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レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ - セイコーエプソン株式会社
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発明の名称 レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10802(P2007−10802A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188987(P2005−188987)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100091292
【弁理士】
【氏名又は名称】増田 達哉
発明者 石井 誠 / 吉村 和人
要約 課題
視野角特性に優れたレンズ基板を提供すること、また、このようなレンズ基板を備えた透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタを提供すること。

解決手段
本発明のレンズ基板は、多数のレンズを有するレンズ基板であって、隣接するレンズの間に、レンズ基板の面方向に対して傾斜している傾斜部を有することを特徴とする。前記傾斜部は、レンズ基板の面方向に対して、5〜70°の角度で傾斜している。レンズ基板を平面視したときの、前記レンズが形成されている有効領域において、前記レンズが形成されていない非レンズ領域中での前記傾斜部の占有率は、95%以上である。前記レンズは、マイクロレンズで構成されたものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
多数のレンズを有するレンズ基板であって、
隣接するレンズの間に、レンズ基板の面方向に対して傾斜している傾斜部を有することを特徴とするレンズ基板。
【請求項2】
前記傾斜部は、レンズ基板の面方向に対して、5〜70°の角度で傾斜している請求項1に記載のレンズ基板。
【請求項3】
レンズ基板を平面視したときの、前記レンズが形成されている有効領域において、前記レンズが形成されていない非レンズ領域中での前記傾斜部の占有率は、95%以上である請求項1または2に記載のレンズ基板。
【請求項4】
前記レンズは、マイクロレンズで構成されたものである請求項1ないし3のいずれかに記載のレンズ基板。
【請求項5】
前記マイクロレンズは、前記レンズ基板を平面視したときの縦幅が横幅よりも小さい扁平形状を有するものである請求項4に記載のレンズ基板。
【請求項6】
レンズ基板は、前記レンズに対応した形状の複数の凹部を有する凹部付き基板を用いて製造されるものである請求項1ないし5のいずれかに記載のレンズ基板。
【請求項7】
前記凹部付き基板は、基板上に、多数の初期孔を有するマスクを形成するマスク形成工程と、
オーバーフローによってエッチング液を循環させつつ、前記エッチング液により、前記マスクが形成された基板をエッチングするエッチング工程とを経て形成されたものである請求項6に記載のレンズ基板。
【請求項8】
前記エッチング液の循環速度が、0.5〜28cm/minである請求項6または7に記載のレンズ基板。
【請求項9】
前記凹部付き基板を平面視した際の凹部の幅が40μm以上である請求項6ないし8のいずれかに記載のレンズ基板。
【請求項10】
前記マスクの平均厚さは、5〜500nmである請求項6ないし9のいずれかに記載のレンズ基板。
【請求項11】
前記マスクは、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である請求項6ないし10のいずれかに記載のレンズ基板。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載のレンズ基板を備えたことを特徴とする透過型スクリーン。
【請求項13】
請求項12に記載の透過型スクリーンを備えたことを特徴とするリア型プロジェクタ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
スクリーン上に画像を投影する表示装置が知られている。このような表示装置としては、ホームシアター用モニター、大画面テレビ等に適用されるリア型プロジェクタが知られており、近年、その需要が高まりつつある。
このようなリア型プロジェクタでは、その画像形成に主として透過型スクリーンが用いられる。
【0003】
このようなリア型プロジェクタに用いられる透過型スクリーンは、フレネルレンズが形成されたフレネルレンズ部と、微小のレンズが形成されたマイクロレンズ基板やレンチキュラレンズ基板等のレンズ基板とを有するものが知られている。
しかしながら、このようなレンズ基板は、精細に作ることが求められるが、精細に形成した場合であっても、レンズパターンにムラが生じてしまう、すなわち、レンズとレンズとの間のレンズの形成されていない領域(非レンズ領域)が形成されてしまうといった問題があった。このようなムラが、表示画像における輝点として観察され、十分な視野角特性が得られず、また、十分に鮮明な画像を得るのが困難であった。
【0004】
【特許文献1】特開2000−131506号公報(特許請求の範囲)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、視野角特性に優れたレンズ基板を提供すること、また、このようなレンズ基板を備えた透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明のレンズ基板は、多数のレンズを有するレンズ基板であって、
隣接するレンズの間に、レンズ基板の面方向に対して傾斜している傾斜部を有することを特徴とする。
これにより、傾斜部に入射した光が直進光とならずに分散されるため、表示画像における輝点を少なくすることができる。その結果、このようなレンズ基板を備えた透過型スクリーンは、視野角特性に優れたものとなる。
【0007】
本発明のレンズ基板では、前記傾斜部は、レンズ基板の面方向に対して、5〜70°の角度で傾斜していることが好ましい。
これにより、非レンズ領域における直進光を確実に少なくすることができ、表示画像における輝点をより効果的に少なくすることができる。
本発明のレンズ基板では、レンズ基板を平面視したときの、前記レンズが形成されている有効領域において、前記レンズが形成されていない非レンズ領域中での前記傾斜部の占有率は、95%以上であることが好ましい。
これにより、非レンズ領域において、入射光が直進光として透過するのを効率良く防止することができる。
【0008】
本発明のレンズ基板では、前記レンズは、マイクロレンズで構成されたものであることが好ましい。
これにより、コントラストに優れた画像が得られるとともに、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
本発明のレンズ基板では、前記マイクロレンズは、前記レンズ基板を平面視したときの縦幅が横幅よりも小さい扁平形状を有するものであることが好ましい。
これにより、各方向についての視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0009】
本発明のレンズ基板は、前記レンズに対応した形状の複数の凹部を有する凹部付き基板を用いて製造されるものであることが好ましい。
これにより、レンズ基板を、より好適な傾斜部を有するものとすることができる。
本発明のレンズ基板では、前記凹部付き基板は、基板上に、多数の初期孔を有するマスクを形成するマスク形成工程と、
オーバーフローによってエッチング液を循環させつつ、前記エッチング液により、前記マスクが形成された基板をエッチングするエッチング工程とを経て形成されたものであることが好ましい。
これにより、レンズ基板を、さらに好適な傾斜部を有するものとすることができる。
【0010】
本発明のレンズ基板では、前記エッチング液の循環速度が、0.5〜28cm/minであることが好ましい。
これにより、レンズ基板を、さらに好適な傾斜部を有するものとすることができる。
本発明のレンズ基板では、前記凹部付き基板を平面視した際の凹部の幅が40μm以上であることが好ましい。
これにより、レンズ基板を、さらに好適な傾斜部を有するものとすることができる。
【0011】
本発明のレンズ基板では、前記マスクの平均厚さは、5〜500nmであることが好ましい。
これにより、レンズ基板を、さらに好適な傾斜部を有するものとすることができる。
本発明のレンズ基板では、前記マスクは、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体であることが好ましい。
これにより、レンズ基板を、さらに好適な傾斜部を有するものとすることができる。
【0012】
本発明の透過型スクリーンでは、本発明のレンズ基板を備えたことを特徴とする。
これにより、視野角特性に優れた透過型スクリーンを提供することができる。
本発明のリア型プロジェクタでは、本発明の透過型スクリーンを備えたことを特徴とする。
これにより、視野角特性に優れたリア型プロジェクタを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明について、添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
なお、本発明において、「基板」とは、実質的に可撓性を有さない、比較的肉厚の大きいものから、シート状のものや、フィルム状のもの等の含む概念のことを指す。
本発明のレンズ基板の用途は、特に限定されないが、本実施形態では、マイクロレンズ基板を、主に、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材として用いるものとして説明する。
【0014】
[マイクロレンズ基板]
まず、本発明のレンズ基板について説明する。
図1は、本発明のレンズ基板の好適な実施形態を示す模式的な縦断面図、図2は、図1に示すレンズ基板の平面図である。なお、以下の説明では、図1中の左側を「(光の)入射側」、右側を「(光の)出射側」と言う。また、本発明においては、特に断りのない限り、「(光の)入射側」、「(光の)出射側」とは、それぞれ、画像光(映像光)を得るための光の「入射側」、「出射側」のことを指し、外光等の「入射側」、「出射側」のことを指すものではない。
【0015】
マイクロレンズ基板(レンズ基板)1は、後述する透過型スクリーン10を構成する部材であり、図1に示すように、所定のパターンで配列された複数個の凸状のマイクロレンズ(凸レンズ)21を備えた基板本体2を備えている。
基板本体2は、通常、透明性を有する材料で構成される。
基板本体2の構成材料は、特に限定されないが、主として樹脂材料で構成され、所定の屈折率を有する透明な材料で構成されている。
【0016】
基板本体2の具体的な構成材料としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
【0017】
基板本体2を構成する樹脂材料(固化した状態の樹脂材料)は、一般に、各種気体(マイクロレンズ基板1が用いられる雰囲気)より大きな絶対屈折率を有するものであるが、絶対屈折率の具体的な値は、1.35〜2.00であるのが好ましく、1.40〜1.60であるのがより好ましく、1.45〜1.55であるのがさらに好ましい。樹脂材料の絶対屈折率が前記範囲内の値であると、投影される画像の輝度を十分に高いものとしつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0018】
マイクロレンズ基板1は、光の入射する面側に凸面を有する凸レンズとしてのマイクロレンズ21を複数個備えている。
本実施形態において、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。マイクロレンズ21がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。また、投影される画像の輝度をより高いものとすることができる。
【0019】
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向(縦方向)の長さをX[μm]、長軸方向(横方向)の長さをY[μm]としたとき、0.10≦X/Y≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦X/Y≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.60≦X/Y≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
【0020】
平面視したときのマイクロレンズ21の短軸方向の長さ(マイクロレンズ21の幅)は、40μm以上であるのが好ましく、40〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
【0021】
また、平面視したときのマイクロレンズ21の長軸方向の長さは、45〜750μmであるのが好ましく、45〜450μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(透過型スクリーン10)の生産性をさらに高めることができる。
【0022】
また、マイクロレンズ21の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、マイクロレンズ21は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、短軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
【0023】
また、マイクロレンズ21の高さ(凸部としてのマイクロレンズ21の高さ)は、2〜230μmであるのが好ましく、7〜140μmであるのがより好ましく、12〜45μmであるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の高さが前記範囲内の値であると、視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、マイクロレンズ21の高さをH[μm]、マイクロレンズ21の短軸方向の長さをX[μm]としたとき、1.0≦X/H≦2.7の関係を満足するのが好ましく、1.1≦X/H≦2.3の関係を満足するのがより好ましく、1.3≦X/H≦2.1の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0024】
また、これら複数個のマイクロレンズ21は、千鳥状(千鳥格子状)に配列している。このようにマイクロレンズ21が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、マイクロレンズが正方格子状等に配列したものであると、マイクロレンズ21の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる場合がある。また、マイクロレンズをランダムに配した場合、マイクロレンズ21の大きさ等によっては、マイクロレンズが形成されている有効領域におけるマイクロレンズの占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる。
【0025】
上記のように、マイクロレンズ21は、マイクロレンズ基板1を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数のマイクロレンズ21で構成される第1の行25と、それに隣接する第2の行26とが、縦方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0026】
上記のように、マイクロレンズの形状や配列方式、占有率等を厳密に規定することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性等を特に優れたものとすることができる。
また、図1に示すように、隣接するマイクロレンズ21同士の間、すなわち、マイクロレンズ21が形成されていない部位(以下、非レンズ領域ともいう。)には、マイクロレンズ基板1の面方向に対して傾斜している傾斜部22を有している。
【0027】
ところで、従来のレンズ基板では、レンズが形成されていない部位に入射した光は、そのまま直進光として観察され、この直進光が、表示画像における輝点として観察され、十分に鮮明な画像を得るのが困難であった。
これに対して、本発明では、レンズが形成されていない部位に、傾斜部が設けられていることにより、傾斜部に入射した光が直進光とならずに分散されるため、表示画像における輝点を少なくすることができる。その結果、このようなレンズ基板を備えた透過型スクリーンは、視野角特性に優れたものとなる。
【0028】
傾斜部22は、マイクロレンズ基板1の面方向に対して、5〜70°の角度で傾斜しているのが好ましく、10〜50°の角度で傾斜しているのがより好ましく、20〜50°の角度で傾斜しているのがさらに好ましい。また、上記の角度範囲で偏りなくランダムに形成されているのが好ましい。これにより、非レンズ領域における直進光を確実に少なくすることができ、表示画像における輝点をより効果的に少なくすることができる。
【0029】
マイクロレンズ基板1を平面視したときの、マイクロレンズ21が形成されている有効領域において、非レンズ領域中での傾斜部22の占有率は、95%以上であるのが好ましく、97%以上であるのがより好ましく、100%であるのがさらに好ましい。これにより、非レンズ領域において、入射光が直進光として透過するのを効率良く防止することができる。
【0030】
また、マイクロレンズ基板1を光の入射面側(図2で示した方向)から平面視したときの、マイクロレンズ21が形成されている有効領域において、マイクロレンズ21の占有率は、90%以上であるのが好ましく、96%以上であるのがより好ましく、97%以上であるのがさらに好ましい。マイクロレンズ21の占有率が90%以上であると、光利用効率をさらに向上させることができる。なお、マイクロレンズ21の占有率は、平面視したときのマイクロレンズ21の中心212と、当該マイクロレンズ21に隣接する、マイクロレンズ21が形成されていない部位の中心部とを結ぶ線分において、マイクロレンズ21が形成されている部位の長さL[μm]と、前記線分の長さL[μm]との比率(L/L×100[%])として求めることができる(図2参照)。
【0031】
マイクロレンズ基板1の光の利用効率(マイクロレンズ基板1の入射面側から入射する光の光量に対する、出射面側から出射する光の光量の割合)は、60%以上であるのが好ましく、70%以上であるのがより好ましく、80〜95%であるのがさらに好ましい。これにより、全体として高い輝度の画像を投射することができ、得られる画像のコントラストを優れたものとすることができる。
上記のようなマイクロレンズ基板1は、いかなる方法で製造されたものであってもよいが、以下に述べるような方法により、好適に製造することができる。
【0032】
[マイクロレンズ基板の製造方法]
以下、上述したマイクロレンズ基板の製造方法について説明するが、それに先立ち、上述したマイクロレンズ基板の製造に好適に用いることができる凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)、および、その製造方法について説明する。
図3は、マイクロレンズ基板の製造に用いる凹部付き基板を示す模式的な縦断面図、図4、5は、図3に示す凹部付き基板の製造方法を示す模式的な縦断面図、図6は、エッチング工程において用いられるエッチング装置の概略図である。なお、凹部付き基板の製造においては、実際には基板上に多数の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成し、マイクロレンズ基板の製造においては、実際には基板上に多数のマイクロレンズ(凸レンズ)を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
【0033】
凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、たわみを生じ難く、傷つき難い材料で構成されたものであるのが好ましい。凹部付き基板6の構成材料としては、例えば、ソーダガラス、結晶性ガラス、石英ガラス、鉛ガラス、カリウムガラス、ホウケイ酸ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。中でも、凹部付き基板6の構成材料としては、ソーダガラス、結晶性ガラス(例えば、ネオセラム等)、無アルカリガラスが好ましい。ソーダガラス、結晶性ガラス、無アルカリガラスは、加工が容易であるとともに、比較的安価であり、製造コストの面からも有利である。
【0034】
凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板)6は、マイクロレンズ21の配列方式に対応する方式(転写された位置関係)で配列した、複数個の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61を備えている。そして、これらの凹部61は、マイクロレンズ21が凸部であるのに対し凹部であり、マイクロレンズ21に対応する形状(転写された形状である以外は実質的に同一の形状)、寸法を有している。
【0035】
より詳しく説明すると、本実施形態において、凹部(マイクロレンズ形成用凹部)61は、凹部付き基板6を平面視した際の縦幅(鉛直方向の幅)が横幅(水平方向の幅)よりも小さい扁平形状(略楕円形、略俵形)を有している。凹部61がこのような形状を有することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができるマイクロレンズ基板1の製造に好適に用いることができる。
【0036】
また、平面視したときの凹部61の短軸方向(縦方向)の長さをX[μm]、長軸方向(横方向)の長さをY[μm]としたとき、0.10≦X/Y≦0.99の関係を満足するのが好ましく、0.50≦X/Y≦0.95の関係を満足するのがより好ましく、0.60≦X/Y≦0.80の関係を満足するのがさらに好ましい。上記のような関係を満足することにより、上述したような効果がさらに顕著なものとなる。
【0037】
また、平面視したときの凹部61の短軸方向の長さ(凹部61の幅)は、40μm以上であるのが好ましく、40〜300μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き基板6)の生産性をさらに高めることができる。
【0038】
また、平面視したときの凹部61の長軸方向の長さは、45〜750μmであるのが好ましく、45〜450μmであるのがより好ましく、70〜150μmであるのがさらに好ましい。凹部61の短軸方向の長さが前記範囲内の値であると、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止しつつ、スクリーンに投影される画像において十分な解像度を得ることができるとともに、マイクロレンズ基板1(凹部付き基板6)の生産性をさらに高めることができる。
【0039】
また、凹部61の曲率半径は、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の曲率半径が前記範囲内の値であると、視野角特性を特に優れたものとすることができる。特に、水平方向および鉛直方向の視野角特性をともに優れたものとすることができる。なお、凹部61は、短軸方向についての曲率半径と、長軸方向の曲率半径が異なるものであってもよいが、このような場合、短軸方向の曲率半径が上記の範囲内の値であるのが好ましい。
【0040】
また、凹部61の深さは、7.5〜375μmであるのが好ましく、22.5〜225μmであるのがより好ましく、35〜75μmであるのがさらに好ましい。凹部61の深さが前記範囲内の値であると、マイクロレンズ基板1における視野角特性を、特に優れたものとすることができる。
また、凹部61の深さをD[μm]、凹部61の短軸方向の長さをX[μm]としたとき、0.9≦X/D≦2.6の関係を満足するのが好ましく、1.0≦X/D≦2.2の関係を満足するのがより好ましく、1.2≦X/D≦2.0の関係を満足するのがさらに好ましい。このような関係を満足することにより、光の干渉によるモアレの発生を効果的に防止しつつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0041】
また、これら複数個の凹部61は、千鳥格子状に配列している。このように凹部61が配列することにより、モアレ等の不都合の発生を効果的に防止することができる。これに対し、例えば、凹部が正方格子状等に配列したものであると、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、モアレ等の不都合の発生を十分に防止することが困難となる。また、凹部をランダムに配した場合、凹部(マイクロレンズ)の大きさ等によっては、凹部が形成されている有効領域における凹部の占有率を十分に高めるのが困難となり、マイクロレンズ基板の光の透過率(光の利用効率)を十分に高めるのが困難となり、得られる画像が暗いものとなる。
【0042】
また、上記のように、凹部61は、凹部付き基板6を平面視したときに、千鳥格子状に配列しているが、複数の凹部61で構成される第1の行と、それに隣接する第2の行とが、縦方向に半ピッチ分だけずれているのが好ましい。これにより、光の干渉によるモアレの発生等をより効果的に防止するとともに、かつ、視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0043】
また、図3に示すように、隣接する凹部61同士の間、すなわち、凹部61が形成されていない部位(以下、非レンズ領域ともいう。)には、凹部付き基板6の面方向に対して傾斜している傾斜部62を有している。これにより、マイクロレンズ基板1に傾斜部22を形成することができる。これにより、マイクロレンズ基板1において、傾斜部22に入射した光が直進光とならずに分散されるため、表示画像における輝点を少なくすることができる。その結果、得られるマイクロレンズ基板1は、優れた視野角特性を有するものとなる。
【0044】
傾斜部62は、凹部付き基板6の面方向に対して、5〜70°の角度で傾斜しているのが好ましく、10〜50°の角度で傾斜しているのがより好ましく、20〜50°の角度で傾斜しているのがさらに好ましい。これにより、マイクロレンズ基板1において、非レンズ領域における直進光を確実に少なくすることができ、表示画像における輝点をより効果的に少なくすることができる。
【0045】
マイクロレンズ基板1を平面視したときの、マイクロレンズ21が形成されている有効領域において、非レンズ領域中での傾斜部22の占有率は、95%以上であるのが好ましく、97%以上であるのがより好ましく、100%であるのがさらに好ましい。これにより、マイクロレンズ基板1の非レンズ領域において、入射光が直進光として透過するのを効率良く防止することができる。
【0046】
なお、上記の説明では、凹部61が、マイクロレンズ21と、実質的に同一の形状(寸法)、配列方式を有しているものとして説明したが、例えば、基板本体2の構成材料が収縮し易いものである場合(基板本体2を構成する樹脂材料が固化等により収縮する場合)、その収縮率等を考慮し、マイクロレンズ21と凹部61とについて、これらの間で、形状(寸法)、占有率等が異なるようにしてもよい。
【0047】
次に、凹部付き基板の製造方法について、図4〜6を参照しながら説明する。なお、実際には基板上に多数のマイクロレンズ形成用凹部を形成するが、ここでは、説明をわかりやすくするために、その一部分を強調して示した。
まず、凹部付き基板6を製造するに際し、基板7を用意する。
この基板7は、厚さが均一で、たわみや傷のないものが好適に用いられる。また、基板7は、洗浄等により、その表面が清浄化されているものが好ましい。
【0048】
<A1>用意した基板7の表面に、多数個の初期孔(開口部)81を有するマスク8を形成するとともに、基板7の裏面(マスク8が形成される面と反対側の面)に裏面保護膜89を形成する(マスキング工程、図4(a)、図4(b)参照)。
特に、本実施形態では、まず、図4(a)に示すように、用意した基板7の裏面に裏面保護膜89を形成するとともに、基板7の表面にマスク形成用膜4を形成し(マスク形成用膜形成工程)、その後、図4(b)に示すように、マスク形成用膜4に初期孔81を形成すること(初期孔形成工程)によりマスク8を得る。マスク形成用膜4および裏面保護膜89は同時に形成することもできる。
【0049】
マスク形成用膜4は、レーザ光の照射等により、後述する初期孔81を形成することができるとともに、後述するエッチング工程におけるエッチングに対する耐性を有するものが好ましい。換言すれば、マスク形成用膜4(マスク8)は、エッチングレートが、基板7と略等しいか、または、基板7に比べて小さくなるように構成されるのが好ましい。
かかる観点からは、マスク形成用膜4(マスク8)を構成する材料としては、例えばCr、Au、Ni、Ti、Pt等の金属やこれらから選択される2種以上を含む合金、前記金属の酸化物(金属酸化物)、シリコン、樹脂等が挙げられる。
【0050】
また、マスク形成用膜4(マスク8)は、例えば、実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、異なる複数の層を有する積層体等であってもよい。
上記のように、マスク形成用膜4(マスク8)の構成は、特に限定されるものではないが、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体であるのが好ましい。このような構成のマスク形成用膜4は、後述するようなレーザ光の照射等により、所望の形状の開口部を容易かつ確実に形成することができるものであり、また、このような構成のマスク形成用膜4を用いて得られるマスク8は、様々な組成のエッチング液に対して優れた安定性を有している(後述するエッチング工程において基板7をより確実に保護することができる)。また、マスク形成用膜4(マスク8)が上記のような構成のものであると、例えば、後述するエッチング工程において、エッチング液として一水素二フッ化アンモニウムを含む液体を好適に用いることができる。一水素二フッ化アンモニウムは毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響をより確実に防止することができる。また、上記のような構成のマスク形成用膜4(マスク8)は、マスクの内部応力を効率良く緩和することができ、基板7との密着性(特に、エッチング工程における密着性)に特に優れている。このようなことから、上記のような構成のマスク形成用膜4(マスク8)を用いることにより、所望の形状の凹部61を容易かつ確実に形成することができる。
【0051】
マスク形成用膜4の形成方法は特に限定されないが、マスク形成用膜4(マスク8)をクロム(Cr)、金(Au)等の金属材料(合金を含む)や金属酸化物(例えば酸化クロム)で構成されたものとする場合、マスク形成用膜4は、例えば、蒸着法やスパッタリング法等により、好適に形成することができる。また、マスク形成用膜4(マスク8)をシリコンで構成されたものとする場合、マスク形成用膜4は、例えば、スパッタリング法やCVD法等により、好適に形成することができる。
【0052】
マスク8が、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である、クロムの層の平均厚さをX[nm]、酸化クロムの層の平均厚さをY[nm]としたとき、0.01≦Y/X≦0.8の関係を満足するのが好ましく、0.1≦Y/X≦0.5の関係を満足するのがより好ましい。このような関係を満足することにより、所望の大きさの初期孔をより高い精度で形成することができる。
【0053】
マスク形成用膜4(マスク8)の厚さは、マスク形成用膜4(マスク8)を構成する材料によっても異なるが、5〜500nmであるのが好ましく、40〜150nmであるのがより好ましい。これにより、エッチングに対する耐性を保持しつつ、初期孔の形成が容易になり、初期孔の大きさをより容易に制御することができる。また、後述するエッチング工程において、形成過程の凹部が所定の大きさとなったときに、確実に、マスクのその凹部に対応する部位を確実に除去することができるとともに、傾斜部62をより確実に形成することができる。厚さが前記下限値未満であると、マスク形成用膜4の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程(開口部形成工程)において形成される初期孔81の形状が歪んでしまう可能性がある。また、後述するエッチング工程でウェットエッチングを施す際に、基板7のマスクした部分を十分に保護できない可能性がある。一方、上限値を超えると、マスク形成用膜4の構成材料等によっては、後述する初期孔形成工程において、貫通する初期孔81を形成するのが困難になるほか、マスク形成用膜4(マスク8)の内部応力によりマスク形成用膜4(マスク8)が剥がれ易くなる場合がある。
【0054】
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜4(マスク8)と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜4の形成と同時に、マスク形成用膜4と同様に設けることができる。
【0055】
裏面保護膜89は、次工程以降で基板7の裏面を保護するためのものである。この裏面保護膜89により、基板7の裏面の侵食、劣化等が好適に防止される。この裏面保護膜89は、例えば、マスク形成用膜4(マスク8)と同様の構成を有している。このため、裏面保護膜89は、マスク形成用膜4の形成と同時に、マスク形成用膜4と同様に設けることができる。
【0056】
次に、図4(b)に示すように、マスク形成用膜4に、複数個の初期孔(開口部)81を形成し、マスク8を得る(初期孔形成工程)。本工程で形成される初期孔81は、後述するエッチングの際のマスク開口として機能するものである。
初期孔81の形成方法は、特に限定されないが、レーザ光の照射による方法であるのが好ましい。これにより、所望のパターンに配列した所望の形状の初期孔81を容易かつ精確に形成することができる。その結果、凹部61の形状、配列方式等をより確実に制御することができる。また、初期孔81をレーザの照射により形成することにより、凹部付き基板を生産性良く製造することができる。特に、大面積の基板にも簡単に凹部を形成することができる。また、レーザ光の照射により初期孔81を形成する場合、その照射条件を制御することにより、後述するような初期凹部71を形成することなく初期孔81のみを形成したり、初期孔81とともに、形状、大きさ、深さのばらつきの小さい初期凹部71を、容易かつ確実に形成することができる。また、レーザ光の照射でマスク形成用膜4に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によってレジスト膜に開口部を形成する場合に比べて、簡単かつ安価に開口部(初期孔81)を形成することができる。
【0057】
また、レーザ光の照射により初期孔81を形成する場合、使用するレーザ光の種類は、特に限定されないが、ルビーレーザ、半導体レーザ、YAGレーザ、フェムト秒レーザ、ガラスレーザ、YVOレーザ、Ne−Heレーザ、Arレーザ、COレーザ、エキシマレーザ等が挙げられる。また、各レーザのSHG、THG、FHG等の波長を使っても良い。
【0058】
マスク形成用膜4に初期孔81を形成するとき、図4(b)に示すように、マスク形成用膜4だけでなく基板7の表面の一部も同時に除去し、初期凹部71を形成してもよい。これにより、後述するエッチング工程でエッチングを施す際に、エッチング液との接触面積が大きくなり、侵食を好適に開始することができる。また、この初期凹部71の深さの調整により、凹部61の深さ(レンズの最大厚さ)を調整することもできる。初期凹部71の深さは、特に限定されないが、5μm以下とするのが好ましく、0.1〜0.5μm程度とするのがより好ましい。なお、初期孔81の形成をレーザの照射により行う場合、初期孔81とともに形成される複数個の初期凹部71について、深さのばらつきをより確実に小さくすることができる。これにより、凹部付き基板6を構成する各凹部61の深さのばらつきも小さくなり、最終的に得られるマイクロレンズ基板1の各マイクロレンズ21の大きさ、形状のばらつきも小さくなる。その結果、各マイクロレンズ21の直径、焦点距離、レンズ厚さのばらつきを特に小さくさせることができる。
【0059】
本工程で形成する初期孔81は、その形状、大きさは特に限定されないが、略円形で、その直径が、0.8〜20μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜4μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の直径が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。ただし、初期孔81が、略楕円形のように扁平形状のものである場合、短軸方向の長さを、直径の値として代用することができる。すなわち、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の幅(短軸方向の長さ)は、特に限定されないが、0.8〜20μmであるのが好ましく、1.0〜10μmであるのがより好ましく、1.5〜4μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の幅が前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61を確実に形成することができる。
【0060】
また、本工程で形成する初期孔81が扁平形状のものである場合、初期孔81の長さ(長軸方向の長さ)は、0.9〜30μmであるのが好ましく、1.5〜15μmであるのがより好ましく、2.0〜6μmであるのがさらに好ましい。初期孔81の長さが前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程において、前述したような形状の凹部61をより確実に形成することができる。
また、マスク形成用膜4に対してレーザ光の照射で初期孔81を形成するだけでなく、例えば、基板7にマスク形成用膜4を形成する際に、予め基板7上に所定パターンで異物を配しておき、その上にマスク形成用膜4を形成することでマスク形成用膜4に積極的に欠陥を形成し、当該欠陥を初期孔81としてもよい。
【0061】
<A2>次に、初期孔81が形成されたマスク8を用いて基板7にエッチングを施し、図5(e)に示すように、基板7上に多数の凹部61を形成する(エッチング工程)。
本発明者らは、所定の条件でエッチングを施す際に、形成されつつある凹部が所定の大きさとなったときに、マスクの凹部に対応する部位が脱離することを見出し、これを利用することにより、傾斜部を好適に形成することを見出した。
【0062】
すなわち、所定の条件の下で、エッチングを施すことにより、図4(c)および図4(d)に示すように、凹部61の形成途中(エッチングの途中)において、形成途中の凹部61’に対応する部位のマスク8が脱離する。このとき、凹部61’の周縁部に沿ってきれいに破断せず、凹部61’の周縁部に存在するマスク8の一部も一緒に脱離する(図4(d)参照)。
【0063】
そして、図5(e)に示すように、エッチングがさらに進むことにより、この凹部61’に対応する部位のマスク8とともに脱離した部位に、傾斜部62が形成される。
エッチングは、エッチング液をオーバーフローによって液循環させつつ、エッチング液9により、マスク8を形成した基板7をエッチングするのが好ましい。これにより、より好適に形成途中の凹部61’に対応する部位のマスク8が脱離することができるとともに、より確実に傾斜部62を形成することができる。
【0064】
このようなエッチングは、例えば、図6に示すようなエッチング装置を用いて行うことができる。
エッチング装置E1は、図6に示すように、エッチング糟E11と、エッチング糟E11からオーバーフローした(溢れた)エッチング液9を回収する回収部E12と、回収部E12に回収されたエッチング液9をエッチング糟E11に搬送する搬送路E13と、搬送路E13の途中に設けられ、エッチング液9の循環速度を制御するポンプE14とを有している。
【0065】
エッチング装置E1において、エッチング液9は、図中の矢印で示したように循環する。すなわち、エッチング液9は、エッチング糟E11内を上方に向かって移動し、エッチング糟E11からオーバーフローしたエッチング液9は回収部E12に回収され、回収されたエッチング液9は、ポンプE14により搬送路E13を通り、エッチング糟E11内に戻される。
【0066】
エッチング糟E11内において、エッチング液9の循環方向は、マスク8が形成された基板7の面方向と略平行な方向となっている。言い換えると、マスク8が形成された基板7は、図6に示すように、エッチング糟E11内に、その面方向が、エッチング液9の循環方向と略平行となるように設置される。
なお、エッチング液9の循環は、その循環方向が形成すべき凹部61の長軸方向となるように行うのが好ましい。これにより、より効率良く傾斜部62を形成することができる。
【0067】
エッチング液9の循環速度は、0.5〜28cm/minであるのが好ましく、5〜28cm/minであるのがより好ましく、10〜28cm/minであるのがさらに好ましい。これにより、より確実に形成途中の凹部61’に対応する部位のマスク8が脱離することができるとともに、より確実に傾斜部62を形成することができる。また、エッチング液9の循環の、凹部61の形状へ与える影響を小さいものとすることができる。その結果、所望の形状で、かつ、各凹部61間での形状ばらつきの小さい凹部を有する凹部付き基板を形成することができる。これに対して、循環速度が前記下限値未満であると、エッチングの際に、エッチング途中の凹部に対応する部位のマスクを十分に除去することができない場合がある。一方、循環速度が前記上限値を超えると、エッチング液9の流れが、形成される凹部61の形状に悪影響を及ぼす場合があり、所望の形状の凹部61を形成することができない場合がある。また、マスク8の一部の脱離(除去)が早期に生じてしまう場合があり、所望の形状の凹部61を十分に形成できない場合がある。
【0068】
なお、循環速度とは、オーバーフローするエッチング液の単位時間当たりの量を高さに換算したものである。
さらに、マスク8として、前述したような、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体を用いた場合、エッチング工程において、マスク8のその凹部61に対応する部位を確実に除去することができるとともに、凹部61’の周縁部のマスク8の一部を同時に除去することができる。その結果、傾斜部62をより確実に形成することができる。
【0069】
エッチング液としては、特に限定されず、いずれのものを用いてもよいが、フッ化アンモニウムを用いるのが好適である。フッ化アンモニウムとしては、正塩(NHF)と、水素塩(NHHF:一水素二フッ化アンモニウム)とがあり、いずれのものを用いてもよいし、その両方を含むものを用いてもよい。
特に、フッ化アンモニウムとして、一水素二フッ化アンモニウムを主成分とするものを用いた場合、基板7に対して、より効率よくエッチングを施すことができる。また、一水素二フッ化アンモニウム溶液は毒劇物ではないため、作業中の人体や環境への影響を防止することができる。
【0070】
エッチング液中のフッ化アンモニウムの含有量は、特に限定されないが、1〜500g/Lであるのが好ましく、1〜200g/Lであるのがより好ましく、10〜100g/Lであるのがさらに好ましい。これにより、基板7に対して、より効率よくエッチングを施すことができる。これに対して、フッ化アンモニウムの含有量が前記下限値未満であると、エッチング液の温度等の条件等によっては、十分なエッチング速度が得られない可能性がある。また、フッ化アンモニウムの含有量が前記上限値を超えると、含有量に見合うだけの十分な効果が得られない場合がある。
【0071】
また、エッチング液には前述したフッ化アンモニウムの他に、酸を含んでいてもよい。このような酸としては、水に溶けた際に、FイオンやHFイオン等を生じない酸であれば、特に限定されず、例えば、硫酸、塩酸、硝酸等の無機酸、酢酸、コハク酸等の有機酸が挙げられ、これらのうち、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、無機酸を用いるのが好ましく、硫酸、硝酸等のオキソ酸を用いるのがより好ましく、硫酸を用いるのがさらに好ましい。これにより、エッチング液とガラスとの反応の副生成物をより効果的に除去することができる。また、特に、マスク8として、主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体を用いた場合に、硫酸を含むエッチング液を用いることで、マスク8への影響をより効果的に抑制しつつ、基板7に対してより均一にエッチングを施すことができる。
【0072】
エッチング液中の酸の含有量は、特に限定されないが、1.7〜920g/Lであるのが好ましく、1.7〜370g/Lであるのがより好ましく、1.7〜190g/Lであるのがさらに好ましい。これにより、エッチング液とガラスとの反応の副生成物をより効果的に除去することができる。これに対して、酸の含有量が前記下限値未満であると、基板7の組成やフッ化アンモニウムの含有量等によっては、前述のような効果が十分に発揮されない場合がある。また、酸の含有量が前記上限値を超えると、マスク8の組成やフッ化アンモニウムの含有量等によっては、マスク8に不本意な影響を与えてしまう場合がある。
【0073】
エッチング液中のフッ化アンモニウムの含有量をA[g/L]、酸の含有量をB[g/L]としたとき、1.0≦B/A≦4.0の関係を満足するのが好ましく、1.0≦B/A≦3.0の関係を満足するのがより好ましく、1.3≦B/A≦2.7の関係を満足するのがさらに好ましい。これにより、エッチング液とガラスとの反応の副生成物をより効果的に除去しつつ、基板7に対してより均一にかつ効率的にエッチングを施すことができる。
【0074】
なお、上記エッチング液には、前述したフッ化アンモニウム、酸の他に、水等の溶媒を含んでいてもよい。
また、上記エッチング液には、上記成分の他、過酸化水素、界面活性剤等の添加物を含んでいてもよい。このような添加物を含むことにより、基板7に対してより均一にエッチングを施すことができる。前述した中でも、特に過酸化水素を含む場合には、エッチングスピートをより速くすることができる。
【0075】
<A3>次に、図5(f)に示すように、マスク8を除去する(マスク除去工程)。また、この際、マスク8の除去とともに、裏面保護膜89も除去することにより、凹部付き基板6が得られる。
マスク8が、前述したような主としてクロムで構成される層と、主として酸化クロムで構成される層とを有する積層体である場合、マスク8の除去は、例えば、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸とを含む混合物を用いたエッチングにより行うことができる。
【0076】
また、例えば、凹部付き基板6の凹部61が設けられている面側に、離型処理を施してもよい。これにより、後に詳述するマイクロレンズ基板1の製造方法において、基板本体2が有するマイクロレンズ21にカケ等の欠陥が生じるのを十分に防止しつつ、凹部付き基板6を容易に取り外すことができる。離型処理としては、アルキルポリシロキサン等のシリコーン系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂等の離型性を有する物質で構成される被膜の形成、ヘキサメチルジシラザン([(CH3)3Si]2NH)等のシリル化剤による表面処理、フッ素系ガスによる表面処理等が挙げられる。
【0077】
以上により、図5(f)および図3に示すように、基板7上に多数の凹部61が千鳥状に形成された凹部付き基板6が得られる。
基板7上に千鳥状に配された複数個の凹部61を形成する方法は、特に限定されないが、上述したような方法(レーザ光の照射によりマスク形成用膜4に初期孔81を形成してマスク8を得、その後、そのマスク8を用いてエッチングを行うことにより、基板7上に凹部61を形成する方法)により形成した場合、以下のような効果が得られる。
【0078】
すなわち、レーザ光の照射によりマスク形成用膜4に初期孔81を形成することで、従来のようなフォトリソグラフィ法によって開口部を形成する場合に比べて簡単かつ安価に、所定パターンで開口部(初期孔81)を有するマスクを得ることができる。これにより生産性が向上し、安価に凹部付き基板6を提供することができる。
また、上述したような方法によれば、大型の基板に対する処理も容易に行うことができる。大型の基板を製造する場合に、従来のように複数の基板を貼り合わせる必要がなくなり、貼り合わせの継ぎ目をなくすことができる。これにより高品質で大型の凹部付き基板(マイクロレンズ基板)を簡便な方法で安価に製造することができる。
また、初期孔81の形成をレーザの照射により行う場合、形成される初期孔81の形状、大きさ、配列等を、容易かつ確実に管理することができる。
【0079】
次に、上述した凹部付き基板6を用いて、マイクロレンズ基板1を製造する方法について説明する。
図7は、図1に示すマイクロレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。なお、以下の説明では、図7中の下側を「(光の)入射側」、上側を「(光の)出射側」と言う。
【0080】
<B1>まず、図7(a)に示すように、凹部付き基板6の凹部61が形成された側の面に、流動性を有する状態の樹脂材料23(例えば、軟化状態の樹脂材料23、未重合(未硬化)の樹脂材料23)を付与し、樹脂材料23を平板11で押圧する。特に、本実施形態では、凹部付き基板6と、平板11との間に、スペーサー20を配した状態で、樹脂材料23を押圧する。これにより、形成されるマイクロレンズ基板1の厚さをより確実に制御することができ、最終的に得られるマイクロレンズ基板1での、マイクロレンズ21の焦点の位置をより確実に制御することができ、色ムラ等の不都合の発生をより効果的に防止することができる。
【0081】
スペーサー20は、樹脂材料23(固化後の樹脂材料23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されている。このような材料で構成されたスペーサー20を用いることにより、凹部付き基板6の凹部61が形成された部位にスペーサー20が配された場合であっても、スペーサー20が得られるマイクロレンズ基板1の光学特性に悪影響を及ぼすのを効果的に防止することができる。これにより、凹部付き基板6の主面(凹部が形成された面側)の有効領域のほぼ全体にわたって、比較的多くのスペーサー20を配することが可能となり、結果として、凹部付き基板6、平板11のたわみ等による影響を効果的に排除し、得られるマイクロレンズ基板1の厚さをより確実に制御することができる。
【0082】
上述したように、スペーサー20は、樹脂材料23(固化後の樹脂材料23)と同程度の屈折率を有する材料で構成されているが、より具体的には、スペーサー20の構成材料の絶対屈折率と固化後の樹脂材料23の絶対屈折率との差の絶対値が、0.20以下であるのが好ましく、0.10以下であるのがより好ましく、0.02以下であるのがさらに好ましく、固化後の樹脂材料23とスペーサー20とが同一の材料で構成されたものであるのが最も好ましい。
【0083】
スペーサー20の形状は、特に限定されないが、略球状、略円柱状であるのが好ましい。スペーサー20がこのような形状のものである場合、その直径は、10〜300μmであるのが好ましく、30〜200μmであるのがより好ましく、30〜170μmであるのがさらに好ましい。
なお、上記のようにスペーサー20を用いる場合、樹脂材料23を固化する際に、凹部付き基板6と平板11との間にスペーサー20が配されていればよく、スペーサー20を供給するタイミングは特に限定されない。例えば、凹部付き基板6の凹部61が形成された側の面に、付与する樹脂として予めスペーサー20が分散された樹脂材料23を用いてもよいし、凹部付き基板6上にスペーサー20を配した状態で樹脂材料23を付与してもよいし、樹脂材料23の供給後にスペーサー20を付与してもよい。
また、平板11は、樹脂材料23を押圧する側の面に、前述したような離型処理が施されたものであってもよい。これにより、後述する工程において、平板11を効率良く基板本体2の表面から取り除くことができる。
【0084】
<B2>次に、樹脂材料23を固化(ただし、硬化(重合)を含む)させ、その後、平板11を取り除く(図7(b)参照)。これにより、凹部61に充填された樹脂で構成されたマイクロレンズ21を備えた基板本体2が得られる。
樹脂材料23の固化を硬化(重合)により行う場合、その方法としては、例えば、紫外線等の光の照射、電子線の照射、加熱等の方法が挙げられる。
【0085】
<B3>次に、凹部付き基板6を取り除く(図7(c)参照)。これにより、マイクロレンズ基板1が得られる。
次に、上述したようなマイクロレンズ基板1を備えた透過型スクリーン10について説明する。
図8は、図1に示すマイクロレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンを示す模式的な縦断面図である。
図8に示すように、透過型スクリーン10は、フレネルレンズ部5と、前述したマイクロレンズ基板1とを備えている。フレネルレンズ部5は、光(画像光)の入射側に設置されており、フレネルレンズ部5を透過した光が、マイクロレンズ基板1に入射する構成になっている。
【0086】
フレネルレンズ部5は、出射側表面に、ほぼ同心円状に形成されたプリズム形状のフレネルレンズ51を有している。このフレネルレンズ部5は、投射レンズ(図示せず)からの画像光を屈折させ、マイクロレンズ基板1の主面の垂直方向に平行な平行光Laにするものである。
以上のように構成された透過型スクリーン10では、投射レンズからの映像光が、フレネルレンズ部5によって屈折し、平行光Laとなる。そして、この平行光Laは、マイクロレンズ基板1のブラックマトリックス3が設けられた面側とは反対の面側からに入射し、各マイクロレンズ21によって集光し、焦点を結んだ後に拡散する。このとき、マイクロレンズ基板1に入射した光は、十分な透過率でマイクロレンズ基板1を透過する。開口部31を通過した光は、拡散し、観察者に平面画像として観測される。
【0087】
次に、前記透過型スクリーンを用いたリア型プロジェクタについて説明する。
図9は、本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
同図に示すように、リア型プロジェクタ300は、投写光学ユニット310と、導光ミラー320と、透過型スクリーン10とが筐体340に配置された構成を有している。
そして、このリア型プロジェクタ300は、その透過型スクリーン10として、上述した透過型スクリーン10を用いているので、表示品質の良い優れたリア型プロジェクタとなる。
以上、本発明のレンズ基板、透過型スクリーンおよびリア型プロジェクタについて、図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、前述したような凹部付き基板の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。
【0088】
また、凹部付き基板の製造方法は、前述したような方法に限定されない。例えば、表面を荒らした基板に、マスクを形成し、エッチングを施すことにより、傾斜部を有する凹部付き基板を形成してもよい。これにより、より効率良く凹部付き基板を形成することができる。
また、エッチング工程において、エッチング終了付近で基板を上下に振動させてもよい。これにより、形成されつつある凹部に対応する形状のマスクをより確実に除去できるとともに、凹部の周縁部のマスクの一部もより確実に除去することができる。
【0089】
また、前述した実施形態では、レンズ基板がマイクロレンズを有するマイクロレンズ基板として説明したが、レンズ基板は、レンチキュラレンズ基板であってもよい。
また、前述した実施形態では、スペーサーとして、樹脂(固化後の樹脂)と同程度の屈折率を有するものを用いるものとして説明したが、スペーサーは、実質的に、凹部付き基板の凹部が形成されていない領域のみ(非有効領域)に配されるものである場合、樹脂(固化後の樹脂)と同程度の屈折率を有するものでなくてもよい。また、レンズ基板の製造に際して、上記のようなスペーサーは必ずしも用いなくてもよい。
【0090】
また、前述した実施形態では、凹部付き基板の表面に樹脂を付与するものとして説明したが、例えば、平板の表面に樹脂を付与し、これを凹部付き基板で押圧することにより、レンズ基板を製造してもよい。
また、前述した実施形態では、凹部付き基板の製造方法の初期孔形成工程において、初期孔81とともに、基板7に初期凹部71を形成するものとして説明したが、このような初期凹部71は形成されなくてもよい。初期孔81の形成条件(例えば、レーザのエネルギ強度、ビーム径、照射時間等)を適宜調整することにより、所望の形状の初期凹部71を形成したり、初期凹部71が形成されないように初期孔81のみを選択的に形成することができる。
【0091】
また、前述した実施形態では、マイクロレンズ基板の製造において、凹部付き基板を除去するものとして、凹部付き基板は必ずしも除去しなくてもよい。言い換えると、凹部付き基板は、レンズ基板の一部を構成するものであってもよい。
また、前述した実施形態では、開口部の形成を、基板本体から凹部付き基板を取り除いた後に行うものとして説明したが、開口部の形成(レーザ光の照射)は、凹部付き基板を取り除く前に行ってもよい。また、遮光膜形成用材料の付与は、凹部付き基板を除去した後に行ってもよい。
【0092】
また、前述した実施形態では、透過型スクリーンが、マイクロレンズ基板とフレネルレンズとを備えるものとして説明したが、本発明の透過型スクリーンは、必ずしも、フレネルレンズを備えたものでなくてもよい。例えば、本発明の透過型スクリーンは、実質的に、本発明のレンズ基板のみで構成されたものであってもよい。
また、本発明のレンズ基板、透過型スクリーンは、基板本体を透過した光を拡散させる機能を有する拡散部、拡散板を有するものであってもよい。このような構成であると、例えば、透過型スクリーン、リア型プロジェクタの視野角特性を特に優れたものとすることができる。
【0093】
また、前述した実施形態では、レンズ基板(マイクロレンズ基板)は、透過型スクリーン、リア型プロジェクタを構成する部材であるものとして説明したが、本発明のレンズ基板の用途は、前記のようなものに限定されず、いかなるものであってもよい。例えば、本発明のレンズ基板は、拡散板、ブラックマトリックススクリーン、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)のスクリーン(フロントプロジェクションスクリーン)、投射型表示装置(フロントプロジェクタ)の液晶ライトバルブの構成部材等に適用されるものであってもよい。
【実施例】
【0094】
[マイクロレンズ基板および透過型スクリーンの作製]
(実施例1)
以下のように、マイクロレンズ形成用の凹部を備えた凹部付き基板を製造した。
まず、基板として、横1.2m×縦0.7m角、厚さ4.8mmのソーダガラス基板(絶対屈折率n:1.50)を用意した。
このソーダガラス基板を、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、7.36wt%の濃硫酸とを含む洗浄液に浸漬して6μmエッチングを行い、その表面を清浄化した。
【0095】
その後、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
次に、このソーダガラス基板上に、スパッタリング法にて、クロム/酸化クロムの積層体(クロムの外表面側に酸化クロムが積層された積層体)を形成した。すなわち、ソーダガラス基板の表面に、クロム/酸化クロムの積層体で構成されたのマスク形成用膜および裏面保護膜を形成した。クロム層の厚さは0.03μm、酸化クロム層の厚さは0.01μmであった。
【0096】
次に、マスク形成用膜に対してレーザ加工を行い、マスク形成用膜の中央部113cm×65cmの範囲に多数の初期孔を形成し、マスクとした。
なお、レーザ加工は、YAGレーザを用いて、エネルギ強度1mW、ビーム径3μm、走査速度0.1m/秒という条件で行った。
これにより、マスク形成用膜の上記範囲全面に亘って、所定の長さを有する初期孔が、千鳥状に配されたパターンで形成された。初期孔の短軸方向の長さは2μmであり、長軸方向の長さは2μmであった。
【0097】
また、この際、ソーダガラス基板の表面に深さ50Åの凹部(初期凹部)も形成した。
次に、ソーダガラス基板に、図6に示すようなエッチング装置を用いて、ウェットエッチングを施し、ソーダガラス基板上に多数の平面視したときの形状が扁平形状(略楕円形状)の凹部(マイクロレンズ形成用凹部)を形成した。形成された多数の凹部は、互いにほぼ同一の形状を有していた。形成された凹部の短軸方向の長さ(凹部の幅)は70μm、長軸方向の長さは107μm、曲率半径は53.5μm、深さは50μmであった。また、凹部が形成されていない領域における傾斜部の占有率は100%であった。
【0098】
なお、ウェットエッチングは、エッチング液として、4wt%の一水素二フッ化アンモニウムと、7.36wt%の濃硫酸とを含む水溶液を用い、エッチング液の循環速度を20cm/minとし、浸漬時間を2.5時間とした。なお、エッチング開始から2.0時間後に、マスクの一部(形成途中の凹部に対応する部位)が除去されるのが確認された。
次に、硝酸第二セリウムアンモニウムと過塩素酸との混合物を用いてエッチングすることにより、マスクおよび裏面保護膜を除去した。
【0099】
次に、純水洗浄およびNガスを用いた乾燥(純水の除去)を行った。
その後、基板の凹部が形成されている面側に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(シリル化処理)を行い、離型処理部を形成した。
これにより、図2に示すような、ソーダガラス基板上に、マイクロレンズ形成用の多数の凹部が千鳥状に配列された凹部付き基板を得た。得られた凹部付き基板を平面視したときに、凹部が形成されている有効領域において、凹部が占める面積の割合が97%であった。
【0100】
次に、凹部付き基板の凹部が形成された側の面に、未重合(未硬化)のアクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))を付与した。この際、アクリル系樹脂(PMMA樹脂(メタクリル樹脂))の硬化物で構成された略球形状のスペーサー(直径50μm)を、凹部付き基板のほぼ全面に配しておいた。また、スペーサーは、約3個/cmの割合で配した。
【0101】
次に、ソーダガラスで構成された平板で、前記アクリル系樹脂を押圧した。この際、平板とアクリル系樹脂との間に、空気が侵入しないようにした。また、平板としては、アクリル系樹脂を押圧する側の面に、ヘキサメチルジシラザンによる気相表面処理(離型処理)が施されたものを用いた。
その後、120℃に加熱することにより、アクリル系樹脂を硬化させ、多数個のマイクロレンズを備えた基板を得た。得られた基板(硬化後の樹脂)の屈折率nは、1.51であった。また、得られた基板の樹脂層(マイクロレンズを除く部分)の厚さは50μmであった。また、扁平形状(略楕円形状)のマイクロレンズは、その短軸方向の長さ(直径)が70μm、長軸方向の長さが107μm、曲率半径が53.5μm、高さが50μmであった。また、マイクロレンズが形成されている面側の非レンズ領域における傾斜部の占有率は100%であった。
次に、平板と凹部付き基板とを取り除き、マイクロレンズ基板を得た。
以上のようにして製造されたマイクロレンズ基板と、押出成形により作製したフレネルレンズ部とを組み立てることにより、図8に示すような透過型スクリーンを得た。
【0102】
(実施例2〜5)
凹部付き基板を形成する際の、マスクの厚さ、レーザ光の照射条件(形成される初期孔の形状、初期凹部の深さ)、エッチング液の循環速度、エッチング液への浸漬時間を調整することにより、凹部付き基板の凹部の形状、配列パターンを表1に示すようなものにした以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
【0103】
(比較例)
凹部付き基板を形成する際に、エッチング液を循環させないことにより、傾斜部を形成しなかった以外は、前記実施例1と同様にしてマイクロレンズ基板、透過型スクリーンを製造した。
前記各実施例および比較例について、凹部付き基板を製造する際に形成された初期孔の形状、初期凹部の深さ、エッチング工程におけるエッチング液の循環速度、製造された凹部付き基板が有する凹部の形状、配列パターン、製造されたマイクロレンズ基板が有するマイクロレンズの形状、配列パターン、傾斜部の角度等を表1、表2にまとめて示す。
【0104】
【表1】


【0105】
[リア型プロジェクタの作製]
前記各実施例および各比較例の透過型スクリーンを用いて、図9に示すようなリア型プロジェクタを、それぞれ作製した。
[コントラストの評価]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェタについて、コントラストの評価を行った。
【0106】
コントラスト(CNT)として、暗室において413lxの全白光が入射した時の白表示の正面輝度(白輝度)LW[cd/m]と、明室において光源を全消灯した時の黒表示の正面輝度の増加量(黒輝度増加量)LB[cd/m]との比LW/LBを求めた。なお、黒輝度増加量は、暗室の黒表示の輝度に対する増加量をいう。また、明室での測定は、外光照度が約185lxの環境下で行った。暗室での測定は、外光照度が0.1lx以下の環境下で行った。
【0107】
[視野角の測定]
前記各実施例および各比較例のリア型プロジェタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた状態で、鉛直方向および水平方向での視野角の測定を行った。
視野角の測定は、変角光度計(ゴニオフォトメータ)で、1度間隔で測定するという条件で行った。
【0108】
[回折光、モアレ、色ムラの評価]
前記各実施例および比較例のリア型プロジェタの透過型スクリーンにサンプル画像を表示させた。表示された画像について、回折光、モアレ、色ムラの発生状況を以下の4段階の基準に従い評価した。
◎:回折光、モアレ、色ムラが全く認められない。
○:回折光、モアレ、色ムラがほとんど認められない。
△:回折光、モアレ、色ムラのうち少なくとも一つがわずかに認められる。
×:回折光、モアレ、色ムラのうち少なくとも一つが顕著に認められる。
これらの結果を表2にまとめて示す。
【0109】
【表2】


【0110】
表2から明らかなように、本発明では、コントラストに優れるとともに、視野角特性にも優れていた。また、本発明では、回折光、モアレ、色ムラのない優れた画像を表示することができた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【0111】
【図1】本発明のレンズ基板を示す縦断面図である。
【図2】本発明のレンズ基板の平面図である。
【図3】本発明のレンズ基板の製造に適用される凹部付き基板を示す模式的な縦断面図である。
【図4】凹部付き基板の製造工程を示す模式的な縦断面図である。
【図5】凹部付き基板の製造工程を示す模式的な縦断面図である。
【図6】凹部付き基板の製造工程に用いられるエッチング装置を示す概略図である。
【図7】本発明のレンズ基板の製造方法の一例を示す模式的な縦断面図である。
【図8】図1に示したレンズ基板を備えた、本発明の透過型スクリーンを示す模式的な縦断面図である。
【図9】本発明のリア型プロジェクタの構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0112】
1…マイクロレンズ基板 2…基板本体 21…マイクロレンズ 212…中心 22…傾斜部 23…樹脂材料 25…第1の行 26…第2の行 4…マスク形成用膜 5…フレネルレンズ部 51…フレネルレンズ 6…凹部付き基板(マイクロレンズ形成用凹部付き基板) 61…凹部(マイクロレンズ形成用凹部) 61’…凹部(形成途中の凹部) 62…傾斜部 7…基板 71…初期凹部 8…マスク 81…初期孔(開口部) 89…裏面保護膜 9…エッチング液 E1…エッチング装置 E11…エッチング糟 E12…回収部 E13…搬送路 E14…ポンプ 11…平板 10…透過型スクリーン 20…スペーサー 3…ブラックマトリックス 31…開口部 300…リア型プロジェクタ 310…投写光学ユニット 320…導光ミラー 340…筐体




 

 


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