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弾性表面波素子及びその製造方法、弾性表面波センサ、並びに弾性表面波センサシステム - セイコーエプソン株式会社
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発明の名称 弾性表面波素子及びその製造方法、弾性表面波センサ、並びに弾性表面波センサシステム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−10378(P2007−10378A)
公開日 平成19年1月18日(2007.1.18)
出願番号 特願2005−188990(P2005−188990)
出願日 平成17年6月28日(2005.6.28)
代理人 【識別番号】100098062
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 明彦
発明者 山崎 隆
要約 課題
基板の表面にダイヤモンド層と圧電体層とIDTとを積層したダイヤモンドSAW素子の構造をそのまま利用してSAWセンサのトランスデューサに使用し、その高周波化を可能にする。

解決手段
Si基板2表面にダイヤモンド層3とZnOの圧電体層4と交差指電極からなる入力用及び出力用IDT6,8とSiO の絶縁保護膜12とを積層してSAW素子1を形成する。両IDTの間の圧電体層及び絶縁保護膜を部分的に除去して、ダイヤモンド層の表面を露出させた感応部11を形成する。感応部の表面に測定対象の生体物質や化学物質を認識するための受容体を固定して、SAWセンサが得られる。
特許請求の範囲
【請求項1】
ダイヤモンド層及び圧電体層を積層した基板と、前記基板に形成された少なくとも1組の交差指電極からなるIDTと、前記IDTにより励振される弾性表面波の伝搬方向に沿って前記IDTを挟むようにそれらの両側に配置される1対の反射器と、前記弾性表面波の伝搬方向に沿って前記ダイヤモンド層の表面を露出させた感応部とを備えることを特徴とする弾性表面波素子。
【請求項2】
前記IDTが励振用IDTと受信用IDTとからなり、前記感応部が前記励振用IDTと前記受信用IDTとの間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項3】
前記IDTが1組の交差指電極を有する1つのIDTからなり、前記感応部が前記交差指電極の電極指と電極指との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項4】
前記IDTが1組の交差指電極を有する1つのIDTからなり、前記感応部が前記IDTと一方の前記反射器との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の弾性表面波素子。
【請求項5】
前記IDT全体を被覆する絶縁保護膜を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波素子。
【請求項6】
前記絶縁保護膜がSiOで形成されていることを特徴とする請求項5に記載の弾性表面波素子。
【請求項7】
前記交差指電極の表面に形成された絶縁膜を更に有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の弾性表面波素子。
【請求項8】
前記交差指電極がAl又はAlを主成分とする合金で形成され、かつ前記絶縁膜がAlで形成されていることを特徴とする請求項7に記載の弾性表面波素子。
【請求項9】
基板の表面にダイヤモンド層と圧電体層と少なくとも1組の交差指電極からなるIDTとを積層して弾性表面波素子を形成する過程と、フォトリソグラフィ技術を用いて前記弾性表面波素子の表面をエッチングし、前記ダイヤモンド層の表面を露出させて感応部を形成する過程とを有することを特徴とする弾性表面波素子の製造方法。
【請求項10】
前記弾性表面波素子を形成する過程において、前記弾性表面波素子の前記IDT全体を被覆する絶縁保護膜を更に積層することを特徴とする請求項9に記載の弾性表面波素子の製造方法。
【請求項11】
前記弾性表面波素子を形成する過程において、前記交差指電極の表面を被覆する絶縁膜を更に形成することを特徴とする請求項9に記載の弾性表面波素子の製造方法。
【請求項12】
請求項1乃至8のいずれかに記載される弾性表面波素子と、前記弾性表面波素子の前記感応部に固定されて目的の物質を認識するための受容体とを備えることを特徴とする弾性表面波センサ。
【請求項13】
請求項12に記載される複数の弾性表面波センサを有し、前記複数の弾性表面波センサが単一の共通の前記基板に設けられることを特徴とする弾性表面波センサシステム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば目的の生体物質や化学物質を検出しかつ/又はその物性を測定するセンサにおいて、その際に発生する化学的又は物理的変化を電気的信号に変換するトランスデューサとして利用するのに適した弾性表面波素子及びその製造方法に関する。更に本発明は、この弾性表面波素子を用いた弾性表面波センサ及びセンサシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、特にバイオテクノロジや医療などの技術分野において、測定対象の生体物質又は化学物質を認識する受容体の化学的又は物理的変化を検出するために、水晶振動子などの圧電素子をトランスデューサとして利用した圧電センサが開発されている(例えば、非特許文献1、特許文献1及び2を参照)。トランスデューサには、水晶振動子以外の圧電素子として、圧電基板表面に形成した交差指電極からなるIDT(すだれ状トランスデューサ)により励振する弾性表面波(SAW:surface acoustic wave)を利用したSAW素子を用いることができる(例えば、特許文献3乃至6を参照)。
【0003】
また、DNAなどの生体物質を解析するバイオセンサは、基体にダイヤモンドやダイヤモンドライクカーボン(DLC)などの炭素系物質からなる表面処理層を形成して化学修飾すると、測定対象に反応するオリゴヌクレオチドや生理活性物質を安定して強力に固定できることが知られている(例えば、特許文献2及び7を参照)。通常このようなバイオセンサは、水晶振動子の水晶板の表面に形成した金電極の上にDLC膜などからなる表面処理層を形成し、これを化学修飾して活性化させ、オリゴヌクレオチドなどを固定して作成する。
【0004】
他方、最近は、ダイヤモンド薄膜及び圧電体膜を積層した基板にIDTを形成することにより、SAWの伝搬速度を高速化して高周波化を可能にした所謂ダイヤモンドSAW素子が開発されている(例えば、非特許文献2及び3、特許文献8を参照)。更にこのSAW素子は、その最上層にSiO膜を積層することにより、水晶基板を用いた従来のSAW素子より更に優れた温度特性を得ることができる(例えば、非特許文献3を参照)。
【0005】
【非特許文献1】工業所有権総合情報館編,「特許流通支援チャート・化学2・バイオセンサ」,社団法人発明協会,2002年6月29日,p.3〜5及び16〜18
【非特許文献2】鹿田真一、外8名,「ダイヤモンドSAWデバイス(1)」,NEW DIAMOND,オーム社,平成11年4月,第53号Vol.15No.2、p.1−6
【非特許文献3】鹿田真一、外8名、「ダイヤモンドSAWデバイス(2)」、NEW DIAMOND、オーム社、平成11年7月、第54号Vol.15No.3、p.9−16
【特許文献1】特開2000−65708号公報
【特許文献2】特開2003−172737号公報
【特許文献3】特開平6−133759号公報
【特許文献4】特開平8−68781号公報
【特許文献5】特開2002−48797号公報
【特許文献6】特開平9−80035号公報
【特許文献7】特開2001−204463号公報
【特許文献8】特開平7−273591号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように圧電素子を利用したセンサは、測定対象・条件や用途などによって圧電素子の高周波化が好ましい場合が期待される。その場合、センサのトランスデューサとしてダイヤモンドSAW素子を用いることができれば好都合であるが、本願発明者が知る限り、そのようなSAWセンサが実際に使用されている例は見当たらない。
【0007】
従来の圧電センサは、目的の生体物質や化学物質を固定するためのセルや吸着体などの受容体をSAW素子の表面に形成している。ダイヤモンドSAW素子をトランスデューサに用いた場合、同様に、受容体として測定対象に反応するオリゴヌクレオチドや生理活性物質を固定するために、SAW素子の表面に非常に硬質のダイヤモンド又はDLC膜などを形成すると、SAWの伝搬速度が変化してSAW素子の特性を劣化させる虞がある。
【0008】
また、DLC膜は、一般に公知の蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、ECRCVD法、誘導結合プラズマ法などを用いて成膜する。これらの成膜方法は高温の環境下で行われる場合が多い。そのため、SAW素子は、IDTを形成するAl電極がDLC膜の形成時に高温による損傷を受けるという問題が生じる。
【0009】
そこで本発明は、上述した従来の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板の表面にダイヤモンド層と圧電体層とIDTとを積層したダイヤモンドSAW素子であって、そのダイヤモンド層をそのまま用いて、測定対象の生体物質や化学物質を認識する受容体を固定することができ、SAWセンサのトランスデューサとして利用し得る新規なSAW素子及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
更に本発明の目的は、かかるSAW素子をトランスデューサに用いることにより、高周波のSAW素子に適した測定条件・用途に使用可能なSAWセンサ及びSAWセンサシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、上記目的を達成するために、ダイヤモンド層及び圧電体層を積層した基板と、該基板に形成された少なくとも1組の交差指電極からなるIDTと、該IDTにより励振されるSAWの伝搬方向に沿ってIDTを挟むようにそれらの両側に配置される1対の反射器と、SAWの伝搬方向に沿ってダイヤモンド層の表面を露出させた感応部とを備えるSAW素子が提供される。
【0012】
このような従来構造のダイヤモンドSAW素子をそのまま利用し、露出させたダイヤモンド層を感応部として、その表面に測定対象を認識するための受容体を設けることができる。この場合、SAWの伝搬速度を変化させる虞がある別個のダイヤモンド層をSAW素子の表面に形成する必要が無いので、SAW素子の特性が悪影響を受けたり、IDTのAl電極を損傷する虞が解消される。そのため、このSAW素子をトラスデューサとすることにより、高品質かつ高性能のSAWセンサを実現できる。
【0013】
或る実施例では、SAW素子のIDTが励振用IDTと受信用IDTとからなり、感応部が励振用IDTと受信用IDTとの間に配置されている。このような2ポート共振子型のSAW素子は、発振回路の構成を簡単にできるので、高周波での励振に好適である。
【0014】
別の実施例では、SAW素子のIDTが1組の交差指電極を有する1つのIDTからなる1ポート共振子型であり、2ポート共振子型に比して1個のIDTを省略できるので、小型化及び製造コストの低減を図ることができる。この場合、感応部は交差指電極の電極指と電極指との間に配置することができ、またはIDTと一方の反射器との間に配置することができる。
【0015】
また、或る実施例では、IDT全体を被覆するように、例えばSiO で形成された絶縁保護膜を更に有する。これにより、交差指電極間の短絡を確実に防止すると共に、特にSAWセンサのトランスデューサとして使用したとき、その使用環境や条件によらず、交差指電極の損傷や腐食を防止することができる。更にSiO の絶縁保護膜は、その下層側に形成される圧電体層及びダイヤモンド層の温度係数を打ち消し、優れた温度特性を得ることができる。
【0016】
別の実施例では、交差指電極の表面に形成された絶縁膜を更に有し、それにより同様に交差指電極間の短絡を確実に防止すると共に、使用時にその環境や条件によらず、交差指電極の損傷や腐食を防止することができる。この場合、交差指電極は、例えばAl又はAlを主成分とする合金により安価に形成され、かつそれを酸化させることにより、絶縁膜をAlで簡単に形成することができる。
【0017】
本発明の別の側面によれば、基板の表面にダイヤモンド層と圧電体層と少なくとも1組の交差指電極からなるIDTとを積層してSAW素子を形成する過程と、フォトリソグラフィ技術を用いてSAW素子の表面をエッチングし、ダイヤモンド層の表面を露出させて感応部を形成する過程とを有するSAW素子の製造方法が提供される。
【0018】
ダイヤモンド層の表面は、その上に圧電体層が形成されている場合、従来公知のドライエッチング又はウエットエッチングを用いて露出させることができる。従って、従来のダイヤモンドSAW素子の製造工程をそのまま利用し、かつこれに感応部を形成する過程を追加するだけで、SAWセンサに適した本発明のSAW素子を簡単に製造することができる。
【0019】
或る実施例では、SAW素子を形成する過程において、SAW素子のIDT全体を被覆する絶縁保護膜を更に積層することにより、交差指電極間の短絡を確実に防止し、かつ使用時にその環境や条件によらず、交差指電極の損傷や腐食を防止し得るSAW素子を得ることができる。
【0020】
別の実施例では、SAW素子を形成する過程において、交差指電極の表面を被覆する絶縁膜を更に形成することにより、同様に交差指電極間の短絡を確実に防止しかつ使用時に交差指電極の損傷や腐食を防止し得るSAW素子が得られる。
【0021】
また、本発明の別の側面によれば、上述したように高周波化に適した本発明のSAW素子と、該SAW素子の感応部に固定されて目的の物質を認識するための受容体とを備えるSAWセンサが提供される。
【0022】
更にまた、本発明によれば、かかる本発明のSAWセンサを複数有し、かつこれらのSAWセンサを単一の共通の基板に設けたマルチチャネル型のSAWセンサシステムが提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下に、添付図面を参照しつつ、本発明の好適な実施例について詳細に説明する。
図1(A)、(B)は、本発明を適用した2ポート共振子型フィルタ構造のSAW素子1を示している。SAW素子1は、例えばシリコンからなる矩形薄板の基板2を有する。基板2の主面には、ダイヤモンド層3が形成され、かつその上に例えばZnOからなる圧電体層4が積層されている。このダイヤモンド積層構造の基板を用いることにより、SAW素子1は、水晶等の圧電基板の場合に比してSAW伝搬速度を高速度化でき、それにより高周波化を図ることができる。
【0024】
基板2は、シリコン以外の半導体材料や、パイレックスガラス等のガラス材料、セラミックス材料、ポリイミド又はポリカーボネイト等の樹脂材料を用いることもできる。ダイヤモンド層3は、例えばダイヤモンドライクカーボン(DLC)膜等のように、従来公知の方法により合成される多結晶ダイヤモンド又は単結晶ダイヤモンドの薄膜で形成することができる。圧電体層4は、ZnO以外に、例えばAlN(窒化アルミニウム)、LiTaO、LiNbO、KNb17(ニオブ酸カリウム)等の様々な公知の圧電材料で形成することができる。
【0025】
基板2には、その長手方向の左右に1対の交差指電極5a、5bからなる入力用(送信用)のIDT6と、同じく1対の交差指電極7a、7bからなる出力用(受信用)のIDT8とが、圧電体層4上に形成されている。両IDT6,8の左右両側には、それぞれ配置された1対の反射器9,10が配置されている。また、入力用及び出力用の前記各交差指電極は、それぞれ図示しない入力用及び出力用の接続ランドを介して外部の発振回路に接続されている。
【0026】
前記交差指電極及び反射器は、加工性及びコストの観点からAl又はAlを主成分とする合金からなる電極膜で形成され、従来と同様に、例えばフォトリソグラフィ技術を利用したウエットエッチングにより所望のパターンに加工される。別の実施例では、前記電極膜にAl/Cu膜を用いることもできる。
【0027】
圧電体層4には、SAWの伝搬方向に沿って両IDT6,8間に矩形の窓を開設して、ダイヤモンド層3の表面を露出させた感応部11が設けられている。感応部11には、SAW素子1をSAWセンサのトランスデューサとして使用する場合に、測定対象を認識するための受容体をその上に配置することができる。前記受容体は、測定対象となる生体物質又は化学物質の性状・特質などに対応して、例えばDNA、酵素、微生物、抗体、ガス吸着体など従来公知の様々なものを用いることができ、それらを固定した膜、セルなど従来公知の様々な形態で使用される。
【0028】
図1(B)に想像線で示すように、基板2の最上層にIDT6,8及び反射器9,10を被覆する絶縁保護膜12を形成することができる。絶縁保護膜12は、SAW素子1表面にゴミ等の異物が付着して隣接する前記交差指電極間が電気的に短絡したり、SAWセンサのトランスデューサとして使用するとき、その環境や使用条件による前記交差指電極及び/又は反射器の損傷や腐食を有効に防止できる。
【0029】
絶縁保護膜12は、例えばSiO をスパッタリング又は蒸着することにより、容易に所望の厚さに成膜される。前記絶縁保護膜には、SiO 以外に、例えばTaのような酸化物、Si、TiNのような窒化物等、様々な絶縁材料を用いることができる。特にSiO 膜を用いた場合には、その下層側に形成される圧電体層及びダイヤモンド層の温度係数を打ち消すことができ、それにより優れた温度特性が得られる。
【0030】
励振用IDT6に所定の高周波信号電圧を印加すると、それと同じ周波数のSAWがダイヤモンド層3に励振され、IDT6の左右両側に伝搬しかつ左右の反射器9,10に反射されて、前記両反射器間にSAWの定在波が発生する。このSAWは受信用IDT8により受信され、その周波数が測定される。このとき、感応部11の前記受容体が目的の生体物質又は化学物質を固定してその重量が変化していると、SAW伝搬速度の変化が周波数変化として検出されるので、該生体物質又は化学物質の検出及び/又は物性の測定を高精度に行うことができる。
【0031】
次に、本発明の方法により図1のSAW素子1を製造する過程を、図2(A)〜(E)を参照しながら説明する。先ず、従来の製造工程に従って通常のダイヤモンドSAW素子を作成する。即ち、シリコンからなる基板2の表面にダイヤモンド薄膜またはDLCからなるダイヤモンド層3とZnOからなる圧電体層4とを積層する。DLC膜は、例えば蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法、ECRCVD法、誘導結合プラズマ法などの公知方法を用いて成膜する。ZnO膜は、例えば蒸着法又はスパッタ法を用いて形成することができる。圧電体層4の表面にAl又はAlを主成分とする合金からなる電極膜を形成し、フォトリソグラフィ技術を用いてパターニングすることにより、IDT6,8、前記接続ランド、それらを接続する配線や反射器9,10を形成する。更に本実施例では、IDT6,8及び反射器9,10などを形成した圧電体層4の全面にSiO からなる絶縁保護膜12を、例えばスパッタ法又は蒸着法により形成する。
【0032】
このように形成したダイヤモンドSAW素子の絶縁保護膜12の全面にフォトレジスト膜13を形成する。フォトレジスト膜13は、その上方に配置したフォトマスク14を用いてパターニングする(図2(A))。これにより、感応部11に対応する絶縁保護膜12の矩形領域を露出させる(図2(B))。露出した絶縁保護膜12は、例えばバッファード弗酸を用いたウエットエッチングにより除去し、圧電体層4の表面を露出させる(図2(C))。別の実施例では、例えばCF ガスを用いたプラズマエッチングなどのドライエッチングにより、絶縁保護膜12の露出領域を除去することができる。
【0033】
次に、露出した圧電体層4を例えば希塩酸を用いたウエットエッチングにより除去して、感応部11に対応する矩形の前記窓を開設し、ダイヤモンド層3の表面を露出させる(図2(D))。これにより、ダイヤモンド層からなる矩形の感応部11を両IDT6,8の間に設けることができる。最後に、残存するフォトレジスト膜13を除去して、本発明のSAW素子1が得られる(図2(E))。
【0034】
更に、このようにして得られたSAW素子1をトランスデューサとして、その感応部11に測定対象を認識するための受容体を配置することにより、本発明のSAWセンサが得られる。ダイヤモンド層からなる感応部11の表面は、例えば従来技術に関連して上述したように、DNAや蛋白質などの解析において、オリゴヌクレオチド又は生理活性物質を安定して強力に固定するために、化学修飾して活性化させることができる。
【0035】
このとき、SAW素子は所定の活性化溶液に浸漬されるが、IDT6,8は絶縁保護膜12で完全に被覆されているので、それにより腐食したり劣化する虞はない。また、この絶縁保護膜12によって、本発明のSAWセンサは、液体状の試料に用いても前記交差指電極間を電気的に短絡する虞が無く、また気相、液相などの様々な環境下で使用しても、前記交差指電極を損傷したり腐食又は劣化させる虞がなく、高い信頼性を確保することができる。
【0036】
図3(A)、(B)は、図1に示す本発明のSAW素子の変形例を示している。この変形例のSAW素子21は、各交差指電極5a、5b、7a、7bの表面に、それぞれ或る厚さの絶縁膜22〜25が形成されている。絶縁膜22〜25により、同様に前記交差指電極間の短絡を確実に防止し、かつ使用時にその様々な環境下で交差指電極の損傷や腐食を防止することができる。これらの絶縁膜は、前記交差指電極を形成するAlを例えば陽極酸化することにより、容易に所望の厚さにかつ安価に形成することができる。
【0037】
図4(A)、(B)及び図5(A)、(B)は、それぞれ本発明によるSAW素子の別の変形例を示している。これら変形例のSAW素子31,41は、ダイヤモンド層3及び圧電体層4を積層した矩形薄板の基板2の表面に、それぞれ1組の交差指電極32a,32b、42a,42bからなる各1個のIDT33,43と、その左右両側にそれぞれ反射器34,35、44,45とを形成した1ポート共振子型の構成を有する。これら変形例では、上記各実施例の2ポート共振子型に比して1個のIDTを省略できるので、小型化及び製造コストの低減を図ることができる。
【0038】
図4(A)、(B)のSAW素子31では、ダイヤモンド層3の表面を露出させた感応部36がIDT33の略中央に、SAWの伝搬方向に沿って交差指電極32a,32bを構成する電極指と電極指間の位置に配設されている。感応部36には、上記各実施例と同様に受容体を設けることができ、それによりSAW素子31をトランスデューサとする1ポート共振子型のSAWセンサが得られる。
【0039】
図5(A)、(B)のSAW素子41では、ダイヤモンド層3の表面を露出させた感応部46が、SAWの伝搬方向に沿ってIDT43と一方の反射器45間の位置に配設されている。感応部46には、同様に受容体を設けることができ、それによりSAW素子41をトランスデューサとする1ポート共振子型のSAWセンサが得られる。
【0040】
これら1ポート共振子型のSAWセンサにおいても、IDT33,43の前記交差指電極間に所定の高周波信号電圧を印加すると、それと同じ周波数のSAWがダイヤモンド層3に励振され、前記IDTの左右両側に伝搬しかつ左右の反射器に反射されて、前記両反射器間にSAWの定在波が発生する。この状態で、感応部36,46に配置された前記受容体が検出対象の生体物質などを固定すると、それによる重量の変化がSAW伝搬速度の変化となり、周波数変化として検出される。これにより、同様に目的の生体物質又は化学物質の検出及び/又は物性の測定を高精度に行うことができる。
【0041】
変形例のSAW素子31,41においても、図1の実施例と同様に、IDT33,43全体を被覆するSiO などの絶縁保護膜を形成して、交差指電極間の短絡及び使用時の交差指電極の損傷や腐食を防止することができる。また、図3の実施例と同様に、各交差指電極32a,32b、42a,42bの表面に絶縁膜を形成することができる。
【0042】
以上、本発明の好適実施例について詳細に説明したが、当業者に明らかなように、本発明はその技術的範囲内において上記各実施例に様々な変更・変形を加えて実施することができる。例えば、上記実施例では、基板の上にダイヤモンド層及び圧電体層を順に積層した膜層構造を有しかつ圧電体層の上にIDTを形成したダイヤモンドSAW素子について説明したが、本発明は、異なる膜層やIDTの構造を有する様々な公知のダイヤモンドSAW素子についても、同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】(A)図は本発明によるSAW素子の実施例を示す平面図、(B)図はその縦断面図。
【図2】(A)〜(E)図は図1のSAW素子の製造工程を示す縦断面図。
【図3】(A)図は本発明によるSAW素子の変形例を示す平面図、(B)図はその縦断面図。
【図4】(A)図は本発明によるSAW素子の別の変形例を示す平面図、(B)図はその縦断面図。
【図5】(A)図は本発明によるSAW素子の更に別の変形例を示す平面図、(B)図はその縦断面図。
【符号の説明】
【0044】
1,21,31,41…SAW素子、2…基板、3…ダイヤモンド層、4…圧電体層、5a,5b,7a,7b,32a,32b,42a,42b…交差指電極、6,8,33,43…IDT、9,10,34,35、44,45…反射器、11,36,46…感応部、12…絶縁保護膜、13…フォトレジスト膜、14…フォトマスク、22〜25…絶縁膜。




 

 


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