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発明の名称 スモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−165100(P2007−165100A)
公開日 平成19年6月28日(2007.6.28)
出願番号 特願2005−359347(P2005−359347)
出願日 平成17年12月13日(2005.12.13)
代理人 【識別番号】100117020
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 弘造
発明者 新野 史 / 吉田 誠 / 岡田 智
要約 課題
スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜のみが形成されている場合や、スモーク色の見栄えを有する膜上に保護膜のみが形成されている場合よりも、スモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させる。

解決手段
スモーク色の見栄えを有する膜7を備えた部材において、スモーク色の見栄えを有する膜7として金属を含有するものを形成し、次いで、スモーク色の見栄えを有する膜7に含まれる金属であって、その膜7の表面に位置する金属を酸化させることにより、スモーク色の見栄えを有する膜7上に酸化膜8を形成し、次いで、酸化膜8上に保護膜9を形成した。
特許請求の範囲
【請求項1】
スモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材において、前記スモーク色の見栄えを有する膜として金属を含有するものを形成し、次いで、前記スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属であって、その膜の表面に位置する金属を酸化させることにより、前記スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、次いで、前記酸化膜上に保護膜を形成したことを特徴とする部材。
【請求項2】
前記酸化膜と前記保護膜とを隣接させて前記スモーク色の見栄えを有する膜上に形成したことを特徴とする請求項1に記載の部材。
【請求項3】
前記スモーク色の見栄えを有する膜に含まれるAlであって、その膜の表面に位置するAlを酸化させることにより、前記スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、次いで、その酸化膜上に前記保護膜を形成したことを特徴とする請求項2に記載の部材。
【請求項4】
Alの酸化物からなる酸化膜と前記保護膜としてのSiOx膜とを隣接させて前記スモーク色の見栄えを有する膜上に形成したことを特徴とする請求項3に記載の部材。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、スモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材に関し、特には、スモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができる部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、スモーク色の見栄えを有する膜を備えた車両用インナーパネルが知られている。この種の車両用インナーパネルの例としては、例えば特開平10−236223号公報に記載されたものがある。
【0003】
特開平10−236223号公報の図1に記載された車両用インナーパネルでは、スモーク色の見栄えを有する膜として、スモーク色のプラズマ重合膜の保護膜が形成されている。また、特開平10−236223号公報の図4に記載された車両用インナーパネルでは、スモーク色の見栄えを有する膜として、スモークトップコート(スモーク色のトップコート)が形成されている。
【0004】
ところで、特開平10−236223号公報の図1および図4に記載されたような車両用インナーパネルには、車両が使用される環境に応じて、例えば耐アルカリ性のような耐久性が必要とされる。また、スモーク色の見栄えを有する膜に金属光沢を付加する場合には、そのスモーク色の見栄えを有する膜に金属が含められる場合がある。
【0005】
ところが、スモーク色の見栄えを有する膜に金属が含められている場合には、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属がアルカリ性水溶液にさらされると、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属が、アルカリ性水溶液によって溶解し、それに伴って、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属以外の組成物が密着力を失ってしまうおそれがある。このように、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属が溶解し、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属以外の組成物が密着力を失ってしまうと、スモーク色の見栄えを有する膜を構成していたものが剥離し、その結果、スモーク色の見栄えを有する膜が消失してしまうおそれがある。
【0006】
特に、特開平10−236223号公報の図1および図4に記載された車両用インナーパネルのように、スモーク色の見栄えを有する膜が最表面に配置され、スモーク色の見栄えを有する膜の表面が露出せしめられていると、スモーク色の見栄えを有する膜が消失してしまうおそれが大きくなる。
【0007】
【特許文献1】特開平10−236223号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
また、特開平10−236223号公報の図5に記載された車両用インナーパネルでは、スモーク色の見栄えを有する膜として、スモーク色を出すためのカーボン膜が形成されている。更に、スモーク色を出すためのカーボン膜を覆うようにプラズマ重合膜の保護膜が形成されている。
【0009】
本発明者らは、特開平10−236223号公報の図5に記載された車両用インナーパネルのように、スモーク色の見栄えを有する膜を覆うように保護膜が形成されている部材であって、スモーク色の見栄えを有する膜にAlが含められている部材について、耐アルカリ性の研究を行った。
【0010】
詳細には、本発明者らは、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に、保護膜として数百〜数千ÅのSiOx膜を形成し、そのスモーク色の見栄えを有する膜と保護膜とが形成された基板を用いてアルカリ試験(1wt%KOH水溶液に10分間浸漬)を行った。
【0011】
Alとの密着性が良いSiOx膜はAlを保護する膜として従来から車両用灯具などで広く採用されており、また、Al上に形成された数百Å以上の膜厚のSiOx膜によってAlへのアルカリ性水溶液の侵入が防止されることが従来から知られているため、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に形成された数百〜数千ÅのSiOx膜は、十分な耐アルカリ性を有していると予想された。
【0012】
ところが、アルカリ試験の結果、数百〜数千Åのいずれの膜厚においても、スモーク色の見栄えを有する膜の消失が確認された。つまり、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上にSiOx膜を形成しただけでは、十分な耐アルカリ性がないことが確認されたのである。
【0013】
詳細には、SiOx膜の膜厚が厚いほど、スモーク色の見栄えを有する膜の消失量が減少する傾向が認められたが、SiOx膜の膜厚が厚過ぎると、SiOx膜の内部応力によってSiOx膜が破壊し、その結果、Alへのアルカリ性水溶液の侵入を防止できないことが確認された。
【0014】
換言すれば、本発明者らのアルカリ試験の結果、SiOx膜のみによっては、Al以外に不純物が混在しているスモーク色の見栄えを有する膜をアルカリ性水溶液から十分に保護できないことが確認された。Al以外に不純物が混在しているスモーク色の見栄えを有する膜とSiOx膜との密着性は、AlとSiOx膜との密着性よりも低くなり、その結果、Al以外に不純物が混在しているスモーク色の見栄えを有する膜にはアルカリ性水溶液が侵入しやすくなっていると思われる。
【0015】
また、Alを酸化膜で覆うことによってAlの耐アルカリ性を向上させることができることも従来から知られている。そこで、本発明者らは、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、そのスモーク色の見栄えを有する膜と酸化膜とが形成された基板についても、アルカリ試験(1wt%KOH水溶液に10分間浸漬)を行った。
【0016】
アルカリ試験の結果、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成することによって、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性が向上することが確認されたものの、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成しただけでは、十分な耐アルカリ性がないことが確認された。つまり、酸化膜のみによっては、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜をアルカリ性水溶液から十分に保護できないことが確認された。更に、酸化膜の酸化を進めすぎると、酸化膜が白濁してしまい、その結果、スモーク色の見栄えが損なわれてしまうことも確認された。
【0017】
このように、本発明者らの耐アルカリ性の研究により、SiOx膜のみによっては、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜をアルカリ性水溶液から十分に保護できず、また、酸化膜のみによっても、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜をアルカリ性水溶液から十分に保護できないことが確認された。
【課題を解決するための手段】
【0018】
そこで、本発明者らは、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性の研究を更に進めた。詳細には、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、更に、その酸化膜上に保護膜として数百〜数千ÅのSiOx膜を形成し、そのスモーク色の見栄えを有する膜と酸化膜と保護膜とが形成された基板を用いてアルカリ試験(1wt%KOH水溶液に10分間浸漬)を行った。
【0019】
アルカリ試験の結果、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、更に、その酸化膜上に保護膜が形成されている場合には、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜のみが形成されている場合、および、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に保護膜のみが形成されている場合よりも、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性が飛躍的に向上することが確認されたのである。
【0020】
詳細には、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜のみが形成されている場合、および、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に保護膜のみが形成されている場合には、アルカリ試験後に、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の消失が確認されたのに対し、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、更に、その酸化膜上に保護膜が形成されている場合には、アルカリ試験後に、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の消失が確認されなかった。
【0021】
このように、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、更に、その酸化膜上に保護膜が形成されている場合に、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の消失が確認されなかった理由としては、保護膜を通過して侵入してきたアルカリ性水溶液に対して酸化膜が補助的に機能したためと思われる。
【0022】
詳細には、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜と保護膜との密着性よりも、酸化膜と保護膜との密着性が高くなっているため、保護膜から酸化膜にアルカリ性水溶液が侵入しづらくなっており、その結果、その酸化膜によって覆われているAlが含められているスモーク色の見栄えを有する膜が消失しなかったと思われる。
【0023】
以上のように、本発明者らは、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、更に、その酸化膜上に保護膜を形成することにより、すなわち、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜および保護膜を隣接させて形成することにより、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができることを見出したのである。
【0024】
本発明者らは、Alが含められているスモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜および保護膜が隣接して形成されたものについてアルカリ試験を行ったが、Alの代わりに、例えばAgのような他の任意の金属が含められているスモーク色の見栄えを有する膜についても、その膜上に酸化膜および保護膜を隣接させて形成することにより、耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができると思われる。
【0025】
すなわち、本発明は、スモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができるスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材を提供することを目的とする。
【0026】
詳細には、本発明は、スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜のみが形成されている場合や、スモーク色の見栄えを有する膜上に保護膜のみが形成されている場合よりも、スモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができるスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材を提供することを目的とする。
【0027】
請求項1に記載の発明によれば、スモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材において、前記スモーク色の見栄えを有する膜として金属を含有するものを形成し、次いで、前記スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属であって、その膜の表面に位置する金属を酸化させることにより、前記スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、次いで、前記酸化膜上に保護膜を形成したことを特徴とする部材が提供される。
【0028】
請求項2に記載の発明によれば、前記酸化膜と前記保護膜とを隣接させて前記スモーク色の見栄えを有する膜上に形成したことを特徴とする請求項1に記載の部材が提供される。
【0029】
請求項3に記載の発明によれば、前記スモーク色の見栄えを有する膜に含まれるAlであって、その膜の表面に位置するAlを酸化させることにより、前記スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜を形成し、次いで、その酸化膜上に前記保護膜を形成したことを特徴とする請求項2に記載の部材が提供される。
【0030】
請求項4に記載の発明によれば、Alの酸化物からなる酸化膜と前記保護膜としてのSiOx膜とを隣接させて前記スモーク色の見栄えを有する膜上に形成したことを特徴とする請求項3に記載の部材が提供される。
【発明の効果】
【0031】
請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、スモーク色の見栄えを有する膜として金属を含有するものが形成され、次いで、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属であって、その膜の表面に位置する金属を酸化させることによって、スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜上に保護膜が形成されている。
【0032】
すなわち、請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜上に保護膜が形成されている。詳細には、酸化膜と保護膜とが、隣接せしめられてスモーク色の見栄えを有する膜上に形成されている。
【0033】
そのため、請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材によれば、スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜のみが形成されている場合や、スモーク色の見栄えを有する膜上に保護膜のみが形成されている場合よりもスモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができる。
【0034】
また、仮に、スモーク色の見栄えを有する膜上に先に保護膜が形成され、次いで、その保護膜上に酸化膜が形成されると、保護膜上に金属酸化物からなる酸化膜を形成するために、保護膜上に金属を別途供給しなければならなくなる。
【0035】
この点に鑑み、請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属であって、その膜の表面に位置する金属を酸化させることにより、スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜上に保護膜が形成されている。
【0036】
つまり、請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属を用いることにより、その金属酸化物からなる酸化膜が、スモーク色の見栄えを有する膜上に形成され、次いで、その酸化膜上に保護膜が形成されている。
【0037】
そのため、請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材によれば、酸化膜を形成するための金属を別途供給する必要性を排除することができる。
【0038】
更に、請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、好ましくは、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれるAlであって、その膜の表面に位置するAlを酸化させることにより、スモーク色の見栄えを有する膜上に酸化膜が形成され、次いで、その酸化膜上に保護膜が形成されている。また、Alの酸化物からなる酸化膜と保護膜としてのSiOx膜とが、隣接せしめられてスモーク色の見栄えを有する膜上に形成されている。そのため、スモーク色の見栄えを有する膜と酸化膜との密着性より高く、かつ、スモーク色の見栄えを有する膜と保護膜との密着性より高い、Alの酸化物からなる酸化膜とSiOx膜との密着性によって、スモーク色の見栄えを有する膜の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができる。
【0039】
請求項1〜4に記載のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、スモーク色の見栄えを有する膜に含まれる金属として、Al以外にも、例えばAgのような任意の金属を用いることが可能である。また、酸化膜を覆うための保護膜として、SiOx膜以外の任意の保護膜を用いることが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下、本発明のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の第1の実施形態について説明する。図1は第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材としての自動車用ヘッドランプのエクステンションの一部の断面図である。図1において、1は例えばPET、PBTなどのような樹脂により形成されたエクステンションの基材を示しており、2は基材1の表面に鏡面出しを施すために塗布された例えばアクリル系樹脂からなるアンダーコートを示している。7は図2に示す真空蒸着装置によってアンダーコート2上に形成された金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜を示している。8は金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に形成された酸化膜を示しており、9は酸化膜8上に形成された例えばSiOx膜のような保護膜を示している。
【0041】
本明細書において、「スモーク色」には、例えば黒色が含まれる。
【0042】
図2は図1に示した金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7を形成するために用いられる真空蒸着装置の概略構成図である。図2において、31は真空蒸着装置のチャンバー内に導入されるキャリアガスを示しており、32はプラズマ33を発生させるための電源を示している。34は真空蒸着装置のチャンバー内に導入される反応ガスを示している。第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、反応ガス34としてヘキサメチルジシロキ酸が用いられているが、代わりに、C、Si、O、Hを含むヘキサメチルジシロキ酸以外のガスを反応ガス34として用いることも可能である。
【0043】
また、図2において、35はプラズマ33によって加熱溶解して蒸発せしめられるAlを収容するためにチャンバー内に配置されたるつぼを示している。図2に示す基材1の表面には、図示しない前工程において、アンダーコート2(図1参照)が塗布されている。
【0044】
第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、図2に示す真空蒸着装置によってAlと反応ガス34としてのヘキサメチルジシロキ酸に由来する生成物とがアンダーコート2(図1参照)上に成膜される。詳細には、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、まず、図示しない前工程においてアンダーコート2が塗布された基材1が図2に示す真空蒸着装置のチャンバー内にセットされる。次いで、Alがるつぼ35内に充填される。
【0045】
次いで、Alがプラズマ33によって加熱溶解せしめられ、蒸発せしめられる。これと同時に、反応ガス34としてのヘキサメチルジシロキ酸が真空蒸着装置のチャンバー内に導入され、プラズマ33によって分解せしめられる。それにより、ヘキサメチルジシロキ酸由来のC、Si、O、HとAlとの化合物または混合物であると推定される金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7(図1参照)がアンダーコート2上に形成される。
【0046】
第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、プラズマ33によって、Alが蒸着せしめられ、かつ、反応ガス34としてのヘキサメチルジシロキ酸の化学反応が促進せしめられているが、代わりに、他の任意の蒸着方法によってAlを蒸着させ、かつ、反応ガス34としてのヘキサメチルジシロキ酸の化学反応を促進させることも可能である。詳細には、例えばスパッタによってAlを蒸着させることが可能である。あるいは、例えば抵抗加熱蒸着によってAlを蒸着させることが可能である。また、例えばEB蒸着によってAlを蒸着させることが可能である。更に、例えば熱によって反応ガス34としてのヘキサメチルジシロキ酸の化学反応を促進させることが可能である。また、例えば光によって反応ガス34としてのヘキサメチルジシロキ酸の化学反応を促進させることが可能である。
【0047】
上述したように、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、Alの蒸着とヘキサメチルジシロキ酸の蒸着とが同時に行われる。そのため、Alを含む膜を形成する工程と、ヘキサメチルジシロキ酸のプラズマ重合膜を形成する工程とが別個に設けられている場合よりも、工程数を低減し、製造コストを抑えつつ、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7(図1参照)を形成することができる。
【0048】
換言すれば、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、Alの蒸着とヘキサメチルジシロキ酸の蒸着とを同時に行うことにより、Al、C、Si、OおよびHのすべてを含む膜7が形成される。詳細には、Al、C、Si、OおよびHのすべてが単一の膜7に含められる。そのため、Alを含む膜と、ヘキサメチルジシロキ酸に由来するC、Si、OおよびH原子を含む膜とが別個の膜として形成される場合よりも、工程数を低減し、製造コストを抑えつつ、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7を形成することができる。
【0049】
更に、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7(図1参照)に要求されるスモーク色の濃淡に応じて、真空蒸着装置のチャンバー内に導入されるヘキサメチルジシロキ酸の反応ガス34の流量が変化せしめられる。例えば反応ガス34の流量を増加させることによりスモーク色が濃くされ、反応ガス34の流量を減少させることによりスモーク色が淡くされる。そのため、例えば黒色顔料を含む膜の厚さを変更することによりスモーク色の濃淡を変更する場合よりも容易にスモーク色の濃淡を変更することができる。つまり、コストの上昇を招くことなく自動車用ヘッドランプのデザイン性の幅を広げることができる。
【0050】
また、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7が形成されると、次いで、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7に含まれるAlであって、その膜7の表面(図1の上側の面)に位置するAlを酸化させることによって、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に酸化膜8が形成される。詳細には、アルカリ性水溶液に不溶なAlが形成される。第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、例えば酸素プラズマ暴露によって酸化膜8が形成されるが、代わりに、例えば熱酸化のような他の任意の方法によって酸化膜8を形成することも可能である。
【0051】
更に、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、次いで、酸化膜8上に例えばSiOx膜のような保護膜9が形成される。第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材の製造時には、例えばHMDS(ヘキサメチルジシロキ酸)のプラズマ重合によって保護膜9としてのSiOx膜が形成されるが、代わりに、例えばスパッタなどの真空蒸着のような他の任意の方法によって保護膜9を形成することも可能である。
【0052】
すなわち、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、図1に示すように、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に酸化膜8が形成され、次いで、その酸化膜8上に保護膜9が形成されている。詳細には、酸化膜8と保護膜9とが、隣接せしめられて金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に形成されている。
【0053】
そのため、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材によれば、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に酸化膜8のみが形成されている場合や、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に保護膜9のみが形成されている場合よりも、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができる。
【0054】
つまり、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材によれば、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に酸化膜8のみが形成されている場合や、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に保護膜9のみが形成されている場合よりも、酸化膜8と保護膜9との2重構造によって、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7の経時的な外観の変化を抑制することができる。
【0055】
更に、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、上述したように、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7に含まれるAlであって、その膜7の表面(図1の上側の面)に位置するAlを酸化させることにより、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に酸化膜8が形成され、次いで、その酸化膜8上に保護膜9が形成されている。
【0056】
つまり、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7に含まれるAlを用いることにより、そのAlの酸化物からなる酸化膜8が、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に形成され、次いで、その酸化膜8上に保護膜9が形成されている。
【0057】
そのため、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材によれば、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7を形成するための工程とは別個に、酸化膜8を形成するためにAlを供給する工程を設ける必要性を排除することができる。
【0058】
更に、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、図1に示すように、Alの酸化物からなる酸化膜8と保護膜9としてのSiOx膜とが、隣接せしめられて金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7上に形成されている。そのため、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7と酸化膜8との密着性より高く、かつ、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7と保護膜9との密着性より高い、Alの酸化物からなる酸化膜8とSiOx膜(保護膜9)との密着性によって、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7の耐アルカリ性を飛躍的に向上させることができる。
【0059】
第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7に含まれる金属としてAlが用いられているが、第2の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、代わりに、金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7に含まれる金属として、例えばAgのようなAl以外の任意の金属を用いることが可能である。
【0060】
また、第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、酸化膜8を覆うための保護膜9としてSiOx膜が用いられているが、第3の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材では、代わりに、酸化膜8を覆うための保護膜9としてSiOx膜以外の任意の保護膜を用いることが可能である。
【0061】
第1から第3の実施形態では、本発明のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材が自動車用ヘッドランプのエクステンションに適用されているが、第4の実施形態では、金属光沢のあるスモーク色の見栄えが要求される他の任意の部材に対して本発明を適用することができる。
【0062】
第5の実施形態では、上述した第1から第4の実施形態を適宜組合わせることも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明は、例えば自動車用ヘッドランプエクステンション、自動車用リアコンビエクステンション、自動二輪車用ヘッドランプエクステンション、例えば操作パネル、スイッチなどのような家電製品の部品、携帯電話のボディー、例えば操作パネル、スイッチなどのようなオーディオ製品の部品、例えばパーソナルコンピュータ、電子手帳などのようなモバイル製品のボディー等に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】第1の実施形態のスモーク色の見栄えを有する膜を備えた部材としての自動車用ヘッドランプのエクステンションの一部の断面図である。
【図2】図1に示した金属光沢のあるスモーク色の見栄えを有する膜7を形成するために用いられる真空蒸着装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0065】
1 基材
2 アンダーコート
7 膜
8 酸化膜
9 保護膜




 

 


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