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発明の名称 液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10888(P2007−10888A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−190103(P2005−190103)
出願日 平成17年6月29日(2005.6.29)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 張 惠萍
要約 課題
吸湿や水分の浸入を防止することができる液晶装置とその製造方法、さらにはこれを用いた電子機器を提供する。

解決手段
互いに対向する一対の基板10、20間に液晶を挟持してなる液晶装置60である。一対の基板10、20のそれぞれの内面間に、液晶を封入した状態でシール材19が設けられている。シール材19は、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、基板10、20間に配置され、硬化せしめられて形成されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板のそれぞれの内面間に、前記液晶を封入した状態でシール材が設けられてなり、
前記シール材は、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、前記基板間に配置され、硬化せしめられて形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記金属アルコキシドが、Zrアルコキシド、Alアルコキシド、Tiアルコキシド、Mgアルコキシドのうちの少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1記載の液晶装置。
【請求項3】
前記シランカップリング材が複数種のアルコキシシランを有してなり、これらアルコキシシランは、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記ゾルゲル溶液が、撥水基を有してなる撥水材料を含有し、該ゾルゲル溶液が硬化して得られる前記シール材が、撥水性を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面側に凹部が形成され、前記シール材が、前記凹部内を充填した状態で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項6】
前記一方の基板の内面側に配向膜が形成され、該配向膜の表面には、下地となる前記基板側に形成された凹形状を反映して前記凹部が形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液晶装置。
【請求項7】
前記一対の基板のうちの一方の基板の内面側に凹部が形成され、前記一対の基板のうちの他方の基板の内面側に前記凹部内に嵌合する凸部が形成され、前記シール材が、前記凹部と該凹部内に嵌合した前記凸部との間を充填した状態で形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項8】
前記一対の基板のそれぞれの内面側に配向膜が形成され、これら配向膜の表面には、下地となる前記基板側に形成された凹形状又は凸形状を反映して、前記凹部又は凸部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の液晶装置。
【請求項9】
互いに対向する一対の基板間にシール材が設けられ、該シール材によって液晶層が封止されてなる液晶装置の製造方法であって、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液を塗布する工程と、
前記ゾルゲル溶液を介して前記一対の基板を互いに対向させる工程と、
前記ゾルゲル溶液を硬化させてシール材とし、該シール材によって前記一対の基板を貼り合わせる工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項8のいずれか一項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等に搭載される光変調手段や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、液晶層に電圧を印加するための電極を具備する一対の基板を主体として構成されている。液晶装置を構成する一対の基板の各内面には、導電膜(画素電極、対向電極等)や、液晶分子の初期配向状態を制御するための配向膜が形成されている。そして、これら配向膜間が樹脂等の有機材料からなるシール材によって接合されることにより、基板どうしが貼り合わされ、さらにこのシール材に囲まれた領域内に液晶が封入されるようになっている。
【0003】
ところで、液晶装置では、吸湿や水分の浸入が品質低下の原因となることから、配向膜の表面に撥水処理を施したり、配向膜の表面に撥水性を有する膜を形成する技術が提供されている。
【特許文献1】特開2002−202509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配向膜の表面に撥水膜を形成する技術では、撥水膜の膜厚不均一性に伴って液晶素子のプレチルトに乱れが生じたり、撥水膜との接触によって液晶層内で気泡の発生などの不具合をまねく場合がある。
【0005】
また、このように配向膜の表面に撥水処理を施しても、有機材料からなるシール材自体の透湿率が、例えば約5g/m・24hrと比較的高いことから、シール材自体の側面やさらにはシール材と配向膜との界面から透湿(吸湿)が起こり、液晶装置内に水分が侵入することにより、やはり品質低下が起きてしまう。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、吸湿や水分の浸入を防止することができる液晶装置とその製造方法、さらにはこれを用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明の液晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板のそれぞれの内面間に、前記液晶を封入した状態でシール材が設けられてなり、
前記シール材は、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、前記基板間に配置され、硬化せしめられて形成されていることを特徴としている。
【0008】
前記のシランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液からなるシール材は、従来の有機材料からなるものと異なり、シランカップリング材によるポリシロキサン結合や金属アルコキシドによる金属などを含有した、有機・無機ハイブリッドポリマーとなることにより、膜密度が高くなって透湿性が十分に低く、しかも下地との密着性に優れたものとなる。したがって、この液晶装置によれば、前記一対の基板間に前記シール材が設けられて一対の基板が貼り合わされているので、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止され、これにより吸湿や水の浸入に起因する品質低下が防止される。
【0009】
また、前記液晶装置においては、前記金属アルコキシドが、Zrアルコキシド、Alアルコキシド、Tiアルコキシド、Mgアルコキシドのうちの少なくとも一種からなるのが好ましい。
このようにすれば、これら金属アルコキシド中のZr、Al、Ti、Mgが例えば酸化物となり、シランカップリング材によって形成されたポリシロキサン骨格と結合し、またはシール材の下地となる基板の内面側の有機官能基などと結合するので、得られるシール材の膜密度が高くなって透湿性(吸湿性)が低くなり、防湿性が高くなる。また、下地に対するシール材の密着性が高くなることから、防湿効果が長期に亘って確保され、信頼性が向上する。
【0010】
また、前記液晶装置においては、前記シランカップリング材が複数種のアルコキシシランを有してなり、これらアルコキシシランは、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なるのが好ましい。
このように、複数種のアルコキシシランの、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なっていれば、特にこれらが炭素数の多い長鎖と少ない短鎖とからなっている場合に、長鎖による網目構造内に短鎖が入り込むことで、シール材の膜密度がより高くなってその透湿性が低くなり、防湿性がより高くなる。
【0011】
また、前記液晶装置においては、前記ゾルゲル溶液が、撥水基を有してなる撥水材料を含有し、該ゾルゲル溶液が硬化して得られる前記シール材が、撥水性を有しているのが好ましい。
このようにすれば、シール材の撥水性によってこのシール材上に水分が付着することが防止されているので、このような水分の付着によってシール材が透湿を起こし易くなるのが防止される。また、水分の付着による液晶装置内への水分の浸入も、もちろん防止される。
【0012】
また、前記液晶装置においては、前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板の内面側に凹部が形成され、前記シール材が、前記凹部内を充填した状態で形成されているのが好ましい。
このようにすれば、ゾルゲル溶液の粘性が比較的低く、ある程度の流動性があっても、前記凹部内にゾルゲル溶液を充填してここで硬化させ、シール材とすることで、シール材が所定の位置に良好に配置されたものとなる。
【0013】
なお、この液晶装置においては、前記一方の基板の内面側に配向膜が形成され、該配向膜の表面には、下地となる前記基板側に形成された凹形状を反映して前記凹部が形成されているのが好ましい。
このようにすれば、配向膜の表面に対して凹部を容易に形成することが可能になる。また、配向膜の膜厚が薄い場合にも、これに直接凹部を形成しないことから、直接凹部を形成することで膜に欠損部が生じてしまうのを防止することが可能になる。
【0014】
また、前記液晶装置においては、前記一対の基板のうちの一方の基板の内面側に凹部が形成され、前記一対の基板のうちの他方の基板の内面側に前記凹部内に嵌合する凸部が形成され、前記シール材が、前記凹部と該凹部内に嵌合した前記凸部との間を充填した状態で形成されているのが好ましい。
このようにすれば、ゾルゲル溶液の粘性が比較的低く、ある程度の流動性があっても、前記凹部内にゾルゲル溶液を入れてここで硬化させ、シール材とすることで、シール材が所定の位置に良好に配置されたものとなる。
また、前記シール材が、前記凹部と凸部との間を充填した状態で形成されているので、従来のように凹部と凸部とがない場合と比べ、シール材の、外面側から内面側に向かう幅が長くなり、したがってシール材またはシール材とその下地との界面を通って水分等が液晶層に浸入する可能性が低減される。
さらに、凹部の深さに対して凸部の高さを十分に長くし、その差をセルギャップにほぼ等しくしておけば、これら凹部と凸部との嵌合によってセルギャップを規定することができ、これによりギャップ材を不要にすることができる。
【0015】
なお、この液晶装置においては、前記一対の基板のそれぞれの内面側に配向膜が形成され、これら配向膜の表面には、下地となる前記基板側に形成された凹形状又は凸形状を反映して、前記凹部又は凸部が形成されているのが好ましい。
このようにすれば、配向膜の表面に対して凹部を容易に形成することが可能になる。また、配向膜の膜厚が薄い場合にも、これに直接凹部を形成しないことから、直接凹部を形成することで膜に欠損部が生じてしまうのを防止することが可能になる。
【0016】
本発明の液晶装置の製造方法は、互いに対向する一対の基板間にシール材が設けられ、該シール材によって液晶層が封止されてなる液晶装置であって、
前記一対の基板のうちの少なくとも一方の基板に、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液を塗布する工程と、
前記ゾルゲル溶液を介して前記一対の基板を互いに対向させる工程と、
前記ゾルゲル溶液を硬化させてシール材とし、該シール材によって前記一対の基板を貼り合わせる工程と、を備えたことを特徴としている。
【0017】
この液晶装置の製造方法によれば、一対の基板を、前記の有機・無機ハイブリッドポリマーとなるシール材によって貼り合わせ、このシール材によって液晶層を封止しているので、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止され、これにより吸湿や水の浸入に起因する品質低下を防止することが可能になる。
【0018】
本発明の電子機器は、前記の液晶装置を備えることを特徴としている。
この電子機器によれば、吸湿や水の浸入に起因する品質低下が防止された液晶装置を備えているので、この電子機器自体も品質低下が防止され、表示の信頼性が向上したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明を詳しく説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(第1実施形態)
まず、本発明の液晶装置の第1実施形態について、図1ないし図7を用いて説明する。なお、この第1実施形態では、本発明の液晶装置を、スイッチング素子として薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下TFTという)素子を用いた、アクティブマトリクス方式の透過型液晶装置に適用している。
【0020】
図6に示すようにこの第1実施形態の液晶装置60は、一対の基板10、20間の周縁部にシール材19を環状に配設し、その中央部、すなわちシール材19の内側に液晶を封入し、液晶層50を封止したものである。基板10は、基板本体10Aの内面に不図示の透明導電層(透明電極)等を形成し、さらにその上に無機配向膜16を形成したものであり、同様に基板20は、基板本体20Aの内面に不図示の透明導電層(透明電極)等を形成し、さらにその上に無機配向膜22を形成したものである。基板10を構成する基板本体10Aには、その表面に環状の突条81が形成されており、無機配向膜16には、その下地となる基板本体10Aの突条81の凸形状が反映されて、環状の凸部82が形成されている。また、基板20を構成する基板本体20Aには、その表面に環状の溝91が形成されており、無機配向膜22には、その下地となる基板本体20Aの溝91の凹形状が反映されて、環状の凹部92が形成されている。
【0021】
これら凸部82と凹部92とは、基板10と基板20とが互いに対向させられた際、シール材19を介して嵌合するようになっている。すなわち、シール材19は、凹部92とこの凹部92内に嵌合した凸部82との間を充填した状態で形成されており、これによって液晶層50を封止するとともに、基板10、20の内面間、つまり無機配向膜16、22間をシールし、基板10、20間を貼り合わせている。
【0022】
ここで、このシール材19は、従来の有機材料からなるものと異なり、特に透湿性が極めて低く、密着性が高い有機・無機ハイブリッドポリマーからなっている。
すなわち、このシール材19は、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、所望位置に配置され、硬化せしめられて形成されたものである。シランカップリング材としては、各種アルコキシシランやアクリロキシシランから選択された一種あるいは複数種が用いられ、具体的には、tetramethoxysilane、3-glycidoxyproyl-trimethoxysilane、3-aminopropyl-triethoxysilane、N-trimethoxysilylpropyl-N,N,N-trimethylammonium chloride、methacryloxypropyltrimethoxysilaneなどが好適に用いられる。
【0023】
ここで、特にシランカップリング材として複数種のもの、例えば複数種のアルコキシシランを用いる場合には、これらアルコキシシランとして、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なるものを用いるのが好ましい。直鎖の炭素数が多くこの直鎖が長鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランと、直鎖の炭素数が少なくこの直鎖が短鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランとを混合して用いるのが好ましい。このような複数種のアルコキシシランを用いれば、後述するように長鎖による網目構造内に短鎖が入り込むことで、得られるシール材19の膜密度をより高くし、その透湿性を低くしてシール材19の防湿性をより高めることができる。
【0024】
また、金属アルコキシドとしては、Zrアルコキシド、Alアルコキシド、Tiアルコキシド、Mgアルコキシドが好適とされ、これらから選択された一種あるいは複数種が好適に用いられる。具体的には、aluminum-sec-butoxide、zirconium-n-propoxideなどが好適とされる。そして、これらシランカップリング材と金属アルコキシドとの混合物に対し、これらを加水分解させるのに必要な水が添加され、適宜な温度で撹拌等の適宜処理がなされることにより、本発明におけるゾルゲル溶液とされる。
【0025】
また、本実施形態では、前記シール材19は撥水性を有したものとなっている。これは、前記ゾルゲル溶液が、撥水基を有してなる撥水材料を含有して形成されていることにより、該ゾルゲル溶液が硬化して得られるシール材19が撥水性を有するものとなっているのである。
ここで、前記の撥水材料については、前記のシランカップリング材及び金属アルコキシド以外の材料として、これら材料に新たに加えるようにしてもよく、または、前記のシランカップリング材や金属アルコキシド自体を、撥水材料としてもよい。すなわち、前記のシランカップリング材及び金属アルコキシドに撥水材料を加え、ゾルゲル溶液を形成するようにしてもよく、または、シランカップリング材又は金属アルコキシドとして、撥水性を有するものを用い、これによってゾルゲル溶液を形成するようにしてもよい。
【0026】
前記のシランカップリング材及び金属アルコキシド以外の材料として、新たに撥水材料を加える場合、この撥水材料としては、例えばシール面(シール材19の配置面)間にシラン化合物や界面活性剤等の有機分子からなる有機薄膜を形成し、撥水性を付与するものが用いられる。シール面間を撥水化するための有機分子は、シール面を形成する基材に物理的または化学的に結合可能な官能基と、その反対側に、基材の表面性を改質して(表面エネルギーを制御して)撥液性にする官能基とを備え、基材に結合して有機薄膜を形成し、理想的には単分子膜となる。中でも、基材との結合可能な官能基と、その反対側の官能基とを結ぶ有機構造が炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖である有機分子は、基材に結合して自己組織化するので好ましい。
【0027】
このような自己組織化する化合物、すなわち前記の撥水材料としては、例えば下記一般式(1)に示すようなシラン化合物を用いることができる。式(1)中、Rは有機基を表し、X及びXは−OR(アルコキシ基)、−R(アルキル基)、−Cl(塩素基)を示し、X及びXに含まれるRは炭素数1〜4のアルキル基を示し、aは1〜3の整数を示している。
SiX(3−a) …(1)
【0028】
一般式(1)で表されるシラン化合物は、シラン分子に有機基が置換し、さらに残りの結合基にアルコキシ基またはアルキル基または塩素基が置換したものである。なお、特にアルコキシ基を有するシラン化合物は、前記した本発明におけるゾルゲル溶液を構成するシランカップリング材となるアルコキシシランであり、したがって、前述したようにシランカップリング材に撥水性を付与したい場合には、前記一般式(1)で示されるアルコキシシランを用いればよいことになる。
【0029】
有機基Rの例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。
及びXのアルコキシ基や塩素基は、Si−O−Si結合等を形成するための官能基であり、水により加水分解されてアルコールや酸として脱離する。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
の炭素数は脱離するアルコールの分子量が比較的小さく、除去が容易であり形成される膜(シール材19)の緻密性の低下を抑制できるという観点から、1〜4の範囲であることが好ましい。
【0030】
一般式(1)で表される代表的な撥水性シラン化合物としては、含フッ素アルキルシラン化合物が挙げられる。特にRがパ−フルオロアルキル構造C(2n+1)で表される構造を有するものであり、一般式(2)で表される化合物を例示することができる。式(2)中、nは1から18の整数を、mは2から6までの整数をそれぞれ表し、XおよびXおよびaは、前記式(1)と同じ意味を表す。
含フッ素アルキルシラン化合物を用いることにより、得られるシール材19の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向して自己組織化膜が形成されるので、シール材19の表面に撥水性を付与することができる。
(2n+1)(CHSiX(3−a) …(2)
【0031】
より具体的には、CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF11−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OC、CF(CF−CHCH−Si(C)(OC等が挙げられる。
【0032】
また、Rがパ−フルオロアルキルエーテル構造C(2n+1)2pで表される構造を有するものも挙げることができる。その具体例としては例えば、下記一般式(3)で表される化合物を例示することができる。
(2p+1)O(C2pO)(CHSiX(3−a) …(3)
【0033】
式(3)中、mは2から6の整数を、pは1から4の整数を、rは1から10の整数をそれぞれ表し、X1およびX2およびaは、前出と同じ意味を表す。
具体的な化合物の例としては、CFO(CFO)−CHCH−Si(OC、CFO(CO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)(CFO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)−CHCH−Si(CH)(OC、CFO(CO)−CHCH−Si(C)(OCH等が挙げられる。
【0034】
フルオロアルキル基やパ−フルオロアルキルエーテル構造を有するシラン化合物は「FAS」と総称される。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、FASを用いることにより、シール面との密着性と良好な撥水性とを得ることができる。
【0035】
また、前記撥水材料として、下記一般式(4)で表される界面活性剤を用いることもできる。式(4)中、Rは疎水性の有機基を表し、Yは親水性の極性基、−OH、−(CHCHO)H、−COOH、−COOA、−CONH、−SOH、−SOA、−OSOH、−OSOA、−PO、−POA、−NO、−NH、−NHB(アンモニウム塩)、≡NHB(ピリジニウム塩)、−NX13B(アルキルアンモニウム塩)等である。ただし、Aは1個以上の陽イオンを表し、Bは1個以上の陰イオンを表すものとする。また、X1は前出と同じ炭素数1〜4のアルキル基を意味を表すものとする。
…(4)
【0036】
一般式(4)で表される界面活性剤は、親油性の有機基Rに親水性の官能基が結合した化合物である。Yは親水性の極性基を表し、基材との結合あるいは吸着するための官能基であり、有機基Rは親油性を有し、親水面の反対側に並ぶことにより親水面上に親油面が形成される。有機基Rの例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。
【0037】
一般式(4)で表される代表的な撥水性の界面活性剤としては、含フッ素アルキル構造を有する化合物が挙げられる。特にRがパ−フルオロアルキル構造C(2n+1)で表される構造を有するものが有用である。より具体的には、F(CFCF(1〜7)−CHCH−N(CHCl、C17SONHC−N(CH)、F(CFCF(1〜7)−CHCHSCHCH−CO−Li、C17SON(C)−CO−K、(F(CFCF(1〜7))CHCHO)1,2PO(ONH1,2、C1021SONH、C13CHCHSOH、C13CHCHSONH、C17SON(C)−(CHCHO)(0〜25)H、C17SON(C)−(CHCHO)(0〜25)CH、F(CFCF(1〜7)−CHCHO−(CHCHO)(0〜25)Hが挙げられる。
【0038】
フルオロアルキル基を有する界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、基材との密着性と良好な撥水性とを得ることができる。
さらに、フッ素を含有しないアルキル基を有した構造であってもよく、一般的な界面活性剤にも緻密な膜を形成させることで、撥水性を得ることができる。
【0039】
また、前記のシランカップリング材や金属アルコキシド自体を、撥水材料とする場合、このような撥水性を有するシランカップリング材または金属アルコキシドとしては、例えば前述したように、シランカップリング材としてアルコキシシランを用いればよい。また、より撥水性を高めるためには、このアルコキシシランのアルコキシ基、または金属アルコキシドのアルコキシ基中におけるアルキル基にフッ素基が導入されたもの、例えばパ−フルオロアルキル構造[C(2n+1)]を有するものを用いるようにすればよい。さらに、フッ素基が導入されていなくても、特に前記アルコキシ基中におけるアルキル基の炭素数が多く、その直鎖が十分に長いものであれば、これが疎水基となることで、得られるシール材19は撥水性を有するものとなる。
【0040】
このような材料によって形成されるゾルゲル溶液、すなわち、シランカップリング材及び金属アルコキシドと、必要に応じて添加される撥水材料との混合物に、水が加えられて形成されるゾルゲル溶液は、例えば前記基板20の凹部92内に充填配置され、さらにこの凹部92内にゾルゲル溶液を介して基板10の凸部82が嵌合させられた後、硬化処理がなされることにより、シール材19に形成される。なお、このようにゾルゲル溶液を凹部92内に充填配置する際には、基板20をその凹部92が上に向くようにして置き、その状態で充填配置を行う。このようにゾルゲル溶液を凹部92内に充填配置することにより、ゾルゲル溶液の粘性が従来のシール材に比べて低く、ある程度の流動性があっても、該ゾルゲル溶液を所望位置となる凹部92内に容易に配することができ、したがってシール材19を所定の位置に良好に配置することができる。
【0041】
ここで、本実施形態では、ゾルゲル溶液として、前記のtetramethoxysilane、3-glycidoxyproyl-trimethoxysilane、3-aminopropyl-triethoxysilane、及びaluminum-sec-butoxide、zirconium-n-propoxideを適宜な比で混合し、これらの混合物に当量の水を添加し撹拌することで、比較的粘性が高く、したがって粘着性が高いゾルゲル溶液を作製している。
このようにして得られたゾルゲル溶液の配置については、特に限定されることなく種々の方法が採用可能である。具体的には、スクリーン印刷等の各種印刷法、さらにはディスペンス法やインクジェット法などが好適に用いられる。なお、本実施形態では、特に基板20の凹部92内に充填配置するので、ディスペンス法やインクジェット法がより好適となる。
【0042】
このようにしてゾルゲル溶液を凹部92内に充填配置したら、この塗布面に紫外線を例えば数秒から60秒程度照射することにより、前記ゾルゲル溶液を硬化させ、シール材19を得ることができる。または、150℃以下(例えば80℃〜150℃)の、液晶装置60の特性を劣化させない温度で数分から数十分程度加熱処理を行うことにより、前記ゾルゲル溶液を硬化させてシール材19を得ることもできる。もちろん、このような紫外線照射処理と加熱処理とを併用することにより、硬化時間をより短縮することもできる。
なお、このようなシール材19の形成に先立ち、前記凹部92内や凸部82の表面を、適宜な方法で洗浄処理しておくことが望ましい。
【0043】
このようにして得られたシール材19は、例えば従来の有機材料からなるシール材の透湿率が約5g/m・24hrであるのに対し、約0.16g/m・24hrと格段に低いものとなった。したがって、このシール材19によって基板10、20が貼り合わされてなる液晶装置60は、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止され、これにより吸湿や水の浸入に起因する品質低下が防止されたものとなる。
【0044】
次に、このような液晶装置60の各部について説明する。
図1は、液晶装置60におけるTFTアレイ基板の平面図であり、図6に示した基板10の具体的構成を示している。TFTアレイ基板(基板)10の中央には画像作製領域101が形成されている。その画像作製領域101の周縁部に前記シール材19が配設されて、画像作製領域101に液晶層(不図示)が封止されている。この液晶層は、TFTアレイ基板10上に液晶が直接塗布されて形成されたもので、シール材19には液晶の注入口が設けられていない、いわゆる封口レス構造となっている。そのシール材19の外側には、後述する走査線に走査信号を供給する走査線駆動素子110と、後述するデータ線に画像信号を供給するデータ線駆動素子120とが実装されている。その駆動素子110、120から、TFTアレイ基板10の端部の接続端子79にかけて、配線76が引き廻されている。
【0045】
一方、TFTアレイ基板10に貼り合わされる対向基板20(図4参照)には、共通電極21(図4参照)が形成されている。この共通電極21は、画像作製領域101のほぼ全域に形成されたもので、その四隅には基板間導通部70が設けられている。この基板間導通部70からは、接続端子79にかけて配線78が引き廻されている。
そして、外部から入力された各種信号が、接続端子79を介して画像作製領域101に供給されることにより、液晶装置が駆動されるようになっている。
【0046】
(等価回路)
図2は、液晶装置の等価回路図である。透過型液晶装置の画像作製領域を構成すべくマトリクス状に配置された複数のドットには、それぞれ画素電極9が形成されている。また、その画素電極9の側方には、当該画素電極9への通電制御を行うためのスイッチング素子であるTFT素子30が形成されている。このTFT素子30のソースにはデータ線6aが接続されている。各データ線6aには、前述したデータ線駆動素子から画像信号S1、S2、…、Snが供給されるようになっている。
【0047】
また、TFT素子30のゲートには走査線3aが接続されている。走査線3aには、前述した走査線駆動素子から所定のタイミングでパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmが供給される。一方、TFT素子30のドレインには画素電極9が接続されている。そして、走査線3aから供給された走査信号G1、G2、…、Gmにより、スイッチング素子であるTFT素子30を一定期間だけオンにすると、データ線6aから供給された画像信号S1、S2、…、Snが、画素電極9を介して各ドットの液晶に所定のタイミングで書き込まれるようになっている。
【0048】
液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と後述する共通電極との間に形成される液晶容量で一定期間保持される。なお、保持された画像信号S1、S2、…、Snがリークするのを防止するため、画素電極9と容量線3bとの間に蓄積容量17が形成され、液晶容量と並列に配置されている。このように、液晶に電圧信号が印加されると、印加された電圧レベルにより液晶分子の配向状態が変化する。これにより、液晶に入射した光源光が変調されて、画像光が作製されるようになっている。
【0049】
(平面構造)
図3は、液晶装置の平面構造の説明図である。本実施形態の液晶装置では、TFTアレイ基板上に、インジウム錫酸化物(Indium Tin Oxide、以下ITOという)等の透明導電性材料からなる矩形状の画素電極9(破線9aによりその輪郭を示す)が、マトリクス状に配列形成されている。また、画素電極9の縦横の境界に沿って、データ線6a、走査線3aおよび容量線3bが設けられている。本実施形態では、各画素電極9の形成された矩形領域がドットであり、マトリクス状に配置されたドットごとに表示を行うことが可能な構造になっている。
【0050】
TFT素子30は、ポリシリコン膜等からなる半導体層1aを中心として形成されている。半導体層1aのソース領域(後述)には、コンタクトホール5を介して、データ線6aが接続されている。また、半導体層1aのドレイン領域(後述)には、コンタクトホール8を介して、画素電極9が接続されている。一方、半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分には、チャネル領域1a’が形成されている。
【0051】
(断面構造)
図4は、液晶装置の断面構造の説明図であり、図3のA−A’線における矢視側断面図である。図4に示すように、本実施形態の液晶装置60は、TFTアレイ基板10と、これに対向配置された対向基板20と、これらの間に挟持された液晶層50とを主体として構成されている。TFTアレイ基板10は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体10A、およびその内側に形成されたTFT素子30や画素電極9、配向膜16などを主体として構成されている。一方の対向基板20は、ガラスや石英等の透光性材料からなる基板本体20A、およびその内側に形成された共通電極21や配向膜22などを主体として構成されている。
【0052】
TFTアレイ基板10の表面には、後述する第1遮光膜11aおよび第1層間絶縁膜12が形成されている。そして、第1層間絶縁膜12の表面に半導体層1aが形成され、この半導体層1aを中心としてTFT素子30が形成されている。半導体層1aにおける走査線3aとの対向部分にはチャネル領域1a’が形成され、その両側にソース領域およびドレイン領域が形成されている。このTFT素子30はLDD(Lightly Doped Drain)構造を採用しているため、ソース領域およびドレイン領域に、それぞれ不純物濃度が相対的に高い高濃度領域と、相対的に低い低濃度領域(LDD領域)とが形成されている。すなわち、ソース領域には低濃度ソース領域1bと高濃度ソース領域1dとが形成され、ドレイン領域には低濃度ドレイン領域1cと高濃度ドレイン領域1eとが形成されている。
【0053】
半導体層1aの表面には、ゲート絶縁膜2が形成されている。そして、ゲート絶縁膜2の表面に走査線3aが形成されて、チャネル領域1a’との対向部分がゲート電極を構成している。また、ゲート絶縁膜2および走査線3aの表面には、第2層間絶縁膜4が形成されている。そして、第2層間絶縁膜4の表面にデータ線6aが形成され、第2層間絶縁膜4に形成されたコンタクトホール5を介して、そのデータ線6aが高濃度ソース領域1dに接続されている。さらに、第2層間絶縁膜4およびデータ線6aの表面には、第3層間絶縁膜7が形成されている。そして、第3層間絶縁膜7の表面に画素電極9が形成され、第2層間絶縁膜4および第3層間絶縁膜7に形成されたコンタクトホール8を介して、その画素電極9が高濃度ドレイン領域1eに接続されている。さらに、画素電極9を覆うように無機配向膜16が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0054】
なお、本実施形態では、半導体層1aを延設して第1蓄積容量電極1fが形成されている。また、ゲート絶縁膜2を延設して誘電体膜が形成され、その表面に容量線3bが配置されて第2蓄積容量電極が形成されている。これらにより、前述した蓄積容量17が構成されている。
また、TFT素子30の形成領域に対応する基板本体10Aの表面に、第1遮光膜11aが形成されている。第1遮光膜11aは、液晶装置に入射した光が、半導体層1aのチャネル領域1a’、低濃度ソース領域1bおよび低濃度ドレイン領域1cに侵入することを防止するものである。
【0055】
一方、対向基板20における基板本体20Aの表面には、第2遮光膜23が形成されている。第2遮光膜23は、液晶装置に入射した光が半導体層1aのチャネル領域1a’や低濃度ソース領域1b、低濃度ドレイン領域1c等に侵入するのを防止するものであり、平面視において半導体層1aと重なる領域に設けられている。また対向基板20の表面には、ほぼ全面にわたってITO等の導電体からなる共通電極21が形成されている。さらに、共通電極21の表面には無機配向膜22が形成され、非選択電圧印加時における液晶分子の配向を規制しうるようになっている。
【0056】
そして、TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、ネマチック液晶等からなる液晶層50が挟持されている。このネマチック液晶分子は、正の誘電率異方性を有するものであり、非選択電圧印加時には基板に沿って水平配向し、選択電圧印加時には電界方向に沿って垂直配向する。またネマチック液晶分子は、正の屈折率異方性を有するものであり、その複屈折と液晶層厚との積(リタデーション)Δndは、例えば約0.40μm(60℃)となっている。なお、TFTアレイ基板10の配向膜16による配向規制方向と、対向基板20の配向膜22による配向規制方向とは、約90°ねじれた状態に設定されている。これにより、本実施形態の液晶装置60は、ツイステッドネマチックモードで動作するようになっている。
【0057】
また両基板10、20の外側には、ポリビニルアルコール(PVA)にヨウ素をドープした材料等からなる偏光板18、28が配置されている。なお各偏光板18、28は、サファイヤガラスや水晶等の高熱伝導率材料からなる支持基板上に装着して、液晶装置60から離間配置することが望ましい。各偏光板18、28は、その吸収軸方向の直線偏光を吸収し、透過軸方向の直線偏光を透過する機能を有する。TFTアレイ基板10側の偏光板18は、その透過軸が配向膜16の配向規制方向と略一致するように配置され、対向基板20側の偏光板28は、その透過軸が配向膜22の配向規制方向と略一致するように配置されている。
【0058】
液晶装置60は、対向基板20を光源側に向けて配置される。その光源光のうち偏光板28の透過軸と一致する直線偏光のみが偏光板28を透過して液晶装置60に入射する。
非選択電圧印加時の液晶装置60では、基板に対して水平配向した液晶分子が液晶層50の厚さ方向に約90°ねじれたらせん状に積層配置されている。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、約90°旋光されて液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板18の透過軸と一致するため、偏光板18を透過する。したがって、非選択電圧印加時の液晶装置60では白表示が行われるようになっている(ノーマリーホワイトモード)。
【0059】
また、選択電圧印加時の液晶装置60では、液晶分子が基板に対して垂直配向している。そのため、液晶装置60に入射した直線偏光は、旋光されることなく液晶装置60から出射する。この直線偏光は、偏光板18の透過軸と直交するため、偏光板18を透過しない。したがって、選択電圧印加時の液晶装置60では黒表示が行われるようになっている。
【0060】
(無機配向膜)
前述したように、両基板10、20の内側には無機配向膜16、22が形成されている。以下にはTFTアレイ基板10の無機配向膜16について説明するが、対向基板20の無機配向膜22も同様の構成となっている。
無機配向膜16は、SiOやSiO等のシリコン酸化物、またはAl、ZnO、MgOやITO等の金属酸化物等により、厚さ0.02〜0.3μm(好ましくは、0.02〜0.08μm)程度に形成されている。無機配向膜16の製造には、イオンビームスパッタ法やマグネトロンスパッタ法等のスパッタ法、蒸着法、ゾルゲル法、自己組織化法などを利用することが可能である。以下には、イオンビームスパッタ法による無機配向膜16の製造方法について説明する。
【0061】
図5(a)は、イオンビームスパッタ装置の模式図である。このイオンビームスパッタ装置S100は、真空チャンバS3およびその内部圧力を制御する排気ポンプS4と、その真空チャンバS3内で基板10を固定する基板ホルダーS5と、その基板に向けてスパッタ粒子を放出するターゲットS2と、そのターゲットに向けてイオンビームを照射するイオン源S1とを備えている。そのイオン源S1にはガス供給源S13が接続され、またイオン源S1の内部にはフィラメントS11および引き出し電極S12が設けられている。
【0062】
このイオンビームスパッタ装置を用いた無機配向膜の形成は、以下の手順で行う。まず、真空チャンバS3内の基板ホルダーS5に基板10を固定し、排気ポンプS4により真空チャンバS3の内部を減圧する。次に、ガス供給源S13からイオン源S1内にアルゴンガス等の希ガスを供給し、フィラメントS11に電圧を印加して熱電子を発生させる。
すると、発生した熱電子が導入された希ガスと衝突してイオン源S1にプラズマが発生する。次に、引き出し電極S12にイオン加速電圧を印加して、プラズマにより発生したイオンを加速する。これにより、イオン源S1からイオンビームが照射される。イオンビームが照射されたターゲットS2は、無機配向膜の形成材料からなるスパッタ粒子を基板10に向けて放出する。このスパッタ粒子が基板10に堆積して、基板10上に無機配向膜が形成される。
【0063】
なお、真空チャンバS3内の圧力は、5×10−1Pa以下とするのが好ましく、5×10−2Pa以下とするのがより好ましい。この圧力が高すぎると、照射されたスパッタ粒子の直進性が低下するからである。また基板10の温度は、150℃以下とするのが好ましく、100℃以下とするのがより好ましく、50〜80℃とするのがさらに好ましい。このように基板10を比較的低温に保持することにより、基板10に付着したスパッタ粒子が最初に付着した位置から移動する現象(マイグレーション)を抑制することができる。さらに引き出し電極S12に印加するイオン加速電圧は、400〜3000Vとするのが好ましく、800〜2000Vとするのがより好ましい。イオン加速電圧が低すぎるとスパッタレートが低下し、イオン加速電圧が高すぎると均一な膜が形成されないからである。
【0064】
図5(b)は、無機配向膜が形成された基板の側面断面図である。基板10に対して略一定の入射角度でスパッタ粒子が連続入射すると、スパッタ粒子が斜め柱状に堆積して、無機材料の柱状構造体16aが形成される。この柱状構造体16aが基板10の表面に無数に形成されて、無機配向膜16が構成されている。なお、図5(a)に示すターゲットS2と基板10との角度を調整して、基板10に対してスパッタ粒子を所定の入射角度で入射させることにより、図5(b)に示す柱状構造体16aに所定の傾斜角度を付与することができる。そして液晶装置では柱状構造体16aに沿って液晶分子が配向するので、この無機配向膜16により非選択電圧印加時の液晶分子を所定方向に配向規制することができる。また液晶分子にプレティルトを付与することができる。
【0065】
なお、予め無機配向膜の下地膜表面に複数の傾斜面を形成しておき、その表面に上記スパッタ法で無機配向膜を形成して、前記複数の傾斜面の形状が無機配向膜の表面に伝達されている構成としてもよい。また上記スパッタ法で無機配向膜を形成した後に、所定角度でイオンビームを入射させるイオンミリングを行って、無機配向膜の表面に所定の方向性を有する凹部を形成してもよい。また予め無機配向膜の下地膜表面にイオンミリングを行っておき、次に上記スパッタ法で無機配向膜を形成し、さらにその表面に再度イオンミリングを行って、無機配向膜の表面に凹部を形成してもよい。いずれの場合にも、液晶分子に対して所望のプレティルト角を確実に付与することが可能な無機配向膜を提供することができる。
【0066】
(シール構造)
図6は、前述したように第1実施形態に係るシール構造の説明図であり、図1のB−B線における側面断面図である。なお、図1に示すように、TFTアレイ基板10の周縁部にシール材19が配設されて、その中央部に液晶層が封止されている。
【0067】
図6に示すように、シール材19が配設されるシール領域では、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの表面に突条81が形成されている。この突条81は、感光性樹脂材料等からなるもので、フォトリソグラフィを用いて形成されたものである。この突条81は、シール領域の全周にわたって環状に連続形成され、その連続方向に垂直な断面が矩形状とされている。この突条81の表面には、無機配向膜16が略一定の厚さで配設されており、これによって無機配向膜16には、突条81の形状を反映して高さ数μmの凸部82が形成されている。
【0068】
また、シール領域では、対向基板20の基板本体20Aの表面に溝91が形成されている。この溝91は、シール領域の全周にわたって環状に連続形成され、その連続方向に垂直な断面が矩形状とされている。この溝91の表面には、無機配向膜22が略一定の厚さで配設されており、これによって無機配向膜22の表面には、溝91の形状を反映して深さ数μmの凹部92が形成されている。なお、凹部92の幅は、凸部82の幅より広くなっている。
【0069】
ここで、前記凸部82の高さは、凹部92の深さに対して十分に長く(高く)なっており、その差が、液晶層50の厚さとなる無機配向膜16、22間のセルギャップにほぼ等しくなっている。詳しくは、凸部82の高さと凹部92の深さとの差と、これら凸部82、凹部92間に入り込むシール材19の厚さとの合計が、セルギャップに等しくなるように構成されている。このような構成のもとに本実施形態の液晶装置60は、これら凸部82と凹部92とをシール材19を介して嵌合させることにより、基板間(無機配向膜16、22間)を所望のセルギャップに規定することができるようになっている。したがって、この液晶装置60では、ギャップ材が不要になっている。
また、凸部82の側面と凹部92の側面とを当接させることにより、TFTアレイ基板10と対向基板20との水平方向でのアライメントを確保することもできるようになっている。
【0070】
ここで、シール材19は、膜密度が高くなって透湿性が十分に低く、しかも下地との密着性に優れ、これにより前述したように透湿性が極めて低く、密着性が高い有機・無機ハイブリッドポリマーからなっている。したがって、本実施形態の液晶装置60によれば、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止され、これにより吸湿や水の浸入に起因する品質低下が防止されたものとなる。
【0071】
また、シール材19を形成するゾルゲル溶液について、金属アルコキシドとしてZrアルコキシド及びAlアルコキシドを用いているので、これら金属アルコキシドが加水分解されてその金属(Zr、Al)が例えば[ZrO]や[AlO]のような八面体構造を形成する酸化物となることから、これが被塗布箇所の有機官能器やシランカップリング材からなる構造に結合することなどにより、特に得られる防湿膜90の膜密度が高くなり、その透湿性が低くなって防湿性が高くなる。すなわち、シランカップリング材だけであれば、これが加水分解されて[SiO]のような四面体構造となり、これが被塗布箇所の有機官能器等に結合するだけとなる。しかし、このような一種類の構造からなる膜よりは前述したような八面体構造のものを含めた二種類の構造からなる膜のほうが、より膜密度が高くなり、透湿性が低くなって防湿性が高くなるのである。また、硬化する前のゾルゲル溶液の状態においても、液の密度が高くなることで粘性が高く粘着性が高くなることにより、被塗布箇所に対する密着性が良好になるのである。
【0072】
さらに、シール材19中には前記金属アルコキシド中の金属(Zr、Al)が存在することから、配向膜16、22等に溜まった電荷を放出することによる、静電気防止機能も発揮するものとなる。
なお、シランカップリング材として、例えば前記のN-trimethoxysilylpropyl-N,N,N-trimethylammonium chlorideのような極性化合物を用いれば、これが配向膜16、22等に溜まった電荷を放出する機能を有するものとなることにより、シール材19は静電気防止機能を発揮するものとなる。
【0073】
また、ゾルゲル溶液を形成するシランカップリング材として、特に直鎖の炭素数が多くこの直鎖が長鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランと、直鎖の炭素数が少なくこの直鎖が短鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランとを混合して用いれば、長鎖による網目構造内に短鎖が入り込むことで、シール材19の膜密度がより高くなってその透湿性が低くなり、防湿性がより高くなる。
【0074】
また、シール材19が撥水性を有しており、したがってこのシール材19上に水分が付着するのを防止しているので、シール材19上に水分が付着するのを防止することができ、これにより水分の付着によって透湿が起こり易くなってしまうのを防止することができる。また、水分の付着による液晶セル100内への水分の浸入も、もちろん防止することができる。
【0075】
さらに、この液晶セル100によれば、配向膜16、22の表面に対する撥水処理を省くことが可能となり、配向膜16、22の表面に撥水膜を形成することによって生じる液晶素子への影響(例えば撥水膜の不均一性に伴うプレチルトの乱れ、撥水膜との接触による液晶層50内での気泡の発生など)を回避することができる。
【0076】
また、前記シール材が、前記凹部と凸部との間を充填した状態で形成されているので、従来のように凹部と凸部とがない場合と比べ、シール材の、外面側から内面側に向かう幅が長くなり、したがってシール材またはシール材とその下地との界面を通って水分等が液晶層に浸入する可能性が低減される。
さらに、凹部の深さに対して凸部の高さを十分に長くし、その差をセルギャップにほぼ等しくしておけば、これら凹部と凸部との嵌合によってセルギャップを規定することができ、これによりギャップ材を不要にすることができる。
【0077】
また、基板本体20Aに溝91を形成し、これの凹形状を反映させることで無機配向膜22に凹部92を形成しているので、無機配向膜22の表面に対して凹部92を容易に形成することができ、また、無機配向膜22の膜厚が薄い場合にも、これに直接凹部を形成しないことから、直接凹部を形成することで膜に欠損部が生じてしまうのを防止することができる。ただし、この構成に限らず、基板本体10A、20Aは平坦面のままで、無機配向膜16、22に凸部または凹部を直接形成するようにしてもよい。また、基板本体10A、20Aおよび無機配向膜16、22の両方に突条(凸部)または溝(凹部)を形成し、両者の足し合わせにより大きな凸部または凹部を形成するようにしてもよい。
【0078】
また、本実施形態における無機配向膜16は、図5(b)に示すように柱状構造体16aで構成されていることにより多孔質であるため、シール材19と基板10との間に隙間が形成されるおそれがあり、特にシール材19と無機配向膜16との界面には比較的大きな隙間が形成されるおそれがある。そして、これらの隙間を通って、液晶装置60の外部から水分や不純物等が液晶層50に浸入するおそれがある。水分や不純物等が液晶層50に浸入すると、液晶装置60の各種機能が阻害されることになり、特に分極構造を持つ液晶中に分極性分子である水が浸入すると、液晶の配向不良が発生することになる。
【0079】
しかしながら本実施形態の液晶装置60では、無機配向膜16、22の表面に凸部82と凹部92とを形成し、これら凹部92と凸部82との間を充填した状態でシール材19を形成しているので、従来のように凹部と凸部とがない場合と比べ、シール材19の、外面側から内面側に向かう幅が長くなる。したがって、水分等の浸入経路の長さが長くなることから、シール材19またはシール材19とその下地である配向膜16、22との界面を通って水分等が液晶層50に浸入するのをより確実に防止することができる。よって、液晶装置60の各種機能を維持することができる。したがって、後述するようにこの液晶装置60を液晶プロジェクタの光変調手段に採用した場合に、この液晶プロジェクタの信頼性を向上させることができる。
【0080】
(変形例)
図7は、第1実施形態の変形例の説明図である。図6に示す第1実施形態の凸部82、凹部92は、シール領域の全周にわたって連続形成され、その連続方向に垂直な断面が矩形状とされている構成とした。これに対して、図7(a)に示す第1変形例の凸部82a、凹部92aは、シール領域の全周にわたって連続形成されている点は第1実施形態と同じであるが、その連続方向に垂直な断面が半円形状とされている点で相違している。また、図7(b)に示す第2変形例の凸部82b、凹部92bは、連続方向に垂直な断面が三角形状とされている点で相違している。また、図7(c)に示す第3変形例の凸部82c、凹部92cは、連続方向に垂直な断面が三角形状とされている点で第2変形例と同じであるが、その外周面が基板に対して略垂直面とされている点で相違している。
【0081】
各変形例の凸部を形成するには、まず、アクリル等の感光性樹脂層を基板表面に形成する。次に、濃淡の連続的な変化によりパターンが描画されたグレーマスク(ハーフトーンマスク)を用いて、感光性樹脂層を露光する。これにより、グレーマスクの濃淡に応じて焦点深度の異なる露光が行われる。その後、感光性樹脂層を現像することにより、断面が半球形状や三角形状の突起を形成することができる。また各変形例の凹部を形成するには、まずレジスト層を基板表面に形成する。次に、グレーマスクを用いてフォトリソグラフィを行うことにより、レジスト層に所望の溝形状を形成する。そして、そのレジスト層をマスクとして基板をエッチングすることにより、断面が半球形状や三角形状の溝を形成することができる。
【0082】
前述した各変形例でも、第1実施形態と同様に、無機配向膜の表面に凹部及び凸部を形成し、これら凹部と凸部との間に本発明に係るシール材19を配設する。この構成により、凸部及び凹部がない場合と比べて、シール材19と無機配向膜との界面の幅が長くなる。そのため、その界面の隙間を通って水分等が液晶層に浸入するのを防止することができ、これにより液晶装置の機能を維持することができる。
また、シール材19が前述したように透湿性が極めて低く、密着性が高い有機・無機ハイブリッドポリマーからなっているので、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止され、これにより吸湿や水の浸入に起因する品質低下が防止されたものとなる。
したがって、この液晶装置60を液晶プロジェクタの光変調手段に採用した場合に、この液晶プロジェクタの信頼性を向上させることができる。
【0083】
(第2実施形態)
次に、本発明の液晶装置の第2実施形態について、図8を用いて説明する。
図8は、第2実施形態に係るシール構造の説明図であり、図1のB−B線に相当する部分における側断面図である。図8に示す第2実施形態のシール構造は、両基板10、20の無機配向膜16、22の表面に凹部182、192が形成され、その凹部182、192の表面に前記のゾルゲル溶液からなるシール材19が配設されている点で、第1実施形態と共通しているが、両基板の凹部182、192が嵌合されていない点で、第1実施形態と相違している。なお、第1実施形態と同様の構成となる部分については、その詳細な説明を省略する。
【0084】
図8に示すように、シール材19が配設されるシール領域には、TFTアレイ基板10の基板本体10Aの表面に、複数(図8では2本)の溝181が環状に形成されており、無機配向膜16には、その下地となる基板本体10Aの溝181の凹形状が反映されて、複数の凹部191が環状に形成されている。同様に、対向基板20の基板本体20Aにもその表面に複数(図8では2本)の溝191が環状に形成されており、無機配向膜22には、その下地となる基板本体20Aの溝191の凹形状が反映されて、複数の凹部192が環状に形成されている。
【0085】
そして、両基板10、20の凹部182、192の内側にシール材19が充填されるとともに、両基板10、20間にもシール材19が配設されて、両基板の相対位置が固定されている。なお、シール材19に混入させたスペーサ(ギャップ材)19aを両基板間に介在させることにより、所望の液晶層厚(セルギャップ)が確保されている。
【0086】
このように第2実施形態の液晶装置にあっても、第1実施形態のものと同様に、無機配向膜16、22の表面に凹部182、192が形成され、その凹部182、192の表面にシール材19が配設されている構成としているので、両基板の凹部182、192が嵌合されていなくても、シール材19と無機配向膜16、22との界面の幅が長くなる。したがって、その界面の隙間を通って水分等が液晶層50に浸入するのを抑えることができ、これにより液晶装置160の各種機能を維持することができる。
また、シール材19が前述したように透湿性が極めて低く、密着性が高い有機・無機ハイブリッドポリマーからなっているので、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止され、これにより吸湿や水の浸入に起因する品質低下が防止されたものとなる。
したがって、この液晶装置60を液晶プロジェクタの光変調手段に採用した場合に、この液晶プロジェクタの信頼性を向上させることができる。
【0087】
なお、第2実施形態では両基板10、20に凹部182、192を形成したが、一方または双方の基板に凸部を形成してもよい。この場合にはシール材にスペーサを混入させなくても、凸部を相手側に突き当てることにより所望の液晶層厚を確保することができる。
また、各基板10、20の表面に形成される凹部及び凸部の数が多いほど、また凸部の高さが高く、凹部の深さが深いほど、シール材19と無機配向膜16、22との界面の幅が長くなるので、液晶装置160の信頼性を向上させることができる。
ただし、本発明の液晶装置にあっては、シール材19が、透湿性が極めて低く、密着性が高い有機・無機ハイブリッドポリマーからなっているので、凹部や凸部を形成することなく、単にこのシール材19のみによっても、従来に比べ吸湿や水の浸入を格段に防止することができる。
【0088】
(プロジェクタ)
次に、本発明のプロジェクタの一実施形態について、図9を用いて説明する。図9は、プロジェクタの要部を示す概略構成図である。このプロジェクタは、前述した各実施形態に係る液晶装置を光変調手段として備えたものである。
【0089】
図9において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は本発明の液晶装置からなる光変調手段、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズである。光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。
【0090】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用光変調手段822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用光変調手段823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用光変調手段824に入射される。
【0091】
各光変調手段822、823、824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0092】
前述したプロジェクタは、前記各実施形態の液晶装置を光変調手段として備えている。
各実施形態の液晶装置は、耐光性および耐熱性に優れた無機配向膜を備えているので、光源から照射される強い光や熱により配向膜が劣化することはない。また、シール材が、透湿性が極めて低く、密着性が高い有機・無機ハイブリッドポリマーからなっているので、従来に比べ吸湿や水の浸入が格段に防止されたものとなる。さらに、シール材と無機配向膜との界面に形成される隙間を通って水分等が液晶層に浸入する可能性を低減することができる。したがって、液晶装置における液晶分子の配向制御機能を維持することが可能になり、信頼性に優れたプロジェクタを提供することができる。
【0093】
なお、本発明の技術的範囲は、前述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、前述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。例えば、前記実施形態ではスイッチング素子としてTFTを備えた液晶装置を例にして説明したが、スイッチング素子として薄膜ダイオード(Thin Film Diode)等の二端子型素子を備えた液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態では透過型液晶装置を例にして説明したが、反射型液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、前記実施形態ではTN(Twisted Nematic)モードで機能する液晶装置を例にして説明したが、VA(Vertical Alignment)モードで機能する液晶装置に本発明を適用することも可能である。また、実施形態では3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0094】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、携帯電話を挙げることができる。この携帯電話は、前述した各実施形態またはその変形例に係る液晶装置を表示部に備えたものである。また、その他の電子機器としては、例えばICカード、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、DSP装置、PDA、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】液晶装置のTFTアレイ基板の平面図である。
【図2】液晶装置の等価回路図である。
【図3】液晶装置の平面構造の説明図である。
【図4】液晶装置の断面構造の説明図である。
【図5】(a)はイオンビームスパッタ装置の模式図、(b)は無機配向膜が形成された基板の側面断面図である。
【図6】第1実施形態に係るシール構造の説明図である。
【図7】第1実施形態の変形例の説明図である。
【図8】第2実施形態に係るシール構造の説明図である。
【図9】プロジェクタの要部を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0096】
10…基板(TFTアレイ基板)、10A…基板本体、16…無機配向膜、19…シール材、20…基板(対向基板)、20A…基板本体、22…無機配向膜、50…液晶層、60…液晶装置、81…突条、82…凸部、91…溝、92…凹部





 

 


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