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発明の名称 車両前照灯
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−87673(P2007−87673A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−272959(P2005−272959)
出願日 平成17年9月20日(2005.9.20)
代理人 【識別番号】100079094
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 輝緒
発明者 中矢 喜昭
要約 課題
本発明は、簡単な構成により、高速道路走行時には遠方視認性を確保することができると共に、一般道路走行時には最大光度を抑制して対向車や歩行者に眩惑を与えないようにした車両前照灯を提供することを目的とする。

解決手段
光源11,反射面12,投影レンズ13及びカットオフラインを画成する遮光部材20を備えた車両前照灯10において、上記遮光部材が、光軸方向に関して比較的厚い第一の遮光部材21と、光軸方向に関して比較的薄い第二の遮光部材22と、から成り、一般道路走行時には、第一の遮光部材が光軸に対して比較的低い位置にて光路中に挿入されて、一般道路走行用すれ違いビームの配光パターンが形成され自動車の高速道路走行時には、第二の遮光部材が光軸に対して比較的低い位置にて光路中に挿入されて、高速道路走行用すれ違いビームの配光パターンが形成されるように、車両前照灯10を構成する。
特許請求の範囲
【請求項1】
光源と、
光源からの光を前方に向かって反射させるように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、
上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、
上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材と、
を備えている、車両前照灯において、
上記遮光部材が、光軸方向に関して比較的厚い第一の遮光部材と、光軸方向に関して比較的薄い第二の遮光部材と、から成り、
一般道路走行時には、第一の遮光部材が光軸に対して比較的高い位置にて光路中に挿入されて、一般道路走行用すれ違いビームの配光パターンが形成され、
また自動車の高速道路走行時には、第二の遮光部材が光軸に対して比較的低い位置にて光路中に挿入されて、高速道路走行用すれ違いビームの配光パターンが形成される
ことを特徴とする、車両前照灯。
【請求項2】
上記第二の遮光部材が光軸に対して所定位置に配置されており、
上記第一の遮光部材が、上記第二の遮光部材の光軸に関して前後に配置され得る二枚の遮光板から構成されていて、上下方向に可動である
ことを特徴とする、請求項1に記載の車両前照灯。
【請求項3】
上記第一の遮光部材の光軸方向の厚さが、前方に向かって照射される光の最大光度を適宜に低減させるように選定されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の車両前照灯。
【請求項4】
上記第二の遮光部材の厚さが0.5から2.0mm程度であって、上記第一の遮光部材の厚さまたは二枚の遮光板の前縁から後縁までの厚さが2.0から4.0mm程度に選定されていることを特徴とする、請求項1から3の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項5】
上記第一の遮光部材と第二の遮光部材の光軸に対する挿入位置が、前方に向かって照射される光に対して垂直方向に1度程度の角度差となるように選定されていることを特徴とする、請求項1から4の何れかに記載の車両前照灯。
【請求項6】
上記第一の遮光部材及び第二の遮光部材が同時に光路から退避されることにより、走行ビーム用の配光パターンが形成されることを特徴とする、請求項1から5の何れかに記載の車両前照灯。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車の前部に設けられた前照灯または補助前照灯として使用されるプロジェクタタイプの車両前照灯に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このような車両前照灯は、例えば図10に示すように、構成されている。
即ち、図10において、車両前照灯1は、光源としてのバルブ2と、反射面3と、投影レンズ4と、遮光部材5と、から構成されている。
【0003】
上記反射面3は、バルブ2を第一焦点(後側の焦点)とし且つ長軸が前方に向かってほぼ水平に延びる楕円系反射面から構成されており、その内面が反射面として形成されている。
ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0004】
上記投影レンズ4は、凸レンズから構成されており、その光源側(後側)の焦点が、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されており、バルブ2または反射面3から前方に向かって進む光を集光し、前方に向かって照射するようになっている。
【0005】
上記遮光部材5は、前方に向かって照射される光に対して所定のすれ違いビーム用の配光パターンを付与するためのものであり、上記反射面3の第二の焦点位置付近に配置されていると共に、上記配光パターンにカットオフラインを形成するために、その上縁5aが所定形状に形成されている。
【0006】
このような構成の車両前照灯1によれば、バルブ2が給電され、発光することにより、バルブ2から出射した光は、直接に、または上記反射面3で反射されて、この反射面3の第二焦点付近に向かって前方に進み、投影レンズ4により集束されながら、前方に向かって照射される。
その際、前方に向かって照射される光は、その一部が遮光部材5により遮断されると共に、この遮光部材5の上縁5aによりカットオフラインを形成されて、すれ違いビームとして前方に向かって照射されることになる。
【0007】
これにより、図11に示すように、上記カットオフラインが投影レンズ5により投影されることになるので、配光パターンに関して、中心から右側で水平に、そして中心から左側にて斜め上方に例えば15度で左上がりに延びるカットオフラインが形成され、このカットオフラインの下側のみに対して、すれ違いビームに適した光が照射されるようになっている。
【0008】
このようにして、このような車両前照灯1においては、すれ違いビームの際には、上記遮光部材5によりカットオフラインが画成されることにより、すれ違いビーム用の配光パターンが形成されると共に、走行ビームの際には遮光部材5が光路から退避されることにより、走行ビーム用の配光パターンが形成されるようになっている。
【0009】
ところで、上述した車両前照灯1においては、そのカットオフラインによるすれ違いビーム用の配光パターンは常に一定である。
これに対して、近年可変配光機能を備えた車両前照灯が認められるようになってきており、カーブ走行時に光軸を左右何れかに振ることによって、進行方向の視認性を向上させるようにした車両前照灯を搭載した自動車が既に販売されている。
光軸を振る方法としては、カットオフラインを画成する遮光部材やシェードを水平方向に揺動させたり、反射面の一部を揺動させたり、あるいは専用の光源を点灯させるものがある。
【0010】
しかしながら、例えば高速道路走行時には遠方視認性が重要であり、あるいは雨天等の悪天候時には比較的前方の近い領域の視認性が重要であり、あるいは市街地等では歩行者に眩惑を与えないような配光特性が認められつつある。
このため、例えば特許文献1には、雨天時等において車両前方の比較的近い領域の路面に対する光を可動シェードにより遮断して、路面で反射される光による対向車や歩行者に対する眩惑を防止するようにした車両用前照灯が開示されている。
また、特許文献2には、すれ違いビームの使用時に、二枚の凸レンズ及び凹レンズから成る投影レンズに関して、各凸レンズ及び凹レンズの光軸上の相対位置を変更することにより、高速道路走行時には、照射角度を絞り込んで、遠方視認性を確保するようにした前照灯が開示されている。
【特許文献1】特開2004−281273号
【特許文献2】特許第2917784号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、特許文献1による車両用前照灯においては、車両前方の路面で反射される光は遮断されるが、最大光度は一定であることから、遮断されない他の光が対向車や歩行者に対して眩惑を与えてしまうことがある。
また、特許文献2による前照灯においては、高速道路走行時には遠方視認性を確保することができるが、高速道路走行時にも一般道路走行時にも、最大光度に関しては何ら対策がとられておらず、同様に対向車や歩行者に対して眩惑を与えてしまうことがある。
【0012】
本発明は、以上の点から、簡単な構成により、高速道路走行時には遠方視認性を確保することができると共に、一般道路走行時には最大光度を抑制して対向車や歩行者に眩惑を与えないようにした、車両前照灯を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的は、本発明によれば、光源と、光源からの光を前方に向かって反射させるように、第一の焦点位置が光源付近に位置し、且つ第二の焦点位置が前方にほぼ水平に延びる光源の光軸上に位置するように配置された前方に向かって凹状の楕円系の反射面と、上記反射面の前方にて、光源の光軸上にて、その光源側の焦点位置が上記反射面の第二の焦点位置付近に位置するように配置された凸状の投影レンズと、上記反射面の第二の焦点位置付近に配置され、上縁がカットオフラインを画成するように形成された遮光部材と、を備えている、車両前照灯において、上記遮光部材が、光軸方向に関して比較的厚い第一の遮光部材と、光軸方向に関して比較的薄い第二の遮光部材と、から成り、一般道路走行時には、第一の遮光部材が光軸に対して比較的低い位置にて光路中に挿入されて、一般道路走行用すれ違いビームの配光パターンが形成され自動車の高速道路走行時には、第二の遮光部材が光軸に対して比較的低い位置にて光路中に挿入されて、高速道路走行用すれ違いビームの配光パターンが形成されることを特徴とする、車両前照灯により、達成される。
【0014】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第二の遮光部材が光軸に対して所定位置に配置されており、上記第一の遮光部材が、上記第二の遮光部材の光軸に関して前後に配置され得る二枚の遮光板から構成されていて、上下方向に可動である。
【0015】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第一の遮光部材の光軸方向の厚さが、前方に向かって照射される光の最大光度を適宜に低減させるように選定されている。
【0016】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第二の遮光部材の厚さが0.5から2.0mm程度であって、上記第一の遮光部材の厚さまたは二枚の遮光板のの前縁から後縁までの厚さが2.0から4.0mm程度に選定されている。
【0017】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第一の遮光部材と第二の遮光部材の光軸に対する挿入位置が、前方に向かって照射される光に対して垂直方向に1度程度の角度差となるように選定されている。
【0018】
本発明による車両前照灯は、好ましくは、上記第一の遮光部材及び第二の遮光部材が同時に光路から退避されることにより、走行ビーム用の配光パターンが形成される。
【発明の効果】
【0019】
上記構成によれば、光源から出射した光が、直接にまたは反射面で反射されて、その第二の焦点位置に向かって集束され、さらに投影レンズを介して前方に向かって照射される。
【0020】
その際、一般道路走行時には、第一の遮光部材が光路中に挿入されることにより、その上縁が光軸に対して比較的高い位置に持ち来されることによって、前方に向かって照射されるカットオフラインがやや下方に位置することになると共に、第一の遮光部材の光軸方向の厚さが比較的厚いことから、この第一の遮光部材の高さ位置及び厚さに依存して、上記カットオフラインの明暗境界がややボケることになる。
これにより、配光パターンにおける最大光度がやや低下することになるので、対向車や歩行者に対して眩惑を与えないような一般道路走行のために最適な配光パターンが得られることになる。
【0021】
これに対して、高速道路走行時には、第二の遮光部材が光路中に挿入されることにより、その上縁が光軸に対して比較的低い位置に持ち来されることによって、前方に向かって照射されるカットオフラインがやや上方に位置することになると共に、第二の遮光部材の光軸方向の厚さが比較的薄いことから、この第二の遮光部材の高さ位置及び厚さに依存して、上記カットオフラインの明暗境界がシャープに形成される。
これにより、配光パターンにおける最大光度が保持され、遠方視認性が向上するので、高速道路走行に適した配光パターンが得られることになる。
【0022】
上記第二の遮光部材が光軸に対して所定位置に配置されており、上記第一の遮光部材が、上記第二の遮光部材の光軸に関して前後に配置され得る二枚の遮光板から構成されていて、上下方向に可動である場合には、第一の遮光部材のみを光軸に対して上下方向に移動させることによって、上記第一の遮光部材が光路内に挿入されたときには、この第一の遮光部材を構成する各遮光板の上縁が第一の遮光部材の比較的厚い上縁を構成し、第一の遮光部材によりカットオフラインが形成されることになると共に、上記第一の遮光部材が光路から退避されたときには、上記第二の遮光部材が所定位置に配置されていることにより、この第二の遮光部材によりカットオフラインが形成されることになる。
この場合、可動部品である第一の遮光部材が二枚の遮光板から構成されていることにより、その重量が軽減されるので、駆動手段の負担も軽減され、小型化が可能である。
【0023】
上記第一の遮光部材の光軸方向の厚さが、前方に向かって照射される光の最大光度を適宜に低減させるように選定されている場合には、第一の遮光部材の高さ及び厚さに依存する最大光度が、適正に調整され得ることになる。
【0024】
上記第二の遮光部材の厚さが0.5から2.0mm程度であって、上記第一の遮光部材の厚さまたは二枚の遮光板の前縁から後縁までの厚さが2.0から4.0mm程度に選定されている場合には、第一の遮光部材による一般道路走行用のすれ違いビームの配光パターンの最大光度が適宜に低減され得ると共に、第二の遮光部材による高速道路走行用のすれ違いビームの配光パターンの最大光度が保持され得ることになる。
【0025】
上記第一の遮光部材と第二の遮光部材の光軸に対する挿入位置が、前方に向かって照射される光に対して垂直方向に1度程度の角度差となるように選定されている場合には、第二の遮光部材による高速道路走行用のすれ違いビームの配光パターンが、対向車や歩行者に眩惑を与えるようなことはない。
【0026】
上記第一の遮光部材及び第二の遮光部材が同時に光路から退避されることにより、走行ビーム用の配光パターンが形成される場合には、上記第一の遮光部材及び第二の遮光部材を同時に光路から退避させることによって、走行ビーム用の配光パターンを形成することができるので、所謂二灯式の車両前照灯として構成することも可能である。
【0027】
このようにして、一般道路走行時には、比較的厚い第一の遮光部材によって、カットオフラインのボケを利用して、最大光度を低減させることにより、一般道路走行のために最適な配光パターンが得られると共に、高速道路走行時には、比較的薄い第二の遮光部材によって、カットオフラインをシャープに形成して、最大光度を確保することにより、遠方視認性の高い高速道路走行のために最適な配光パターンが得られることになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
以下、この発明の好適な実施形態を図1から図9を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0029】
図1から図3は、本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示している。 図1から図3において、車両前照灯10は、光源としてのバルブ11と、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させる反射面12と、上記反射面12の前方に配置された第一の投影レンズ13と、上記反射面12と投影レンズ13との間に配置された遮光部材20と、から構成されている。
【0030】
上記バルブ11は、一般に自動車の前照灯または補助前照灯に使用されるバルブであって、例えば白熱電球,ハロゲン電球,赤外線反射膜付きのハロゲン電球やメタルハライドランプ等の放電灯等のバルブが使用され、その光軸Oが前方に向かってほぼ水平に配置され、ソケットにより固定保持されると共に、給電されるようになっている。
【0031】
上記反射面12は、上記バルブ11からの光を前方に向かって反射させるように前方に向かって凹状に形成され、その第一の焦点位置F1がバルブ11の発光点付近に位置すると共に、その第二の焦点位置F2が前側にてバルブ11から前方に延びる光軸O上に位置するように、楕円系の反射面として構成されている。 ここで、楕円系反射面は、回転楕円面,楕円柱だけでなく、楕円面を基本とした自由曲面を含むものである。
【0032】
上記投影レンズ13は、凸状のレンズから構成されており、上記光軸O上にて、その光源側の焦点が上記反射面12の第二の焦点位置F2付近に位置するように、配置されている。
【0033】
上記遮光部材20は、一般道路走行用の第一の遮光部材21と、高速道路走行用の第二の遮光部材22と、から構成されている。
【0034】
上記第一の遮光部材21は、二枚の遮光板23,24から成り、それぞれ例えば厚さ0.5から0.8mm程度の不透光性材料から形成されていると共に、その上縁23a,24aが、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近にて、後述するように、第一の遮光部材21を光軸方向に関して前後から挟むように、配置される。
【0035】
上記第一の遮光部材21、即ち上記第一及び第二の遮光板23,24は、光軸Oに対して垂直に所定間隔で配置されていると共に、図1に示した挿入位置から下方に移動して、図5にて矢印Aで示すように、図示しない例えばモータやソレノイド等の適宜の駆動手段によって光路から退避され得るようになっている。
【0036】
そして、上記第一の遮光部材21は、その各遮光板23,24の上縁23a,24aが、所望の配光パターン、即ち一般道路走行用のすれ違いビームのカットオフラインを形成するようになっている。
【0037】
これに対して、上記第二の遮光部材22は、例えば厚さ0.5から2.0mm程度の不透光性材料から形成されていると共に、その上縁22aが、上記投影レンズ13の光源側の焦点位置即ち上記反射面12の第二の焦点位置F2付近にて、前述した第一の遮光部材21の各遮光板23,24の間に配置される。
【0038】
上記第二の遮光部材22は、光軸Oに対して垂直に、固定配置されている。
そして、上記第二の遮光部材22は、その上縁22aが、所望の配光パターン、即ち高速道路走行用のすれ違いビームのカットオフラインを形成するようになっており、第一の遮光部材22の各遮光板23,24の挿入位置における上縁23a,24aの高さ位置よりわずかに低い位置に配置されている。
ここで、上記第二の遮光部材22の上縁22aの高さ位置は、第一の遮光部材22の各遮光板23,24の挿入位置における上縁23a,24aの高さ位置と比較して、前方に向かって照射される光に対して垂直方向に例えば1度程度の角度差となるように選定されている。
【0039】
本発明実施形態による車両前照灯10は、以上のように構成されており、バルブ11がソケットから給電されて発光することにより、バルブ11の発光部から光が出射されることになる。
そして、バルブ11から出射した光は、直接に、または上記反射面12で反射されて、この反射面12の第二焦点F2付近に向かって前方に進み、投影レンズ13により集束されながら、前方に向かって照射される。
【0040】
ここで、上記第一の遮光部材21が図1に示すように挿入位置にある場合には、バルブ11から出射した光のうち、一部の光が上記第一の遮光部材21、即ち各遮光板23,24により遮断され、その上縁23a,24aによりカットオフラインが形成されることになる。
その際、上記第一の遮光部材21は、光軸方向に関して前後に所定間隔で配置された各遮光板23,24の前縁から後縁までの距離が、第一の遮光部材21の厚さとして作用することになり、前方に向かって照射される配光パターンにおけるカットオフラインの明暗境界がややボケることになると共に、最大光度が低減されることになる。
従って、最大光度が抑制されることになり、対向車や歩行者に眩惑を与えない、一般道路走行に最適な配光パターンが得られることになる。
【0041】
これに対して、上記第一の遮光部材21が図5に示すように退避位置にある場合には、第二の遮光部材22の上縁22aが、第一の遮光部材21の各遮光板23,24の上縁23a,24aより上方に位置することになるので、バルブ11から出射した光のうち、一部の光が上記第二の遮光部材22により遮断され、その上縁22aによりカットオフラインが形成されることになる。
その際、上記第二の遮光部材22は、光軸方向に関して第一の遮光部材21と比較的薄く形成されていることから、前方に向かって照射される配光パターンにおけるカットオフラインの明暗境界がシャープになり、最大光度が保持され得ることになる。
従って、遠方視認性が向上することになり、高速道路走行に最適な配光パターンが得られることになる。
【0042】
このようにして、上記第一の遮光部材21が挿入位置にあるときには、カットオフラインの明暗境界がややボケることにより、配光パターンにおける最大光度が抑制されることになり、対向車や歩行者に眩惑を与えることがなく、一般道路走行に最適なすれ違いビームの配光パターンが得られることなると共に、上記第一の遮光部材21が退避位置にあるときには、第二の遮光部材22が遮光部材として作用することにより、カットオフラインの明暗境界がシャープに形成されることにより、配光パターンにおける最大光度が保持され、遠方視認性の良好な高速道路走行に最適なすれ違いビームの配光パターンが得られることになる。
【0043】
図6及び図7は、上述した車両前照灯10における配光パターンのシミュレーション結果を示している。
図6は、一般道路走行時、即ち第一の遮光部材21が挿入位置にあるとき(図1参照)の配光シミュレーション結果であり、最大光度は22837cdである。
これに対して、図7は、高速道路走行時、即ち第一の遮光部材21が退避位置にあるとき(図5参照)の配光シミュレーション結果であり、最大光度は46229.5cdであると共に、図6と比較してより上向きまで光を照射することにより、遠方視認性が向上していることが分かる。
【0044】
図8は、第一の遮光部材21の光軸方向の厚さと最大光度との関係を示している。
図8によれば、第一の遮光部材21の厚さが厚くなるほど、配光パターンにおける最大光度が低下していることが分かる。
【0045】
また、図9は、配光パターンにおける第一の遮光部材21及び第二の遮光部材22の高さ位置との関係を示している。
図9によれば、配光パターンにおいては、第一の遮光部材21及び第二の遮光部材22は、配光パターンにおける影として水平線より上方に投影されることになり、第二の遮光部材22は、中心付近の最大光度を与える領域の光を遮断しないことから、最大光度を保持することができることが分かる。
これに対して、第一の遮光部材21は、中心付近の最大光度を与える領域の光を遮断していることから、最大光度を抑制することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
上述した実施形態においては、遮光部材20のうち、第二の遮光部材22は固定配置されているが、これに限らず、第二の遮光部材22を下方に退避し得るように構成することによって、第一の遮光部材21及び第二の遮光部材22を同時に退避位置に持ち来すことによって、バルブ11からの光が遮光部材20により遮断されることなく、投影レンズ13を介して前方に向かって照射される。これにより、車両前照灯10により走行ビームの配光パターンを形成することも可能であり、車両前照灯10を所謂二灯式の車両前照灯として構成することもできる。
【0047】
また、上述した実施形態においては、第一の遮光部材21が二枚の遮光板23,24から構成されており、第二の遮光部材21を光軸方向前後から挟むように挿入位置に移動されるようになっているが、これに限らず、第一の遮光部材21及び第二の遮光部材22が交互に光路中に挿入されるようにしてもよいことは明らかである。
この場合、第一の遮光部材21は、比較的厚い一枚の板材から形成され得ることになる。
【0048】
このようにして、本発明によれば、高速道路走行時には遠方視認性を確保することができると共に、一般道路走行時には最大光度を抑制して対向車や歩行者に眩惑を与えないようにした、極めて優れた車両前照灯が提供され得る。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による車両前照灯の一実施形態の構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1の車両前照灯の平面図である。
【図3】図1の車両前照灯の正面図である。
【図4】図1の車両前照灯における遮光部材を示す拡大側面図である。
【図5】図1の車両前照灯の高速道路走行時の状態を示す図1と同様の概略斜視図である。
【図6】図1の車両前照灯による一般道路走行時の配光パターンを示すグラフである。
【図7】図1の車両前照灯による高速道路走行時の配光パターンを示すグラフである。
【図8】図1の車両前照灯における遮光部材の厚さと最大光度との関係を示すグラフである。
【図9】図1の車両前照灯における遮光部材の高さ位置と最大光度との関係を示すグラフである。
【図10】従来の車両前照灯の一例の構成を示す概略斜視図である。
【図11】図10の車両前照灯によるすれ違いビームの配光パターンを示すグラフである。
【符号の説明】
【0050】
10 車両前照灯
11 バルブ(光源)
12 反射面
13 投影レンズ
20 遮光部材
21 第一の遮光部材
22 第二の遮光部材
22a 上縁
23,24 遮光板
23a,24a 上縁




 

 


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