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発明の名称 液晶表示装置及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−18014(P2007−18014A)
公開日 平成19年1月25日(2007.1.25)
出願番号 特願2006−283500(P2006−283500)
出願日 平成18年10月18日(2006.10.18)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 前田 強
要約 課題
高画質化、広視角化を実現した垂直配向モードの液晶表示装置を提供する。

解決手段
本発明の液晶表示装置は、一対の基板間に誘電異方性が負の液晶を含む液晶層を挟持してなる液晶表示装置であって、表示単位を構成するドット領域内において、前記一対の基板のうち一方の基板側にあっては、電極上に設けた誘電体突起と、前記電極に設けた開口スリット又は前記電極の縁端部が設けられてなり、前記液晶に電圧を印加したときに、平面視した前記誘電体突起と前記開口スリット又は前記縁端部とを結ぶ直線上において前記液晶が相反する方向に傾倒しないよう、前記誘電体突起の誘電率をεt1、前記液晶の長軸方向の誘電率をε//、短軸方向の誘電率をεとしたときに、εt1>ε//の関係を有していることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
一対の基板間に誘電異方性が負の液晶を含む液晶層を挟持してなる液晶表示装置であって、
表示単位を構成するドット領域内において、前記一対の基板のうち一方の基板側にあっては、電極上に設けた誘電体突起と、前記電極に設けた開口スリット又は前記電極の縁端部が設けられてなり、前記液晶に電圧を印加したときに、平面視した前記誘電体突起と前記開口スリット又は前記縁端部とを結ぶ直線上において前記液晶が相反する方向に傾倒しないよう、前記誘電体突起の誘電率をεt1、前記液晶の長軸方向の誘電率をε//、短軸方向の誘電率をεとしたときに、εt1>ε//の関係を有していることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記開口スリットの内側に設けられ、誘電率εt2がε//>εt2の関係を有する他の誘電体突起を有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1又は2のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置、及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、垂直配向した液晶モードを備えた液晶表示装置が実用化されている。この種の液晶表示装置では、基板に対して垂直配向した液晶が電圧印加時に倒れる方向を適切に制御する必要があり、その配向制御を目的とするスリット(切欠部)や誘電体突起からなる配向制御構造物を電極に設けることがなされている(特許文献1参照)。また前記誘電体突起の配置条件についての検討も成されている(非特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第2947350号公報
【非特許文献1】A Super-High Quality Multi-Domain Vertical Alignment LCD byNew Rubbing-Less Technology ,SID1998 DIGEST 41.1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の如く配向制御構造を設け、さらにその配置条件等を適切に設定することは、垂直配向モードの液晶表示装置の高画質化に有効である。しかし、本発明者が垂直配向モードの液晶表示装置のさらなる高画質化、広視角化を目的として研究を重ねたところ、前記配向制御構造物として誘電体突起を設ける場合には、液晶の特性に応じて適切な特性を備えた誘電体突起を設ける必要があることが分かった。すなわち、係る最適化を行わない場合、誘電体突起により垂直配向液晶の配向制御を行う従来の液晶表示装置では却って画質を低下させるおそれがあることが分かった。本発明は係る問題点を解決する手段を提供するものであり、その目的は、高画質化、広視角化を実現した垂直配向モードの液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題は、対向面に電極を有する一対の基板間に初期状態が垂直配向を呈する液晶層を挟持した液晶表示装置であって、1表示単位を構成するドット領域内において、前記一対の基板の一方の基板には前記液晶層側に突出した誘電体突起が前記電極上に形成され、前記一対の基板の他方の基板の対向面側には前記誘電体突起と平面方向で隣接する位置に配向制御構造物が設けられ、前記誘電体突起の誘電率をεt1、前記液晶層を構成する液晶分子の長軸方向の誘電率をε//、短軸方向の誘電率をεとしたときに、ε>ε//>εt1の関係とすることで解決できるこの構成によれば、垂直配向液晶の配向制御する手段として誘電体突起を備えた液晶表示装置において、誘電体突起の誘電率が液晶分子の長軸方向における誘電率より小さい場合に、ドット領域内の液晶の配向制御を良好に行うことができ、広視角、高輝度の表示を得ることができる。
【0006】
本発明によれば、一対の基板間に誘電異方性が負の液晶を含む液晶層を挟持してなる液晶表示装置であって、表示単位を構成するドット領域内において、前記一対の基板のうち一方の基板側にあっては、電極上に設けた誘電体突起と、前記電極に設けた開口スリット又は前記電極の縁端部が設けられてなり、前記液晶に電圧を印加したときに、平面視した前記誘電体突起と前記開口スリット又は前記縁端部とを結ぶ直線上において前記液晶が相反する方向に傾倒しないよう、前記誘電体突起の誘電率をεt1、前記液晶の長軸方向の誘電率をε//、短軸方向の誘電率をεとしたときに、εt1>ε//の関係を有していることを特徴とする液晶表示装置を提供する。この構成によれば、垂直配向液晶の配向制御する手段として誘電体突起を備えた液晶表示装置において、誘電体突起の誘電率が液晶分子の長軸方向における誘電率より大きい場合に、ドット領域内の液晶の配向制御を良好に行うことができ、広視角、高輝度の表示を得ることができる。また、本構成では、配向制御構造物が一方の基板のみに設けられた構成とすることができるため、製造の容易性が高くなり、製造歩留まりの向上が期待できる。
従って、上記各構成によれば、誘電体突起を垂直配向液晶の配向制御する手段として備えた液晶表示装置において、誘電体突起の誘電率によって異なる液晶分子の電圧印加時の挙動を適切に制御することができ、もって広視角、高輝度の表示を得られる液晶表示装置を提供することができる。
【0007】
また、本発明の液晶表示装置では、前記誘電体突起と隣接する配向制御構造物が、前記ドット領域内に設けられた電極に形成された開口スリット、又は前記電極の縁端部である構成とすることができる。
また、前記誘電体突起と隣接する配向制御構造物が他の誘電体突起であり、当該他の誘電体突起の誘電率をεt2としたとき、前記液晶分子の誘電率ε//に対して、ε//>εt2の関係を有している構成とすることもできる。
先の構成を備えた液晶表示装置では、誘電体突起と隣接する配向制御構造物として、電極縁端で生じる斜め電界により電圧印加時の液晶分子の配向制御を行うもの、及び液晶層中に誘電率の異なる突起物を設けることで電界を歪ませて配向制御を行うもののいずれも適用することができる。
【0008】
本発明の液晶表示装置では、前記開口スリットの内側に設けられ、誘電率εt2がε//>εt2の関係を有する他の誘電体突起を有することが好ましい。この構成によれば、開口スリットの周辺で生じる斜め電界と、誘電体突起によって生じる電界歪みとにより液晶分子の配向制御を行う他の誘電体突起を設けるので、誘電体突起から離れた位置の液晶分子も良好に配向制御することができ、応答速度ないし開口率を向上させる上で有利な構成となる。
【0009】
また、他の解決手段としては、対向面に電極を有する一対の基板間に初期状態が垂直配向を呈する液晶層を挟持した液晶表示装置であって、1表示単位を構成するドット領域内において、前記一対の基板の一方の基板には前記液晶層側に突出した第1の誘電体突起が前記電極上に形成され、前記一対の基板の他方の基板には前記第1の誘電体突起と平面方向で隣接する位置に第2の誘電体突起が前記電極上に形成され、前記第1の誘電体突起の誘電率をεt1、前記第2の誘電体突起の誘電率をεt2、前記液晶層を構成する液晶分子の長軸方向の誘電率をε//、短軸方向の誘電率をεとしたときに、εt1>ε//、及びεt2>ε//の関係を有していることを特徴とする液晶表示装置を提供する。通常ドット領域に設けられて配向制御構造物を成す誘電体突起は同一材質により形成されるが、互いに異なる誘電率を有する誘電体突起により配向制御を行う構成であってもよい。そして、このような異なる誘電率を有する誘電体突起が隣接して設けられている場合には、本構成の如く異なる基板にそれぞれ誘電体突起を設けることが好ましい。このような構成とすることで、高画質、広視角の表示を得ることができる。
【0010】
また、前記ドット領域内に、反射表示を行う反射表示領域と、透過表示を行う透過表示領域とが設けられている構成とすることができる。この構成によれば、広視角、高画質の透過/反射表示が可能な半透過反射型液晶表示装置が提供される。
【0011】
次に本発明は、先に記載の本発明の液晶表示装置を備えたことを特徴とする電子機器を提供する。本発明によれば、広視角、高輝度の表示部を有する電子機器が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。尚、以下で参照する各図面では図を見易くするために各部の大きさや厚さを適宜異ならせている。図1及び図2は、それぞれ本発明の第1実施形態、第2実施形態の液晶表示装置の要部(基本構成の一部)を示す断面構成図である。
【0013】
図1に示す第1実施形態の液晶表示装置100は、対向配置された第1基板25と第2基板10との間に、誘電異方性が負の液晶からなる液晶層50が挟持された構成を備えている。第2基板10の内面側(液晶層側)に第2電極9と、誘電体突起18と、これらの第2電極9、誘電体突起18を覆う垂直配向膜23とがこの順で形成されている。第1基板25の内面側には、第1電極31と、垂直配向膜33とがこの順で形成されている。1表示単位を構成するドット領域内において、第1電極31は第2電極9より狭く形成されており、図示左右方向(Y方向/第1基板25の平面方向)の第1電極31の縁端部(エッジ部・切り欠き部)31a、31aが第2電極9の上方に平面的に配置されている。即ち、1つのドット領域内において、誘電体突起18が異なる基板に形成された第1電極31の縁端部31aと縁端部31aの間に配置された位置関係(誘電体突起18と第1電極31の縁端部31a、31aが平面的に重ならずに互い違いに隣接して配置された位置関係)とされている。
一方、図2に示す第2実施形態の液晶表示装置200は、第1実施形態の液晶表示装置と基本構成は同様であるが、誘電体突起18が第1基板25の第1電極31上に設けられている点で異なっている。即ち、1つのドット領域内において、誘電体突起18が同じ基板に形成された第1電極31の縁端部31aと縁端部31aの間に配置された位置関係(誘電体突起18と第1電極31の縁端部31a、31aが隣接して交互に配置された位置関係)とされている。
尚、ドット領域とは、1表示単位を構成する領域であって、例えば一般的に一方の基板に形成された1つの画素電極とこれに対向した他方の基板に形成された対向電極によって構成されている。
【0014】
このような構成のもと、これらの液晶表示装置100,200は、液晶層50を構成する液晶分子51は、前記両電極9,31に電圧が印加されていない状態(非選択状態、初期配向状態)では、垂直配向膜23,33の配向規制力により基板10,25に対して垂直方向に配向し、前記両電極間に電圧が印加される(選択状態とされる)と、基板10,25の面方向に向かって倒れるように動作する。
【0015】
また、液晶表示装置100,200は、上記電圧印加時の液晶分子51の配向方向を制御するための配向制御構造物として誘電体突起18を備えるとともに、対向する基板に設けられた電極より狭く形成された電極の縁端部(エッジ部・切り欠き部)31aにおいて生じる電界の歪みによっても液晶分子51の配向を制御するようになっている。そして、これら第1実施形態、第2実施形態の液晶表示装置は、1つのドット領域の略中央部に設けられた誘電体突起18の誘電率(εt1)と、液晶分子51の誘電率(ε//、ε)との関係において互いに異なっており、係る関係の差異に基づき誘電体突起18と隣接する配向制御構造物(縁端部31a、9a)との配置関係が異ならされている。ここで、液晶分子の誘電率ε//は、液晶分子の長軸方向(図示X方向)の誘電率であり、誘電率εは、液晶分子の短軸方向(図示Y方向)の誘電率である。以下では、ε//、εをそれぞれ長軸方向誘電率、短軸方向誘電率と呼ぶ。
【0016】
まず、図1に示す第1実施形態の液晶表示装置100では、液晶の配向制御手段を成すべく設けられた誘電体突起18の誘電率εt1が、液晶分子51の長軸方向誘電率ε//より小さくなっている。すなわち、誘電体突起18の誘電率εt1と、液晶分子51の誘電率ε//、εとが、ε>ε//>εt1の関係を有している。これに対して、図2に示す第2実施形態の液晶表示装置200では、誘電体突起18の誘電率εt1が、液晶分子51の長軸方向誘電率ε//より大きくなっている(εt1>ε//)。
そして、前記両液晶表示装置は、その誘電体突起18の配置において異なっている。このように本発明に係る液晶表示装置は、誘電体突起18の誘電率と液晶分子51の誘電率との関係に応じて、誘電体突起18と該誘電体突起18に隣接する配向制御構造物(電極の縁端部31a)との配置関係を適切に設定するものであり、これによって高画質かつ広視角の良好な表示を得るようになっている。
【0017】
以下、図3から図10を参照して、誘電体突起18の誘電率εt1と、液晶分子51の誘電率ε//、εとの関係に応じた液晶分子の挙動、並びに本実施形態の液晶表示装置の作用について説明する。図3から図10は、誘電体突起18の誘電率を異ならせたときの液晶分子の挙動を計算したシミュレーション結果を示す断面構成図である。
【0018】
図3及び図4には、誘電体突起の誘電率εt1が1.0、液晶分子の長軸方向誘電率ε//が4.0、短軸方向誘電率εが9.0とされた一つのドット領域内の要部(基本構成とされる一部)を表した液晶表示装置において、両電極9,31間に電圧を印加した直後の液晶の状態(図3)と、100ms経過後の液晶の状態(図4)とが示されている。
尚、図3から図8に結果を示すシミュレーションでは、電極及び誘電体突起の構成は、図示するように、第2基板10の電極9上の略中央部に誘電体突起18が設けられており、第1電極31は第2電極9よりも狭い幅に形成され、第1電極31の縁端部31a、31aは第2電極9の上方に配置された構成としている。
【0019】
図5及び図6には、誘電体突起の誘電率εt1が3.5、液晶分子の長軸方向誘電率ε//が4.0、短軸方向誘電率εが9.0とされた一つのドット領域内の要部(基本構成とされる一部)を表した液晶表示装置において、両電極9,31間に電圧を印加した直後の液晶の状態(図5)と、100ms経過後の液晶の状態(図6)とが示されている。
図7及び図8には、誘電体突起の誘電率εt1が5.0、液晶分子の長軸方向誘電率ε//が4.0、短軸方向誘電率εが9.0とされた一つのドット領域内の要部(基本構成とされる一部)を表した液晶表示装置において、両電極9,31間に電圧を印加した直後の液晶の状態(図7)と、100ms経過後の液晶の状態(図8)とが示されている。
【0020】
これらの図に示すように、誘電体突起18と液晶分子51とが、εt1<ε//の関係を有する、図3から図6に示す条件では、誘電体突起18から両側(電極縁端方向)に向かって液晶分子51が倒れており、誘電体突起18を境界とする2つの液晶ドメインが対称に形成されている。以下に、縁端部31a及び誘電体突起18の配向制御作用について説明する。
【0021】
液晶分子の配向を制御する手段がない場合には、電圧印加により液晶分子はランダムな方向に倒れる。この場合、異なる配向状態の液晶ドメインの境界に不連続線(ディスクリネーション)が現れて残像や輝度低下等の原因になる。また、このディスクリネーションは印加電圧により異なる位置に現れるため、ドット領域内の液晶ドメインの大きさが安定せず、また液晶ドメインはそれぞれ異なる視角特性を有するため、斜め方向から見た場合にざらざらとしたシミ状のムラとして見えることになる。そこで、液晶分子の配向制御手段を設けることにより、電圧印加時に液晶分子を所定方向に傾倒させて配向させることが可能になる。
【0022】
まず、誘電体突起18の作用につき、図3及び図4を用いて説明する。誘電体突起18を含む第2電極9の表面には配向膜23が形成されているので、図3に示すように、電圧無印加時及び電圧無印加直後における液晶分子51は基板面に対して垂直に配向している。ここで、第1電極31および第2電極9に電圧を印加すると、等電位線52…により示す電界が液晶層50に形成され、特に誘電体突起18の周辺には、誘電体突起18と液晶分子51との誘電率の差異により電界の歪みが生じる。そして、このような歪みが生じると、基板面に垂直に配向している液晶分子51は、この電界に対して所定角度のプレチルトを有することになる。従って、電圧印加により液晶分子51を誘電体突起18の図示左右方向外側(誘電体突起18の傾斜面と接触角を増大させる方向)へ傾倒させて配向規制することができる。さらに、誘電体突起18の周辺領域における液晶分子も、ドミノ倒しの要領で同じ方向に傾倒させることができる。
【0023】
次に、電極の縁端部31aの作用について説明する。縁端部31aにもそれを覆うように配向膜33が形成されているので、電圧無印加時における液晶分子51は基板面に対して垂直に配向している。ここで、第1電極31および第2電極9に電圧を印加すると、等電位線52…の形状に示されるように、電極縁端部31aの周辺に斜め電界が発生する。そして、電圧無印加時における液晶分子51の長軸方向は、この斜め電界からみると所定角度傾いて配向していることになるので、液晶分子にプレチルトが付与されたのと同様になる。従って、電圧印加により液晶分子51を縁端部31aから電極中央部側へ傾倒させて配向規制することができる。さらに、縁端部31aから内側(電極中央部側)に配された液晶分子51も、ドミノ倒しの要領で縁端部31aにおける液晶分子の配向方向に沿って同じ方向に次々と傾倒させることができる。
【0024】
以上の作用により、上記誘電体突起18及び電極の縁端部31aにより配向規制された液晶分子51が、誘電体突起18と一方の縁端部31aとの間で一様に同方向に倒れ、その結果、図4及び図6に示すように誘電体突起18を中心としたほぼ対称の液晶ドメインが形成される。従って、図3から図6の条件と同様の構成である図1に示した実施形態の液晶表示装置100では広視角、高輝度の良好な表示が得られることが分かる。
【0025】
これに対して、図7及び図8に示す条件は、誘電体突起18と液晶分子51とがその誘電率において、εt1>ε//の関係を有しており、図8に示すように、液晶分子51は電圧印加時に誘電体突起18の傾斜面に沿う方向(誘電体突起18の先端頂部に向かう方向、誘電体突起18の傾斜面と接触角を減少させる方向)に倒れ、誘電体突起18の周辺の液晶分子51も誘電体突起18側へ向かって倒れている。その一方で、第1電極31の縁端部31aでは、先の図3から図6の条件と同様に、第1電極31の中央部に向かって液晶分子51が倒れている。このように誘電体突起18と縁端部31aとの間で相反する方向に液晶分子51が倒れる結果、誘電体突起18と第1電極の縁端部31aとの中間地点で、液晶分子51が倒れなくなり、ディスクリネーションを生じる。
【0026】
このように、液晶分子51の誘電率ε//に対して誘電体突起18の誘電率εt1の値が異なっていると、電圧印加時の液晶分子51の挙動が異なることになり、図3から図6に示したεt1<ε//の条件では、広い視角範囲で高輝度の表示が得られるが、図7,8に示したεt1>ε//の条件では、ドット領域内にディスクリネーションが生じて表示品質が低下する。上記各条件間でこのような液晶分子の挙動の差異が生じるのは、誘電体突起18と液晶との誘電率の差異により液晶層50内に生じる電界の歪みの形状が異なっていることによる。つまり、図4及び図6に示す条件では、両図に示す等電位線52…の形状から、誘電体突起18の図示上方で上側に凸なる電界の歪みが生じており、図8に示す条件では、逆に下側に凸なる電界の歪みが生じている。そのため、液晶分子51の傾倒方向が異なることとなり、液晶層50に形成される液晶ドメインも異なったものとなるからである。
【0027】
上述したように、図7及び図8に示した条件(εt1>ε//)では、良好な表示は得られない。そこで本発明者は、図7及び図8に示した条件においても良好な表示を得るべく液晶表示装置の構成について検討を重ね、図2に示した構成のごとく誘電体突起18を他の配向制御構成物(第1電極31の縁端部31a)を有する第1基板25側に設けるならば、液晶分子の誘電率ε//に対して比較的高い誘電率を有する誘電体突起18を用いた場合にも良好な表示を得られることを知見した。
【0028】
図9及び図10は、図2に示した液晶表示装置200と同様の構成とした、誘電体突起18を第1基板25の電極31上に配した液晶表示装置でのシミュレーション結果である。誘電体突起18の誘電率εt1は5.0、液晶分子51の長軸方向誘電率ε//は4.0、短軸方向誘電率εは9.0である。
図10に示すように、図2に示した構成を採用すれば、電圧印加時に誘電体突起18を中心とする対称な液晶ドメインが液晶層50中に形成されるようになり、εt1>ε//なる条件においても、広視角かつ高輝度の良好な表示が可能な液晶表示装置とすることができる。
【0029】
また本発明者は、誘電体突起18の誘電率εt1を異ならせた場合の液晶表示装置の応答速度についても検証した。その結果、図3,4の条件(εt1=1.0)の液晶表示装置では、図5,6の条件(εt1=3.5)の液晶表示装置に比して中間調領域で5ms程度の応答速度の向上を実現できることが分かった。これは、図4と図6の等電位線52…の分布を比較すると分かるように、誘電体突起18に起因する電界の歪みは図4の方が大きく、これにより液晶分子51に対する配向規制力が大きくなるためであると考えられる。
【0030】
尚、上記実施形態では、誘電体突起18と隣接する配向制御構造物の一例として、具体的には第1電極31の縁端部31aである場合を例示して説明したが、係る第1電極31の縁端部31aに代えて、第1電極31の一部を切り欠いて形成できる開口スリットを誘電体突起18の両側(第1電極31のドット領域の端部に位置する部分)に設けた構成であっても上記と同様の効果を得ることができる。
【0031】
また本発明では、誘電体突起18と隣接する配向制御構造物が、他の誘電体突起(第2の誘電体突起)である構成も適用できる。但しこの場合、この他の誘電体突起(第2の誘電体突起)の誘電率に注意する必要がある。すなわち、先に記載の説明から明らかなように、第1電極の縁端部31a、あるいは開口スリットと同等の配向制御機能を備えた誘電体突起とするためには、この第2の誘電体突起の誘電率(εt2と表記する。)が液晶分子51の長軸方向誘電率ε//に対して、εt2<ε//の関係を有している必要がある。
【0032】
一方、この第2の誘電体突起の誘電率εt2が、液晶分子の長軸方向誘電率ε//に対して、εt2>ε//の関係を有する場合には、液晶分子51は電圧印加時にこの誘電体突起に向かって周囲から倒れ込むので、係る第2の誘電体突起を備えた液晶表示装置を構成する場合には、図1に示す構成では、誘電体突起18と同じ側(第2基板の電極9上)であって誘電体突起18を挟んだ両側に第1電極の縁端部31aの代わりとして第2の誘電体突起を設けることとなり、図2に示す構成では、誘電体突起18と反対側(第2基板の電極9上)の端部に第1電極の縁端部31aの代わりとして第2の誘電体突起を設けることとなる。これらの構成を採用すれば、液晶分子の長軸方向誘電率ε//より高い誘電率εt2を有する第2の誘電体突起が、誘電体突起18に隣接する配向制御構造物として設けられた液晶表示装置においても広視角、高輝度の良好な表示を得ることができる。
【0033】
(液晶表示装置の具体的構成例)
上記実施の形態に示した構成は、誘電異方性が負の垂直配向液晶を備えた液晶表示装置のすべてに適用することが可能である。図11は、様々な型の液晶表示装置の概略構成図である。図11(a)は透過型であり、(b)は反射型であり、(c)および(d)は半透過反射型である。尚、図11(c)は第1基板を素子基板とし第2基板を対向基板とした場合であり、(d)は第2基板を素子基板とし第1基板を対向基板とした場合である。図11に示す各液晶表示装置において、透明電極の表面に誘電体突起、開口スリット等を形成すれば、いずれも上述した効果を得ることができる。そこで、後述の実施例では、図11(a)に示す透過型の液晶表示装置を第1構成例として説明する。また第2構成例として、図11(c)に示す半透過反射型の液晶表示装置に適用した例を説明する。
【0034】
<第1構成例>
図12は、先の実施形態の液晶表示装置の詳細構成例を示す部分斜視図、図13は、同、液晶表示装置の1ドット領域内の部分断面構成図、図14は、同、3つのドット領域で構成される1画素領域を示す平面構成図である。これらの図に示す液晶表示装置は、スイッチング素子としてTFD(Thin Film Diode)素子(二端子型非線形素子)を用いたアクティブマトリクス方式のカラー液晶表示装置であるが、スイッチング素子としてTFT(Thin Film Transistor)素子を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示装置に、本発明を適用することも可能である。尚、図13に示す部分断面構造は、図14に示すA−A線に沿う断面構造に対応している。
【0035】
図12に示すように、本例の液晶表示装置は、相互に対向する素子基板(第1基板)25と対向基板(第2基板)10とを主体として構成されており、前記両基板10,25の間には図示略の液晶層が挟持されている。この液晶層は、図13に概念的に示すように、初期配向が垂直配向を呈する誘電異方性が負の液晶から構成されている。素子基板25は、ガラスやプラスチック、石英等の透光性材料からなる基板であって、その内面側(図示下面側)には、前記対向基板10の走査線9と交差する方向に延在する複数のデータ線11がストライプ状に設けられている。さらに、ITO(インジウム錫酸化物)等の透明導電材料からなる平面視略矩形状の複数の画素電極(第1電極)31がマトリクス状に配列形成されるとともに、各々に対応して設けられたTFD素子13を介して前記データ線11と接続されている。
【0036】
一方、対向基板10もガラスやプラスチック、石英等の透光性材料からなる基板であって、その内面側(図示上面側)には、カラーフィルタ層22と、複数の走査線9とが形成されている。カラーフィルタ層22は、図12に示すように、平面視略矩形状のカラーフィルタ22R,22G,22Bが周期的に配列された構成となっている。各カラーフィルタ22R,22G,22Bは、前記素子基板25の画素電極31に対応して形成されている。また走査線9は、ITO等の透明導電材料によって略帯状に形成され、前記素子基板25のデータ線11と交差する方向に延在している。そして走査線9は、その延在方向に配列された前記カラーフィルタ22R,22G,22Bを覆うように形成され、対向電極(第1電極)として機能する。尚、画素電極31の形成領域により1ドットが構成され、カラーフィルタ22R,22G,22Bを備えた3ドットにより1画素が構成されている。
【0037】
[断面構造]
次に、図13は、図12の1ドット領域内の部分断面構成図である。この図13では、理解を容易にするため、素子基板25におけるTFD素子および各種配線の記載を省略している。
図13に示すように、素子基板25における画素電極31の液晶層側には、ポリイミド等からなる垂直配向膜33が形成されている。一方、対向基板10における対向電極9の液晶層側には、ポリイミド等からなる垂直配向膜23が形成されている。なお、配向膜23,33には、ともに垂直配向処理は施されているが、ラビングなどのプレチルトを付与する処理は施されていない。
【0038】
そして、素子基板25と対向基板10との間に、誘電異方性が負の液晶材料からなる液晶層50が挟持されている。この液晶材料は、液晶分子51により概念的に示すように、電圧無印加時には配向膜に対して垂直に配向しており、電界を印加した時に配向膜に対して平行に(すなわち、電界方向と垂直に)配向するようになっている。また素子基板25および対向基板10の周縁部に塗布されたシール材(不図示)により、素子基板25および対向基板10が相互に接着されるとともに、素子基板25および対向基板10とシール材とによって形成される空間に液晶層50が封入されている。
【0039】
一方、素子基板25の外面には位相差板36及び偏光板37が設けられ、対向基板10の外面にも位相差板26及び偏光板27が設けられている。この偏光板27,37は、特定方向に振動する直線偏光のみを透過させる機能を有する。また位相差板26,36には、可視光の波長に対して略1/4波長の位相差を持つλ/4板が採用されている。なお、偏光板27,37の透過軸と位相差板26,36の遅相軸とが約45°をなすように配置されて、偏光板27,37および位相差板26,36により円偏光板が構成されている。この円偏光板により、直線偏光を円偏光に変換し、円偏光を直線偏光に変換しうるようになっている。また、偏光板27の透過軸および偏光板37の透過軸は直交するように配置され、位相差板26の遅相軸および位相差板36の遅相軸も直交するように配置されている。さらに、対向基板10の外面側にあたる液晶セルの外側には、光源、リフレクタ、導光板などを有するバックライト(照明手段)60が設置されている。
【0040】
図13に示す本実施形態の液晶表示装置では、以下のようにして画像表示が行われる。バックライト60から照射された光は、偏光板27および位相差板26を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。なお、電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行する。さらに位相差板36を透過した入射光は、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板27を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラックモード)。
【0041】
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板と平行に再配向して、屈折率異方性を具備する。そのため、バックライト60から液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で楕円偏光に変換される。この入射光が位相差板36を透過しても、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光には変換されず、その全部または一部が偏光板37を透過する。したがって、本実施形態の液晶表示装置では、電圧印加時において白表示が行われる。なお、液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことも可能である。
【0042】
[配向制御手段]
図14は、図12に示す液晶表示装置の3つのドット領域で構成された1画素領域を示す平面構成図であり、素子基板の構成部材を実線で、対向基板の構成部材を一点鎖線で示している。図14に示すように、画素電極31および対向電極9の表面には、液晶分子の配向制御手段である開口スリット31bや誘電体突起18等が形成されている。画素電極31には、平面視略帯状の複数の開口スリット31bが形成されている。また対向電極9の表面には、平面視略帯状の複数の誘電体突起18が形成されている。なお、対向基板10に形成された各誘電体突起18および素子基板25に形成された各開口スリット31bの配置関係は、画素電極31の長辺方向に対して交互(平面的に重ならず互い違い)に配置されている。また、画素電極31における一方の長辺から他方の長辺にかけて、各突起18の間隔および各スリット31bの間隔が広がるように、各突起18および各スリット31bが配置されている。なお上記とは逆に、対向電極10に開口スリットを形成し、画素電極31に誘電体突起を形成してもよい。
【0043】
誘電体突起18は、樹脂等の誘電体材料からなり、グレーマスクを用いたフォトリソグラフィ等によって形成されている。本例の液晶表示装置では、図1に示した液晶表示装置100の構成において複数の誘電体突起18及び配向制御構造物(開口スリット)が採用された構成であって、従ってこの誘電体突起18の誘電率εt1は、液晶分子51の長軸方向誘電率ε//より小さくなっている。すなわち、本構成例の液晶表示装置は、図1に示した液晶表示装置の基本構成及び作用を採用しており、誘電体突起18と液晶層50との誘電率の関係に応じて、誘電体突起18及び開口スリット31bの配置が適切に決められているので、ドット領域内にディスクリネーションを生じず、広視角、高コントラストの良好な表示を得られるようになっている。
【0044】
尚、本構成例の液晶表示装置において、平面的には、電界印加時に、略帯状の開口スリット31bを中心として放射状に液晶分子が傾倒することになる。また略帯状の誘電体突起18を中心として放射状に液晶分子51が傾倒することになる。これら誘電体突起18及び開口スリット31aの作用により、図14に示した誘電体突起18と開口スリット31bとの間で液晶分子は一定の方向に配向され、その結果ドット領域内の液晶層50が適切に配向制御される。
また、本例では、誘電体突起18と隣接する配向制御構造物が、ドット領域内に設けられた電極に開口スリット31bを形成した構成としているが、該開口スリットの内側に他の誘電体突起を設け、誘電率εt2がε//>εt2の関係を有する他の誘電体突起とを有する構成とすることもできる。この構成によれば、開口スリットの周辺で生じる斜め電界と、誘電体突起によって生じる電界歪みとにより液晶分子の配向制御を行う配向制御構造物を設けるので、配向制御構造物から離れた位置の液晶分子も良好に配向制御することができ、応答速度ないし開口率を向上させる上で有利な構成となる。
また、本例では誘電体突起18が対向電極9上に形成されている構成としたが、対向電極9を誘電体突起18に対応する平面形状に切り欠いてスリットを形成し、このスリットの内部に誘電体突起18を設けた構成とすることもできる。即ち、誘電体突起18が形成されている部分の下地とされる対向電極9の少なくとも一部が切り欠かれている(開口されている)構成とすることもできる。このような構成とすることで、電圧印加時に誘電体突起18の周辺で生じる電界の歪みを大きくすることができ、より大きな配向規制力を得られるようになるので、液晶表示装置の応答速度を向上させることができる。
【0045】
<構成例2>
次に、本発明に係る液晶表示装置の第2構成例について説明する。図15は、本構成例の液晶表示装置の1つのドット領域の長手(長辺)方向における断面構成図、図16は、同、3つのドット領域で構成される1画素領域を示す平面構成図である。本構成例の液晶表示装置は、半透過反射型の液晶表示装置である。尚、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。また図15に示す断面構造は、図16のB−B線に沿う断面構造に対応している。
【0046】
図15に示すように、第2構成例の液晶表示装置では、第2基板(対向基板)10の内側に、アルミニウムや銀等の反射率の高い金属膜等からなる反射膜20が形成されている。この反射膜20の一部には、透過表示領域に対応して切り欠いた開口部20aが形成されている。そして、画素電極(第1電極)31の形成領域と反射膜20の形成領域とのオーバーラップ部分が反射表示領域を成し、画素電極31の形成領域と反射膜20の非形成領域(すなわち開口部20aの形成領域)とのオーバーラップ部分が透過表示領域を成している。そして、反射膜20及び基板10の内側に、カラーフィルタ層22が設けられている。なお、反射表示と透過表示とで表示色の彩度が異なるのを補償すべく、反射表示領域と透過表示領域とで色純度を変えた色材層を別個に設けてもよい。
一方、素子基板(第1基板)25の液晶層側に、画素電極31と複数(3個)の誘電体突起18と、垂直配向膜33とがこの順で設けられている。
【0047】
カラーフィルタ層22上の、ほぼ反射表示領域に対応する平面位置には、絶縁膜21が形成されている。絶縁膜21は、例えばアクリル樹脂等の有機膜により、膜厚が2μm±1μm程度に形成されている。絶縁膜21が存在しない部分の液晶層50の厚みは2〜6μm程度であり、反射表示領域における液晶層50の厚みは透過表示領域における液晶層50の厚みの約半分となっている。つまり、絶縁膜21は、自身の膜厚によって反射表示領域と透過表示領域とにおける液晶層50の層厚を異ならせる液晶層厚調整層として機能し、もってマルチギャップ構造を実現するものとなっている。本例の液晶表示装置は、係る構成により明るく高コントラストの表示が得られるようになっている。尚、反射表示領域と透過表示領域との境界付近には、絶縁膜21の層厚を連続的に変化させる傾斜面が形成されている。
【0048】
図15に示す半透過反射型の液晶表示装置では、以下のようにして画像表示が行われる。まず、素子基板25の上方から反射表示領域に入射した光は、偏光板37および位相差板36を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。なお、電圧無印加時において基板と垂直に配向している液晶分子には屈折率異方性がないので、入射光は円偏光を保持したまま液晶層50を進行する。さらに反射膜20により反射され、位相差板36を再透過した入射光は、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板37を透過しない。一方、バックライト60から透過表示領域に入射した光も同様に、偏光板27および位相差板26を透過して円偏光に変換され、液晶層50に入射する。さらに位相差板36を透過した入射光は、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光に変換される。そして、この直線偏光は偏光板37を透過しないので、本実施形態の液晶表示装置では、電圧無印加時において黒表示が行われる(ノーマリーブラックモード)。
【0049】
一方、液晶層50に電界を印加すると、液晶分子が基板と平行に再配向して、透過光に対して複屈折作用を奏する。そのため、反射表示領域および透過表示領域において液晶層50に入射した円偏光は、液晶層50を透過する過程で楕円偏光に変換される。この入射光が位相差板36を透過しても、偏光板37の透過軸と直交する直線偏光には変換されず、その全部または一部が偏光板37を透過する。したがって、本実施形態の液晶表示装置では、電圧印加時において白表示が行われる。なお、液晶層50に印加する電圧を調整することにより、階調表示を行うことも可能である。
【0050】
このように、反射表示領域では入射光が液晶層50を2回透過するが、透過表示領域では入射光は液晶層50を1回しか透過しない。この場合、反射表示領域と透過表示領域との間で液晶層50のリタデーション(位相差値)が異なると、光透過率に差異を生じて均一な画像表示が得られないことになる。しかしながら、本実施形態の液晶表示装置には液晶層厚調整層21が設けられているので、反射表示領域においてリタデーションを調整することが可能となっている。従って、反射表示領域および透過表示領域において均一な画像表示を得ることができる。
【0051】
[配向制御手段]
図16は、図15に示す液晶表示装置の1画素領域を示す平面構成図であり、素子基板における各構成要素を実線で、対向基板の構成要素を一点鎖線で示している。図16に示すように、画素電極31には、その長辺から中央部に向かって複数のスリット31cが形成されている。即ち、1ドット領域に対応して配置される画素電極31は、3つの島状のサブピクセル32と、これらを接続する連結部で構成され、この連結部が実質的に液晶分子の配向制御をなすスリット31c(電極の切り欠き)とされている。このスリット31cにより、画素電極31は3個のサブピクセル32に分割され、各サブピクセルは中央部で連結されている。なお、3個のサブピクセル32のうち少なくとも1個のサブピクセルは、反射表示領域に対応して割り当てられて形成されている。従って、画素電極31が形成された同一基板上に、誘電体突起18、スリット31c、誘電体突起18、スリッツ31c、及び誘電体突起18とこの順で画素電極31の長手(長辺)方向に配置された構成となっている。
また、各サブピクセル32の中心部に相当する画素電極31の表面には、それぞれ誘電体突起18が形成されている。この誘電体突起18は、平面視略円形状に形成されるとともに、図15に示すように側面視略三角形状に形成されている。すなわち、本構成例の液晶表示装置は、図2に示した第2実施形態の液晶表示装置200の基本構成及び作用を採用し、複数の誘電体突起18を、配向制御構造物である複数のスリット31cと同一の基板に設けたものである。
【0052】
上記サブピクセルが形成された電極構造により、1つのドット領域内で複数の液晶ドメインを形成可能になっている。また、サブピクセル32の角部には面取り等が施され、サブピクセル32は平面視略八角形状ないし略円形状とされている。そして液晶層に電界を印加すると、サブピクセル32の輪郭(図1に示した縁端部31a)に対して垂直に液晶分子51が傾倒する。また誘電体突起18の周辺では、電圧無印加時には液晶分子51が誘電体突起18の傾斜面と垂直に配向し、電圧印加時には図16に示すように誘電体突起18に向かって液晶分子51が倒れ、それを中心とした平面放射状に液晶分子51が配向する。
従って、液晶分子のダイレクタを複数作り出すことが可能になり、視野角の広い液晶表示装置を提供することができる。尚、上記とは逆に、対向電極9に、スリット及び誘電体突起を形成してもよい。
【0053】
図15及び図16に示した本構成例の液晶表示装置では、画素電極31にスリット31c及び誘電体突起18が設けられるので、液晶層50を挟持するべく素子基板25と対向基板10とを貼り合わせるに際して、スリット31cと誘電体突起18との位置合わせを行う必要が無くなり、液晶表示装置の製造が容易になるとともに歩留まりの向上も期待できるという利点が得られる。
【0054】
(電子機器)
図17は、本発明に係る電子機器の一例を示す斜視図である。この図に示す携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。
上記各実施の形態の表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、明るく、高コントラストであり、かつ広視野角の透過/反射表示が可能になっている。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】図1は、本発明に係る液晶表示装置の基本構成を示す断面構成図。
【図2】図2は、本発明に係る液晶表示装置の基本構成を示す断面構成図。
【図3】図3は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図4】図4は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図5】図5は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図6】図6は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図7】図7は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図8】図8は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図9】図9は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図10】図10は、実施形態に係るシミュレーション結果を示す図。
【図11】図11は、本発明を適用できる液晶表示装置を例示する説明図。
【図12】図12は、構成例に係る液晶表示装置の斜視構成図。
【図13】図13は、第1構成例に係る液晶表示装置の断面構成図。
【図14】図14は、同、1画素領域の平面構成図。
【図15】図15は、第2構成例に係る液晶表示装置の断面構成図。
【図16】図16は、同、1画素領域の平面構成図。
【図17】図17は、電子機器の一例を示す斜視構成図。
【符号の説明】
【0056】
9…第2電極(対向電極)、10…第2基板(対向基板)、18…誘電体突起、25…第1基板(素子基板)、31…第1電極(画素電極)、31a…縁端部(配向制御構造物)、31b…開口スリット(配向制御構造物)、31c…スリット(配向制御構造物)、50…液晶層、51…液晶分子。




 

 


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