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発明の名称 電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−11226(P2007−11226A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−195298(P2005−195298)
出願日 平成17年7月4日(2005.7.4)
代理人 【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
発明者 田中 孝昭 / 小嶋 裕之 / 関 伸介
要約 課題
液晶装置等の電気光学装置において、電気光学物質と無機配向膜との光化学反応を抑制する。

解決手段
電気光学装置は、一対の第1及び第2基板と、一対の第1及び第2基板間に挟持された電気光学物質と、第1及び第2基板の少なくとも一方における電気光学物質に面する側の表面に、有機化合物が反応固着された無機材料から形成されており、電気光学物質の配向状態を規制する配向膜とを備える。
特許請求の範囲
【請求項1】
一対の第1及び第2基板と、
該一対の第1及び第2基板間に挟持された電気光学物質と、
前記第1及び第2基板の少なくとも一方における前記電気光学物質に面する側の表面に、有機化合物が反応固着された無機材料から形成されており、前記電気光学物質の配向状態を規制する配向膜と
を備えることを特徴とする電気光学装置。
【請求項2】
前記有機化合物は、所定の波長吸収帯域を有することを特徴とする請求項1に記載の電気光学装置。
【請求項3】
前記有機化合物は、アルコール類であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項4】
前記有機化合物は、シラン化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項5】
前記有機化合物は、脂肪酸類であることを特徴とする請求項1又は2に記載の電気光学装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の電気光学装置を具備してなることを特徴とする電子機器。
【請求項7】
一対の第1及び第2基板と、該一対の第1及び第2基板間に狭持された電気光学物質とを備えた電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法であって、
前記第1及び第2基板の少なくとも一方の基板上に、前記電気光学物質の配向状態を規制する配向膜を、無機材料から形成する配向膜形成工程と、
前記配向膜における前記電気光学物質に面する側の表面に、有機化合物を反応固着する反応固着工程と、
前記第1及び第2基板を貼り合わせる貼合工程と
を含むことを特徴とする電気光学装置の製造方法。
【請求項8】
前記反応固着工程の前に、
前記表面の不純物を除去する不純物除去工程と、
前記不純物が除去された後に、前記表面に水酸基を生成する水酸基生成工程と、
前記水酸基が生成された後に、前記表面に前記有機化合物を吸着させる吸着工程と
を更に含み、
前記有機化合物は、所定の波長吸収帯域を有する
ことを特徴とする請求項7に記載の電気光学装置の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば液晶表示装置等の電気光学装置及びその製造方法、並びに電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の電気光学装置では、例えばシール材によって貼り合わされた一対の基板間に挟持される電気光学物質の配向制御は、例えば、一対の基板のうち少なくとも一方の基板における、電気光学物質と対向する側の基板面上に形成された無機配向膜によって行われる。電気光学装置の製造時、無機配向膜は、例えば斜方蒸着法によって形成される。斜方蒸着法により基板面上に形成された無機配向膜において、その表面や内部に例えばダングリングボンドが存在することで、電気的に不安定な欠陥部分が生じ、良好な膜質が得られないことがある。このような無機配向膜における電気的に不安定な欠陥部分には、例えば水分が反応してシラノール基が形成される。電気光学装置の組立後に、無機配向膜と接する例えば液晶分子が、該シラノール基と光化学反応してしまう恐れがある。このような光化学反応が生じると、液晶分子とシラノール基との結合に起因する光漏れ等が生じることによって、電気光学装置内における表示画像の品質が劣化する。
【0003】
ここで、例えば特許文献1では、斜方蒸着法によって形成された無機配向膜における高温高湿時の配向欠陥の発生を防止するために、無機配向膜の上に有機膜を積層する技術が開示されている。特許文献2では、液晶のプレチルト角を制御するために、無機配向膜の上に有機の垂直配向膜を被覆する技術が開示されている。特許文献3では、強誘電性液晶と無機配向膜との相互作用を改質するために、無機配向膜の表面を高級アルコールで湿潤処理する技術が開示されている。
【0004】
【特許文献1】特開平2−39024号公報
【特許文献2】特開平3−259116号公報
【特許文献3】特開2000−47211号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び2に開示された技術によれば、無機配向膜の上に有機膜を積層した二層膜であって、化学反応は生じておらず、シラノール基が存在する恐れがあるため、液晶分子とシラノール基との光化学反応を十分に防ぐことはできない。また、特許文献3に開示された技術によれば、強誘電性液晶と無機配向膜との親和性を向上させるが、液晶分子とシラノール基との光化学反応を防止することはできない。
【0006】
本発明は、例えば上述した問題点に鑑みなされたものであり、電気光学物質と無機配向膜との光化学反応を抑制できる電気光学装置及びその製造方法、並びにそのような電気光学装置を具備してなる各種電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の電気光学装置は、上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板と、該一対の第1及び第2基板間に挟持された電気光学物質と、前記第1及び第2基板の少なくとも一方における前記電気光学物質に面する側の表面に、有機化合物が反応固着された無機材料から形成されており、前記電気光学物質の配向状態を規制する配向膜とを備える。
【0008】
本発明の電気光学装置によれば、一対の第1及び第2基板は、例えば画素アレイ領域の周囲に沿ったシール領域においてシール材によって交互に貼り合わされており、一対の第1及び第2基板間には、例えば電気光学物質としての液晶が挟持されている。電気光学装置を駆動させない状態では、無機材料からなる配向膜、即ち無機配向膜における表面形状効果により、電気光学物質は一対の第1及び第2基板間で所定の配向状態をとる。電気光学装置の駆動時には、例えば、電気光学物質に、例えば画素アレイ領域に配列された画素毎に画像信号に応じた電圧を印加することにより、電気光学物質の配向状態を変えることで、例えば光源から入射される光を変調する。そして、電気光学物質によって変調された光が表示光として出射されることにより、画像表示が行われる。
【0009】
無機配向膜は、典型的には、基板上にシリカ(SiO2)等を例えば斜方蒸着法により堆積して形成される。ここで、第1基板面上には、予め無機配向膜の下地として、例えば画素電極を駆動するための配線や駆動素子が作りこまれた積層構造が形成され、この積層構造の最上層に画素電極が画素毎に所定のパターンで島状やストライプ状に形成される。或いは、第2基板面上には、画素毎に開口領域を規定するための遮光膜が作りこまれるとともに、複数の画素電極と対向することになる対向電極が最上層に配置された積層構造が形成される。
【0010】
無機配向膜は典型的には表面にシラノール基(−Si−OH)を有する。シラノール基は、反応性が高く、仮に何らの対策も施さねば、一対の第1及び第2基板間に狭持された電気光学物質、例えば液晶分子と反応してしまう。特に装置として使用される際に照射される光によって反応する、即ち光化学反応を生じてしまう。
【0011】
しかるに、本発明の電気光学装置によれば、無機配向膜の電気光学物質に面する側の表面に有機化合物が反応固着されている。ここで、反応固着するとは、化学的反応により有機化合物が官能基と結合することをいう。例えば、無機配向膜の表面が有する反応活性の高いシラノール基は、例えばイソプロパノール等の有機化合物と脱水反応することにより結合されている。よって、無機配向膜の表面の反応活性は低減されている。従って、無機配向膜と液晶分子との光化学反応を抑制或いは無くすことができる。即ち、シラノール基を反応活性サイトとして、無機配向膜と電気光学物質とが光反応を起こすことを防止することができる。言い換えれば、反応活性サイトであるシラノール基を化学修飾することにより、無機配向膜の表面を改質することができる。
【0012】
以上説明したように、無機配向膜と電気光学物質との光化学反応を抑制することができる。よって、無機配向膜と電気光学物質との光化学反応に起因した表示不良を低減或いは無くすことができる。
【0013】
本発明の電気光学装置の一態様では、前記有機化合物は、所定の波長吸収帯域を有する。
【0014】
この態様によれば、有機化合物は、所定の波長吸収帯域を有しているので、例えば300〜400nm程度以下の短波長吸収帯域を殆ど或いは全く有していないようにすれば、例えばプロジェクタとして使用される際の光を吸収しないようにできるので、配向膜の表面付近における液晶分子とシラノール基との光化学反応を一層確実に抑制することができる。
【0015】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記有機化合物は、アルコール類である。
【0016】
この態様によれば、有機化合物は、アルコール類であり、例えば水酸基或いはシラノール基と脱水或いは縮合反応しやすいので、無機配向膜に確実に反応固着することができる。
【0017】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記有機化合物は、シラン化合物である。
【0018】
この態様によれば、有機化合物は、シラン化合物であり、例えば水酸基或いはシラノール基と反応しやすいので、無機配向膜に確実に反応固着することができる。
【0019】
本発明の電気光学装置の他の態様では、前記有機化合物は、脂肪酸類である。
【0020】
この態様によれば、有機化合物は、脂肪酸類であり、例えば水酸基或いはシラノール基と脱水或いは縮合反応しやすいので、無機配向膜に確実に反応固着することができる。
【0021】
本発明の電子機器は、上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置(但し、その各種態様も含む)を具備する。
【0022】
本発明の電子機器は、上述した本発明の電気光学装置を具備してなるので、高品質な画像表示を行うことが可能な、投射型表示装置、テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0023】
本発明の電気光学装置の製造方法は、上記課題を解決するために、一対の第1及び第2基板と、該一対の第1及び第2基板間に狭持された電気光学物質とを備えた電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法であって、前記第1及び第2基板の少なくとも一方の基板上に、前記電気光学物質の配向状態を規制する配向膜を、無機材料から形成する配向膜形成工程と、前記配向膜における前記電気光学物質に面する側の表面に、有機化合物を反応固着する反応固着工程と、前記第1及び第2基板を貼り合わせる貼合工程とを含む。
【0024】
上述した本発明の電気光学装置を製造することができる。ここで特に、無機配向膜の電気光学物質に面する側の表面に有機化合物を反応固着するので、耐光性の高い電気光学装置を製造することができる。
【0025】
本発明の電気光学装置の製造方法の一の態様では、前記反応固着工程の前に、前記表面の不純物を除去する不純物除去工程と、前記不純物が除去された後に、前記表面に水酸基を生成する水酸基生成工程と、前記水酸基が生成された後に、前記表面に前記有機化合物を吸着させる吸着工程とを更に含み、前記有機化合物は、所定の波長吸収帯域を有する。
【0026】
この態様によれば、不純物除去工程、水酸基生成工程及び吸着工程を更に含む。これらの工程は、例えば上述した反応固着工程の前に行う前工程として行われる。
【0027】
先ず、不純物除去工程によって、上述した配向膜生成工程によって形成した無機配向膜の電気光学物質に面する側の表面に吸着した或いは化学反応により結合した例えば空気中の水分や有機物等の不純物を例えばO2プラズマにより除去する。
【0028】
次に、水酸基生成工程によって、無機配向膜の電気光学物質に接触する側の表面を例えば純水に浸漬することにより表面に殆ど或いは完全に均一に水酸基或いは典型的にはシラノール基を生成する。
【0029】
次に、吸着工程によって、無機配向膜の表面に例えばイソプロパノール等の有機化合物を吸着させる。
【0030】
以上説明した不純物除去工程、水酸基生成工程及び吸着工程を反応固着工程の前工程として行うので、無機配向膜の電気光学物質に面する側の表面に有機化合物を殆ど或いは完全に均一に反応固着させることができる。よって、一層耐光性の高い電気光学装置を製造することができる。
【0031】
更に、反応固着させる有機化合物は、所定の波長吸収帯域を有しているので、例えば300〜400nm程度以下の短波長吸収帯域を殆ど或いは全く有していないようにすれば、配向膜の表面付近における電気光学物質、例えば液晶分子とシラノール基との光化学反応を一層確実に抑制することができる。
【0032】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための最良の形態から明らかにされよう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態では、本発明の電気光学装置の一例である駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置を例にとる。
【0034】
先ず、本実施形態に係る電気光学装置の全体構成について、図1及び図2を参照して説明する。ここに図1は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板の側からみた平面図であり、図2は、図1のH−H’断面図である。尚、以下で参照する各図においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
【0035】
図1及び図2において、本実施形態の電気光学装置では、本発明に係る「第1基板」の一例としてのTFTアレイ基板10と本発明に係る「第2基板」の一例としての対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0036】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂や熱硬化樹脂、又は紫外線・熱併用型硬化樹脂等からなり、製造プロセスにおいてTFTアレイ基板10上に塗布された後、紫外線照射、加熱等により硬化させられたものである。シール材52中には、TFTアレイ基板10と対向基板20との間隔(ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材56が散布されている。図2には、ギャップ材56として略球状のガラスビーズを、シール材52に混入した構成を示してある。尚、ギャップ材56を、シール材52に混入されるものに加えて若しくは代えて、画像表示領域10a又は画像表示領域10aの周辺に位置する周辺領域に、配置するようにしてもよい。
【0037】
図1において、シール材52が配置されたシール領域の内側に並行して、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が、対向基板20側に設けられている。但し、このような額縁遮光膜53の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられてもよい。
【0038】
周辺領域のうち、シール材52が配置されたシール領域の外側に位置する領域には、データ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられている。この一辺に沿ったシール領域よりも内側に、サンプリング回路7が額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。また、走査線駆動回路104は、この一辺に隣接する2辺に沿ったシール領域の内側に、額縁遮光膜53に覆われるようにして設けられている。
【0039】
また、TFTアレイ基板10上には、対向基板20の4つのコーナー部に対向する領域に、両基板間を上下導通材107で接続するための上下導通端子106が配置されている。これらにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的な導通をとることができる。
【0040】
図2において、TFTアレイ基板10上には、駆動素子である画素スイッチング用のTFT(Thin Film Transistor)や走査線、データ線等の配線が作り込まれた積層構造が形成される。この積層構造の詳細な構成については図2には図示を省略してあるが、この積層構造の最上層に、ITO(Indium Tin Oxide)等の透明材料からなる画素電極9aが、画素毎に所定のパターンで島状に形成されている。そして、画素電極9a上には、例えばシリカ(SiO2)等の無機材料からなる配向膜16が設けられている。
【0041】
他方、対向基板20におけるTFTアレイ基板10との対向面上に、遮光膜23が形成されている。遮光膜23は、例えば対向基板20における対向面上に平面的に見て、格子状に形成されている。対向基板20において、遮光膜23によって非開口領域が規定され、遮光膜23によって区切られた領域が開口領域となる。尚、遮光膜23をストライプ状に形成し、該遮光膜23と、TFTアレイ基板10側に設けられたデータ線等の各種構成要素とによって、非開口領域を規定するようにしてもよい。
【0042】
そして、遮光膜23上に、ITO等の透明材料からなる対向電極21が複数の画素電極9aと対向して形成される。また、遮光膜23上に、画像表示領域10aにおいてカラー表示を行うために、開口領域及び非開口領域の一部を含む領域に、図2には図示しないカラーフィルタが形成されるようにしてもよい。
【0043】
対向基板20の対向面上における、これら各種の構成要素が作り込まれた積層構造上には、例えばシリカ(SiO2)等の無機材料からなる配向膜22が形成されている。対向電極21は、対向基板20上の積層構造の最上層に配置されると共に、対向電極21上に配向膜22が形成されている。
【0044】
尚、TFTアレイ基板10及び対向基板20のいずれか一方の対向面上に配向膜を形成するようにしてもよい。また、TFTアレイ基板10側の配向膜16及び対向基板20側の配向膜22のいずれか一方を、ポリイミド等の有機材料により形成される有機膜にラビング処理を施すことにより得られる有機配向膜から形成するようにしてもよい。但し、無機配向膜は、有機配向膜と比較して耐光性に優れるという特性を有している。よって、電気光学装置を長寿命化させるためには、無機配向膜を用いるようにするのがよい。
【0045】
また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、画素電極9aからの電界が印加されていない状態で、一対の配向膜16及び22間で、所定の配向状態をとる。
【0046】
後に詳述するように、配向膜16及び22の各々の液晶層50に面する側の表面には、有機化合物が反応固着されている。
【0047】
尚、図1及び図2に示したTFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、画像信号線上の画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、複数のデータ線に所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
【0048】
ここで、図3には、図2に対応する断面の構成について、特に、TFTアレイ基板10上に形成された配向膜16による液晶の配向について模式的に示してある。
【0049】
図3において、TFTアレイ基板10において液晶層50と対向する側の基板面上に、TFT等の各種構成要素が作りまれた積層構造90が形成されており、この積層構造90の最上層に画素電極9aが画素毎に形成されている。そして、画素電極9a上に、無機材料の柱状構造物16aがTFTアレイ基板10の基板面に対して所定の角度をなして配列することにより、無機材料が堆積して、配向膜16が形成されている。このように形成された配向膜16は、表面形状効果により、液晶分子50aの配向状態を規制することができる。尚、図3を参照して説明した配向膜16による液晶の配向については、対向基板20上に形成された配向膜22についても同様である。
【0050】
次に、以上の如く構成された電気光学装置における回路構成及び動作について、図4を参照して説明する。ここに図4は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。
【0051】
図4において、本実施形態における電気光学装置の画像表示領域10aを構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0052】
また、TFT30のゲートにゲート電極3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線11a及びゲート電極3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
【0053】
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板20に形成された対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
【0054】
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極21との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線11aに並んで設けられ、固定電位側容量電極を含むとともに定電位に固定された容量電極300を含んでいる。
【0055】
次に、本実施形態に係る配向膜の表面の化学的な構造について、図5及び図6を参照して説明する。ここに図5は、本実施形態の配向膜の表面の化学的な構造を示す模式図である。図6は、比較例における図5と同趣旨の模式図である。
【0056】
図5に示すように、本実施形態では特に、配向膜16の液晶層50に面する側の表面には、イソプロピル基R1(−C3H7)が結合されている。
【0057】
図6に比較例として示すように、シリカ(SiO2)等の無機材料からなる配向膜16は、外部の水分と反応しやすく、典型的には、その表面にシラノール基(−Si−OH)を有している。シラノール基は、反応性が高く、仮に何らの対策も施さねば、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に狭持された液晶層50の液晶分子と反応してしまう。特に例えばプロジェクタ等の装置として使用される際に照射される光によって反応する、即ち光化学反応を生じてしまう。
【0058】
しかるに、本実施形態では、上述したように配向膜16の液晶層50に面する側の表面には、イソプロピル基R1(−C3H7)が結合されている。即ち、配向膜16は、その表面に有するシラノール基(−Si−OH)を反応活性サイトとして、例えばイソプロパノールと反応固着されている。よって、配向膜16の表面の反応活性は低減されている。従って、配向膜16と液晶層50の液晶分子との光化学反応を抑制することができる。即ち、シラノール基を反応活性サイトとして、配向膜16と液晶層50とが光反応を起こすことを防止することができる。言い換えれば、反応活性サイトであるシラノール基を化学修飾することにより、配向膜16の表面を改質することができる。
【0059】
本実施形態では特に、配向膜16は、イソプロパノール即ちアルコール類と反応固着されている。アルコール類は、シラノール基162と脱水或いは縮合反応しやすいので、配向膜16に確実に反応固着することができる。尚、配向膜16と反応固着する有機化合物としては、シラン化合物、脂肪酸類等もシラノール基或いは水酸基と反応しやすいので、好適に用いることができる。また、例えば300〜400nm程度以下の短波長吸収帯域を殆ど或いは全く有していない有機化合物を配向膜16に反応固着すれば、例えばプロジェクタとして使用される際の光を吸収しないようにできるので、配向膜16の表面付近における液晶分子とシラノール基162との光化学反応を一層確実に抑制することができる。
【0060】
配向膜22の液晶層50に面する側の表面についても、同様に、イソプロパノール等の有機化合物が反応固着されている。
【0061】
尚、配向膜16及び22のいずれか一方にだけ有機化合物を反応固着された場合にも、上述した光化学反応を抑制する効果は相応に得られる。
【0062】
以上説明したように、配向膜16及び22と液晶層50との光化学反応を抑制することができる。よって、配向膜16と22と液晶層50との光化学反応に起因した表示不良を低減或いは無くすことができる。
(電気光学装置の製造方法)
次に、上述した電気光学装置を製造する電気光学装置の製造方法について、図7から図9を参照して説明する。ここに、図7は、本実施形態に係る電気光学装置の製造プロセスの各工程を説明するためのフローチャートである。図8は、表面改質に係る各工程を詳細に説明するためのフローチャートである。図9は、表面改質に係る各工程における配向膜の表面の化学的構造を、順を追って示す模式図である。
【0063】
先ず、図7において、TFTアレイ基板10上に、例えば蒸着やスパッタリング等による成膜、エッチングやフォトグラフィ等によるパターンニング、熱処理などによって、データ線6aや走査線11a、TFT30等が作り込まれた積層構造90(図3参照)の最上層に、例えばスパッタリングによりITOから画素電極9aを形成する(ステップS11)。
【0064】
続いて、配向膜形成工程によって、例えば斜方蒸着法を、TFTアレイ基板10に対して施すことで、TFTアレイ基板10における画素電極9aが形成された基板面上にシリカ(SiO2)からなる配向膜16を例えば約40nmの膜厚で形成する(ステップS12)。尚、配向膜16は、異方性スパッタリングや例えばインクジェット法等の塗布法によって形成してもよい。この際、蒸着源から発生されたシリカ(SiO2)等の無機材料の蒸気流が、TFTアレイ基板10の基板面上において、積層構造90の最表面と接触することにより、積層構造90上に無機材料が蒸着する。そして、基板面上に蒸着した無機材料の柱状構造物16aが基板面に対して所定の角度をなして配列することで、無機材料が基板面上に堆積する。
【0065】
次に、配向膜16の液晶層50に面する側の表面に、例えばイソプロパノール等の有機化合物を反応固着させて、表面の改質を行う(ステップS13)。
【0066】
以下に、図8及び図9を参照して、ステップS13の工程について詳細に説明する。
【0067】
図8に示すように、先ず、不純物除去工程によって、上述した配向膜生成工程によって形成した配向膜16の液晶層50に面する側の表面に吸着した或いは化学反応により結合した例えば空気中の水分や有機物等の不純物をO2プラズマにより除去する(ステップS131)。具体的には、図9(a)に示すように、配向膜生成工程によって形成した配向膜16の液晶層50に面する側に表面には、外部の水分との反応によるシラノール基162や例えば有機化合物等の不純物との反応による組成不明の炭化水素基163等が形成される。このような配向膜16をO2プラズマ雰囲気に例えば約5分間晒すことにより、配向膜16の表面からシラノール基162、炭化水素基163等を表面に吸着した水分や不純物とともに除去する。この際、O2プラズマ雰囲気に晒されることで、配向膜16の表面の反応性が高められる、言い換えれば、配向膜16の表面は反応活性状態になる。
【0068】
次に、水酸基生成工程によって、配向膜16を例えば室温で純水に浸漬させることにより、図9(b)に示すように、水酸基164或いはシラノール基165を生成する(ステップS132)。この際、上述した不純物除去工程によって、シラノール基162、炭化水素基163等が表面に吸着した水分や不純物とともに除去されているので、殆ど或いは好ましくは完全に均一に水酸基164或いはシラノール基165を生成することができる。更に、配向膜16の表面は反応活性状態になっているので、容易かつ確実に純水と反応させることができ、水酸基164或いはシラノール基165を生成することができる。
【0069】
次に、窒素雰囲気中で例えば約5分間、150℃程度に配向膜16を加熱して、表面の吸着水を除去する(ステップS133)。
【0070】
次に、窒素雰囲気中にイソプロパノールガスを供給しつつ、イソプロパノールを配向膜16の表面に物理的に吸着させる(ステップS134)。この際、例えば約30分間、150℃〜200℃程度に配向膜16を加熱する。
【0071】
次に、イソプロパノールガスの供給を停止し、反応固着工程によって、配向膜16の表面にイソプロパノールを反応固着させる、即ち、図9(c)に示すように、イソプロピル基166を生成する(ステップS135)。より具体的には、約150℃で約60分間加熱することにより、配向膜16の表面の水酸基164或いはシラノール基165とイソプロパノールとの脱水反応を生じさせる。この際、配向膜16の表面には、液晶層50との光化学反応を生じやすいシラノール基は殆ど或いは完全に無くなる。よって、配向膜16と液晶層50との光化学反応に起因する表示不良を防止することができる。更に、上述した不純物除去工程、水酸基生成工程及び吸着工程を反応固着工程の前工程として行うので、配向膜16の液晶層50に面する側の表面にイソプロパノールを殆ど或いは完全に均一に反応固着させることができる。よって、一層耐光性の高い電気光学装置を製造することができる。
【0072】
イソプロパノールは、300〜400nm程度以下の短波長吸収帯域を殆ど有していない。よって、例えばプロジェクタとして使用される際の光を吸収しないようにできるので、配向膜16の表面付近における液晶分子とシラノール基162との光化学反応を一層確実に抑制することができる。
【0073】
尚、反応固着工程の終了後には、例えば、約150℃に加熱したまま、窒素雰囲気中においておくことにより、配向膜16の表面に吸着している未反応物を脱離させる。これにより、斑なく表面改質を行うことができる。
【0074】
図7において、ステップS11及びステップS12のTFTアレイ基板10に係る製造工程と並行して又は相前後して、対向基板20において、例えば蒸着やスパッタリング等による成膜などによって遮光膜23や対向電極21等が作り込まれた積層構造が形成され(ステップS21)、続いて、ステップ12と同様に、配向膜形成工程によって、配向膜22が形成される(ステップS22)。次に、ステップ13と同様に、表面改質工程によって、配向膜22の液晶層50に面する側の表面の改質を行う(ステップS23)。
【0075】
その後、貼合工程によって、TFTアレイ基板10及び対向基板20を、TFTアレイ基板10において配向膜16が形成された側と、対向基板20において配向膜22が形成された側とをシール材52を介して貼り合わせる(ステップS30)。
【0076】
続いて、互いに貼り合わされた状態のTFTアレイ基板10及び対向基板20を、TFTアレイ基板10及び対向基板20間に液晶を注入する(ステップS40)。
【0077】
以上説明したように、本実施形態の電気光学装置の製造方法によれば、上述した電気光学装置を製造することができる。ここで特に、配向膜16及び22の液晶層50に面する側の表面に有機化合物を反応固着するので、耐光性の高い電気光学装置を製造することができる。
【0078】
(電子機器)
次に、上述した電気光学装置である液晶装置を各種の電子機器に適用する場合について説明する。
【0079】
まず、この液晶装置をライトバルブとして用いたプロジェクタについて説明する。図10は、プロジェクタの構成例を示す平面図である。この図10に示されるように、プロジェクタ1100内部には、ハロゲンランプ等の白色光源からなるランプユニット1102が設けられている。このランプユニット1102から射出された投射光は、ライトガイド1104内に配置された4枚のミラー1106および2枚のダイクロイックミラー1108によってRGBの3原色に分離され、各原色に対応するライトバルブとしての液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gに入射される。
【0080】
液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gの構成は、上述した液晶装置と同等であり、画像信号処理回路から供給されるR、G、Bの原色信号でそれぞれ駆動されるものである。そして、これらの液晶パネルによって変調された光は、ダイクロイックプリズム1112に3方向から入射される。このダイクロイックプリズム1112においては、RおよびBの光が90度に屈折する一方、Gの光が直進する。したがって、各色の画像が合成される結果、投射レンズ1114を介して、スクリーン等にカラー画像が投写されることとなる。
【0081】
ここで、各液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gによる表示像について着目すると、液晶パネル1110Gによる表示像は、液晶パネル1110R、1110Bによる表示像に対して左右反転することが必要となる。
【0082】
なお、液晶パネル1110R、1110Bおよび1110Gには、ダイクロイックミラー1108によって、R、G、Bの各原色に対応する光が入射するので、カラーフィルタを設ける必要はない。
【0083】
次に、液晶装置を、モバイル型のパーソナルコンピュータに適用した例について説明する。図11は、このパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。図11において、コンピュータ1200は、キーボード1202を備えた本体部1204と、液晶表示ユニット1206とから構成されている。この液晶表示ユニット1206は、先に述べた液晶装置1005の背面にバックライトを付加することにより構成されている。
【0084】
さらに、液晶装置を、携帯電話に適用した例について説明する。図12は、この携帯電話の構成を示す斜視図である。図12において、携帯電話1300は、複数の操作ボタン1302とともに、反射型の液晶装置1005を備えるものである。この反射型の液晶装置1005にあっては、必要に応じてその前面にフロントライトが設けられる。
【0085】
尚、図10から図12を参照して説明した電子機器の他にも、液晶テレビや、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた装置等などが挙げられる。そして、これらの各種電子機器に適用可能なのは言うまでもない。
【0086】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置、電気光学装置の製造方法及び該電気光学装置を備えてなる電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】第1実施形態に係る液晶装置の全体構成を示す平面図である。
【図2】図1のH−H'の断面図である。
【図3】配向膜による液晶の配向について説明するための模式図である。
【図4】複数の画素における各種素子、配線等の等価回路図である。
【図5】本実施形態の配向膜の表面を示す模式図である。
【図6】比較例における図5と同趣旨の模式図である。
【図7】本実施形態に係る電気光学装置の製造プロセスの各工程を説明するためのフローチャートである。
【図8】表面改質に係る各工程を詳細に説明するためのフローチャートである。
【図9】表面改質に係る各工程における配向膜の表面の化学的構造を、順を追って示す模式図である。
【図10】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるプロジェクタの構成を示す平面図である。
【図11】電気光学装置を適用した電子機器の一例たるパーソナルコンピュータの構成を示す斜視図である。
【図12】電気光学装置を適用した電子機器の一例たる携帯電話の構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0088】
9a…画素電極、10…TFTアレイ基板、10a…画像表示領域、16、22…配向膜、20…対向基板、21…対向電極、50…液晶層、101…データ線駆動回路、104…走査線駆動回路、162、165…シラノール基




 

 


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