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発明の名称 地中埋め込み型照明装置による照明方法及び地中埋め込み型照明装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−95390(P2007−95390A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−280926(P2005−280926)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人 【識別番号】100084375
【弁理士】
【氏名又は名称】板谷 康夫
発明者 松井 俊成 / 片岡 高明
要約 課題
地中埋め込み型の照明装置から地上に向けて発光させることによって視覚障害者の歩行支援を行うための照明方法において、視覚障害者は照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。

解決手段
地中埋め込み型の照明装置1において、発光面4に対して垂直な軸vからの開き角度が0度から略70度の範囲(有効照明範囲Re)における発光面4の光度の上限値を照明装置1の長さ300mm当たり1.98cdとし、開き角度が略30度から略70度の範囲(視認照明範囲Rs)における発光面4の光度の下限値を照明装置1の長さ300mm当たり0.43cdとする。視覚障害者は、視認照明範囲Rsにおいて下限値以上に設定された充分な光度によって有効な歩行支援が得られ、晴眼者は、有効照明範囲Reにおける光度が上限値以下に抑えられているのでグレアを感じずに済む。
特許請求の範囲
【請求項1】
地中埋め込み型の照明装置によって地上に向けて発光させ、地上を歩行する視覚障害者の歩行支援を行うための照明方法において、
前記照明装置の発光面に垂直な軸からの開き角度が0度から略70度の範囲(以下、有効照明範囲という)における光度の上限値を照明装置長さ300mm当たり(以下、単位長さ当たりという)1.98cdとし、前記開き角度が略30度から略70度の範囲(以下、視認照明範囲という)における光度の下限値を単位長さ当たり0.43cdとすることを特徴とする地中埋め込み型照明装置による照明方法。
【請求項2】
周囲環境の明るさが平均水平面照度1ルクス(lx)のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値を単位長さ当たり1.33cdとし、前記視認照明範囲における光度の下限値を単位長さ当たり0.17cdとすることを特徴とする請求項1に記載の地中埋め込み型照明装置による照明方法。
【請求項3】
周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値を単位長さ当たり1.98cdとし、前記視認照明範囲における光度の下限値を単位長さ当たり0.30cdとすることを特徴とする請求項1に記載の地中埋め込み型照明装置による照明方法。
【請求項4】
発光面が地上に向けて埋め込まれ、前記発光面の発光によって、地上を歩行する視覚障害者の歩行支援を行うための地中埋め込み型の照明装置において、
周囲環境の明るさを検知する明るさ検知手段と、
前記明るさ検知手段によって検知された周囲環境の明るさが平均水平面照度1ルクス(lx)程度のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり1.33cdとなり、前記視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.17cdとなり、
前記明るさ検知手段によって検知された周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)程度のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり1.98cdとなり、前記視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.30cdとなり、
前記明るさ検知手段によって検知された周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)より明るく100ルクス(lx)よりも暗いとき、前記有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり2.63cdとなり、前記視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.43cdとなる光度が可変な発光源とを備えることを特徴とする地中埋め込み型照明装置。
【請求項5】
前記発光面の形状が線状であることを特徴とする請求項4に記載の地中埋め込み型照明装置。
【請求項6】
前記発光面は、少なくとも1つの略直角の角部を持つことを特徴とする請求項5に記載の地中埋め込み型照明装置。
【請求項7】
前記発光面は、全ての角部が略直角の多角形に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の地中埋め込み型照明装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中埋め込み型の照明装置によって地上に向けて発光させることにより、地上を歩行する視覚障害者の歩行支援を行うための照明方法及び照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視覚障害者の歩行支援のための設備のひとつに点字ブロックがある。点字ブロックには夜間における視認性を高めるために、高輝度LEDを埋め込んだものがあるが、従来はLEDの光度や発光面の形状が適切ではなく、視覚障害者のための有効な歩行支援には不充分なものであった。
【0003】
一方、積雪地域の道路に設置される道路灯において、積雪によって判別不能になった道路と路肩の境界を示すために、道路の上方からビーム状の光を下へ向けて投射させる道路灯が知られている(例えば、特許文献1参照)。この道路灯では、道路を走行する車両の運転者から見て、ビーム状の光によって直接照射される矢羽等の標識及びビーム状の光柱自体は、明瞭に視認できるが、そのビーム状の光によってグレア(眩しさ、ぎらつき感)を感じることがないように、光源の光度が調整される。また、降雪量、降雨量等の環境に応じて光の出力を可変制御するようにもなっている。
【特許文献1】特開2005−2773号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のLEDを埋め込んだ点字ブロックのように、地中に光源を埋め込むことにより地上に向けて一定の形状の発光面を発光させる照明装置(以下、地中埋め込み型照明装置という)があり、この地中埋め込み型照明装置は、発光面の光度や形状が適切であるならば、視覚障害者の歩行支援に有効である。ところが、従来、視覚障害者の歩行支援に有効な地中埋め込み型照明装置は、種々の要因によって実現されていない。
【0005】
1つの要因としては、従来の地中埋め込み型照明装置は、当該照明装置を設置する道路が、視覚障害者の歩行する道路であると同時に晴眼者の歩行する道路でもあるために、当該照明装置の光によって晴眼者がグレアを感じることがないように、光源の光度を低目に設計してある場合がある。その場合には、視覚障害者にとって照明装置の位置を視認することが困難になる。視覚障害者が道路面に間隔をおいて埋設された照明装置を次々に視認して安全に歩行するためには、歩行する視覚障害者が、照明装置に対して約5mの距離に近づいた位置で当該照明装置を視認できる必要がある。
【0006】
視覚障害者の有効な歩行支援のための上記の条件を満たすためには、照明装置の光度は高目の方がよいのであるが、光度が高過ぎると、照明装置に近づいた晴眼者はグレアを感じて不快な思いをする。
【0007】
要するに、地中埋め込み型照明装置では、視覚障害者にとって有効な歩行支援が得られる光度の範囲と、晴眼者がグレアを感じて不快な思いをしなくて済む光度の範囲の重なり合う範囲に、その光度が設定できればよいのであるが、従来は、その光度範囲を客観的に適正な範囲に特定することが困難であった。
【0008】
また、上述のように地中埋め込み型照明装置の光度の範囲が適正な範囲に特定され難い原因のひとつに、視覚障害者にとって有効な歩行支援が得られる光度の範囲と、晴眼者がグレアを感じて不快な思いをしなくて済む光度の範囲が共に照明装置の周囲の明るさに連動して変化するという問題があった。
【0009】
具体的には、視覚障害者にとって有効な歩行支援が得られる光度の範囲は、夜間等周囲環境が暗い場合には比較的低く、昼間の周囲環境が明るい場合には比較的高くなり、晴眼者にとってグレアを感じる光度の範囲は、夜間等周囲環境が暗い場合には比較的低く、昼間の周囲環境が明るい場合には比較的高くなる。
【0010】
従って、地中埋め込み型照明装置において、例えば、昼間の周囲環境が明るい下で、視覚障害者にとって有効な歩行支援が得られ、かつ晴眼者がグレアを感じずに済む光度に設定したとしても、夜間では適正光度よりも高過ぎて、晴眼者がグレアを感じてしまう虞がある。逆に、夜間の周囲環境が暗い下で、視覚障害者にとって有効な歩行支援が得られ、かつ晴眼者がグレアを感じずに済む光度に設定したとしても、昼間では適正光度よりも低過ぎて、視覚障害者にとって有効な歩行支援が得られない虞がある。
【0011】
さらに、視覚障害者にとっては、照明装置の光度が適正であれば、照明装置の周囲約5m以内の領域に一旦進入すれば、照明装置に接近するほど照明装置の位置が明瞭に視認できるようになるので、照明装置の位置を見失ってしまう虞は低く、照明装置に最接近した位置における照明装置の光度はあまり問題にならないが、晴眼者にとっては、照明装置に最接近した位置における足元の照明装置から受ける光によって、よりグレアを感じやすいという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、周囲環境の明るさが変化しても、視覚障害者にとっては照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、晴眼者にとっては照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む、地中埋め込み型照明装置による照明方法及び地中埋め込み型照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、地中埋め込み型の照明装置によって地上に向けて発光させ、地上を歩行する視覚障害者の歩行支援を行うための照明方法において、前記照明装置の発光面に垂直な軸からの開き角度が0度から略70度の範囲(以下、有効照明範囲という)における光度の上限値を照明装置長さ300mm当たり(以下、単位長さ当たりという)2.63cdとし、前記開き角度が略30度から略70度の範囲(以下、視認照明範囲という)における光度の下限値を単位長さ当たり0.43cdとすることを特徴とする。
【0014】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、周囲環境の明るさが平均水平面照度1ルクス(lx)のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値を単位長さ当たり1.33cdとし、前記視認照明範囲における光度の下限値を単位長さ当たり0.17cdとすることを特徴とする。
【0015】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値を単位長さ当たり2.63cdとし、前記視認照明範囲における光度の下限値を単位長さ当たり0.30cdとすることを特徴とする。
【0016】
請求項4の発明は、発光面が地上に向けて埋め込まれ、前記発光面の発光によって、地上を歩行する視覚障害者の歩行支援を行うための地中埋め込み型の照明装置において、周囲環境の明るさを検知する明るさ検知手段と、前記明るさ検知手段によって検知された周囲環境の明るさが平均水平面照度1ルクス(lx)程度のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり1.33cdとなり、前記視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.17cdとなり、前記明るさ検知手段によって検知された周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)程度のとき、前記有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり2.63cdとなり、前記視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.30cdとなり、前記明るさ検知手段によって検知された周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)より明るく100ルクス(lx)よりも暗いとき、前記有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり2.63cdとなり、前記視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.43cdとなる光度が可変な発光源とを備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記発光面の形状が線状であることを特徴とする。
【0018】
請求項6の発明は、請求項5の発明において、前記発光面は、少なくとも1つの略直角の角部を持つことを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明は、請求項5の発明において、前記発光面は、全ての角部が略直角の多角形に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
請求項1の発明によれば、視覚障害者にとって地中埋め込み型照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。
【0021】
請求項2の発明によれば、周囲環境の明るさが平均水平面照度1ルクス(lx)のときに、視覚障害者にとって地中埋め込み型照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。
【0022】
請求項3の発明によれば、周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)のときに、視覚障害者にとって地中埋め込み型照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。
【0023】
請求項4の発明によれば、周囲環境の明るさが変化しても、その変化に関わらず、視覚障害者にとって地中埋め込み型照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。
【0024】
請求項5乃至請求項7の発明によれば、周囲環境の明るさが変化しても、その変化に関わらず、視覚障害者にとって地中埋め込み型照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置と向きを確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る地中埋め込み型照明装置と該地中埋め込み型照明装置による照明方法について、図面を参照して説明する。まず、本実施形態の地中埋め込み型照明装置の構造について、図1と図2を参照して説明する。本実施形態の地中埋め込み型照明装置1は、地中に埋め込まれる細長の直方体状枠体2と、その内部に配置された高輝度LED等から構成される複数の光源3と、枠体2の上面開口を覆うように設けられた光透過性のパネル4とを備えている。パネル4によって発光面が構成される。なお、本実施形態の照明装置1の長さは、点字ブロックの大きさ(300mm平方)に合わせて、300mmに設定されており、以降の説明において示す光度は、全て300mm長の照明装置当たり(単位長さ当たり)の値とする。
【0026】
発光面の光度の分布について説明する前提として、パネル(発光面)4の発光によって照明される範囲の区分について、図面を参照して説明する。図3に示したように、発光面4に垂直な軸vからの開き角度が0度から略70度の範囲を有効照明範囲Reとし、開き角度が略30度から略70度の範囲を視認照明範囲Rsとする。開き角度が略70度とは、地中に埋め込まれた照明装置1と該照明装置1から約5m離れた位置に立つ歩行者の目の高さを結んだ仮想線aが垂直軸vとの間に形成する角度であり、開き角度が略30度とは、地中に埋め込まれた照明装置1と該照明装置1から約1m離れた位置に立つ歩行者の目の高さを結んだ仮想線bが垂直軸vとの間に形成する角度である。
【0027】
従って、有効照明範囲Reとは、地中に埋め込まれた照明装置1が、その周囲約5m以内に立つ歩行者の少なくとも頭部を照明する範囲であり、照明装置1からの光が歩行者(晴眼者)にグレアを感じさせる可能性のある照明範囲である。視認照明範囲Rsとは、照明装置1の周囲約5m以内に立つ歩行者(視覚障害者)が、普通に視線を略前方へ向けたときに、照明装置1が適正な光度を有すれば、その照明装置1を容易に視認できる範囲である。
【0028】
そして、本実施形態では、有効照明範囲Reにおいて、発光面4の単位長さ当たりの光度が0.43cd以上で、かつ1.98cd以下になるように、光源の種類、印加する電圧等を設定してある。照明装置1の周囲における光度の分布を図4に模式的に示す。有効照明範囲Reにおいて光度が上記の範囲に設定されるので、照明装置1の周囲約5m以内に立つ視覚障害者は、照明装置1の位置をほぼ確実に視認することができ安全に歩行が可能であり、照明装置1の周囲約5m以内を歩行する晴眼者の多くは、グレアを感じることがない。
【0029】
次に、光度の値を設定するに当たって実施した実験について説明する。実験は、視覚障害者の視覚を擬似的に再現できるゴーグルを装着した擬似視覚障害者による照明装置の視認実験と、晴眼者による照明装置から受けるグレアの感受実験との2種類の実験を行った。
【0030】
擬似視覚障害者による視認実験について説明する。使用したゴーグルは、白濁レンズによって晴眼者に視力換算で0.04の視覚障害状態を再現できるロービジョン研究会推奨の仕様のものである。このゴーグルを装着した擬似視覚障害者8名(女性2名、男性6名)を評価者とし、各評価者を地中に埋め込んだ光度が変更できる照明装置から5mの位置に立たせて、照明装置の発光面の光度を徐々に変化させ、評価者がその発光面を歩行可能な程度に視認できるか否かを基準にして評価させた。また、同内容の実験を、周囲環境の明るさを、平均水平面照度が100ルクス(lx)の場合と1ルクス(lx)の場合に条件を変えて行った。
【0031】
周囲環境の明るさが平均水平面照度において100ルクス(lx)の場合の実験結果を図15に示す。横軸は照明装置の光度であり、縦軸は、複数の評価者のうち照明装置の発光面が視認でき歩行可能であると評価した人数の割合である。実験データからは、光度が0.15以下であれば約60%以下の評価者しか歩行可能な程度に視認できると評価しないが、光度が約0.55以上であれば100%の評価者が歩行可能な程度に視認できると評価することが分かる。
【0032】
次に、実験データから線形近似式Ls100を求めて、評価者の90%が歩行可能な程度に視認できると評価する光度を求めた。その結果、評価者の90%が歩行可能な程度に視認できると評価する光度(以下、下限値光度という)は、0.43cdであった。
【0033】
同様に、周囲環境の明るさが平均水平面照度において1ルクス(lx)の場合の結果を図16に示す。実験データからは、光度が0.145以下であれば約25%以下の評価者しか歩行可能な程度に視認できると評価しないが、光度が約0.175以上であれば100%の評価者が、歩行可能な程度に視認できると評価することが分かる。
【0034】
同様に、線形近似式Lsを用いて、評価者の90%が歩行可能な程度に視認できると評価する下限値光度を求めた結果、下限値光度は、0.17cdであった。
【0035】
さらに、上記実験によって求めた各周囲環境の明るさ(平均水平面照度が100ルクス(lx)と1ルクス(lx))における各下限値光度(0.43cdと0.17cd)にウェバー・フェヒナー法則を適用して、対数近似によって周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)の場合の下限値光度を求めた。図20に周囲環境の明るさと光度との関係を、横軸を対数にして表す。その結果、下限値光度は、0.30cdであった。
【0036】
次に、晴眼者によるグレアの感受実験について説明する。7名の晴眼者(女性2名、男性5名)を評価者とし、各評価者が通常の歩行姿勢で地中に埋め込んだ照明装置から約5mの位置において、照明装置の光度を徐々に変化させたとき、グレアを感じ始める光度を評価させた。また、同内容の実験を、周囲環境の明るさを、平均水平面照度が100ルクス(lx)の場合と1ルクス(lx)の場合に条件を変えて行った。
【0037】
周囲環境の明るさが平均水平面照度において100ルクス(lx)の場合の実験結果を図17に示す。横軸は照明装置の光度であり、縦軸は、複数の評価者のうち照明装置からグレアを感じると評価した人数の割合である。実験データからは、光度が約1.5以下であれば約30%以下の評価者しか照明装置からグレアを感じると評価しないが、光度が5.0以上であれば100%の評価者が、グレアを感じると評価することが分かる。
【0038】
次に、擬似視覚障害者による視認実験の場合と同様に、実験データから線形近似式Lg100を求めて、評価者の50%がグレアを感じ始めると評価する光度を求めた。その結果、評価者の50%がグレアを感じ始めると評価する光度(以下、上限値光度という)は、2.63cdであった。
【0039】
同様に、周囲環境の明るさが平均水平面照度において1ルクス(lx)の場合の結果を図18に示す。実験データからは、光度が約0.7以下であれば約30%以下の評価者しか照明装置からグレアを感じると評価しないが、光度が約1.8以上であればほぼ100%の評価者が、グレアを感じると評価することが分かる。
【0040】
そして、同様に、線形近似式Lgを用いて、評価者の50%がグレアを感じ始めると評価する上限値光度を求めた結果、上限値光度は、1.33cdであった。
【0041】
さらに、上記実験によって求めた各周囲環境の明るさ(平均水平面照度が100ルクス(lx)と1ルクス(lx))における各上限値光度(2.63cdと1.33cd)に、擬似視覚障害者による視認実験の場合と同様に、ウェバー・フェヒナー法則を適用して、対数近似によって周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)の場合の上限値光度を求めた。図19に周囲環境の明るさと光度との関係を、横軸を対数にして表す。その結果、上限値光度は、1.98cdであった。
【0042】
以上の2種類の実験結果及び実験結果から求められる算出値に基づいて、各周囲環境の明るさにおける、90%以上の視覚障害者が歩行可能な程度に視認できる光度(下限光度)と、50%以上の晴眼者がグレアを感じないと評価する光度(上限光度)は、次のとおり決定できる。周囲環境の明るさが1ルクス(lx)のとき、下限光度:0.17cd、上限光度:1.33cd、周囲環境の明るさが10ルクス(lx)のとき、下限光度:0.30cd、上限光度:1.98cd、周囲環境の明るさが100ルクス(lx)のとき、下限光度:0.43cd、上限光度:2.63cdである。
【0043】
地中埋め込み型照明装置1が設置される屋外における明るさは、通常10〜100ルクス(lx)であるため、本実施形態の照明装置1の光度の値は、上記実験結果から求められる周囲環境の明るさが10ルクス(lx)のときの値(下限光度:0.30cd、上限光度:1.98cd)と、周囲環境の明るさが100ルクス(lx)のときの値(下限光度:0.43cd、上限光度2.63cd)の重なり合う範囲である下限光度:0.43cd、上限光度:1.98cdとした。
【0044】
(第2実施形態)
次に、第2の実施形態について、図5を参照して説明する。第2の実施形態における地中埋め込み型照明装置1の構造は、第1の実施形態と同じであり説明を省略する。第2の実施形態は、照明装置1の光度の設定を、晴眼者がグレアを感じる可能性のある有効照明範囲Reにおいて上限光度を設定し、視覚障害者が照明装置1を主に見つけ出す範囲である視認照明範囲Rsにおいて下限光度を設定する。
【0045】
具体的には、第2の実施形態では、有効照明範囲Reにおける上限光度を1.98cdとし、視認照明範囲Rsにおける下限光度を0.43cdとした。これによって発光面4に垂直な軸vからの開き角度が0度から約30度の範囲における光度は上限のみが設定され、当該範囲における低い光度が許容されることとした。照明装置1の周囲における光度の分布を図5に模式的に示す。
【0046】
第2の実施形態では、有効照明範囲Reにおいて上限光度が1.98cdに設定されるので、照明装置1の周囲約5m以内を歩行する晴眼者の多くはグレアを感じずに済み、照明装置1の周囲約5m以内に近づいた視覚障害者は、視認照明範囲Rsの下限光度が0.43cdに設定されるので、照明装置1の位置をほぼ確実に視認することができる。視覚障害者が照明装置1から約1m以内に接近して視認照明範囲Rsを外れても、歩行する視覚障害者は、すぐに視認照明範囲Rsに入って照明装置1を容易に視認することができる。また、照明装置1から約1m以内に接近した視覚障害者は、照明装置1の位置を、照明装置1とその周囲の地上面との色度差で認識することができる。
【0047】
(第3実施形態)
次に、第3の実施形態について、図6と図7を参照して説明する。第3の実施形態における地中埋め込み型照明装置1は、第1の実施形態における構造に、周囲環境の明るさを検知する明るさセンサSが付加され、さらに、高輝度LED等の光源3が、明るさセンサSによって検知された周囲環境の明るさの程度に応じて光度が変化するものに代えられた構造である。そして、光源3の光度は、前述の実験結果によって決定された、各周囲環境の明るさに応じた適正な範囲の光度に設定される。
【0048】
各周囲環境の明るさに応じた光度の設定値を次に説明する。第3の実施形態における光源3は、周囲環境の明るさが平均水平面照度1ルクス(lx)程度の暗さのとき、有効照明範囲Reにおける光度の上限値が1.33cdとなり、視認照明範囲Rsにおける光度の下限値が0.17cdとなり、周囲環境の明るさが平均水平面照度10ルクス(lx)程度のとき、有効照明範囲Reにおける光度の上限値が1.98cdとなり、視認照明範囲Rsにおける光度の下限値が0.30cdとなり、周囲環境の明るさが平均水平面照度100ルクス(lx)程度の明るさのとき、有効照明範囲Reにおける光度の上限値が2.63cdとなり、視認照明範囲Rsにおける光度の下限値が0.43cdとなる。
【0049】
周囲環境の明るさが1ルクス(lx)のときの照明装置1の周囲における光度の分布を図6に模式的に示し、周囲環境の明るさが100ルクス(lx)のときの照明装置1の周囲における光度の分布を図7に模式的に示す。
【0050】
従って、第3の実施形態では、周囲環境の明るさが変化しても、その変化に関わらず、視覚障害者にとっては、照明装置1の周囲約5mの範囲内で該照明装置1の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者の多くは照明装置1に近づいてもグレアを感じずに済む。また、周囲環境が暗い場合には光源3の光度を低減できるので、光源3への供給電力が少なくて済み、省エネルギを実現できる。なお、明るさセンサSは、明るさを検知する端末が照明装置1の周囲の複数個所に分散して設置され、それら複数の検知端末によって検知された明るさの情報が制御回路に収集され、収集された複数の明るさ情報から平均値が算出され、算出された明るさの平均値が周囲環境の明るさとして用いられるものであってもよい。
【0051】
また、第1の実施形態から第3の実施形態の地中埋め込み型照明装置1における発光面を構成するパネル4を、光源3からの光を乱反射させる拡散パネルに変更してもよい。パネル4を拡散パネルに変更することによって、晴眼者がグレアを感じる程度が緩和される。拡散パネルを用いる場合は、第1の実施形態から第3の実施形態における各上限光度及び各下限光度の値を2倍の値に設定しても、支障がないことが確認されている。
【0052】
(第4実施形態)
次に、第4の実施形態について説明する。第4の実施形態の地中埋め込み型照明装置1の構造は、第1の実施形態における構造と同一であり、その平面視における発光面(パネル4)の形状が、図8又は図9に示されるように、1本の線状又は2本の線状パネルを連結したT字形状に形成される。図8に示された照明装置1のパネル4pは、4つの角部4aが全て直角であり、図9に示された照明装置1のパネルは、連結された2本の線状パネル4m,4nのそれぞれについて全ての角部4aが直角である。
【0053】
発光面4の形状を線状とし角部4aを直角とすることによって、視野が欠損した視覚障害者が発光面4の一部分や端部のみしか視認できない場合であっても、照明装置1の向き(方向)をより確実に認識させることができる。図9に示された照明装置1のように、線状の発光面4m、4nをT字状に組合わせた場合には、2つの方向への向きを認識させることができる。例えば、T字の横長部に相当するパネル4mによって境界を示し、縦長部に相当するパネル4nによって歩行者が歩行すべき方向を示すことができる。
【0054】
また、図8に示された線状の発光面4pを有する照明装置1は、長さが300mmの単位装置を3つ以上連結してより長い線状の照明装置1とすれば、その照明装置によって道路上等の境界をより明瞭に表示させることができる。例えば、図10に示されたように、車道11と歩道12との境界に近い歩道面に、長い線状の照明装置1を埋設することによって、歩道12から横断歩道13への進入位置及び横断歩道13の終端を明瞭に示すことができ、実際の道路上を歩行する視覚障害者Pが歩行支援のための有効な情報を得ることができる。
【0055】
なお、視覚障害者Pにとっては、発光面が円形である照明装置と路面の水溜りに反射して写った街路灯との判別が行い難いという問題があるが、発光面4を直角の角部4aを有する線状とすることによって、照明装置1と水溜りに写った街路灯との判別を容易に行える。
【0056】
(第5実施形態)
次に、第5の実施形態について、図11乃至図14を参照して説明する。第5の実施形態の地中埋め込み型照明装置51の構造は、第1の実施形態における構造とほぼ同一であり、階段の踏面21の左右端に埋め込み設置される。そして、平面視における発光面(パネル)の形状が、図11及び図12に示されるように、鉤型又は直角三角形状に形成される。鉤型パネル52及び直角三角形パネル53の屈曲部52a、53aは、踏面21の左右の直角部21aに沿わせて配置される。鉤型パネル52の場合は、発光面の外側長さが100mm以上であり、内側長さが50mm以上であれば、視覚障害者によって階段の踏面21が平面として認識される。
【0057】
階段の踏面21に照明装置51を設置し、視覚障害者に階段を昇降するための有効な支援情報を与えようとするときに、照明装置51の向きによって境界や歩行方向を示すよりも、視覚障害者にとって階段の踏面21を一定の面積を有する平面として認識させることが、視覚障害者の安全にとって重要であることが、前述のゴーグルを用いた擬似視覚障害者による実験によって判明している。従って、踏面21に設置される照明装置51の発光面52、53が、上記の長さ条件を満たす鉤型又は直角三角形であれば、視覚障害者に階段の踏面21を確実に認識させることができて、視覚障害者が階段を昇降するためのより有効な支援情報を与えることができる。
【0058】
また、発光面52の形状が鉤型である場合、図13に示されるように踏面21の長手方向に沿うパネル部分52bの長さが、踏面21の長手方向に直交するパネル部分52cの長さよりも長くてもよいし、図14に示されたように、踏面21の長手方向に沿うパネル部分52bの長さが、踏面21の長手方向に直交するパネル部分52cの長さよりも短くてもよい。前者の場合は、視覚障害者にとって踏面21の前縁がより明瞭に視認され、後者の場合は、視覚障害者にとって踏面21の左右端がより明瞭に視認される。
【0059】
なお、光源として、上記の各種形態を組み合わせたものを用いてもよい。例えば、周囲環境明るさが平均水平面照度1ルクス程度のとき有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり1.33cdとなり、視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.17cdとなる一つの発光源と、周囲環境明るさが平均水平面照度10ルクス程度のとき有効照明範囲における光度の上限値が単位長さ当たり1.98cdとなり、視認照明範囲における光度の下限値が単位長さ当たり0.30cdとなるもう一つの発光源とを組み合わせたものでも構わない。
【0060】
以上のように、本発明に係る照明方法及び照明装置によれば、視覚障害者にとって地中埋め込み型照明装置の周囲の所定範囲内で該照明装置の位置を確実に視認できて有効な歩行支援が得られ、しかも晴眼者は照明装置に近づいてもグレアを感じずに済む。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る地中埋め込み型照明装置の側断面図。
【図2】同地中埋め込み型照明装置の平面図。
【図3】同発光面の光度の分布範囲の区分を示す説明図。
【図4】同発光面の光度の分布を示す模式図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る地中埋め込み型照明装置における発光面の光度の分布を示す模式図。
【図6】本発明の第3の実施形態に係る地中埋め込み型照明装置における、周囲環境の明るさが1ルクスのときの発光面の光度の分布を示す模式図。
【図7】同周囲環境の明るさが100ルクスのときの発光面の光度の分布を示す模式図。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る地中埋め込み型照明装置の平面図。
【図9】同地中埋め込み型照明装置の変形例の平面図。
【図10】同地中埋め込み型照明装置を道路に設置する場合の例を示す説明図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る地中埋め込み型照明装置が階段に設置された状態を示す平面図。
【図12】同地中埋め込み型照明装置の変形例を示す平面図。
【図13】同地中埋め込み型照明装置のさらなる変形例を示す平面図。
【図14】同地中埋め込み型照明装置のさらなる変形例を示す平面図。
【図15】擬似視覚障害者による視認実験において、周囲環境の明るさが100ルクスのときの、発光面光度と視認可能者の割合との関係を示す図。
【図16】同周囲環境の明るさが1ルクスのときの、発光面光度と視認可能者の割合との関係を示す図。
【図17】晴眼者によるグレア感受実験において、周囲環境の明るさが100ルクスのときの、発光面光度とグレアを感じる評価者の割合との関係を示す図。
【図18】同周囲環境の明るさが1ルクスのときの、発光面光度とグレアを感じる評価者の割合との関係を示す図。
【図19】周囲環境の明るさが100ルクスのときの上限値光度と1ルクスのときの上限値光度から、周囲環境の明るさが10ルクスのときの上限値光度を対数近似によって求めるための図。
【図20】周囲環境の明るさが100ルクスのときの下限値光度と1ルクスのときの下限値光度から、周囲環境の明るさが10ルクスのときの下限値光度を対数近似によって求めるための図。
【符号の説明】
【0062】
1 地中埋め込み型照明装置
3 光源(発光源)
4 パネル(発光面)
4a 角部
4p パネル(発光面)
4m パネル(発光面)
4n パネル(発光面)
v 垂直軸
Re 有効照明範囲
Rs 視認照明範囲
S 明るさセンサ(明るさ検知手段)




 

 


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