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発明の名称 車両前照灯及びリフレクタとその製造方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−115474(P2007−115474A)
公開日 平成19年5月10日(2007.5.10)
出願番号 特願2005−304504(P2005−304504)
出願日 平成17年10月19日(2005.10.19)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 中田 祥弘
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、リフレクタの反射面を構成しない領域には、アルミニウム蒸着膜を形成しないことにより、溶損対策及び熱低減対策を可能にした、車両前照灯,リフレクタ及びその製造方法を提供することを目的とする。

解決手段
光源11からの光を、前方に向かって凹状の金属蒸着膜15bから成る反射面12を内側に有するリフレクタ15により前方に向かって反射させて、凸状の投影レンズ13により集束させて前方に向かって照射すると共に、上記リフレクタと投影レンズの間に配置したシャッタ14により、カットオフを形成するようにした車両前照灯であって、上記リフレクタの外側面の少なくとも光源直上領域にてマスキングにより金属蒸着膜が形成されないように、車両前照灯10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
光源と、
光源からの光を前方に向かって反射させるように、前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有するリフレクタと、
上記光源からの直接光または上記リフレクタの反射面による反射光を集束させて前方に向かって照射する凸状の投影レンズと、
上記リフレクタと投影レンズの間にて、上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタと、
を備えた車両前照灯であって、
上記リフレクタの外側面の少なくとも光源直上領域にてマスキングにより金属蒸着膜が形成されていない
ことを特徴とする、車両前照灯。
【請求項2】
上記リフレクタの外側面が、光源の上方への投影領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項3】
上記リフレクタの外側面が、光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項4】
上記リフレクタの外側面が、全面に亘って、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項5】
前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有しており、光源からの光を上記反射面により前方に向かって反射させて、その前方にて配置された凸状の投影レンズにより、前方に向かって集束させながら照射すると共に、前方の投影レンズの間にて上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタによりカットオフを形成するようにした車両前照灯におけるリフレクタであって、
上記リフレクタの外側面の少なくとも光源直上領域にてマスキングにより金属蒸着膜が形成されていない
ことを特徴とする、車両前照灯のリフレクタ。
【請求項6】
上記リフレクタの外側面が、光源の上方への投影領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両前照灯のリフレクタ。
【請求項7】
上記リフレクタの外側面が、光軸方向に関して光源の先端より後方の領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両前照灯のリフレクタ。
【請求項8】
上記リフレクタの外側面が、全面に亘って、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない
ことを特徴とする、請求項5に記載の車両前照灯のリフレクタ。
【請求項9】
前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有しており、光源からの光を上記反射面により前方に向かって反射させて、その前方にて配置された凸状の投影レンズにより、前方に向かって集束させながら照射すると共に、前方の投影レンズの間にて上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタによりカットオフを形成するようにした車両前照灯におけるリフレクタの製造方法であって、
上記リフレクタを構成する樹脂成形品の内側面に反射膜としての金属蒸着膜を形成する際に、上記樹脂成形品における外側面の少なくとも光源直上領域をマスキングして、上記樹脂成形品の表面全体に金属蒸着膜を形成する
ことを特徴とする、車両前照灯のリフレクタの製造方法。
【請求項10】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光源の上方への投影領域に対して行なわれることを特徴とする、請求項9に記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
【請求項11】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域に対して行なわれることを特徴とする、請求項9に記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
【請求項12】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面の全面に亘って行なわれることを特徴とする、請求項9に記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
【請求項13】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の金属蒸着装置へのセットの際に使用される治具に設けられた遮蔽板により行なわれることを特徴とする、請求項9〜12の何れかに記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
【請求項14】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面に貼り付けられたマスキングテープにより行なわれることを特徴とする、請求項9〜12の何れかに記載の車両前照灯のリフレクタの製造方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用される車両前照灯及びリフレクタとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所謂プロジェクタタイプの自動車用の車両前照灯は、例えば図7及び図8に示すように構成されている。
即ち、図7及び図8において、車両前照灯1は、光源としてバルブ2と、上記バルブ2の発光中心が第一の焦点位置F1付近に位置し且つ長軸がバルブ2の光軸Oと一致するように配置されていて、バルブ2からの光を前方に向かって反射させる楕円系の反射面3と、その光源側の焦点位置が上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に位置するように配置され、バルブ2または反射面3からの光を集束させる投影レンズ4と、バルブ2から投影レンズ4への光路中にて上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に配置されたカットオフを形成するためのシャッタ5と、から構成されている。
尚、上記バルブ2は、ソケット2aに装着されることにより、機械的に固定保持されると共に、給電が行なわれるようになっている。
また、上記投影レンズ4は、レンズホルダー4aにより保持されるようになっている。
【0003】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2から出射した光が、直接にまたは上記反射面3で反射されて、この反射面3の第二の焦点位置F2に向かって集束した後、投影レンズ4に入射し、投影レンズ4によって集束されることにより、前方に向かって照射される。
その際、投影レンズ4に入射する光の一部がシャッタ5の上縁5aによって遮断されることにより、カットオフを形成され、対向車に幻惑光を与えないように対向車線側で照射距離が短くなるような所望の配光特性が得られ、所謂すれ違いビームが形成されるようになっている。
【0004】
ところで、このような構成の車両前照灯1における反射面3は、通常、樹脂成形品から成るリフレクタ6の表面に反射膜を形成することにより構成されている。
そして、このような樹脂成形品の表面に対する反射膜は、例えば特許文献1による反射膜付き樹脂部品の製造方法によって、形成されるようになっている。
即ち、図9に示すように、リフレクタ6を構成する樹脂成形品の表面に対して、基本的には、アンダーコート6a,実際の反射膜としてのアルミニウム薄膜の蒸着膜6bそしてトップコート6cの順に表面処理されることにより、反射膜が形成されるようになっている。
【0005】
これに対して、特許文献2には、アンダーコートを省略しつつ、所定の反射率を達成するようにした車両用灯具が開示されている。
【特許文献1】特開平11−221517号
【特許文献2】特開平08−077801号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、上述した特許文献1及び特許文献2を含む従来の車両前照灯における反射面の形成は、実際の反射膜としてのアルミニウム薄膜の蒸着膜6bが不可避であり、このようなアルミニウム薄膜の蒸着は、一般的には、例えば抵抗加熱式やスパッタリング法等により行なわれている。
その際、できるだけ高い生産性や低い製造コストを実現するために、1パッチに樹脂成形品を多数個投入し、樹脂成形品をセットする器具を自公転させることにより、各樹脂成形品の表面に対するアルミニウム蒸着膜6bをできるだけ均一な厚さで形成することにより、反射膜を備えた樹脂成形品を大量生産するようにしている。
【0007】
このような方法によりアルミニウム蒸着膜を形成する場合、上述した車両前照灯1のように曲率を備えた反射面3において、リフレクタ6の比較的奥まった部分に対しても、アルミニウム蒸着膜が確実に形成され得るが、同時に、図9に示すように、樹脂成形品の外側、即ちリフレクタ6の外面にもアルミニウム蒸着膜6bが形成されることになる。
【0008】
このため、上記リフレクタの反射面3として機能しない外側面にもアルミニウム蒸着膜が形成されることから、アルミニウム蒸着膜の材料の必要量が多くなり、材料コストが高くなってしまう。
さらに、前述した凹状の楕円系の反射面の場合、光学的な構成上、反射面3即ちリフレクタ6の容積が比較的小さく、しかもバルブ2と反射面3との間の距離が、放物面系の反射面の場合と比較して短いことから、高温点灯試験を実施したとき、バルブ2から上に向かって上昇する熱によって、上記バルブ2の直上に位置する反射面の領域A(図10(A)参照)に達する。
【0009】
しかしながら、図9に関連して前述したように、反射面3を構成するリフレクタ6の裏面(外側面)にもアルミニウム蒸着膜6bが形成されてしまうことから、熱が外側に発散しない。
このため、上述したバルブ2の直上に位置する反射面の領域Aに熱が溜って、高温になり、場合によっては、図10(B)にて符号Bで示すように、リフレクタを構成する熱可塑性樹脂が溶損してしまうことがある。
従って、リフレクタ全体が熱変形することになり、反射面3が所定の形状を保持し得なくなるため、配光性能及び外観に不具合が発生することになってしまう。
上述した説明においては、反射面がアルミニウム蒸着膜により構成されている場合について説明したが、これに限らず、反射面が、同様にして形成される他の金属蒸着膜により構成されている場合も同様である。
【0010】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、リフレクタの反射面を構成しない領域には、アルミニウム蒸着膜を形成しないことにより、溶損対策及び熱低減対策を可能にした、車両前照灯,リフレクタ及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的は、本発明の第一の構成によれば、光源と、光源からの光を前方に向かって反射させるように、前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有するリフレクタと、上記光源からの直接光または上記リフレクタの反射面による反射光を集束させて前方に向かって照射する凸状の投影レンズと、上記リフレクタと投影レンズの間にて、上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタと、を備えた車両前照灯であって、上記リフレクタの外側面の少なくとも光源直上領域にてマスキングにより金属蒸着膜が形成されていないことを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
【0012】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記リフレクタの外側面が、光源の上方への投影領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない。
【0013】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記リフレクタの外側面が、光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない。
【0014】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記リフレクタの外側面が、全面に亘って、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない。
【0015】
上記目的は、本発明の第二の構成によれば、前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有しており、光源からの光を上記反射面により前方に向かって反射させて、その前方にて配置された凸状の投影レンズにより、前方に向かって集束させながら照射すると共に、前方の投影レンズの間にて上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタによりカットオフを形成するようにした車両前照灯におけるリフレクタであって、上記リフレクタの外側面の少なくとも光源直上領域にてマスキングにより金属蒸着膜が形成されていないことを特徴とする、車両前照灯のリフレクタにより、達成される。
【0016】
本発明による車両前照灯のリフレクタは、好ましくは、上記リフレクタの外側面が、光源の上方への投影領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない。
【0017】
本発明による車両前照灯のリフレクタは、好ましくは、上記リフレクタの外側面が、光軸方向に関して光源の先端より後方の領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない。
【0018】
本発明による車両前照灯のリフレクタは、好ましくは、上記リフレクタの外側面が、全面に亘って、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない。
【0019】
上記目的は、本発明の第三の構成によれば、前方に向かって凹状の金属蒸着膜から成る反射面を内側に有しており、光源からの光を上記反射面により前方に向かって反射させて、その前方にて配置された凸状の投影レンズにより、前方に向かって集束させながら照射すると共に、前方の投影レンズの間にて上記投影レンズの光源側の焦点位置付近に配置されたシャッタによりカットオフを形成するようにした車両前照灯におけるリフレクタの製造方法であって、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の内側面に反射膜としての金属蒸着膜を形成する際に、上記樹脂成形品における外側面の少なくとも光源直上領域をマスキングして、上記樹脂成形品の表面全体に金属蒸着膜を形成することを特徴とする、車両前照灯のリフレクタの製造方法により、達成される。
【0020】
本発明による車両前照灯のリフレクタの製造方法は、好ましくは、上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光源の上方への投影領域に対して行なわれる。
【0021】
本発明による車両前照灯のリフレクタの製造方法は、好ましくは、上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域に対して行なわれる。
【0022】
本発明による車両前照灯のリフレクタの製造方法は、好ましくは、上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面の全面に亘って行なわれる。
【0023】
本発明による車両前照灯のリフレクタの製造方法は、好ましくは、上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の金属蒸着装置へのセットの際に使用される治具に設けられた遮蔽板により行なわれる。
【0024】
本発明による車両前照灯のリフレクタの製造方法は、好ましくは、上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面に貼り付けられたマスキングテープにより行なわれる。
【発明の効果】
【0025】
上記第一及び第二の構成によれば、車両前照灯で使用されるリフレクタの反射面として機能しない外側面の少なくとも光源直上領域に、金属蒸着膜による反射面が形成されていないので、金属蒸着のために必要な金属材料の使用量が削減され、コストが低減されることになると共に、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域及び好ましくはその周辺領域の外側面には金属蒸着膜が形成されていない。これにより、リフレクタの光源直上領域が効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0026】
従って、リフレクタの少なくとも光源直上領域における蓄熱による温度上昇が抑制され得ることになり、この光源直上領域におけるリフレクタを構成する樹脂成形品の溶損が回避され得ることになる。これにより、リフレクタが高温点灯試験により配光性能や外観が損なわれるようなことがない。
また、高温点灯試験におけるリフレクタの温度上昇が抑制され得ることから、リフレクタを構成する樹脂成形品の材料として、耐熱温度がより低い熱可塑性樹脂を使用することができる。これにより、材料コストがより一層低減され得ることになる。
【0027】
上記リフレクタの外側面が、光源の上方への投影領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない場合には、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域の外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの光源直上領域が効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0028】
上記リフレクタの外側面が、光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域にて、マスキングにより金属蒸着膜を形成されていない場合には、金属蒸着のために必要な金属材料の使用量がより一層削減され、コストがより一層低減されることになると共に、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域及びその周辺領域の外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの光源直上領域がより一層効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0029】
上記リフレクタの外側面が、全面に亘ってマスキングにより金属蒸着膜を形成されていない場合には、金属蒸着のために必要な金属材料の使用量がさらに削減され、コストがさらに低減されることになると共に、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域を含む全外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの全体がより一層効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0030】
上記第三の構成によれば、車両前照灯で使用されるリフレクタを構成する樹脂成形品の表面に反射面としての金属蒸着膜を形成する際に、上記樹脂成形品の反射面として機能しない外側面の少なくとも光源直上領域をマスキングすることにより、この少なくとも光源直上領域に金属蒸着膜による反射面を形成しないので、金属蒸着のために必要な金属材料の使用量が削減され、コストが低減されることになると共に、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域及び好ましくはその周辺領域の外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの光源直上領域が効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0031】
従って、リフレクタの少なくとも光源直上領域における蓄熱による温度上昇が抑制され得ることになり、この光源直上領域におけるリフレクタを構成する樹脂成形品の溶損が回避され得ることになる。これにより、リフレクタが高温点灯試験により配光性能や外観が損なわれるようなことがない。
また、高温点灯試験におけるリフレクタの温度上昇が抑制され得ることから、リフレクタを構成する樹脂成形品の材料として、耐熱温度がより低い熱可塑性樹脂を使用することができる。このため、材料コストがより一層低減され得ることになる。
【0032】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光源の上方への投影領域に対して行なわれる場合には、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域の外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの光源直上領域が効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0033】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面における光軸方向に関して光源の先端より後側の上半領域に対して行なわれる場合には、金属蒸着のために必要な金属材料の使用量がより一層削減され、コストがより一層低減されることになると共に、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域及びその周辺領域の外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの光源直上領域がより一層効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0034】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面の全面に亘って行なわれる場合には、金属蒸着のために必要な金属材料の使用量がさらに削減され、コストがさらに低減されることになると共に、高温点灯試験の際に、光源から発生する熱が、上昇して、リフレクタの光源直上領域に達しても、この光源直上領域を含む全外側面には金属蒸着膜が形成されていない。このため、リフレクタの全体がより一層効率良く外側に対して放熱されることになる。
【0035】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の金属蒸着装置へのセットの際に使用される治具に設けられた遮蔽板により行なわれる場合には、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の上記遮蔽板により覆われた領域にて、金属蒸着装置により金属蒸着膜が形成されず、また上記樹脂成形品を金属蒸着装置から取り外したとき、治具と共に遮蔽板も除去され得ることになり、二次工程が必要ない。このため、生産性が向上することになる。
【0036】
上記マスキングが、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の外側面に貼り付けられたマスキングテープにより行なわれる場合には、上記リフレクタを構成する樹脂成形品の上記マスキングテープにより覆われた領域にて、金属蒸着装置により金属蒸着膜が形成されない。
【0037】
このようにして、本発明によれば、車両前照灯における光源からの光を投影レンズに入射させるための反射面を備えたリフレクタに関して、反射面としての金属蒸着膜を形成する際に、上記リフレクタの反射面として機能しない領域の少なくとも光源直上領域にて、マスキングにより金属蒸着膜の形成を排除することにより、反射面の形成のための金属蒸着材料の必要量が削減され、コストが低減され得ると共に、車両前照灯を組み立てた際の高温点灯試験において、上記リフレクタの特に光源直上領域に光源からの熱が蓄積されて、当該領域が高温になって溶損してしまうようなことがなく、上記リフレクタの配光性能や外観が損なわれるようなことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図6を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0039】
[実施例1]
図1は、本発明による車両前照灯の第一の実施形態の構成を示している。
図1において、車両前照灯10は、図7に示した車両前照灯1とほぼ同様の構成であって、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11の発光中心が第一の焦点位置F1付近に位置し且つ長軸がバルブ11の光軸Oと一致するように配置されていて、バルブ11からの光を前方に向かって反射させる前方に向かって凹状の楕円系の反射面12と、その光源側の焦点位置が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように配置され、バルブ11または反射面12からの光を前方に向かって集束させる投影レンズ13と、バルブ11から投影レンズ13への光路中にて上記反射面12の第二の焦点位置F2付近即ち上記投影レンズ13の光源側の焦点位置付近に配置されたカットオフを形成するためのシャッタ14と、から構成されている。
【0040】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブが使用され、その光軸Oが前方に向かってほぼ水平に配置され、ソケット11aにより固定保持されると共に、給電されるようになっている。
【0041】
上記反射面12は、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2が前側にてバルブ11から前方に延びる光軸O上に位置するように、楕円系の反射面として構成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0042】
上記投影レンズ13は、凸状のレンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、上記光軸O上にて、その光源側の焦点が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
尚、上記投影レンズ13は、レンズホルダー13aにより保持されるようになっている。
【0043】
上記シャッタ14は、不透光性材料から構成されており、その上縁14aが、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
そして、上記シャッタ14は、その上縁14aが、所望の配光パターン、例えばすれ違いビームのカットオフラインを形成するようになっている。
【0044】
ここで、上記反射面12は、樹脂成形品から成るリフレクタ15の表面に反射膜を形成することにより、構成されている。
上記反射膜は、図3に示すように、実際には、樹脂成形品の表面に対して、アンダーコート15a,実際の反射膜としてのアルミニウム蒸着膜15bそしてトップコート15cの順に表面処理されることにより、形成されるようになっている。
【0045】
そして、この場合、上記アルミニウム蒸着膜15bは、本発明によるリフレクタの製造方法に基づいて、図示しない蒸着装置における成膜の際に、リフレクタ15の裏面(外側面)全体をマスキングした状態で、成膜された後、上記マスキングが除去される。これにより、図2に示すように、リフレクタ15の表面即ち内面にアルミニウム蒸着膜15bが形成されることにより、反射面として構成されると共に、リフレクタ15の裏面全体には、アルミニウム蒸着膜15bが形成されない。
【0046】
上述したマスキングは、リフレクタ15のマスキングすべき領域に対して、マスキングテープを貼付けることにより行なわれるが、アルミニウム蒸着膜15bの成膜後にマスキングテープを剥す二次工程が必要になる。
これに対して、好ましくは、上記マスキングは、アルミニウム蒸着膜15bを成膜するための蒸着装置内にリフレクタ15をセットする際の治具に、リフレクタ15のマスキングに対応する領域に対応する遮蔽板を設けておくことにより、行なわれ得る。この場合、生産性を低下させることなく、而も使用済みのマスキングテープを廃棄する必要なく、低コストでマスキングを行なうことが可能になる。
【0047】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11がソケット11aから給電されて発光することにより、バルブ11の発光部から光が出射されることになる。
そして、バルブ11から出射した光Lが、直接にまたは反射面12で反射されて、その第二の焦点位置F2に向かって集束され、さらに投影レンズ13を介して前方に向かって照射される。その際、光Lは、シャッタ14の上縁14aによりカットオフラインを形成され、例えばすれ違いビームの配光パターンで前方に向かって照射されることになる。
【0048】
この場合、リフレクタ15を構成する樹脂成形品の外側面には、反射面としてのアルミニウム蒸着膜15bが形成されていないので、従来の樹脂成形品の全表面にアルミニウム蒸着膜が形成される場合と比較して、アルミニウム蒸着膜15bの材料としてのアルミニウムの必要量が少なくて済み、材料コストが低減され得る。
さらに、高温点灯試験の実施時に、バルブ11から上に向かって上昇する熱によって、リフレクタ15の上記バルブ11の直上領域が加熱されたとしても、リフレクタ15の裏面(外側面)にはアルミニウム蒸着膜15bが形成されていないことから、リフレクタ15から上方に向かって外部に熱が発散されることになる。
従って、高温点灯試験の実施時に、リフレクタ15のバルブ11の直上領域が加熱されたとしても、温度上昇が抑制され得ることになり、温度上昇による溶損や熱変形が回避され得ることになる。
これにより、高温点灯試験によるリフレクタ15の熱変形や溶損の発生が防止され、配光性能や外観に不具合が発生するようなことはない。
【0049】
[実施例2]
図4は、本発明による車両前照灯の第二の実施形態を示している。
図4において、車両前照灯20は、図1に示した車両前照灯10とほぼ同様の構成であって、リフレクタ15のマスキング領域、即ちアルミニウム蒸着膜15bが形成されない領域15dが、光軸方向に関してバルブ11の先端より後側の上半領域である点でのみ異なる構成になっている。
【0050】
このような構成の車両前照灯20によれば、図1に示した車両前照灯10と同様に作用して、前方に向かって光を照射すると共に、リフレクタ15の外側面の一部に、アルミニウム蒸着膜15bが形成されていないことから、材料コストが低減され得ることになる。
さらに、高温点灯試験の実施時には、リフレクタ15のバルブ11の直上領域が加熱されたとしても、同様に温度上昇が抑制され得ることになり、温度上昇による溶損や熱変形が回避され得ることになる。
【0051】
[実施例3]
図5は、本発明による車両前照灯の第三の実施形態を示している。
図5において、車両前照灯30は、図1に示した車両前照灯10とほぼ同様の構成であって、リフレクタ15のマスキング領域、即ちアルミニウム蒸着膜15bが形成されない領域15eが、バルブ11の上方への投影領域である点でのみ異なる構成になっている。
【0052】
このような構成の車両前照灯30によれば、図1に示した車両前照灯10と同様に作用して、前方に向かって光を照射すると共に、リフレクタ15の外側面の一部に、アルミニウム蒸着膜15bが形成されていないことから、材料コストが低減され得ることになる。
さらに、高温点灯試験の実施時には、リフレクタ15のバルブ11の直上領域が加熱されたとしても、同様に温度上昇が抑制され得ることになり、温度上昇による溶損や熱変形が回避され得ることになる。
【0053】
図6は、上述した図1,図4及び図5に示した車両前照灯10,20,30における高温点灯試験時のシミュレーションによる温度低減効果の比較を示すグラフであり、それぞれマスキングなしでリフレクタ15の全面に亘ってアルミニウム蒸着膜15bが形成された従来と同様の車両前照灯における温度上昇に対する温度差を示している。
即ち、車両前照灯10の場合、従来の車両前照灯と比較して、約30℃の温度低減効果が得られると共に、車両前照灯20,30の場合、それぞれ約20℃,約10℃の温度低減効果が示されている。
従って、車両前照灯30の場合でも、十分な温度低減効果が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0054】
上述した実施形態においては、反射面12は、リフレクタ15の表面に順次に形成されたアンダーコート15a,アルミニウム蒸着膜15b,トップコート15cから構成されているが、これに限らず、アンダーコート15aやトップコート15cが省略されていてもよい。
また、上述した実施形態においては、反射面12は、実質的にリフレクタ15の表面に成膜されたアルミニウム蒸着膜15bにより構成されているが、これに限らず、同様の方法で成膜される他の金属蒸着膜により構成されるようにしてもよい。
さらに、上述した実施形態においては、車両前照灯10は、プロジェクタタイプの車両前照灯として構成されており、反射面12は、楕円系の反射面として形成されているが、これに限らず、放物面系の反射面として形成されていてもよい。
【0055】
以上述べたように、本発明によれば、リフレクタ15の外側面の少なくともバルブ11の直上領域にて、マスキングにより反射面としてのアルミニウム蒸着膜15bを形成しないことにより、この領域での外部への放熱効果を高めるようにしたから、アルミニウム蒸着膜15bの材料コストが低減され得ると共に、高温点灯試験の実施時に、上記領域での外部への放熱によって、バルブ11からの熱によってリフレクタ15、特にバルブ11の直上領域の温度上昇が抑制され得るので、リフレクタの熱変形や溶損が回避され得ることになり、リフレクタの配光性能や外観に不具合が発生するようなことはない。
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、リフレクタの反射面を構成しない領域には、アルミニウム蒸着膜を形成しないことにより、溶損対策及び熱低減対策を可能にした、車両前照灯,リフレクタ及びその製造方法が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本発明による車両前照灯の第一の実施形態の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1の車両前照灯におけるリフレクタのマスキング領域を示す概略平面図である。
【図3】図1の車両前照灯におけるリフレクタを示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明による車両前照灯の第二の実施形態におけるリフレクタのマスキング領域を示す概略平面図である。
【図5】本発明による車両前照灯の第三の実施形態におけるリフレクタのマスキング領域を示す概略平面図である。
【図6】図1,図4及び図5による車両前照灯における温度低減効果の比較を示すグラフである。
【図7】従来の車両前照灯の一例の構成を示す概略断面図である。
【図8】図7の車両前照灯の分解斜視図である。
【図9】図7の車両前照灯におけるリフレクタを示す部分拡大断面図である。
【図10】図7の車両前照灯におけるリフレクタの(A)概略平面図及び(B)高温点灯試験による溶損例を示す概略平面図である。
【符号の説明】
【0057】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
11a ソケット
12 反射面
13 投影レンズ
13a レンズホルダー
14 シャッタ
14a 上縁
15 リフレクタ
15a アンダーコート
15b アルミニウム蒸着膜
15c トップコート




 

 


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