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発明の名称 液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、および混合液体の吐出方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−3238(P2007−3238A)
公開日 平成19年1月11日(2007.1.11)
出願番号 特願2005−181111(P2005−181111)
出願日 平成17年6月21日(2005.6.21)
代理人 【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
発明者 ▲高▼城 富美男
要約 課題
本発明は、2種以上の微量の液体を迅速かつ十分に混合する方法を提供することを目的とする。

解決手段
本発明は、2種以上の液体を混合して吐出できる液滴吐出ヘッドであって、液体を供給するための供給口を備える第1の液体貯留部(16)と、2以上の第1の液体貯留部(16)とそれぞれ独立した流路(13)により接続された第2の液体貯留部(17)と、第2の液体貯留部と流路により接続され、加圧手段を有する加圧室(22)と、加圧室で加圧された液体が吐出されるノズル孔(26)と、を有する液滴吐出ヘッドを提供するものである。
特許請求の範囲
【請求項1】
2種以上の液体を混合して吐出可能な液滴吐出ヘッドであって、
液体を供給するための供給口を備える第1の液体貯留部と、
2以上の前記第1の液体貯留部とそれぞれ独立した流路により接続された第2の液体貯留部と、
前記第2の液体貯留部と流路により接続され、加圧手段を有する加圧室と、
前記加圧室で加圧された液体が吐出されるノズル孔と、を有する液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記2以上の第1の液体貯留部と前記第2の液体貯留部とを接続する流路は、それぞれ異なる長さを有し、
より長い流路によって前記第2の液体貯留部に接続された前記第1の液体貯留部に収容された液体ほど、吐出される混合液体中に含まれる量がより少なくなることを特徴とする、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記2以上の第1の液体貯留部と前記第2の液体貯留部とを接続する流路は、それぞれ異なる太さを有し、
より細い流路によって前記第2の液体貯留部に接続された前記第1の液体貯留部に収容された液体ほど、吐出される混合液体中に含まれる量がより少なくなることを特徴とする、請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記供給口が、前記ノズル孔が形成された主面に対向する主面から突出するように設けられていることを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
前記供給口と前記液体貯留部が一体的にチューブ状に形成されていることを特徴とする、請求項4に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項4または5に記載の液滴吐出ヘッドを装着して用いる液滴吐出装置であって、
前記液滴吐出ヘッドを固定するための固定手段と、
前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル孔を覆うように、前記ノズル孔が形成された主面に密着し、前記液滴吐出ヘッド内の気体または液体を該ノズルから吸引可能な吸引手段と、を備える液滴吐出装置。
【請求項7】
前記固定手段が、前記液滴吐出ヘッドを、鉛直方向を含む面内で回転させることが可能であることを特徴とする、請求項6に記載の液滴吐出装置。
【請求項8】
請求項1から5のいずれか1項に記載の液滴吐出ヘッドを用いて、液体を混合する方法であって、
前記第1の液体貯留部に、混合すべき液体を供給口から供給する工程と、
前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル孔から吸引し、前記液体をノズル孔先端まで充填させる工程と、
前記加圧室の加圧手段を作動させ、前記液体を吐出する工程と、を含む液体混合方法。

発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の比率で液体を混合して吐出するのに適した液滴吐出ヘッド、およびその液滴吐出ヘッドを装着して用いる液滴吐出装置、ならびに混合液体の吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、核酸やタンパク質、細胞等の生体由来物質をプローブとして基板上に固定化したいわゆるマイクロアレイを用い、生体分子間の結合の特異性を利用して、サンプル中の標的物質を検出・測定する方法が広く用いられている。
【0003】
特開平11−187900号公報(特許文献1)には、このようなマイクロアレイを作製する方法として、プローブを含む液体をインクジェット法により固相表面に吐出し、該固相表面にプローブを付着させる方法が開示されている。
【0004】
また、標的物質をハイスループットに検出するため、マイクロアレイには、微小な領域に多種類のプローブ分子を高密度に固定する必要がある。このような必要性に応えるものとして、特開2004−160904号公報(特許文献2)には、複数の液体貯留部を有する第1の基板と、前記複数の液体貯留部にそれぞれ独立に連通する複数の流路を有する第2の基板と、前記複数の流路にそれぞれ独立に連通し、液滴を吐出する複数のノズルを有する一または複数のヘッドチップとを備えたインクジェットヘッドが開示されている。
【0005】
一方、従来、特にバイオテクノロジーの分野では、マイクロリットル単位の微量な液体の濃度や体積を制御する技術が必要とされている。マイクロアレイ作製の際にも、プローブを含む液体の濃度や組成を様々に変更して、最適な条件を見出す必要がある。
【0006】
このように、液体を任意の割合で混合するためには、従来、微量分注装置が用いられている。分注装置としては、特開2001−169771号公報(特許文献3)には、支持アームによってサンプル用容器、微生物用容器、混合容器に移動される、液体を吸引・吐出可能な分取用のプローブと、分注量を制御する制御手段とを有する装置が開示されている。
【特許文献1】特開平11−187900号公報
【特許文献2】特開2004−160904号公報
【特許文献3】特開2001−169771号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した分注装置では、プローブが、混合すべき溶液を入れた容器(サンプル用容器および微生物用容器)と混合容器の間を往復しなければならず、この移動に時間を要する。また、混合容器中に、混合すべき複数の液体を順次分注していく場合、液体の種類によっては上下に液体が分離してしまい、十分に混合されないことがある。
【0008】
そこで、本発明は、2種以上の微量の液体を迅速かつ十分に混合する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る液滴吐出ヘッドは、2種以上の液体を混合して吐出できる液滴吐出ヘッドであって、液体を供給するための供給口を備える第1の液体貯留部と、2以上の前記第1の液体貯留部とそれぞれ独立した流路により接続された第2の液体貯留部と、前記第2の液体貯留部と流路により接続され、加圧手段を有する加圧室と、前記加圧室で加圧された液体が吐出されるノズル孔と、を有することを特徴とする。
【0010】
このような構成により、2以上の第1の液体貯留部に収容された液体は、独立した流路を通って、同一の第2の液体貯留部に流入し、そこで混合される。それぞれの液体は、極めて細い流路から第2の液体貯留部に流入するので、各液体は分離することなく十分に混合され、一様な混合液体となって加圧室に流入し、加圧手段により加圧されてノズル孔から吐出される。このように、本発明に係る液滴吐出ヘッドによれば、予め混合液体を調製することなく、微量の液体を迅速かつ十分に混合することができる。
【0011】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、前記2以上の第1の液体貯留部と前記第2の液体貯留部とを接続する流路は、それぞれ異なる長さを有し、より長い流路によって前記第2の液体貯留部に接続された前記第1の液体貯留部に収容された液体ほど、吐出される混合液体中に含まれる量がより少なくなる構成となっていることが好ましい。第1の液体貯留部と第2の液体貯留部とを接続する流路の長さが異なると、流速に差が生じ、同じ時間内に第2の液体貯留部に流入する量が変わるので、これを利用して混合する液体の量を制御することができる。具体的には、流路がより短いほど流速が速くなるので、より長い流路によって第2の液体貯留部と接続された第1の液体貯留部に収容された液体ほど、混合液体中に含まれる量が少なくなる。
【0012】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、前記2以上の第1の液体貯留部と前記第2の液体貯留部とを接続する流路は、それぞれ異なる太さを有し、より細い流路によって前記第2の液体貯留部に接続された前記第1の液体貯留部に収容された液体ほど、吐出される混合液体中に含まれる量がより少なくなる構成となっていることも好ましい。第1の液体貯留部と第2の液体貯留部とを接続する流路の太さが異なると、流速に差が生じ、同じ時間内に第2の液体貯留部に流入する量が変わるので、これを利用して混合する液体の量を制御することができる。具体的には、流路がより太いほど流速が速くなるので、より細い流路によって第2の液体貯留部と接続された第1の液体貯留部に収容された液体ほど、混合液体中に含まれる量が少なくなる。
【0013】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドの供給口は、前記ノズル孔が形成された主面に対向する主面から突出するように設けられていることが好ましい。このような構成によれば、別のマイクロタイタープレート等に用意された液体に、供給口を直接浸漬させることによって、該液体と第1の液体貯留部とを連通させることができる。この状態で、例えばノズル側から吸引することにより、該液体を吸い上げて液体貯留部に直接供給することが可能である。供給口の内径が十分に細い場合は、毛細管現象によっても液体が吸い上げられる。また、各供給口はノズル孔形成面から突出するように設けられているので、小さな試料容器中の溶液に浸漬させやすく、第1の液体貯留部やノズル孔形成面が試料溶液に接して汚染されることがないという効果も得られる。
【0014】
また、本発明に係る液滴吐出ヘッドにおいては、供給口と液体貯留部が、一体的にチューブ状に形成されていることも好ましい。供給口と液体保持部が一体的に形成されている構成は単純で作製しやすく、また、液体を吸い上げやすい。
【0015】
本発明は、上述した、供給口がノズル孔形成面から突出している液滴吐出ヘッドを装着して用いる液滴吐出装置をも提供する。この液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドを固定するための固定手段と、液滴吐出ヘッドのノズル孔を覆うように、ノズル孔が形成された主面に密着し、液滴吐出ヘッド内の気体または液体を該ノズルから吸引可能な吸引手段と、を備えることを特徴としている。
【0016】
このような構成により、本発明に係る液滴吐出ヘッドを固定手段に取り付け、その供給口を液体に接触させた状態で、吸引手段をノズル孔形成面に密着させて作動させることによって、ノズル孔から液体貯留部に液体を吸引することができる。
【0017】
本発明に係る液滴吐出装置においては、固定手段が、液滴吐出ヘッドを、鉛直方向を含む面内で回転させることが可能であることが好ましい。このような構成により、ノズル孔を上方または下方に向けて固定することができる。ノズル孔を上方に向けて固定すれば、反対側の供給口が下方に向けられるので、試料容器中の液面に供給口を接触させやすい。また、液体を基板上に吐出する際には、液滴吐出ヘッドを反転させ、ノズル孔を下方に向けて固定するとよい。
【0018】
本発明は、上述した本発明に係る液滴吐出ヘッドを用いて、液体を混合する方法をも提供する。この液体混合方法は、前記第1の液体貯留部に、混合すべき液体を供給口から供給する工程と、前記液滴吐出ヘッドの前記ノズル孔から吸引し、前記液体をノズル孔先端まで充填させる工程と、前記加圧室の加圧手段を作動させ、前記液体を吐出する工程と、を含むことを特徴とする。
【0019】
このような方法によれば、第1の液体貯留部のそれぞれに供給された液体は、ノズル孔からの吸引されることによって、流路を通って第1の液体貯留部に効率よく流入し、そこで混合されるので、予め混合液体を調製して液体貯留部に供給する必要が無い。微細な流路から第2の液体貯留部に流入する液体は、吸引による勢いによって、一層よく混合される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
<第1の実施形態>
(インクジェットヘッド)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッド10を示す。図1(A)はその概略斜視図であり、図1(B)および図1(C)は図1(A)における、それぞれIB−IB線およびIC−IC線に沿った断面図である。
【0022】
図1(A)に示されるように、インクジェットヘッド10には、液体貯留部であるリザーバ16が、左右対称に32個設けられている。尚、本実施形態においては、インクジェットヘッド10の供給口は、リザーバ16の開口部を指すため、リザーバ16と供給口を区別せずに説明する。ここで、説明の便宜上、4つのリザーバ16a、16b、16c、16dのみ特に付番する。
【0023】
インクジェットヘッド10では、左右各半分において、図中Y方向に並んだ2つのリザーバ(例えば、リザーバ16aと16b)が、それぞれ独立した流路13によって同一の第2の液体貯留部に接続されている。この様子を図1(B)および図1(C)を用いて説明する。まず、図1(B)に示されるように、リザーバ16aは流路13aによって、第2の液体貯留部に該当するリザーバ17aに接続され、リザーバ16dは流路13dによって第2の液体貯留部に該当するリザーバ17bに接続される。一方、図1(C)に示されるように、リザーバ16bは流路13bによってリザーバ17aに接続され、リザーバ16cは流路13cによってリザーバ17bに接続される。流路13aと流路13b、流路13cと流路13dは、それぞれ同じ層に形成されているが、図1(A)に示すように、図中X方向にわずかにずれて独立に形成されている。一方、流路13aおよび流路13bはいずれもリザーバ17aに連通しているので、流路13a、13bをそれぞれ通ってきた液体は、リザーバ17a内で混合されることになる。同様に、流路13c、13dをそれぞれ通った液体は、リザーバ17b内で混合される。
【0024】
リザーバ17a、17bは、それぞれ流路18a、18bによってヘッドチップ20内に設けられた加圧室22a、22b(後述)に接続され、加圧室22a、22bは、それぞれノズル孔26a、26bに通じている。
【0025】
図1(B)および図1(C)に図示されるように、このような構成のインクジェットヘッド10は、貫通孔や溝を設けた基板30〜35を積層し、さらに、図3に示されたヘッドチップ20を接着することによって形成することができる。図2に、インクジェットヘッド10を構成する基板30〜35の概略平面図を示す。
【0026】
図2(A)は、基板30の概略平面図である。基板30には、貫通孔40が32個設けられ、貫通孔40は、基板30の下側に基板31を接着することによって、リザーバ16を形成する。貫通孔40がこのように配置されていることによって、後述するように、リザーバ16(第1の液体貯留部)とリザーバ17(第2の液体貯留部)を接続する流路がそれぞれ異なった長さとなる。尚、リザーバ16は、貫通孔40の径や基板30の厚さを変更することによって、所望の容積とすることが可能である。
【0027】
図2(B)は、基板30の下側に配置される基板31の概略平面図である。基板31には、基板30の貫通孔40と同じピッチ(形成間隔)で、貫通孔41が設けられている。貫通孔41は極めて細く、基板30と基板31を積層した状態で、リザーバ16に液体を供給しても、該液体は容易には貫通孔41に流入しない。
【0028】
図2(C)は、基板31の下側に配置される基板32の概略平面図である。基板32には、直線状の溝42が32本設けられており、溝42は、基板31と基板32とを積層することにより、流路13(図1(B)等参照)の一部を形成する。溝42の基板外側の端部は、基板31の貫通孔41と同じピッチとなっており、基板31と基板32とを接着することによって、貫通孔41と流路13が接続される。一方、溝42の基板内側の端部には貫通孔が設けられており、基板33に設けられたリザーバ17となる貫通孔に流路を接続させる。図2(C)に、基板33を接着した際のリザーバ17(即ち、貫通孔43)の位置を点線で示すように、本実施形態では、流路13を形成する溝42が2本ずつ、一つのリザーバ17に接続する。
【0029】
図2(D)は、基板32の下側に配置される基板33の概略平面図である。図2(C)に点線で示した通り、リザーバ16の半数となる16個の貫通孔43が形成されており、基板33の下側に基板34を接着することにより、貫通孔43がリザーバ17を形成する。リザーバ17の容積も、貫通孔43の直径および基板33の厚さを変更することにより、自由に制御できる。また、図2(E)は、基板33の下側に配置される基板34の概略平面図であり、基板33の貫通孔43と同じピッチで、流路となる貫通孔44が16個設けられている。
【0030】
図2(F)は、基板34の下側に配置される基板35の概略平面図である。図示されるように、基板35には溝45が16本形成されており、溝45の基板外側の端部は、基板34の貫通孔44と同じピッチとなっており、基板34と基板35を接着することにより、溝45が流路18を形成する。溝45の基板内側の端部には貫通孔が設けられており、この貫通孔は、ヘッドチップ20(後述)の流路に接続する。基板35を用いることによって、容積を確保するためにある程度距離をおいて形成されていた貫通孔43(即ち、リザーバ17)に収容された液体を、微少な領域に高密度に吐出することが可能となる。
【0031】
上述した基板30〜35は、ガラス、樹脂等の材料で形成することができ、溝や貫通孔は、エッチング、射出成形等、材料に適した方法によって形成することができる。基板30〜35を積層し、熱溶着、または接着剤等を用いる方法により接着した後、さらに、基板35の中央にヘッドチップを接着して、インクジェットヘッド10が完成する。本実施形態では、電極108と振動板109とが加圧手段に該当する。尚、電極基板121には、図中下側の面から溝が形成され、その天井部に電極108が形成されているため、電極108と振動板109との間にはわずかな空隙(エアギャップ)が形成されている。加圧室基板122、ノズル基板123、電極基板121の材料は特に限定されないが、吐出する液体に生体試料が含まれる場合には、ガラス、シリコン等が適している。
【0032】
このような構成のヘッドチップ20を、基板35の中央部に接着することにより、電極基板および加圧室基板122に設けられた貫通孔が、基板35の貫通孔に接続し、図示しないリザーバと加圧室22が連通され、インクジェットヘッド10が完成する。インクジェットヘッド10は、例えば、図7に例示されるような液滴吐出装置200に装着して用いられるが、液滴吐出装置200については後述する。
(液体混合方法)
図4は、本発明に係る液体混合方法を説明する工程図である。図4(A)および(B)は図1のIB−IB線に沿った断面図を、図4(C)は図1のIC−IC線に沿って切断した断面図を示す。
【0033】
まず、図4(A)に示されるように、リザーバ16のそれぞれに混合すべき液体を供給する。この際、例えば、リザーバ16aおよび16dは、リザーバ16bおよび16cよりも、長い流路13でリザーバ17aまたは17bに接続されているので、リザーバ17b中で生成される混合溶液は、リザーバ16aおよび16dに由来する液体よりも、リザーバ16bおよび16c液体を多く含むことになる。このように、混合溶液中に含まれる量は、各リザーバ16と各リザーバ17とを接続する流路13の長さに依存することを考慮して、いずれの液体をいずれのリザーバ16に供給するかを決定し、供給する。
【0034】
流路13は極めて細いため、リザーバ16に供給した液体はそのままでは流路13に流入しない。そこで、図1(A)に示すように、ノズル孔26aおよび26bを覆って、ノズル形成面に密着する吸引手段50を使用して、ノズル孔26から液体を吸引する。
【0035】
図1(B)および図1(C)に吸引後の様子を示す。吸引手段50は、気液分離フィルター52を備えており、吸引手段50をノズル形成面に密着させると、気液分離フィルター52はノズル孔26を封止する。気液分離フィルター52は気体のみ透過させ、液体は透過させないため、吸引によってノズル孔先端に到達した液体はノズル孔26外までは流出しない。一定時間吸引することによって、リザーバ16の液体は、流路13の長さに依存して所定の量、リザーバ17に流入する。
【0036】
吸引によって、リザーバ16aおよび16bに収容された液体は、勢いよくリザーバ17に流入し、混合される。微細な流路13aおよび13bから微少量ずつ流入することと、吸引により流入する速度が増加することによって、各液体は分離することなく十分に混合される。そして、リザーバ17からは一様となった液体が加圧室22に流入し、ノズル孔先端に到達する。この状態で加圧室22の加圧手段を作動させることによって、混合液体を吐出することができる。
【0037】
このように、本実施形態に係る液滴吐出ヘッド、および液体混合方法によれば、予め混合液体を準備することなく、混合液体を迅速かつ容易に調製することができる。また、第1の液体貯留部と第2の液体貯留部を接続する流路の長さを異ならせることにより、第2の液体貯留部に流入する液体の量を調節して、混合比率を制御することも可能である。
【0038】
<第2の実施形態>
(インクジェットヘッド)
図5に、本発明の第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドであるインクジェットヘッド10'を示す。インクジェットヘッド10'には、第1の実施形態に係るインクジェットヘッド10のリザーバ16と同じピッチでリザーバが形成されているが、リザーバに液体を供給する供給口15は、リザーバ形成面14から突出するように設けられている。
【0039】
図5(A)のIVB−IVB線に沿った断面図、およびIVC−IVC線に沿った断面図をそれぞれ図5(B)および図5(C)に示す。図示されるように、本実施形態においては、供給口15とリザーバ16が一体的にチューブ状に形成されているため、以後、両者を合わせて供給口15として説明する。ここで、説明の便宜上、4つの供給口15a、15b、15c、15dのみ特に付番する。
【0040】
インクジェットヘッド10'では、左右各半分において、図中Y方向に並んだ2つの供給口(例えば、供給口15aと15b)から供給された液体が、それぞれ独立した流路によって接続された、同一の第2の液体貯留部に流入する。この様子を図5(B)および図5(C)を用いて説明する。まず、図5(B)に示されるように、供給口15aは、流路13aによって第2の液体貯留部であるリザーバ17aに接続されており、供給口15dは、流路13dによってリザーバ17bに接続されている。一方図5(C)に示されるように、供給口15bは流路13bによってリザーバ17aに、供給口15cは流路13cによってリザーバ17bに接続されている。リザーバ17a、17bは、それぞれ流路18a、18bによってヘッドチップ20内に設けられた加圧室22a、22bに接続され、加圧室22a、22bは、それぞれノズル孔26a、26bに通じている。
【0041】
このようなインクジェットヘッド10'は、貫通孔や溝を設けた基板30'、およびインクジェットヘッド10を構成する基板と同一の基板31〜35を積層し、さらに基板30‘の貫通孔に供給口15を取り付け、図3に示されたヘッドチップ20を接着することによって形成することができる。基板31〜35は、すでに説明したインクジェットヘッド10に使用されるものと同様のため、説明を省略し、基板30’の概略平面図のみ図6に示す。基板30’には、貫通孔40’が32個形成されている。貫通孔40’の下端は基板31の貫通孔41に接続する。貫通孔40’は、図6または図5(B)に示されるように所定の深さまで大きな内径を有し、ここに供給口15が嵌合される。
【0042】
供給口15は、アクリル、塩化ビニル、ポリカーボネート等の樹脂で形成することが好ましいが、ガラス、金属等であってもよい。供給口15の内側表面は親液性に処理しておくことが好ましく、これによって、供給口15の内部に試料溶液を吸い上げやすくなる。表面に親水性を付与する方法としては、親水性でかつ生体分子に親和性の高いポリマーをコートする方法がある。そのようなポリマーの例としては、ヒドロキシエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン、ジメチルアクリルアミド、グリセロールメタクリレート、ポリエチレングリコールメタクリレートなどがある。
【0043】
最後に、インクジェットヘッド10と同様にヘッドチップ(図3参照)を基板35の中央に接着して、インクジェットヘッド10'が完成する。
(液滴吐出装置)
次に、図7に、本発明に係る液滴吐出装置の一例として、マイクロアレイ製造装置200の構成例を説明する図を示す。マイクロアレイ製造装置200は、上述した本発明に係るインクジェットヘッド10'を装着して用いるのに適している。
【0044】
マイクロアレイ製造装置200は、ガラス等の基板202上に生体分子を含む試料溶液の液滴を複数配置して作製されるマイクロアレイを製造するためのものであり、複数の基板202を載置可能に構成されたテーブル204と、インクジェットヘッド10'をY方向に自在に移動させるためのY方向駆動軸206と、テーブル204をX方向に自在に移動させるためのX方向駆動軸208と、を備える。また、インクジェットヘッド10'を固定するための固定手段210と、インクジェットヘッド10'のノズル形成面に密着し、ノズルから吸引可能な吸引ユニット(吸引手段)212と、固定手段210および吸引ユニット212をZ方向に自在に移動させるためのZ方向駆動軸207と、をも備えている。
【0045】
ここで図8に、インクジェットヘッド10'を固定する場合を例にとって、固定手段210を図7における右方向から見た模式図を示す。インクジェットヘッド10'は固定手段210に、回転軸216によって固定され、この回転軸を中心として、インクジェットヘッド10'のみを鉛直方向を含む面内で回転させることが可能となっている。図8(A)は、インクジェットヘッド10'がノズルを下方に向けて固定されている状態を示し、図8(B)は、ノズルを上方に向けるよう回転させている途中の状態を示す。ノズルが上方または下方を向き、インクジェットヘッド10'の基板が水平になった状態(例えば図8(A)に示す状態)で、インクジェットヘッド10'は固定手段210に留め具等により固定することができる。
(液体混合方法)
図9は、本発明に係る液体混合方法を説明する工程図である。ここでは、インクジェットヘッド10'を図7に示す液滴吐出装置200に装着して使用することを想定して説明する。図9(A)および(B)は図5(A)におけるIVB−IVB線に沿った断面図を、図9(C)は図5のIVC−IVC線に沿って切断した断面図を示す。
【0046】
まず図9(A)に示すように、インクジェットヘッド10'を固定手段210に固定する。次に、図9(B)および(C)に示すように、固定手段210を回転させることによってインクジェットヘッド10'を上下反転させ、ノズル孔が上方を向き、供給口15が下方を向くように固定する。続いて、X方向駆動軸およびY方向駆動軸を作動させて、インクジェットヘッド10'を試料溶液が準備されたマイクロタイタープレート90の上方に移動さ、Z方向駆動軸を作動させることによって、インクジェットヘッド10'の供給口15をそれぞれマイクロタイタープレート90の各ウェル中の液体に浸漬させる。続いて、吸引手段212をインクジェットヘッド10'のノズル孔形成面に、ノズル孔26を覆うように密着させ、作動させる。吸引手段212は、気液分離フィルター213を備えており、吸引手段212をノズル形成面に密着させると、気液分離フィルター213はノズル孔26を封止する。気液分離フィルター213は気体のみ透過させ、液体は透過させないため、吸引によってノズル孔先端に到達した液体はノズル孔26外までは流出しない。一定時間吸引することによって、供給口15の液体は、流路13の長さに依存して所定の量、リザーバ17に流入する。
【0047】
吸引によって、供給口15aおよび16bから吸い上げられた液体は、勢いよくリザーバ17a、17bに流入し、混合される。微細な流路13aおよび13bから微少量ずつ流入することと、吸引により流入する速度が増加することによって、各液体は分離することなく十分に混合される。そして、リザーバ17からは一様となった液体が加圧室22に流入し、ノズル孔先端に到達する
この状態で、再度固定手段212によってインクジェットヘッド10'の上下を反転させて固定しZ方向駆動軸を作動させてインクジェットヘッド10'を上昇させ、X方向駆動軸およびY方向駆動軸を作動させてインクジェットヘッド10'を吐出すべき基板等の上方に移動させる。再びZ方向駆動軸を作動させて、インクジェットヘッド10'を適当な高さに固定し、加圧室22の加圧手段を作動させることによって、所望の位置に所望の混合液体を吐出することができる。
【0048】
このように、本実施形態に係る液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置、および液体混合方法によれば、予め混合液体を準備することなく、液滴吐出ヘッドの供給口を試料液体に浸漬させてノズル孔から吸引するだけで、混合液体を迅速かつ容易に調製することができる。また、第1の液体貯留部と第2の液体貯留部を接続する流路の長さを異ならせることにより、第2の液体貯留部に流入する液体の量を調節して、混合比率を制御することも可能である。
【0049】
以上のように、本発明に係る液体回収方法によれば、混合液体を容易に調製して吐出することができるので、一連の倍率の希釈溶液や、種々の混合条件の試料液体を、予め調製することなく迅速に作製することができる。
【0050】
なお、本発明は上述した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において、種々に変更して実施することが可能である。例えば、液体貯留部の数や配置は限定されず、目的に応じて変更できる。また、加圧手段は、静電駆動方式、圧電駆動方式のいずれであってもよい。さらに、液体の混合比は、上述の実施形態のように流路の長さを変更してもよいし、流路の直径を変化させることによって変更することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略図である。
【図2】図1に示される液滴吐出ヘッドを構成する基板の平面図である。
【図3】ヘッドチップの構成を示す概略断面図である。
【図4】本発明に係る液体混合方法を工程を示す説明図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る液滴吐出ヘッドの概略図である。
【図6】図5に示される液滴吐出ヘッドを構成する基板の1枚の平面図である。
【図7】本発明に係る液滴吐出装置の一例を示す概略斜視図である。
【図8】図7に示される液滴吐出装置の固定手段を示す概略図である。
【図9】本発明に係る液体混合方法を示す説明図である。
【符号の説明】
【0052】
10…液滴吐出ヘッド、12…ノズル孔形成面、13、18…流路、15…供給口、16…リザーバ(第1の液滴貯留部)、17…リザーバ(第2の液体貯留部)、20…ヘッドチップ、22…加圧室、26…ノズル孔、31〜35…基板、40、41、43、44…貫通孔、50…吸引手段、52…気液分離フィルター、108…電極、109…振動板、121、122、123…基板、200…液滴吐出装置、210…固定手段





 

 


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