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発明の名称 車両前照灯
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−258000(P2007−258000A)
公開日 平成19年10月4日(2007.10.4)
出願番号 特願2006−80732(P2006−80732)
出願日 平成18年3月23日(2006.3.23)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 藤山 善宏
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、すれ違いビーム時及び走行ビーム時にそれぞれ最適な配光パターンを形成することができるようにした車両前照灯を提供することを目的とする。

解決手段
光源11,反射面12,投影レンズ13,カットオフラインを画成する遮光部材14及び遮光部材14を下方に揺動する駆動手段16を備えた車両前照灯10において、さらに、上記遮光部材14の光源側に、光照射方向後方に向かって凹状の凹面鏡15が一体的に取り付けられており、上記凹面鏡15が、上記遮光部材14が挿入位置Aに在るとき、その中心が光源から外れて所定距離内に位置すると共に、上記遮光部材14が退避位置Bに在るとき、その中心が光源付近に位置するように形成されることにより、車両前照灯10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
光源と、
光源からの光を光照射方向前方に向かって反射するように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が光照射方向前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された光照射方向前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、
上記反射面の光照射方向前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、
上記反射面の第二の焦点位置付近の挿入位置に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材と、
上記遮光部材を挿入位置から下方の退避位置まで揺動するための駆動手段と、を備えている、車両前照灯において、
さらに、上記遮光部材の光源側に、光照射方向後方に向かって凹状の凹面鏡が一体的に取り付けられており、
上記凹面鏡が、上記遮光部材が挿入位置に在るとき、その中心が光源から外れて所定距離内に位置すると共に、上記遮光部材が退避位置に在るとき、その中心が光源付近に位置するように形成されていることを特徴とする、車両前照灯。
【請求項2】
上記遮光部材の揺動軸が、光源の光照射方向前方下側にて、光源から所定距離内にて横向きに配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項3】
上記遮光部材の揺動軸が、光源から半径20mm以内の範囲に配置されていることを特徴とする、請求項2に記載の車両前照灯。
【請求項4】
上記凹面鏡が、上記遮光部材が退避位置に在るとき、その中心が光源から半径10mm以内の範囲に配置されることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項5】
上記遮光部材の揺動軸が、反射面の横方向外側で回転可能に支持されていることを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の車両前照灯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用されるプロジェクタタイプの車両前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような車両前照灯は、例えば図6に示すように、構成されている。 即ち、図6において、車両前照灯1は、光源としてのバルブ2と、反射面3と、投影レンズ4と、遮光部材5と、から構成されている。
【0003】
上記反射面3は、バルブ2を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸が光照射方向前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
さらに、上記反射面3は、バルブ2の光軸Oから上側と下側で異なる曲率を備えており、上側がより拡散性の強い配光パターンを与えるように形成されている。
【0004】
上記投影レンズ4は、凸レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されており、バルブ2または反射面3から光照射方向前方に向かって進む光を集光し、光照射方向前方に向かって照射するようになっている。
【0005】
上記遮光部材5は、光照射方向前方に向かって照射する光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、図6(A)に示すように、上記反射面3の第二の焦点位置付近の挿入位置に配置されていると共に、上記配光パターンにカットオフラインを形成するために、その上縁5aが所定形状に形成されている。
【0006】
さらに、上記遮光部材5は、ソレノイド等から成る駆動手段6により、上述した挿入位置から、図6(B)に示された退避位置まで矢印A方向に移動し得るようになっている。
【0007】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2が、外部から給電されることにより、発光する。これにより、バルブ2から出射した光は、直接に、または上記反射面3で反射して、この反射面3の第二焦点付近に向かって光照射方向前方に進み、投影レンズ4により集束しながら、光照射方向前方に向かって照射される。
【0008】
その際、反射面3が光軸Oの上側と下側で異なる曲率を有しているので、反射面3の上側で反射した光による配光パターンは、図7(A)に示すように、やや左右に広がるように形成される。これに対して、反射面3の下側で反射された光による配光パターンは、図7(B)に示すように、中央付近への集光性が高められている。
【0009】
ここで、図6(A)に示すように、上記遮光部材5が挿入位置にあるときには、光照射方向前方に向かって照射する光は、その一部が遮光部材5により遮断されると共に、この遮光部材5の上縁5aによりカットオフラインを形成されて、光照射方向前方に向かって照射されることになる。
従って、全体として、図7(C)に示すように、配光パターンに関して、中心から右側では水平線よりやや下方にて水平に、そして中心から左側に向かって斜め上方に延び、さらに左方にて水平線よりやや上側に位置するカットオフラインCが形成され、このカットオフラインCの下側のみに対して、すれ違いビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0010】
これに対して、図6(B)に示すように、上記遮光部材5が駆動手段6により退避位置に移動すると、上記遮光部材5がバルブ2または反射面3から投影レンズ4への光路中から退避する。これにより、バルブ2または反射面3から投影レンズ4に入射する光は、遮光部材5により遮断されることなく、光照射方向前方に向かって照射されることになる。
従って、全体として、図7(D)に示すように、前述した反射面3の上側からの光(図6(A)参照)及び下側からの光(図6(B)参照)による配光パターンが、そのまま重なり合うことになり、走行ビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0011】
ところで、上述した車両前照灯1においては、すれ違いビーム用の配光パターンと走行ビーム用の配光パターンの切換えは、遮光部材5の挿脱のみにより行なわれている。
従って、反射面3の上側及び下側でそれぞれ反射した光による配光パターンは、すれ違いビームの場合も走行ビームの場合も、それぞれ図7(A)及び図7(B)で示された同じ配光パターンである。
このため、反射面3の上側及び下側の形状を、一方のビーム、即ちすれ違いビームまたは走行ビームの配光パターンに対して最適化しようとすると、他方のビーム、即ち走行ビームまたはすれ違いビームの配光パターンを最適化することができなかった。
【0012】
これに対して、特許文献1に示すヘッドランプが知られている。
この場合、すれ違いビーム時には、可動シェード(遮光部材)と連動して、投影レンズをわずかに光照射方向前方に移動すると共に、遮光部材を投影レンズの後側焦点位置付近に挿入し、さらに投影レンズの光照射方向前方下側に拡散レンズを挿入して、広がりのある配光パターンを形成する。
これに対して、走行ビーム時には、可動シェード(遮光部材)と連動して、遮光部材を投影レンズの後側焦点位置より光照射方向前方に挿入し、あるいは第二の遮光部材を投影レンズの後側焦点位置より後方の光軸より上側に配置することにより、集光性の高い配光パターンを形成する。
【0013】
また、特許文献2には、光源及び反射面を水平方向に旋回可能に配置すると共に、遮光部材を固定部分と可動部分とから構成し、この可動部分を固定部分に対して縦方向または横方向に移動可能に配置することにより、これら固定部分と可動部分の配置によりカットオフラインを変更して、種々の配光パターンを得るようにした配光可変型前照灯が開示されている。
この場合、遮光部材の可動部分を下方に移動させることにより、走行ビームの配光パターンが得られると共に、上記可動部分を上方に移動することにより、この可動部分の上縁によりカットオフラインを形成して、すれ違いビームの配光パターンが得られるようになっている。
【特許文献1】実公平07−039125号
【特許文献2】実用新案登録第2546896号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1によるヘッドランプにおいては、反射面で反射される光を、遮光部材及び/または第二の遮光部材で部分的に遮断し、あるいは遮光部材そして投影レンズを通過した光を拡散レンズで拡散することにより、広がりのある配光パターンを得るようにしている。
従って、光源そして反射面からの光の利用効率が比較的低く、特に走行ビーム時の配光パターンにおいて、中心付近の照度を高くすることが困難である。
【0015】
また、特許文献2による配光可変型前照灯においては、すれ違いビームと走行ビームの切換えについては、遮光部材の可動部分の縦方向の移動により配光パターンを切換えるようにしている。
従って、遮光部材の挿脱のみによる配光パターンの切換えとなることから、前述した車両前照灯1の場合と同様に、一方のビームの配光パターンに対して最適化しようとすると、他方のビームの配光パターンを最適化することができなかった。
【0016】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、すれ違いビーム時及び走行ビーム時にそれぞれ最適な配光パターンを形成することができるようにした車両前照灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、本発明によれば、光源と、光源からの光を光照射方向前方に向かって反射するように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が光照射方向前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された光照射方向前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、上記反射面の光照射方向前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、上記反射面の第二の焦点位置付近の挿入位置に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材と、上記遮光部材を挿入位置から下方の退避位置まで揺動するための駆動手段と、を備えている、車両前照灯において、さらに、上記遮光部材の光源側に、光照射方向後方に向かって凹状の凹面鏡が一体的に取り付けられており、上記凹面鏡が、上記遮光部材が挿入位置に在るとき、その中心が光源から外れて所定距離内に位置すると共に、上記遮光部材が退避位置に在るとき、その中心が光源付近に位置するように形成されていることを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
【0018】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記遮光部材の揺動軸が、光源の光照射方向前方下側にて、光源から所定距離内にて横向きに配置されている。
【0019】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記遮光部材の揺動軸が、光源から半径20mm以内の範囲に配置されている。
【0020】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記凹面鏡が、上記遮光部材が退避位置に在るとき、その中心が光源から半径10mm以内の範囲に配置される。
【0021】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記遮光部材の揺動軸が、反射面の横方向外側で回転可能に支持されている。
【発明の効果】
【0022】
上記構成によれば、光源から出射した光が、直接にまたは反射面で反射されて、その第二の焦点位置に向かって集束し、さらに投影レンズを介して光照射方向前方に向かって照射される。
【0023】
ここで、走行ビーム時には、駆動手段により、上記遮光部材が光路から退避位置まで退避する。また、これに連動して、上記凹面鏡は、その中心が光源付近に位置するように移動する。
これにより、反射面で反射した光は、遮光部材により遮断されることなく、すべて投影レンズに入射し、投影レンズを介して光照射方向前方に向かって照射されることになる。
【0024】
また、光源から上記遮光部材の光源側に取り付けられた凹面鏡に入射した光は、この凹面鏡により反射して光源に戻り、さらに反射面で反射して、その第二の焦点位置に向かって集束した後、投影レンズを介して光照射方向前方に向かって中心付近に集束して照射される。
従って、従来、投影レンズに入射せず、配光パターンの形成に寄与しなかった光が、凹面鏡で反射し、さらに反射鏡で反射して光照射方向前方の中心付近に向かって照射される。このため、光源からの光の利用効率が向上する。また、中心付近の最大光度が高くなり、遠方視認性が向上することになる。
【0025】
これに対して、すれ違いビーム時には、遮光部材が駆動手段により光路中の挿入位置に挿入される。また、これに連動して、上記凹面鏡は、その中心が光源付近から僅かに所定距離内で外れるように移動する。
これにより、反射面から投影レンズに入射する光の一部が、上記遮光部材によって遮断される。従って、光照射方向前方に向かって照射される照射光の配光パターンに、水平線よりやや下方のカットオフラインが形成される。
【0026】
また、光源から上記遮光部材の光源側に取り付けられた凹面鏡に入射した光は、この凹面鏡により反射して光源に戻り、さらに反射面で反射して、その第二の焦点位置に向かって集束した後、投影レンズを介して光照射方向前方に向かって照射される。
その際、凹面鏡の中心が光源から僅かに外れているので、凹面鏡で反射した光は、光源付近にやや拡散して入射する。従って、この光は、反射面の第二の焦点位置付近にやや拡散して入射し、投影レンズを介して光照射方向前方に向かってやや拡散して照射されることになる。
【0027】
これにより、従来、遮光部材で遮断されていた光が、凹面鏡により反射することにより上記遮光部材の上側を通って光照射方向前方に向かって照射される。
従って、光源からの光の利用効率が向上する。また、配光パターンにおけるカットオフラインより低い方向即ち車両手前に対応する領域の光度を高めることができる。
【0028】
上記遮光部材の揺動軸が、光源の光照射方向前方下側にて、光源から所定距離内にて横向きに配置されている場合、好ましくは、光源から半径20mm以内の範囲に配置されている場合には、この揺動軸の周りに遮光部材が揺動する際、挿入位置でも退避位置でも、上記凹面鏡が光源に対して適宜の位置に持ち来されることになる。従って、凹面鏡で反射した光が、良好な配光パターンを補完・形成することになる。
【0029】
上記凹面鏡が、上記遮光部材が退避位置に在るとき、その中心が光源から半径10mm以内の範囲に配置される場合には、上記遮光部材が退避位置に移動されたとき、凹面鏡で反射した光が、光源に対して比較的集束する。このため、その後反射面で反射して投影レンズにより光照射方向前方に向かって照射される際に、配光パターンの中心付近に良好に集束することになる。
【0030】
上記遮光部材の揺動軸が、反射面の横方向外側で回転可能に支持されている場合には、揺動軸を支持するための支持手段が、反射面から投影レンズに入射する光路を妨げることがない。
【0031】
このようにして、本発明によれば、可動式の遮光部材の光源側に凹面鏡を一体的に取り付けて、光源から直接に遮光部材に入射しようとする光を凹面共により光源に向かって反射する。
これにより、走行ビーム時には、遮光部材が退避位置に移動する。これにより、光源または反射面からの光が、すべて投影レンズに入射し、光照射方向前方に向かって照射される。また、投影レンズの下側に向かう光が、凹面鏡で反射して光源に戻り、さらに反射面で反射する。このため、この光は、投影レンズを介して光照射方向前方の中心付近に向かって集束して照射される。
従って、反射面全体を走行ビーム用の配光パターンを最適化するように形成しておくことにより、走行ビームに最適な配光パターンが形成される。また、その中心付近の最大光度が凹面鏡で反射した光により高められる。これにより、例えば高速道路走行時における遠方視認性が向上することになる。
【0032】
これに対して、すれ違いビーム時には、上記遮光部材が挿入位置に移動する。このため、光源または反射面からの光の一部が遮光部材により遮断され、カットオフが形成される。これにより、歩行者や対向車に対して幻惑光を与えるようなことがない。
また、上記遮光部材が挿入位置に移動すると、その光源側に取り付けられた凹面鏡は、その中心が光源から僅かにずれることになる。これにより、上記凹面鏡で反射し光が、反射面で反射された後、反射面の第二の焦点に集束されず、やや拡散して投影レンズを介して光照射方向前方に向かって照射される。
これにより、カットオフラインの下側、即ち車両手前に対応する領域の光度が高くなる。従って、車両手前の視認性が向上し、すれ違いビーム用に最適化された配光パターンが得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図5を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0034】
図1及び図2は、本発明による車両前照灯の第一の実施形態の構成を示している。
図1及び図2において、車両前照灯10は、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を光照射方向前方に向かって反射させる反射面12と、上記反射面12の前方に配置された投影レンズ13と、上記反射面12と投影レンズ13との間に配置された遮光部材14と、上記遮光部材14の光源側に取り付けられた凹面鏡15と、上記遮光部材14及び凹面鏡15を一体的に揺動する駆動手段16と、から構成されている。
【0035】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブが使用され、その発光中心となる発光点を通る光軸Oが光照射方向前方に向かってほぼ水平に配置され、ソケット11bにより固定保持され、給電されるようになっている。
【0036】
上記反射面12は、上記バルブ11からの光を光照射方向前方に向かって反射するように光照射方向前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光点11a付近に位置する。また、その第二の焦点位置F2が前側にてバルブ11から光照射方向前方に延びる光軸O上に位置するように、楕円系の反射面として構成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0037】
そして、上記反射面12は、バルブ11の光軸Oから上側と下側で異なる曲率を備えており、上側がより拡散性の強い配光パターンを与えるように形成されている。
【0038】
上記投影レンズ13は、凸状のレンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、上記光軸O上にて、その光源側(後側)の焦点が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
【0039】
上記遮光部材14は、前方に向かって照射される光の一部を遮断してカットオフラインを形成することにより、所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、不透光性材料から形成されている。
そして、上記遮光部材14は、図2に示すように、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近の挿入位置Aに配置されている。
【0040】
さらに、上記遮光部材14は、図2に示した挿入位置Aから、前側に向かって破線で示す移動位置B(図3参照)まで、駆動手段16により段階的または連続的に揺動し得るように構成されている。
【0041】
また、上記遮光部材14は、その上縁14aが、所望の配光パターンを形成するようになっている。
より詳細には、上記遮光部材14は、上述した挿入位置Aにて、すれ違いビームのカットオフラインを形成する。また、上述した退避位置Bにて、反射面12から投影レンズ13への光路から完全に退避し、投影レンズ13に入射する光を妨げないようになっている。
【0042】
さらに、上記遮光部材14は、その揺動軸14bが光軸Oに対して直角に横向きに、水平に延びており、図2に示すように、バルブ11の光照射方向前方の下側にて、バルブ11の発光点から所定距離、例えば20mm以内の範囲に配置されている。
【0043】
上記凹面鏡15は、上述した遮光部材14の光源側に配置され、遮光部材14に対して一体的に取り付けられている。
図示の場合、上記凹面鏡15は、後方に向かって凹状に形成された遮光部材14の光源側の表面に一体に構成されており、上記遮光部材14と共に、上記駆動手段16により揺動軸14bの周りに揺動するようになっている。
【0044】
ここで、上記凹面鏡15は、後方に向かって凹状のほぼ球面から構成されており、図2に示すように、上記遮光部材14が挿入位置Aに在るとき、その中心が上記バルブ11の発光部から所定距離の範囲内に配置され、即ちバルブ11の発光中心から僅かに外れるようになっている。
また、上記凹面鏡15は、上記遮光部材14が退避位置Bまで移動するにつれて、その中心が上記バルブ11の発光部に対して接近し、図3に示すように、上記遮光部材14が退避位置Bに達したとき、その中心が上記バルブ11の発光部付近に、例えば発光部から半径10mmの範囲に位置するようになっている。
【0045】
上記駆動手段16は、例えばソレノイド等から構成されており、すれ違いビームと走行ビームの切換え時に、遮光部材14及び凹面鏡15を揺動軸14bの周りに揺動して、すれ違いビーム時には挿入位置Aに、また走行ビーム時には退避位置Bに移動するようになっている。
ここで、上記駆動手段16は、上記揺動軸14bを、反射面12の横方向外側で支持している。これにより、上記駆動手段は、揺動軸14bを含めて、反射面12から投影レンズ13への光路を妨げないようになっている。
【0046】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11がソケット11bから給電されて発光することにより、バルブ11の発光部から光が出射することになる。
そして、バルブ11から出射した光は、その一部が、直接に、または上記反射面12で反射して、この反射面12の第二焦点F2付近に向かって前方に進み、投影レンズ13により集束しながら、光照射方向前方に向かって照射される。
また、バルブ11から出射した光は、他の一部が、上記凹面鏡15で反射し、さらに反射面12で反射して前方に進んで、投影レンズ13を介して光照射方向前方に向かって照射される。
【0047】
ここで、すれ違いビーム時には、図2に示すように、上記遮光部材14が挿入位置Aに在って、上記凹面鏡15は、その中心がバルブ11の発光部から僅かに外れた範囲内に位置している。
これにより、バルブ11または反射面12からの光のうち、一部の光が上記遮光部材14により遮断され、その上縁14aによりカットオフラインを形成されて、光照射方向前方に向かって照射されることになる。
【0048】
その際、反射面12が光軸Oの上側と下側で異なる曲率を有して。これにより、反射面12の上側で反射された光L1による配光パターンは、図4(A)に示すように、やや左右に広がるように形成される。
これに対して、反射面12の下側で反射された光L2による配光パターンは、図4(B)に示すように、中央付近への集光性がやや高められている。
【0049】
また、凹面鏡15で反射した光L3は、反射面12で反射した後、その第二の焦点F2からずれて集束する。このため、やや拡散した光として、投影レンズ13に入射し、図4(C)に示すように、やや拡散して前方に向かって照射される。
【0050】
従って、全体として、図4(D)に示すように、上記光L1及びL2による配光パターンに関して、遮光部材14により、中心から右側では水平線よりやや下方にて水平に、そして中心から左側に向かって斜め上方に延び、さらに左方にて水平線よりやや上側に位置するカットオフラインCが形成され、このカットオフラインCの下側のみに対して、すれ違いビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0051】
この場合、最大光度となる光が、従来のように遮光部材14により遮断されずに、凹面鏡15により反射して、やや拡散されて投影レンズ13を介して光照射方向前方に向かって照射される。従って、バルブ11からの光の利用効率が向上し、配光パターン全体の照度が高められる。また、中心付近の集光性がやや緩和され、配光パターンにおける最大光度がすれ違いビームの配光規格を満たすように低減される。
従って、車両手前、そして路肩,縁石や歩行者等の視認性が良好なすれ違いビーム用に最適化された配光パターンが形成されることになる。
【0052】
これに対して、走行ビーム時には、図3に示すように、上記遮光部材14が駆動手段16により退避位置に揺動し、また上記凹面鏡15は、その中心がバルブ11の発光部付近に位置することになる。
これにより、バルブ11または反射面12からの光は、上記遮光部材14により遮断されることなく、すべて投影レンズ13を介して、光照射方向前方に向かって照射されることになる。
【0053】
その際、反射面12が光軸Oの上側と下側で異なる曲率を有して。このため、反射面12の上側で反射された光L1による配光パターンは、図5(A)に示すように、やや左右に広がるように形成される。
この配光パターンは、すれ違いビーム時における反射面の上側で反射された光L1による配光パターンと同じである。
【0054】
これに対して、反射面12の下側で反射された光L2による配光パターンは、図5(B)に示すように、中央付近への集光性が高められている。
この配光パターンも、同様にして、すれ違いビーム時における反射面の下側で反射された光L2による配光パターンと同じであるが、実際に光照射方向前方に向かって照射される配光パターンは、遮光部材14により部分的に遮断された光L2’により形成されることになる。
【0055】
また、凹面鏡15で反射された光L3’は、その中心に向かって集束した後、反射面12で反射して、投影レンズ13を介して光照射方向前方の中心付近に向かって照射される。
これにより、凹面鏡15で反射した光L3’による配光パターンは、図5(C)に示すように、中央付近への集光性が高められている。
この配光パターンは、すれ違いビーム時における凹面鏡15で反射した光L3による配光パターンと比較して、凹面鏡15の中心がバルブ11の発光点11a付近に位置する。このため、中心付近の集光性がより一層高められることになる。
【0056】
従って、全体として、図5(D)に示すように、上記光L1,L2’による配光パターンに対して、凹面鏡15で反射した光L3’のより集光性の高い配光パターンが重なり合う。これにより、より集光性の高く、遠方視認性の良好な走行ビーム用に最適な配光パターンが形成されることになる。
【0057】
このようにして、上記遮光部材14が挿入位置Aに在るときには、従来のすれ違いビームと同様の配光パターンが得られる。また、凹面鏡15で反射された光L3が、やや拡散して光照射方向前方に向かって照射される。従って、バルブ11からの光の利用効率が向上し、配光パターンにおけるカットオフラインより低い方向即ち車両手前に対応する領域の光度を高めることができる。
また、拡散した光が、カットオフラインの上側や左右方向にも照射されることになる。このため、カットオフラインによる明暗境界線がぼやけて、明暗境界線付近の視認性が向上する。また、車両手前、そして路肩,縁石や歩行者等の視認性が良好なすれ違いビーム用に最適化された配光パターンが形成されることになる。
【0058】
また、上記遮光部材14が退避位置Bに在るときには、従来の走行ビームと同様の配光パターンが得られる。また、凹面鏡15で反射した光L3が、反射面12で反射した後、投影レンズ13を介して中心付近に集束しながら照射される。このため、中心付近の最大光度が向上し、遠方視認性が向上し、走行ビーム用に最適化された配光パターンが形成されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
上述した実施形態においては、車両前照灯10は、自動車のヘッドランプとして構成されているが、これに限らず、自動車の補助前照灯やフォグランプ等の補助灯等を含む広い意味での車両前照灯に本発明を適用し得ることは明らかである。
【0060】
また、上述した実施形態においては、車両前照灯10における駆動手段16が例えばソレノイドから構成されているが、これに限らず、例えばステッピングモータ,DCモータ等の任意の駆動手段を使用して遮光部材14を揺動することも可能である。
【0061】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、すれ違いビーム時及び走行ビーム時にそれぞれ最適な配光パターンを形成することができるようにした極めて優れた車両前照灯が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の車両前照灯における遮光部材が挿入位置Aに在るときの構成を示す概略断面図である。
【図3】図1の車両前照灯における遮光部材が退避位置Bに在るときの構成を示す概略断面図である。
【図4】図1の車両前照灯における遮光部材が挿入位置Aに在るときの配光パターンを示すグラフである。
【図5】図1の車両前照灯における遮光部材の退避位置Bに在るときの配光パターンを示すグラフである。
【図6】従来の車両前照灯の一例の構成を示す概略断面図である。
【図7】図6の車両前照灯による配光パターンを示すグラフである。
【符号の説明】
【0063】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
11a 発光点
11b ソケット
12 反射面
13 投影レンズ
14 遮光部材
14a 上縁
14b 揺動軸
15 凹面鏡
16 駆動手段




 

 


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