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発明の名称 可動アーム及び可動アームの設計方法
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−173118(P2007−173118A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−371020(P2005−371020)
出願日 平成17年12月22日(2005.12.22)
代理人 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清
発明者 宮先 弘
要約 課題
耐用期間が延長された可動アーム及びその設計方法を提供する。

解決手段
取付面に固定される基台1と、基台1に対して重心の位置を変化させるように回動可能に枢着されて支持対象物OBが取り付けられる可動体2と、可動体2を基台1に対して所定の復帰位置に復帰させる向きに付勢する復帰体3とを備える。基台1に対する可動体2の位置に関わらず、可動体2に作用する重力と復帰体3による付勢力とが釣り合うように、復帰体3の弾性係数と、復帰位置における復帰体3の変形量と、各部の寸法とが決定されている。摩擦力によらず復帰体3の弾性力により可動体2の位置を維持しているから、摩耗の影響を受けにくいので、摩擦力によって可動体2の位置を維持する場合よりも長期間の使用に耐え得る。
特許請求の範囲
【請求項1】
取付面に取り付けられる基台と、
支持対象物を支持するとともに基台に対する支持対象物の位置を変化させるように基台に対して回動可能に枢着された可動体と、
可動体において基台に対する回動軸から離れた位置並びに基台において可動体の回動軸から離れた位置にそれぞれ連結され、可動体に対する連結位置と基台に対する連結位置とを互いに近づける又は遠ざける方向の弾性を有し、可動体を基台に対して所定の復帰位置に復帰させる向きに付勢する復帰体とを備え、
基台において復帰体に対する連結位置と可動体の回動軸とが同一鉛直面上に位置する向きであって復帰位置において可動体と支持対象物との全体としての重心が可動体の基台に対する回動軸よりも上側に位置する向きで基台が取付面に取り付けられているときに、
少なくとも可動体と支持対象物との全体としての重心が可動体の基台に対する回転軸に対して水平方向に並ぶ位置と復帰位置との間では、基台に対する可動体の位置に関わらず、重力による復帰位置からの変位量を増す力と、復帰体による復帰位置へ復帰させる力とが互いに釣り合うように、復帰体の弾性係数と、復帰位置における復帰体の変形量と、各部の寸法とが決定されていることを特徴とする可動アーム。
【請求項2】
基台と可動体との間に、基台と可動体とのいずれよりも摩擦係数の低い材料からなる滑り体を介在させたことを特徴とする請求項1記載の可動アーム。
【請求項3】
請求項1記載の可動アームを設計する方法であって、復帰体の弾性係数と、復帰位置における復帰体の変形量と、各部の寸法とが満たすべき条件を、可動体の基台に対する位置を表すパラメータに関する恒等式を解くことにより算出することを特徴とする可動アームの設計方法。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明器具等の支持対象物を支持する可動アーム及びその設計方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、取付面に対して固定される基台と、一端が基台に枢着されて他端に支持対象物が取り付けられる可動体とを有し、照明器具やカメラなどの支持対象物を取付面に対して変位自在に支持する可動アームが提供されている。
【0003】
従来の可動アームでは、可動体の基台に対する位置は、可動体と基台との間の摩擦力によって維持されていた(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公平6−42323号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、可動体を基台に対して変位させる度に可動体と基台との接触部が摩耗するので、いずれは摩擦力が働かなくなって可動体の位置が維持できなくなり、あるいは、可動体の向きが歪んで引掛かりが生じ可動体を回動させることが困難となるため、耐用期間が短かった。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、耐用期間が延長された可動アーム及びその設計方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、取付面に取り付けられる基台と、支持対象物を支持するとともに基台に対する支持対象物の位置を変化させるように基台に対して回動可能に枢着された可動体と、可動体において基台に対する回動軸から離れた位置並びに基台において可動体の回動軸から離れた位置にそれぞれ連結され、可動体に対する連結位置と基台に対する連結位置とを互いに近づける又は遠ざける方向の弾性を有し、可動体を基台に対して所定の復帰位置に復帰させる向きに付勢する復帰体とを備え、基台において復帰体に対する連結位置と可動体の回動軸とが同一鉛直面上に位置する向きであって復帰位置において可動体と支持対象物との全体としての重心が可動体の基台に対する回動軸よりも上側に位置する向きで基台が取付面に取り付けられているときに、少なくとも可動体と支持対象物との全体としての重心が可動体の基台に対する回転軸に対して水平方向に並ぶ位置と復帰位置との間では、基台に対する可動体の位置に関わらず、重力による復帰位置からの変位量を増す力と、復帰体による復帰位置へ復帰させる力とが互いに釣り合うように、復帰体の弾性係数と、復帰位置における復帰体の変形量と、各部の寸法とが決定されていることを特徴とする。
【0007】
この発明によれば、可動体の基台に対する位置が、摩擦力によらず復帰体の弾性力により維持されることにより、摩耗の影響を受けにくいから、摩擦力によって可動体の位置を維持する場合よりも耐用期間が延長される。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、基台と可動体との間に、基台と可動体とのいずれよりも摩擦係数の低い材料からなる滑り体を介在させたことを特徴とする。
【0009】
この発明によれば、基台と可動体との間に作用する摩擦力が低減されるから、可動体を動作させるために必要な操作力が低減される。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1の可動アームを設計する方法であって、復帰体の弾性係数と、復帰位置における復帰体の変形量と、各部の寸法とが満たすべき条件を、可動体の基台に対する位置を表すパラメータに関する恒等式を解くことにより算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、少なくとも可動体の重心が可動体の基台に対する回転軸に対して水平方向に並ぶ位置と復帰位置との間では、基台に対する可動体の位置に関わらず、重力による復帰位置からの変位量を増す力と、復帰体による復帰位置へ復帰させる力とが互いに釣り合うように、例えば可動体の基台に対する位置を表すパラメータに関する恒等式を解くことにより、復帰体の弾性係数と、復帰位置における復帰体の変形量と、各部の寸法とが決定されているので、可動体の基台に対する位置が、摩擦力によらず復帰体の弾性力により維持されることにより、摩耗の影響を受けにくいから、摩擦力によって可動体の位置を維持する場合よりも耐用期間が延長される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を実施するため最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0013】
本実施形態は、図1に示すように、取付面としての床面に載置される基台1と、床面に直交する面内で回動可能となるように一端が基台1に対して枢着され他端に例えば照明器具のような支持対象物OBが取り付けられる可動体2と、可動体2と共通の面内で回動可能となるように、基台1において可動体2の回動軸よりも上側に枢着されるとともに、可動体2において基台1に対する回動軸よりも支持対象物OBに近い位置に枢着された復帰体3とを備える。以下、上下方向は図1を基準とし、図1の左上−右下方向を左右方向と呼び、図1の左下―右上方向を前後方向と呼ぶ。
【0014】
詳しく説明すると、基台1は、図2に示すように、床面に載置される円板形状の台座部11と、台座部11の中央部から上方に突設された略直方体形状であって前後両面にそれぞれ可動体2が連結された可動体連結部12と、可動体連結部12の上面に突設された6面体形状であって前後両面にそれぞれ復帰体3が連結された復帰体連結部13とを有する。復帰体連結部13の左右両面は、それぞれ上方へ向かって左右の寸法を小さくする方向に傾斜している。また、復帰体連結部13の前後の寸法は可動体連結部12の前後の寸法よりも小さくなっており、可動体連結部12の前後の面と復帰体連結部13の前後の面との間にはそれぞれ段差が形成されている。
【0015】
可動体2は、図3に示すように、2枚の長細い可動板21からなる。可動板21は、厚さ方向を前後方向に向けて支持対象物OBを前後から挟む形でそれぞれ一端が支持対象物OBに連結され、他端が基台1の可動体連結部12を前後から挟む形で基台1に枢着されている。各可動板21はそれぞれ例えば金属板からなる。各可動板21のそれぞれ一端と基台1の可動体連結部12とには、それぞれ第1の軸挿通穴21a,12aが厚さ方向に貫設されており、第1の軸棒41が各可動板21の第1の軸挿通穴21a,12aにそれぞれ挿通されることにより、可動体2は基台1に対して前後方向に直交する面内で回動可能に枢着されている。
【0016】
復帰体3は、一端が基台1に枢着される基台側部材31と、一端が可動体2に連結される可動体側部材32と、コイルばねからなり基台側部材31と可動体側部材32との間に介在する復帰ばね33とからなる。
【0017】
可動体側部材32は、復帰ばね33に挿通される円柱形状の挿通部32aと、外径が挿通部32aよりも大きい円板形状であって一面の中央部が挿通部32aの軸方向の一端に連結されてこの面に復帰ばね33の軸方向の一端が弾接するばね受け部32bとを有する。挿通部32aにおいてばね受け部32bから離れた側の一端と、各可動板21において第1の軸挿通穴21aよりも長さ方向の中央寄りの位置とには、それぞれ第2の軸挿通穴32c,21bが前後に貫設されており、可動体側部材32が可動板21に前後から挟まれる形で、第2の軸棒42が各第2の軸挿通穴32c,21bにそれぞれ挿通されることにより、可動体側部材32は可動体2に対して前後方向に直交する面内で回動可能に枢着されている。
【0018】
基台側部材31は、それぞれ例えば金属板からなり可動体側部材32と復帰ばね33とを前後から挟む2個の外郭体31aからなる。各外郭体31aは、長細い平板形状であって厚さ方向を前後方向に向けられて一端が基台1に連結される本体部31bと、本体部31bの他端から前後方向の内向きに突設されて復帰ばね33に対し可動体側部材32のばね受け部32bとは反対側の端に弾接するばね受け部31cと、本体部31bの幅方向の両端からそれぞれ前後方向の内向きに突設されて復帰ばね33と可動体側部材32とを挟む挟み部31dとを有する。復帰ばね33は、軸方向に関して基台側部材31のばね受け部31cと可動体側部材32のばね受け部32bとの間に挟まれることにより、軸方向において常に自然長よりも圧縮された圧縮ばねとなっている。また、各外郭体31aにおいてそれぞれ本体部31bのばね受け部31cから離れた側の端部と、基台1の復帰体連結部13とには、それぞれ第3の軸挿通穴31e,13aが前後に貫設されており、第3の軸棒43が各第3の軸挿通穴31e,13aに前後に挿通されることにより、基台側部材31は基台1に対して前後方向に直交する面内で回動可能に枢着されている。これまでに述べた各軸棒41,42,43としては、例えばボルトであって軸部において頭部から離れた側の端部にのみねじ山が設けられたものが用いられ、軸挿通穴12a,13a,21a,21b,31e,32cへの挿通後にねじ山にナット(図示せず)を螺合させることによって脱落を防止される。
【0019】
各挟み部31dの本体部31bからの突出寸法は、基台1の復帰体連結部13の前後の寸法の半分程度としてあり、基台側部材31が基台1に取りつけられた状態では、各外郭体31aは互いの挟み部31dの先端面同士を突き合わせる形となる。そして、可動体側部材32は、互いに対向する挟み部31dの間に挟まれることにより、基台側部材31に対して挿通部32aの軸方向にスライド可能にガイドされている。つまり、基台側部材31がどのように回動しても、基台側部材31の長手方向と、可動体側部材32の挿通部32aの軸方向と、復帰ばね33の軸方向とが常に一致する。また、復帰ばね33において、軸方向の両端のうち復帰体3と基台1との連結部から離れた側の一端が基台側部材31に弾接し、軸方向の両端のうち復帰体3と可動体2との連結部から離れた側の一端が可動体側部材32に弾接していることにより、圧縮ばねである復帰ばね33の弾性力は、復帰体3において基台1に対する連結部と可動体2に対する連結部とを互いに近付ける方向、すなわち、復帰体3の全長を短くする方向に作用する。
【0020】
また、第1の軸挿通穴12aと第3の軸挿通穴13aとは軸方向が互いに平行であって上下に並べて設けられている。そして、第1の軸棒41の中心軸すなわち可動体2の基台1に対する回動軸と、第3の軸棒43の中心軸すなわち復帰体3の基台1に対する回動軸とは、基台1の台座部11の底面に直交する同一平面上に位置し、基台1が水平面に載置された状態では、可動体2の基台1に対する回動軸は復帰体3の基台1に対する回動軸の鉛直下側に位置する。
【0021】
ここで、基台1の第1の軸挿通穴12aには、滑り体としての円筒形状の第1の滑り軸受け51が挿入されており、第1の軸棒41は第1の滑り軸受け51に挿通されている。また、可動体側部材32の前後両側において、可動体側部材32の挿通部32aと可動板21との間には、それぞれ第2の軸棒42が挿通されて軸方向の端面のうち一方を可動体側部材32に近接させ他方を可動板21に近接させる円筒形状の第2の滑り軸受け52を介在させている。さらに、基台1の第3の軸挿通穴13aには、円筒形状の第3の滑り軸受け53が挿入されており、第3の軸棒43は第3の滑り軸受け53に挿通されている。各滑り軸受け51,52,53の材料としては、それぞれ台座1や可動体2や復帰体3よりも摩擦係数が低い材料が用いられ、具体的には例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリアセタールのような比較的に摩擦係数の低い合成樹脂を用いることができる。滑り軸受け51,52,53により、台座1と可動体2と復帰体3との間に作用する摩擦力が低減され、台座1に対して可動体2を回動させる際に必要な操作力が低減されている。
【0022】
以下、基台1が水平面上に載置された場合における本実施形態の動作について、本実施形態の構造を模式的に示した図4(a)〜(c)を用いて説明する。既に述べたように、復帰体3は、全長を短くする方向、すなわち、基台1に対する回動軸A3(第3の軸棒43の中心軸)と可動体2に対する回動軸A2(第2の軸棒42の中心軸)とを互いに近付ける方向の弾性を有する。
【0023】
可動体2における基台1に対する回動軸A1(第1の軸棒41の中心軸)と復帰体3に対する回動軸A2との間の距離や、基台1において可動体2の回動軸A1と復帰体3の回動軸A3との間の距離は、可動体2や基台1が殆ど弾性変形しないことからそれぞれ略一定である。また、基台1において復帰体3の回動軸A3は可動体2の回動軸A1の鉛直上方に位置している。従って、可動体2が基台1に対して回動して取り得る位置のうち、復帰体3において基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2との距離が最小になる位置、すなわち復帰ばね33の変形量が最小となる位置は、図4(a)のように可動体2において復帰体3に対する回動軸A2の位置を基台1に対する回動軸A1の鉛直上側とするように直立した位置である。つまり、復帰体3の弾性力は可動体2を図4(a)のように直立した状態に復帰させるように作用するのであって、本実施形態では可動体2が取り得る位置のうち図4(a)のように直立した位置が復帰位置である。また、復帰位置において復帰ばね33の変形量は最小となるが、この状態でも既に復帰ばね33は自然長に対して圧縮されている。また、本実施形態では、可動体2の形状は、可動体2の基台1に対する回動軸A1と復帰体3に対する回動軸A2とを含む平面に関して対称としてある。さらに、支持対象物OBは、外形が上記平面に関して対称となっており重心が上記平面上に位置する。従って、復帰位置では、可動体2と支持対象物OBとの全体としての重心は、基台1に対する可動体2の回動軸の鉛直上側に位置する。
【0024】
そして、図4(a)の復帰位置から、図4(b)に示すように可動体2が傾くと、復帰体3においては基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2との距離が大きくなって基台側部材31のばね受け部31cと可動体側部材32のばね受け部32bとの間の距離が小さくなることにより復帰ばね33がさらに圧縮される。可動体2の復帰位置からの変位量が増すほど、復帰ばね33の変形量(圧縮量)が大きくなって復帰体3の弾性力すなわち復帰力が増大するが、同時に、可動体2や支持対象物OBに作用する重力のうち可動体2によって受けられていた成分が減少して可動体2を更に倒す方向に作用する成分が増大する。
【0025】
本実施形態は、復帰体3による可動体2を復帰させる力と、重力による可動体2を更に倒す力とが、図4(a)の復帰位置と、図4(c)のように可動体2が長さ方向を水平方向へ向ける位置との間で、基台1に対する可動体2の位置(以下、単に「可動体2の位置」という。)によらず釣り合うようにするものである。これを実現するために満たされるべき条件を算出する具体的な方法を、以下に説明する。
【0026】
復帰ばね33の自然長をaとおき、復帰位置における復帰ばね33の圧縮量をbとおく。つまり、復帰位置での復帰ばね33の長さはa−bである。また、復帰位置において、基台1に対する復帰体3の回動軸A3と復帰ばね33との距離をc1とおき、可動体2に対する復帰体3の回動軸A2と復帰ばね33との距離をc2とおき、c1+c2=cとおく。すなわち、復帰位置では、復帰体3における基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2との距離は、復帰ばね33の長さa−bとそれ以外の部分の長さcとの合計としてa−b+cと表される。
【0027】
さらに、図5に示すように、可動体2が復帰位置から変位して長さ方向と水平面Hとのなす角をθ(rad)としている位置(以下、「変位位置」と呼ぶ。)で、復帰体3における基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2とを含む平面と、可動体2における基台1に対する回動軸A1と復帰体3に対する回動軸A2とを含む平面とがなす角をα(rad)とおく。また、変位位置では復帰位置よりも、復帰体3における基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2との距離が増加しているが、この増加した距離をdとおく。つまり、変位位置では、復帰体3における基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2との距離は、a−b+c+dと表される。上記の数値dは、復帰位置と比較しての変位位置での復帰体3の変形量すなわち復帰ばね33の変形量(圧縮量)の増加量でもある。
【0028】
可動体2における基台1に対する回動軸A1と復帰体3に対する回動軸A2とを含む平面と、復帰体3における基台1に対する回動軸A3との距離Lは、θを用いてL=xsin(π/2−θ)=xcosθと表され、αを用いて(a−b+c+d)sinαと表される。以上から、次の式1が得られる。
【0029】
【数1】


【0030】
また、支持対象物OBと可動体2と復帰体3と第2の軸棒42と第2の滑り軸受け52とに作用する重力は、可動体2において復帰体3に対する回動軸A2付近に作用するものとし、その大きさをGとおくと、可動体2の変位量を増加させる力P1は、P1=Gcosθと表される。なお、Gは周知のモーメント計算により得られる。また、可動体2を復帰させる力P2は、復帰ばね33のばね定数をkとおくと、変位位置における復帰ばね33の変位量がb+dであることから、P2=k(b+d)sinαと表される。これらが釣り合う条件はP1=P2であるから、次の式2が得られる。
【0031】
【数2】


【0032】
式1からcosθ=sinα・(a−b+c+d)/xを得てこれを式2に代入すると、sinαも消え、次の式3が得られる。
【0033】
【数3】


【0034】
式3が成立すれば、可動体2の変位量を増加させる力P1と可動体2を復帰させる力P2とが釣り合い、可動体2の位置が安定することになる。ここで、復帰位置に対する変位位置での復帰ばね33の変形量dは、可動体2の復帰位置からの変位量に依存する量であって、すなわち請求項3でいうところの可動体2の基台1に対する位置を表すパラメータである。従って、本実施形態の設計に当たり、可動体2の位置によらず上記の力P1,P2が釣り合うために満たすべき条件を求めるには、式3をdに関する恒等式として解けばよい。この結果、得られる条件は、G=xk、かつ、2b=a+cである。この条件を満たすように復帰ばね33のばね定数kや各部の寸法を適宜決定すれば、可動体2の位置によらず上記の力P1,P2が釣り合って可動体2の位置が安定することになる。つまり、上記の条件を満たした可動アームにおいては、可動体2を基台1に対してどのように回動させても、操作力の解除後に支持対象物OBの位置が維持されるのであり、支持対象物OBの位置を維持するための力を加え続ける必要がない。
【0035】
本発明者は、支持対象物OBの重量が約150gである場合に、可動体2の長さを約400mm、第1の挿通穴12aと第3の挿通穴13aとの距離を10mm、ばね定数を2N/mm、復帰ばね33の自然長aを90mm、復帰位置における復帰ばね33の圧縮量を45mmとすることにより、図4(c)の位置において、可動体2の変位量を増加させる力P1が1.2kg、可動体2を復帰させる力P2が1.1kgであって、これらの力P1,P2が可動体2の位置によらず略釣り合う可動アームを得ている。
【0036】
上記構成によれば、図4(a)の位置と図4(c)の位置との間では可動体2の位置によらず可動体2の変位量を増加させる力P1と可動体2を復帰させる力P2とが釣り合う。また、摩擦力によらず復帰体3の弾性力すなわち復帰ばね33のばね力により可動体2の位置を維持しているから、摩耗の影響を受けにくいので、摩擦力によって可動体2の位置を維持する場合よりも長期間の使用に耐え得る。
【0037】
なお、基台1や復帰体3の形状は本実施形態のものに限られず、例えば図6や図7のような形状であってもよい。図6の例と図7の例とは、後述するねじ穴1aの位置以外は互いに共通する構造を有し、それぞれ可動体2が復帰体3の一方側にのみ設けられており、可動体2や復帰体3の基台側部材31が円筒形状となっているが、いずれも基本的な構造は図1の例と共通である。すなわち、可動体2は、可動体2と基台1とにそれぞれ設けられた第1の挿通穴(図示せず)に挿通された第1の軸棒41によって基台1に枢着されている。また、復帰体3は、一端部が第3の軸棒43を介して基台1に枢着される円筒形状の基台側部材31と、基台側部材31に挿入されて基台側部材31の軸方向にスライド可能であって一端部が第2の軸棒42を介して可動体2に枢着された円柱形状の可動体側部材32と、基台側部材31と可動体側部材32との間に介在して基台側部材31からの可動体部材32の突出寸法を小さくする方向のばね性を有する復帰ばね(図示せず)とを備える。つまり、復帰体3は、全体として、第2の軸棒42と第3の軸棒43とを互いに近付ける方向の弾性力を有している。さらに、基台1に対して復帰体3を枢着する第3の軸棒43は、基台1に対して可動体2を枢着する第1の軸棒41よりも上側に配置されている。従って、復帰体3の弾性力は、可動体2を直立させる方向に作用する。
【0038】
図6の例と図7の例とでは、取付面へのねじ止めのためのねじ(図示せず)が螺合するねじ穴1aがそれぞれ基台1に設けられている。つまり、取付面を構成するパネル(図示せず)に取付面の内側から貫通させたねじをねじ穴1aに螺合させることや、取付用パネル(図示せず)に挿通されたねじをねじ穴1aに螺合させるとともに別途ねじ止め等の手段によって取付用パネルを取付面に取り付けることにより、基台1を取付面に固定することができる。図6の例ではねじ穴1aを側面に開口させてあって取付面としての壁面(図示せず)への取付を可能としており、図7の例ではねじ穴1aを上面に開口させてあって取付面としての天井面(図示せず)への取付を可能としている。
【0039】
また、復帰体3として、本実施形態とは逆に、全長を長くする方向、すなわち、基台1に対する回動軸A3と可動体2に対する回動軸A2とを互いに引き離す方向の弾性を有するものを用いてもよい。この場合、本実施形態とは逆に、基台1において復帰体3の回動軸A3を可動体2の回動軸A1の鉛直下方に位置させれば、やはり復帰位置は可動体2が直立する位置となる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施形態を示す斜視図である。
【図2】同上の要部を示す斜視図である。
【図3】同上の要部を示す分解斜視図である。
【図4】(a)〜(c)はそれぞれ同上の動作を示す説明図であり、(a)は可動体が復帰位置にある状態を示し、(b)は可動体が復帰位置から変位した状態を示し、(c)は(b)よりもさらに可動体の変位量が大きくなった状態を示す。
【図5】所望の性質を得るために必要な条件を算出する方法を示す説明図である。
【図6】同上の別の形態を示す斜視図である。
【図7】同上のさらに別の形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
1 基台
2 可動体
3 復帰体
51 第1の滑り軸受け
52 第2の滑り軸受け
53 第3の滑り軸受け
OB 支持対象物




 

 


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