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エネルギー分散型蛍光X線装置、蛍光X線分析方法、およびプログラム - セイコーエプソン株式会社
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発明の名称 エネルギー分散型蛍光X線装置、蛍光X線分析方法、およびプログラム
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3331(P2007−3331A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−183366(P2005−183366)
出願日 平成17年6月23日(2005.6.23)
代理人 【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
発明者 新村 優子
要約 課題
分析精度の高いエネルギー分散型蛍光X線装置、蛍光X線分析方法、およびプログラムを提供する。

解決手段
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置100は、試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析するエネルギー分散型蛍光X線装置であって、前記試料から発生した蛍光X線を検出する検出部14と、前記検出部が検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成するスペクトル作成部22と、前記スペクトル作成部によって作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断する鉛同定部24と、を含む。
特許請求の範囲
【請求項1】
試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析するエネルギー分散型蛍光X線装置であって、
前記試料から発生した蛍光X線を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成するスペクトル作成部と、
前記スペクトル作成部によって作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断する鉛同定部と、
を含む、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数のエネルギー位置は、鉛のLα線およびLβ線に対応するエネルギー位置である、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項3】
請求項1または2において、
前記鉛の含有量を、エネルギー位置およびピーク強度に対応付けて予め格納する記憶部と、
前記試料が鉛を含有すると前記鉛同定部が判断した場合に、前記スペクトルのピーク強度およびエネルギー位置に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定する鉛定量部と、
をさらに含む、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、前記スペクトルが砒素のKβ線のエネルギー位置にピークを有する場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定する、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項5】
請求項3または4において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、前記スペクトルが臭素のKα線およびKβ線のエネルギー位置にピークを有する場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLα線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定する、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項6】
請求項3または4において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、前記スペクトルが臭素のKα線およびKβ線のエネルギー位置に所定値以上の強度のピークを有する場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLα線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定する、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項7】
請求項3ないし6のいずれかにおいて、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、砒素のKβ線のエネルギー位置と臭素のKα線およびKβ線のエネルギー位置との双方に前記スペクトルがピークを有しない場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量に基づいて、前記試料に含有されている鉛の含有量を決定する、エネルギー分散型蛍光X線装置。
【請求項8】
試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析する蛍光X線分析方法であって、
前記試料から発生した蛍光X線を検出するステップと、
検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成するステップと、
作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断するステップと、
を含む、蛍光X線分析方法。
【請求項9】
試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析するコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記試料から発生した蛍光X線を検出する手段と、
検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成する手段と、
作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断する手段と、
をコンピュータに実現させる、プログラム。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、エネルギー分散型蛍光X線装置、蛍光X線分析方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
重金属などの金属物質を分析する装置として、蛍光X線分析装置が知られている。蛍光X線分析は、物質にX線を照射することにより発生する蛍光X線を利用して、物質を分析するものである。具体的には、物質にX線を照射することにより、物質に含まれる原子の内殻電子を外殻にはじき出し、電子がはじき出されることによって空いた空間に外殻電子が落ちてくる。このときに生じたエネルギーが電磁場として放射されたものを蛍光X線という。蛍光X線分析装置としては、エネルギー分散型と波長分散型とがある。エネルギー分散型蛍光X線分析装置を用いて鉛の同定および定量を行う際、スペクトルは、鉛のピークと他元素のピークとが重なることによって正確な分析を行うことができない場合がある。一方、波長分散型蛍光X線分析装置による分析は、試料の形状が限定され、分析に要する時間が著しく長いという問題がある。
【特許文献1】特開2004−251828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、分析精度の高いエネルギー分散型蛍光X線装置、蛍光X線分析方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置は、
試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析するエネルギー分散型蛍光X線装置であって、
前記試料から発生した蛍光X線を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成するスペクトル作成部と、
前記スペクトル作成部によって作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断する鉛同定部と、
を含む。
【0005】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置において、
前記複数のエネルギー位置は、鉛のLα線およびLβ線に対応するエネルギー位置であることができる。
【0006】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置において、
前記鉛の含有量を、エネルギー位置およびピーク強度に対応付けて予め格納する記憶部と、
前記試料が鉛を含有すると前記鉛同定部が判断した場合に、前記スペクトルのピーク強度およびエネルギー位置に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定する鉛定量部と、
をさらに含むことができる。
【0007】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、前記スペクトルが砒素のKβ線のエネルギー位置にピークを有する場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定することができる。
【0008】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、前記スペクトルが臭素のKα線およびKβ線のエネルギー位置にピークを有する場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLα線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定することができる。
【0009】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、前記スペクトルが臭素のKα線およびKβ線のエネルギー位置に所定値以上の強度のピークを有する場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLα線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量を、前記試料に含有されている鉛の含有量として決定することができる。
【0010】
本発明にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置において、
前記記憶部は、鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けて鉛の含有量を格納し、
前記鉛定量部は、砒素のKβ線のエネルギー位置と臭素のKα線およびKβ線のエネルギー位置との双方に前記スペクトルがピークを有しない場合に、前記記憶部において、前記スペクトルの鉛のLα線およびLβ線のエネルギー位置およびピーク強度に対応付けられた鉛の含有量に基づいて、前記試料に含有されている鉛の含有量を決定することができる。
【0011】
本発明にかかる蛍光X線分析方法は、
試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析する蛍光X線分析方法であって、
前記試料から発生した蛍光X線を検出するステップと、
検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成するステップと、
作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断するステップと、
を含む。
【0012】
本発明にかかるプログラムは、
試料にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて前記試料を分析するコンピュータが実行可能なプログラムであって、
前記試料から発生した蛍光X線を検出する手段と、
検出した前記蛍光X線のスペクトルを作成する手段と、
作成された前記スペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、前記試料が鉛を含有すると判断する手段と、
をコンピュータに実現させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
1.エネルギー分散型蛍光X線装置の構成
図1は、本発明の実施の形態にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置の機能構成を示す図である。エネルギー分散型蛍光X線装置100は、試料10にX線を照射することにより発生する蛍光X線に基づいて試料10に含まれる鉛の同定および定量を行う。エネルギー分散型蛍光X線装置100は、X線照射部12と、検出部14と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、処理部20とを備える。
【0015】
X線照射部12は、試料10にX線を照射する。検出部14は、試料10から発生した蛍光X線を検出し、検出値をスペクトル作成部22に送る。入力部16は、エネルギー分散型蛍光X線装置100のオペレータが各種の設定データや操作データを入力するためのものであり、その機能は、キーボード、操作ボタン、タッチパネル型ディスプレイなどのハードウエアにより実現できる。出力部17は、試料10の測定結果を出力する。また出力部17は、エネルギー分散型蛍光X線装置100の設定状態、作動状態などを画像出力してもよく、その機能はCRT、LCD、タッチパネル型ディスプレイ、プリンタ等の公知のハードウエアにより実現できる。
【0016】
記憶部18は、各種の設定データ(たとえば、測定制御用データなど)を記憶する他に、処理部20等の各種処理機能を実現するためのワーク領域となるもので、その機能はRAM、ROM、光ディスク、光磁気ディスクなどのハードウエアにより実現できる。また記憶部18には、エネルギー分散型蛍光X線装置100の各部を機能させるためのプログラムが格納されていてもよい。エネルギー分散型蛍光X線装置100は、記憶部18に格納されているプログラムを読み取ってエネルギー分散型蛍光X線装置100の各部の機能を実現させることができる。また、記憶部18にかえて、上述した各機能を実現するためのプログラム等を、伝送路を介してホスト装置等からダウンロードすることによって上述したエネルギー分散型蛍光X線装置100の各部の機能を実現することも可能である。
【0017】
処理部20は、検出部14が検出した検出値を処理し、処理結果を記憶部18または出力部17に送る。具体的に処理部20は、スペクトル作成部22と、鉛同定部24と、鉛定量部26とを含む。
【0018】
スペクトル作成部22は、検出部14が検出した蛍光X線の検出値に基づいて蛍光X線のスペクトルを作成し、鉛同定部24および鉛定量部26に送る。スペクトル作成部22は、検出部14が検出した蛍光X線のエネルギー位置ごとの強度を示すスペクトルを作成する。
【0019】
鉛同定部24は、スペクトル作成部22が作成したスペクトルが、鉛元素に対応する複数のエネルギー位置のすべてにピークを有する場合に、試料10が鉛を含有すると判断する。複数のエネルギー位置とは、鉛のLα線およびLβ線に対応するエネルギー位置である。鉛同定部24は、試料10が鉛を含有すると判断した場合に、その旨を鉛定量部26に送る。また鉛同定部24は、試料10が鉛を含有するか否かを示す情報を出力部17に送る。出力部17は、鉛同定部24から受け取った情報を、エネルギー分散型蛍光X線装置100のオペレータが閲覧可能に画像表示する。
【0020】
鉛定量部26は、試料10が鉛を含有する旨を示す情報を鉛同定部24から受け取った場合に、スペクトル作成部22から受け取ったスペクトルに基づいて、試料10中の鉛の含有量を決定する。また鉛定量部26は、決定した鉛の含有量を示す情報を出力部17に送る。出力部17は、鉛定量部26から受け取った情報を、エネルギー分散型蛍光X線装置100のオペレータが閲覧可能に画像表示する。
【0021】
2.エネルギー分散型蛍光X線装置の動作
次にエネルギー分散型蛍光X線装置100の詳細な動作について説明する。図2は、エネルギー分散型蛍光X線装置100の動作を示すフローチャートである。
【0022】
まず、X線照射部12は、試料10にX線を照射する(S100)。ついで検出部14は、蛍光X線を検出する(S102)。
【0023】
次にスペクトル作成部22は、検出部14が検出した検出値に基づいて、エネルギー位置ごとの蛍光X線の強度を示すスペクトルを作成する(S104)。
【0024】
次に鉛同定部24は、スペクトル作成部22が作成したスペクトルが鉛のLα線に対応するエネルギー位置にピーク(以下、「ピークPbLα」とする。)を有するか否かを判断する(S106)。ここで鉛同定部24は、公知の方法を用いてピークの有無を判断することができる。鉛同定部24は、たとえば、スペクトルを2次微分し、負の領域の最小エネルギー位置をピークのエネルギー位置としてリストアップし、リストアップしたエネルギー位置と、鉛のLα線のエネルギー位置との差が所定値以内であれば、鉛のLα線のピークとして判断する。
【0025】
鉛同定部24は、スペクトルがピークPbLαを有すると判断した場合に、スペクトルが鉛のLβ線に対応するエネルギー位置にピーク(以下、「ピークPbLβ」とする。)を有するか否かを判断する(S108)。鉛同定部24は、上述した方法でピークの有無を判断することができる。
【0026】
出力部17は、スペクトルがピークPbLβを有すると鉛同定部24が判断した場合に、試料10が鉛を含有する旨を出力する(S109)。
【0027】
次に、鉛定量部26は、スペクトルが砒素のKβ線に対応するエネルギー位置にピーク(以下、「ピークAsKβ」とする。)を有するか否かを判断する(S110)。
【0028】
鉛定量部26は、ピークAsKβを有しないと判断した場合に、ピークPbLαの強度に基づいて、試料10中の鉛の含有量を決定する(S112)。記憶部18は、エネルギー位置ごとに鉛の含有量を強度に対応付けて予め格納しておく。そして鉛定量部26は、ピークPbLαの強度に対応付けられて格納されている鉛の含有量を記憶部18から読み出し、試料10中の鉛の含有量として決定する。
【0029】
なお、鉛定量部26は、鉛の含有量に対する強度の検量線を示す情報が記憶部18に格納されている場合には、当該検量線とピークPbLαの強度とから試料10中の鉛の含有量を算出してもよい。なお、記憶部18は、鉛の含有量にかえて、鉛の濃度等の含有量に関連した情報を格納してもよい。
【0030】
ステップS112の後、またはS110においてスペクトルがピークAsKβを有すると判断した場合に、鉛定量部26は、スペクトルが臭素のKα線およびKβ線に対応するエネルギー位置にピーク(以下、「ピークBrKα」、「ピークBrKβ」とする。)を有するか否かを判断する(S114)。
【0031】
鉛定量部26は、スペクトルがピークBrKαおよびピークBrKβを有すると判断した場合に、ピークBrKαおよびピークBrKβの強度が所定値以上であるか否かを判断する(S116)。
【0032】
鉛定量部26は、S114においてスペクトルがピークBrKαおよびピークBrKβを有しないと判断した場合、またはS116においてピークBrKαおよびピークBrKβの強度が所定値未満であると判断した場合に、ピークPbLβの強度に基づいて、試料10中の鉛の含有量を決定する(S118)。鉛定量部26は、ピークPbLβの強度に対応付けられて格納されている鉛の含有量を記憶部18から読み出し、試料10中の鉛の含有量として決定する。
【0033】
なお、鉛定量部26は、鉛の含有量に対する強度の検量線を示す情報が記憶部18に格納されている場合には、当該検量線とピークPbLβの強度とから試料10中の鉛の含有量を算出してもよい。
【0034】
鉛同定部24は、S106においてスペクトル作成部22が作成したスペクトルがピークPbLαを有しないと判断した場合、またはS108においてピークPbLβを有しないと判断した場合、試料10が鉛を含有しない旨を出力する(S120)。
【0035】
S116においてピークBrKαおよびピークBrKβの強度が所定値以上であると判断した場合、S120の動作が終了したとき、またはS118の動作が終了したときに、エネルギー分散型蛍光X線装置100は動作を終了する。
【0036】
3.実験例
3.1.実験例1
鉛を含有する既知試料の蛍光X線分析を行った。図3は、鉛を含有する試料の蛍光X線スペクトルを示す。試料としては、電子機器のケーブルの金属線を取り除いた、被覆材料の軟質塩化ビニルを用いた。検出された2本のピークトップの位置は、鉛のLα線とLβ線のエネルギー位置と一致した。
【0037】
3.2.実験例2
砒素を含有する既知試料の蛍光X線分析を行った。図4は、砒素を含有する試料の蛍光X線スペクトルを示す。試料としては、電子機器シャフト材料のナイロンを用いた。検出されたピークトップの位置は、鉛のLα線と砒素のKα線およびKβ線のエネルギー位置と一致した。また鉛のLβ線の位置にピークは検出されなかった。
【0038】
3.3.実験例3
鉛と所定値以上の臭素を含有する既知試料の蛍光X線分析を行った。図5は、鉛と所定値以上の臭素を含有する試料の蛍光X線スペクトルを示す。試料としては、電子機器の筐体材料のポリスチレンを用いた。検出されたピークトップの位置は、鉛のLα線と一致したが、鉛のLβ線の位置のピークトップは、臭素のKα線とKβ線のピークのバックグラウンドに埋もれたため確認できなかった。
【0039】
3.4.実験例4
鉛と所定値未満の臭素を含有する既知試料の蛍光X線分析を行った。図6は、鉛と所定値未満の臭素を含有する試料の蛍光X線スペクトルを示す。試料としては、電子機器の筐体材料のポリスチレンを用いた。検出されたピークトップの位置は、鉛のLα線およびLβ線ならびに臭素のKα線およびKβ線と一致した。
【0040】
3.5.実験例5
試料中の鉛の濃度に対するスペクトル強度の検量線を作成した。図7は、検量線を示す図である。この検量線は、鉛のLα線のピーク強度を用いて作成したものである。エネルギー分散型蛍光X線装置100は、この検量線を用いて鉛を定量することができる。
【0041】
4.効果
一般にエネルギー分散型蛍光X線分析によって鉛の同定および定量を行うことができる。試料10中に鉛が含有していると、図3に示すようなスペクトルが得られる。スペクトルは、試料が鉛を含有する場合にはピークPbLαおよびピークPbLβを有する。
【0042】
そこでエネルギー分散型蛍光X線装置100によれば、ピークPbLαおよびピークPbLβの双方の有無を確認することによって、試料10中に鉛が含有しているか否かを判断しているため、精度の高い分析を行うことができる。
【0043】
しかし、試料中に鉛以外の他の元素が含まれ、鉛と他の元素の蛍光X線のエネルギー値が類似していると、ピークPbLαまたはピークPbLβが他の元素のピークと重なることがある。これによりエネルギー分散型蛍光X線装置は、誤った分析をしてしまうことがある。
【0044】
たとえば、図4に示すように、ピークPbLαは、砒素のKα線のピーク(以下、「ピークAsKα」とする。)と重なり、ピークPbLβは、臭素のピークBrKαおよびピークBrKβと重なることがある。表1に、各ピークのエネルギー値を示す。
【表1】


【0045】
ピークPbLαのエネルギーは10.542keVであり、ピークAsKαのエネルギーは10.532keVであるため、ピークPbLαとピークAsKαとのエネルギー差は、0.010keVしかなく、これらのピークを識別するのは困難である。このようにピークが重なってしまうと、ピークPbLαのみかけ上の強度がかわってしまうため、鉛の正確な含有量をスペクトルから判断することができないことがある。
【0046】
そこで、エネルギー分散型蛍光X線装置100によれば、上述したようにピークAsKβの有無を判断することによって試料10に砒素が含まれているか否かを確認することができる。これにより、エネルギーが10.54keV付近のピークがピークPbLα単独のピークであるのか、それともピークAsKαを含むピークであるのかを判断することができる。
【0047】
これにより、エネルギー分散型蛍光X線装置100は、エネルギーが10.54keV付近のピークがピークPbLα単独のピークである場合にのみ、ピークPbLαの強度に基づいて鉛の含有量を算出することができ、定量の精度を向上させることができる。
【0048】
またピークPbLβのエネルギーは、ピークBrKαおよびピークBrKβのエネルギーと非常に近い値である。よって、試料中の臭素濃度が低いときには、図6に示すようにピークBrKαおよびピークBrKβと、ピークPbLβのピークが重ならないが、試料中の臭素濃度が高いときには、図5に示すようにピークBrKαおよびピークBrKβと、ピークPbLβのピークが重なってしまう。ピークが重なると、ピークPbLβのみかけ上の強度がかわってしまうため、鉛の正確な含有量をスペクトルから判断することができないことがある。
【0049】
そこで、エネルギー分散型蛍光X線装置100によれば、ピークBrKαおよびピークBrKβの有無を確認し、それらのピークの強度から試料中の臭素濃度を判断することができる。これにより、試料中の臭素濃度が低いときおよび試料に臭素が含まれないときにのみ、ピークPbLβの強度に基づいて鉛の含有量を算出することができ、定量の精度を向上させることができる。
【0050】
なお、エネルギー分散型蛍光X線装置100は、スペクトルが砒素に基づくピークと臭素に基づくピークの双方を有する場合、またはスペクトルが砒素に基づくピークを有し、臭素に基づくピーク強度が所定値以上である場合、鉛の同定ができない旨を決定し、その旨を出力してもよい。
【0051】
本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではない。例えば、本発明は、実施の形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法及び結果が同一の構成、あるいは目的及び結果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成又は同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施の形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】実施の形態にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置の機能構成を示す図。
【図2】実施の形態にかかるエネルギー分散型蛍光X線装置の動作を示す図。
【図3】実験例1にかかる蛍光X線スペクトルを示す図。
【図4】実験例2にかかる蛍光X線スペクトルを示す図。
【図5】実験例3にかかる蛍光X線スペクトルを示す図。
【図6】実験例4にかかる蛍光X線スペクトルを示す図。
【図7】実験例5にかかる検量線を示す図。




 

 


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