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発明の名称 車両用LED灯具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−220619(P2007−220619A)
公開日 平成19年8月30日(2007.8.30)
出願番号 特願2006−42729(P2006−42729)
出願日 平成18年2月20日(2006.2.20)
代理人 【識別番号】100062225
【弁理士】
【氏名又は名称】秋元 輝雄
発明者 高瀬 真樹 / 長澤 理之
要約 課題
LEDを光源とする車両用LED灯具において、LEDの自己発熱の放熱性を高めることによってLEDの温度上昇を抑制し、よってLEDの発光効率の低下が低減されて所定の照射光量を確保することが可能となる車両用LED灯具を提供することにある。

解決手段
主に前面レンズ1、ハウジング2及び背面カバー3とで灯室4を形成し、LED光源10が載設されたマウント部11が延びる第一のヒートシンク部12を灯室4内に、第二のヒートシング部17を灯室4外に夫々配設し、第一のヒートシンク部12と第二のヒートシング部17とを背面カバー3を挟んで一体化した。LED光源10で発生した熱は、第二のヒートシング部17及び前面レンズ1の夫々を介して灯室4外に放散される。
特許請求の範囲
【請求項1】
少なくとも前面レンズと、ハウジングと、背面カバーとによって灯室が形成され、少なくとも1つのLED光源と、前記LED光源から出射された光の光路を制御する光学系と、一部に前記LED光源が載設された第一のヒートシンク部とを備えた灯具ユニットが前記灯室の内部に配設され、第二のヒートシンク部が前記灯室の外部に配設され、前記第一のヒートシンク部と前記第二のヒートシンク部とが前記背面カバーを挟んで一体化されていることを特徴とする車両用LED灯具。
【請求項2】
前記第一のヒートシンク部、前記第二のヒートシンク部及び前記背面カバーの夫々は熱の良導体である材料によって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用LED灯具。
【請求項3】
前記LED光源はLEDチップ及びLEDチップを備えたLED装置のいずれか一方であることを特徴とする請求項1または2のいずれか1項に記載の車両用LED灯具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明はLEDを光源とする車両用LED灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(以下、「LED」と称する)は温度上昇によって発光効率が低下するという特性を有している。LEDの温度上昇の要因は、LEDの点灯時の自己発熱や高温環境下に晒された場合等が考えられる。
【0003】
一方、LEDは各種ランプに比較して一般的に小型、低消費電力、長寿命等の利点を有しており、従来この利点を利用してハイマウントストップランプ、ストップアンドテールランプ、方向指示灯等の車両用灯具の光源として使用され、近年ではLEDを光源とする車両用前照灯の提案・開発もなされている。
【0004】
車両用灯具は一般的に前面レンズとハウジングとによって灯室が形成されており、その灯室内に光源となるLEDが支持されている。そこでLEDを点灯すると、LEDの自己発熱によってLED自体の温度が上昇し、その結果LEDの発光効率が低下することによって灯具の照射光量が低減すると共に、極端な場合には灯具に要求される配光性能や配光規格を満足しなくなる可能性も有している。
【0005】
そこで、上記問題の発生を抑制するような車両用前照灯の提案がなされている。それは図3に示すように、透明カバー51と、ランプボディ52と、鉛直パネル部53、ユニット支持部54及びヒートシンク部55が一体化された支持ブラケット56と、ソケットカバー57とで車両用前照灯50の灯室58を形成し、前照灯50の灯室58内には支持ブラケット56の鉛直パネル部53及びユニット支持部54が位置し、ヒートシンク部55は前照灯50の灯室58外に延出している。
【0006】
そして、前照灯50の灯室58内に位置した支持ブラケット56のユニット支持部54には半導体発光素子59とリフレクタ60と光制御部材61とが固定され、光制御部材61は投影レンズ62を支持している。
【0007】
上記構成の、半導体発光素子59を光源とする車両用前照灯50においては、半導体発光素子59の点灯時の自己発熱は、熱の良導体である材料によって形成された支持ブラケット56のユニット支持部54からヒートシンク部55まで伝導されて移動し、ヒートシンク部55で灯室58外に放散される。これにより、半導体発光素子59点灯時の半導体発光素子59自体の温度上昇を抑制するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2005−141917号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来の車両用前照灯50においては、半導体発光素子59で発生した熱のほとんどは該半導体発光素子59が載設された支持ブラケット56のユニット支持部54からヒートシンク部55まで伝導されてヒートシンク部55で灯室58外に放散される。
【0009】
ところで、ヒートシンク部55は、ヒートシンク部55の外気(空気)と接する部分の全表面の放熱面積が大きいほど放熱効率が高くなり、放熱効果も良好となる。換言すると、ヒートシンク部55の大きさが放熱効率に関係することになるが、従来の車両用前照灯50の場合、ソケットカバー57があることによってヒートシンク部55の配置範囲が該ソケットカバー57によって限定されることになる。そのため、ヒートシンク部55の大きさに制約が加わるために十分な放熱効率が得られないものとなっている。
【0010】
また、たとえソケットカバー57が不要であったとしても、車両用前照灯50の取付け空間の制約のために、十分な放熱効率が得られるほどのヒートシンク部55の寸法の設計自由度が確保できるかどうかは疑問である。
【0011】
そこで、本発明は上記問題に鑑みて創案なされたもので、その目的とするところは、LEDを光源とする車両用LED灯具において、設計自由度が確保できると共に、LEDの自己発熱の放熱性を高めることによってLEDの温度上昇を抑制し、よってLEDの発光効率の低下が低減されて所定の照射光量を確保することが可能となる車両用LED灯具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1に記載された発明は、少なくとも前面レンズと、ハウジングと、背面カバーとによって灯室が形成され、少なくとも1つのLED光源と、前記LED光源から出射された光の光路を制御する光学系と、一部に前記LED光源が載設された第一のヒートシンク部とを備えた灯具ユニットが前記灯室の内部に配設され、第二のヒートシンク部が前記灯室の外部に配設され、前記第一のヒートシンク部と前記第二のヒートシンク部とが前記背面カバーを挟んで一体化されていることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の請求項2に記載された発明は、請求項1において、前記第一のヒートシンク部、前記第二のヒートシンク部及び前記背面カバーの夫々は熱の良導体である材料によって形成されていることを特徴とするものである。
【0014】
また、本発明の請求項3に記載された発明は、請求項1または2のいずれか1項において、前記LED光源はLEDチップ及びLEDチップを備えたLED装置のいずれか一方であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の車両用LED灯具は、少なくとも前面レンズと、ハウジングと、背面カバーとによって灯室を形成し、少なくとも1つのLED光源と、前記LED光源から出射された光の光路を制御する光学系と、一部に前記LED光源が載設された第一のヒートシンク部とを備えた灯具ユニットを灯室の内部に配設し、第二のヒートシンク部を灯室の外部に配設し、第一のヒートシンク部と第二のヒートシンク部とを前記背面カバーを挟んで一体化した。
【0016】
そして、LED光源で発生した熱が、第一のヒートシンク部及び背面カバーを順次経て第二のヒートシンク部から灯室の外部に放散される熱の流路と、第一のヒートシンク部から灯室内に放散されて前面レンズ内を伝導されて灯室の外部に放散される熱の流路の2系統の流路を設けるようにした。
【0017】
その結果、LED光源で発生して第二のヒートシンク部から灯室外に放散される熱エネルギーの量が制約されたとしても、灯室内からハウジングを介して灯室外に放散される熱エネルギーが存在するために、灯具全体としての放熱効率を十分確保することが可能となり、LED光源の温度上昇を抑制することによってLED光源の発光効率の低下が低減されて所定の照射光量を確保することが可能となる。
【0018】
よって、灯具全体としての放熱効率を確保しながら第二のヒートシンク部の寸法を小さくすることができ、灯具の取付け空間に制約が加えられたとしても放熱性能を維持しながら寸法の設計自由度を確保することが可能となった。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、この発明の好適な実施形態を図1及び図2を参照しながら、詳細に説明する(同一部分については同じ符号を付す)。尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの実施形態に限られるものではない。
【0020】
図1は本発明の車両用LED灯具に係わる実施形態を示す断面図である。本実施形態は、主に前面レンズ1、ハウジング2及び背面カバー3の3つの部材によって灯室4が形成されている。前面レンズ1とハウジング2は、ハウジング2の一方の前面開口端部に設けられたシール溝部5に前面レンズ1の周端に設けられたシール脚部6を挿入し、シール溝部5とシール脚部6との隙間に弾性シール材7を充填した状態で係止されている。
【0021】
なお、本実施形態においては、ハウジング側にシール溝部、前面レンズ側にシール脚部が設けられているが、前面レンズ側にシール溝部、ハウジング側にシール脚部を設けてもよいし、前面レンズとハウジングとでシール効果を有する係止部が構成されるのであれば、両者の係止部の構造、係止手段等については特に限定されるものではない。
【0022】
ハウジング2と背面カバー3とは柔軟性を有する材料で形成されたカバーホルダ8で支持されている。
【0023】
灯室4内には灯具ユニット9が支持されており、該灯具ユニット9にはLED光源10が載設されたマウント部11を有する第一のヒートシンク部12と、リフレクタ13と、遮蔽体14と、レンズホルダ15と、投影レンズ16とが備えられている。
【0024】
また、灯室4外には第二のヒートシンク部17が配設されており、灯室4内に支持された灯具ユニット9の第一のヒートシンク部12と灯室4外に配設された第二のヒートシンク部17とが背面カバー3を挟んで固定ネジを介して一体に固定されている。
【0025】
上記構成の車両用LED灯具は、LED光源10を点灯すると、LED光源10から出射された光がリフレクタ13と、遮蔽体14と、レンズホルダ15と、投影レンズ16とで構成された光学系を介して前面レンズ1から車両用LED灯具の前方に照射される。
【0026】
それと共に、「背景技術」に記載したように、LED光源10は点灯時に自己発熱し、その自己発熱によってLED自体の温度が上昇することになり、LEDの発光効率の低下に起因して灯具の照射光量が低減することになる。
【0027】
そこで、本発明においては、LED光源の点灯時の温度上昇を抑制する手段が施されているので、図2に基づいて詳細に説明する。
【0028】
まず、LED光源10が点灯するとLED光源10で発生した熱は第一のヒートシンク部12から延びてLED光源10が載設されたマウント部11に移動する。第一のヒートシンク部12は熱の良導体である材料によって形成されており、LED光源10からマウマウント部11に移動した熱はマウント部11内部を伝導されて第一のヒートシンク部12に移動する。
【0029】
第一のヒートシンク部12は、互いに所定の間隔をおいて平行に配置された複数の放熱フィン19を備えており、第一のヒートシンク部12に移動した熱は各放熱フィン19内部を伝導されて第一のヒートシンク部12の端部に到達し、第一のヒートシンク部12の端部と背面カバー3の一方の面との接触界面20を介して背面カバー3に移動する。
【0030】
背面カバー3も熱の良導体である材料で形成されており、背面カバー3の一方の面から背面カバー3内に移った熱は背面カバー3内部を伝導されて背面カバー3の他方の面に到達し、背面カバー3の他方の面と第二のヒートシンク部17の端部との接触界面21を介して第二のヒートシンク部17に移動する。
【0031】
第二のヒートシンク部17も熱の良導体である材料で形成されていると共に、互いに所定の間隔をおいて平行に配置された複数の放熱フィン22を備えており、接触界面21を介して第二のヒートシンク部17内に移った熱は、各放熱フィン22の内部を伝導されて夫々の放熱フィン22の表面に到達する。
【0032】
夫々の放熱フィン22の表面に到達した熱は、該表面近傍の空気に熱伝達されて移動し、空気を媒体として大気中に放散される。
【0033】
以上、本発明の車両用LED灯具の構成において、LED光源10で発生して灯室4外に配設された第二のヒートシンク部17の放熱フィン22の全表面から大気中に放散されるまでの熱の流れについて説明してきたが、その他に、LED光源10で発生して第一のヒートシンク部12に移動した熱のうちの一部は、第一のヒートシンク部12の放熱フィン19の全表面から近傍の空気へ熱伝達されて灯室4内に放散される。
【0034】
ところで、車両に搭載した灯具は、一般的に前面レンズを介して車外の大気と境界面を形成しており、灯室4内と灯室4外とに温度差が生じると、熱平衡状態を維持するために熱は前面レンズ内を伝導されて高温側から低温側に向かって移動する。そこで上記の場合、 灯室4内は灯室4外の大気23に対して高温状態となっており、灯室4内の熱は前面レンズ1内を伝導されて灯室4外の前記前面レンズ1近傍の空気へ移動し、空気を介して大気23中に放散される。
【0035】
つまり、LED光源10で発生して第一のヒートシンク部12に移動し、第一のヒートシンク部12の放熱フィン19の全表面から近傍の空気へ熱伝達されて灯室4内に放散された熱が、前面レンズ1を介して車外の大気23中に放散されることになり、よって良好な放熱効果を発揮することになる。
【0036】
上述のように、本発明の車両用LED灯具は、LED光源10の点灯時に発生して第二のヒートシンク部17に移動した自己発熱及び灯室4内に放散された自己発熱を、夫々第二のヒートシンク部17の放熱フィン22の全表面及び前面レンズ1を介して灯室4外に放散させることによって、放熱効果を得るようにした。
【0037】
その結果、LED光源で発生して第二のヒートシンク部17の放熱フィン22から灯室4外に放散される熱エネルギーの量が制約されたとしても、灯室4内からハウジング1を介して灯室4外に放散される熱エネルギーが存在するために、灯具全体としての放熱効率を十分確保することが可能となり、LED光源10の温度上昇を抑制することによってLED光源10の発光効率の低下が低減されて所定の照射光量を確保することが可能となる。
【0038】
そこで、灯具全体としての放熱効率を確保しながら第二のヒートシンク部17の寸法を小さくすることができ、灯具の取付け空間に制約が加えられたとしても寸法の設計自由度を確保することが可能となる。
【0039】
なお、第一のヒートシンク部及び第二のヒートシンク部の夫々に形成された放熱フィンの形状、寸法は、配設可能なスペース、放熱効率などの諸々の条件を考慮して設定される。
【0040】
また、LED光源はLEDのベアチップ(LEDチップ)でもよいし、LEDチップを実装したLED装置でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の車両用LED灯具の断面図である。
【図2】同じく、本発明の車両用LED灯具の熱移動の過程を示す参考図である。
【図3】従来の車両用灯具の断面図である。
【符号の説明】
【0042】
1 前面レンズ
2 ハウジング
3 背面カバー
4 灯室
5 シール溝部
6 シール脚部
7 シール材
8 カバーホルダ
9 灯具ユニット
10 LED光源
11 マウント部
12 第一のヒートシンク部
13 リフレクタ
14 遮光体
15 レンズホルダ
16 投影レンズ
17 第二のヒートシンク部
18 固定ネジ
19 放熱フィン
20 接触界面
21 接触界面
22 放熱フィン
23 大気




 

 


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