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液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器 - セイコーエプソン株式会社
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発明の名称 液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3671(P2007−3671A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−181765(P2005−181765)
出願日 平成17年6月22日(2005.6.22)
代理人 【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉
発明者 張 惠萍
要約 課題
吸湿や水分浸入を防止することができる液晶装置を提供する。

解決手段
互いに対向する一対の基板10,20間に液晶50を挟持してなる液晶装置100である。一対の基板10,20のそれぞれの内面に配向膜40(60)が設けられ、配向膜40,60間に、液晶50を封入した状態でシール材52が設けられ、一対の基板10,20の側端面側に、少なくともシール材52と配向膜40,60とを覆った状態で、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、塗布され、硬化せしめられて防湿膜90が形成されている。
特許請求の範囲
【請求項1】
互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板のそれぞれの内面に配向膜が設けられ、
前記配向膜間に、前記液晶を封入した状態でシール材が設けられ、
前記一対の基板の側端面側に、少なくとも前記シール材と前記配向膜とを覆った状態で、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、塗布され、硬化せしめられて防湿膜が形成されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記金属アルコキシドが、Zrアルコキシド、Alアルコキシド、Tiアルコキシド、Mgアルコキシドのうちの少なくとも一種からなることを特徴とする請求項1記載の液晶装置。
【請求項3】
前記シランカップリング材が複数種のアルコキシシランを有してなり、これらアルコキシシランは、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶装置。
【請求項4】
前記ゾルゲル溶液が、撥水基を有してなる撥水材料を含有し、該ゾルゲル溶液が硬化して得られる前記防湿膜が、撥水性を有していることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
前記防湿膜が、前記一対の基板の側端面側の全面に形成されていることを特徴とする請求項4記載の液晶装置。
【請求項6】
内面に配向膜を形成した一対の基板を、シール材を介して貼り合わせる工程と、
前記シール材に囲まれた領域に液晶を配置する工程と、
前記一対の基板の側端面側に、少なくとも前記シール材と前記配向膜とを覆った状態で、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液を塗布する工程と、
前記ゾルゲル溶液を硬化して防湿膜とする工程と、を備えたことを特徴とする液晶装置の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜請求項5のいずれか一項に記載の液晶装置を備えることを特徴とする電子機器。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置、液晶装置の製造方法、及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶プロジェクタ等に搭載される光変調手段や、携帯電話等に搭載される直視型表示装置として用いられる液晶装置は、液晶層に電圧を印加するための電極を具備する一対の基板を主体として構成されている。液晶装置を構成する一対の基板の各内面側には、導電膜(画素電極、対向電極等)や、液晶分子の初期配向状態を制御するための配向膜が形成されている。そして、これら配向膜間がシール材によって接合されることにより、基板どうしが貼り合わされ、さらにこのシール材に囲まれた領域内に液晶が封入されるようになっている。
【0003】
ところで、液晶装置では、吸湿や水分の浸入が品質低下の原因となることから、配向膜の表面に撥水処理を施したり、配向膜の表面に撥水性を有する膜を形成する技術が提供されている。
【特許文献1】特開2002−202509号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、配向膜の表面に撥水膜を形成する技術では、撥水膜の膜厚不均一性に伴って液晶素子のプレチルトに乱れが生じたり、撥水膜との接触によって液晶層内で気泡の発生などの不具合をまねく場合がある。また、一対の基板を貼り合わせるためのシール材の硬化に用いられる光や熱により、配向膜の撥水性が低下する場合がある。
【0005】
さらに、このように配向膜の表面に撥水処理を施しても、配向膜とシール材との界面やシール材自体の側面から透湿が起こり、液晶装置内に水分が侵入することにより、やはり品質低下が起きてしまう。
【0006】
本発明は前記課題を解決するためになされたもので、吸湿や水分の浸入を防止することができる液晶装置とその製造方法、さらにはこれを用いた電子機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため本発明の液晶装置は、互いに対向する一対の基板間に液晶を挟持してなる液晶装置であって、
前記一対の基板のそれぞれの内面に配向膜が設けられ、
前記配向膜間に、前記液晶を封入した状態でシール材が設けられ、
前記一対の基板の側端面側に、少なくとも前記シール材と前記配向膜とを覆った状態で、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、塗布され、硬化せしめられて防湿膜が形成されていることを特徴としている。
【0008】
この液晶装置によれば、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液により、前記一対の基板の側端面側の、少なくとも前記シール材と前記配向膜とを覆った位置に防湿膜が形成されているので、この防湿膜によって配向膜とシール材との界面やシール材自体の側面からの透湿が防止され、これにより吸湿(透湿)に起因する液晶装置の品質低下が防止される。
【0009】
また、前記液晶装置においては、前記金属アルコキシドが、Zrアルコキシド、Alアルコキシド、Tiアルコキシド、Mgアルコキシドのうちの少なくとも一種からなるのが好ましい。
このようにすれば、これら金属アルコキシド中のZr、Al、Ti、Mgが例えば酸化物となり、シランカップリング材によって形成されたポリシロキサン骨格と結合し、または前記配向膜やシール材中の有機官能基などと結合するので、得られる防湿膜の膜密度が高くなって透湿性が低くなり、防湿性が高くなる。また、シール材や配向膜との密着性が高くなることから、防湿効果が長期に亘って確保され、信頼性が向上する。さらに、配向膜等に溜まった電荷を放出することによる、静電気防止機能も有するものとなる。
【0010】
また、前記液晶装置においては、前記シランカップリング材が複数種のアルコキシシランを有してなり、これらアルコキシシランは、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なるのが好ましい。
このように、複数種のアルコキシシランの、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なっていれば、特にこれらが炭素数の多い長鎖と少ない短鎖とからなっている場合に、長鎖による網目構造内に短鎖が入り込むことで、防湿膜の膜密度がより高くなってその透湿性が低くなり、防湿性がより高くなる。
【0011】
また、前記液晶装置においては、前記ゾルゲル溶液が、撥水基を有してなる撥水材料を含有し、該ゾルゲル溶液が硬化して得られる前記防湿膜が、撥水性を有しているのが好ましい。
このようにすれば、防湿膜の撥水性によってこの防湿膜上、すなわちシール材や配向膜上に水分が付着することが防止されているので、このような水分の付着によって透湿が起こり易くなってしまうことが防止される。また、水分の付着による液晶装置内への水分の浸入も、もちろん防止される。
【0012】
なお、この液晶装置では、前記防湿膜が、前記一対の基板の側端面側の全面に形成されているのが好ましい。
このようにすれば、一対の基板の側端面側の全面に水分が付着するのが防止されるので、このような水分の付着によって一対の基板の側端面側から透湿が起こり易くなってしまうことが防止される。また、透湿自体についても、防湿膜が側端面の全面に形成されているので、より良好に防止される。
【0013】
本発明の液晶装置の製造方法は、内面に配向膜を形成した一対の基板を、シール材を介して貼り合わせる工程と、
前記シール材に囲まれた領域に液晶を配置する工程と、
前記一対の基板の側端面側に、少なくとも前記シール材と前記配向膜とを覆った状態で、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液を塗布する工程と、
前記ゾルゲル溶液を硬化して防湿膜とする工程と、を備えたことを特徴としている。
【0014】
この液晶装置の製造方法によれば、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液により、前記一対の基板の側端面側の、少なくとも前記シール材と前記配向膜とを覆った位置に防湿膜を形成するので、この防湿膜によって配向膜とシール材との界面やシール材自体の側面からの透湿を防止し、これにより吸湿(透湿)に起因する液晶装置の品質低下を防止することができる。
【0015】
本発明の電子機器は、前記の液晶装置を備えることを特徴としている。
この電子機器によれば、吸湿(透湿)に起因する品質低下が防止された液晶装置を備えているので、この電子機器自体も品質低下が防止され、表示の信頼性が向上したものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(液晶装置)
図1は、本発明の液晶装置の一実施形態としての液晶セルを示す模式断面図である。
図1に示すように、液晶セル100は、互いに対向する一対の基板10,20間に、液晶50(液晶層)を挟持した構成を有している。基板10の内面側(対向面側)には、透光性導電膜9(画素電極)と、配向膜40とが順次配設されている。一方、基板20の内面側(対向面側)には、透光性導電膜21(共通電極、対向電極)と、配向膜60とが順次形成されている。
【0017】
基板10と基板20とは、その配向膜40,60間でシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入・保持されている。このシール材52には、例えば基板10と基板20とを貼り合わせた後に液晶を注入するための、液晶注入口(図示せず)が形成されている。ただし、基板10と基板20とを貼り合わせる前に、予め一方の基板に液晶注入口を形成することなく環状にシール材52を塗布しておき、このシール材52の内側に液晶を充填した後、基板10と基板20とを貼り合わせるようにしてもよい。その場合には、前記したようにシール材52には液晶注入口が形成されないことになる。
【0018】
導電膜9,21としては、例えば錫をドープした酸化インジウム膜(ITO膜)が用いられる。また、これ以外にも、IZO膜、FTO膜等の透光性と導電性を有する公知の様々な導電膜を用いることもできる。また、透光性を必要としない場合には、優れた導電性を有する公知の様々な導電膜が適用可能である。ITO膜は、蒸着法やスパッタ法、焼成法(塗布熱分解法とも言う)等により形成することができる。
【0019】
スパッタ法を用いてITO膜を形成するには、基板表面温度を所定温度(例えば、200℃)に設定して酸化インジウムと酸化スズからなるITO透明導電膜を所定の膜厚(例えば、0.05μm〜10μm)に成膜し、所定の温度(例えば、200℃〜250℃)に一定時間(例えば、60分)保持して熱処理を行う。その後、必要に応じて、フォトリソグラフィ法により所望の平面形状にパターニングする。
【0020】
焼成法を用いてITO膜を形成するには、ITO膜の液体材料を基板上に配置し、その膜を熱処理する。液相法を用いた導電膜の形成は、製造コスト低減に有利である。液体材料の配置技術としては、インクジェット法、Capコート法、スピンコート法等を用いることができる。前記液体材料として、インジウムの有機化合物及び錫の有機化合物を有機アミンの存在下に溶解した有機溶媒を用いることにより、比較的低温(例えば250℃以下)での焼成が可能となる。また、透光性の導電性微粒子を含む微粒子膜を基板上に形成した後に、その微粒子膜上に透光性の導電性微粒子を溶解した有機溶媒を染み込ませ、その後にその膜を熱処理(焼成)することにより、焼成温度が比較的低温(例えば250℃以下)であっても導電性に優れた透光性導電膜を得ることができる。
【0021】
配向膜40,60としては、有機配向膜、及び無機配向膜のいずれも適用可能である。
有機配向膜は、例えば、ポリイミドなどの高分子膜の表面にラビング等の配向処理を施すことにより形成することができる。無機配向膜は、有機配向膜に比べて耐光性や耐熱性が高く、SiOのような無機膜を蒸着法あるいはスパッタ法を用いて形成した後にイオンビームや粒子ビームを無機膜表面に照射して配向処理を施すことにより形成することができる。あるいは、無機配向膜は、基板に対して斜めに無機材料を入射させて斜方柱状構造を有する膜を形成する、いわゆる斜方蒸着法によっても形成することができる。
【0022】
ここで、本実施形態の液晶セル100の側面には、防湿膜90が形成されている。この防湿膜90は、基板10,20の側端面側の全面、すなわち、基板10,20、導電膜9,21、配向膜40,60、及びシール材52の各側面(端面)を連続的にかつ全周にわたって覆うように配設されたものである。また、この防湿膜90は、特に透湿性が極めて低く、したがってこれが覆う箇所での透湿を良好に防止する機能を有したものである。
【0023】
すなわち、この防湿膜90は、シランカップリング材と金属アルコキシドと水とを含有してなるゾルゲル溶液が、塗布され、硬化せしめられて形成されたものである。シランカップリング材としては、各種アルコキシシランやアクリロキシシランから選択された一種あるいは複数種が用いられ、具体的には、tetramethoxysilane、3-glycidoxyproyl-trimethoxysilane、3-aminopropyl-triethoxysilane、N-trimethoxysilylpropyl-N,N,N-trimethylammonium chloride、methacryloxypropyltrimethoxysilaneなどが好適に用いられる。ここで、特にシランカップリング材として複数種のもの、例えば複数種のアルコキシシランを用いる場合には、これらアルコキシシランとして、それぞれのアルコキシ基における炭素数が互いに異なるものを用いるのが好ましい。すなわち、直鎖の炭素数が多くこの直鎖が長鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランと、直鎖の炭素数が少なくこの直鎖が短鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランとを混合して用いるのが好ましい。このような複数種のアルコキシシランを用いれば、後述するように長鎖による網目構造内に短鎖が入り込むことで、得られる防湿膜90の膜密度をより高くし、その透湿性を低くして防湿膜90の防湿性をより高めることができる。
【0024】
また、金属アルコキシドとしては、Zrアルコキシド、Alアルコキシド、Tiアルコキシド、Mgアルコキシドが好適とされ、これらから選択された一種あるいは複数種が好適に用いられる。具体的には、aluminum-sec-butoxide、zirconium-n-propoxideなどが好適とされる。そして、これらシランカップリング材と金属アルコキシドとの混合物に対し、これらを加水分解させるのに必要な水が添加され、適宜な温度で撹拌等の適宜処理がなされることにより、本発明におけるゾルゲル溶液とされる。
【0025】
また、本実施形態では、前記防湿膜90は撥水性を有したものとなっている。これは、前記ゾルゲル溶液が、撥水基を有してなる撥水材料を含有して形成されていることにより、該ゾルゲル溶液が硬化して得られる防湿膜90が撥水性を有するものとなっているのである。
ここで、前記の撥水材料については、前記のシランカップリング材及び金属アルコキシド以外の材料として、これら材料に新たに加えるようにしてもよく、または、前記のシランカップリング材や金属アルコキシド自体を、撥水材料としてもよい。すなわち、前記のシランカップリング材及び金属アルコキシドに撥水材料を加え、ゾルゲル溶液を形成するようにしてもよく、または、シランカップリング材又は金属アルコキシドとして、撥水性を有するものを用い、これによってゾルゲル溶液を形成するようにしてもよい。
【0026】
前記のシランカップリング材及び金属アルコキシド以外の材料として、新たに撥水材料を加える場合、この撥水材料としては、例えば被処理面にシラン化合物や界面活性剤等の有機分子からなる有機薄膜を形成し、撥水性を付与するものが用いられる。被処理面を撥水化するための有機分子は、被処理面を形成する基材に物理的または化学的に結合可能な官能基と、その反対側に、基材の表面性を改質して(表面エネルギーを制御して)撥液性にする官能基とを備え、基材に結合して有機薄膜を形成し、理想的には単分子膜となる。中でも、基材との結合可能な官能基と、その反対側の官能基とを結ぶ有機構造が炭素の直鎖あるいは一部分岐した炭素鎖である有機分子は、基材に結合して自己組織化するので好ましい。
【0027】
このような自己組織化する化合物、すなわち前記の撥水材料としては、例えば下記一般式(1)に示すようなシラン化合物を用いることができる。式(1)中、Rは有機基を表し、X及びXは−OR(アルコキシ基)、−R(アルキル基)、−Cl(塩素基)を示し、X及びXに含まれるRは炭素数1〜4のアルキル基を示し、aは1〜3の整数を示している。
SiX(3−a) …(1)
【0028】
一般式(1)で表されるシラン化合物は、シラン分子に有機基が置換し、さらに残りの結合基にアルコキシ基またはアルキル基または塩素基が置換したものである。なお、特にアルコキシ基を有するシラン化合物は、前記した本発明におけるゾルゲル溶液を構成するシランカップリング材となるアルコキシシランであり、したがって、前述したようにシランカップリング材に撥水性を付与したい場合には、前記一般式(1)で示されるアルコキシシランを用いればよいことになる。
【0029】
有機基Rの例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。
及びXのアルコキシ基や塩素基は、Si−O−Si結合等を形成するための官能基であり、水により加水分解されてアルコールや酸として脱離する。アルコキシ基としては例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
の炭素数は脱離するアルコールの分子量が比較的小さく、除去が容易であり形成される膜(防湿膜90)の緻密性の低下を抑制できるという観点から、1〜4の範囲であることが好ましい。
【0030】
一般式(1)で表される代表的な撥水性シラン化合物としては、含フッ素アルキルシラン化合物が挙げられる。特にRがパ−フルオロアルキル構造C(2n+1)で表される構造を有するものであり、一般式(2)で表される化合物を例示することができる。式(2)中、nは1から18の整数を、mは2から6までの整数をそれぞれ表し、XおよびXおよびaは、前記式(1)と同じ意味を表す。
含フッ素アルキルシラン化合物を用いることにより、得られる防湿膜90の表面にフルオロアルキル基が位置するように各化合物が配向して自己組織化膜が形成されるので、防湿膜90の表面に撥水性を付与することができる。
(2n+1)(CHSiX(3−a) …(2)
【0031】
より具体的には、CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(OCH、CF(CF11−CHCH−Si(OC、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OCH、CF(CF−CHCH−Si(CH)(OC、CF(CF−CHCH−Si(C)(OC等が挙げられる。
【0032】
また、Rがパ−フルオロアルキルエーテル構造C(2n+1)2pで表される構造を有するものも挙げることができる。その具体例としては例えば、下記一般式(3)で表される化合物を例示することができる。
(2p+1)O(C2pO)(CHSiX(3−a) …(3)
【0033】
式(3)中、mは2から6の整数を、pは1から4の整数を、rは1から10の整数をそれぞれ表し、X1およびX2およびaは、前出と同じ意味を表す。
具体的な化合物の例としては、CFO(CFO)−CHCH−Si(OC、CFO(CO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)(CFO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)−CHCH−Si(OCH、CFO(CO)−CHCH−Si(CH)(OC、CFO(CO)−CHCH−Si(C)(OCH等が挙げられる。
【0034】
フルオロアルキル基やパ−フルオロアルキルエーテル構造を有するシラン化合物は「FAS」と総称される。これらの化合物は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、FASを用いることにより、基材との密着性と良好な撥水性とを得ることができる。
【0035】
また、前記撥水材料として、下記一般式(4)で表される界面活性剤を用いることもできる。式(4)中、Rは疎水性の有機基を表し、Yは親水性の極性基、−OH、−(CHCHO)H、−COOH、−COOA、−CONH、−SOH、−SOA、−OSOH、−OSOA、−PO、−POA、−NO、−NH、−NHB(アンモニウム塩)、≡NHB(ピリジニウム塩)、−NX13B(アルキルアンモニウム塩)等である。ただし、Aは1個以上の陽イオンを表し、Bは1個以上の陰イオンを表すものとする。また、X1は前出と同じ炭素数1〜4のアルキル基を意味を表すものとする。
…(4)
【0036】
一般式(4)で表される界面活性剤は、親油性の有機基Rに親水性の官能基が結合した化合物である。Yは親水性の極性基を表し、基材との結合あるいは吸着するための官能基であり、有機基Rは親油性を有し、親水面の反対側に並ぶことにより親水面上に親油面が形成される。有機基Rの例としては、例えば、フェニル基、ベンジル基、フェネチル基、ヒドロキシフェニル基、クロロフェニル基、アミノフェニル基、ナフチル基、アンスレニル基、ピレニル基、チエニル基、ピロリル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、ピリジニル基、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、オクタデシル基、n−オクチル基、クロロメチル基、メトキシエチル基、ヒドロキシエチル基、アミノエチル基、シアノ基、メルカプトプロピル基、ビニル基、アリル基、アクリロキシエチル基、メタクリロキシエチル基、グリシドキシプロピル基、アセトキシ基等を例示できる。
【0037】
一般式(4)で表される代表的な撥水性の界面活性剤としては、含フッ素アルキル構造を有する化合物が挙げられる。特にRがパ−フルオロアルキル構造C(2n+1)で表される構造を有するものが有用である。より具体的には、F(CFCF(1〜7)−CHCH−N(CHCl、C17SONHC−N(CH)、F(CFCF(1〜7)−CHCHSCHCH−CO−Li、C17SON(C)−CO−K、(F(CFCF(1〜7))CHCHO)1,2PO(ONH1,2、C1021SONH、C13CHCHSOH、C13CHCHSONH、C17SON(C)−(CHCHO)(0〜25)H、C17SON(C)−(CHCHO)(0〜25)CH、F(CFCF(1〜7)−CHCHO−(CHCHO)(0〜25)Hが挙げられる。
【0038】
フルオロアルキル基を有する界面活性剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。なお、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、基材との密着性と良好な撥水性とを得ることができる。
さらに、フッ素を含有しないアルキル基を有した構造であってもよく、一般的な界面活性剤にも緻密な膜を形成させることで、撥水性を得ることができる。
【0039】
また、前記のシランカップリング材や金属アルコキシド自体を、撥水材料とする場合、このような撥水性を有するシランカップリング材または金属アルコキシドとしては、例えば前述したように、シランカップリング材としてアルコキシシランを用いればよい。また、より撥水性を高めるためには、このアルコキシシランのアルコキシ基、または金属アルコキシドのアルコキシ基中におけるアルキル基にフッ素基が導入されたもの、例えばパ−フルオロアルキル構造[C(2n+1)]を有するものを用いるようにすればよい。さらに、フッ素基が導入されていなくても、特に前記アルコキシ基中におけるアルキル基の炭素数が多く、その直鎖が十分に長いものであれば、これが疎水基となることで、得られる防湿膜90は撥水性を有するものとなる。
【0040】
このような材料によって形成されるゾルゲル溶液、すなわち、シランカップリング材及び金属アルコキシドと、必要に応じて添加される撥水材料との混合物に、水が加えられて形成されるゾルゲル溶液は、前記基板10、20の側端面側に塗布され、さらに硬化処理がなされることにより、防湿膜90に形成される。ここで、本実施形態では、ゾルゲル溶液として、前記のtetramethoxysilane、3-glycidoxyproyl-trimethoxysilane、3-aminopropyl-triethoxysilane、及びaluminum-sec-butoxide、zirconium-n-propoxideを適宜な比で混合し、これらの混合物に当量の水を添加し撹拌することで、粘性が高く、したがって粘着性が高いゾルゲル溶液を作製している。
【0041】
このようにして得られたゾルゲル溶液の塗布については、特に限定されることなく種々の方法が採用可能である。具体的には、浸漬法(ディップコート法)やスプレーコート法、各種印刷法、さらにはディスペンス法やインクジェット法などが好適に用いられる。なお、本実施形態では、特に基板10,20の側端面側の全面に防湿膜90を形成するので、例えば液晶セル100の表裏面となる基板10,20の外面(表面)をマスキングしておき、その状態で基板10,20の側端面側を前記ゾルゲル溶液中に浸漬するといった方法が、簡易であることから好適に採用される。
【0042】
このようにして塗布すると、ゾルゲル溶液は前述したように粘着性が高いことから、塗布箇所に良好に付着する。そこで、この塗布面に紫外線を例えば数秒から60秒程度照射することにより、前記ゾルゲル溶液を硬化させ、防湿膜90を得ることができる。または、150℃以下(例えば80℃〜150℃)の、液晶セル100の特性を劣化させない温度で数分から数十分程度加熱処理を行うことにより、前記ゾルゲル溶液を硬化させて防湿膜90を得ることもできる。もちろん、このような紫外線照射処理と加熱処理とを併用することにより、硬化時間をより短縮することもできる。
なお、このような防湿膜90の形成に先立ち、前記ゾルゲル溶液の塗布箇所を、適宜な方法で洗浄処理しておくことが望ましい。
【0043】
このようにして得られた防湿膜90は、例えばシール材52の透湿率が約5g/m・24hrであるのに対し、約0.16g/m・24hrと格段に低いことから、特に配向膜40,60とシール材52との界面やシール材52自体の側面からの透湿をより良好に防止することができる。
したがって、本実施形態の液晶セル100にあっては、吸湿(透湿)に起因する品質低下が確実に防止されたものとなる。
【0044】
また、防湿膜90を形成するゾルゲル溶液について、金属アルコキシドとしてZrアルコキシド及びAlアルコキシドを用いているので、これら金属アルコキシドが加水分解されてその金属(Zr、Al)が例えば[ZrO]や[AlO]のような八面体構造を形成する酸化物となることから、これが被塗布箇所の有機官能器やシランカップリング材からなる構造に結合することなどにより、特に得られる防湿膜90の膜密度が高くなり、その透湿性が低くなって防湿性が高くなる。すなわち、シランカップリング材だけであれば、これが加水分解されて[SiO]のような四面体構造となり、これが被塗布箇所の有機官能器等に結合するだけとなる。しかし、このような一種類の構造からなる膜よりは前述したような八面体構造のものを含めた二種類の構造からなる膜のほうが、より膜密度が高くなり、透湿性が低くなって防湿性が高くなるのである。また、硬化する前のゾルゲル溶液の状態においても、液の密度が高くなることで粘性が高く粘着性が高くなることにより、被塗布箇所に対する密着性が良好になるのである。
【0045】
さらに、防湿膜90中には前記金属アルコキシド中の金属(Zr、Al)が存在することから、配向膜40,60等に溜まった電荷を放出することによる、静電気防止機能も発揮するものとなる。
なお、シランカップリング材として、例えば前記のN-trimethoxysilylpropyl-N,N,N-trimethylammonium chlorideのような極性化合物を用いれば、これが配向膜40,60等に溜まった電荷を放出する機能を有するものとなることにより、防湿膜90は静電気防止機能を発揮するものとなる。
【0046】
また、ゾルゲル溶液を形成するシランカップリング材として、特に直鎖の炭素数が多くこの直鎖が長鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランと、直鎖の炭素数が少なくこの直鎖が短鎖となるアルコキシ基(アルキル基)を有するアルコキシシランとを混合して用いれば、長鎖による網目構造内に短鎖が入り込むことで、防湿膜90の膜密度がより高くなってその透湿性が低くなり、防湿性がより高くなる。
【0047】
また、防湿膜90が撥水性を有しており、したがってこの防湿膜90上に水分が付着するのを防止しているので、例えばシール材52や配向膜40,60上に水分が付着するのを防止することができ、これにより水分の付着によって透湿が起こり易くなってしまうのを防止することができる。また、水分の付着による液晶セル100内への水分の浸入も、もちろん防止することができる。特に、防湿膜90を基板10,20の側端面側の全面に形成しているので、これら基板10,20の側端面側からの透湿や水の浸入をより良好に防止することができる。
【0048】
さらに、この液晶セル100によれば、配向膜40,60の表面に対する撥水処理を省くことが可能となり、配向膜40,60の表面に撥水膜を形成することによって生じる液晶素子への影響(例えば撥水膜の不均一性に伴うプレチルトの乱れ、撥水膜との接触による液晶層50内での気泡の発生など)を回避することができる。また、一対の基板10,20を貼り合わせた後に、防湿膜90を形成することから、シール材52の硬化時の光や熱によって防湿膜90の機能が低下することを回避することができる。
【0049】
次に、図1に示した実施形態の変形例を、図2、図3、図4を参照して説明する。
図2の液晶装置(液晶パネル130)は、図1と異なり、基板10,20の外面側に、偏光板45,65と、防塵板46,66とが配設されており、偏光板45,65の側面と防塵板46,66の側面とをさらに覆って防湿膜90が形成されている。すなわち、防湿膜90は、基板10,20の側端面側の全面、つまり、基板10,20、導電膜9,21、配向膜40,60、及びシール材52の各側面に加え、偏光板45,65,及び防塵板46,66の各側面を連続的にかつ全周にわたって覆うように配設されている。そして、本例の液晶パネル130でも、基板10,20と導電膜9,21との接合部分、導電膜9,21と配向膜40,60との接合部分、及び配向膜40,60とシール材52との接合部分に加え、基板10,20と偏光板45,65との接合部分、偏光板45,65と防塵板46,66との接合部分がそれぞれ、防湿膜90に覆われることから、それらの接合部分やシール材52自体から装置内部に透湿(吸湿)が起こり、あるいは水分の浸入が起こるのを防止することができる。
【0050】
図3の液晶装置(液晶セル150)は、図1と同様に、防湿膜90が、基板10,20、導電膜9,21、配向膜40,60、及びシール材52の各側面を連続的にかつ全域にわたって覆うように配設されている。また、図3の液晶セル150は、図1と異なり、基板10,20の側面に比べてシール材52の側面が内方に位置し、その段差に沿って連続的に防湿膜90が形成されている。
【0051】
すなわち、図3の液晶セル150では、シール材52の側面が基板10,20の側面に比べて凹んでおり、基板10,20、導電膜9,21、及び配向膜40,60の側面に加え、その凹部に防湿膜90が充填されている。そして、防湿膜90の膜厚に関して、基板10,20、導電膜9,21、及び配向膜40,60の各側面位置に比べて、シール材52の側面位置が厚くなっている。したがって、本例の液晶セル150によれば、厚膜の防湿膜90に覆われた部分、すなわち、配向膜40,60とシール材52との界面(接合部分)、及びシール材52の側面において、吸湿(透湿)や水分の浸入がより確実に防止されたものとなっている。さらに、本例の液晶セル150では、基板10,20の側面側に段差が形成され、その段差部分を覆って防湿膜90が形成されていることから、この防湿膜90が段差部分に係合した状態で基板10,20の側面側に形成されたものとなり、したがって、基板10,20の側面側に対する防湿膜90の密着性がより良好となる。
【0052】
図4の液晶セルで140は、図3の液晶セル150に対し、特に防湿膜90を、基板10,20の側面側の全面でなく、配向膜40,60及びシール材52のみを覆った状態で形成している。このようにしても、防湿膜90の透湿防止効果が優れているので、配向膜40,60とシール材52との界面(接合部分)、及びシール材52の側面からの吸湿(透湿)や水分の浸入を確実に防止することができる。
【0053】
次に、本発明の液晶装置の具体的な構成例について説明する。
図5は本実施形態の液晶装置の全体構造を示す平面図である。図6は図5の液晶装置の縦断面図である。図7は本実施形態の液晶装置の画像表示領域を構成するマトリックス状に配置された複数の画素におけるスイッチング素子、信号線等を示す等価回路図である。
【0054】
図5及び図6に示すように、この液晶装置(透過型液晶セル150)は、TFTアレイ基板10と対向基板20とがシール材52によって貼り合わされ、このシール材52によって区画された領域内に液晶50が封入、保持されている。シール材52には、製造時においてTFTアレイ基板10と対向基板20とを貼り合わせた後に液晶を注入するための液晶注入口55が形成されており、該液晶注入口55は液晶注入後に封止材54により封止されている。
【0055】
シール材52の内側の領域には、遮光性材料からなる周辺見切り(図示略)が形成される一方、シール材52の外側の領域には、データ線駆動回路201及び実装端子202がTFTアレイ基板10の一辺に沿って形成されており、この一辺に隣接する2辺に沿って走査線駆動回路204が形成されている。TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域の両側に設けられた走査線駆動回路204の間を接続するための複数の配線205が設けられている。
【0056】
図7に示すように、画像表示領域を構成するマトリックス状に配置された複数の画素に、画素電極9と、この画素電極9を制御するためのスイッチング素子であるTFT素子30とがそれぞれ形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT素子30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに供給される画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給されるか、あるいは相隣接する複数のデータ線6aに対してグループ毎に供給される。
【0057】
また、走査線3aがTFT素子30のゲートに電気的に接続されており、複数の走査線3aに対して走査信号G1、G2、…、Gmが所定のタイミングでパルス的に線順次で印加される。また、画素電極9はTFT素子30のドレインに電気的に接続されており、このTFT素子30を一定期間だけオン状態とすることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込むようになっている。
【0058】
画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、後述する共通電極との間で一定期間保持される。この液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能にする。
保持された画像信号がリークすることを防止するために、画素電極9と共通電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量17が付加されている。
【0059】
図5及び図6に戻り、TFTアレイ基板10の液晶層50側の表面には、画素電極9と、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御するための配向膜40が形成されている。なお、TFTアレイ基板10の液晶層50側と反対側の表面には、所定の偏光のみを透過する偏光板、及び必要に応じて防塵板が配設される。
【0060】
他方、対向基板20の液晶層50側の表面には、ITO等の透明電極材料からなる共通電極21と、電圧無印加時における液晶層50内の液晶分子の配向を制御するための配向膜60とが形成されている。なお、TFTアレイ基板10の液晶層50側と反対側の表面には、所定の偏光のみを透過する偏光板、及び必要に応じて防塵板が配設される。
【0061】
そして、本例の液晶セル150では、基板10、導電膜9,21、配向膜40,60、及びシール材52の各側面(端面)を連続的にかつ全周にわたって覆うように防湿膜90が配設されている。なお、電極や配線(データ線駆動回路201、実装端子202、配線205など)などの防湿膜の不要な部分は、予めマスキングした後に成膜がなされたり、成膜後に防湿膜が除去されるなどにより、露出させられている。
【0062】
その結果、本例の液晶セル150では、防湿膜90によって導電膜9,21、配向膜40,60、及びシール材52の各側面からの吸湿(透湿)が防止され、さらに、基板10,20と導電膜9,21との接合部分、導電膜9,21と配向膜40,60との接合部分、及び配向膜40,60とシール材52との接合部分がそれぞれ、防湿膜90に覆われることから、それらの接合部分(界面)から装置内部への吸湿や水分の浸入が防止される。
【0063】
なお、本実施形態においては、TNモードの液晶装置についてのみ説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、垂直配向モード、STN(Super TwistedNematic)モードなど、電圧無印加時の液晶分子の配向状態がいかなる液晶装置にも適用することができる。本発明を、垂直配向モードの液晶装置に適用する場合には、液晶層を、液晶分子の長短軸方向が短長軸方向に比較して分極しやすい、正負の誘電率異方性を有する液晶により構成すれば良い。この場合には、電圧無印加時に、液晶層内の液晶分子が配向膜によって制御され、所定の方向に配列するのに対し、電圧印加時には、液晶層内の液晶分子が、その長軸方向を一対の基板間に発生する縦電界の方向に対して略垂直平行方向に向けて配列するため、電圧無印加時、電圧印加時における液晶分子の配列を光学的に識別し、表示を行うことができる。
【0064】
図8は、パッシブマトリックス型の透過型液晶装置の全体構成を示す斜視図である。
この透過型液晶装置は、液晶層(図示略)を挟持して対向配置された一対の基板70,80を具備して概略構成されている。
【0065】
より詳細には、基板70は、基板本体71の液晶層側表面に、ストライプ状に形成された多数の透明電極72と、イオン吸着性微粒子を含有してなる保護膜(図示略)と配向膜(図示略)とを順次具備して構成されている。また、基板80は、基板本体81の液晶層側表面に、ストライプ状に形成された多数の透明電極82と、イオン吸着性微粒子を含有してなる保護膜(図示略)と配向膜(図示略)とを順次具備して構成されている。
【0066】
なお、図示するように、基板70の透明電極72と基板80の透明電極82とは互いに交差する方向に形成されている。また、一対の基板70,80の側面には、全周に不図示の防湿膜が連続的に形成されている。
このように、本発明は、パッシブマトリックス型の透過型液晶装置にも適用することができ、アクティブマトリックス型の透過型液晶装置と同様の効果を得ることができる。
【0067】
前記の各実施形態においては、TFT素子を用いたアクティブマトリックス型の透過型液晶装置、パッシブマトリックス型の透過型液晶装置についてのみ説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、TFD(Thin-Film Diode)素子に代表される2端子型素子を用いたアクティブマトリックス型液晶装置等にも適用可能である。
【0068】
また、前記の各実施形態においては、透過型液晶装置を取り上げて説明したが、本発明は、一対の基板を貼り合わせた後にそれらの基板の外面に防湿膜を形成した構成であればよく、前記の各実施形態に限定されるものではない。例えば、透過型液晶装置以外の反射型液晶装置、半透過反射型液晶装置にも適用可能であり、いかなる構造の液晶装置にも適用することができる。
【0069】
(電子機器)
次に、本発明の電子機器の一例としてプロジェクタについて説明する。
図9は、プロジェクタを概略的に示す図である。
このプロジェクタPJ1は、本発明の液晶装置を光変調手段(液晶ライトバルブ)として用いており、R(赤)、G(緑)、B(青)の異なる色毎に透過型液晶ライトバルブを備えた3板式の間欠表示型カラー液晶プロジェクタである。
【0070】
図9に示すように、プロジェクタPJ1は、光源810と、ダイクロイックミラー813,814と、反射ミラー815,816,817と、入射レンズ818と、リレーレンズ819と、射出レンズ820と、液晶ライトバルブ822,823,824と、クロスダイクロイックプリズム825と、投射レンズ826とを備えて構成されている。
【0071】
光源810は、メタルハライド等のランプ811とランプの光を反射するリフレクタ812とを含む。
ダイクロイックミラー813は、光源810からの白色光に含まれる赤色光を透過させるとともに、青色光と緑色光とを反射する。透過した赤色光は反射ミラー817で反射されて、赤色光用液晶ライトバルブ822に入射する。また、ダイクロイックミラー813で反射された緑色光は、ダイクロイックミラー814によって反射され、緑色光用液晶ライトバルブ822に入射する。さらに、ダイクロイックミラー813で反射された青色光は、ダイクロイックミラー814を透過する。青色光に対しては、長い光路による光損失を防ぐため、入射レンズ818、リレーレンズ819および射出レンズ820を含むリレーレンズ系からなる導光手段821が設けられている。この導光手段821を介して、青色光が青色光用液晶ライトバルブ824に入射する。
【0072】
各液晶ライトバルブ822,823,824により変調された3つの色光は、クロスダイクロイックプリズム825に入射する。このクロスダイクロイックプリズム825は4つの直角プリズムを貼り合わせたものであり、その界面には赤光を反射する誘電体多層膜と青光を反射する誘電体多層膜とがX字状に形成されている。これらの誘電体多層膜により3つの色光が合成されて、カラー画像を表す光が形成される。合成された光は、投射光学系である投射レンズ826によってスクリーン827上に投影され、画像が拡大されて表示される。
【0073】
このようなプロジェクタPJ1によれば、液晶ライトバルブ822,823,824における吸湿(透湿)や水の侵入による表示品質の低下が防止されていることから、表示品質が向上して表示の信頼性が向上したものとなる。
【0074】
なお、本例では赤色光用,緑色光用,青色光用の各液晶ライトバルブに本発明の液晶装置を採用したが、係る液晶装置は必ずしも全ての液晶ライトバルブに適用される必要はなく、少なくともR,G,Bのうちのいずれかの液晶ライトバルブに適用すれば、その効果を得ることができる。光のエネルギーが高い青色光(B)用の液晶ライトバルブに本発明の液晶装置を適用すると特に効果的である。
また、3板式の投射型表示装置(プロジェクタ)を例にして説明したが、単板式の投射型表示装置や直視型表示装置に本発明を適用することも可能である。
【0075】
また、本発明の液晶装置を、プロジェクタ以外の電子機器に適用することも可能である。その具体例として、本発明の液晶装置を表示部に備えた携帯電話を挙げることができる。また、その他の電子機器としては、例えば、ビデオカメラ、パーソナルコンピュータ、ヘッドマウントディスプレイ、さらに表示機能付きファックス装置、デジタルカメラのファインダ、携帯型TV、PDA(Personal Digital Assistant)、電子手帳、電光掲示盤、宣伝公告用ディスプレイ等が挙げられる。
【0076】
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明の液晶装置の一例としての液晶セルを示す模式断面図。
【図2】図1の液晶装置の変形例を示す図。
【図3】図1の液晶装置の変形例を示す図。
【図4】図1の液晶装置の変形例を示す図。
【図5】液晶装置の全体構造を示す平面図。
【図6】図5の液晶装置の縦断面図。
【図7】透過型液晶装置の画像表示領域を示す等価回路図。
【図8】パッシブマトリックス型の透過型液晶装置を示す斜視図。
【図9】プロジェクタの一例を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0078】
10…基板、20…基板、9…画素電極(導電膜)、21…共通電極(導電膜)、50…液晶層(液晶)、52…シール材、40,60…配向膜、70…下側基板、80…上側基板、90…防湿膜、100,140,150…液晶セル(液晶装置)、130…液晶パネル(液晶装置)、PJ1…プロジェクタ。




 

 


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