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液晶装置、該液晶装置の製造方法 - セイコーエプソン株式会社
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発明の名称 液晶装置、該液晶装置の製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3980(P2007−3980A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−186154(P2005−186154)
出願日 平成17年6月27日(2005.6.27)
代理人 【識別番号】100095728
【弁理士】
【氏名又は名称】上柳 雅誉
発明者 矢崎 正幸 / 白井 孝宏
要約 課題
素子基板の配向膜と対向基板の配向膜とで蓄積される電荷の分極調整を行うことにより、表示画像の焼き付きを容易に防止する構成を有する液晶装置を提供する。

解決手段
TFT基板10と、該TFT基板10に対向する対向基板20とをシール材52を介して対向配置させ、TFT基板10と対向基板20との間に液晶50を介在させた液晶装置1において、TFT基板10の表面10aに形成された、液晶50を配向させる第1の配向膜16と、対向基板20の表面20aに形成された、液晶50を配向させる第2の配向膜26と、を具備し、第1の配向膜16と第2の配向膜26との分極特性を異ならせる添加剤が、第1の配向膜16及び第2の配向膜26に添加されており、該添加剤の添加濃度が、第1の配向膜16と第2の配向膜26とにおいて異なる値に設定されていることを特徴とする。
特許請求の範囲
【請求項1】
素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置において、
前記素子基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第1の配向膜と、
前記対向基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第2の配向膜と、
を具備し、
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる添加剤が、前記第1の配向膜及び前記第2の配向膜に添加されており、該添加剤の添加濃度が、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とにおいて異なる値に設定されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第2の配向膜は、前記第1の配向膜よりも前記添加剤の添加濃度が高い値に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
前記添加剤は、前記素子基板と前記第1の配向膜との密着性及び前記対向基板と前記第2の配向膜との密着性を高める密着助剤と、前記第1の配向膜及び前記第2の配向膜を構成する可溶性ポリイミドのポリマ間を結合する架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とにおいて、前記密着助剤と前記架橋添加剤と前記導電材料との少なくとも1つの添加濃度が異なる値に設定されていることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とにおいて、前記密着助剤と前記架橋添加剤と前記導電材料との少なくとも1つからなる前記添加剤の構成数が異なっていることを特徴とする請求項3に記載の液晶装置。
【請求項6】
素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置において、
前記素子基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第1の配向膜と、
前記対向基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第2の配向膜と、
を具備し、
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる添加剤が、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とのいずれかに添加されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項7】
前記添加剤は、前記素子基板と前記第1の配向膜との密着性及び前記対向基板と前記第2の配向膜との密着性を高める密着助剤と、前記第1の配向膜及び前記第2の配向膜を構成する可溶性ポリイミドのポリマ間を結合する架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つであることを特徴とする請求項6に記載の液晶装置。
【請求項8】
素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置の製造方法において、
前記素子基板の前記液晶に面する側に、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる第1の添加剤が添加された、前記液晶を配向させる第1の配向膜を形成する工程と、
前記対向基板の前記液晶に面する側に、前記第1の添加剤とは異なる値の添加濃度に設定された第2の添加剤が添加された、前記液晶を配向させる第2の配向膜を形成する工程と、
を具備していることを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項9】
素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置の製造方法において、
前記素子基板の前記液晶に面する側に、前記液晶を配向させる第1の配向膜を形成する工程と、
前記対向基板の前記液晶に面する側に、前記液晶を配向させる第2の配向膜を形成する工程と、
を具備し、
前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる添加剤が、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とのいずれかに添加されていることを特徴とする液晶装置の製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶を配向させる配向膜が形成された、素子基板と該素子基板に対向する基板とを有する液晶装置、液晶装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、液晶装置は、ガラス基板、石英基板等の2枚の基板間に液晶を封入して構成される。アクティブマトリクス型の液晶装置では、一方の基板に、例えば薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor、以下、TFTと称す)等の能動素子をマトリクス状に配置し、他方の基板に対向電極(透明電極(ITO(Indium Tin Oxide)))を配置して、両基板間に封入した液晶層の光学特性を画像信号に応じて変化させることで、画像表示を可能としている。液晶層の光学特性は、液晶層に画像信号に基づく電圧を印加して、液晶分子の配列を変化させることで制御する。
【0003】
電圧無印加時の液晶分子の配列を規定するために、一方の基板(素子基板)及び他方の基板(対向基板)の液晶層に接する面上に配向膜を形成し、配向膜にラビング処理を施す。配向膜は、例えば酸無水物及びジアミンから構成された可溶性ポリイミド等の有機膜を、約数十ナノメータの厚さで両基板上にそれぞれ形成したものであり、該各配向膜によって液晶分子を基板面に沿って配向処理することができる。更に、各配向膜表面にラビング処理を施すことで、各配向膜を配向異方性の膜にして液晶分子の配列を規定する。
【0004】
そして、TFT素子をオンにすることによって素子基板にマトリクス状に配列された画素電極(ITO)に画像信号を供給し、画素電極と対向電極相互間の液晶層に、画像信号に基づく電圧を印加して、液晶分子の配列を変化させる。これにより、画素の透過率を変化させ、画素電極及び液晶層を通過する光を画像信号に応じて変化させ画像表示を行う。
【0005】
TFT素子は走査線(ゲート線)を介して供給される走査信号(ゲート信号)によってオン,オフ制御される。走査信号を印加してTFT素子をオンにした状態で、データ線(ソース線)を介して画素電極に、階調に応じた電圧の画像信号を印加するのである。画素電極に対する電圧供給後に、TFT素子をオフにしても、各画素の印加電圧は液晶層の容量性や蓄積容量等によって維持される。
【0006】
ところで、液晶装置では、印加信号の直流成分の印加等によって、例えば液晶成分の分解、液晶セル中の不純物による汚染が発生し、表示画像の焼き付き等の現象が現れる。そこで、一般的には、各画素電極の駆動電圧の極性を、例えば画像信号におけるフィールド毎に反転させる反転駆動が行われる。
【0007】
液晶装置では、上述したように、容量性を考慮して、画素電極には一定期間のみ駆動電圧が印加される。しかしながら、画素電極に駆動電圧が印加されない期間においては、結合容量の影響及び電荷のリークによって、画素に保持される電圧は徐々に低下する。
【0008】
この場合、正極性駆動の際における電極印加電圧の低下の方が、負極性駆動時における電極印加電圧の低下よりも大きくなるため、素子基板及び対向基板に形成された各配向膜にマイナスまたはプラスの電荷が蓄積されやすくなる。
【0009】
よって、素子基板及び対向基板に形成された各配向膜に電荷が蓄積されると、上述した不純物のイオン(以下、不純物イオンと称す)は、素子基板または対向基板の各配向膜と液晶との界面に残留しやすくなる。
【0010】
その結果、不純物イオンが素子基板及び対向基板の各配向膜に吸着されてしまうが、該不純物イオンの吸着量に、素子基板の配向膜と対向基板の配向膜とで極端な偏りが生じると、過多に配向膜に吸着されたイオンによって液晶に印加される直流成分の影響が大きくなり、表示画像の焼き付き現象を加速してしまうという問題があった。
【0011】
このような問題に鑑み、例えば特許文献1では、素子基板側の配向膜と対向基板側の配向膜とで膜厚を異ならせることにより、素子基板及び対向基板の配向膜への電荷蓄積量を減少させ、表示画像の焼き付き現象を防止する技術の提案がなされている。
【0012】
また、特許文献2では、素子基板側の配向膜と対向基板側の配向膜とに施すラビング強度を、素子基板側の配向膜と対向基板側の配向膜とで異ならせることにより、表示画像の焼き付き現象を防止する技術の提案がなされている。
【特許文献1】特開平8−146422号公報
【特許文献2】特開2004−287064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、特許文献1に開示された技術においては、素子基板及び対向基板の各配向膜への電荷の蓄積量は減少するが、完全にはなくならないため、表示画像の焼き付き現象を完全に防止することができるか否かが定かではない。
【0014】
また、特許文献2に開示された技術においては、素子基板側の配向膜と対向基板側の配向膜とに施すラビング強度を異ならせると、ラビング強度の精度を素子基板側の配向膜と対向基板側の配向膜とでそれぞれ確保しなければならないため、ラビング強度の精度管理が煩雑となる。
【0015】
本発明の目的は上記事情に着目してなされたものであり、素子基板の配向膜と対向基板の配向膜とで蓄積される電荷の分極調整を行うことにより、表示画像の焼き付きを容易に防止する構成を有する液晶装置、液晶装置の製造方法を提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するために本発明に係る液晶装置は、素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置において、前記素子基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第1の配向膜と、前記対向基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第2の配向膜と、を具備し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる添加剤が、前記第1の配向膜及び前記第2の配向膜に添加されており、該添加剤の添加濃度が、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とにおいて異なる値に設定されていることを特徴とする。
【0017】
本発明の液晶装置によれば、素子基板に形成された第1の配向膜と対向基板に形成された第2の配向膜とにおいて、第1の配向膜と第2の配向膜との分極特性を異ならせる同一材料の添加剤の添加濃度が異なる値に設定されていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の添加剤の添加濃度が高い値に設定されていることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0018】
また、前記第2の配向膜は、前記第1の配向膜よりも前記添加剤の添加濃度が高い値に設定されていることを特徴とする。
【0019】
本発明の液晶装置によれば、素子基板の素子構造により、第1の配向膜に電荷の蓄積量が偏り、過多に不純物イオンが付着していたとしても、第2の配向膜は、第1の配向膜よりも同一材料の添加剤の添加濃度が高い値に設定されていることにより、第2の配向膜に電荷が蓄積しやすくなり、不純物イオンが吸着されやすくなるとともに、不純物イオンが、第1の配向膜から液晶中に拡散されるとともに、素子基板の電極間で緩和されやすくなっている。よって、第2の配向膜において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができるため、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0020】
さらに、前記添加剤は、前記素子基板と前記第1の配向膜との密着性及び前記対向基板と前記第2の配向膜との密着性を高める密着助剤と、前記第1の配向膜及び前記第2の配向膜を構成する可溶性ポリイミドのポリマ間を結合する架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つであることを特徴とする。
【0021】
本発明の液晶装置によれば、密着助剤は、素子基板と第1の配向膜との密着性及び対向基板と第2の配向膜との密着性を高めることから、添加により配向膜の不純物イオンの吸着を促進する。また、架橋添加剤は、第1の配向膜及び第2の配向膜を構成する可溶性ポリイミドのポリマ間を結合できることから、添加により配向膜の不純物イオンの吸着を促進する。さらに、導電粒子は、添加により配向膜に蓄積される電荷が増えることから、配向膜の不純物イオンの吸着を促進する。よって、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの同一材料の添加剤の添加濃度が、第1の配向膜と第2の配向膜とで異なる値に設定されていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの同一材料の添加剤の添加濃度が高い値に設定されていることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0022】
また、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とにおいて、前記密着助剤と前記架橋添加剤と前記導電材料との少なくとも1つの添加濃度が異なる値に設定されていることを特徴とする。
【0023】
本発明の液晶装置によれば、密着助剤と架橋添加剤と導電材料との少なくとも1つの添加濃度が、第1の配向膜と第2の配向膜とにおいて異なる値に設定されていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの添加濃度が高い値に設定されていることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0024】
さらに、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とにおいて、前記密着助剤と前記架橋添加剤と前記導電材料との少なくとも1つによる前記添加剤の構成数が異なっていることを特徴とする。
【0025】
本発明の液晶装置によれば、第1の配向膜と第2の配向膜とにおいて、密着助剤と架橋添加剤と導電材料との少なくとも1つからなる添加剤の構成数が異なっていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つからなる添加剤の構成が多くなっていることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0026】
本発明に係る液晶装置は、素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置において、前記素子基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第1の配向膜と、前記対向基板の前記液晶に面する側に形成された、前記液晶を配向させる第2の配向膜と、を具備し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる添加剤が、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とのいずれかに添加されていることを特徴とする。
【0027】
本発明の液晶装置によれば、素子基板に形成された第1の配向膜と対向基板に形成された第2の配向膜とにおいて、第1の配向膜と第2の配向膜とのいずれかに、分極特性を異ならせる添加剤が添加されていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜に添加剤が添加されていることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0028】
また、前記添加剤は、前記素子基板と前記第1の配向膜との密着性及び前記対向基板と前記第2の配向膜との密着性を高める密着助剤と、前記第1の配向膜及び前記第2の配向膜を構成する可溶性ポリイミドのポリマ間を結合する架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つであることを特徴とする。
【0029】
本発明の液晶装置によれば、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つからなる添加剤の有無が、第1の配向膜と第2の配向膜とで異なっていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜に、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つからなる添加剤が添加されていることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整されている。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0030】
本発明に係る液晶装置の製造方法は、素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置の製造方法において、前記素子基板の前記液晶に面する側に、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる第1の添加剤が添加された、前記液晶を配向させる第1の配向膜を形成する工程と、前記対向基板の前記液晶に面する側に、前記第1の添加剤とは異なる値の添加濃度に設定された第2の添加剤が添加された、前記液晶を配向させる第2の配向膜を形成する工程と、を具備していることを特徴とする。
【0031】
本発明の液晶装置の製造方法によれば、素子基板に第1の配向膜を、対向基板に第2の配向膜を形成する工程において、液晶の分極特性を異ならせる同一材料の添加剤の添加濃度を第1の配向膜と第2の配向膜とで異なる値に設定することにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の添加剤の添加濃度を高い値に設定することにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なり、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整される。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整される。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0032】
本発明に係る液晶装置の製造方法は、素子基板と、該素子基板に対向する対向基板とをシール材を介して対向配置させ、前記素子基板と前記対向基板との間に液晶を介在させた液晶装置の製造方法において、前記素子基板の前記液晶に面する側に、前記液晶を配向させる第1の配向膜を形成する工程と、前記対向基板の前記液晶に面する側に、前記液晶を配向させる第2の配向膜を形成する工程と、を具備し、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜との分極特性を異ならせる添加剤が、前記第1の配向膜と前記第2の配向膜とのいずれかに添加されていることを特徴とする。
【0033】
本発明の液晶装置の製造方法によれば、素子基板に第1の配向膜を、対向基板に第2の配向膜を形成する工程において、液晶の分極特性を異ならせる添加剤が第1の配向膜と第2の配向膜とのいずれかに添加されることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜に添加剤が添加されることにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なり、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整される。即ち、第1の配向膜と第2の配向膜とで分極が調整される。このことから、第1の配向膜と第2の配向膜とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、図面を参照にして本発明の実施の形態を説明する。尚、本実施の形態では、液晶装置は、例えばTFT(薄膜トランジスタ)等のスイッチング素子が形成された素子基板及び該素子基板に対向配置される対向基板を用いた液晶装置を例に挙げて説明する。
【0035】
(第1実施の形態)
図1は、本発明の第1実施の形態を示す液晶装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図、図2は、図1中のII−II線に沿う断面図、図9は図1の素子基板上の画素を構成する素子の等価回路を示す図である。
【0036】
同図に示すように、液晶装置1は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板を用いた素子基板(以下、TFT基板と称す)10と、該TFT基板10に対向配置される、例えばガラス基板や石英基板を用いた対向基板20との間の内部空間に液晶50を封入して構成される。対向配置されたTFT基板10と対向基板20とは、シール材52によって貼り合わされている。
【0037】
TFT基板10の液晶50と接する面側となる表面10aに、画素を構成する画素電極(ITO)9(図2参照)等がマトリクス状に配置され、該表面10aに、液晶装置1の表示領域40を構成するTFT基板10の表示領域10hが構成されている。
【0038】
詳しくは、図9に示すように、表示領域10hにおいては、複数本の走査線3aと複数本のデータ線6aとが交差するように配線され、走査線3aとデータ線6aとで区画された領域に、画素電極9がマトリクス状に複数配置される。そして、走査線3aとデータ線6aとの各交差部分に対応してTFT素子30が設けられている。
【0039】
TFT素子30は、データ線6aに電気的に接続された図示しないソース電極と、半導体層と、画素電極9に電気的に接続された図示しないドレイン電極とを備えている。TFT素子30は、走査線3aのON信号によってオンとなり、これにより、データ線6aに供給された画像信号が画素電極9に供給される。この際、表示画像の焼き付き等を防止するため、各画素電極9に印加される駆動電圧の極性を、例えば画像信号におけるフィールド毎に反転させる反転駆動が行われている。この画素電極9と対向基板20に設けられた後述する対向電極21との間の電圧が、液晶50に印加される。
【0040】
また、画素電極9と並列に蓄積容量70が設けられており、蓄積容量70によって、画素電極9の電圧はソース電圧が印加された時間よりも、例えば3桁も長い時間の保持が可能となる。蓄積容量70によって、電圧保持特性が改善され、コントラスト比の高い画像表示が可能となる。
【0041】
また、対向基板20の液晶50と接する面側となる表面20aの全面に、共通電極(ITO)21が設けられており、共通電極21のTFT基板10の表示領域10hに対向する位置の表面20aに、液晶装置1の表示領域40を構成する対向基板20の表示領域20hが構成されている。
【0042】
TFT基板10の画素電極9上に、ラビング処理が施された第1の配向膜16が設けられており、また、対向基板20上の全面に渡って形成された共通電極21上にも、ラビング処理が施された第2の配向膜26が設けられている。尚、第1の配向膜16及び第2の配向膜26の詳細な構成は後述する。
【0043】
対向基板20に、TFT基板10の表示領域10h及び対向基板20の表示領域20hの外周を規定し区画する額縁としての遮光膜53が設けられている。
【0044】
シール材52は、TFT基板10の表面10aに設けられた周状のシール材形成領域10s(図3参照)及び対向基板20の表面20aの輪郭形状に略一致する周状のシール材形成領域20s(図4参照)に配置され、TFT基板10と対向基板20を相互に固着する。
【0045】
シール材52は、TFT基板10の1辺の一部において欠落しており、該欠落した箇所から貼り合わされたTFT基板10及び対向基板20との間に液晶50を、既知のセル注入方式で注入するための液晶注入口108が形成されている。液晶注入口108は、液晶注入後、封止材109で封止される。尚、液晶50を、既知の液晶滴下方式でTFT基板10及び対向基板20との間に封入する場合においては、液晶注入口108のシール材52への形成は不要となる。
【0046】
シール材52の外側の領域に、TFT基板10の図示しないデータ線に画像信号を所定のタイミングで供給して該データ線を駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路との接続のための外部接続端子102が、TFT基板10の一辺に沿って設けられている。
【0047】
この一辺に隣接する二辺に沿って、TFT基板10の図示しない走査線及びゲート電極に走査信号を所定のタイミングで供給することにより、ゲート電極を駆動する走査線駆動回路103,104が設けられている。走査線駆動回路103,104は、シール材52の内側の遮光膜53に対向する位置において、TFT基板10上に形成される。
【0048】
また、TFT基板10上に、データ線駆動回路101、走査線駆動回路103,104、外部接続端子102及び上下導通端子107を接続する配線105が、遮光膜53の3辺に対向して設けられている。
【0049】
上下導通端子107は、シール材52のコーナー部の4箇所のTFT基板10上に形成されている。そして、TFT基板10と対向基板20相互間に、下端が上下導通端子107に接触し上端が共通電極21に接触する上下導通材106が設けられており、該上下導通材106によって、TFT基板10と対向基板20との間で電気的な導通がとられている。
【0050】
ここで、第1の配向膜16が形成されたTFT基板10の表面10a及び第2の配向膜26が形成された対向基板20の表面20aの構成について説明する。図3は、表面に第1の配向膜が形成された図1のTFT基板の概略平面図、図4は、表面に第2の配向膜が形成された図1の対向基板の概略平面図である。
【0051】
図3に示すように、第1の配向膜16は、TFT基板10の表面10aであって周状のシール材形成領域10sの内側に形成された表示領域10hに形成されている。第1の配向膜16は、例えば酸無水物及びジアミンから構成された可溶性ポリイミドに、第1の配向膜16と第2の配向膜26との分極特性を異ならせる第1の添加剤が特定の濃度で添加されて構成されている。
【0052】
第1の添加剤は、TFT基板10と第1の配向膜16との密着性、具体的には、画素電極9と第1の配向膜16との密着性を高める密着助剤と、可溶性ポリイミドのポリマ間を結合する架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つから構成されている。
【0053】
よって、第1の添加剤は、密着助剤と、架橋添加剤と、導電材料との各単体から構成されていても構わないし、密着助剤+架橋添加剤と、密着助剤+導電材料と、架橋添加剤+導電材料と、密着助剤+架橋添加剤+導電材料とから構成されていても構わない。
【0054】
密着助剤は、TFT基板10の画素電極9と第1の配向膜16との密着性及び対向基板20の共通電極21と第2の配向膜26との密着性を高めることから、添加により画素電極9と第1の配向膜16との界面34(図2参照)の抵抗、及び共通電極21と第2の配向膜26との界面44(図2参照)の抵抗が高くなり、液晶50と各配向膜16,26との各界面33,34(図2参照)に残留する、後述する不純物イオンの各配向膜16,26の吸着を促進する。即ち、添加により、各配向膜16,26の各界面33,34の表面エネルギを高める。
【0055】
また、架橋添加剤は、第1の配向膜16及び第2の配向膜26を構成する可溶性ポリイミドのポリマ間を結合できることから添加により、界面34の抵抗、及び界面44の抵抗が高くなり、各界面33,34(図2参照)に残留する、後述する不純物イオンの各配向膜16,26の吸着を促進する。即ち、添加により、各配向膜16,26の各界面33,34の表面エネルギを高める。
【0056】
さらに、導電粒子は、添加により各配向膜16,26の電荷蓄積量が増えるため、各界面33,34(図2参照)に残留する、後述する不純物イオンの各配向膜16,26の吸着を促進する。即ち、添加により、各配向膜16,26の各界面33,34の表面エネルギを高める。
【0057】
図4に示すように、対向基板20の表面20aの全面に、第2の配向膜26が形成されている。尚、第2の配向膜26は、対向基板20の表面20aの少なくとも表示領域20hのみに形成されていてもよい。
【0058】
第2の配向膜26は、例えば酸無水物及びジアミンから構成された第1の配向膜16と同一の可溶性ポリイミドに、第1の配向膜16と第2の配向膜26との分極特性を異ならせる第1の添加剤と同一材料の構成を有する第2の添加剤が添加されて構成されている。尚、第2の添加材は、第1の添加剤とは異なる添加濃度の値に設定されている。
【0059】
第2の添加剤は、対向基板20と第2の配向膜26との密着性、具体的には、共通電極21と第2の配向膜26との密着性を高める密着助剤と、可溶性ポリイミドのポリマ間を結合する架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つである。
【0060】
よって、第2の添加剤も、密着助剤と、架橋添加剤と、導電材料との各単体から構成されていても構わないし、密着助剤+架橋添加剤と、密着助剤+導電材料と、架橋添加剤+導電材料と、密着助剤+架橋添加剤+導電材料とから構成されていても構わないが、第1の添加剤とは同一材料の構成を有している。
【0061】
このことから、第2の添加剤は、第1の添加剤と比して、可溶性ポリイミドへの密着助剤と架橋添加剤と導電材料との少なくとも1つの添加濃度が異なる値に設定されている。
【0062】
次に、このように構成された液晶装置1の製造方法について、図5を用いて説明する。図5は、本実施の形態を示す液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。尚、第1配向膜16及び第2の配向膜26の形成工程以外の製造工程は、従来と同じであるため、説明を省略する。
【0063】
同図に示すように、先ずステップS1において、画素電極9等が形成されたTFT基板10を配向膜形成装置にセットする。次いで、ステップS2において、TFT基板10の表面10a上であって、表示領域10hに、第1の添加剤が特定濃度により可溶性ポリイミドに添加された第1の配向膜16が、例えば印刷またはインクジェットと同等の構成を有する液滴吐出手段等により、約数十ナノメータの厚さで形成される。その後、ステップS3に移行する。
【0064】
ステップS3では、共通電極21等が形成された対向基板20を配向膜形成装置にセットする。次いで、ステップS4では、対向基板20の表面20a上であって、少なくとも表示領域20hを含む全面に、第2の添加剤が可溶性ポリイミドに添加された第2の配向膜26が、例えば印刷またはインクジェットと同等の構成を有する液滴吐出手段等により、第1の配向膜16と同じ厚さに形成される。尚、第2の添加剤は、第1の添加剤とは同一材料であって、添加濃度が異なる値に設定される。
【0065】
最後に、TFT基板10及び対向基板20に形成された各配向膜16,26に、液晶50の分子をTFT基板10及び対向基板20面に沿って配向させるためのラビング処理が施され、本工程は終了する。このようにして、液晶装置1に用いるTFT基板10の表面10a及び対向基板20の表面20aに、各配向膜16,26は形成される。
【0066】
このように、本実施の形態を示す液晶装置1においては、第1の配向膜16及び第2の配向膜26に電荷が蓄積し、第1の配向膜16と液晶50との界面33(図2参照)及び第2の配向膜26と液晶50との界面43(図2参照)に吸着される液晶50中の不純物イオンの量に極端に偏りが生じたとしても、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの添加剤の添加濃度が、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで異なる値に設定されている。具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの添加剤の添加濃度が高い値に設定されている。
【0067】
このことにより、第1の配向膜と第2の配向膜とで膜質が異なっており、第1の配向膜と第2の配向膜との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、添加剤の濃度により電荷の蓄積が少ない配向膜の界面の表面エネルギが高められていることで、第1の配向膜と第2の配向膜とで均等となるよう調整されている。
【0068】
即ち、第1の配向膜16と第2の配向膜とで電荷の分極が調整されている。このことから、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0069】
尚、第1の配向膜16と第2の配向膜26とのいずれの電荷の蓄積量が多いか少ないかは、実験値により求められる。よって、該実験値を用いて、第1の配向膜16,第2の配向膜26を形成する際、第1の配向膜16と第2の配向膜26とのいずれかの添加剤の添加濃度を高い値に設定して形成することで、本実施の液晶装置1の構成が実現できる。
【0070】
尚、以下、変形例を示す。
【0071】
本実施においては、第1の配向膜に付加される第1の添加剤の添加濃度と第2の配向膜に付加される第2の添加剤の添加濃度とは、異なる値に設定されていると示した。具体的には、密着助剤と架橋添加剤と導電材料との少なくとも1つの添加濃度の設定値が第1の添加剤と第2の添加剤とで異なっていると示した。
【0072】
この際、第2の添加剤の添加濃度を、第1の添加剤の添加濃度よりも高い値に設定すれば、より効果的に、表示画像の焼き付きを防止することができる。
【0073】
具体的には、TFT基板10の素子構造により、第1の配向膜16に電荷の蓄積量が偏り、過多に不純物イオンが付着していたとしても、第2の配向膜26は、第1の配向膜16よりも添加剤の添加濃度が高い値に設定されていることにより、第2の配向膜26に電荷が蓄積しやすくなり、第2の配向膜26の界面43の表面エネルギが高められることで、第2の配向膜26に不純物イオンが吸着されやすくなるとともに、不純物イオンが、第1の配向膜16から液晶50中に拡散されるとともに、TFT基板10の画素電極9間で緩和されやすくなる。
【0074】
よって、第2の配向膜26において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで均等となるよう調整される。即ち、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで電荷の分極が調整され、不純物イオンの吸着量を均等にすることができるため、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0075】
また、以下、さらに別の変形例を示す。図6は、第1の配向膜と第2の配向膜とで、添加剤の構成が異なる変形例を示す図表である。
【0076】
本実施においては、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで、各配向膜16,26を構成する可溶性ポリイミドに添加されている材料である添加剤の構成が同一であると示したが、これに限らず、添加剤の構成が第1の配向膜16と第2の配向膜26とで異なっていてもよい。
【0077】
具体的には、第1の配向膜16と第2の配向膜26とにおいて、密着助剤と架橋添加剤と導電材料との少なくとも1つによる添加剤の構成数が異なっている、さらに具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜の密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つによる添加剤の構成が多ければ良い。
【0078】
このことによれば、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで膜質が異なり、添加剤により電荷の蓄積が少ない配向膜の界面の表面エネルギが高められていることで、第1の配向膜16と第2の配向膜26との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで均等となるよう調整される。
【0079】
即ち、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで電荷の分極が調整されることから、第1の配向膜16と第2の配向膜26とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0080】
一方、第1の配向膜16に蓄積されている電荷量が多い場合、図6(A)に示すように、密着助剤をA、架橋添加剤をB,導電粒子をCとすると、第1の配向膜16にA、B、Cのいずれかを添加した際、第2の配向膜26に、A+B、A+C、A+B+Cのいずれかを添加してもよい。また、第1の配向膜16にA+BまたはA+Cを添加した際、第2の配向膜26にA+B+Cを添加してもよい。
【0081】
他方、第2の配向膜26に蓄積されている電荷量が多い場合、図6(B)に示すように、第2の配向膜26にA、B、Cのいずれかを添加した際、第1の配向膜16に、A+B、A+C、A+B+Cのいずれかを添加してもよい。また、第2の配向膜26にA+BまたはA+Cを添加した際、第1の配向膜16にA+B+Cを添加してもよい。
【0082】
(第2実施の形態)
図7は、本発明の第2実施の形態を示す液晶装置の断面図である。
【0083】
この第2実施の形態の液晶装置の構成は、上述した図1〜図5に示した第1実施の形態の液晶装置1と比して、第1の配向膜と第2の配向膜のいずれかのみに、添加剤を添加する点のみが異なる。よって、この相違点のみを説明し、第1実施の形態の液晶装置1と同様の構成部材には、同じ符号を付し、その説明は省略する。
【0084】
図6に示すように、液晶装置201のTFT基板10の画素電極9上に、ラビング処理が施された第1の配向膜216が設けられており、また、対向基板20上の全面に渡って形成された共通電極21上にも、ラビング処理が施された第2の配向膜226が設けられている。尚、この場合であっても第2の配向膜226は、対向基板20の表面20aの少なくとも表示領域20hのみに形成されていてもよい。
【0085】
第1の配向膜216及び第2の配向膜226は、例えば酸無水物及びジアミンから構成された可溶性ポリイミドによって構成されており、第1の配向膜216と第2の配向膜226とのいずれかの可溶性ポリイミドに、第1の配向膜216と第2の配向膜226との分極特性を異ならせる添加剤が特定の濃度で添加されて構成されている。
【0086】
添加剤は、上述した密着助剤と、架橋添加剤と、導電材料との少なくとも1つである。よって、添加剤は、密着助剤と、架橋添加剤と、導電材料との各単体から構成されていても構わないし、密着助剤+架橋添加剤と、密着助剤+導電材料と、架橋添加剤+導電材料と、密着助剤+架橋添加剤+導電材料とから構成されていても構わない。
【0087】
次に、このように構成された液晶装置1の製造方法について、図8を用いて説明する。図8は、図7の液晶装置の製造方法を示すフローチャートである。尚、本実施においても、第1配向膜216及び第2の配向膜226の形成工程以外の製造工程は、従来と同じであるため、説明を省略する。
【0088】
同図に示すように、先ずステップS11において、画素電極9等が形成されたTFT基板10を配向膜形成装置にセットする。次いで、ステップS12において、TFT基板10の表面10a上であって、表示領域10hに形成される第1の配向膜216に、添加剤を添加するか否かが選択される。一方、第1の配向膜に添加剤を添加するのであれば、ステップS13に移行し、TFT基板10の表面10a上であって、表示領域10hに、添加剤が特定濃度により可溶性ポリイミドに添加された第1の配向膜216が、例えば印刷またはインクジェットと同等の構成を有する液滴吐出手段等により、約数十ナノメータの厚さで形成される。その後、ステップS15に移行する。
【0089】
他方、ステップS12において、第1の配向膜216に添加剤を添加しなければ、ステップS14に分岐し、TFT基板10の表面10a上であって、表示領域10hに可溶性ポリイミドから構成された添加剤が添加されない第1の配向膜216が、例えば印刷またはインクジェットと同等の構成を有する液滴吐出手段等により、約数十ナノメータの厚さで形成される。その後、ステップS15に移行する。
【0090】
ステップS15では、共通電極21等が形成された対向基板20を配向膜形成装置にセットする。次いで、ステップS16では、第1の配向膜216に添加剤が添加されたか否かが選択される。一方、第1の配向膜216に添加剤が添加されておれば、ステップS17に移行し、対向基板20の表面20a上であって、少なくとも表示領域20hを含む全面に、可溶性ポリイミドから構成された添加剤が添加されない第2の配向膜226が、例えば印刷またはインクジェットと同等の構成を有する液滴吐出手段等により、第1の配向膜216と同じ厚さに形成される。
【0091】
他方、第1の配向膜216に添加剤が添加されてなければ、ステップS18に分岐し、対向基板20の表面20a上であって、少なくとも表示領域20hを含む全面に、添加剤が特定濃度により可溶性ポリイミドに添加された第2の配向膜226が、例えば印刷またはインクジェットと同等の構成を有する液滴吐出手段等により、第1の配向膜216と同じ厚さに形成される。
【0092】
最後に、TFT基板10及び対向基板20に形成された各配向膜216,226に、液晶50の分子をTFT基板10及び対向基板20面に沿って配向させるためのラビング処理が施され、本工程は終了する。このようにして、液晶装置201に用いるTFT基板10の表面10a及び対向基板20の表面20aに、各配向膜216,226は形成される。
【0093】
このように、本実施の液晶装置201においては、第1の配向膜216及び第2の配向膜226に電荷が蓄積し、第1の配向膜216と液晶50との界面233(図7参照)及び第2の配向膜226と液晶50との界面243(図7参照)に吸着される液晶50中の不純物イオンの量に極端に偏りが生じたとしても、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの添加剤が、第1の配向膜216と第2の配向膜226とのいずれかに添加されていることにより、具体的には、電荷の蓄積量が少ない配向膜に、密着助剤と架橋添加剤と導電粒子との少なくとも1つの添加剤が添加されていることにより、第1の配向膜216と第2の配向膜226とで膜質が異なる。
【0094】
よって、第1の配向膜216と第2の配向膜226との一方において過多に蓄積されていた電荷の量が、添加剤の有無により電荷の蓄積が少ない配向膜の界面の表面エネルギが高められていることで、第1の配向膜216と第2の配向膜226とで均等となるよう調整される。
【0095】
即ち、第1の配向膜216と第2の配向膜226とで電荷の分極が調整されている。このことから、第1の配向膜216と第2の配向膜226とで不純物イオンの吸着量を均等にすることができ、表示画像の焼き付きを容易に防止することができる。
【0096】
尚、第1の配向膜216と第2の配向膜226とのいずれの電荷の蓄積量が多いか少ないかは、実験値により求められる。よって、該実験値を用いて、第1の配向膜216,第2の配向膜226を形成する際、第1の配向膜216と第2の配向膜226とのいずれかに添加剤を添加して形成することで、本実施の液晶装置201の構成が実現できる。
【産業上の利用可能性】
【0097】
さらに、本発明の液晶装置は、上述の図示例にのみ限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、上述した液晶装置は、TFT(薄膜トランジスタ)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールを例に挙げて説明したが、これに限らず、TFD(薄膜ダイオード)等のアクティブ素子(能動素子)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶表示モジュールにも適用することができる。
【0098】
また、本発明は、半導体基板に素子を形成する表示用デバイス、例えばLCOS(Liquid Crystal On Silicon)等にも適用可能である。
【0099】
LCOSでは、素子基板として単結晶シリコン基板を用い、画素や周辺回路に用いるスイッチング素子としてトランジスタを単結晶シリコン基板に形成する。また、画素には、反射型の画素電極を用い、画素電極の下層に画素の各素子を形成する。
【0100】
また、本発明は、片側の基板の同一層に、一対の電極が形成される表示用デバイス、例えばIPS(In-Plane Switching)や、片側の基板において、絶縁膜を介して一対の電極が形成される表示用デバイスFFS(Fringe Field Switching)等にも適用可能である。
【0101】
さらに、本発明に係る液晶装置が用いられる電子機器としては、プロジェクタ等の光投写型表示装置や、携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistants)と呼ばれる携帯型情報機器や携帯型パーソナルコンピュータ、パーソナルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、車載用モニタ、デジタルビデオカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型、モニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話機、POS端末機等、電気光学装置である液晶表示モジュールを用いる機器が挙げられる。したがって、これらの電子機器においても、本発明が適用可能であることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】本発明の第1実施の形態を示す液晶装置をその上に形成された各構成要素と共に対向基板側から見た平面図。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図。
【図3】表面に第1の配向膜が形成された図1のTFT基板の概略平面図。
【図4】表面に第2の配向膜が形成された図1の対向基板の概略平面図。
【図5】本実施の形態を示す液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図6】第1の配向膜と第2の配向膜とで、添加剤の構成が異なる変形例を示す図表。
【図7】本発明の第2実施の形態を示す液晶装置の断面図。
【図8】図7の液晶装置の製造方法を示すフローチャート。
【図9】図1の素子基板上の画素を構成する素子の等価回路を示す図。
【符号の説明】
【0103】
1…液晶装置、10…TFT基板、10a…TFT基板表面、16…第1の配向膜、20…対向基板、20a…対向基板の表面、26…第2の配向膜、50…液晶、52…シール材、201…液晶装置、216…第1の配向膜、226…第2の配向膜。




 

 


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