0037】
よって、このようにフッ化珪素がほとんど検出されなくなった時点を例えばクリーニングの終点、すなわち配向膜材料18の除去の終点とすることで、クリーニングの処理時間を良好に管理することができる。そして、このようにしてクリーニングを行うことにより、遮蔽板4が配向膜材料18を付着していない元の状態となるので、この遮蔽板4を用いて再度配向膜の成膜を行っても、得られる配向膜はその膜性能が低下することなく、良好なものとなる。
【0038】
このような構成の製造装置1にあっては、メンテナンス時、成膜室2内の真空状態を維持したまま、クリーニング装置5によって遮蔽板4に付着した配向膜材料18を除去することができる。
したがって、開口部12の内縁部に付着した配向膜材料18も除去することにより、成膜条件を成膜初期における条件に戻すことができ、これにより製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。また、遮蔽板4に付着した配向膜材料18がパーティクルとなって配向膜上に付着することも防止することができ、これによっても製造する配向膜の膜性能の低下を防止することができる。
【0039】
また、このメンテナンス時に、真空状態を維持したままで遮蔽板4のクリーニングを行うことができるので、従来のごとく一旦真空状態から大気圧にし、再度真空引きするといった操作が不要になり、したがって真空引き操作に要する時間の無駄をなくして生産性を格段に向上することができる。
また、このようにクリニングによって付着した配向膜材料18を除去するので、遮蔽板4の寿命が長くなり、その分コストの低減化を図ることができる。さらに、クリーニングによって遮蔽板4だけでなく、成膜室2の内壁などに付着した配向膜材料の除去も可能になり、これによってメンテナンスの負荷を軽減することができる。
【0040】
また、終点検知手段として機能するフーリエ変換赤外分光光度計9を備えているので、これによって配向膜材料18の除去の終点を検知し、その時点でクリーニングを終了することにより、遮蔽板4を過剰にクリーニングすることによる、時間のロスや遮蔽板4の損傷を防止することができる。
【0041】
なお、前記実施形態では終点検知手段として、反応性ガスと配向膜材料である酸化珪素との反応物であるフッ化珪素(SiF)を検出するフーリエ変換赤外分光光度計9を備えたが、例えば反応性ガスとして、CF、C、NF等のPFCガスをプラズマで活性化させたガスやラジカルを用いる場合には、このPFCガス中のフッ素(F)の発光を検知するエンドポイントディテクタを、終点検知手段として備えてもよい。このようなディテクタを備えることにより、クリーニング中ではPFCガスが反応に消費されてフッ素がほとんど検知されないものの、クリーニングが終了すると、PFCガスが反応に消費されることなくそのままで存在することにより、高濃度でフッ素が検知されるようになる。したがって、このように高濃度でフッ素が検知された時点を例えばクリーニングの終点、すなわち配向膜材料18の除去の終点とすることで、クリーニングの処理時間を良好に管理することができる。
【0042】
また、前記実施形態では、本発明におけるクリーニング媒体として、配向膜材料と化学反応することでこれを遮蔽板4から除去する反応性ガスを用いたが、本発明はこれに限定されることなく、例えば、配向膜材料を物理的に除去することでこれを遮蔽板4から除去する固体微粒子を、クリーニング媒体として用いることもできる。
このような固体微粒子としては、例えばドライアイスの微粒子が好適に用いられる。このドライアイスの微粒子を媒体供給管16から噴射し、遮蔽板4の開口部12の内縁部やその近傍に付着した配向膜材料18に衝突させることにより、これを遮蔽板4から物理的に除去することができる。
【0043】
また、クリーニング媒体としてこのような固体微粒子を用いた場合、終点検知手段としては、例えば光学的な検知手段が用いられる。すなわち、予め遮蔽板4の開口部近傍に反射板を設けておき、または遮蔽板4自体を良好な反射をなす材料によって形成しておく。そして、発光素子と受光素子とを用い、発光素子からの光を遮蔽板4の開口部12近傍で反射させ、この反射光を受光素子で受光することにより、遮蔽板4での反射を検出する。遮蔽板4の開口部12近傍に配向膜材料が付着すると、反射率が変化することで受光素子での受光が設定した通りとならず、これによって配向膜材料の付着が検出される。したがって、逆に配向膜材料が除去され、前記反射板が露出することなどにより、再度設定した通りの反射がなされる。よって、これが受光された時点を、例えばクリーニングの終点、すなわち配向膜材料の除去の終点とすることで、クリーニングの処理時間を良好に管理することができる。
【0044】
次に、このような製造装置1によって形成された配向膜を備えた、本発明の液晶装置について説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
図3は、本発明の液晶装置の一実施形態の概略構成を示すTFTアレイ基板の平面図であり、図3中符号80はTFTアレイ基板(基板)である。このTFTアレイ基板80の中央には画像作製領域101が形成されている。その画像作製領域101の周縁部に前記シール材89が配設されて、画像作製領域101に液晶層(不図示)が封止されている。この液晶層は、TFTアレイ基板80上に液晶が直接塗布されて形成されたもので、シール材89には液晶の注入口が設けられていない、いわゆる封口レス構造となっている。そのシール材89の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動素子110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動素子120とが実装されている。その駆動素子110、120から、TFTアレイ基板80の端部の接続端子79にかけて、配線76が引き廻されている。
【0045】
一方、TFTアレイ基板80に貼り合わされる対向基板90(図6参照)には、共通電極61(図6参照)が形成されている。この共通電極61は、画像作製領域101のほぼ全域に形成されたもので、その四隅には基板間導通部70が設けられている。この基板間導通部70からは、接続端子79にかけて配線78が引き廻されている。
そして、外部から入力された各種信号が、接続端子79を介して画像作製領域101に供給されることにより、液晶装置が駆動されるようになっている。
【0046】
図4は、液晶装置の等価回路図である。透過型液晶装置の画像作製領域を構成すべくマトリクス状に配置された複数のドットには、それぞれ画素電極49が形成されている。また、その画素電極49の側方には、該画素電極49への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースにはデータ線46aが接続されている。各データ線46aには、前述したデータ線駆動素子から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
【0047】
また、TFT素子30のゲートには走査線43aが接続されている。走査線43aには、前述した走査線駆動素子から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT素子30のドレインには画素電極49が接続されている。そして、走査線43aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンにすると、データ線46aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極49を介して各ドットの液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0048】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極49と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極49と容量線43bとの間に蓄積容量17が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光源光が変調されて、画像光が作製されるようになっている。
【0049】
図5は、液晶装置の平面構造の説明図である。本実施形態の液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極49(破線49aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。また、画素電極49の縦横の境界に沿って、データ線46a、走査線43aおよび容量線43bが設けられている。本実施形態では、各画素電極49の形成された矩形領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
【0050】
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層41aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール45を介して、データ線46aが接続されている。また、半導体層41aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール48を介して、画素電極49が接続されている。一方、半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分には、チャネル領域41a’が形成されている。
【0051】
図6は、液晶装置の断面構造の説明図であり、図4のA−A’線における矢視側断面図である。図6に示すように、本実施形態の液晶装置60は、TFTアレイ基板80と、これに対向配置された対向基板90と、これらの間に挟持された液晶層50とを主体として構成されている。TFTアレイ基板80は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体80A、およびその内側に形成されたTFT素子30や画素電極49、無機配向膜86などを主体として構成されている。一方の対向基板90は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体90A、およびその内側に形成された共通電極61や無機配向膜92などを主体として構成されている。
【0052】
TFTアレイ基板80の表面には、後述する第1遮光膜51aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜52の表面に半導体層41aが形成され、この半導体層41aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層41aにおける走査線43aとの対向部分にはチャネル領域41a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域41bと高濃度ソース領域41dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域41cと高濃度ドレイン領域41eとが形成されている。
【0053】
半導体層41aの表面には、ゲート絶縁膜42が形成されている。そして、ゲート絶縁膜42の表面に走査線43aが形成されて、チャネル領域41a’との対向部分がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜42および走査線43aの表面には、第2層間絶縁膜44が形成されている。そして、第2層間絶縁膜44の表面にデータ線46aが形成され、第2層間絶縁膜44に形成されたコンタクトホール45を介して、そのデータ線46aが高濃度ソース領域41dに接続されている。さらに、第2層間絶縁膜44およびデータ線46aの表面には、第3層間絶縁膜47が形成されている。そして、第3層間絶縁膜47の表面に画素電極49が形成され、第2層間絶縁膜44および第3層間絶縁膜47に形成されたコンタクトホール48を介して、その画素電極49が高濃度ドレイン領域41eに接続されている。さらに、画素電極49を覆って、前記製造装置1で形成された無機配向膜86が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0054】
なお、本実施形態では、半導体層41aを延設して第1蓄積容量電極41fが形成されている。また、ゲート絶縁膜42を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線43bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、前述した蓄積容量57が構成されている。
また、TFT素子30の形成領域に対応する基板本体80Aの表面に、第1遮光膜51aが形成されている。第1遮光膜51aは、液晶装置に入射した光が、半導体層41aのチャネル領域41a’、低濃度ソース領域41bおよび低濃度ドレイン領域41cに侵入することを防止するものである。
【0055】
一方、対向基板90における基板本体90Aの表面には、第2遮光膜63が形成されている。第2遮光膜63は、液晶装置に入射した光が半導体層41aのチャネル領域41a’や低濃度ソース領域41b、低濃度ドレイン領域41c等に侵入するのを防止するものであり、平面視において半導体層41aと重なる領域に設けられている。また対向基板90の表面には、ほぼ全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極61が形成されている。さらに、共通電極61の表面には、前記製造装置1で形成された無機配向膜92が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0056】
そして、TFTアレイ基板80と対向基板90との間には、ネマチック液晶等からなる液晶層50が挟持されている。このネマチック液晶分子は、正の誘電率異方性を有するものであり、非選択電圧印加時には基板に沿って水平配向し、選択電圧印加時には電界方向に沿って垂直配向する。またネマチック液晶分子は、正の屈折率異方性を有するものであり、その複屈折と液晶層厚との積(リタデーション)Δndは、例えば約0.40μm(60℃)となっている。なお、TFTアレイ基板80の配向膜86による配向規制方向と、対向基板90の配向膜92による配向規制方向とは、約90°ねじれた状態に設定されている。これにより、本実施形態の液晶装置60は、ツイステッドネマチックモードで動作するようになっている。
【0057】
また両基板80、90の外側には、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素をドープした材料等からなる偏光板58、68が配置されている。なお、各偏光板58、68は、サファイヤガラスや水晶等の高熱伝導率材料からなる支持基板上に装着して、液晶装置60から離間配置することが望ましい。各偏光板58、68は、その吸収軸方向の直線偏光を吸収し、透過軸方向の直線偏光を透過する機能を有する。TFTアレイ基板80側の偏光板58は、その透過軸が配向膜86の配向規制方向と略一致するように配置され、対向基板90側の偏光板68は、その透過軸が配向膜92の配向規制方向と略一致するように配置されている。
【0058】
液晶装置60は、対向基板90を光源側に向けて配置される。その光源光のうち偏光板68の透過軸と一致する直線偏光のみが偏光板68を透過して液晶装置60に入射する。
非選択電圧印加時の液晶装置60では、基板に対して水平配向した液晶分子が液晶層50の厚さ方向に約90°ねじれたらせん状に積層配置されている。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、約90°旋光されて液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板68の透過軸と一致するため、偏光板68を透過する。したがって、非選択電圧印加時の液晶装置60では白表示が行われるようになっている(ノーマリーホワイトモード)。
【0059】
また、選択電圧印加時の液晶装置60では、液晶分子が基板に対して垂直配向している。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、旋光されることなく液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板58の透過軸と直交するため、偏光板58を透過しない。したがって、選択電圧印加時の液晶装置60では黒表示が行われるようになっている。
【0060】
ここで、前述したように両基板80、90の内側には、前記製造装置1で形成された無機配向膜86、92が形成されている。これら無機配向膜86、92は、前述したようにSiOやSiO等の酸化珪素によって好適に形成されるが、Al、ZnO、MgOやITO等の金属酸化物等によって形成することもできる。
【0061】
このような無機配向膜86、92を形成してなる液晶装置60にあっては、前述したように製造装置1で形成されたことによってこれら無機配向膜86、92の膜性能の低下が防止されていることから、この液晶装置60自体も良好な品質を有するものとなる。また、無機配向膜86、92の製造についての生産性が向上していることから、この液晶装置60自体の生産性も向上したものとなる。
【0062】
(プロジェクタ)
次に、本発明の電子機器としてプロジェクタの一実施形態について、図7を用いて説明する。図7は、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。このプロジェクタは、前述した実施形態に係る液晶装置を光変調手段として備えたものである。
【0063】
図7において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0064】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
【0065】
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0066】
前述したプロジェクタは、前記の液晶装置を光変調手段として備えている。この液晶装置は、前述したように耐光性および耐熱性に優れた無機配向膜を備えているので、光源から照射される強い光や熱により配向膜が劣化することはない。また、この液晶装置は、良好な品質を有し、生産性が向上しているので、このプロジェクタ(電子機器)自体も良好な品質を有し、生産性が向上したものとなる。
【0067】
なお、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、前記実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、反射型液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態ではTN(Twisted Nematic)モードで機能する液晶装置を例にして説明したが、VA(Vertical Alignment)モードで機能する液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、実施形態では3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0068】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】(a)、(b)は本発明の製造装置の一実施形態の概略構成図である。
【図2】クリーニング装置の概略構成を説明するための図である。
【図3】液晶装置のTFTアレイ基板の平面図である。
【図4】液晶装置の等価回路図である。
【図5】液晶装置の平面構造の説明図である。
【図6】液晶装置の断面構造の説明図である。
【図7】プロジェクタの要部を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0070】
1…配向膜の製造装置、2…成膜室、3…蒸着手段、4…遮蔽板、5…クリーニング装置(クリーニング手段)、9…分光光度計(終点検知手段)、12…開口部、16…媒体供給管、18…配向膜材料、50…液晶層、60…液晶装置、80…基板(TFTアレイ基板)、80A…基板本体、86…無機配向膜、90…基板(対向基板)、90A…基板本体、92…無機配向膜、W…基板




 

 


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