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発明の名称 車両用灯具
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−87843(P2007−87843A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−277161(P2005−277161)
出願日 平成17年9月26日(2005.9.26)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 二見 隆
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、配光パターンにおける中心付近の最大光度を高めると共に、照射光の全光束を増大させるようにしたバルブ横置き型の車両前照灯を提供することを目的とする。

解決手段
車両前後方向に水平に延びる光軸上に横向きに配置された光源と、光源の前方にて光軸の上及び下に配置された第一及び第三の投影レンズと、光源の前方にて光源の先端側に配置された第二の投影レンズと、光源から後方の上側及び下側に出射する光を反射させて上記第一及び第二の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる第一及び第四の反射面と、光源から前方に出射する光を側方にて上記光源の先端側領域に反射させる第二の反射面と、上記光源の先端側領域にて第二の反射面からの反射光を上記第二の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる第三の反射面と、を含むように、車両前照灯10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
車両前後方向に水平に延びる光軸上に横向きに配置された光源と、
この光源の前方にて、光軸の上方または下方に配置された第一の投影レンズと、
この光源の前方にて、光源の先端側に配置された第二の投影レンズと、 第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、第二の焦点位置が上記第一の投影レンズの後側の焦点位置付近に配置されていて、この光源から後方の上側または下側に出射する光を反射させて上記第一の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる楕円系の第一の反射面と、
この光源の前方にて、光源から前方に出射する光を側方にて上記光源の先端側領域に反射させる第二の反射面と、
上記光源の先端側領域にて、上記第二の反射面からの反射光を上記第二の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる第三の反射面と、
を含んでおり、
上記第二の反射面が、その第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、その第二の焦点位置が上記第二の投影レンズの後側の焦点位置の上記第三の反射面による共役位置付近に配置されている、
ことを特徴とする、車両前照灯。
【請求項2】
さらに、上記光源の前方にて、光軸の下方または上方に配置された第三の投影レンズと、
第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、第二の焦点位置が上記第三の投影レンズの後側の焦点位置付近に配置されていて、この光源から後方の下側または上側に出射する光を反射させて上記第三の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる楕円系の第四の反射面と、
を備えていることを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項3】
上記第一,第二または第三の投影レンズのうち、少なくとも一つの投影レンズに対して、その後側焦点位置付近に配置され、所定の配光パターンを画成するカットオフラインを形成する遮光シャッタを備えていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両前照灯。
【請求項4】
上記遮光シャッタが、光軸に対して垂直な平面、または光軸から前側に向かって湾曲した円弧状または楕円体状に形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の車両前照灯。
【請求項5】
少なくとも一つの遮光シャッタが、オーバーヘッドサインに対応する位置にスリット孔を備えており、このスリット孔が、対応する投影レンズの後側の焦点位置より前側にずれて配置されていることを特徴とする、請求項3または4に記載の車両前照灯。
【請求項6】
上記第一,第二または第三の投影レンズのうち、少なくとも一つの投影レンズがフレネルレンズとして構成されていることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の車両前照灯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用される車両前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所謂プロジェクタタイプの自動車用の車両前照灯は、例えば図7に示すように構成されている。
即ち、図7において、前照灯1は、単眼式の車両前照灯として構成されており、光源としてバルブ2と、上記バルブ2の発光中心が第一の焦点位置F1付近に位置し且つ長軸がバルブ2の光軸と一致するように配置されていて、バルブ2からの光を前方に向かって反射させる楕円系の反射面3と、その光源側の焦点位置が上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に位置するように配置され、バルブ2または反射面3からの光を集束させる投影レンズ4と、バルブ2から投影レンズ4への光路中にて上記反射面3の第二の焦点位置F2付近に配置されたカットオフを形成するための遮光シャッタ5と、から構成されている。
【0003】
ここで、上記バルブ2は、所謂C−8光源と呼ばれ、その中心軸が前方に向かってほぼ水平に延びる投影レンズの光軸と一致するように、前向きに配置されている。
このC−8光源は、その発光強度分布が長手方向である前後端側では比較的弱く、またその垂直方向である上下左右方向では比較的強くなっている。
従って、上記バルブ2は、反射面3の後方から取り付けられ、その垂直方向に出射する光を反射面3で前方に向かって反射させることにより、照射光の光強度を高めるようにしている。
【0004】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2から出射した光が、直接にまたは上記反射面3で反射されて、この反射面3の第二の焦点位置に向かって集束した後、投影レンズ4に入射し、投影レンズ4によって集束されることにより、前方に向かって照射される。
その際、投影レンズ4に入射する光の一部が遮光シャッタ5によって遮断されることにより、対向車に幻惑光を与えないように対向車線側で照射距離が短くなるような所望の配光特性が得られ、所謂すれ違いビームが形成されるようになっている。
尚、走行ビーム用の車両前照灯の場合には、上述した遮光シャッタ5が省略されており、バルブ2からの光が反射面3により反射・集束され、さらに投影レンズ4により前方に向かって照射されることにより、走行用ビームが形成されるようになっている。
【0005】
しかしながら、このような構成の前照灯においては、上述したように、バルブがC−8光源として前向きに配置されていることから、灯具全体の前後方向の全長Lが比較的長くなってしまい、自動車の車体に対する取付スペースが大きくなると共に、取付の自由度が小さく、自動車の車体デザイン上の制約となってしまう。
特に、バルブ2としてHID(High Intensity Discharge)光源を使用する場合には、HID光源を発光させるための点灯装置の一部が組み込まれた比較的大型の給電用ソケット2aが必要となることから、HID光源自体の光軸方向の奥行きが約100mm程度になるので、前照灯1全体の長さLが約180mm程度になってしまう。
【0006】
ところで、最近の自動車においては、車体前部のオーバーハングが短く、空力性能を高めるために車体四隅を丸めて絞り込んだ形状となり、また扁平率が大きい幅広のタイヤそして大径のホイールを採用する傾向がある。
このため、自動車の車体前部にて、内部に前照灯を設置するための前後のスペースが極めて小さくなってきている。従って、車両前照灯の光軸方向の奥行きの短縮化が強く求められてきている。
【0007】
他方、安全性等の観点から、光強度を高めるために、HID光源の採用が多くなってきていると共に、曲線道路用配光可変型前照灯{所謂AFS(Active Front Lighting System)}の使用が認められるようになったことを受けて、発光面の小型化の要請から、プロジェクタタイプの車両前照灯が多く使用されている。
【0008】
これに対して、特許文献1及び特許文献2には、バルブを横向きにして、C−6光源とし、さらに投影レンズの光軸より下方に配置するようにした、車両前照灯が開示されている。
このような構成によれば、バルブが横向きに配置されていることにより、灯具の全長が短縮され得る。
【0009】
また、このようなプロジェクタタイプの車両前照灯においては、反射面の光軸側方領域が、バルブからの光を反射して投影レンズに導くことにより、配光パターンにおける拡散領域を形成するようになっているが、バルブが光軸より下方に配置されることにより、バルブを側方から灯具内に挿入するために、上述した反射面の光軸側方領域に切欠を設ける必要がない。このため、配光パターンにおける拡散領域の光量が低下せず、十分な光量の拡散領域が形成され得るようになっている。
【0010】
さらに、特許文献3においては、可変配光のための専用の反射面,投影レンズそして可動反射面を追加し、可動反射面を開閉して、配光を可変することにより、配光形状の急激な変化を回避するようにした、配光可変型の車両前照灯が開示されている。
【特許文献1】特開2004−127830号
【特許文献2】特開2005−100766号
【特許文献3】特開2005−166282号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、上述したプロジェクタタイプの車両前照灯においては、バルブの発光中心が光軸の直下に位置するように配置されていると共に、バルブから中心軸方向に出射して反射面の光軸側方領域で反射された光は、投影レンズを透過した後、配光パターンにおける側方領域、所謂拡散領域に出射されることになる。
このため、バルブの光軸に沿って出射する光が、前方の中心付近に向かって照射されないため、バルブからの光利用効率が低下してしまい、配光パターンにおける中心付近の最大光度が低くなる。
【0012】
また、バルブから前方に向かって照射される光のうち、投影レンズに入射しない光は、前方に向かって照射されず、配光パターンの形成に寄与しないことから、全光束が不足することになってしまう。
さらに、HID光源の場合には、横向きにすることによって、光軸方向の短縮は、約50mm程度しかなく、大幅な奥行きの短縮を実現することはできなかった。
【0013】
さらに、特許文献3による車両前照灯においては、同様に光源が光軸に沿って配置されていることから、奥行きが長くなってしまう。
【0014】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、明るさを低下させることなく、灯具全体の奥行きを短縮するようにした、バルブ横置き型のプロジェクタタイプの車両前照灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的は、本発明の構成によれば、車両前後方向に水平に延びる光軸上に横向きに配置された光源と、この光源の前方にて、光軸の上方または下方に配置された第一の投影レンズと、この光源の前方にて、光軸の先端側に配置された第二の投影レンズと、第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、第二の焦点位置が上記第一の投影レンズの後側の焦点位置付近に配置されていて、この光源から後方の上側または下側に出射する光を反射させて上記第一の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる楕円系の第一の反射面と、この光源の前方にて、光源から前方に出射する光を側方にて上記光源の先端側領域に反射させる第二の反射面と、上記光源の先端側領域にて、上記第二の反射面からの反射光を上記第二の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる第三の反射面と、を含んでおり、上記第二の反射面が、その第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、その第二の焦点位置が上記第二の投影レンズの後側の焦点位置の上記第三の反射面による共役位置付近に配置されていることを特徴とする車両前照灯により、達成される。
【0016】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、さらに、上記光源の前方にて、光軸の下方または上方に配置された第三の投影レンズと、第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、第二の焦点位置が上記第三の投影レンズの後側の焦点位置付近に配置されていて、この光源から後方の下側または上側に出射する光を反射させて上記第三の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる楕円系の第四の反射面と、を備えている。
【0017】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第一,第二または第三の投影レンズのうち、少なくとも一つの投影レンズに対して、その後側焦点位置付近に配置され、所定の配光パターンを画成するカットオフラインを形成する遮光シャッタを備えている。
【0018】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記遮光シャッタが、光軸に対して垂直な平面、または光軸から前側に向かって湾曲した円弧状または楕円体状に形成されている。
【0019】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、少なくとも一つの遮光シャッタが、オーバーヘッドサインに対応する位置にスリット孔を備えており、このスリット孔が、対応する投影レンズの後側の焦点位置より前側にずれて配置されている。
【0020】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第一,第二または第三の投影レンズのうち、少なくとも一つの投影レンズがフレネルレンズとして構成されている。
【発明の効果】
【0021】
上記構成によれば、光源から後方の上側または下側に出射した光が、第一の反射面によって反射され、その第二の焦点位置即ち第一の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束され、さらに第一の投影レンズを介して前方に向かって照射される。
また、光源から前側に出射して第二の反射面に入射した光は、第二の反射面でにより反射されて第三の反射面に向かって進み、この第三の反射面で反射された後、第二の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束され、第二の投影レンズを介して前方に向かって照射される。
【0022】
従って、光源から前側に向かって出射する光が第二の反射面により第二の投影レンズを介して前方に出射されることから、光源からの光の利用効率が向上し、配光パターンを形成する全光束が増大すると共に、第三の反射面で反射された光が、比較的小さな入射角で第二の投影レンズに入射することから、前方に向かって比較的中心付近に集光して照射されるので、前方に向かって照射される光の配光パターンの中心付近における最大光度が十分に高められ得ることになる。
【0023】
ここで、光源が光軸に対して横向きに配置されていることによって、車両前照灯の灯具全体が比較的短く構成され得ると共に、第一及び第二の反射面で反射された光が、それぞれ第一及び第二の投影レンズを介して前方に向かって照射されるので、各投影レンズの直径及び焦点距離が、従来の単眼式車両前照灯と比較して小さく選定され得ることになる。
従って、各投影レンズの焦点距離を小さくすることによって、車両前照灯全体の光軸方向の長さをより低減することができると共に、各投影レンズの直径を小さくすることによって、車両前照灯全体の高さを低減することができる。
【0024】
また、光源からの光が複数の投影レンズに分散して入射することによって、各投影レンズに対する熱の集中が回避されるので、各投影レンズの温度上昇が抑制され得ることになる。すなわち、各投影レンズと光源との間の距離をより短く設定することが可能となる。従って、車両前照灯全体の長さをより一層短縮することが可能になる。
【0025】
さらに、複数の投影レンズが並んで配置されることによって、斬新な外観上見栄えを呈することが可能になる。
【0026】
さらに、上記光源の前方にて、光軸の下方または上方に配置された第四の投影レンズと、第一の焦点位置が光源の発光点付近に配置されると共に、第二の焦点位置が上記第四の投影レンズの後側の焦点位置付近に配置されていて、この光源から後方の下側または上側に出射する光を反射させて上記第三の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させる楕円系の第四の反射面と、を備えている場合には、光源から後方の下側または上側に出射した光が、第四の反射面によって反射され、その第二の焦点位置即ち第三の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束され、さらに第三の投影レンズを介して前方に向かって照射される。
これにより、光源からの光の利用効率がさらに向上することから、配光パターンをを形成する全光束がさらに増大すると共に、前方に向かって照射される光の配光パターンの中心付近における最大光度がより一層高められ得ることになる。
【0027】
上記第一,第二または第三の投影レンズのうち、少なくとも一つの投影レンズに対して、その後側焦点位置付近に配置され、所定の配光パターンを画成するカットオフラインを形成する遮光シャッタを備えている場合には、当該投影レンズの後側焦点位置付近に集光された光により、遮光シャッタの影が前方に向かって投影されることになり、配光パターンに対して例えばすれ違いビームのカットオフラインが形成されることになる。
【0028】
上記遮光シャッタが、光軸に対して垂直な平面、または光軸から前側に向かって湾曲した円弧状または楕円体状に形成されている場合には、遮光シャッタの形状に基づいて、配光パターンにカットオフラインが形成されることになる。
【0029】
少なくとも一つの遮光シャッタが、オーバーヘッドサインに対応する位置にスリット孔を備えており、このスリット孔が、対応する投影レンズの後側の焦点位置より前側にずれて配置されている場合には、このスリット孔を介して光が前方に出射することにより、前方上側に位置する標識等に対して光を照射し、この標識等が容易に視認され得ることになる。
その際、スリット孔が対応する投影レンズの後側の焦点位置より前側にずれて配置されていることにより、前方に向かって投影されるスリット孔の像の輪郭がぼけることにより、スリット孔によって形成される配光の見栄えを良好にすることができる。
【0030】
上記第一,第二または第三の投影レンズのうち、少なくとも一つの投影レンズがフレネルレンズとして構成されている場合には、当該投影レンズの奥行きが短縮され得るので、車両前照灯全体の光軸方向の長さがさらに短縮され得ることになる。
【0031】
このようにして、本発明によれば、光源を横向きに配置すると共に、光源から後方上側,下側及び前方に出射する光を、それぞれ第一,第三及び第二の反射面により反射させて、それぞれ第一,第三及び第二の投影レンズの後側の焦点位置に向かって集束させることにより、光源からの光の利用効率が向上し、配光パターンにおける中心付近の最大光度が高められ得ると共に、全光束が増大することになる。
さらに、光源からの光が分散して第一,第三及び第二の投影レンズに入射することから、各投影レンズの直径を小さく、またその焦点距離を短くすることができるので、各投影レンズが小型化され得ることになり、車両前照灯全体も小型化され得ることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、この発明の好適な実施形態を図1〜図6を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0033】
[実施例1]
図1〜図4は、本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示している。
図1〜図4において、車両前照灯10は、自動車の進行方向からみて左側の前照灯であって、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させる第一の主反射面12,第二の主反射面13と、上記バルブ11の前方にて後方を向いて配置された副反射面14と、上記副反射面14からの反射光を前方に向かって反射させる平面鏡15と、第一の主投影レンズ16,第二の主投影レンズ17及び副投影レンズ18と、第一の主遮光シャッタ19,第二の主遮光シャッタ20及び副遮光シャッタ21と、から構成されている。 以下、車両前後方向について、前方向を+Z方向とし、車両鉛直方向について、上方向を+Y方向とし、さらに車両横方向に関して、車両中心から側方に向かって外側を+X方向とする。
【0034】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、例えば白熱電球,ハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブが使用され、ソケットにより固定保持されると共に、給電されるようになっている。
図示の場合、上記バルブ11は、例えば長さ約100mmのHID光源が使用されている。
【0035】
そして、上記バルブ11は、図2及び図3に示すように、車両前後方向に水平に延びる光軸Oに対して、ほぼ横向きに且つ車体側方の外側に向かって、即ち+X方向に向かって先端が延びるように、且つその発光中心11aが光軸O上に位置するように、配置されている。
さらに、上記バルブ11は、取付の際に、車両中心の内側即ち−X側から、例えばエンジンルーム内にて、所定の手段によって挿入され、固定保持されるようになっている。
【0036】
上記第一の主反射面12は、上記バルブ11の後方(−Z領域)の上側(+Y領域)に配置されている。
そして、上記第一の主反射面12は、図4に示すように、上記バルブ11から後方の上側に出射する光を前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光中心11a付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2aが前側にて上記光軸Oの上方に位置するように、楕円系反射面から構成されている。
ここで、楕円系反射面とは、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
これにより、バルブ11からほぼ−Z方向上側に出射した光は、上記第一の主反射面12で反射され、後述するように第一の主投影レンズ16の後側の焦点位置に向かって進み、さらに第一の主遮光シャッタ19を介して第一の主投影レンズ16を透過して前方に向かって出射されるようになっている。
【0037】
これに対して、上記第二の主反射面13は、上記バルブ11の後方(−Z領域)の下側(−Y領域)に配置されている。
そして、上記第二の主反射面13は、図4に示すように、上記バルブ11から後方の下側に出射する光を前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光中心11a付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2bが前側にて上記光軸Oの下方に位置するように、上記第一の主反射面12と同様の楕円系反射面から構成されている。
これにより、バルブ11からほぼ−Z方向下側に出射した光は、上記第二の主反射面13で反射され、後述するように、第二の主投影レンズ17の後側の焦点位置に向かって進み、さらに第二の主遮光シャッタ20を介して第二の主投影レンズ17を透過して前方に向かって出射されるようになっている。
【0038】
ここで、上記第一の主反射面12及び第二の主反射面13は、実際には、短冊状の回転楕円面等の集成体または楕円を基本とする自由曲面から構成されており、さらに配光設計自由度向上のため、対応する第一及び第二の主投影レンズ16,17の光軸の上下にて、分割され、部分的に異なる曲率等の反射面が組合せられてもよい。
また、上記第一の主反射面12及び第二の主反射面13は、それぞれ路面照射配光パターンを考慮して、光軸O方向だけでなく、水平方向左右両側への拡散光も生成するように、構成されている。
さらに、図示の場合、第一の主反射面12は、そのバルブ11の上方に位置する領域に、所謂ホットゾーン形成用の反射面を備えている。
【0039】
上記副反射面14は、上記バルブ11の前方(+Z領域)にて、上記バルブ11または上記主反射面12,13からそれぞれ上記第一及び第二の主投影レンズ16,17への入射光を妨げないように、光軸O上に配置されている。
そして、上記副反射面14は、上記バルブ11から前側に出射する光を後方に向かって+X方向に斜めに反射させるように後方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光中心11a付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2cが上記平面鏡15による副投影レンズ18の後側の焦点位置と共役な位置(あるいは近傍の位置)に位置するように、楕円系反射面から構成されている。
これにより、バルブ11からほぼ+Z方向に出射した光は、上記副反射面14で反射され、さらに平面鏡15で反射されて、副投影レンズ18の後側の焦点位置に向かって進み、さらに副遮光シャッタ21を介して副投影レンズ18を透過して前方に向かって出射されるようになっている。
また、上記副反射面14は、同様に路面照射配光パターンを考慮して、光軸O方向だけでなく、水平方向左右両側への拡散光も生成するように、構成されている。
【0040】
上記平面鏡15は、図2に示すように、上記バルブ11の先端側の延長領域(+X方向)に配置されており、上記副反射面14からの反射光を反射させて、副投影レンズ18の後側の焦点位置に向かって集束させるように、その傾斜角度が設定されており、図示の場合、ほぼ45度に配置されている。
ここで、バルブ11は、一般に先端側及び根元側における光放射強度が比較的弱く、発光中心11aを通る垂直面に対して前後それぞれ例えば約55度の範囲の光を受けるように、第一の主反射面12及び第二の主反射面13が配置されている。従って、バルブ11の先端側には、第一の主反射面12及び第二の主反射面13が配置されていないので、上記平面鏡15は、これらの第一の主反射面12及び第二の主反射面13と干渉することはない。
【0041】
上記第一の主投影レンズ16は、凸レンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、上記光軸Oの上方にて、光軸Oに平行な光軸O1上にて、その光源側の焦点が、上記第一の主反射面12の第二の焦点位置F2a付近に位置するように、配置されている。
【0042】
また、上記第二の主投影レンズ17は、同様に凸レンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、上記光軸Oの下方にて、光軸Oに平行な光軸O2上にて、その光源側の焦点が、上記第二の主反射面13の第二の焦点位置F2b付近に位置するように、配置されている。
【0043】
さらに、上記副投影レンズ18は、同様に凸レンズ、好ましくは非球面レンズから構成されており、上記光軸Oの側方(+X方向)にて、光軸Oに平行な光軸O3上にて、その光源側の焦点が、上記副反射面14の第二の焦点位置F2cと平面鏡15による共役な(焦点近傍の)位置に位置するように、配置されている。
【0044】
上記第一の主遮光シャッタ19は、不透光性材料から形成されていると共に、その上縁19aが、上記第一の主投影レンズ16の光源側の焦点位置付近に配置されている。
そして、上記第一の主遮光シャッタ19は、その上縁19aが、例えばすれ違いビームの配光パターンにおけるカットオフラインを形成するようになっている。
尚、図示の場合、上記第一の主遮光シャッタ19は、その両側が対応する第一の投影レンズ16側に向かって円弧状または楕円形状に湾曲して形成されている。
ここで、上記第一の主遮光シャッタ19の湾曲形状は、第一の主投影レンズ16により前方に向かって照射される光の水平方向左右における拡散状態を勘案して選定されるようになっている。
また、上記第一の主遮光シャッタ19は、平板状に形成されていてもよい。
【0045】
また、第二の主遮光シャッタ20は、不透光性材料から形成されていると共に、その上縁20aが、上記第二の主投影レンズ17の光源側の焦点位置付近に配置されている。
そして、上記第二の主遮光シャッタ20は、その上縁20aが、例えばすれ違いビームの配光パターンにおけるカットオフラインを形成するようになっている。
尚、図示の場合、上記第二の主遮光シャッタ20は、その両側が対応する第二の投影レンズ17側に向かって円弧状または楕円形状に湾曲して形成されている。
【0046】
さらに、副遮光シャッタ21は、不透光性材料から形成されていると共に、その上縁21aが、上記副投影レンズ18の光源側の焦点位置付近に配置されている。
そして、上記副遮光シャッタ21は、その上縁21aが、例えばすれ違いビームの配光パターンにおけるカットオフラインを形成するようになっている。
尚、図示の場合、上記副遮光シャッタ21は、その両側が対応する副投影レンズ18側に向かって円弧状または楕円形状に湾曲して形成されている。
【0047】
ここで、上記第二の主遮光シャッタ20及び副遮光シャッタ21は、それぞれスリット孔20b,21bを備えている。
これらのスリット孔20b,21bは、それぞれ配光パターンにおける水平から4度上までの最低照度を満たすための所謂オーバーヘッドサインを画成するようになっている。
尚、上記スリット孔20b,20cは、オーバーヘッドサインの輪郭をぼかすために、その開口位置が前方(+Z方向)にずれて配置されている。
【0048】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11が給電されて発光することにより、バルブ11から後方の上側に出射する光L1は、上記第一の主反射面12で反射されて、第二の焦点F2a即ち第一の主投影レンズ16の後側の焦点位置付近に向かって進み、さらに第一の主遮光シャッタ19を介して第一の主投影レンズ16により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0049】
また、バルブ11から後方の下側に出射する光L2は、上記第二の主反射面13で反射されて、第二の焦点F2b即ち第二の主投影レンズ17の後側の焦点位置付近に向かって進み、さらに第二の主遮光シャッタ20を介して第二の主投影レンズ17により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0050】
さらに、バルブ11から前方に向かって出射する光L3は、副反射面14で反射されて、対応する平面鏡15で反射された後、副投影レンズ18の後側の焦点位置付近に向かって進み、さらに副遮光シャッタ21を介して副投影レンズ18により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0051】
その際、上記光L1,L2,L3は、それぞれ第一の主遮光シャッタ19,第二の主遮光シャッタ20及び副遮光シャッタ21の上縁19a,20a,21aが、それぞれ投影レンズ16,17,18によって前方に向かって拡大して投影されることにより、配光パターンにおけるカットオフラインが形成され、すれ違いビームの配光パターンが得られることになる。
【0052】
さらに、上記光L2,L3は、遮光シャッタ20,21のスリット孔20b,21bを透過することにより、配光パターンにおけるオーバーヘッドサインを画成することになり、例えば車両前方の上側に位置する標識等を照射して、これら標識等の視認性を高めるようになっている。
その際、バルブ11からの光は、光L1,L2,L3に三分割されていると共に、上記光L2,L3は、光L1と比較して明るさが弱いことが確認されている。このため、上記光L2,L3に関して、スリット孔20b,20cによりオーバーヘッドサインを画成したとしても、その照度が規定値から外れてしまうようなことはない。
【0053】
また、バルブ11が横向きに配置されていることにより、灯具全体の長さが短く構成され得ると共に、バルブ11からの光が三分割され、三つの投影レンズ16,17,18により前方に向かって照射されていることから、集光性を三倍にすることができるので、各投影レンズ16,17,18の焦点距離そして直径を小さくすることができる。
これにより、各投影レンズ16,17,18が小型に構成されるので、車両前照灯10が全体として光軸方向の長さを短く、また上下方向の厚さを小さくすることができ、車両前照灯10全体が小型化され得ることになる。
【0054】
例えば、各投影レンズ16,17,18の焦点距離は、従来の単眼式の車両前照灯における投影レンズの焦点距離より短い15〜40mm程度、またその直径は、同様により小さい20〜50mm程度に選定され得る。
従って、楕円系の反射面12,13,14の焦点距離を短くすることと相まって、車両前照灯10は、その全長が100mm以下に短縮され得ることになる。
【0055】
さらに、このような構成の車両前照灯10においては、各投影レンズ16,17,18に入射する光量は、分散されることにより、従来の単眼式の車両前照灯と比較して、それぞれ約三分の一程度になる。
従って、各投影レンズ16,17,18における発熱も同様に約三分の一程度になるので、各投影レンズ16,17,18をそれぞれ樹脂化することも可能となる。
その際、各投影レンズ16,17,18をフレネルレンズとして構成することにより、各投影レンズ16,17,18の光軸方向の厚さが10mm以上低減され得るので、車両前照灯10全体の光軸方向の長さがより一層短縮され得る。
【0056】
図5は、上述した車両前照灯10による配光パターンのシミュレーション結果を示している。
ここで、図5(A)は、バルブ11から第一の主反射面12により反射されて第一の主投影レンズ16を介して前方に出射される光L1による配光パターンを示している。
また、図5(B)は、バルブ11から第二の主反射面13により反射されて第二の主投影レンズ17を介して前方に出射される光L2による配光パターンを示している。
この場合、第二の主遮光シャッタ20のスリット孔20bによるオーバーヘッドラインが形成されていることが分かる。
【0057】
これに対して、図5(C)は、バルブ11から前方に向かって出射され、副反射面14により反射され、さらに平面鏡15で反射されて、副投影レンズ18を介して前方に出射される光L3による配光パターンを示している。
この場合、配光パターンが中心付近に集中されていると共に、副遮光シャッタ21のスリット孔21bによるオーバーヘッドラインが形成されていることが分かる。
【0058】
従って、上述した光L1,L2及びL3による車両前照灯10全体の配光パターンは、図6(A)に示すようになり、全光束が増大すると共に、配光パターンの中心付近の最大光度が十分に高められていることが分かる。
その際、上記配光パターンは、図6(B)に示す従来の単眼式の車両前照灯による全体の配光パターンと比較して、同等以上の約1000lmの明るさを得ることができると共に、左右の拡散性も良好であり、オーバーヘッドサインを確保することが可能となる。
【0059】
上述した実施形態においては、車両前照灯10は、所謂三眼式として構成されているが、これに限らず、第一の主反射面12,第一の主投影レンズ16及び第一の主遮光シャッタ19を省略し、あるいは第二の主反射面13,第二の主投影レンズ17及び第二の主遮光シャッタ20を省略することも可能である。
この場合、残りの第二の主反射面13または第一の主反射面12そして副反射面14を拡大することにより、バルブ11からの光の利用効率の低減を補償することが可能である。
このようにして、二眼式の車両前照灯が構成されることとなり、斬新な外観の車両前照灯を提供することができる。
【0060】
また、上述した実施形態においては、車両前照灯10は、自動車用の左側の前照灯として構成されているが、これに限らず、左右対称の構成の右側の前照灯としても構成され得、また光軸Oに対して左右対称に構成することにより、右側通行の地域における車両前照灯とすることもできる。
【0061】
さらに、上述した実施形態においては、車両前照灯10は、所謂ヘッドランプとして構成されているが、これに限らず、例えばフォグランプ等の補助前照灯として構成することも可能である。
【0062】
また、上述した実施形態においては、第二の主遮光シャッタ20及び副遮光シャッタ21に対して、それぞれスリット孔20b,21bが設けられているが、これに限らず、各遮光シャッタ19,20,21のうち、少なくとも一つのスリット孔が設けられていてもよく、また何れの遮光シャッタ19,20,21にもスリット孔が設けられていなくてもよい。
【0063】
さらに、上述した実施形態においては、副反射面14からの反射光を副投影レンズ(第二の投影レンズ)18の焦点位置近傍に集束するために平面鏡15を用いたが、これに限らず、例えば平面以外の反射面(放物系の反射面など)を用いてもよい。その場合、反射面の焦点位置を副投影レンズ18の焦点位置近傍となるようにすることによって、平面以外の反射面であっても、上述の実施形態における平面鏡15を用いた場合と同様の作用を奏することができる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明による車両前照灯10は、自動車用の左側の前照灯として構成されているが、これに限らず、補助前照灯等を含む他の種類の車両前照灯に本発明を適用することが可能である。
【0065】
このようにして、本発明によれば、簡単な構成により、明るさを低下させることなく、灯具全体の奥行きを短縮するようにした、極めて優れたバルブ横置き型のプロジェクタタイプの車両前照灯が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の車両前照灯を示す+Y方向から見た概略平面図である。
【図3】図1の車両前照灯を示す+Z方向から見た概略正面図である。
【図4】図1の車両前照灯を示す+X方向から見た光軸に沿った概略断面図である。
【図5】図1の車両前照灯における(A)第一の投影系による配光パターン,(B)第二の投影系による配光パターン及び(C)第三の投影系による配光パターンをそれぞれを示すグラフである。
【図6】(A)図1の車両前照灯における全体の配光パターン及び(B)従来の車両前照灯における全体の配光パターンをそれぞれ示すグラフである。
【図7】従来の車両前照灯の一例の構成を示す光軸に沿った概略断面図である。
【符号の説明】
【0067】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
12 第一の主反射面(第一の反射面または第四の反射面)
13 第二の主反射面(第四の反射面または第一の反射面)
14 副反射面(第二の反射面)
15 平面鏡(第三の反射面)
16 第一の主投影レンズ(第一の投影レンズまたは第三の投影レンズ)
17 第二の主投影レンズ(第三の投影レンズまたは第一の投影レンズ)
18 副投影レンズ(第二の投影レンズ)
19 第一の主遮光シャッタ
20 第二の主遮光シャッタ
20b スリット孔
21 副遮光シャッタ
21b スリット孔




 

 


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