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発明の名称 車両前照灯及びその遮光シャッタ駆動装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−213938(P2007−213938A)
公開日 平成19年8月23日(2007.8.23)
出願番号 特願2006−31736(P2006−31736)
出願日 平成18年2月8日(2006.2.8)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 山本 勉
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、設計の自由度を大きく保持しつつ、遮光シャッタを容易に位置変更し得る車両前照灯及び遮光シャッタの駆動装置を提供することを目的とする。

解決手段
プロジェクタタイプの車両前照灯における板状の遮光シャッタ14の上縁を含む一部(可動部分)14bを水平軸の周りに揺動させる遮光シャッタ駆動装置であって、垂直軸の周りに回動可能に支持されたクランク軸22と、このクランク軸の一端から垂直に延びた第一のアーム24の先端に係合する駆動軸を有する直動式アクチュエータ21と、を含み、上記クランク軸の第二のアーム25の先端が、上記遮光シャッタの可動部分の水平軸から上下にずれた位置に係合するように、遮光シャッタ駆動装置20を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
プロジェクタタイプの車両前照灯における投影レンズの光源側焦点位置付近に上縁が配置される板状の遮光シャッタの少なくとも上縁を含む一部(可動部分)を水平軸の周りに揺動させる、遮光シャッタ駆動装置であって、
垂直軸の周りに回動可能に支持されたクランク軸と、このクランク軸の一端から垂直に延びた第一のアームの先端に係合する駆動軸を有する直動式アクチュエータと、を含んでおり、
上記駆動装置のクランク軸の第二のアームの先端が、上記遮光シャッタの可動部分の水平軸から上下にずれた位置に係合している
ことを特徴とする、遮光シャッタ駆動装置。
【請求項2】
上記直動式アクチュエータの駆動軸が、投影レンズの光軸に平行に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の遮光シャッタ駆動装置。
【請求項3】
上記直動式アクチュエータの駆動軸が、投影レンズの光軸に対して垂直に配置されていることを特徴とする、請求項1に記載の遮光シャッタ駆動装置。
【請求項4】
上記直動式アクチュエータが、ソレノイドであることを特徴とする、請求項1〜3の何れかに記載の遮光シャッタ駆動装置。
【請求項5】
上記クランク軸の各アームの長さが、それぞれ駆動軸の移動距離及び遮光シャッタの移動距離に合わせて選定されていることを特徴とする、請求項1〜4の何れかに記載の遮光シャッタ駆動装置。
【請求項6】
光源と、
光源からの光を前方に向かって反射させるように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、
上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、
上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された板状の遮光シャッタと、
を備えており、
上記遮光シャッタの少なくとも上縁を含む一部(可動部分)が、光軸に対して横向きに延びる水平軸の周りに揺動可能に支持されていて、
上記遮光シャッタの可動部分を、前側または後側に揺動させる駆動装置を備えている、
車両前照灯であって、
上記駆動装置が、請求項1〜5の何れかに記載の遮光シャッタ駆動装置であることを特徴とする、車両前照灯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用されるプロジェクタタイプの車両前照灯及びこれに使用される遮光シャッタの駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような車両前照灯は、例えば図5に示すように、構成されている。 即ち、図5において、車両前照灯1は、光源としてのバルブ2と、反射面3と、投影レンズ4と、遮光シャッタ5と、から構成されている。
【0003】
上記反射面3は、バルブ2を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸が前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0004】
上記投影レンズ4は、凸レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されている。
これにより、上記投影レンズ4は、バルブ2または反射面3から前方に向かって進む光を集光し、前方に向かって照射するようになっている。
【0005】
上記遮光シャッタ5は、前方に向かって照射される光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されていると共に、上記配光パターンにカットオフラインを形成するために、その上縁5aが所定形状に形成されている。
【0006】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2が給電され、発光することにより、バルブ2から出射した光は、直接に、または上記反射面3で反射されて、この反射面3の第二焦点付近に向かって前方に進み、投影レンズ4により集束されながら、前方に向かって照射される。
その際、前方に向かって照射される光は、その一部が遮光シャッタ5により遮断されると共に、この遮光シャッタ5の上縁5aによりカットオフラインを形成されて、すれ違いビームとして前方に向かって照射されることになる。
【0007】
これにより、上記カットオフラインが投影レンズ5により投影されることになるので、配光パターンに関して、例えば中心から右側で水平線よりやや下方にて水平に、そして中心から左側にてほぼ水平線に沿って水平に延びるカットオフラインが形成され、このカットオフラインの下側のみに対して、すれ違いビームに適した光が照射されるようになっている。
【0008】
このようにして、このような車両前照灯1においては、すれ違いビームの際には、上記遮光シャッタ5によりカットオフラインが形成されることにより、すれ違いビーム用の配光パターンが形成される。
【0009】
さらに、上記遮光シャッタ5は、例えば特許文献1によれば、電磁アクチュエータにより全体が回転駆動される。これにより、上記遮光シャッタ5は、バルブ2そして反射面3から投影レンズ4への光路から退避され、走行ビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0010】
ところで、上述した車両前照灯1においては、そのカットオフラインによるすれ違いビーム用の配光パターンは常に一定である。
これに対して、特許文献2には、すれ違いビーム使用時に、車両周囲の状況に応じて、すれ違いビームによる視認性をできるだけ向上させるために、車両周囲の状態を検出して、遮光シャッタの上下方向の位置を変更すると共に、霧等の所謂光幕現象の発生しやすい場合に、上記遮光シャッタの上下方向移動の上死点位置を変更するようにした車両前照灯が開示されている。
【特許文献1】特開2001−143505号
【特許文献2】特許第2861737号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1による車両前照灯においては、遮光シャッタ5全体が、回転式の電磁アクチュエータにより移動するようになっている。
このため、上記遮光シャッタ5は電磁アクチュエータの回転軸の回転角度に応じてその位置が変化することから、停止位置を規制するためのストッパが必要である。
従って、部品点数が多く、複雑な構成となり、組立作業が煩雑になってしまう。
【0012】
また、遮光シャッタ5は、電磁アクチュエータに近接して配置されているため、遮光シャッタ5と反射面3との間に、遮光シャッタ5の近傍に電磁アクチュエータを横向きに配置するためのスペース、そして遮光シャッタ5全体が揺動するためのスペースが必要になる。
これにより、車両前照灯の設計の自由度が小さくなってしまう。
【0013】
さらに、特許文献2による車両前照灯においては、断面がカム形状を有するほぼ円柱状のシェード(遮光シャッタ)の上縁によりカットオフラインを形成すると共に、このシェードをモータにより回転駆動させることにより、上記シェードの上縁の高さ位置をその断面カム形状に基づいて変更することにより、カットオフラインを上下方向に移動させるようにしている。
従って、この場合も同様にして、カットオフライン即ちシェード上縁の高さ位置は、上記シェードの回転角度に基づいて決まることになるが、上記シェードの上縁が前後方向に関して曲率を有していることから、シャープなカットオフラインを形成することができなくなってしまう。
また、この場合も同様にして、ほぼ円筒状のシェードを回転駆動させるためのモータのためのスペースが必要となり、車両前照灯の設計の自由度が小さくなってしまう。
【0014】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、車両前照灯の設計の自由度を大きく保持したままで、プロジェクタタイプの車両前照灯における遮光シャッタを容易に位置変更することができるようにした、車両前照灯及び遮光シャッタの駆動装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、本発明の第一の構成によれば、プロジェクタタイプの車両前照灯における投影レンズの光源側焦点位置付近に上縁が配置される板状の遮光シャッタの少なくとも上縁を含む一部(可動部分)を水平軸の周りに揺動させる、遮光シャッタ駆動装置であって、垂直軸の周りに回動可能に支持されたクランク軸と、このクランク軸の一端から垂直に延びた第一のアームの先端に係合する駆動軸を有する直動式アクチュエータと、を含んでおり、上記駆動装置のクランク軸の第二のアームの先端が、上記遮光シャッタの可動部分の水平軸から上下にずれた位置に係合していることを特徴とする、遮光シャッタ駆動装置により、達成される。
【0016】
本発明による遮光シャッタ駆動装置は、好ましくは、上記直動式アクチュエータの駆動軸が、投影レンズの光軸に平行に配置されている。
【0017】
本発明による遮光シャッタ駆動装置は、好ましくは、上記直動式アクチュエータの駆動軸が、投影レンズの光軸に対して垂直に配置されている。
【0018】
本発明による遮光シャッタ駆動装置は、好ましくは、上記直動式アクチュエータが、ソレノイドである。
【0019】
本発明による遮光シャッタ駆動装置は、好ましくは、上記クランク軸の各アームの長さが、それぞれ駆動軸の移動距離及び遮光シャッタの移動距離に合わせて選定されている。
【0020】
また、上記目的は、本発明の第二の構成によれば、光源と、光源からの光を前方に向かって反射させるように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された板状の遮光シャッタと、を備えており、上記遮光シャッタの少なくとも上縁を含む一部(可動部分)が、光軸に対して横向きに延びる水平軸の周りに揺動可能に支持されていて、上記遮光シャッタの可動部分を、前側または後側に揺動させる駆動装置を備えている、車両前照灯であって、上記駆動装置が、上述した遮光シャッタ駆動装置であることを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
【発明の効果】
【0021】
上記構成によれば、車両前照灯の光源から出射した光が、直接にまたは反射面で反射されて、その第二の焦点位置に向かって集束し、さらに投影レンズを介して前方に向かって照射される。
【0022】
その際、遮光シャッタの可動部分が遮光シャッタ駆動装置により光路中に挿入される。これにより、遮光シャッタの上縁が投影レンズの光源側の焦点位置付近に持ち来たされる。
従って、光源または反射面から前方に向かって照射される照射光の一部が遮光シャッタにより遮断されると共に、遮光シャッタの上縁が前方に向かって投影される。これにより、配光パターンにおけるカットオフラインが形成される。
このようにして、対向車や歩行者に対して眩惑を与えないようなすれ違いビームのために最適な配光パターンが得られることになる。
【0023】
このとき、遮光シャッタの可動部分が光源または反射面から投影レンズへの光路中に挿入されたときには、遮光シャッタ全体が板状に即ち光軸方向に関して比較的薄く形成されているので、シャープなカットオフラインが形成されることになる。
【0024】
これに対して、上記遮光シャッタの可動部分が遮光シャッタ駆動装置により光路から退避されると、前方に向かって照射される照射光が遮光シャッタにより遮断されず、すべて前方に向かって照射される。
これにより、配光パターンには遮光シャッタの上縁によるカットオフラインが形成されず、走行ビームのために最適な配光パターンが得られることになる。
【0025】
さらに、上記遮光シャッタの可動部分が遮光シャッタ駆動装置により光路から退避されて、遮光シャッタの可動部分を除く部分(固定部分)が、投影レンズへの光路を部分的に遮断する。この場合には、この遮光シャッタの固定部分の上縁により形成されるカットオフラインが、可動部分の上縁によるカットオフラインと比較して上方に僅かに移動することになる。
これにより、より高い角度方向にも光が照射されることになる。従って、遠方視認性が向上することにより、例えば高速道路走行時に適した配光パターンが得られることになる。
【0026】
この場合、上記遮光シャッタの可動部分を上下方向に移動させるための遮光シャッタ駆動装置が、直動式アクチュエータとクランク軸とから構成されている。そのため、直動式アクチュエータが投影レンズの光軸に平行に配置されていても、また光軸に垂直に即ち横向きに配置されていても、クランク軸の二つのアームの延びる方向を適宜に選定することによって、遮光シャッタの可動部分を前後方向に揺動させることができる。
また、直動式アクチュエータ駆動軸の移動がクランク軸を介して遮光シャッタの可動部分に伝達されるので、直動式アクチュエータを遮光シャッタから比較的離れた位置に配置することが可能になる。
従って、直動式アクチュエータの配置の自由度、そして車両前照灯の設計の自由度が大きくなり、任意の車両前照灯のデザインが可能になる。
【0027】
上記直動式アクチュエータの駆動軸が、投影レンズの光軸に平行に配置されている場合には、上記直動式アクチュエータは、横幅が小さくなるので、車両前照灯が横方向に関して小型に構成され得る。
【0028】
上記直動式アクチュエータの駆動軸が、投影レンズの光軸に対して垂直に配置されている場合には、上記直動式アクチュエータは、光軸方向の長さが短くなるので、車両前照灯が光軸方向に関して小型に構成され得る。
【0029】
上記直動式アクチュエータがソレノイドである場合には、遮光シャッタ駆動装置が比較的容易に且つ低コストで構成され得ることになる。
【0030】
上記クランク軸の各アームの長さが、それぞれ駆動軸の移動距離及び遮光シャッタの可動部分の移動距離に合わせて選定されている場合には、遮光シャッタの可動部分の揺動のために必要な移動距離に対して、直動式アクチュエータの駆動軸の移動距離を合わせて選定する必要がない。また、この場合、任意の移動距離の駆動軸を備えた直動式アクチュエータを使用して、クランク軸の各アームの長さを適宜に選定することにより、遮光シャッタの可動部分を所望の移動距離だけ駆動することが可能である。
従って、入手しやすい、あるいは低価格の直動式アクチュエータを使用して、容易に且つ低コストで遮光シャッタ駆動装置を構成することができる。
【0031】
このようにして、本発明によれば、遮光シャッタの可動部分を移動させるための駆動装置の駆動源として、直動式アクチュエータを使用すると共に、伝達機構としてクランク軸を使用することによって、容易に且つ低コストで遮光シャッタの可動部分の所望の移動を実現することが可能である。
その際、直動式アクチュエータの駆動軸の移動がクランク軸を介して遮光シャッタの可動部分に伝達されることにより、遮光シャッタの可動部分が揺動されるので、直動式アクチュエータの配置の自由度が大きくなり、車両前照灯の設計の自由度も大きくなり、斬新なデザインが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図4を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0033】
[実施例1]
図1は、本発明による遮光シャッタ駆動装置を組み込んだ車両前照灯の一実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させる反射面12と、上記反射面12の前方に配置された投影レンズ13と、上記反射面12と投影レンズ13との間に配置された遮光シャッタ14と、上記遮光シャッタ14を揺動させる遮光シャッタ駆動装置20(図2参照)と、から構成されている。
【0034】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブが使用され、その光軸Oが前方に向かってほぼ水平に配置され、図示しないソケットにより固定保持されると共に、外部から給電されるようになっている。
【0035】
上記反射面12は、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光点付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2が前側にてバルブ11から前方に延びる光軸O上に位置するように、楕円系の反射面として構成されている。 ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0036】
上記投影レンズ13は、凸状のレンズから構成されており、上記光軸O上にて、その光源側の焦点が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
【0037】
上記遮光シャッタ14は、不透光性材料から板状に形成されていると共に、その上縁14aが、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように配置されている。
そして、上記遮光シャッタ14は、その上縁14aが、所望の配光パターンを形成するようになっている。
【0038】
さらに、上記遮光シャッタ14は、その上縁14aを含む上方部分(可動部分)14bが、他の部分(ベース)14cに対して揺動し得るようになっている
この可動部分14bは、上記駆動装置20により、図1に実線で示した挿入位置Aから後側に向かって点線で示す退避位置Bまで回転移動するようになっている。
【0039】
具体的には、上記遮光シャッタ14の可動部分14bは、図2に詳細に示すように、光軸Oに対して横方向に水平に延びる回転軸14dの両端が、固定配置されたベース14cに対して回動可能に支持されている。
【0040】
ここで、上記遮光シャッタ駆動装置20は、図2に示すように、直動式アクチュエータ21と、クランク軸22と、から構成されている。
【0041】
上記直動式アクチュエータ21は、例えばソレノイドから構成されており、その駆動軸21aが、動作時に軸方向に沿って所定距離だけ移動するようになっている。
そして、上記直動式アクチュエータ21は、上記ベース14cに対して固定配置されている。
【0042】
上記クランク軸22は、垂直に延びる軸部23と、この軸部23の下端及び上端からそれぞれ垂直に延びる二つのアーム24及び25と、から構成されている。
上記軸部23は、上記遮光シャッタ14のベース14cに対して軸受23aにより回転可能に支持されている。
【0043】
下方の第一のアーム24は、軸部23の下端から一側に向かって所定距離L1だけ延びており、さらに下方に折曲されている。
そして、上記第一のアーム24の折曲部24aが、前述した直動式アクチュエータ21の駆動軸21aに設けられた係合孔21bに係合している。
【0044】
上方の第二のアーム25は、軸部23の上端から一側に向かって、即ち第一のアーム24と平行に所定距離L2だけ延びており、さらに上方に折曲されている。
そして、上記第二のアーム25の折曲部25aが、前述した遮光シャッタ14の可動部分14bに設けられた係合部14eに係合している。
尚、図示の場合、上記係合部14eは、上記可動部分14bから前方に向かって突出する「逆L」字形の形状を有しており、この逆L字形の内側に、上記第二のアーム25の折曲部25aが緩く係合するようになっている。
【0045】
このようにして、上記遮光シャッタ14は、上述した挿入位置Aにて、上縁14aにより一般道路走行用のすれ違いビームのためのカットオフラインを形成すると共に、上述した退避位置Bにて、上縁14aにより走行ビームのためのカットオフラインを形成するようになっている。
【0046】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11が外部から給電されて発光する。これにより、バルブ11の発光部から光が出射することになる。
そして、バルブ11から出射した光は、直接に、または上記反射面12で反射されて、この反射面12の第二焦点F2付近に向かって前方に進み、さらに投影レンズ13により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0047】
ここで、上記遮光シャッタ14の可動部分14bが図1にて実線で示すように挿入位置Aに在る場合には、バルブ11から出射した光のうち、一部の光が上記遮光シャッタ14により遮断され、その上縁14aによりカットオフラインが形成される。
従って、従来のすれ違いビームと同様のカットオフラインが形成されるので、対向車や歩行者に眩惑を与えない、すれ違いビームのために最適な配光パターンが得られることになる。
【0048】
これに対して、遮光シャッタ駆動装置20の直動式アクチュエータ21が動作して、その駆動軸21aが吸引方向(矢印P方向)に移動されると、これに伴って、クランク軸22の第一のアーム24の先端が同様に矢印P方向に移動して、クランク軸22が回転駆動される。
そして、クランク軸22の第二のアーム25の先端も同様に矢印P方向に移動し、遮光シャッタ14の可動部分14bが水平な回転軸14dの周りに揺動する。これにより、上記遮光シャッタ14の可動部分14bの上縁14aが、矢印Q方向に揺動し、挿入位置Aから退避位置Bまで移動することになる。
【0049】
従って、バルブ11または反射面12からの光は、上記遮光シャッタ14により遮断されることなく、投影レンズ13を介して前方に向かって照射されることになる。
このようにして、遮光シャッタ14の上縁14aによってカットオフラインが形成されないので、遠方視認性の良好な走行ビームのために最適な配光パターンが得られることになる。
【0050】
ここで、上記遮光シャッタ14の可動部分14bが退避位置Bにあるとき、上記遮光シャッタ14の固定部分であるベース14cの上縁が、バルブ11または反射面12から投影レンズ13に入射する光の光路中に挿入されていてもよい。 この場合、ベース14cの上縁が、投影レンズ13の後側の焦点位置F2付近から僅かに下方に位置することになる。従って、このベース14cの上縁により形成されるカットオフラインは、挿入位置Aに位置する遮光部材14の上縁14aによるカットオフラインより僅かに上方に形成される。
これにより、遠方視認性が向上することになり、例えば高速道路走行に最適なすれ違いビームのための配光パターンが形成されることになる。
【0051】
このようにして、上記遮光シャッタ14が挿入位置Aに在るときには、その上縁14aによりカットオフラインが形成されるので、対向車や歩行者に眩惑を与えることがなく、一般道路走行に最適なすれ違いビームの配光パターンが得られる。
また、上記遮光シャッタ14が退避位置Bに在るときには、その上縁によってカットオフラインが形成されず、またはカットオフラインが僅かに上昇するので、走行ビームとしての配光パターンまたは遠方視認性の良好な高速道路走行に最適なすれ違いビームの配光パターンが得られる。
【0052】
さらに、この場合、上記遮光シャッタ駆動装置20が、直動式アクチュエータ21とクランク軸22とから構成されており、直動式アクチュエータ21がクランク軸22を介して遮光シャッタ14から比較的離れて、さらにその駆動軸21aが光軸Oと平行に配置されている。
従って、遮光シャッタ駆動装置20そして車両前照灯10の横幅が比較的小さく構成され得ると共に、車両前照灯10の遮光シャッタ14の周辺のスペースが小さくても、クランク軸22の軸部23の長さだけ直動式アクチュエータ21が下方に配置されることになるので、直動式アクチュエータ21を遮光シャッタから比較的離れた位置に配置することが可能になる。
従って、直動式アクチュエータ21の配置の自由度、そして車両前照灯10の設計の自由度が大きくなり、任意の車両前照灯のデザインが可能になる。
【0053】
さらに、上記クランク軸22の各アーム24,25の長さL1,L2を適宜に選定することによって、直動式アクチュエータ21として、例えば市販のソレノイドを使用して、その駆動軸21aの移動量に基づいて、第二のアーム25の先端の移動量を得ることができる。従って、直動式アクチュエータ21として専用品を用意する必要がないので、低コストで直動式アクチュエータ21を調達することが可能である。
【0054】
[実施例2]
図3は、本発明による遮光シャッタ駆動装置の第二の実施形態を示している。 図3において、遮光シャッタ駆動装置30は、図2に示した遮光シャッタ駆動装置20と同様の構成であるので、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記遮光シャッタ駆動装置30は、図2に示した遮光シャッタ駆動装置20とは、直動式アクチュエータ21により、遮光シャッタ14の可動部分14bが前方に揺動する点でのみ異なる構成になっている。
これに対応して、上記遮光シャッタ駆動装置30においては、クランク軸22は、その第二のアーム25が、第一のアーム24とは反対側に延びていると共に、遮光シャッタ14の可動部分14bに設けられた係合部14eが、「F」字形の形状を有している。
これにより、このF字形の内側に、上記第二のアーム25の折曲部25aが緩く係合するようになっている。
【0055】
このように構成された遮光シャッタ駆動装置30によれば、前述した遮光シャッタ駆動装置20と同様に動作すると共に、直動式アクチュエータ21が動作して、その駆動軸21aが吸引方向(矢印P方向)に移動されると、これに伴って、クランク軸22の第一のアーム24の先端が同様に矢印P方向に移動して、クランク軸22が回転駆動される。
そして、クランク軸22の第二のアーム25の先端が矢印P方向と反対方向に移動し、遮光シャッタ14の可動部分14bが水平な回転軸14dの周りに揺動する。これにより、上記遮光シャッタ14の可動部分14bの上縁14aが、矢印R方向に揺動し、挿入位置Aから退避位置Bまで移動することになる。
【0056】
[実施例3]
図4は、本発明による遮光シャッタ駆動装置の第三の実施形態を示している。 図4において、遮光シャッタ駆動装置40は、図3に示した遮光シャッタ駆動装置20と同様の構成であるので、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記遮光シャッタ駆動装置30は、図3に示した遮光シャッタ駆動装置20とは、直動式アクチュエータ21が、その駆動軸21aが光軸Oに対して横向きに配置されている点でのみ異なる構成になっている。
これに対応して、上記遮光シャッタ駆動装置40においては、クランク軸22は、その第一のアーム25が、光軸Oに平行に前方に向かって延びている。
【0057】
このように構成された遮光シャッタ駆動装置40によれば、前述した遮光シャッタ駆動装置30と同様に動作すると共に、直動式アクチュエータ21が動作して、その駆動軸21aが吸引方向(矢印S方向)に移動されると、これに伴って、クランク軸22の第一のアーム24の先端が同様に矢印S方向に移動して、クランク軸22が回転駆動される。
そして、クランク軸22の第二のアーム25の先端が後方に向かって移動し、遮光シャッタ14の可動部分14bが水平な回転軸14dの周りに揺動する。これにより、上記遮光シャッタ14の可動部分14bの上縁14aが、矢印R方向に揺動し、挿入位置Aから退避位置Bまで移動することになる。
【0058】
このようにして、本発明によれば、遮光シャッタ14の可動部分14bを、直動式アクチュエータ21によりクランク軸22を介して揺動させるようにした。このため、直動式アクチュエータ21を光軸Oに対して平行にまたは横向きに配置しても、クランク軸22の第一のアーム24及び第二のアーム25の延びる方向を適宜に選定することにより、上記直動式アクチュエータ21により遮光シャッタ14の可動部分14bを確実に揺動させることができる。
【0059】
また、クランク軸22の第一のアーム24及び第二のアーム25の長さL1,L2を適宜に選定することによって、駆動軸21aの任意の移動量に対応して、第二のアーム25の先端の移動量を調整することが可能である。従って市販のソレノイド等の直動式アクチュエータを使用して、所望の移動量だけ遮光シャッタ14の可動部分14bを揺動させることが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0060】
上述した実施形態においては、直動式アクチュエータ21は、光軸Oに沿って、または横向きに配置されているが、これに限らず、光軸Oに対して斜めに配置されてもよい。その際、クランク軸22の各アーム24,25の延びる方向を適宜に選定することにより、遮光シャッタ14の可動部分14bを前方または後方に揺動させることができる。
また、上述した実施形態においては、遮光シャッタ14は、その上縁14aを含む一部が可動部分14bとして構成されているが、これに限らず、遮光シャッタ14の全体が可動部分14bとして構成されていてもよいことは明らかである。
【0061】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、車両前照灯の設計の自由度を大きく保持したままで、プロジェクタタイプの車両前照灯における遮光シャッタを容易に位置変更することができるようにした、極めて優れた車両前照灯及び遮光シャッタの駆動装置が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明による遮光シャッタ駆動装置の第一の実施形態を組み込んだ車両前照灯の構成を示す概略側面図である。略斜視図である。
【図2】図1の車両前照灯における遮光シャッタ駆動装置の構成を示す斜め前方から見た概略斜視図である。
【図3】本発明による遮光シャッタ駆動装置の第二の実施形態の構成を示す斜め前方から見た概略斜視図である。
【図4】本発明による遮光シャッタ駆動装置の第三の実施形態の構成を示す斜め前方から見た概略斜視図である。
【図5】従来の車両前照灯の一例の構成を示す概略斜視図である。
【符号の説明】
【0063】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
12 反射面
13 投影レンズ
14 遮光シャッタ
14a 上縁
14b 可動部分
14c ベース
14d 回転軸
14e 係合部
20 遮光シャッタ駆動装置
21 直動式アクチュエータ
21a 駆動軸
21b 係合孔
22 クランク軸
23 軸部
23a 軸受
24 第一のアーム
24a 折曲部
25 第二のアーム
25a 折曲部
A 挿入位置
B 退避位置




 

 


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