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発明の名称 車両用灯具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−207641(P2007−207641A)
公開日 平成19年8月16日(2007.8.16)
出願番号 特願2006−26575(P2006−26575)
出願日 平成18年2月3日(2006.2.3)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 小池 輝夫 / 大森 信哉 / 山田 光雄 / 梅山 辰也
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、簡単な構成により、半導体発光素子の発光品質の低下を抑制すると共に、リフレクタの反射面における銀蒸着コーティングの経年劣化を防止するようにした車両用灯具を提供することを目的とする。
解決手段
半導体発光素子12aと、この半導体発光素子から出射する光を前方に向かって反射させるように上記半導体発光素子を後方から包囲するように形成されたリフレクタ13,14,15と、直接にまたは上記リフレクタで反射された光を前方に向かって集束させる投影レンズ16と、から成る少なくとも一組のプロジェクタタイプの光学ユニット11を含んでいる車両用灯具10において、少なくとも各光学ユニットの半導体発光素子の周りの空間を外部に対して気密的に密閉する密閉部材18を備えるように、車両用灯具10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
半導体発光素子と、この半導体発光素子から出射する光を前方に向かって反射させるように上記半導体発光素子を後方から包囲するように形成されたリフレクタと、直接にまたは上記リフレクタで反射された光を前方に向かって集束させる投影レンズと、から成る少なくとも一組のプロジェクタタイプの光学ユニットを含んでいる車両用灯具において、
少なくとも各光学ユニットの半導体発光素子の周りのリフレクタ内面を含む空間を外部に対して気密的に密閉する密閉部材を備えていることを特徴とする、車両用灯具。
【請求項2】
上記密閉部材により画成される密閉空間内に、不活性ガスが封入されていることを特徴とする、請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
上記各光学ユニットのリフレクタが、銀蒸着によりコーティングされていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
上記密閉部材による密閉空間内の気圧を調整するためにこの密閉空間に接続されたフィルム状部材から成る気圧調整袋を備えていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の車両用灯具。
【請求項5】
上記密閉部材が、各光学ユニットの投影レンズを支持するレンズホルダーとして構成されており、
各光学ユニットの投影レンズが、上記密閉部材により、半導体発光素子を内包するように、対応するリフレクタに対して気密的に取り付けられていることを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の車両用灯具。
【請求項6】
上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されており、上記密閉部材がリフレクタ及び投影レンズに対して溶着または接着により気密的に接合されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項7】
上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されていると共に、上記投影レンズ及び上記密閉部材が気密的に一体成形されており、上記密閉部材がリフレクタに対して溶着または接着により気密的に接合されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項8】
上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されていると共に、上記投影レンズ及び上記密閉部材が気密的にインサート成形されており、上記密閉部材がリフレクタに対して溶着または接着により気密的に接合されていることを特徴とする、請求項5に記載の車両用灯具。
【請求項9】
上記密閉部材が、すべての光学ユニットを包囲する前面が開放した筐体及びこの筐体の開放した前面を気密的に閉塞する透光性材料から成る前面レンズであることを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の車両用灯具。
【請求項10】
上記筐体が、ピンチシール部を備えていることを特徴とする、請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
上記筐体が、各光学ユニットの発熱により内部空間で発生する対流を前面レンズ側に導くように形成されていることを特徴とする、請求項9または10に記載の車両用灯具。
【請求項12】
上記筐体が、後側が絞られており、且つ角部が丸められていることを特徴とする、請求項11に記載の車両用灯具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源として半導体発光素子を使用したヘッドランプ等の車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年 LED等の半導体発光素子の高出力化により高輝度化が進んできていることから、LED等を車両用灯具の光源として使用するための開発が推進されている。
【0003】
このような、光源としてLED等の半導体発光素子を使用した車両用灯具は、例えば特許文献1により開示されており、図4に示すように構成されている。
即ち、図4において、車両用灯具1は、自動車の前照灯として構成されており、少なくとも一つ(図示の場合、一つ)の光学ユニット2から構成されている。
【0004】
上記光学ユニット2は、少なくとも一つのLED3aから成るLED光源3と、第一のリフレクタ4と、第二のリフレクタ5と、第三のリフレクタ6と、投影レンズ7と、シャッタ8と、を含んでいる。
【0005】
上記LED光源3は、図示しない基板上に実装された少なくとも一つのLED3aから構成されており、各LED3aが、上方に向かって光を出射するように配置されていると共に、外部から駆動電圧が印加されることにより、駆動され、発光するようになっている。
ここで、上記LED光源3は、少なくとも一つのLED3aの代わりに、他の半導体発光素子、例えば半導体レーザ素子等から構成されていてもよい。
【0006】
上記第一のリフレクタ4は、その第一の焦点位置F1が上記LED光源3付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2が投影レンズ7の後側の焦点位置付近に位置するように配置された楕円系反射面により形成されている。
【0007】
上記第二のリフレクタ5は、その第一の焦点位置が上記LED光源3付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F3がLED光源3から投影レンズ7の後側の焦点位置を結ぶ軸上に位置するように配置された楕円系反射面により形成されている。
【0008】
上記第三のリフレクタ6は、その第一の焦点位置が上記第二のリフレクタ5の第二の焦点位置付近に位置すると共に、その第二の焦点位置が上記投影レンズ7の後側の焦点位置付近に位置するように配置された楕円系反射面、またはその焦点位置が上記第二のリフレクタ5の第二の焦点位置付近に位置すると共に、中心軸が水平に前方に向かって延びる放物系反射面により形成されている。
【0009】
上記投影レンズ7は、凸レンズから構成されており、上記第一のリフレクタ4または第三のリフレクタ6で反射され、その後側の焦点位置付近に集束する光を前方に向かって集束させながら、照射するように構成されている。
【0010】
上記シャッタ8は、上記投影レンズ7の後側の焦点位置付近に配置されており、その上縁8aが例えばすれ違いビーム用のカットオフを形成するようになっている。
【0011】
このような構成の車両用灯具1によれば、上記光学ユニット2のLED光源3の各LED3aに対して外部から給電することにより、上記各LED3aが駆動され、発光する。
そして、上記各LED3aから出射した光の一部が、直接に、あるいは第一のリフレクタ4で反射された後、投影レンズ7に入射し、前方に向かって集束しながら照射されることになる。
【0012】
また、第二のリフレクタ5に入射した光は、第二のリフレクタ5により反射されて、第三のリフレクタ6に向かって進み、さらに第三のリフレクタ6により反射され、同様にして投影レンズ7に入射し、前方に向かって集束しながら照射されることになる。
その際、投影レンズ7の後側の焦点位置に向かって集束する光は、シャッタ8により部分的に遮断されることにより、その上縁8aによりカットオフが形成され、すれ違いビーム用の配光パターンで前方に向かって照射されることになる。
【特許文献1】特開2005−276805号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、このような車両用灯具1においては、上記LED3aは、一般的にシリコン樹脂で封止されている。このため、シリコン樹脂の吸湿性に基づいて、長期間の使用により、シリコン樹脂が吸湿により劣化し、その光学特性が変動することにより、発光品質が低下してしまうことがある。
例えば、GaAlAsを基材とするLEDの信頼性実験例において、常温通電(25℃)で1000時間経過後の発光光度は106.6%,高温通電(85℃)で1000時間経過後の発光光度は106.3%,また低温通電(−40℃)で1000時間経過後の発光光度は96.6%であるのに対して、高温多湿通電(80℃,湿度85%)で1000時間経過後の発光光度は84.7%となり、湿度による劣化が顕著であることが分かる。
また、蛍光体入りのGaNを基材とするLEDの場合、高温多湿通電(60℃,湿度90%)で1000時間経過後の発光光度は89.6%となり、同様に湿度による劣化が顕著であることが分かる。
【0014】
また、上記リフレクタ4,5,6は、その反射面が例えば銀蒸着によりコーティングされている場合には、長期間の使用により、表面が酸化したり硫化したりすることがあり、特に硫化の場合には、外観色変化を伴って、反射率の低下を引き起こすことがある。
【0015】
さらに、このような問題は、光源がLED3aの場合に限らず、半導体レーザ素子等の他の半導体発光素子の場合にも発生することは明らかである。
【0016】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、簡単な構成により、半導体発光素子の発光品質の低下を抑制すると共に、リフレクタの反射面における銀蒸着コーティングの経年劣化を防止するようにした車両用灯具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的は、本発明によれば、半導体発光素子と、この半導体発光素子から出射する光を前方に向かって反射させるように上記半導体発光素子を後方から包囲するように形成されたリフレクタと、直接にまたは上記リフレクタで反射された光を前方に向かって集束させる投影レンズと、から成る少なくとも一組のプロジェクタタイプの光学ユニットを含んでいる車両用灯具において、少なくとも各光学ユニットの半導体発光素子の周りのリフレクタ内面を含む空間を外部に対して気密的に密閉する密閉部材を備えていることを特徴とする、車両用灯具により、達成される。
【0018】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記密閉部材により画成される密閉空間内に、不活性ガスが封入されている。
【0019】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記各光学ユニットのリフレクタが、銀蒸着によりコーティングされている。
【0020】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記密閉部材による密閉空間内の気圧を調整するためにこの密閉空間に接続されたフィルム状部材から成る気圧調整袋を備えている。
【0021】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記密閉部材が、各光学ユニットの投影レンズを支持するレンズホルダーとして構成されており、各光学ユニットの投影レンズが、上記密閉部材により、半導体発光素子を内包するように、対応するリフレクタに対して気密的に取り付けられている。
【0022】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されており、上記密閉部材がリフレクタ及び投影レンズに対して溶着または接着により気密的に接合されている。
【0023】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されていると共に、上記投影レンズ及び上記密閉部材が気密的に一体成形されており、上記密閉部材がリフレクタに対して溶着または接着により気密的に接合されている。
【0024】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されていると共に、上記投影レンズ及び上記密閉部材が気密的にインサート成形されており、上記密閉部材がリフレクタに対して溶着または接着により気密的に接合されている。
【0025】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記密閉部材が、すべての光学ユニットを包囲する前面が開放した筐体及びこの筐体の開放した前面を気密的に閉塞する透光性材料から成る前面レンズである。
【0026】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記筐体が、ピンチシール部を備えている。
【0027】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記筐体が、各光学ユニットの発熱により内部空間で発生する対流を前面レンズ側に導くように形成されている。
【0028】
本発明による車両用灯具は、好ましくは、上記筐体が、後側が絞られており、且つ角部が丸められている。
【発明の効果】
【0029】
上記構成によれば、各光学ユニットの半導体発光素子に対して外部から給電することにより、個々の半導体発光素子が駆動され、発光する。
そして、各光学ユニットから出射した光が、直接にまたはリフレクタで反射されて、さらに投影レンズにより集束されて前方に向かって照射される。
【0030】
この場合、各光学ユニットの半導体発光素子の周囲が密閉部材により気密的に密閉されているので、半導体発光素子が、外気から遮断されることになる。従って、上記半導体発光素子を構成する材料の吸湿性に基づく半導体発光素子の信頼性の低下が大幅に抑制され得ることになり、半導体発光素子そして車両用灯具の長寿命化が実現できる。
【0031】
上記密閉部材により画成される密閉空間内に、不活性ガスが封入されている場合には、この密閉空間内への水蒸気の侵入が実質的に阻止される。このため、半導体発光素子の吸湿による信頼性の低下がほぼ完全に抑制され得ることになり、半導体発光素子そして車両用灯具がより一層長寿命化され得ることになる。
【0032】
上記各光学ユニットのリフレクタが、銀蒸着によりコーティングされている場合には、上記密閉部材によりリフレクタの内面が外気に対して遮断される。このため、銀蒸着によるコーティングの表面における水蒸気や自動車の排気ガス等による酸化や硫化が防止され得ることになり、湿度や排気ガスによる外観色の変化や反射率の低下が効果的に防止され得ることになる。
【0033】
上記密閉部材による密閉空間内の気圧を調整するためにこの密閉空間に接続されたフィルム状部材から成る気圧調整袋を備えている場合には、密閉部材による密閉空間内で、半導体発光素子の駆動による発熱によって、内部の気体が熱膨張したとしても、気圧調整袋が拡大することにより、僅かな熱膨張であっても、内部圧力の上昇が高精度で回避され得る。従って、内部圧力の上昇による各構成部材の変形や破壊が防止され得ると共に、気圧変化によるリフレクタ内面の曇りが防止され得ることになる。
【0034】
上記密閉部材が、各光学ユニットの投影レンズを支持するレンズホルダーとして構成されており、各光学ユニットの投影レンズが、上記密閉部材により、半導体発光素子を内包するように、対応するリフレクタに対して気密的に取り付けられている場合には、各光学ユニットに関する最小限の空間が密閉部材により密閉されることになると共に、リフレクタ及び投影レンズの内面が密閉空間内に内包されることになる。このため、リフレクタ内面及び投影レンズ内面における水蒸気や気圧変化による曇りが排除され得ることになる。
【0035】
上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されており、上記密閉部材がリフレクタ及び投影レンズに対して溶着または接着により気密的に接合されている場合、または上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されていると共に、上記投影レンズ及び上記密閉部材が気密的に一体成形されており、上記密閉部材がリフレクタに対して溶着または接着により気密的に接合されている場合、さらに上記各光学ユニットのリフレクタ,投影レンズ及び上記密閉部材が熱可塑性樹脂から構成されていると共に、上記投影レンズ及び上記密閉部材が気密的にインサート成形されており、上記密閉部材がリフレクタに対して溶着または接着により気密的に接合されている場合には、各構成要素が互いに一体化されることによって、各構成部品の組み付け精度が向上すると共に、内部空間が少ない部品によって容易に密閉され得るので、部品コスト及び組立コストが低減され得ることになる。
【0036】
上記密閉部材が、すべての光学ユニットを包囲する前面が開放した筐体及びこの筐体の開放した前面を気密的に閉塞する透光性材料から成る前面レンズである場合には、光学ユニット全体が筐体及び前面レンズにより気密的に覆われることになる。
【0037】
上記筐体が、ピンチシール部を備えている場合には、組立完了後に、このピンチシール部から真空排気し、さらに内部に不活性ガスを注入して、最後にピンチシール部を閉じることにより、筐体内の密閉空間が容易に不活性ガスを注入された状態で密閉され得ることになる。
【0038】
上記筐体が、各光学ユニットの発熱により内部空間で発生する対流を前面レンズ側に導くように形成されている場合、特に上記筐体が、後側が絞られており、且つ角部が丸められている場合には、各光学ユニットの半導体発光素子の駆動により発生する熱が、光学ユニットから筐体内の空間に放出された後、筐体の形状に基づいて、対流により前面レンズまで持ち来たされ、前面レンズを加熱する。 従って、筐体の内部空間の温度分布が均一化され、各光学ユニットの温度条件がほぼ同じになるので、各光学ユニットの光度が均一となり、発光光度のバラツキが抑制され得る
【0039】
このようにして、本発明によれば、半導体発光素子を含む少なくとも一つの光学ユニットを有する車両用灯具において、半導体発光素子の周囲の空間が密閉部材により外気から密閉されることによって、さらに密閉部材による密閉空間内に不活性ガスが注入されることによって、上記半導体発光素子を構成する材料の吸湿性に基づく半導体発光素子の信頼性の低下が大幅に抑制され得ることになり、半導体発光素子そして車両用灯具の長寿命化が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図3を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0041】
[実施例1]
図1は、本発明による車両用灯具の第一の実施形態の構成を示している。
図1において、車両用灯具10は、自動車用のLEDヘッドランプであって、少なくとも一つ(図示の場合、一つ)のプロジェクタタイプの光学ユニット11から構成されている。
【0042】
上記光学ユニット11は、少なくとも一つのLED12aから成るLED光源12と、第一のリフレクタ13と、第二のリフレクタ14と、第三のリフレクタ15と、投影レンズ16と、シャッタ17と、レンズホルダー18と、を含んでおり、シールドビーム構造と同様の構成になっている。
【0043】
上記LED光源12は、少なくとも一つ(図示の場合、一つ)のLED12aから構成されており、各LED12aが、光軸に沿って平行に即ち水平に配置された基板12b上にて上方に向かって光を出射するように実装されていて、外部から駆動電圧が印加されることにより、駆動され、発光するようになっている。 尚、上記基板12bの下面には、熱伝導性の高い材料から成るヒートシンク12cが取り付けられており、各LED12aの駆動時に発生する熱を外気に対して放熱するようになっている。
【0044】
上記第一のリフレクタ13は、その第一の焦点位置F1が上記LED光源12付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2が投影レンズ16の後側の焦点位置付近に位置するように配置された楕円系反射面により形成されている。
【0045】
上記第二のリフレクタ14は、その第一の焦点位置が上記LED光源12付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F3がLED光源12から投影レンズ16の後側の焦点位置を結ぶ軸上に位置するように配置された楕円系反射面により形成されている。
【0046】
上記第三のリフレクタ15は、その第一の焦点位置が上記第二のリフレクタ14の第二の焦点位置付近に位置すると共に、その第二の焦点位置が上記投影レンズ16の後側の焦点位置付近に位置するように配置された楕円系反射面、またはその焦点位置が上記第二のリフレクタ14の第二の焦点位置付近に位置すると共に、中心軸が水平に前方に向かって延びる放物系反射面により形成されている。
【0047】
ここで、上記第一,第二及び第三のリフレクタ13,14,15は、熱可塑性樹脂により互いに一体成形されていると共に、その内面が銀蒸着によりコーティングされており、さらに第一のリフレクタ13に隣接して、その下側に、LED光源12の基板12bが、嵌合されており、嵌合部に挟持されたOリング12dを介して気密的に取り付けられている。
【0048】
上記投影レンズ16は、凸レンズから構成されており、上記第一のリフレクタ13または第二のリフレクタ15で反射され、その後側の焦点位置付近に集束する光を前方に向かって集束させながら、照射するように構成されている。
【0049】
上記シャッタ17は、上記投影レンズ16の後側の焦点位置付近に配置されており、その上縁17aが例えばすれ違いビーム用のカットオフを形成するようになっている。
【0050】
上記レンズホルダー18は、投影レンズ16を支持すると共に、図示の場合、密閉部材として構成されており、熱可塑性樹脂から形成され、シャッタ17と一体成形されている。
【0051】
このレンズホルダー18に対して、上記投影レンズ16がインサート成形されていると共に、上記リフレクタ13,14,15が気密的に嵌合され、溶着により接合されている。
これにより、リフレクタ13,14,15及び投影レンズ16そしてレンズホルダー18により、内部空間19が外気に対して気密的に密閉されており、後述するように、不活性ガスが注入されるようになっている。
【0052】
また、上記第二のリフレクタ14の上部には、ピンチシール部14aが設けられており、内部空間19内を真空排気し、あるいは不活性ガスを注入できるようになっている。
【0053】
さらに、上記第三のリフレクタ15の下端付近には、開放孔15aに対して、伸縮可能な気圧調整袋15bが設けられている。
この気圧調整袋15bは、上記開放孔15aに対して内側に気密的に取り付けられている。
ここで、LED光源12の点灯・消灯時の熱膨張による内部空間19内の気圧変化は、例えば約0.2気圧程度であるので、気圧調整袋15bは、例えば高密度ポリエチレン,ポリプロピレン等の柔軟で且つ薄いフィルム状部材から袋状に形成されており、僅かな圧力変化に応動して、内部空間19の圧力変化を実質的に吸収し得るようになっている。
【0054】
尚、この気圧調整袋15bの内部空間19内への膨張を規制するために、開放孔15aのやや内側に、抑制板15cが設けられている。
これにより、気圧調整袋15bが不用意に内側に膨張して、第三のリフレクタ15による反射光を遮ることがないようになっている。
【0055】
本発明実施形態による車両用灯具10は、以上のように構成されており、内部空間19の真空排気及び不活性ガス注入は、以下のようにして行なわれる。
即ち、ピンチシール部14aから、この開口径より細いチューブ、好ましくはフレキシブルチューブを内部空間19の最深部等の適宜の位置まで挿入した後、注入すべき不活性ガス、例えば窒素ガスを導入しながら、上記チューブをゆっくり抜く。そして、上記チューブの先端がピンチシール部14aを通過したら、ピンチシール部14aをシールする。
尚、不活性ガスの導入前に、一旦洗浄ガスを注入する場合には、不活性ガス導入前に、同様の操作により洗浄ガスを注入すればよい。
このようにして、内部空間19内に不活性ガスを導入することにより、車両用灯具10の組立が完了する。
【0056】
このようにして組み立てられた車両用灯具10は、以下のように動作する。
即ち、光学ユニット11のLED光源12の各LED12aに対して外部から給電することにより、上記各LED12aが駆動され、発光する。
そして、LED光源12から出射した光の一部が、直接にあるいは第一のリフレクタ13で反射された後、投影レンズ16に入射し、前方に向かって集束しながら照射されることになる。
【0057】
また、第二のリフレクタ14に入射した光は、第二のリフレクタ14により反射されて、第三のリフレクタ15に向かって進み、さらに第三のリフレクタ15により反射され、同様にして投影レンズ16に入射し、前方に向かって集束しながら照射されることになる。
【0058】
その際、第一のリフレクタ13及び第三のリフレクタ15で反射されて投影レンズ16の後側の焦点位置に向かって集束する光は、シャッタ17により部分的に遮断されることにより、その上縁17aによりカットオフが形成され、すれ違いビーム用の配光パターンで前方に向かって照射されることになる。
【0059】
この場合、光学ユニット11の内部空間19が外気に対して気密的に密閉され且つ不活性ガスが導入されているので、上記内部空間19内には実質的に水蒸気が侵入することがない。
従って、LED光源12の各LED12aを構成する構成材料が水蒸気を吸収して、物質変化を起こすようなことがなく、個々のLED12aの発光光度の吸湿による低下が発生するようなことはないので、LED光源12の信頼性が向上すると共に、長寿命化が達成され得ることになる。
【0060】
さらに、内部空間19内に不活性ガスが注入されていることにより、リフレクタ13,14,15の内面が、長期間の使用で、水蒸気によって曇るようなことはなく、またこれらのリフレクタ13,14,15の内面の銀蒸着によるコーティングが酸化,硫化により曇るようなこともなく、明るい配光パターンが得られることになる。
さらに、レンズホルダー18を介して、投影レンズ16,リフレクタ13,14,15が一体化されることになるので、部品点数が少なくて済み、部品コスト及び組立コストが低減され得ると共に、これらの投影レンズ16,リフレクタ13,14,15とLED光源12との間の組立精度が向上するので、より精度の高い配光パターンが得られることになる。
【0061】
また、光学ユニット11のLED光源12の個々のLED12aで発生した熱による内部空間19内の気圧が上昇しようとすると、気圧調整袋15bが伸縮することにより、内部空間19内の気圧がほぼ一定に保持され得ることになるので、熱膨張によるリフレクタ13,14,15及び投影レンズ16の変形や破壊が発生するようなことはない。
さらに、個々のLED12aで発生した熱は、ヒートシンク12cに伝達され、さらにヒートシンク12cから外気に放熱される。
【0062】
[実施例2]
図2は、本発明による車両用灯具の第二の実施形態の構成を示している。
図2において、車両用灯具20は、自動車用のLEDヘッドランプであって、少なくとも一つ(図示の場合、一つ)の光学ユニット21と、この光学ユニット11を包囲すると共に前面が開放した筐体22と、この筐体22の開放した前面を覆うように筐体22に取り付けられた透光性の前面レンズ23と、を含んでいる。
【0063】
上記光学ユニット21は、図4に示した従来の車両用灯具1における光学ユニット2と同様に、即ち図1に示した車両用灯具10の光学ユニット11からヒートシンク12c,ピンチシール部14aと、開放孔15a,気圧調整袋15b及び抑制板15cを除いた構成であり、LED光源12と、第一のリフレクタ13と、第二のリフレクタ14と、第三のリフレクタ15と、投影レンズ16と、シャッタ17と、レンズホルダー18と、から構成されている。
この場合、投影レンズ16,レンズホルダー18及びリフレクタ13,14,15により画成される空間は、気密的に密閉される必要はない。
【0064】
上記筐体22は、各光学ユニット21を包囲するように、例えば熱可塑性樹脂から構成されていると共に、前面が開放している。
上記前面レンズ23は、透光性樹脂材料から構成されており、上記筐体21の前面を覆うように筐体21に対して嵌合され、溶着等により気密的に接合されている。
【0065】
さらに、上記筐体22は、例えばその上面に、ピンチシール部22aが設けられており、筐体22の内部空間を真空排気し、あるいは不活性ガスを注入できるようになっている。
また、上記筐体22の例えば下部には、開放孔22bが設けられており、この開放孔22bに対して、伸縮可能な気圧調整袋22cが設けられている。
この気圧調整袋22cは、上述した気圧調整袋15bと同様に構成されている。
【0066】
このように構成された車両用灯具20によれば、各光学ユニット21に対して外部から給電することにより、各光学ユニット21のLED光源の個々のLED12aが駆動され、発光し、リフレクタ13,14,15で反射され、さらに投影レンズ16を介して前方に向かって出射する。
そして、各光学ユニット21から出射した光が、上記前面レンズ22を介して前方に向かって照射される。
【0067】
この場合も同様にして、筐体22の内部空間が外気に対して気密的に密閉され且つ不活性ガスが導入されているので、上記内部空間、そして各光学ユニット21内には実質的に水蒸気が侵入することがない。
従って、各光学ユニット21のLED光源12の各LED12aを構成する構成材料が水蒸気を吸収して、物質変化を起こすようなことがなく、個々のLED12aの発光光度の吸湿による低下が発生するようなことはないので、LED光源12そして車両用灯具10の信頼性が向上すると共に、長寿命化が達成され得ることになる。
【0068】
また、筐体22内に不活性ガスが注入されていることにより、リフレクタ13,14,15の内面が、長期間の使用で、水蒸気によって曇るようなことはなく、またこれらのリフレクタ13,14,15の内面の銀蒸着によるコーティングが酸化,硫化により曇るようなこともなく、明るい配光パターンが得られることになる。
【0069】
さらに、筐体22内の空気がLED12aの熱によって熱膨張して、内部気圧が上昇しようとすると、気圧調整袋22cが伸縮することにより、内部空間内の気圧がほぼ一定に保持され得ることになるので、熱膨張によるリフレクタ13,14,15及び投影レンズ16の変形や破壊が発生するようなことはない。
また、光学ユニット21のLED光源12の個々のLED12aで発生した熱は、筐体22内に放熱され、筐体22内で対流となって、筐体22内を循環し、放熱されるようになっている。
【0070】
[実施例3]
図3は、本発明による車両用灯具の第三の実施形態の構成を示している。
図3において、車両用灯具30は、図2に示した車両用灯具20とほぼ同様の構成であるので、同じ構成要素には同じ符号を付して、その説明を省略する。
上記車両用灯具30は、図2に示した車両用灯具20とは、筐体22の代わりに、形状特に後方上部の形状が異なる筐体31を備えている点でのみ異なる構成になっている。
即ち、車両前照灯30において、その筐体31は、各光学ユニット21のLED光源12のLED12aの駆動時に発生する熱による内部空間で発生する対流が、筐体31の後方上部の内面に沿って上昇しながら、前面レンズ23側に導かれるように、図3に詳細に示すように、上方に向かって前方に湾曲するように、即ち後側が絞られて、角部が丸められるように、形成されている。
【0071】
このような構成の車両用灯具30によれば、図2に示した車両用灯具20と同様に作用すると共に、LED12aの駆動時に発生する熱によって内部空間で発生した対流が、図3にて矢印で示すように、筐体31の後方上部の内面形状に従って、上昇しながら前方に、即ち前面レンズ23側に導かれ、前面レンズ23を加熱することになる。
そして,前面レンズ23を加熱した気体は、再び冷却されて下方に進み、さらにLED光源12の下方に進むことにより、筐体31の内部空間内を循環するようになっている。
【0072】
このようにして、LED12aで発生する熱による内部空間内の循環対流により、前面レンズ23が加熱されると共に、内部空間内に注入された不活性ガスが冷却されることになる。
これにより、例えば冬季等にて前面レンズ23の外面に付着した雪が融解されることになり、各光学ユニット21から前方に向かって照射される光が、前面レンズ23に付着した雪により妨げられることなく、確実に前方に向かって常に適正な光度で照射され得ることになる。
また、上記対流によって、筐体31の内部空間の温度分布が均一化されるので、各光学ユニットの温度条件がほぼ同じになることから、各光学ユニット21の発光光度が均一となり、発光光度のバラツキが抑制され得る。
【0073】
上述した実施形態においては、光学ユニット11,21は、LED12aを有するLED光源を備えているが、光源としては、LED以外の発光素子、例えば半導体レーザ素子等の半導体発光素子であってもよい。
また、上述した実施形態における車両用灯具20,30においては、筐体22,31内に一つの光学ユニット21が備えられているが、これに限らず、複数の光学ユニット21が備えられていてもよい。
【0074】
さらに、上述した実施形態においては、投影レンズ16は、レンズホルダー18に対してインサート成形により一体成形されているが、これに限らず、溶着等により気密的に接合されていてもよい。
また、上述した実施形態においては、レンズホルダー18がリフレクタ13,14,15に対して溶着により気密的に接合されているが、これに限らず、接着等により気密的に接合されていてもよい。
【0075】
さらに、上述した実施形態においては、光学ユニット11,21は、それぞれ三つのリフレクタ13,14,15を備えているが、これに限らず、第二のリフレクタ14及び第三のリフレクタ15は省略されてもよく、また車両用灯具10,20,30が走行ビーム用のヘッドランプの場合には、シャッタ17が省略されてもよいことは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明による車両用灯具10は、自動車用LEDヘッドランプとして構成されているが、これに限らず、フォグランプ,ドライビングランプ等の補助前照灯やバックアップランプ等を含む他の種類の車両用灯具に本発明を適用することが可能である。
【0077】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、半導体発光素子の発光品質の低下を抑制すると共に、リフレクタの反射面における銀蒸着コーティングの経年劣化を防止するようにした、極めて優れた車両用灯具が提供され得ることになる。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明による車両用灯具の第一の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】本発明による車両用灯具の第二の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図3】本発明による車両用灯具の第三の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図4】従来の車両用灯具の構成を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0079】
10,20,30 車両用灯具
11 光学ユニット
12 LED光源
12a LED
12b 基板
12c ヒートシンク
12d Oリング
13 第一のリフレクタ
14 第二のリフレクタ
14a ピンチシール部
15 第三のリフレクタ
15a 開放孔
15b 気圧調整袋
15c 抑制板
16 投影レンズ
17 シャッタ
18 レンズホルダー(密閉部材)
19 内部空間
21 光学ユニット
22,31 筐体(密閉部材)
22a ピンチシール部
22b 開放孔
22c 気圧調整袋
23 前面レンズ




 

 


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