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光学素子の製造方法、投射型表示装置 - セイコーエプソン株式会社
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発明の名称 光学素子の製造方法、投射型表示装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10712(P2007−10712A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−187852(P2005−187852)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 熊井 啓友 / 澤木 大輔
要約 課題
透過率等の光学特性に優れ、偏光素子や回折格子として好適に用いることができる光学素子の製造方法を提供する。

解決手段
本発明の光学素子の製造方法は、誘電体からなる基板11A上に金属層2を形成する工程と、前記金属層2に対して、放電加工により所定のドット列パターンを有する凹部15を形成する工程と、前記凹部15が形成された金属層2の表面を陰極と対向させた状態で、当該金属層2の表層の一部を陽極酸化することで、前記金属層2と、線状の溝パターン15aを有する金属酸化層2cとの積層体を形成する工程と、前記金属酸化層2cをマスクとして前記金属層2のエッチングを行い、当該金属層2に線状の溝パターン13を形成することで、前記金属層2(2a)と前記金属酸化層2cとが積層されてなる微細構造体12を形成する工程と、を具備してなることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
誘電体からなる基板上に金属層を形成する工程と、
前記金属層に対して、放電加工により所定のドット列パターンを有する凹部を形成する凹部形成工程と、
前記凹部が形成された金属層の表面を陰極と対向させた状態で、当該金属層の表層の一部を陽極酸化することで、前記金属層と、線状の溝パターンを有する金属酸化層との積層体を形成する工程と、
前記金属酸化層をマスクとして前記金属層のエッチングを行い、当該金属層に線状の溝パターンを形成することで、前記金属層と前記金属酸化層とが積層されてなる微細構造体を形成する工程と、を具備してなることを特徴とする光学素子の製造方法。
【請求項2】
前記凹部形成工程は、前記金属層と、基材上に所定パターンで形成されたカーボンナノチューブ電極との間に生じる放電により、当該金属層に前記凹部を形成する工程であることを特徴とする請求項1に記載の光学素子の製造方法。
【請求項3】
前記カーボンナノチューブ電極が、前記金属層に形成する凹部のドット列パターンと同一パターンで前記基材上に形成されてなることを特徴とする請求項2に記載の光学素子の製造方法。
【請求項4】
前記カーボンナノチューブ電極が、前記金属層に形成する凹部のドット列パターンの一列と同一パターンで前記基材上に形成されてなり、
前記放電加工時には、前記カーボンナノチューブ電極が形成された基材を、前記金属層に対し、当該カーボンナノチューブ電極の配列方向と交差する方向に相対移動させつつ所定周期で放電を行うことを特徴とする請求項2に記載の光学素子の製造方法。
【請求項5】
前記凹部形成工程において、前記放電加工を油浴中で行うことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光学素子の製造方法。
【請求項6】
光源装置と、該光源装置から射出された光を変調する光変調装置と、該光変調装置により変調された光を投射する投射装置とを備える投射型表示装置であって、
前記光変調装置の光入射側と光射出側とに偏光素子が配設されてなり、該偏光素子が請求項1ないし5のいずれか1項に記載の方法により製造された光学素子により構成されてなることを特徴とする投射型表示装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学素子の製造方法、投射型表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクタ等の投射型表示装置における光変調装置として、液晶装置が用いられている。このような液晶装置としては、対向配置された一対の基板間に液晶層が挟持された構成のものが知られており、この一対の基板の内側には、液晶層に電圧を印加するための電極が形成されている。また、この電極の内側には、電圧無印加時において液晶分子の配列を制御する配向膜が形成され、配向膜としてはポリイミド膜の表面にラビング処理を施したものが公知である。
【0003】
一方、一対の基板の外側(液晶層に対向する面とは異なる面側)には偏光板が配設されており、液晶層に対して所定の偏光が入射される構成となっている。偏光板としては、有機化合物の樹脂フィルムを一方向に延伸することによってヨウ素や二色性染料を一定方向に配向させて製造される偏光フィルムの他、特許文献1に開示されたようなワイヤーグリッド型の偏光素子が知られている。
【特許文献1】特開2004−4621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、アルミニウム膜の表面に凹部のドット列を形成し、該凹部のドット列が形成されたアルミニウム表面を陰極の表面と対向させた状態で陽極酸化することにより、酸化アルミニウムからなるワイヤーグリッドを形成している。ところが、当該特許文献1では、ガラス基板上に形成するワイヤーグリッドを誘電体の酸化アルミニウム膜で構成しているため、プロジェクタ等に用いる偏光素子としては透過率やコントラスト等の光学特性が低く、特にプロジェクタ用の偏光素子として光学特性が不十分なものである。
【0005】
また、上記特許文献1では、アルミニウム膜の表面に対する凹部形成は、炭化珪素などの高硬度の型をアルミニウム膜に接触させ、型の形状を転写する方法により行っている。しかしながら、型による凹部形成は、金属膜の塑性変形を伴うため、型自体の磨耗、損傷が激しく、生産性に欠ける場合がある。
【0006】
本発明は上記問題を解決するためになされたもので、透過率等の光学特性に優れ、偏光素子や回折格子等として好適に用いることができる光学素子について、その効率的な製造方法を提供することを目的としている。また、本発明は、そのような方法により製造された光学素子を備えた投射型表示装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の光学素子の製造方法は、誘電体からなる基板上に金属層を形成する工程と、前記金属層に対して、放電加工により所定のドット列パターンを有する凹部を形成する凹部形成工程と、前記凹部が形成された金属層の表面を陰極と対向させた状態で、当該金属層の表層の一部を陽極酸化することで、前記金属層と、線状の溝パターンを有する金属酸化層との積層体を形成する工程と、前記金属酸化層をマスクとして前記金属層のエッチングを行い、当該金属層に線状の溝パターンを形成することで、前記金属層と前記金属酸化層とが積層されてなる微細構造体を形成する工程と、を具備してなることを特徴とする。
【0008】
このような製造方法によると、有機材料を用いない光学素子を製造することができ、該製造される光学素子は耐光性及び耐熱性に非常に優れたものとなる。
また、誘電体からなる基板上に、導電体としての金属層と、金属酸化層との積層体からなる線状の溝パターンを有する微細構造を形成しているため、基板と金属層との誘電率の相違により、当該光学素子を例えばプロジェクタ等の投射型表示装置の偏光素子として用いた場合には、透過率やコントラスト等が高く好適なものとなる。
さらに、微細構造体を陽極酸化法により形成しているため、当該微細構造体の溝パターンの深さ方向において溝幅を均一にすることができ、しかも微細構造体の幅と高さのアスペクト比を大きくとることができるようになる。その結果、当該光学素子を例えばプロジェクタ等の投射型表示装置における偏光素子として用いた場合には、透過率やコントラスト等の光学特性に優れた偏光素子を構成することが可能となる。
また、本発明の方法により製造された光学素子に形成される微細構造体は、金属層上に金属酸化層が積層されてなるため、金属層として光反射性のものを採用した場合に、金属酸化層により光反射を防止することが可能となる。
さらに、上記陽極酸化法を用いて金属層と金属酸化層との積層体を形成することで、これらの積層境界部が連続的な結晶構造となる(つまり不連続界面が形成されない)ため、微細構造体の強度面の信頼性も向上させることが可能となる。
さらにまた、陽極酸化工程に先立って、放電加工により金属層に凹部を形成するものとしている。放電加工は、非接触で被加工体を加工できるものであるため、従来のような型による接触式の転写方法に比して電極等を磨耗、損傷する惧れもなく、非常に高効率で、生産性の高い方法であり、該放電加工の導入により安価で高信頼性の光学素子を提供することが可能となる。
【0009】
本発明の光学素子の製造方法において、前記金属層と、基材上に所定パターンで形成されたカーボンナノチューブ電極との間に生じる放電により、当該金属層に凹部を形成することができる。このようなカーボンナノチューブ電極の採用により、極めて微小なドット列パターンの電極を得ることができ、ひいては所望の微細構造体を有した光学素子を製造することが可能となる。
【0010】
前記カーボンナノチューブ電極は、例えば前記金属層に形成する凹部のドット列パターンと同一パターンで前記基材上に形成されてなるものとすることができる。この場合、金属層に対して一括の放電加工(一工程)で、所望のドット列パターンを有した凹部を形成することが可能となる。
【0011】
また、前記カーボンナノチューブ電極は、例えば前記金属層に形成する凹部のドット列パターンの一列と同一パターンで前記基材上に形成されてなり、前記放電加工時には、前記カーボンナノチューブ電極が形成された基材を、前記金属層に対し、当該カーボンナノチューブ電極の配列方向と交差する方向に相対移動させつつ放電を行うものとすることができる。このように一列に配列したカーボンナノチューブ電極を走査させて、所定間隔毎に放電加工を行うことで、所望のドット列パターンを有した凹部を形成することができる。
【0012】
また、前記放電加工は油浴中で行うものとすることができる。このように金属層とカーボンナノチューブ電極間に誘電体である油を介在させることで、金属層とカーボンナノチューブ電極間の異常放電を回避することが可能となる。
【0013】
さらに、本発明の光学素子の製造方法では、前記金属層のエッチングを行う前に、前記金属酸化層の溝底部に残存する当該金属酸化層をエッチングにより除去する工程を含むものとすることができる。このようにエッチングを2段階で行うことにより、微細構造体の溝幅及びアスペクト比を好適に制御することが可能となる。また、特に当該金属酸化のエッチングをウェットで行えば、金属酸化層に形成される溝の幅を拡大することが可能となる。
【0014】
また、前記金属層のエッチング工程において、当該エッチングをドライエッチングで行うことで、当該金属層を異方的にエッチングすることができる。このような異方性エッチングにより、金属層に形成する線状の溝パターンについて、その溝幅及びアスペクト比を好適に制御することが可能となる。
【0015】
なお、本発明の方法により製造される光学素子は、誘電体からなる基板上に、線状の溝パターンを有する微細構造体が形成されてなり、前記微細構造体が、前記基板側から金属層と、該金属層の酸化物からなる金属酸化層とが積層されてなる積層体により構成され、前記金属層と前記金属酸化層との境界は、連続する結晶構造を具備してなることを特徴とする。
このような光学素子は、有機材料を用いていないため耐光性及び耐熱性に非常に優れたものとなる。また、金属層と金属酸化層との積層境界が連続的な結晶構造を備えている(つまり不連続界面が形成されない)ため、微細構造体は優れた強度を備え、機械的信頼性が非常に高いものとなっている。
また、特に誘電体からなる基板上に金属層を積層し、その上に金属酸化層を積層しているため、金属層として光反射性のものを採用した場合に、金属酸化層により光反射を防止することが可能となる。
【0016】
なお、本発明の金属層に適用可能な金属材料としては、例えばアルミニウムが好適で、その他にも、銀、金、銅、パラジウム、白金、ロジウム、シリコン、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、チタン、ルテニウム、ニオブ、ネオジウム、イッテルビウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、ビスマス、又はこれらの合金などを用いることができる。
【0017】
次に、上記課題を解決するために、本発明の投射型表示装置は、光源装置と、該光源装置から射出された光を変調する光変調装置と、該光変調装置により変調された光を投射する投射装置とを備える投射型表示装置であって、前記光変調装置の光入射側と光射出側とに偏光素子が配設されてなり、該偏光素子が上述した方法により製造された光学素子により構成されてなることを特徴とする。
【0018】
このような投射型表示装置は信頼性が非常に高いものとなる。つまり、上述した方法により製造された光学素子は、有機材料を含まない構成であるため耐光性や耐熱性に優れ、しかも、深さ方向に均一且つアスペクト比の大きいアルミニウムからなる微細構造体により構成されてなるため、透過率及びコントラスト等の光学特性が優れたものとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照して説明する。なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0020】
[プロジェクタ]
図1は、本発明の製造方法により得られる光学素子を偏光素子(偏光板)として用いたプロジェクタ(投射型表示装置)の一実施形態であり、その要部を示す概略構成図である。本実施形態のプロジェクタは、光変調装置として液晶装置を用いた液晶プロジェクタである。
【0021】
図1において、810は光源、813、814はダイクロイックミラー、815、816、817は反射ミラー、818は入射レンズ、819はリレーレンズ、820は出射レンズ、822、823、824は液晶装置からなる光変調装置、825はクロスダイクロイックプリズム、826は投射レンズ、831、832、833は入射側の偏光板(光学素子)、834、835、836は出射側の偏光板である。
【0022】
光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とからなる。なお、光源810としては、メタルハライド以外にも超高圧水銀ランプ、フラッシュ水銀ランプ、高圧水銀ランプ、Deep UVランプ、キセノンランプ、キセノンフラッシュランプ等を用いることも可能である。
【0023】
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、偏光板831を介して赤色光用液晶光変調装置822に入射される。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、偏光板832を介して緑色光用液晶光変調装置823に入射される。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および出射レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が偏光板833を介して青色光用液晶光変調装置824に入射される。
【0024】
各光変調装置822〜824により変調された3つの色光は、各色偏光板834〜836を介してクロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0025】
ここで、本実施形態のプロジェクタにおいては、偏光板831〜836として、無機材料からなるものを採用している。メタルハライドランプ811からなる光源810は高エネルギーの発光が行われるものであるため、有機材料では当該高エネルギーの光により分解ないし変形が生じる惧れがある。そこで、耐光性及び耐熱性の高い無機材料(金属材料を含む)で偏光板831〜836を構成している。
【0026】
図2は偏光板831〜836(以下、これらを総称して偏光板1とも言う)の概略構成を示す斜視図、図3は偏光板1の平面模式図、図4は偏光板1の断面模式図、図5は偏光板1を光が透過する際の作用を示す説明図である。
【0027】
偏光板1は、本発明の光学素子に係るもので、光源810から射出された各色光を、偏光選択して直線偏光のみを透過させるものである。具体的には図2に示すように、ガラス基板等の誘電材料からなる透光性の基材11A上に、ストライプ状に配置された複数の非有機材料(無機材料及び/又は金属材料)からなる格子(微細構造体)12を備えて構成されている。
【0028】
図3に示すように、格子12のピッチPは入射光の波長よりも小さい値であり、例えば140nm以下に設定されている。また、格子12の幅は、例えば70nm以下に設定されており、製造上の都合もあるが、入射光の波長の1/10程度にするとより好ましい。なお、格子12の隙間に形成される線状の溝パターン13は空間とされているが、例えば当該格子12と異なる透光性の材料を挿入するものとしても良い。
【0029】
また、格子12は、図2及び図4に示すように積層構造を有している。ここでは、基材11A上に、導電体であるアルミニウムからなる金属層2aと、そのアルミニウムの酸化物(酸化アルミニウム)からなる金属酸化層2cとが積層された構成とされている。ここで、金属層2aは光反射性を有しているのに対し、金属酸化層2は光反射防止性を有しているため、本実施形態の偏光板1は、選択非透過光を反射させない機能(反射防止機能)を具備したものとなる。
【0030】
なお、積層体である格子(微細構造体)12の高さは10nm〜50nm程度となっている。また、金属層2aを構成する金属材料としては、アルミニウム以外にも、銀、金、銅、パラジウム、白金、ロジウム、シリコン、ニッケル、コバルト、マンガン、鉄、クロム、チタン、ルテニウム、ニオブ、ネオジウム、イッテルビウム、イットリウム、モリブデン、インジウム、ビスマス、又はこれらの合金などを用いることができる。
【0031】
さらに、格子12は、金属層2aと金属酸化層2cとの積層境界部2bが連続的な結晶構造を備えている。つまり、積層境界部2bには不連続界面が形成されておらず、金属層2aを構成するアルミニウムと、金属酸化層2cを構成する酸化アルミニウムとが連続した濃度分布をもって形成されている。
【0032】
このような偏光板1は、図5に示すように、格子12の屈折率nと、格子12間に介在する空間11Bの屈折率nとが異なるため、偏光板1に入射した光の偏光方向により、偏光選択が行なわれる。具体的には、格子12の延在方向と垂直な方向に偏光軸を有する直線偏光Xを透過させ、格子12の延在方向と平行な方向に偏光軸を有する直線偏光Yを反射する。したがって、本実施形態の偏光板1は、光反射型偏光子と同じ作用、すなわち光軸(透過軸)と平行な偏光を透過させ、垂直な偏光に対しては反射させる作用を有している。
【0033】
偏光板1を透過して生成された直線偏光は、光変調手段としての液晶装置822〜824に入射する。液晶装置822〜824は、例えば図6に示したような構成を備えている。図6は、液晶装置822〜824の断面模式図である。
【0034】
液晶装置822〜824は、ガラスやプラスチック等の透明基板で構成される2枚の基板(素子基板10,対向基板20)を含んで構成され、該一対の基板10,20間に液晶層50が挟持されている。素子基板10の液晶層50側にはITO等で構成された透明電極9がマトリクス状に形成されており、透明電極9のさらに液晶層50側には、液晶分子の配向規制を行う配向膜11が基板全面に形成されている。
【0035】
一方、対向基板20の液晶層50側には、基板全面にベタ状の透明電極23が形成されており、透明電極23のさらに液晶層50側には、液晶分子の配向規制を行う配向膜21が基板全面にベタ状に形成されている。
【0036】
図6の構成においては、一対の基板10,20が、シール材(図示略)を介して貼り合わせられ、その内部に液晶が封入されている。この場合、液晶層50の液晶モードとしてTN(Twisted Nematic)モードが採用されているが、その他にもSTN(Super Twisted Nematic)モード、ECB(Electrically Controlled Birefringence)モード等を採用することができる。
【0037】
素子基板10は、ガラスや石英等の透光性の基板であって、画素電極9に対する電圧印加をスイッチング駆動するTFT素子(図示略)を備えている。画素電極9はITO(インジウム錫酸化物)等の透光性且つ導電性の材料にて構成されており、膜厚が50nm〜100nm程度(例えば85nm)とされている。また、配向膜11はSiOの斜方蒸着材料から構成されており、液晶分子の配向を規制している。なお、配向膜11の膜厚は1nm〜10nm程度(例えば5nm)とされている。
【0038】
一方、対向基板20は、素子基板10と同様、ガラスや石英等の透光性の基板から構成されており、その液晶層側にITO(インジウム錫酸化物)等の透光性且つ導電性の材料にて構成された共通電極23が、膜厚50nm〜150nm程度(例えば140nm)に形成されている。また、共通電極23のさらに液晶層側には、SiOの斜方蒸着材料から構成される配向膜21が形成されており、その膜厚は1nm〜10nm程度(例えば5nm)とされている。
【0039】
このような液晶装置822〜824では、図1に示した偏光板831,832,833を介して入射する直線偏光の位相制御が行われる。つまり、電極9,23に対する印加電圧により液晶層50の駆動制御を行い、当該入射光の位相を制御するものとしている。位相制御された光は、光射出側に配設された偏光板834,835,836に入射して変調される。
【0040】
液晶装置822〜824及び偏光板831〜836で変調された各色光は、上述した通り、クロスダイクロイックプリズム825に入射して形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投写され、画像が拡大されて表示される。
【0041】
本実施の形態では、偏光板1(831〜836)に関して有機材料を用いないものとしている。つまり、メタルハライドランプから供給される高エネルギー光により劣化する惧れのある有機材料を排除して、無機材料及び/又は金属材料から偏光板1(831〜836)を構成している。また、当該偏光板1(831〜836)は、以下に示すような方法により製造しているため、製造コストも安価で、非常に信頼性の高いものとなっている。
【0042】
[偏光板の製造方法]
以下、図2〜図4に示した偏光板1の製造方法の一例について説明する。図7は、偏光板1の製造工程を示す断面模式図、図8は当該製造工程で行う陽極酸化に用いる装置の概略を示す説明図である。
まず、図7(a)に示すように、透光性の誘電体材料であるSiOからなる基板11Aに対して、アルミニウムをスパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などにより基板全面に形成し、膜厚が100nm〜300nm程度のアルミニウム層2を形成する。
【0043】
次に、図7(b)に示すように、アルミニウム層2の表面に所定のドット列パターンの凹部15を形成する。ここでは、放電加工法を用いて凹部15を形成するものとしている。具体的には、図9に示すような放電加工用型35を用いている。
【0044】
放電加工用型35は、所定のドット列パターンに配列されてなる凸部34を有したガラス基板30を基台としてなるもので、該凸部34上に触媒層31を介してカーボンナノチューブ電極32が形成されてなるものである。ここで、凸部34ひいてはカーボンナノチューブ電極32のドット列パターンは、アルミニウム層2の表面に形成する凹部15のドット列パターンに倣ったものである。
【0045】
このような放電加工用型35を用いて、図9に示すように、カーボンナノチューブ電極32がアルミニウム層2と対向するように設置し、カーボンナノチューブ電極32とアルミニウム層2との間に放電EDを生じさせることにより、カーボンナノチューブ電極32のパターンに対応した凹部15をアルミニウム層2に形成するものとしている。このような放電加工は被加工面(アルミニウム層2の表面)と非接触で行われることが最大の特徴で、放電加工用型35は加工時に磨耗や損傷が生じる可能性が極めて低いものとなっている。
【0046】
なお、放電加工は例えば図10に示すような油浴33中で行うことができる。このようにカーボンナノチューブ電極32とアルミニウム層2との間に誘電体である油を介在させることで、カーボンナノチューブ電極32とアルミニウム層2との間の異常放電を回避することができる。
【0047】
また、例えば図11に示すように、ガラス基板30上に一列のドットパターンで凸部34を形成し、つまりカーボンナノチューブ電極32を一列のドットパターン(形成する凹部15のドット列パターンのうちの一列のパターンに対応)としたものを放電加工用型として用いることもできる。このような放電加工用型36は、図11の矢印で示したように、アルミニウム層2に対し、カーボンナノチューブ電極32の配列方向と交差する方向に当該型36を相対移動させつつ間欠式に放電を行い、所定間隔毎に放電加工を行うことで、図12に示すような所望のドット列パターンを有した凹部15を形成することができる。
【0048】
なお、凸部34(すなわちカーボンナノチューブ電極32)の形状としては、柱状(例えば四角柱)の他、半球状のもの、或いは錐状(例えば四角錐)のものを採用することができる。
【0049】
次に、図7(c)に示すように、凹部15(図7(b)参照)のドット列が形成されたアルミニウム層2の酸化処理を行うことによって、ドット列に対応する孔15aを形成する。
具体的には、図8に示す陽極酸化装置を用いた陽極酸化法により孔形成を行う。つまり、図8に示すように、陽極としてのAl膜2の表面と、白金からなる陰極40の表面とが対向するように配置し、約5%の濃度を有する硫酸水溶液41中で、約30Vの電圧を印加することにより約20分間の酸化処理を行う。
これにより、図7(c)に示したような微細な孔15aを有する酸化アルミニウム層2cが自己組織化的に形成される。
【0050】
なお、このような陽極酸化工程においては、アルミニウム層2の一部が酸化されないで残存する態様で行われる。つまり、陽極酸化工程の結果、孔15aの底に酸化アルミニウム層2cが形成され、その底のさらに基板11A側にアルミニウム層2が残存する形となるのである。
【0051】
この後、図7(d)に示すように、約5wt%のリン酸が含有された水溶液を用いて、約30℃で、陽極酸化処理により形成されたドット列に対応する孔15aをウェットエッチングにより拡大する。なお、当該エッチングは少なくとも孔15aからアルミニウム層2の表面が露出するまで行う。また、当該エッチングはドライエッチングで行うこともでき、エッチャントとしては例えばClとBClの混合ガスに、必要に応じてAr、Nを添加したものを用いることができる。主たるエッチャントはClとBClの混合ガスであるが、Ar、Nの添加により垂直性が向上する。
【0052】
この際、本実施形態では、前述した通り孔15aの列間隔が行間隔よりも大きな配列パターンを有しているため、孔15aが拡大することにより行方向に隣接する孔15a,15a同士が繋がり、当該行方向に溝パターンが形成される。したがって、列方向に酸化アルミニウム層2cが延在してなる線状の微細構造を得ることができる。
【0053】
続いて、図7(e)に示すように、酸化アルミニウム層2cの下層(基板11A側)に形成されたアルミニウム層1を、酸化アルミニウム層2cをマスクとしてエッチング処理する。ここでは、ドライエッチング(エッチングガス:ClとBClの混合ガス)による異方性エッチングを行い、酸化アルミニウム層2cの孔15aから連続する孔を当該アルミニウム層2に形成するものとしている。その結果、図7(e)及び図2〜図4に示すような線状の溝パターン13を有する格子(微細構造体)12、つまり金属層(アルミニウム層)2aと金属酸化層(酸化アルミニウム層)2cとが積層されてなる線状の微細構造体である格子12を具備した偏光板1が作製される。
【0054】
このような陽極酸化法により形成された孔15aは、当該溝の深さ方向において溝幅が均一となり、つまり溝の上部と下部とのデューティ比が均一となる。また、陽極酸化法により形成した孔15aをウェットエッチングにより拡大することで、より容易に細孔が直線状に連結した溝パターンを形成することができる。
【0055】
さらに、ウェットエッチング後に、孔15aの底に残存するアルミニウム層2を異方性エッチングにより除去し、基板11Aまで開口した溝パターン13を得るものとしているため、最終的に形成される溝パターン13は、その溝の深さ方向において溝幅が均一となり、つまり溝の上部と下部とのデューティ比が均一となる。その結果、溝パターン13が延びる方向と平行な方向の偏光と、溝パターン13が延びる方向と直交する方向の偏光とで有効屈折率を良好に異ならせることが可能となり、ひいては良好な複屈折特性を具備する偏光板1を製造可能となる。さらに、誘電体からなる基板11Aの上に導電体であるアルミニウム層2aが形成されてなるものであるため、偏光特性が良好で、プロジェクタ等の投射型表示装置に用いた場合に、光の透過性や当該プロジェクタのコントラストが高いものとなる。
【0056】
なお、本実施の形態では、微細構造を有する光学素子を偏光素子(偏光板)として用いる例を示したが、その他にも回折素子やPBS(Polarized Beam Splitter)、位相差板として用いることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本実施形態のプロジェクタの概略構成を示す模式図。
【図2】偏光板の一実施形態を模式的に示す斜視図。
【図3】偏光板の一実施形態を模式的に示す平面図。
【図4】偏光板の一実施形態を模式的に示す断面図。
【図5】偏光板の作用を示す説明図。
【図6】光変調装置として用いた液晶装置の一実施形態を模式的に示す断面図。
【図7】偏光板の製造方法の一例を模式的に示す断面図。
【図8】陽極酸化装置の一例を模式的に示す説明図。
【図9】放電加工用型の一例とその使用例を示す説明図。
【図10】放電加工法の一変形例を示す説明図。
【図11】放電加工法の一変形例を示す説明図。
【図12】放電加工法の一変形例を示す説明図。
【符号の説明】
【0058】
1,831〜836…偏光板、2…アルミニウム層、2a…金属層、2c…酸化アルミニウム層(酸化金属層)、11A…基板、12…格子(微細構造体)、13…溝パターン、32…カーボンナノチューブ電極、35…放電加工用型




 

 


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