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発明の名称 車両前照灯
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−227085(P2007−227085A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−45330(P2006−45330)
出願日 平成18年2月22日(2006.2.22)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 中田 祥弘
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、投影レンズの耐熱要求温度を低下させて、投影レンズを熱可塑性樹脂により構成することにより、灯具全体の重量を低減させ、重心を前後方向中心付近に移動させるようにした車両前照灯を提供することを目的とする。

解決手段
光源11と、光源からの光を光照射方向前方に向かって反射するように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面12と、上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズ13と、を備えた車両前照灯10において、上記光源と投影レンズとの間の光路中に、薄い平板状の透光性熱吸収部材15が配置されており、上記投影レンズが、熱可塑性樹脂材料から形成されるように、車両前照灯10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
光源と、
光源からの光を光照射方向前方に向かって反射するように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、
上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、
を備えている、車両前照灯において、
上記光源と投影レンズとの間の光路中に、薄い平板状の透光性熱吸収部材が配置されており、
上記投影レンズが、熱可塑性樹脂材料から形成されている
ことを特徴とする、車両前照灯。
【請求項2】
上記投影レンズが、ポリカーボネイト系樹脂から形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項3】
上記熱吸収部材が、赤外線カットフィルタであることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両前照灯。
【請求項4】
上記熱吸収部材が、一面に赤外線反射膜を形成した薄ガラス基材から構成されていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項5】
上記熱吸収部材が、他面に紫外線吸収膜を備えていることを特徴とする、請求項4に記載の車両前照灯。
【請求項6】
上記紫外線吸収膜が、アクリル系有機塗料の1コート塗布により形成されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両前照灯。
【請求項7】
さらに、上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材を備えており、上記熱吸収部材が、上記遮光部材と投影レンズとの間に配置されていることを特徴とする、請求項1から6の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項8】
さらに、上記車両前照灯の灯具全体を、その重心付近を通って垂直に延びる揺動軸の周りに揺動させる揺動手段を備えていることを特徴とする、請求項1から7の何れかに記載の車両前照灯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用されるプロジェクタタイプの車両前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような車両前照灯は、例えば図6及び図7に示すように、構成されている。
即ち、図6及び図7において、車両前照灯1は、光源としてのバルブ2と、反射面3と、投影レンズ4と、遮光部材5と、から構成されている。
【0003】
上記バルブ2は、例えばD2Sバルブ等の放電灯やハロゲンランプ等から構成されており、その中心軸が光照射方向前方に向くように配置されている。
【0004】
上記反射面3は、バルブ2を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸が光照射方向前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0005】
上記投影レンズ4は、凸レンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されており、バルブ2または反射面3からの光を集光し、前方に向かって照射するようになっている。
尚、上記投影レンズ4は、レンズホルダー4aにより、反射面3に対して一体的に固定保持されるようになっている。
【0006】
上記遮光部材5は、光照射方向前方に向かって照射される光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されている。また、上記配光パターンにカットオフラインを形成するために、その上縁5aが所定形状に形成されている。
【0007】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2が給電され、発光することにより、バルブ2から出射した光は、直接に、または上記反射面3で反射して、この反射面3の第二焦点付近に向かって前方に進み、投影レンズ4により集束されながら、光照射方向前方に向かって照射される。
その際、前方に向かって照射される光は、その一部が遮光部材5により遮断される。さらに、この遮光部材5の上縁5aによりカットオフラインを形成されて、すれ違いビームとして前方に向かって照射されることになる。
【0008】
これにより、上記カットオフラインが投影レンズ4により投影されることになる。これにより、配光パターンに関して、例えば中心から右側で水平線よりやや下方にて水平に、そして中心から左側にてほぼ水平線に沿って水平に延びるカットオフラインが形成され、このカットオフラインの下側のみに対して、すれ違いビームに適した光が照射されるようになっている。
【0009】
このようにして、このような車両前照灯1においては、すれ違いビームの際には、上記遮光部材5によりカットオフラインが形成される。これにより、すれ違いビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0010】
ところで、上述した車両前照灯1においては、そのカットオフラインによるすれ違いビーム用の配光パターンは常に一定である。
これに対して、近年AFS(Adaptive Front−lighting System)として可変配光制御機能を備えた車両前照灯が認められるようになってきており、カーブ走行時に光軸を左右何れかに移動することによって、進行方向の視認性を向上させるようにした車両前照灯を搭載した自動車が既に販売されている。
【0011】
光軸を移動する方法としては、灯具全体やカットオフラインを画成する遮光部材あるいはシェードを水平方向に揺動させたり、反射面の一部を揺動させたり、あるいは専用の光源を点灯させるものがある。
【0012】
ここで、灯具全体を水平方向に揺動させる方法は、特許文献1に開示されている。
即ち、特許文献1による車両用灯具によれば、車両の曲がり角度を検出して、配光手段としてのヘッドランプを水平方向に揺動させるようになっている。
【特許文献1】特開2005−145159号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、上述した車両前照灯1においては、バルブ2の発熱によって、点灯時には高温が発生する。特に、バルブ2として放電灯を使用した場合には、より高い温度になってしまう。
このため、反射面3や投影レンズ4,レンズホルダー4aは、耐熱特性を備えた材料から構成されている。
【0014】
例えば反射面3については、耐熱要求220℃に対して、ポリフェニレンサルファイド(PPS,比重1.8)が使用され、またレンズホルダー4aについては、耐熱要求180℃に対して、ポリエーテルイミド(PEI,比重1.27)またはポリエーテルサルフォン(PES,比重1.37)が使用されている。
これに対して、投影レンズ4については、耐熱要求180℃以上に対して、硬質ガラスが使用されている。
【0015】
ここで、反射面3やレンズホルダー4aの材料は、上述したように比較的比重が小さく、軽量化が可能な熱可塑性樹脂から構成されている。
他方、投影レンズ4の材料は、比重が2.5と大きいため、投影レンズ4そして車両前照灯1の全体が比較的重くなってしまう。
これにより、車両前照灯1における重心は、図6にて矢印Gで示すように、比較的前方に位置することになる。
【0016】
ところで、特許文献1に示すように、AFS機能を実現するために、車両前照灯1の灯具全体を水平方向に揺動させる場合、一般的には、図8に示すように、重心Gの周りに灯具全体を揺動させるようにしている。これは、揺動手段の負担をできるだけ軽減し、揺動トルクを小さく設定するためである。
しかしながら、投影レンズ3そして車両前照灯1全体が比較的重いことから、揺動手段の駆動負荷が大きく、揺動手段が大型化してしまう。
【0017】
また、車両前照灯1における揺動軸即ち重心位置から灯具後端までの寸法が比較的大きくなってしまうことから、車両前照灯1の揺動時に必要な横方向のスペースSを大きく取る必要がある。このため、車両前照灯の小型化や取付スペースの縮小化の要請に反することになってしまう。
【0018】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、投影レンズの耐熱要求温度を低下させて、投影レンズを熱可塑性樹脂により構成することにより、灯具全体の重量を低減させ、重心を前後方向中心付近に移動させるようにした車両前照灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
上記目的は、本発明によれば、光源と、光源からの光を光照射方向前方に向かって反射するように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、を備えている、車両前照灯において、上記光源と投影レンズとの間の光路中に、薄い平板状の透光性熱吸収部材が配置されており、上記投影レンズが、熱可塑性樹脂材料から形成されていることを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
【0020】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記投影レンズが、ポリカーボネイト系樹脂から形成されている。
【0021】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記熱吸収部材が、赤外線カットフィルタである。
【0022】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記熱吸収部材が、一面に赤外線反射膜を形成した薄ガラス基材から構成されている。
【0023】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記熱吸収部材が、他面に紫外線吸収膜を備えている。
【0024】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記紫外線吸収膜が、アクリル系有機塗料の1コート塗布により形成されている。
【0025】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、さらに、上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材を備えており、上記熱吸収部材が、上記遮光部材と投影レンズとの間に配置されている。
【0026】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、さらに、上記車両前照灯の灯具全体を、その重心付近を通って垂直に延びる揺動軸の周りに揺動させる揺動手段を備えている。
【発明の効果】
【0027】
上記構成によれば、光源から出射した光が、直接にまたは反射面で反射されて、その第二の焦点位置に向かって集束され、さらに投影レンズを介して前方に向かって照射される。
【0028】
この場合、反射面から投影レンズに入射する光は、熱吸収部材、好ましくは赤外線カットフィルタを透過することにより、赤外線が遮断されるので、投影レンズに達する光は、赤外線成分を含まない。これにより、投影レンズにおける光照射による温度上昇が抑制されることになる。
【0029】
従って、投影レンズにおける耐熱要求温度が、熱吸収部材のない場合と比較して、低下することになる。これにより、投影レンズは、比較的耐熱温度の低い熱可塑性樹脂材料、好ましくはポリカーボネイト系樹脂から形成され得ることになる。
このため、熱可塑性樹脂材料から構成された投影レンズは、従来の硬質ガラス製の投影レンズと比較して、半分以下と大幅に重量が軽減される。このため、投影レンズを支持するレンズホルダーも軽量化が可能となる。従って、熱吸収部材の増設による重量増加が僅かであるので、車両前照灯全体の重量も大幅に軽減され得ることになる。
【0030】
さらに、投影レンズの重量軽減によって、車両前照灯の重心位置が後方にずれ、車両前照灯の前後方向の中心付近まで移動する。このため、例えばAFS機能を実現するために、車両前照灯全体を重心付近で垂直方向に延びる揺動軸の周りに揺動手段により揺動させる場合には、揺動のために必要な駆動トルクが小さくて済み、揺動手段の駆動負担が軽減される。これにより、揺動角度をより狭い範囲に設定することが可能となり、車両前照灯の揺動のために必要な横方向のスペースも低減される。
従って、AFS機能を備えた車両前照灯を自動車の車体に取り付ける際の取付スペースが低減され、車両前照灯の小型化の要請に十分に対応することが可能になる。
【0031】
上記熱吸収部材が、一面に赤外線反射膜を形成した薄ガラス基材から構成されている場合には、熱吸収部材が比較的容易に構成され得ることになる。
【0032】
上記熱吸収部材が他面に紫外線吸収膜を備えている場合には、光源からの光に含まれる紫外線が吸収される。これにより、投影レンズに達する光には紫外線が含まれない。従って、投影レンズを構成する熱可塑性樹脂材料の紫外線照射による劣化が阻止されることになる。
【0033】
上記紫外線吸収膜が、アクリル系有機塗料の1コート塗布により形成されている場合には、紫外線吸収に関して従来のUVカットフィルタと同等性能が得られる。これにより、簡単に且つ低コストで形成され得る。
【0034】
さらに、上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材を備えており、上記熱吸収部材が、上記遮光部材と投影レンズとの間に配置されている場合には、光源から直接または反射面を介して投影レンズに入射する光の一部が遮光部材により遮断され、この遮光部材の上縁によりカットオフラインが形成される。これにより、すれ違いビームに適した配光パターンが得られることになる。
【0035】
さらに、上記車両前照灯の灯具全体を、その重心付近を通って垂直に延びる揺動軸の周りに揺動させる揺動手段を備えている場合には、投影レンズの重量軽減によって、車両前照灯の重心位置が後方にずれ、車両前照灯の前後方向の中心付近まで移動する。このため、例えばAFS機能を実現するために、車両前照灯の灯具全体を上記揺動軸の周りに上記揺動手段により揺動させる際、揺動手段の駆動負担が軽減される。また、車両前照灯の揺動のために必要な横方向のスペースも低減される。従って、AFS機能を備えた車両前照灯を自動車の車体に取り付ける際の取付スペースが低減され、車両前照灯の小型化の要請に十分に対応することが可能になる。
【0036】
このようにして、本発明によれば、光源と投影レンズとの間に、光源からの光に含まれる赤外線を遮断するための透光性熱吸収部材を配置したことにより、投影レンズの耐熱要求温度が低下する。これにより、投影レンズを熱可塑性樹脂材料により構成することが可能となり、この熱可塑性樹脂材料の比重が、従来の投影レンズを構成する硬質ガラスと比較して十分小さいことから、投影レンズの重量が大幅に低減される。
【0037】
従って、車両前照灯全体の重量も大幅に低減される。また、車両前照灯の重心が前後方向中心付近まで移動することになる。これにより、例えばAFS機能の実現のために、車両前照灯をその重心付近で垂直軸の周りに揺動させる場合、駆動トルクが小さくて済み、揺動手段の駆動負担が軽減されることになる。また、揺動の際に必要な横方向のスペースも大幅に縮小され得ることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図5を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0039】
図1は、本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させる反射面12と、上記反射面12の前方に配置された投影レンズ13と、上記反射面12と投影レンズ13との間に配置された遮光部材14と、上記遮光部材14と投影レンズ13との間に配置された熱吸収部材15と、灯具全体を揺動させる揺動手段16と、から構成されている。
【0040】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、図示の場合、所謂D2SタイプのHIDランプが使用されている。 尚、上記バルブ11は、これに限らず、他の種類のバルブ、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブも使用され得る。
そして、上記バルブ11は、その光軸Oが光照射方向前方に向かってほぼ水平に配置され、ソケット11aにより固定保持され、給電されるようになっている。
【0041】
上記反射面12は、上記バルブ11からの光を光照射方向前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光点付近に位置する。また、その第二の焦点位置F2が前側にてバルブ11から前方に延びる光軸O上に位置するように、楕円系の反射面として構成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0042】
上記投影レンズ13は、凸状のレンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、上記光軸O上にて、その光源側(後側)の焦点が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
さらに、上記投影レンズ13は、レンズホルダー13aにより固定保持されている。
尚、このレンズホルダー13aは、反射面12に対して、後述する遮光部材14と一体的に取り付けられている。
【0043】
さらに、上記投影レンズ13は、後述するように熱吸収部材15によりバルブ11からの光の赤外線成分がカットされることにより、上記投影レンズ13に対する耐熱要求温度が低下する。このため、熱可塑性樹脂材料、例えばポリカーボネイト系熱可塑性樹脂材料から構成されている。
この熱可塑性樹脂材料は、その比重が約1.2であり、従来の投影レンズに使用される硬質ガラスの比重2.5と比較して、半分以下になり、十分に小さい。
【0044】
上記遮光部材14は、前方に向かって照射される光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、不透光性材料から形成されている。
ここで、上記遮光部材14は、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に配置されている。
また、上記遮光部材14は、その上縁14aが、所望の配光パターン、例えばすれ違いビーム用の配光パターンのためのカットオフラインを形成するようになっている。
【0045】
上記熱吸収部材15は、上述した投影レンズ13と遮光部材14との間に配置され、上記レンズホルダー13aに対して一体的に取り付けられて、固定保持されている。
ここで、上記熱吸収部材15は、薄い平板状の薄ガラス基材から成り、そのバルブ11側の表面に、赤外線反射膜15aが形成されることにより、赤外線カットフィルタとして構成されている。
【0046】
この赤外線反射膜15aは、例えば一般的なTiO2 /SiO2 の蒸着多層膜から構成されている。
そして、この赤外線反射膜15aの分光特性は、図3(A)にて符号Aで示すように、ほぼ700μm以上の波長成分を反射し、ほぼ700μm以下の波長成分を透過するようになっている。
【0047】
さらに、上記熱吸収部材15は、図2に示すように、その投影レンズ13側の表面に、紫外線吸収膜15bが形成されている。
この紫外線吸収膜15bは、例えばアクリルベースの有機系塗料が1コートで塗布されることにより、形成されている。これにより、紫外線吸収膜15bは、一般的なUVカットフィルタと同等の性能が得られ、低コストで製造され得ることになる。
従って、この紫外線吸収膜15bの分光特性は、図3(B)にて符号Bで示すように、ほぼ400μm以下の波長成分を吸収し、ほぼ400μm以上の波長成分を透過するようになっている。
【0048】
上記揺動手段16は、上述した各構成要素、即ちバルブ11,反射面12,レンズホルダー13aを含む投影レンズ13,遮光部材14そして熱吸収部材15から成る灯具全体を、その重心Gを通って垂直に延びる揺動軸16aの周りに水平方向に揺動させるようになっている。
ここで、上記揺動手段16は、例えば自動車の進行方向に基づいて、図示しない制御手段により駆動制御され、自動車の進行方向に向けて、灯具全体を揺動させるようになっている。
【0049】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11がソケット11aから給電されて発光することにより、バルブ11の発光部から光が出射する。
そして、バルブ11から出射した光は、直接に、または上記反射面12で反射して、この反射面12の第二焦点F2付近に向かって光照射方向前方に進み、熱吸収部材15を透過する際に赤外線成分がカットされて、さらに投影レンズ13により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0050】
その際、バルブ11または反射面12からの光のうち、一部の光が上記遮光部材14により遮断され、その上縁14aによりカットオフラインを形成されて、光照射方向前方に向かって照射されることになる。
【0051】
この場合、投影レンズ13に入射する光は、熱吸収部材15により赤外線成分がカットされている。このため、投影レンズ13における光照射による発熱が抑制されることになる。
従って、投影レンズ13は、図4に示すように、バルブ11からの光照射による温度が、約150℃程度と、約30℃低下することになる。これにより、投影レンズ13の耐熱要求温度を低くすることが可能になるので、前述したように、熱可塑性樹脂材料により十分に耐熱要求に対応することが可能になる。
【0052】
さらに、上記車両前照灯10において、熱可塑性樹脂材料を用いることで投影レンズ13が軽量化される。これにより、その重心位置Gは、灯体の重量配分がガラス製の投影レンズと比較して後方にずれて、図5に示すように、車両前照灯10の前後方向の中心付近まで移動することになる。
従って、揺動手段16により、例えばAFS機能の実現のために、重心位置付近で垂直に延びる揺動軸16aの周りに車両前照灯10を揺動させる場合、車両前照灯10自体の軽量化により、揺動のための駆動トルクが小さくて済み、揺動手段16の駆動負担が軽減される。従って、揺動手段16も小型に構成され得ることになる。
【0053】
また、揺動の際の車両前照灯10の横方向の移動距離が小さくなることから、揺動角度をより狭い範囲Cに設定することも可能である。このため、揺動のために必要な横方向のスペースS1が少なくて済むことになる。
従って、車両前照灯10自体の小型化が容易に行なわれ得る。また、駆動負担が軽減されることから、揺動手段16も比較的低コストで構成され得ることになる。
【産業上の利用可能性】
【0054】
上述した実施形態においては、車両前照灯10は、自動車のヘッドランプとして構成されているが、これに限らず、自動車の補助前照灯やフォグランプ等の補助灯等を含む広い意味での車両前照灯に本発明を適用し得ることは明らかである。
【0055】
また、上述した実施形態においては、遮光部材14が備えられているが、これに限らず、遮光部材14が省略されてもよい。この場合、光照射方向前方に向かって照射される照射光により、走行ビーム用の配光パターンが形成されることになる。
【0056】
さらに、上述した実施形態においては、熱吸収部材15は、薄ガラス基板の表面に赤外線反射膜及び紫外線吸収膜が形成されているが、これに限らず、赤外線反射及び紫外線吸収の作用を備えていれば、他の構成の熱吸収部材が使用されてもよく、また紫外線吸収の作用が省略されてもよい。
【0057】
さらに、上述した実施形態においては、車両前照灯10には揺動手段16が備えられているが、この揺動手段16は省略されてもよい。
【0058】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、投影レンズの耐熱要求温度を低下させて、投影レンズを熱可塑性樹脂により構成することにより、灯具全体の重量を低減させ、重心を前後方向中心付近に移動させるようにした車両前照灯が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両前照灯における熱吸収部材の拡大斜視図である。
【図3】図2の熱吸収部材における(A)赤外線反射膜の分光特性及び(B)紫外線吸収膜の分光特性をそれぞれ示すグラフである。
【図4】図1の車両前照灯における投影レンズの熱吸収部材の有無による温度変化を示すグラフである。
【図5】本発明による車両前照灯の第二の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図6】従来の車両前照灯の一例の構成を示す概略断面図である。
【図7】図6の車両前照灯を示す分解斜視図である。
【図8】図6の車両前照灯をAFS機能のために揺動させた状態を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
12 反射面
13 投影レンズ
13a レンズホルダー
14 遮光部材
14a 上縁
15 熱吸収部材
15a 赤外線反射膜
15b 紫外線吸収膜
16 揺動手段
16a 揺動軸




 

 


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