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発明の名称 車両用灯具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−179838(P2007−179838A)
公開日 平成19年7月12日(2007.7.12)
出願番号 特願2005−376132(P2005−376132)
出願日 平成17年12月27日(2005.12.27)
代理人 【識別番号】100117020
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 弘造
発明者 小山 広雄
要約 課題
車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させる。

解決手段
光を拡散させるための拡散板FAを具備する車両用灯具において、拡散板FAを通過せしめられた屈折光a2’,b2’,c2’,d2’が拡散板FAによって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されると共に、拡散板FAによって反射せしめられた反射光a2,b2,c2,d2が拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるように、拡散板FAを配置した。好ましくは、拡散板FAの先端部分を屈曲させるか、あるいは、湾曲させることにより、拡散板FAによって反射せしめられる反射光d2を拡散させる。
特許請求の範囲
【請求項1】
光を拡散させるための拡散板を具備する車両用灯具において、前記拡散板を通過せしめられた屈折光が前記拡散板によって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されると共に、前記拡散板によって反射せしめられた反射光が拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるように、前記拡散板を配置したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項2】
前記拡散板の先端部分を屈曲させるか、あるいは、湾曲させることにより、前記拡散板によって反射せしめられる反射光を拡散させることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記拡散板の入射面に波板加工を施すことにより、前記拡散板の入射面によって反射せしめられる反射光を拡散させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記拡散板の出射面に波板加工を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項5】
前記拡散板の入射面および出射面の両方に波板加工を施したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項6】
光源からの光を前記拡散板に反射するための反射面を有する第1リフレクタを設け、前記第1リフレクタの反射面の水平断面曲線が楕円弧になり、前記楕円弧の第1焦点上、あるいは、その近傍に前記光源が位置し、前記楕円弧の第2焦点が前記光源と前記拡散板との間に位置するように、前記第1リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項7】
前記第1リフレクタの反射面の垂直断面曲線が楕円弧になり、その楕円弧の第1焦点上、あるいは、その近傍に前記光源が位置し、その楕円弧の第2焦点がその楕円弧の第1焦点の約10〜40m前側に位置するように、前記第1リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具。
【請求項8】
前記第1リフレクタの右側および左側に放物系反射面を有する第2リフレクタを設け、一方の第2リフレクタと前記第1リフレクタとの境界部分から前側に前記拡散板を延ばし、前記光源から放射された光を通過させて前記一方の第2リフレクタまで到達させるための通過穴を前記拡散板に形成したことを特徴とする請求項6又は7に記載の車両用灯具。
【請求項9】
車両の前面から側面に回り込むように配置された請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用灯具において、光源から放射された光を反射するための楕円系反射面を有する第3リフレクタと、前記第3リフレクタからの反射光を車両用灯具の照射方向に反射するための反射面を有する第4リフレクタとを、前記光源よりも車両の中心側および前記光源よりも車両の側面側のそれぞれに設け、車両の中心側の第3リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に前記光源が位置し、かつ、車両の側面側の第3リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に前記光源が位置するように、車両の中心側の第3リフレクタおよび車両の側面側の第3リフレクタを配置し、車両の中心側の第3リフレクタの楕円系反射面の第2焦点から車両の側面側の第4リフレクタの反射面までの平均距離が、車両の側面側の第3リフレクタの楕円系反射面の第2焦点から車両の中心側の第4リフレクタの反射面までの平均距離の約1.5〜2倍になるように、車両の側面側の第4リフレクタの反射面および車両の中心側の第4リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする車両用灯具。
【請求項10】
車両の側面側の第4リフレクタの反射面の面積が、車両の中心側の第4リフレクタの反射面の面積の約2〜3倍になるように、車両の側面側の第4リフレクタの反射面および車両の中心側の第4リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具。
【請求項11】
車両の側面側の第4リフレクタの反射面による集光度合いを車両の中心側の第4リフレクタの反射面による集光度合いより大きくしたことを特徴とする請求項9又は10に記載の車両用灯具。
【請求項12】
前記光源から放射された光を反射するための楕円系反射面を有する第5リフレクタを前記光源の後側に配置し、前記第5リフレクタの楕円系反射面からの反射光を通過させて前記拡散板まで到達させるための第1透過穴を車両の中心側の第3リフレクタと車両の側面側の第3リフレクタとの間に配置したことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の車両用灯具。
【請求項13】
前記拡散板と車両の側面側の第3リフレクタとを一部材により形成したことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の車両用灯具。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、光を拡散させるための拡散板を具備する車両用灯具に関し、特には、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させることができる車両用灯具に関する。
【0002】
詳細には、本発明は、拡散板を通過せしめられた屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させることができる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0003】
図11は従来の車両用灯具100の斜視図である。図11において、101は車両用灯具100の光源を示している。光源101としては、例えばフィラメントコイル光源、放電灯の高輝度部分などが用いられる。102は光源101を内蔵したバルブを示している。103はバルブを取り付けるためのソケット穴を示している。104はリフレクタの反射面を示している。図11に示す従来の車両用灯具100では、リフレクタの反射面104が左右に連なる単一の複合反射面として形成されているが、例えばいわゆるマルチリフレクタヘッドランプのような他の従来の車両用灯具では、多数の反射面が組み合わされている。また、マルチリフレクタヘッドランプが市場に出回る前においては、リフレクタの反射面104として、回転放物面が主流であった。
【0004】
更に、図11において、105は前面レンズとも呼ばれるカバーレンズを示しており、106はカバーレンズ105の中央部分に形成されたレンズカットとしてのレンズ群を示している。図11に示す従来の車両用灯具100では、かまぼこ状の断面形状を有するレンズ部を横並びに多数配列することにより、レンズカット106としてのレンズ群が構成されている。マルチリフレクタヘッドランプが市場に出回った時期から20年以上前においては、カバーレンズ105の全面がレンズカット106としてのレンズ群によって覆われる例が殆どであった。他の従来の車両用灯具では、カバーレンズとは別個に、インナーレンズがカバーレンズの内側に配置され、そのインナーレンズにレンズカットとしてのレンズ群を設けることも行われている。
【0005】
ところが、図11に示した従来の車両用灯具100のように、レンズカット106としてのレンズ群を設けると、左右方向に拡散した光を車両用灯具100の前側に照射することができるものの、通常10〜20%程度の光量損失が発生してしまう。具体的には、レンズカット106としてのレンズ群に入射した光の一部が、レンズカット106としてのレンズ群の入射面(光源101の側の面)および出射面(車両用灯具100の前側の面)において、反射せしめられ、光源101の側に戻されてしまう。
【0006】
また、図11に示したような従来の車両用灯具100では、車両用灯具100の主光軸線に対して30°以上の角度をなす拡散光を照射するために、レンズカットをきつくしたとしても、つまり、レンズカット106としてのレンズ群の入射面および出射面に入射する光の入射角を大きくしたとしても、入射面および出射面から光源101の側に戻される反射光の割合が増加してしまい、車両用灯具100の照射方向に照射される光の割合が減少してしまう。つまり、光が減衰するばかりで、車両用灯具100の主光軸線に対して30°以上の角度をなして照射される拡散光は増加しない。その結果、車両用灯具100が暗くなってしまう。
【0007】
図12は入射角を大きくすることに伴う弊害を説明するための図である。図12に示すように、凹凸カットの掘り込みを大きくすると、レンズカットの入射面および出射面に入射する光の入射角が大きくなってしまい、それに伴って、入射面および出射面を通過せしめられる屈折光に対する反射光の割合も急激に増大してしまう。入射角が非常に大きい場合には、全反射まで起こる事態になってしまう。つまり、車両用灯具の主光軸線(図12の上下方向)に対して40°〜50°の角度をなして拡散光を照射しようとしても、車両用灯具の照射方向(図12の下側)に照射される光は、減衰するばかりで、実質的には広がらない。なお、図12中の屈折現象はスネルの法則(sinγ/sini=1/n)によって表される。図12において、i,i’は入射角(=反射角)を示しており、γは屈折角を示しており、n空気(=1)は空気の屈折率を示しており、n(≒1.6)はレンズカットを構成している材料の屈折率を示している。
【0008】
また、従来から、光を拡散させるための拡散板(拡散用補助レンズ、インナレンズ、透明プレート)を具備する車両用灯具が知られている。この種の車両用灯具の例としては、例えば特開2003−281906号公報の図4および図7、特開2000−133011号公報の図4、特開平9−219105号公報の図1などに記載されたものがある。
【0009】
特開2003−281906号公報に記載された車両用灯具では、光が放物系反射面によって反射せしめられ、その放物系反射面からの反射光が拡散用補助レンズ(拡散板)を透過せしめられている。詳細には、特開2003−281906号公報に記載された車両用灯具では、拡散用補助レンズ(拡散板)を通過せしめられる光が、拡散用補助レンズ(拡散板)によって屈折せしめられ、水平方向に拡散せしめられている。
【0010】
ところが、特開2003−281906号公報に記載された車両用灯具では、拡散用補助レンズ(拡散板)を通過せしめられる屈折光が拡散用補助レンズ(拡散板)によって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるものの、拡散用補助レンズ(拡散板)の入射面(放物系反射面側の面)および出射面(車両用灯具の前側の面)によって反射せしめられた反射光は、放物系反射面側に戻されてしまい、車両用灯具の照射方向に照射されない。
【0011】
つまり、特開2003−281906号公報に記載された車両用灯具では、拡散用補助レンズ(拡散板)の入射面および出射面によって反射せしめられた反射光が車両用灯具の照射方向に照射されないために、光の利用効率が低くなってしまう。また、上述したように、拡散用補助レンズ(拡散板)を通過せしめられる屈折光を大きく拡散させようとしても、屈折光が減衰するばかりで、屈折光は大きく拡散しないため、特開2003−281906号公報に記載された車両用灯具では、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を十分に大きくすることができない。
【0012】
また、特開2000−133011号公報に記載された車両用灯具では、バルブからの光がリフレクタによって反射せしめられ、そのリフレクタからの反射光がインナレンズ(拡散板)を透過せしめられている。詳細には、特開2000−133011号公報に記載された車両用灯具では、インナレンズ(拡散板)を通過せしめられる光が、インナレンズ(拡散板)によって屈折せしめられ、拡散せしめられている。
【0013】
ところが、特開2000−133011号公報に記載された車両用灯具では、インナレンズ(拡散板)を通過せしめられる屈折光がインナレンズ(拡散板)によって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるものの、インナレンズ(拡散板)の入射面(リフレクタ側の面)および出射面(車両用灯具の前側の面)によって反射せしめられた反射光は、リフレクタ側に戻されてしまい、車両用灯具の照射方向に照射されない。
【0014】
つまり、特開2000−133011号公報に記載された車両用灯具では、インナレンズ(拡散板)の入射面および出射面によって反射せしめられた反射光が車両用灯具の照射方向に照射されないために、光の利用効率が低くなってしまう。また、上述したように、インナレンズ(拡散板)を通過せしめられる屈折光を大きく拡散させようとしても、屈折光が減衰するばかりで、屈折光は大きく拡散しないため、特開2000−133011号公報に記載された車両用灯具では、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を十分に大きくすることができない。
【0015】
更に、特開平9−219105号公報に記載された車両用灯具では、光源からの光が反射鏡の放物系反射面によって反射せしめられ、その放物系反射面からの反射光が透明プレート(拡散板)を透過せしめられている。詳細には、特開平9−219105号公報に記載された車両用灯具では、透明プレート(拡散板)を通過せしめられる光が、透明プレート(拡散板)の集光レンズ素子によって屈折せしめられ、拡散せしめられている。
【0016】
ところが、特開平9−219105号公報に記載された車両用灯具では、透明プレート(拡散板)を通過せしめられる屈折光が透明プレート(拡散板)の集光レンズ素子によって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるものの、透明プレート(拡散板)の入射面(放物系反射面側の面)および出射面(車両用灯具の前側の面)によって反射せしめられた反射光は、放物系反射面側に戻されてしまい、車両用灯具の照射方向に照射されない。
【0017】
つまり、特開平9−219105号公報に記載された車両用灯具では、透明プレート(拡散板)の入射面および出射面によって反射せしめられた反射光が車両用灯具の照射方向に照射されないために、光の利用効率が低くなってしまう。また、上述したように、透明プレート(拡散板)を通過せしめられる屈折光を大きく拡散させようとしても、屈折光が減衰するばかりで、屈折光は大きく拡散しないため、特開平9−219105号公報に記載された車両用灯具では、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を十分に大きくすることができない。
【0018】
【特許文献1】特開2003−281906号公報
【特許文献2】特開2000−133011号公報
【特許文献3】特開平9−219105号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
前記問題点に鑑み、本発明は、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【0020】
詳細には、本発明は、拡散板を通過せしめられた屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
請求項1に記載の発明によれば、光を拡散させるための拡散板を具備する車両用灯具において、前記拡散板を通過せしめられた屈折光が前記拡散板によって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されると共に、前記拡散板によって反射せしめられた反射光が拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるように、前記拡散板を配置したことを特徴とする車両用灯具が提供される。
【0022】
請求項2に記載の発明によれば、前記拡散板の先端部分を屈曲させるか、あるいは、湾曲させることにより、前記拡散板によって反射せしめられる反射光を拡散させることを特徴とする請求項1に記載の車両用灯具が提供される。
【0023】
請求項3に記載の発明によれば、前記拡散板の入射面に波板加工を施すことにより、前記拡散板の入射面によって反射せしめられる反射光を拡散させることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具が提供される。
【0024】
請求項4に記載の発明によれば、前記拡散板の出射面に波板加工を施したことを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用灯具が提供される。
【0025】
請求項5に記載の発明によれば、前記拡散板の入射面および出射面の両方に波板加工を施したことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
【0026】
請求項6に記載の発明によれば、光源からの光を前記拡散板に反射するための反射面を有する第1リフレクタを設け、前記第1リフレクタの反射面の水平断面曲線が楕円弧になり、前記楕円弧の第1焦点上、あるいは、その近傍に前記光源が位置し、前記楕円弧の第2焦点が前記光源と前記拡散板との間に位置するように、前記第1リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
【0027】
請求項7に記載の発明によれば、前記第1リフレクタの反射面の垂直断面曲線が楕円弧になり、その楕円弧の第1焦点上、あるいは、その近傍に前記光源が位置し、その楕円弧の第2焦点がその楕円弧の第1焦点の約10〜40m前側に位置するように、前記第1リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする請求項6に記載の車両用灯具が提供される。
【0028】
請求項8に記載の発明によれば、前記第1リフレクタの右側および左側に放物系反射面を有する第2リフレクタを設け、右側および左側の第2リフレクタの放物系反射面の焦点上、あるいは、その近傍に前記光源を配置し、一方の第2リフレクタと前記第1リフレクタとの境界部分から前側に前記拡散板を延ばし、前記光源から放射された光を通過させて前記一方の第2リフレクタまで到達させるための通過穴を前記拡散板に形成したことを特徴とする請求項6又は7に記載の車両用灯具が提供される。
【0029】
請求項9に記載の発明によれば、車両の前面から側面に回り込むように配置された請求項1〜5のいずれか一項に記載の車両用灯具において、光源から放射された光を反射するための楕円系反射面を有する第3リフレクタと、前記第3リフレクタからの反射光を車両用灯具の照射方向に反射するための反射面を有する第4リフレクタとを、前記光源よりも車両の中心側および前記光源よりも車両の側面側のそれぞれに設け、車両の中心側の第3リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に前記光源が位置し、かつ、車両の側面側の第3リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に前記光源が位置するように、車両の中心側の第3リフレクタおよび車両の側面側の第3リフレクタを配置し、車両の中心側の第3リフレクタの楕円系反射面の第2焦点から車両の側面側の第4リフレクタの反射面までの平均距離が、車両の側面側の第3リフレクタの楕円系反射面の第2焦点から車両の中心側の第4リフレクタの反射面までの平均距離の約1.5〜2倍になるように、車両の側面側の第4リフレクタの反射面および車両の中心側の第4リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする車両用灯具が提供される。
【0030】
請求項10に記載の発明によれば、車両の側面側の第4リフレクタの反射面の面積が、車両の中心側の第4リフレクタの反射面の面積の約2〜3倍になるように、車両の側面側の第4リフレクタの反射面および車両の中心側の第4リフレクタの反射面を形成したことを特徴とする請求項9に記載の車両用灯具が提供される。
【0031】
請求項11に記載の発明によれば、車両の側面側の第4リフレクタの反射面による集光度合いを車両の中心側の第4リフレクタの反射面による集光度合いより大きくしたことを特徴とする請求項9又は10に記載の車両用灯具が提供される。
【0032】
請求項12に記載の発明によれば、前記光源から放射された光を反射するための楕円系反射面を有する第5リフレクタを前記光源の後側に配置し、前記第5リフレクタの楕円系反射面からの反射光を通過させて前記拡散板まで到達させるための第1透過穴を車両の中心側の第3リフレクタと車両の側面側の第3リフレクタとの間に配置したことを特徴とする請求項9〜11のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
【0033】
請求項13に記載の発明によれば、前記拡散板と車両の側面側の第3リフレクタとを一部材により形成したことを特徴とする請求項9〜12のいずれか一項に記載の車両用灯具が提供される。
【発明の効果】
【0034】
請求項1〜4に記載の車両用灯具では、光を拡散させるための拡散板が設けられている。そのため、拡散板が設けられていない場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光を拡散させることができる。
【0035】
更に、請求項1〜4に記載の車両用灯具では、拡散板を通過せしめられた屈折光が拡散板によって拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されると共に、拡散板によって反射せしめられた反射光が拡散せしめられて車両用灯具の照射方向に照射されるように、拡散板が配置されている。
【0036】
換言すれば、請求項1〜4に記載の車両用灯具では、拡散板の入射面および出射面によって反射せしめられた反射光、および、拡散板を通過せしめられ、拡散板の出射面から出射せしめられた屈折光の両方が、車両用灯具の照射方向に照射される。
【0037】
そのため、請求項1〜4に記載の車両用灯具によれば、拡散板を通過せしめられた屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させることができる。
【0038】
請求項1〜4に記載の車両用灯具では、好ましくは、拡散板の先端部分を屈曲させるか、あるいは、湾曲させることにより、拡散板によって反射せしめられる反射光が拡散せしめられるが、拡散板の先端部分を屈折あるいは湾曲させることなく、直線状に延ばすことも可能である。つまり、直線状に延ばされた拡散板からの屈折光および反射光の両方を車両用灯具の照射方向に照射することにより、拡散板からの屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光を拡散させることも可能である。
【0039】
また、請求項1〜4に記載の車両用灯具では、好ましくは、拡散板の入射面に波板加工を施すことにより、拡散板の入射面によって反射せしめられる反射光が拡散せしめられるか、あるいは、拡散板の出射面に波板加工が施されるが、代わりに、拡散板に波板加工を施さないことも可能である。つまり、波板加工が施されていない拡散板からの屈折光および反射光の両方を車両用灯具の照射方向に照射することにより、拡散板からの屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光を拡散させることも可能である。
【0040】
更に、請求項1〜4に記載の車両用灯具では、好ましくは、拡散板の入射面に入射する光の入射角が例えば約25°以上になるように、拡散板が配置されている。換言すれば、拡散板の入射面に入射する光の入射角が約25°未満にならないように、拡散板が配置されている。そのため、約25°未満の入射角で拡散板の入射面に入射した光が、光源側に反射して戻されてしまい、車両用灯具の照射方向に照射されなくなってしまうのを回避することができる。
【0041】
請求項5に記載の車両用灯具では、拡散板の入射面および出射面の両方に波板加工が施されている。そのため、拡散板の入射面および出射面のいずれか一方のみに波板加工が施されている場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される屈折光の拡散角度を増加させることができる。
【0042】
請求項6及び7に記載の車両用灯具では、光源からの光を拡散板に反射するための反射面を有する第1リフレクタが設けられ、第1リフレクタの反射面の水平断面曲線が楕円弧になり、その楕円弧の第1焦点上、あるいは、その近傍に光源が位置し、その楕円弧の第2焦点が光源と拡散板との間に位置するように、第1リフレクタの反射面が形成されている。つまり、第1リフレクタの反射面からの反射光が拡散板の手前で交差せしめられるように、第1リフレクタの反射面が形成されている。そのため、第1リフレクタの反射面からの反射光が拡散板の手前で交差せしめられない場合よりも、拡散板を通過せしめられた屈折光および拡散板によって反射せしめられた反射光を大きい角度で拡散させて車両用灯具の照射方向に照射することができる。
【0043】
好ましくは、請求項6及び7に記載の車両用灯具では、第1リフレクタの反射面の垂直断面曲線が楕円弧になり、その楕円弧の第1焦点上、あるいは、その近傍に光源が位置し、その楕円弧の第2焦点がその楕円弧の第1焦点の約10〜40m前側に位置するように、第1リフレクタの反射面が形成されている。
【0044】
請求項8に記載の車両用灯具では、第1リフレクタの右側および左側に放物系反射面を有する第2リフレクタが設けられている。そのため、第1リフレクタおよび拡散板によって拡散せしめられた光を車両用灯具の照射方向に照射すると共に、第2リフレクタによって集光せしめられた光を車両用灯具の照射方向に照射することができる。
【0045】
更に、請求項8に記載の車両用灯具では、一方の第2リフレクタと第1リフレクタとの境界部分から車両用灯具の前側に拡散板が延ばされ、光源から放射された光を通過させてその一方の第2リフレクタまで到達させるための通過穴が拡散板に形成されている。つまり、光源からその一方の第2リフレクタに放射された光が拡散板によって拡散せしめられてしまうことが回避されている。そのため、右側および左側の両方の第2リフレクタから車両用灯具の照射方向に集光せしめられた光を照射することができる。
【0046】
請求項9〜11に記載の車両用灯具は、車両の前面から側面に回り込むように配置されている。
【0047】
詳細には、請求項9〜11に記載の車両用灯具では、光源よりも車両の中心側および光源よりも車両の側面側のそれぞれに楕円系反射面を有する第3リフレクタが設けられている。また、車両の中心側の第3リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に光源が位置し、かつ、車両の側面側の第3リフレクタの楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に光源が位置するように、車両の中心側の第3リフレクタおよび車両の側面側の第3リフレクタが配置されている。
【0048】
更に、請求項9〜11に記載の車両用灯具では、光源よりも車両の中心側および光源よりも車両の側面側のそれぞれに反射面を有する第4リフレクタが設けられている。また、車両の中心側の第3リフレクタの楕円系反射面の第2焦点から車両の側面側の第4リフレクタの反射面までの平均距離が、車両の側面側の第3リフレクタの楕円系反射面の第2焦点から車両の中心側の第4リフレクタの反射面までの平均距離の約1.5〜2倍にされている。
【0049】
好ましくは、請求項9〜11に記載の車両用灯具では、車両の側面側の第4リフレクタの反射面の面積が、車両の中心側の第4リフレクタの反射面の面積の約2〜3倍にされている。
【0050】
換言すれば、請求項9〜11に記載の車両用灯具では、光源よりも車両の後側に配置された車両の側面側の第4リフレクタの反射面が、光源よりも車両の前側に配置された車両の中心側の第4リフレクタの反射面よりも大きく深くされている。
【0051】
更に好ましくは、請求項9〜11に記載の車両用灯具では、車両の側面側の第4リフレクタの反射面による集光度合いが、車両の中心側の第4リフレクタの反射面による集光度合いより大きくされている。つまり、車両の側面側のリフレクタによって集光せしめられた配光パターンが形成される。
【0052】
そのため、請求項9〜11に記載の車両用灯具によれば、車両の中心側のリフレクタによって集光せしめられた配光パターンが形成される場合よりも、遠方視認性が高く、かつ、強く集光せしめられた配光パターンを効率的に形成することができる。
【0053】
換言すれば、請求項9〜11に記載の車両用灯具では、車両の中心側の第4リフレクタの反射面による拡散度合いが、車両の側面側の第4リフレクタの反射面による拡散度合いより大きくされている。つまり、車両の中心側の第4リフレクタの反射面によって拡散せしめられた光が照射される。
【0054】
そのため、請求項9〜11に記載の車両用灯具によれば、車両の前面から奥まった位置に配置された車両の側面側のリフレクタによって拡散光が照射される場合よりも、拡散光の拡散角度を大きくすることができる。
【0055】
請求項12に記載の車両用灯具では、光源から放射された光を反射するための楕円系反射面を有する第5リフレクタが、光源の後側に配置されている。更に、第5リフレクタの楕円系反射面からの反射光を通過させて拡散板まで到達させるための第1透過穴が、車両の中心側の第1リフレクタと車両の側面側の第1リフレクタとの間に配置されている。
【0056】
つまり、請求項12に記載の車両用灯具では、光源から光源の後側に向かって放射された光が、第5リフレクタの楕円系反射面によって反射せしめられ、次いで、車両の中心側の第1リフレクタと車両の側面側のリフレクタとの間の第1透過穴を通過せしめられ、拡散板まで送られる。
【0057】
そのため、請求項12に記載の車両用灯具によれば、第5リフレクタの楕円系反射面が設けられていない場合よりも、光源から放射された光の利用効率を向上させ、照射光を明るくすることができる。
【0058】
請求項13に記載の車両用灯具では、拡散板と車両の側面側の第3リフレクタとが一部材によって形成されている。そのため、拡散板と車両の側面側の第3リフレクタとが別個の部材によって形成されている場合よりも部品点数を低減し、製造コストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0059】
本明細書において、「左側」とは、車両の前方を向いて搭乗している搭乗者から見た左側を意味し、「右側」とは、車両の前方を向いて搭乗している搭乗者から見た右側を意味する。
【0060】
以下、本発明の車両用灯具の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態の車両用灯具の一部を切り欠いて示した斜視図である。詳細には、図1は車両の右側用の前照灯を車両の前側かつ上側から見た斜視図である。図2および図3は第1の実施形態の車両用灯具の水平面内の光路を示した図である。詳細には、図1〜図3の下側が車両の前側に相当し、図1〜図3の上側が車両の後側に相当し、図1〜図3の左側が車両の右側(右側面側)に相当し、図1〜図3の右側が車両の左側(中心側)に相当する。図1〜図3に示す第1の実施形態の車両用灯具は、車両の前面から右側面に回り込むように配置されている。
【0061】
図1〜図3において、Aは光源を示しており、Bは光源Aを内蔵したバルブを示している。第1の実施形態の車両用灯具では、光源Aの主光軸線(中心軸線)が車両の前後方向(図2および図3の上下方向)に対して45°±15°をなすように、光源Aの主光軸線(中心軸線)が車両の右前側(図2および図3の左下側)に向けられている。
【0062】
また、図1〜図3において、D53は光源Aから放射された光を反射するための反射面を有するリフレクタを示している。D51は集光せしめられた光を車両の右前側(図3の左下側)に照射するために光源Aの右側(車両の右側面側、図3の左側)に配置されたリフレクタを示しており、D52は集光せしめられた光を車両の前側(図3の下側)に照射するために光源Aの左前側(車両の前側かつ中心側、図3の右下側)に配置されたリフレクタを示している。
【0063】
第1の実施形態の車両用灯具では、図1〜図3に示すように、光源Aからの光を集光させ、車両の右前側(図3の左下側)に反射するためのリフレクタD51の反射面が、回転放物面、または、それに近い放物系の面によって形成されている。更に、光源Aからの光を集光させ、車両の前側(図3の下側)に反射するためのリフレクタD52の反射面が、回転放物面、または、それに近い放物系の面によって形成されている。
【0064】
また、第1の実施形態の車両用灯具では、図2に示すように、リフレクタD53の反射面の水平断面曲線が楕円弧になっており、その楕円弧の第1焦点上またはその近傍に光源Aが位置するように、リフレクタD53の反射面が形成されている。つまり、リフレクタD53の反射面からの反射光が、水平面内では、その楕円弧の第2焦点P2において一旦集光せしめられ、その後、拡散せしめられる。更に、第1の実施形態の車両用灯具では、図示しないが、リフレクタD53の反射面の垂直(鉛直)断面曲線が放物線に近い長楕円弧になっており、その楕円弧の第1焦点上またはその近傍に光源Aが位置し、その楕円弧の第2焦点が光源Aの10m〜40m前方(図2の下側)に位置するように、リフレクタD53の反射面が形成されている。つまり、リフレクタD53の反射面からの反射光が、垂直(鉛直)面内では、光源Aの10m〜40m前方(図2の下側)において集光せしめられる。
【0065】
また、図1〜図3において、Eはカバーレンズ(前面レンズ)を示している。FAは第2焦点P2(図2参照)を通過した拡散光を左右方向に更に拡散させるための所定の光透過性を有する例えば透明波板のような拡散板を示している。つまり、拡散板FAは、第2焦点P2からの光を通過させるために、光透過性を有する材料によって形成されており、また、拡散板FAを通過する光を拡散させるために、凸レンズ状の水平断面形状(図2参照)を有する。第1の実施形態の車両用灯具では、拡散板FAとして透明な波板が用いられているが、代わりに、半透明なものを拡散板として用いたり、表面にレンズカット部分が存在しない板状部材を拡散板として用いたりすることも可能である。また、第1の実施形態の車両用灯具では、図1に示すように、拡散板FAが、リフレクタD51とリフレクタ53との境界部分から前側(図1の下側)に延ばされ、例えばねじ止めなどによってリフレクタ51,53に対して固定されている。また、図1〜図3において、FAaは光源Aから放射された光を通過させてリフレクタ51の反射面まで到達させるために拡散板FAに形成された通過穴を示している。
【0066】
図4〜図7は拡散板FAの機能効果を説明するための図である。詳細には、図4は透明な平行平板に入射する平行光、その透明な平行平板によって反射せしめられた光、および、その透明な平行平板を透過せしめられた光を示した図である。図5は図4に示した透明な平行平板の内表面(入射面)に浅い凸部を設けることにより拡散板を形成し、その拡散板に平行光を入射させた状態を示した図である。図6は図5に示した拡散板に拡散光を入射させた状態を示した図である。図7は図4に示した透明な平行平板の外表面(出射面)に浅い凸部を設けることにより拡散板を形成し、その拡散板に拡散光を入射させた状態を示した図である。
【0067】
図4に示すように、入射光線aのうち、約9割は屈折して透明な平行平板内に入り込んで光線bとなり、光線aの約1割が内表面(入射面)によって反射せしめられ、内面反射光dになる。光線bは、外表面(出射面)に到達すると、透過光cと反射光eとに分かれる。反射光eは、内表面(入射面)に到達すると、光fと反射光gとに分かれる。外表面(出射面)に到達した反射光gの一部は、外表面(出射面)を通過して透過光hになる。
【0068】
図4に示す透明な平行平板が完全透明体であって、その吸収率が実質ゼロである場合には、光線aを100%とすると、透過光cが約81%になり、反射光dが約10%になり、光fが約8%になり、透過光hが1%以下になる。このように、透明な平行平板の両面から実質的に出てくる総光量(c+d+f+h)は、99%以上になる。表面反射率が異なった値であっても、吸収率が実質ゼロと見込める場合には、99%以上の総光量が得られる。
【0069】
図5に示すように、拡散板の入射面側(図5の右側)の凸部の表面は、凸面鏡の表面と同様に構成されており、拡散板の入射面側の凸部の表面において反射せしめられた光は拡散光になる。拡散板の外表面(出射面)を通過した光は、凸部の凸レンズ機能により、一旦集光せしめられ、その後、拡散せしめられる。図5に示すように、わずかに反った程度の凸部であれば、図4に示した場合と同様に、99%以上の総光量が得られる。図示しないが、図5に示す凸部の代わりに凹部を設けた場合においても、その凹部の表面において反射せしめられた光は、一旦集光せしめられた後に拡散せしめられる拡散光になり、図5に示した場合と同様に、99%以上の総光量が得られる。
【0070】
図6に示すように、透明な平行平板の内表面(入射面)に浅い凸部を設けることによって拡散板が構成されている場合には、拡散板に拡散光が入射せしめられると、拡散光のうち、β光は図6の右下側に反射せしめられるが、α光が図6の右上側、つまり、光源側に戻されてしまうおそれがある。つまり、光のロスが生じ、総光量がダウンする傾向がある。
【0071】
図7に示すように、透明な平行平板の外表面(出射面)に浅い凸部を設けることによって拡散板が構成されている場合には、拡散板に入射せしめられた拡散光の一部が図7の右上側に戻されてしまうおそれはなくなる。一方、拡散板を通過せしめられた光が図7の左上側に進む可能性がある。図1〜図3に示す第1の実施形態の車両用灯具のように、車両用灯具が車両の前面から右側面に回り込むように配置されている場合には、拡散板FAを通過せしめられた光が図2の左上側に進んだとしても、その光は車両の右側に照射され、運転を助ける光として有効利用されることになる。つまり、図2の左上側に進んだ光がロスになってしまうことはない。
【0072】
第1の実施形態の車両用灯具では、図2に示すように、リフレクタD53の反射面からの光a1の一部が、拡散板FAを通過せしめられ、拡散板FAの波板部分によって拡散せしめられ、屈折光a2’として車両の右側(図2の左側)に照射される。また、リフレクタD53の反射面からの光a1の一部が、拡散板FAによって反射せしめられ、反射光a2として車両の中心側かつ前側(図2の右下側)に照射される。つまり、リフレクタD53の反射面からの光a1が、拡散板FAによって、屈折光a2’および反射光a2に拡散せしめられる。すなわち、拡散板FAによって、90°以上に拡散せしめられた光a2,a2’が照射される。
【0073】
同様に、図2に示すように、リフレクタD53の反射面からの光b1の一部が、拡散板FAを通過せしめられ、拡散板FAの波板部分によって拡散せしめられ、屈折光b2’として車両の右側(図2の左側)に照射される。また、リフレクタD53の反射面からの光b1の一部が、拡散板FAによって反射せしめられ、反射光b2として車両の中心側かつ前側(図2の右下側)に照射される。つまり、リフレクタD53の反射面からの光b1が、拡散板FAによって、屈折光b2’および反射光b2に拡散せしめられる。
【0074】
更に、図2に示すように、リフレクタD53の反射面からの光c1の一部が、拡散板FAを通過せしめられ、拡散板FAの波板部分によって拡散せしめられ、屈折光c2’として車両の右側(図2の左側)に照射される。また、リフレクタD53の反射面からの光c1の一部が、拡散板FAによって反射せしめられ、反射光c2として車両の前側(図2の下側)に照射される。つまり、リフレクタD53の反射面からの光c1が、拡散板FAによって、屈折光c2’および反射光c2に拡散せしめられる。
【0075】
また、図2に示すように、リフレクタD53の反射面からの光d1の一部が、拡散板FAを通過せしめられ、拡散板FAの波板部分によって拡散せしめられ、屈折光d2’として車両の右側(図2の左側)に照射される。また、リフレクタD53の反射面からの光d1の一部が、拡散板FAによって反射せしめられ、反射光d2として車両の中心側かつ前側(図2の右下側)に照射される。つまり、リフレクタD53の反射面からの光d1が、拡散板FAによって、屈折光d2’および反射光d2に拡散せしめられる。
【0076】
換言すれば、第1の実施形態の車両用灯具では、図2に示すように、拡散板FAの入射面(右側の面)および出射面(左側の面)によって反射せしめられた反射光a2,b2,c2,d2、および、拡散板FAを通過せしめられ、拡散板FAの出射面から出射せしめられた屈折光a2’,b2’,c2’,d2’の両方が照射され、有効利用される。
【0077】
そのため、第1の実施形態の車両用灯具によれば、拡散板FAを通過せしめられた屈折光a2’,b2’,c2’,d2’のみが照射されて利用される場合よりも、照射される光の拡散角度を増加させると共に、光の利用効率を向上させることができる。
【0078】
また、第1の実施形態の車両用灯具では、図3に示すように、光源Aから放射された光e1がリフレクタD52の反射面によって反射せしめられ、車両の前側(図3の下側)に照射される。詳細には、光源Aからの放射光が、リフレクタD52の放物系の反射面によって集光せしめられ、車両の前側(図3の下側)に照射される。更に、光源Aから放射された光f1が、拡散板FAの通過穴FAaを通過せしめられ、次いで、リフレクタD51の反射面によって反射せしめられ、車両の右前側(図3の左下側)に照射される。詳細には、光源Aからの放射光が、リフレクタD51の放物系の反射面によって集光せしめられ、車両の右前側(図3の左下側)に照射される。
【0079】
更に、第1の実施形態の車両用灯具では、図1〜図3に示すように、拡散板FAの先端が車両の中心側(図1〜図3の右側)に湾曲せしめられている。その結果、図2に示すように、第2焦点P2を通過した光d1の一部が、拡散板FAの入射面(図2の右側の面)および出射面(図2の左側の面)を通過する時に屈折せしめられ、拡散板FAの波板部分によって拡散せしめられ、屈折光d2’として車両の右側(図2の左側)に照射される。また、第2焦点P2を通過した光d1の一部が、拡散板FAの入射面(図2の右側の面)あるいは出射面(図2の左側の面)において反射せしめられ、反射光d2として車両の中心側かつ前側(図2の右下側)に照射される。つまり、反射光d2が、反射光c2よりも左向き(図2の右向き)に照射される。
【0080】
すなわち、第1の実施形態の車両用灯具では、図1〜図3に示すように、拡散板FAの先端を車両の中心側(図1〜図3の右側)に湾曲させることにより、照射光を均一に拡散させている。換言すれば、様々な向きに光を照射している。
【0081】
第1の実施形態の車両用灯具では、拡散板FAの先端が緩やかに湾曲せしめられているが、第2の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板FAの先端を急激に屈曲させる、つまり、小さい曲率半径で湾曲させることも可能である。あるいは、第3の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板FAの先端を複数段階にわたって屈曲させることも可能である。
【0082】
また、第4の実施形態の車両用灯具では、拡散板FAの先端部分を屈折あるいは湾曲させることなく、直線状に延ばすことも可能である。つまり、直線状に延ばされた拡散板FAからの屈折光および反射光の両方を車両用灯具の照射方向に照射することにより、拡散板FAからの屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光を拡散させることも可能である。
【0083】
第1の実施形態の車両用灯具では、図2に示すように、リフレクタ53の反射面からの拡散光の殆どが拡散板FAによって更に拡散せしめられているが、第5の実施形態の車両用灯具では、代わりに、リフレクタ53の反射面からの拡散光の少なくとも一部を、拡散板FAに当てることなく、そのまま車両用灯具の照射方向に拡散させて照射することも可能である。
【0084】
また、第1の実施形態の車両用灯具では、拡散板FAの厚さ寸法(図2の幅寸法)が例えば約2〜3mmに設定され、拡散板Aの波板部分のピッチが約3mmに設定され、拡散板Aの波板部分の凹凸の深さが約0.5mmに設定されているが、第6の実施形態の車両用灯具では、代わりに、それらの数値以外の数値にそれらの寸法を設定することも可能である。
【0085】
更に、第1の実施形態の車両用灯具では、拡散板FAの出射面(図2の左側の面)に波板加工が施されているが、第7の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板FAの入射面(図2の右側の面)に波板加工を施すことも可能である。また、第8の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板FAの入射面(図2の右側の面)および出射面(図2の左側の面)の両方に波板加工を施すことも可能である。更に、第9の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板FAに波板加工を施さないことも可能である。つまり、第9の実施形態の車両用灯具では、波板加工が施されていない拡散板FAからの屈折光および反射光の両方を車両用灯具の照射方向に照射することにより、拡散板FAからの屈折光のみが車両用灯具の照射方向に照射される場合よりも、車両用灯具の照射方向に照射される光を拡散させることができる。
【0086】
また、第1の実施形態の車両用灯具では、図2に示すように、拡散板FAの入射面(図2の右側の面)に入射する光a1,b1,c1,d1の入射角θa,θb,θc,θdが約25°以上になるように、拡散板FAが配置されている。換言すれば、拡散板FAの入射面に入射する光a1,b1,c1,d1の入射角θa,θb,θc,θdが約25°未満にならないように、拡散板FAが配置されている。そのため、約25°未満の入射角で拡散板FAの入射面に入射した光が、光源Aの側に反射して戻されてしまい、車両用灯具の照射方向に照射されなくなってしまうのを回避することができる。
【0087】
以下、本発明の車両用灯具の第10の実施形態について説明する。図8は第10の実施形態の車両用灯具の斜視図である。詳細には、図8は車両の右側用の前照灯を車両の前側かつ上側から見た斜視図である。図9は第10の実施形態の車両用灯具を水平面によって切断した断面図である。詳細には、図8および図9の下側が車両の前側に相当し、図8および図9に上側が車両の後側に相当し、図8および図9の左側が車両の右側(右側面側)に相当し、図8および図9の右側が車両の左側(中心側)に相当する。図8および図9に示す第10の実施形態の車両用灯具は、車両の前面から右側面に回り込むように配置されている。
【0088】
第10の実施形態の車両用灯具では、図9に示すように、光源Aの主光軸線(中心軸線)が車両の前後方向(図9の上下方向)に対して45°±15°をなすように、光源Aの主光軸線(中心軸線)が車両の右前側(図9の左下側)に向けられている。
【0089】
図8および図9において、Cは光源用ソケット取り付け穴を示しており、D3は光源Aから放射された光を反射するための反射面を有するリフレクタを示している。第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタD3が、反射面としての機能と、光源Aを支持する支持部材としての機能とを兼ね備えている。また、D1は集光せしめられた光を車両の前方(図9の下側)に照射するために光源Aの右側(車両の右側面側、図9の左側)に配置されたリフレクタを示しており、D2はリフレクタD1からの照射光よりも集光度合いの小さい光を車両の前方(図9の下側)に照射するために光源Aの左側(車両の中心側、図9の右側)に配置されたリフレクタを示している。第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタD1,D2,D3が一部材によって形成されている。
【0090】
更に、図8および図9において、G1は光源Aからの光をリフレクタD2に反射するための楕円系反射面を有するリフレクタを示しており、G2は光源Aからの光をリフレクタD1に反射するための楕円系反射面を有するリフレクタを示している。第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタG1の楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に光源Aが位置し、かつ、リフレクタG2の楕円系反射面の第1焦点上またはその近傍に光源Aが位置するように、リフレクタG1およびリフレクタG2が配置されている。また、第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタD1,D2,D3と、リフレクタG1と、リフレクタG2とが、別個の部材によって形成され、リフレクタD1,D2,D3とリフレクタG1とがねじ止めによって接合され、リフレクタD1,D2,D3とリフレクタG2とがねじ止めによって接合され、リフレクタG1とリフレクタG2とがねじ止めによって接合されている。
【0091】
また、図1および図2において、H1はリフレクタG2の楕円系反射面からの反射光をリフレクタD1まで到達させるために、リフレクタG2の楕円系反射面の第2焦点の近傍であって、リフレクタD3とリフレクタG1との境界部分に形成された穴を示している。H2はリフレクタG1の楕円系反射面からの反射光をリフレクタD2まで到達させるために、リフレクタG1の楕円系反射面の第2焦点の近傍であって、リフレクタD3とリフレクタG2との境界部分に形成された穴を示している。第10の実施形態の車両用灯具では、穴H1の下側縁部H1Aが、リフレクタD1によって車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインを形成するためのエッジ部分としての機能を有する。また、穴H2の下側縁部H2Aが、リフレクタD2によって車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインを形成するためのエッジ部分としての機能を有する。更に、第1の実施形態の車両用灯具では、穴H1の下側縁部H1Aが、リフレクタG1に設けられるのではなく、リフレクタD3に設けられている。また、穴H2の下側縁部H2Aが、リフレクタG2に設けられるのではなく、リフレクタD3に設けられている。
【0092】
また、第10の実施形態の車両用灯具では、穴H1を通過した光を集光させ、車両の前方(図9の下側)に反射するためのリフレクタD1の反射面が、回転放物面に近い複合楕円面によって形成されている。更に、穴H2を通過した光を集光させ、車両の前方(図9の下側)に反射するためのリフレクタD2の反射面が、回転放物面に近い複合楕円面によって形成されている。
【0093】
更に、図8および図9において、J1はリフレクタD1,D2,D3とリフレクタG1とを接合するねじを収容するためのねじ収容部としてのボス部を示しており、J2はリフレクタD1,D2,D3とリフレクタG2とを接合するねじを収容するためのねじ収容部としてのボス部を示しており、LはリフレクタG1とリフレクタG2とを接合するねじを収容するためのねじ収容部を示している。
【0094】
また、図8および図9において、HSは光源Aとほぼ平行になるようにリフレクタG2に形成された例えば横長穴のような第1透過穴を示している。第10の実施形態の車両用灯具では、図9に示すように、光源Aの中心軸線とリフレクタG2の水平断面曲線とがほぼ平行になるように、光源AおよびリフレクタG2が配置されている。そのため、光源Aから放射された光の一部は、反射を経ることなく、第1透過穴HSを通過せしめられて車両の前方(図9の下側)に照射される。詳細には、第10の実施形態の車両用灯具では、光源Aから水平に放射された光および光源Aから下向きに放射された光が第1透過穴HSを通過でき、光源Aから上向きに放射された光は第1透過穴HSを通過できないように、第1透過穴HSが形成されている。
【0095】
更に、図8および図9において、HTはリフレクタD3の反射面からの反射光を通過させるためにリフレクタG1とリフレクタG2との境界部分に形成された例えば縦長穴のような第2透過穴を示している。第10の実施形態の車両用灯具では、図9に示すように、リフレクタD3の反射面の水平断面曲線が楕円弧になっており、その楕円弧の第1焦点上またはその近傍に光源Aが位置し、その楕円弧の第2焦点P2が第2透過穴HTの位置に位置するように、リフレクタD3の反射面が形成されている。つまり、リフレクタD3の反射面からの反射光が、水平面内では、第2焦点P2において一旦集光せしめられ、その後、拡散せしめられる。更に、第10の実施形態の車両用灯具では、図示しないが、リフレクタD3の反射面の垂直(鉛直)断面曲線が放物線に近い長楕円弧になっており、その楕円弧の第1焦点上またはその近傍に光源Aが位置し、その楕円弧の第2焦点が光源Aの10m〜40m前方(図9の下側)に位置するように、リフレクタD3の反射面が形成されている。つまり、リフレクタD3の反射面からの反射光が、垂直(鉛直)面内では、光源Aの10m〜40m前方(図9の下側)において集光せしめられる。
【0096】
更に、図8および図9において、Fは第2透過穴HTを通過した拡散光を左右方向に更に拡散させるための所定の光透過性を有する例えば透明波板のような拡散板を示している。第10の実施形態の車両用灯具では、拡散板Fとして透明な波板が用いられているが、代わりに、半透明なものを拡散板として用いたり、表面にレンズカット部分が存在しない板状部材を拡散板として用いたりすることも可能である。また、第10の実施形態の車両用灯具では、拡散板FとリフレクタG1とが一部材によって形成されている。詳細には、拡散板FおよびリフレクタG1が、例えば透明な樹脂材料によって形成され、例えばリフレクタG1の内側表面にアルミ蒸着を施すことにより、リフレクタG1の楕円系反射面が形成されている。このように、透明な樹脂材料によって形成されたリフレクタG1の内側表面にアルミ蒸着を施すことにより、リフレクタG1の樹脂材料の板厚分だけ、リフレクタG1がリフレクタG1の外側からこじんまりと美しく引き締まって見えるようになる。
【0097】
また、第10の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、拡散板Fが、第2透過穴HTよりも車両の右側面側(図8および図9の左側)の位置から車両の前側(図9の下側)に延ばされ、拡散板Fの先端が車両の中心側(図8および図9の右側)に湾曲せしめられている。その結果、第2透過穴HTを通過した光の一部は、拡散板Fに当たることなく車両の前方(図9の下側)に照射される。更に、第2透過穴HTを通過した光の他の一部は、拡散板Fの入射面(図9の右側の面)および出射面(図9の左側の面)を通過する時に屈折せしめられ、車両の右前側(図9の左下側)および車両の右側(図9の左側)に拡散せしめられて照射される。また、第2透過穴HTを通過した光の残りの一部は、拡散板Fの入射面(図9の右側の面)あるいは出射面(図9の左側の面)において反射せしめられ、車両の左前側(図9の右下側)に照射される。
【0098】
第10の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、第2透過穴HTを通過した光を捕らえ易くするために、拡散板Fの先端が車両の中心側(図8および図9の右側)に湾曲せしめられている。その結果、拡散板Fに当たらなかった拡散光と、拡散板Fによって反射せしめられた拡散光とが混ざり合い、それにより、広い角度で拡散する滑らかな拡散光が得られる。
【0099】
つまり、第1の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、拡散板Fを通過せしめられた光のみならず、拡散板Fによって反射せしめられた光も、車両の前方(図9の下側)または側方(図9の左側)に照射され、有効利用される。
【0100】
また、第10の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、光源Aからの直射光によって対向車の搭乗者が眩しく感じてしまうのを防止するために、拡散板Fによって光源Aからの光が左右方向に広い角度で拡散せしめられている。そのため、第10の実施形態の車両用灯具によれば、光源Aからの光の利用効率を向上させつつ、広い角度で拡散せしめられた拡散光によって車両の側方(図9の左側、左前側および右前側)を明るく照らすことができる。
【0101】
更に、第10の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、リフレクタG2の楕円系反射面によって反射せしめられた光源Aからの光が、穴H1を通過せしめられてリフレクタG2の楕円系反射面の第2焦点に集まり、光源Aの実像を形成する。詳細には、リフレクタG2の楕円系反射面の第2焦点付近に形成される光源Aの実像の外周部分が、穴H1によって切り取られることになる。更に詳細には、例えば折れ線形状、Z型折れ線形状などのような形状を有する穴H1の下側縁部H1Aによって、光源Aの実像の外周部分の一部が切り取られ、その形状により、リフレクタD1を介して車両の前方に照射される配光パターンにはカットオフラインが形成されることになる。
【0102】
第10の実施形態の車両用灯具では、配光パターンのカットオフラインを形成するための穴H1の下側縁部H1Aが、リフレクタG1ではなく、リフレクタD3に設けられている。その結果、製造時および組付時の誤差を原因とするカットオフラインのずれが生じることがないようにされ、製造安定性が高められている。
【0103】
同様に、第10の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、リフレクタG1の楕円系反射面によって反射せしめられた光源Aからの光が、穴H2を通過せしめられてリフレクタG1の楕円系反射面の第2焦点に集まり、光源Aの実像を形成する。詳細には、リフレクタG1の楕円系反射面の第2焦点付近に形成される光源Aの実像の外周部分が、穴H2によって切り取られることになる。更に詳細には、例えば折れ線形状、Z型折れ線形状などのような形状を有する穴H2の下側縁部H2Aによって、光源Aの実像の外周部分の一部が切り取られ、それにより、リフレクタD2を介して車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインが形成されることになる。
【0104】
第10の実施形態の車両用灯具では、配光パターンのカットオフラインを形成するための穴H2の下側縁部H2Aが、リフレクタG2ではなく、リフレクタD3に設けられている。その結果、製造時および組付時の誤差を原因とするカットオフラインのずれが生じることがないようにされ、製造安定性が高められている。
【0105】
また、第10の実施形態の車両用灯具は、左右非対称に構成されている。詳細には、第10の実施形態の車両用灯具では、図8および図9に示すように、車両の右側面側(図8および図9の左側)のリフレクタD1の反射面が、車両の中心側(図8および図9の右側)のリフレクタD2の反射面よりも大きく深く形成されている。詳細には、第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタG2の楕円系反射面の第2焦点からリフレクタD1の反射面までの平均距離が、リフレクタG1の楕円系反射面の第2焦点からリフレクタD2の反射面までの平均距離の約1.5〜2倍になるように、リフレクタD1の反射面およびリフレクタD2の反射面が形成されている。更に詳細には、第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタD1の反射面の面積が、リフレクタD2の反射面の面積の約2〜3倍になるように、リフレクタD1の反射面およびリフレクタD2の反射面が形成されている。その結果、第10の実施形態の車両用灯具では、面積の比較的大きいリフレクタD1の反射面によって、集光せしめられたスポット的な配光パターンが形成され、面積の比較的小さいリフレクタD2の反射面によって、拡散度合いの比較的大きい配光パターン(拡散光帯)が形成される。
【0106】
更に、第10の実施形態の車両用灯具では、図9に示すように、強力なまとまった光を光源AからリフレクタD1の反射面に送るために、リフレクタG2の反射面の水平断面曲線と光源Aの主光軸線とがほぼ平行になるように、リフレクタG2の反射面および光源Aが配置されている。換言すれば、光源Aから放射された光が、リフレクタG1の反射面よりも、リフレクタG2の反射面によって、多く捕らえられている。
【0107】
このように構成することにより、第10の実施形態の車両用灯具では、拡散板Fによって広い角度で拡散せしめられた光が車両の右側および前方に照射されつつ、リフレクタD1の反射面によって車両の前方に照射される光が他の光よりも強くされ、遠方視認性が高められている。
【0108】
また、第10の実施形態の車両用灯具では、上述したように、反射を経ることなく、光源Aからの直接光を車両の前方(図8および図9の下側)に照射するための第1透過穴HSが形成されている。そのため、この第1透過穴HSが設けられず、リフレクタG2の楕円系反射面からの反射光の一部が穴H1においてカットされ、次いで、リフレクタD1の反射面を介して車両の前方(図1および図2の下側)に照射される場合よりも、複数回の反射に伴うロスを低減し、光の利用効率を向上させることができる。
【0109】
更に、第10の実施形態の車両用灯具では、車両の前方(図8および図9の下側)から第1透過穴HSを介して光源Aの横腹面(円筒面)が直接見えるように、光源Aの主光軸線(中心軸線)が車両の右前側(図9の左下側)に向けられている。詳細には、図9に示すように、第1透過穴HSを通過した光源Aからの光が拡散板Fの先端に当たらないように、光源A、第1透過穴HSおよび拡散板Fが配置されている。また、水平線に対して約0°〜約12°の範囲の角度をなす下向きの光が光源Aから第1透過穴HSを介して車両の前方(図8および図9の下側)に照射されるように、第1透過穴HSの上下方向寸法が設定されている。
【0110】
第10の実施形態の車両用灯具では、拡散板Fとして透明波板が用いられているが、代わりに、透明以外の拡散板を用いることも可能であり、透過率を維持できる程度の着色を拡散板に施すことも可能である。
【0111】
また、第10の実施形態の車両用灯具では、拡散板Fの出射面側(図9の左側)に凸部が設けられているが、第11の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板Fの入射面側(図9の右側)に凸部を設けるか、あるいは、拡散板Fの両面に凸部を設けることも可能である。あるいは、第12の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板Fの片面あるいは両面に凹部を設けることも可能である。
【0112】
第10の実施形態の車両用灯具では、拡散板FとリフレクタG1とが一部材によって形成されているが、第13の実施形態の車両用灯具では、代わりに、拡散板FとリフレクタG1とを別個の部材によって形成することも可能である。
【0113】
以下、本発明の車両用灯具の第14の実施形態について説明する。図10は第14の実施形態の車両用灯具の斜視図である。詳細には、図10は車両の右側用の前照灯を車両の前側かつ上側から見た斜視図である。第14の実施形態の車両用灯具は、後述する点を除き、上述した第10の実施形態の車両用灯具とほぼ同様に構成されている。従って、第14の実施形態の車両用灯具によれば、後述する点を除き、上述した第10の実施形態の車両用灯具とほぼ同様の効果を奏することができる。
【0114】
図10において、図8および図9に示した参照番号と同一の参照番号は、図8および図9に示した部品または部分と同一の部品または部分を示している。
【0115】
図8に示すように、第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタG1が1段によって構成されているが、図10に示すように、第14の実施形態の車両用灯具では、リフレクタG1の代わりに、上下2段に分割されたリフレクタG11およびリフレクタG12が設けられている。同様に、図8に示すように、第10の実施形態の車両用灯具では、リフレクタG2が1段によって構成されているが、図10に示すように、第14の実施形態の車両用灯具では、リフレクタG2の代わりに、上下2段に分割されたリフレクタG21およびリフレクタG22が設けられている。
【0116】
第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、リフレクタG21の楕円系反射面からの反射光が、リフレクタD3とリフレクタG11との境界部分に形成された穴H11(図示せず)を通過せしめられ、次いで、リフレクタD11の反射面によって車両の前方に照射される。また、リフレクタG11の楕円系反射面からの反射光が、リフレクタD3とリフレクタG21との境界部分に形成された穴H12を通過せしめられ、次いで、リフレクタD12の反射面によって車両の前方に照射される。更に、リフレクタG22の楕円系反射面からの反射光が、リフレクタD3とリフレクタG12との境界部分に形成された穴H13を通過せしめられ、次いで、リフレクタD13の反射面によって車両の前方に照射される。また、リフレクタG12の楕円系反射面からの反射光が、リフレクタD3とリフレクタG22との境界部分に形成された穴H14を通過せしめられ、次いで、リフレクタD14の反射面によって車両の前方に照射される。
【0117】
また、第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、リフレクタD11の反射面によって車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインを形成するエッジ部分としての穴H11(図示せず)の下側端部H11A(図示せず)が、リフレクタG11ではなく、リフレクタD3に設けられている。また、リフレクタD12の反射面によって車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインを形成するエッジ部分としての穴H12の下側端部H12Aが、リフレクタG21ではなく、リフレクタD3に設けられている。更に、リフレクタD13の反射面によって車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインを形成するエッジ部分としての穴H13の下側端部H13Aが、リフレクタG12ではなく、リフレクタD3に設けられている。また、リフレクタD14の反射面によって車両の前方に照射される配光パターンにカットオフラインを形成するエッジ部分としての穴H14の下側端部H14Aが、リフレクタG22ではなく、リフレクタD3に設けられている。
【0118】
更に、第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、光源A(図示せず)からの放射光の一部が、リフレクタG11とリフレクタG21との境界部分に形成された穴H21を通過せしめられ、次いで、リフレクタL1の反射面によって車両の右前方に照射され、リフレクタL2の反射面によって車両の左前方に照射される。また、光源A(図示せず)からの放射光の一部が、リフレクタG12とリフレクタG22との境界部分に形成された穴H22(図示せず)を通過せしめられ、次いで、リフレクタL3の反射面によって車両の右前方に照射され、リフレクタL4の反射面によって車両の左前方に照射される。更に、光源A(図示せず)からの放射光の一部が、リフレクタG11とリフレクタG12との境界部分に形成された穴H23(図示せず)を通過せしめられ、次いで、リフレクタL5の反射面によって車両の前方に照射される。また、光源A(図示せず)からの放射光の一部が、リフレクタG21とリフレクタG22との境界部分に形成された穴H24を通過せしめられ、次いで、リフレクタL6の反射面によって車両の前方に照射される。
【0119】
第14の実施形態の車両用灯具では、リフレクタL1,L2,L3,L4,L5,L6の反射面による1回のみの反射を経た光が車両の前方に照射されるため、複数回の反射を経た光が車両の前方に照射される場合よりもロスを低減することができる。
【0120】
また、第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、拡散板Fが、第2透過穴HTよりも車両の右側面側(図10の左側)の位置から車両の前側(図10の手前側)に延ばされ、拡散板Fの先端が車両の中心側(図10の右側)に湾曲せしめられている。その結果、第2透過穴HTを通過した光の一部は、拡散板Fに当たることなく車両の前方(図10の手前側)に照射される。更に、第2透過穴HTを通過した光の他の一部は、拡散板Fの入射面(図10の右側の面)および出射面(図10の左側の面)を通過する時に屈折せしめられ、車両の右前側および右側(図10の左下側)に拡散せしめられて照射される。また、第2透過穴HTを通過した光の残りの一部は、拡散板Fの入射面(図10の右側の面)あるいは出射面(図10の左側の面)において反射せしめられ、車両の左前側(図10の右側)に照射される。
【0121】
第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、第2透過穴HTを通過した光を捕らえ易くするために、拡散板Fの先端が車両の中心側(図10の右側)に湾曲せしめられている。その結果、拡散板Fに当たらなかった拡散光と、拡散板Fによって反射せしめられた拡散光とが混ざり合い、それにより、広い角度で拡散する滑らかな拡散光が得られる。
【0122】
つまり、第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、拡散板Fを通過せしめられた光のみならず、拡散板Fによって反射せしめられた光も、車両の前方(図10の手前側)または側方(図10の左側)に照射され、有効利用される。
【0123】
また、第14の実施形態の車両用灯具では、図10に示すように、光源Aからの直射光によって対向車の搭乗者が眩しく感じてしまうのを防止するために、拡散板Fによって光源Aからの光が左右方向に広い角度で拡散せしめられている。そのため、第14の実施形態の車両用灯具によれば、光源Aからの光の利用効率を向上させつつ、広い角度で拡散せしめられた拡散光によって車両の側方(図10の左側および右側)を明るく照らすことができる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
本発明の車両用灯具は、例えば自動車用前照灯、補助前照灯、フロントターンランプ、コーナーリングランプなどのような車両の前面あるいは側面に配置される灯具に適用可能である。また、本発明の車両用灯具は、例えばテールランプ、ストップランプ、バックランプなどのような車両の後面に配置される灯具に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】第1の実施形態の車両用灯具の一部を切り欠いて示した斜視図である。
【図2】第1の実施形態の車両用灯具の水平面内の光路を示した図である。
【図3】第1の実施形態の車両用灯具の水平面内の光路を示した図である。
【図4】拡散板FAの機能効果を説明するための図である。
【図5】拡散板FAの機能効果を説明するための図である。
【図6】拡散板FAの機能効果を説明するための図である。
【図7】拡散板FAの機能効果を説明するための図である。
【図8】第10の実施形態の車両用灯具の斜視図である。
【図9】第10の実施形態の車両用灯具を水平面によって切断した断面図である。
【図10】第14の実施形態の車両用灯具の斜視図である。
【図11】従来の車両用灯具100の斜視図である。
【図12】入射角を大きくすることに伴う弊害を説明するための図である。
【符号の説明】
【0126】
A 光源
B バルブ
D51,D52,D53 リフレクタ
FA 拡散板
FAa 通過穴
E カバーレンズ




 

 


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