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発明の名称 車両前照灯
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−214060(P2007−214060A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−34626(P2006−34626)
出願日 平成18年2月13日(2006.2.13)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 小西 定幸
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、すれ違いビーム時及び走行ビーム時にそれぞれ最適な配光パターンを形成することができるようにした車両前照灯を提供することを目的とする。

解決手段
光源11,反射面12,投影レンズ13,カットオフラインを画成する遮光部材14及び遮光部材14を光路に挿脱する駆動装置15を備えた車両前照灯10において、上記反射面のうち、挿入位置に在る遮光部材により反射光が遮断される領域に位置する一部(可動部分)12aが、移動装置16により所定位置から前後方向に移動可能に形成されていて、すれ違いビーム時に、上記移動装置16が、上記可動部分12aを所定位置から比較的短い距離だけ後方に移動するように、車両前照灯10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
光源と、
第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が光源からほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置され、光源に対して可動する可動部分と固定される固定部分とを有する凹状の楕円系の反射面と、
光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に配置された凸状の投影レンズと、
上記光源から投影レンズへの反射光を遮光するように配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材と、
上記遮光部材を上述した位置(挿入位置)に挿抜するための駆動装置と、を備える車両前照灯であり、
上記可動部分が、
上記固定部分とともに上記第二の焦点位置付近に反射光を照射する第一の照射位置と上記第二の焦点位置付近とは異なる位置に反射光を照射する第二の照射位置とを移動し、
上記遮光部材が、
上記可動部分が第一の照射位置にある場合には挿入位置から退避した位置にあり、上記可動部分が第二の照射位置にある場合には挿入位置にある、車両前照灯。
【請求項2】
上記可動部分が、
上記反射面のうち挿入位置にある遮光部材により遮光される領域に相当する、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項3】
上記可動部分の第二の照射位置が、
当該挿入位置より光源側となる、請求項1または請求項2に記載の車両前照灯。
【請求項4】
上記可動部分の移動距離が、
光源の発光部の光軸方向の長さに応じて設定される、請求項1から3に記載の車両前照灯。
【請求項5】
上記移動装置が、上記駆動装置と同じシステムに組み込まれていることを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項6】
上記反射面が、その可動部分が所定位置に在るとき、走行ビーム用の配光パターンを最適化するように形成されていることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項7】
上記反射面の可動部分が、反射面の下側の光軸に近い領域に配置されていることを特徴とする、請求項1から6の何れかに記載の車両前照灯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用されるプロジェクタタイプの車両前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような車両前照灯は、例えば図7に示すように、構成されている。 即ち、図7において、車両前照灯1は、光源としてのバルブ2と、反射面3と、投影レンズ4と、遮光部材5と、から構成されている。
【0003】
上記反射面3は、バルブ2を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸が前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
さらに、上記反射面3は、バルブ2の光軸Oから上側と下側で異なる曲率を備えており、上側がより拡散性の強い配光パターンを与えるように形成されている。
【0004】
上記投影レンズ4は、凸レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されており、バルブ2または反射面3から前方に向かって進む光を集光し、前方に向かって照射するようになっている。
【0005】
上記遮光部材5は、前方に向かって照射される光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、図7(A)に示すように、上記反射面3の第二の焦点位置付近の挿入位置に配置されていると共に、上記配光パターンにカットオフラインを形成するために、その上縁5aが所定形状に形成されている。
【0006】
さらに、上記遮光部材5は、ソレノイド等から成る駆動装置6により、上述した挿入位置から、図7(B)に示された退避位置まで矢印A方向に移動され得るようになっている。
【0007】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2が、外部から給電されることにより、発光する。これにより、バルブ2から出射した光は、直接に、または上記反射面3で反射されて、この反射面3の第二焦点付近に向かって前方に進み、投影レンズ4により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0008】
その際、反射面3が光軸Oの上側と下側で異なる曲率を有しているので、反射面3の上側で反射された光による配光パターンは、図8(A)に示すように、やや左右に広がるように形成される。これに対して、反射面3の下側で反射された光による配光パターンは、図8(B)に示すように、中央付近への集光性が高められている。
【0009】
ここで、図7(A)に示すように、上記遮光部材5が挿入位置にあるときには、前方に向かって照射される光は、その一部が遮光部材5により遮断されると共に、この遮光部材5の上縁5aによりカットオフラインを形成されて、前方に向かって照射されることになる。
従って、全体として、図8(C)に示すように、配光パターンに関して、中心から右側では水平線よりやや下方にて水平に、そして中心から左側に向かって斜め上方に延び、さらに左方にて水平線よりやや上側に位置するカットオフラインCが形成され、このカットオフラインCの下側のみに対して、すれ違いビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0010】
これに対して、図7(B)に示すように、上記遮光部材5が駆動装置6により退避位置に移動されると、上記遮光部材5がバルブ2または反射面3から投影レンズ4への光路中から退避される。これにより、バルブ2または反射面3から投影レンズ4に入射する光は、遮光部材5により遮断されることなく、前方に向かって照射されることになる。
従って、全体として、図7(D)に示すように、前述した反射面3の上側からの光(図7(A)参照)及び下側からの光(図7(B)参照)による配光パターンが、そのまま重なり合うことになり、走行ビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0011】
ところで、上述した車両前照灯1においては、すれ違いビーム用の配光パターンと走行ビーム用の配光パターンの切換えは、遮光部材5の挿脱のみにより行なわれている。
従って、反射面3の上側及び下側でそれぞれ反射された光による配光パターンは、すれ違いビームの場合も走行ビームの場合も、それぞれ図7(A)及び図7(B)で示された同じ配光パターンである。
このため、反射面3の上側及び下側の形状を、一方のビーム、即ちすれ違いビームまたは走行ビームの配光パターンに対して最適化しようとすると、他方のビーム、即ち走行ビームまたはすれ違いビームの配光パターンを最適化することができなかった。
【0012】
これに対して、特許文献1には、可動シェード(遮光部材)と連動して、すれ違いビーム時に、反射面の下方領域からの反射光を遮断すると共に、走行ビーム時には、この反射光の光路から退避するようにした補助シェードを設けた車両用前照灯が開示されている。
【0013】
また、特許文献2には、反射面の上側の一部に開口部を設けて、この開口部の裏側に、互いに異なる曲率の追加の楕円系反射面を切換えて配置するようにしたヘッドライトが開示されている。
この場合、上記追加の楕円系反射面は、遮光部材と連動して、あるいは遮光部材と連動せずに独立して切換えられる。これにより、運転状況に応じて、追加の楕円系反射面を切換えて、光源から反射面の開口部に入射する光を、正面中心付近に集光させて、例えば高速道路走行時の遠方視認性を確保したり、あるいは市街地走行時に適した比較的広い範囲に拡散させて、前方に向かって照射するようになっている。
【0014】
さらに、特許文献3には、反射面の一部を可動式にすると共に、この可動部分の後方に、光軸付近に高い集光性を有する追加リフレクタを配置した車両用前照灯が開示されている。
この場合、上記可動部分が挿入位置にある場合、この可動部分が反射面の固定部分と一体的に光源からの光を前方に向かって反射させ、投影レンズを介して前方に向かって照射する。
これに対して、上記可動部分が退避位置にある場合、追加リフレクタが反射面の固定部分と一体的に光源からの光を前方に向かって反射させ、投影レンズを介して前方に向かって照射する。
従って、上記可動部分が挿入位置及び退避位置にあるとき、それぞれ互いに異なる配光パターンが得られるようになっている。
【特許文献1】特開2005−093342号
【特許文献2】特開2005−197164号
【特許文献3】特開2005−235731号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、特許文献1による車両用前照灯においては、可動シェードと連動して光路に対して挿脱される補助シェードを備えているが、走行ビーム時とすれ違いビーム時における配光パターンの違いは、可動シェード及び補助シェードに挿脱によるものだけであり、前述した遮光部材の挿脱によるビーム切換えと同様に、すれ違いビームまたは走行ビームの配光パターンに対して最適化しようとすると、他方のビーム、即ち走行ビームまたはすれ違いビームの配光パターンを最適化することができなかった。
【0016】
また、特許文献2によるヘッドライトにおいては、反射面に設けた開口部の裏側に、二種類の互いに異なる曲率の追加の反射面が切換え可能に配置されている。従って、これらの追加の反射面を切換えるためには、各追加の反射面を大きく移動させる必要があり、移動のためのスペースが必要になると共に、駆動機構が複雑で大型になる。このため、灯具全体が大型化してしまう。
【0017】
これに対して、特許文献3による車両用前照灯においては、反射面の一部を可動式にすると共に、可動部分の後方に追加リフレクタが配置されている。従って、可動部分を退避させて、追加リフレクタを利用するためには、上記可動部分を大きく移動させて、追加リフレクタの領域から退避させる必要がある。このため、上記可動部分の移動のためのスペースが必要になると共に、駆動機構が複雑で大型になり、灯具全体が大型化してしまう。
【0018】
さらに、特許文献2によるヘッドライトまたは特許文献3による車両用前照灯においては、何れも走行ビーム及びすれ違いビームの切換えとは別に、配光パターンを切換えるようになっている。従って、走行ビーム時及びすれ違いビーム時における配光パターンの最適化を行なうものではなく、本発明とは目的が異なる。
【0019】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、すれ違いビーム時及び走行ビーム時にそれぞれ最適な配光パターンを形成することができるようにした車両前照灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記目的は、本発明によれば、光源と、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が光源からほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置され、光源に対して可動する可動部分と固定される固定部分とを有する凹状の楕円系の反射面と、光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に配置された凸状の投影レンズと、上記光源から投影レンズへの反射光を遮光するように配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材と、上記遮光部材を上述した位置(挿入位置)に挿抜するための駆動装置と、を備える車両前照灯であり、上記可動部分が、上記固定部分とともに上記第二の焦点位置付近に反射光を照射する第一の照射位置と上記第二の焦点位置付近とは異なる位置に反射光を照射する第二の照射位置とを移動し、上記遮光部材が、上記可動部分が第一の照射位置にある場合には挿入位置から退避した位置にあり、上記可動部分が第二の照射位置にある場合には挿入位置にある、車両前照灯により、達成される。
【0021】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記可動部分が、上記反射面のうち挿入位置にある遮光部材により遮光される領域に相当する。
【0022】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記可動部分の第二の照射位置が、当該挿入位置より光源側となる。
【0023】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記可動部分の移動距離が、光源の発光部の光軸方向の長さに応じて設定される。
【0024】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記移動装置が、上記駆動装置と同じシステムに組み込まれている。
【0025】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記反射面が、その可動部分が挿入位置に在るとき、走行ビーム用の配光パターンを最適化するように形成されている。
【0026】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記反射面の可動部分が、反射面の下側の光軸に近い領域に配置されている。
【発明の効果】
【0027】
上記構成によれば、光源から出射した光が、直接にまたは反射面で反射されて、その第二の焦点位置に向かって集束され、さらに投影レンズを介して前方に向かって照射される。
【0028】
その際、走行ビーム時には、上記遮光部材が駆動装置により光路から退避されると共に、反射面の可動部分が移動装置により第一の照射位置に移動する。
これにより、反射面は、可動部分を含む全体が一体となって、光源からの光を第二の焦点に向かって集束させることになる。
従って、反射面で反射された光は、遮光部材により遮断されることなく、すべて投影レンズに入射し、投影レンズを介して前方に向かって照射されることになる。
その際、上記反射面は、可動部分が所定位置に在るときに、走行ビーム用に最適化された配光パターンを形成するようになっていると共に、最大光度を与える光が遮光部材により遮断されないので、例えば中心における十分な最大光度が得られ、遠方視認性が向上することになる。
【0029】
これに対して、すれ違いビーム時には、遮光部材が駆動装置により光路中の所定位置に挿入されると共に、反射面の可動部分が移動装置により第一の照射位置から僅かに後方の第二の照射位置に移動する。
これにより、上記反射面の可動部分が第二の照射位置に移動することによって、この可動部分で反射された光は、反射面の第二の焦点に向かって集束せず、やや拡散して投影レンズに向かうことになる。
従って、反射面で反射された光は、大部分がその第二の焦点位置に向かって集束し、遮光部材により一部が遮断されて、投影レンズを介して前方に向かって照射される。
その際、反射面の可動部分で反射された光がやや拡散されて前方に向かって照射されるので、路肩,縁石や歩行者等に関する広い角度範囲の視認性が向上することになる。
【0030】
上記可動部分の移動距離が、光源の発光部の光軸方向長さの半分程度、好ましくは数mm程度である場合には、反射面の可動部分の移動距離が比較的短いので、移動装置が小型に構成されると共に、反射面の可動部分の移動のためのスペースが少なくて済む。従って、車両前照灯全体がより一層小型に構成され得ることになる。
【0031】
上記移動装置が、上記駆動装置と同じシステムに組み込まれている場合には、移動装置の駆動源を上記駆動装置の駆動源と共通化することにより、移動装置そして車両前照灯がより一層小型に構成され得ることになる。
【0032】
上記反射面が、その可動部分が第一の照射位置に在るとき、走行ビーム用の配光パターンを最適化するように形成されている場合には、走行ビーム時に、反射面により反射された光が、走行ビームに最適化された配光パターンを形成する。従って、十分な最大光度を備えることにより、遠方視認性が確実に確保され得ることになると共に、すれ違いビーム時には、この可動部分が後方の第二の照射位置に移動することにより、可動部分で反射された光がやや拡散して投影レンズを介して前方に向かって照射されるので、すれ違いビームに最適な広い角度範囲に広がる配光パターンが得られる。
【0033】
上記反射面の可動部分が、反射面の下側の光軸に近い領域に配置されている場合には、すれ違いビーム時に、可動部分が後方に移動することにより、走行ビーム時に最大光度を与える光が、すれ違いビーム時に可動部分により拡散され、投影レンズを介して前方に向かって照射されるので、広い角度範囲に亘ってより明るい配光パターンが得られることになる。
【0034】
このようにして、本発明によれば、反射面の一部、即ちすれ違いビーム時に遮光部材により反射光が遮断されるような領域に位置する部分を前後方向に移動可能として、すれ違いビーム時にこの可動部分が後方に比較的短い距離だけ移動されると共に、可動部分が所定位置に在る状態にて反射面全体が走行ビーム用の配光パターンを最適化するように形成されている。
従って、走行ビーム時には、可動部分が所定位置に位置することによって、反射面全体により走行ビーム用に最適化された配光パターンが得られ、中心付近の最大光度が向上することにより、遠方視認性が向上する。
【0035】
また、すれ違いビーム時には、上記可動部分が後方に僅かに移動することによって、上記可動部分で反射された光が、反射面の第二の焦点に集束されず、やや拡散して投影レンズを介して前方に向かって照射されるので、広い範囲に亘って光が照射され、すれ違いビーム用に最適化された配光パターンが得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図6を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0037】
図1は、本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させる反射面12と、上記反射面12の前方に配置された投影レンズ13と、上記反射面12と投影レンズ13との間に配置された遮光部材14と、上記遮光部材14を揺動させる駆動装置15と、上記反射面12の後述する一部(可動部分)12aを移動させる移動装置16と、から構成されている。
【0038】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブが使用される。上記バルブ11
は、その光軸Oが前方に向かってほぼ水平に配置され、ソケットにより固定保持されると共に、給電されるようになっている。
ここで、上記バルブ11は、その発光部が光軸Oに沿って延びるように配置されることになる。
【0039】
上記反射面12は、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光部付近に位置する。また、上記反射面12はその第二の焦点位置F2が前側にてバルブ11から前方に延びる光軸O上に位置するように、楕円系の反射面として構成されている。 ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0040】
上記反射面12は、バルブ11の光軸Oから上側と下側で異なる曲率を備えており、上側がより拡散性の強い配光パターンを与えるように形成されている。
【0041】
さらに、上記反射面12は、後述するように挿入位置に在る遮光部材14によりその反射光が遮断されるような領域の一部、具体的には、その下側の光軸Oに近い部分が、他の部分から切り離されて、可動部分12aとして前後方向に移動可能に形成されている。
これにより、上記反射面12の可動部分12aは、走行ビーム時には、反射面12の他の部分と一体化され所定位置(第一の位置)にあり、一つの反射面を形成するようになっている。また、上記可動部分12aは、すれ違いビーム時には、後方に移動して、図2に示す退避位置(第二の位置)に持ち来たされるようになっている。
上記反射面12は、その可動部分12aが上記所定位置にあるとき、全体として走行ビーム用に最適化された配光パターンを与えるように、形成されている。
【0042】
上記投影レンズ13は、凸状のレンズ、好ましくは非球面レンズから構成されている。上記投影レンズ13は、上記光軸O上にて、その光源側の焦点が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
【0043】
上記遮光部材14は、前方に向かって照射される光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、不透光性材料から形成されている。
上記遮光部材14は、図1に示すように、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近の挿入位置に配置されている。また、上記遮光部材14は、その上縁14aが、上記配光パターンにカットオフラインを形成するために、所定形状に形成されている。
【0044】
さらに、上記遮光部材14は、図1に示した挿入位置から、図2に示すように前方に向かって下側に揺動した退避位置まで、駆動装置15により、矢印A方向に移動し得るように構成されている。
ここで、上記駆動装置15は、例えばソレノイド等から構成されている。
【0045】
上記移動装置16は、同様に、例えばソレノイド等から構成されている。
尚、上記移動装置16は、反射面12の可動部分12aを光軸Oに沿って前後方向に移動することができればよく、前述した駆動装置15の駆動源を利用して、反射面12の可動部分12aを移動するようにしてもよい。
これにより、上記移動装置16は、すれ違いビーム時には、上記反射面12の可動部分12aを照射方向からみて後方に比較的短い距離、例えばバルブ11の発光部11aの光軸方向の長さの半分程度(数mm)移動する。この移動装置16による上記反射面12の可動部分12aの移動量は、発光部11aの長さに応じて定めればよく、例えば一般的な車両用灯具に用いられる光源ではおよそ2.0から3.0mmである。
また、上記移動装置16は、走行ビーム時には、図2に示すように、上記反射面12の可動部分12aを前方の所定位置に移動する。これにより、この可動部分12aは反射面12の他の部分と一体の反射面を形成する。
【0046】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11がソケットから給電されて発光することにより、バルブ11の発光部から光が出射される。
バルブ11から出射した光は、直接に、または上記反射面12で反射されて、この反射面12の第二焦点F2付近に向かって前方に進み、投影レンズ13により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0047】
ここで、すれ違いビーム時には、図1に示すように、上記遮光部材14が挿入位置に在り、上記反射面12の可動部分12aが退避位置に移動している。
これにより、前方に向かって照射される光は、その一部が上記遮光部材14により遮断される。この前方に向かって照射される光は、その上縁14aによりカットオフラインを形成されて、前方に向かって照射されることになる。
【0048】
その際、反射面12が光軸Oの上側と下側で異なる曲率を有しているので、反射面12の上側で反射された光L1による配光パターンは、図3(A)に示すように、やや左右に広がるように形成される。
【0049】
これに対して、反射面12の下側で反射された光L2による配光パターンは、図3(B)に示すように、中央付近への集光性がやや高められている。
即ち、上記バルブ11の最大光度を与える部分の光は、上記反射面12の可動部分12aにより反射され、その第二の焦点F2からずれて集束する。従って、この光は、やや拡散した光として、投影レンズ13に入射し、前方に向かって照射される。
【0050】
従って、全体として、図3(C)に示すように、上記光L1及びL2による配光パターンに関して、中心から右側(対向車線側)では水平線よりやや下方にて水平に、そして中心から左側(自車線側)に向かって斜め上方に延びる。さらに図3(C)では、左方にて水平線よりやや上側に位置するカットオフラインCが形成され、このカットオフラインCの下側のみに対して、すれ違いビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0051】
この場合、最大光度となる光が、従来のように遮光部材により遮断されずに、反射面12の後方に移動した可動部分12aにより反射されることで、やや拡散されて投影レンズ13を介して前方に向かって照射される。このため、配光パターンは、全体の照度が高められると共に、中心付近の集光性がやや緩和される。これにより、車両前照灯10は配光パターンにおける最大光度がすれ違いビームの配光規格を満たすように低減される。
従って、車両前照灯10によれば、路肩,縁石や歩行者等の視認性が良好なすれ違いビーム用に最適化された配光パターンが形成されることになる。
【0052】
これに対して、走行ビーム時には、上記遮光部材14が駆動装置15により退避位置に揺動されると共に、上記反射面12の可動部分12aが移動装置16により所定位置に移動する。
これにより、前方に向かって照射される光は、上記遮光部材14により遮断されることなく、すべて投影レンズ13を介して、前方に向かって照射されることになる。
【0053】
その際、反射面12が光軸Oの上側と下側で異なる曲率を有しているので、反射面12の上側で反射された光L3による配光パターンは、図4(A)に示すように、やや左右に広がるように形成される。
この配光パターンは、すれ違いビーム時における反射面の上側で反射された光L1による配光パターンと同じである。
【0054】
これに対して、反射面12の下側で反射された光L4による配光パターンは、図4(B)に示すように、中央付近への集光性が高められている。
即ち、上記バルブ11の最大光度を与える部分の光は、上記反射面12の可動部分12aにより反射され、その第二の焦点F2に向かって集束する。従って、この光は、中心付近に集光する光として、投影レンズ13に入射し、前方に向かって照射される。
この配光パターンは、すれ違いビーム時における反射面の上側で反射された光L2による配光パターンと比較して、中心付近の集光性がより一層高められることになる。
【0055】
従って、全体として、図4(C)に示すように、上記光L3及びL4による配光パターンに関して、前述した反射面12の上側からの光L3(図4(A)参照)及び下側からの光L4(図4(B)参照)による配光パターンが、そのまま重なり合うことで、走行ビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。 この場合、反射面12の可動部分12aを含む全体が、走行ビーム用に最適化された配光パターンを与えるように形成されている。このため、中心付近の集光性の高い走行ビーム用に最適化された、即ち遠方視認性に優れた配光パターンが形成される。
この場合、最大光度となる光が、反射面12と一体となった可動部分12aにより反射され、集束して投影レンズ13を介して前方に向かって照射される。このため、最大光度となる光が中心付近に集光されるので、遠方視認性の良好な走行ビーム用に最適な配光パターンが得られることになる。
【0056】
このようにして、車両前照灯10は、走行ビーム時には、可動部分12aが所定位置に在って、全体として走行ビーム用に最適化された配光パターンが形成されると共に、すれ違いビーム時には、可動部分12aが後方の退避位置に移動されて、可動部分12aで反射された光がやや拡散されて投影レンズ13を介して前方に向かって照射される。
従って、走行ビーム時にもすれ違いビーム時にも、それぞれ最適な配光パターンが得られると共に、走行ビーム及びすれ違いビーム時の配光パターンの切換えが、反射面12の可動部分12aが光軸方向に関して僅かに移動するだけで行なわれ得る。これにより、移動装置16が小型に構成され得ると共に、可動部分12aの移動のために必要なスペースも少なくて済む。このため、車両前照灯10の全体が小型に構成され得ることになる。
【0057】
図5は、上述した反射面12の可動部分12aによる具体的な配光パターンの設計例を示している。
上記可動部分12aは、すれ違いビーム時、即ち退避位置にあるとき、図5(A)に示すように、左右及び下方に関してやや拡散した配光パターンを形成する。これにより、中心付近の集光性が緩和されると共に、左右の路肩,縁石や歩行者等の視認性が向上することに照る。
これに対して、上記可動部分12aは、走行ビーム時、即ち所定位置にあるとき、図5(B)に示すように、中心付近に関して集束した配光パターンを形成する。これにより、中心付近の集光性が高められるので、遠方視認性が向上することになる。
【0058】
さらに、図6は、図5に示した配光パターンを有する可動部分12aを備えた車両前照灯10による配光パターンのシミュレーション結果を示している。
図6(A)は、車両前照灯10によるすれ違いビーム時の配光パターン(L1+L2)を示している。この配光パターンによれば、左右に関して広い範囲に亘る照射範囲が確保されており、路肩,縁石や歩行者等の視認性が向上することが分かる。
この場合、中心光度は、37000cd程度である。
【0059】
図6(B)は、車両前照灯10による走行ビーム時の配光パターン(L3+L4)を示している。この配光パターンによれば、中心付近の最大光度が高められており、遠方視認性が向上することが分かる。
この場合、中心光度は、88000cd程度となる。
【0060】
尚、図6(C),(D)は、それぞれ可動部分12aのない従来構成の車両前照灯によるすれ違いビーム時及び走行ビーム時の配光パターンを示している。
図6(C)は、すれ違いビーム時の配光パターンであって、図6(A)に示した本発明実施形態による車両前照灯のすれ違いビーム時の配光パターンと比較して、左右の広がりが十分ではない。
この場合、中心光度は、41000cd程度である。
これに対して、図6(D)は、走行ビームビーム時の配光パターンであって、図6(B)に示した本発明実施形態による車両前照灯の走行ビーム時の配光パターンと比較して、中心付近の最大光度がやや低く、52000cd程度である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
上述した実施形態においては、上記反射面12の可動部分12aは、駆動装置15と別体の移動装置16により、所定位置から退避位置まで前後方向に移動するようになっているが、これに限らず、移動装置16は、駆動装置15の駆動源を利用して、上記可動部分12aを移動するようにしてもよい。
【0062】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、すれ違いビーム時及び走行ビーム時にそれぞれ最適な配光パターンを形成することができるようにした、極めて優れた車両前照灯が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による車両前照灯の一実施形態のすれ違いビーム時の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両前照灯における走行ビーム時の構成を示す概略断面図である。
【図3】図1の車両前照灯によるすれ違いビーム時の(A)反射面上側で反射された光の配光パターン,(B)反射面下側で反射された光の配光パターン及び(C)全体の配光パターンを示すグラフである。
【図4】図1の車両前照灯による走行ビーム時の(A)反射面上側で反射された光の配光パターン,(B)反射面下側で反射された光の配光パターン及び(C)全体の配光パターンを示すグラフである。
【図5】図1の車両前照灯における可動部分の設計例による(A)すれ違いビーム時及び(B)走行ビーム時の配光パターンを示すグラフである。
【図6】(A)図1の車両前照灯によるすれ違いビーム時及び(B)走行ビーム時、そして(C)従来の車両前照灯によるすれ違いビーム時及び(D)走行ビーム時の配光パターンのシミュレーション結果を示すグラフである。
【図7】従来の車両前照灯の一例の構成を示す(A)すれ違いビーム時及び(B)走行ビーム時の概略断面図である。。
【図8】図7の車両前照灯による(A)反射面上側で反射された光の配光パターン,(B)反射面下側で反射された光の配光パターン、そして(C)すれ違いビーム時の全体の配光パターン及び(D)走行ビーム時の全体の配光パターンをそれぞれ示すグラフである。
【符号の説明】
【0064】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
12 反射面
12a 可動部分
13 投影レンズ
14 遮光部材
14a 上縁
15 駆動装置
16 移動装置




 

 


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