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発明の名称 撓み噛み合い式減速機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−85559(P2007−85559A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2006−356216(P2006−356216)
出願日 平成18年12月28日(2006.12.28)
代理人 【識別番号】100080540
【弁理士】
【氏名又は名称】多田 敏雄
発明者 手嶋 健二
要約 課題
減速機を安価としながら長寿命化を図る。

解決手段
出力部材27と固定ケース25との相対回転支持を、固定ケース25と出力部材27との間に設けたアンギュラ玉軸受30により行うようにしたので、荷重支持が転がり接触により行われ、この結果、摩耗の発生が殆どなくなって長寿命化を図ることができる。しかも、このようなアンギュラ玉軸受30はクロスローラ、テーパローラ軸受に比較して安価であるので減速機を安価とすることもできる。
特許請求の範囲
【請求項1】
内周に内歯が形成されたケースと、該ケース内に挿入されるとともに外周に外歯が形成され、略楕円状に撓み変形したとき一部の外歯が内歯に噛み合う撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、前記撓み部材に連結された支持部材とを備え、前記ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けることにより、該支持部材とケースとを相対的に回転できるよう支持させるようにした撓み噛み合い式減速機において、前記アンギュラ玉軸受を、外周に2本の環状軌道面が形成され、支持部材に固定されている1つの内輪と、該内輪の軌道面およびケースの内周に形成された2本の環状軌道面にそれぞれ転がり接触し、各列が多数の鋼球からなる2列の鋼球列と、を有する、接触角が逆方向である正面合わせの複列アンギュラ玉軸受から構成するとともに、前記ケースによりアンギュラ玉軸受に予圧を付与し、さらに、前記支持部材と内輪との固定を、内輪を支持部材の外側に圧入するとともに、これらの間に接着剤を介在させることにより行うようにしたことを特徴とする撓み噛み合い式減速機。
【請求項2】
内周に内歯が形成されたケースと、該ケース内に挿入されるとともに外周に少なくとも一部が前記ケースの内歯に噛み合っている外歯が形成された円筒状の撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、内周に前記ケースの内歯と歯数が若干異なる内歯が形成されるとともに、該内歯の一部は撓み部材の外歯に噛み合っている支持部材とを備え、前記ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けることにより、該支持部材とケースとを相対的に回転できるよう支持させるようにした撓み噛み合い式減速機において、前記アンギュラ玉軸受を、外周に2本の環状軌道面が形成され、支持部材に固定されている1つの内輪と、該内輪の軌道面およびケースの内周に形成された2本の環状軌道面にそれぞれ転がり接触し、各列が多数の鋼球からなる2列の鋼球列と、を有する、接触角が逆方向である正面合わせの複列アンギュラ玉軸受から構成するとともに、前記ケースによりアンギュラ玉軸受に予圧を付与し、さらに、前記支持部材と内輪との固定を、内輪を支持部材の外側に圧入するとともに、これらの間に接着剤を介在させることにより行うようにしたことを特徴とする撓み噛み合い式減速機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
この発明は、略楕円状に撓み変形する撓み部材の外歯と該外歯に一部で噛み合う内歯との間で減速を行うようにした撓み噛み合い式減速機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の撓み噛み合い式減速機としては、例えば、内周に内歯が形成された固定ケースと、該固定ケース内に挿入されるとともに外周に前記内歯の数より若干少ない数の外歯が形成され、略楕円状に撓み変形したとき一部の外歯が内歯に噛み合う撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、前記撓み部材に連結された出力部材とを備え、前記固定ケースと出力部材との間に、円筒状のローラを周方向に多数個傾斜方向を交互に逆方向としながら配列して構成したクロスローラ軸受、あるいは周方向に離して配置された多数個の円筒状ローラからなるローラ列を2列配列するとともに、各ローラ列のローラを軸方向に対して逆方向に傾斜させたテーパローラ軸受を設けることにより、該出力部材を固定ケースに回転可能に支持させるようにしたものが知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このような従来の撓み噛み合い式減速機にあっては、出力部材の回転時に、クロスローラ軸受あるいはテーパローラ軸受のローラの外表面と出力部材、固定ケースの軌道面とが滑り接触するため、ローラ、出力部材、固定ケースが早期に摩耗して寿命が短くなってしまうという問題点がある。しかも、クロスローラ軸受、テーパローラ軸受は一般的に高価であるという問題点もある。
【0004】
この発明は、安価でありながら長寿命化を図ることができる撓み噛み合い式減速機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような目的は、第1に、内周に内歯が形成されたケースと、該ケース内に挿入されるとともに外周に外歯が形成され、略楕円状に撓み変形したとき一部の外歯が内歯に噛み合う撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、前記撓み部材に連結された支持部材とを備え、前記ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けることにより、該支持部材とケースとを相対的に回転できるよう支持させるようにした撓み噛み合い式減速機において、前記アンギュラ玉軸受を、外周に2本の環状軌道面が形成され、支持部材に固定されている1つの内輪と、該内輪の軌道面およびケースの内周に形成された2本の環状軌道面にそれぞれ転がり接触し、各列が多数の鋼球からなる2列の鋼球列と、を有する、接触角が逆方向である正面合わせの複列アンギュラ玉軸受から構成するとともに、前記ケースによりアンギュラ玉軸受に予圧を付与し、さらに、前記支持部材と内輪との固定を、内輪を支持部材の外側に圧入するとともに、これらの間に接着剤を介在させることにより行うようにしたことにより、
第2に、内周に内歯が形成されたケースと、該ケース内に挿入されるとともに外周に少なくとも一部が前記ケースの内歯に噛み合っている外歯が形成された円筒状の撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、内周に前記ケースの内歯と歯数が若干異なる内歯が形成されるとともに、該内歯の一部は撓み部材の外歯に噛み合っている支持部材とを備え、前記ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けることにより、該支持部材とケースとを相対的に回転できるよう支持させるようにした撓み噛み合い式減速機において、前記アンギュラ玉軸受を、外周に2本の環状軌道面が形成され、支持部材に固定されている1つの内輪と、該内輪の軌道面およびケースの内周に形成された2本の環状軌道面にそれぞれ転がり接触し、各列が多数の鋼球からなる2列の鋼球列と、を有する、接触角が逆方向である正面合わせの複列アンギュラ玉軸受から構成するとともに、前記ケースによりアンギュラ玉軸受に予圧を付与し、さらに、前記支持部材と内輪との固定を、内輪を支持部材の外側に圧入するとともに、これらの間に接着剤を介在させることにより行うようにしたことにより、
第3に、内周に内歯が形成されたケースと、該ケース内に挿入されるとともに外周に外歯が形成され、略楕円状に撓み変形したとき一部の外歯が内歯に噛み合う撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、前記撓み部材に連結された支持部材とを備え、前記ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けることにより、該支持部材とケースとを相対的に回転できるよう支持させるようにした撓み噛み合い式減速機において、前記アンギュラ玉軸受を、外周に1本の断面V字形をした環状軌道面が形成され、支持部材に固定されている1つの内輪と、該内輪の軌道面の両傾斜面およびケースの内周に形成された1本の断面V字形をした環状軌道面の両傾斜面にそれぞれ2点で転がり接触する多数の鋼球とから構成するとともに、前記ケースによりアンギュラ玉軸受に予圧を付与し、かつ、各鋼球に接触角を2個与えるとともに、これら接触角の傾斜方向を逆方向とし、さらに、前記支持部材と内輪との固定を、内輪を支持部材の外側に圧入するとともに、これらの間に接着剤を介在させることにより行うようにしたことにより、
第4に、内周に内歯が形成されたケースと、該ケース内に挿入されるとともに外周に少なくとも一部が前記ケースの内歯に噛み合っている外歯が形成された円筒状の撓み部材と、前記撓み部材内に収納され、該撓み部材に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段と、内周に前記ケースの内歯と歯数が若干異なる内歯が形成されるとともに、該内歯の一部は撓み部材の外歯に噛み合っている支持部材とを備え、前記ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けることにより、該支持部材とケースとを相対的に回転できるよう支持させるようにした撓み噛み合い式減速機において、前記アンギュラ玉軸受を、外周に1本の断面V字形をした環状軌道面が形成され、支持部材に固定されている1つの内輪と、該内輪の軌道面の両傾斜面およびケースの内周に形成された1本の断面V字形をした環状軌道面の両傾斜面にそれぞれ2点で転がり接触する多数の鋼球とから構成するとともに、前記ケースによりアンギュラ玉軸受に予圧を付与し、かつ、各鋼球に接触角を2個与えるとともに、これら接触角の傾斜方向を逆方向とし、さらに、前記支持部材と内輪との固定を、内輪を支持部材の外側に圧入するとともに、これらの間に接着剤を介在させることにより行うようにしたことにより達成することができる。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に係る発明においては、ケースと支持部材との間にアンギュラ玉軸受を設けているため、スラスト荷重およびラジアル荷重が作用していても、支持部材は円滑に回転することができる。このとき、アンギュラ玉軸受は転がり接触で荷重を支持するため、摩耗が発生することは殆どなく、これにより、長寿命化を図ることができる。しかも、アンギュラ玉軸受はクロスローラ軸受、テーパローラ軸受に比較して安価であるため、減速機を安価とすることもできる。また、請求項2〜4に係る発明においても、前述と同様の作用・効果を奏することができる。以上説明したように、この発明によれば、安価としながら長寿命化を図ることができる。
【0007】
また、請求項5に記載のように構成すれば、撓み部材と支持部材との同時加工が可能となるため、これらの同芯度を高めることができる。しかも、これら撓み部材と支持部材とを締結するための部材、例えばボルト、位置決めピン、Oリング等が不要となることから、構造を簡単とすることができるとともに、締結のための作業、例えばボルト、ピン用の穴加工、Oリング用溝加工、ボルトのねじ込み作業等が不要となることから、製造工程を簡単とすることができる。さらに、撓み部材と支持部材との締結に必要であったボス部を省略することができ、かつ、支持部材の中央部に、シール性を保持したままで肉ぬすみ空間を設けることができ、軽量化を図ることもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、この発明の第1実施形態を図面に基づいて説明する。
図1において、11は図示していない固定部に固定された略円筒状のケース本体であり、このケース本体11の一端部内周には内歯12が形成されている。13はケース本体11内に挿入され、一側端が開口しているカップ状の撓み部材であり、この撓み部材13は、全体が薄肉の金属材料から構成されているため、容易に撓み変形することができる。なお、前記撓み部材13としてシルクハット状のものを用いるようにしてもよい。また、この撓み部材13の一端部外周には外歯14が形成されているが、これら外歯14の歯数は前記内歯12の歯数より若干少ないため、撓み部材13が断面円形を呈しているときには、外歯14の歯先円の直径は内歯12の歯先円の直径より小さく、両歯12、14が噛み合うことはない。16は撓み部材13内に遊嵌された入力軸であり、この入力軸16の外周には楕円カム17が固定されている。18は前記楕円カム17の外側に装着された楕円状の玉軸受であり、この玉軸受18の長軸の長さは前記撓み部材13が断面円形を呈しているときの内径より大であり、一方、短軸の長さは前記内径以下である。この結果、該玉軸受18の長軸部外周は、撓み部材13の一端部内周に接触して、撓み部材13を半周離れた2カ所で半径方向外側に押し出し、撓み部材13の一端部を略楕円状に撓み変形させる。これにより、半径方向に押し出された部位に設けられている一部の外歯14は該部位に対応する一部の内歯12に噛み合う。この状態で前記入力軸16、楕円カム17、玉軸受18が一体回転すると、撓み部材13に回転する略楕円状の撓み変形が付与され、これにより、外歯14と内歯12との噛み合い位置が周方向に移動するが、このとき、外歯14の歯数は前述のように内歯12の歯数より若干少ないため、撓み部材13には入力軸16の1回転に対して外歯14と内歯12との歯数差分に相当する量の自転が発生し、この自転が減速した回転として後述の出力部材から取り出される。前述した入力軸16、楕円カム17、玉軸受18は全体として、撓み部材13内に収納され、該撓み部材13に対して回転する略楕円状のたわみ変形を付与する波動発生手段19を構成する。
【0009】
21、22はケース本体11の他端面に固定され、軸方向に重なり合っている一対の外側リングであり、これらの外側リング21、22の内周にはそれぞれ後述する鋼球が転がり接触する環状軌道面23、24が形成されている。そして、これら外側リング21、22は後述する複列アンギュラ玉軸受に予圧を与えるために、2つのリングから構成されている。前述したケース本体11、外側リング21、22は全体として固定ケース(本願発明のケースに相当)25を構成するが、ここで、外側リング21、22は後述する複列アンギュラ玉軸受の一部としても機能している。27は撓み部材13と一体形成されることで該撓み部材13に連続している略円柱状をした支持部材としての出力部材であり、この出力部材27の一端には撓み部材13の他端底壁が連結されている。このように出力部材27と撓み部材13とを一体形成により成形すれば、撓み部材13と出力部材27との同時加工が可能となるため、これらの同芯度を高めることができる。また、これら撓み部材と出力部材とを一体形成ではなく、別個に形成した後、これらを互いに締結するようにすると、両者を締結するための部材、例えばボルト、位置決めピン、Oリング等が必要となるが、前述のように一体形成で成形すると、これらの部材が不要となることから、構造を簡単とすることができる。しかも、締結のための作業、例えばボルト、ピン用の穴加工、Oリング用溝加工、ボルトのねじ込み作業等も不要となることから、製造工程を簡単とすることができる。さらに、撓み部材と出力部材との締結に必要であったボス部を省略することができ、かつ、出力部材(支持部材)27の中央部に、シール性を保持したままで、肉ぬすみ空間を設けることができるため、軽量化を図ることもできる。
【0010】
前記出力部材27と固定ケース25、詳しくは外側リング21、22との間には、各列の接触角が逆方向に傾斜している正面合わせの複列アンギュラ玉軸受30が設けられており、これにより、出力部材27と固定ケース25とは相対回転できるよう支持される。前記複列アンギュラ玉軸受30は、外周に2本の平行な環状軌道面31、32が形成された1つの内輪33を有し、この内輪33は出力部材27の外側に固定されている。そして、これら出力部材27と内輪33との固定は、図2に示すように、内輪33の内周に形成された周方向に連続して延びる複数本、ここでは2本の周方向溝38に接着剤37を充填するとともに、内輪33の内周および出力部材27の外周に接着剤を塗布した後、内輪33を出力部材27の外側に圧入し、前記接着剤37を出力部材27と内輪33との間に介在させることで行う。ここで、接着剤に関しては、周方向溝38への充填、内輪33の内周への塗布、または出力部材27の外周への塗布の少なくともいずれか1つを行うだけでもよい。そして、このように圧入と接着剤とにより出力部材27と内輪33とを固定するようにすれば、出力部材27と内輪33との同芯度が向上するとともに、これらの間の接合が強力となる。35、36は前記内輪33の軌道面31、32にそれぞれ転がり接触し、各列が多数の鋼球34からなる2列の鋼球列であり、これら鋼球列35、36の鋼球34は前記外側リング21、22の環状軌道面23、24にも転がり接触している。前述した外側リング21、22、内輪33、鋼球列35、36は全体として、前記複列アンギュラ玉軸受30を構成する。ここで、アンギュラ玉軸受の軌道面を出力部材の外表面に形成することも考えられるが、この軌道面は、鋼球が転がり接触するため、高硬度としなければならず、一方、他の部位は切削加工等を施す必要から硬度を高くしてはならず、この結果、軌道面のみを部分的に高硬度とするためには、高価な熱処理(例えば、高周波焼入れ)を行わざるを得なかった。しかしながら、前述のように出力部材27とは別体の内輪33に環状軌道面31、32を形成し、この内輪33を出力部材27の外側に圧入固定するようにすれば、高硬度が必要となるアンギュラ玉軸受30の軌道面31、32を、内輪33に対して安価な熱処理(例えば、ズブ焼入れ)を行うだけで、必要な硬度まで硬化させることができ、この結果、硬化作業が安価、容易となる。また、複列アンギュラ玉軸受30ではなく、単列アンギュラ玉軸受を2列設置することも考えられるが、このようにすると、減速装置全体の軸方向長さが長くなるとともに、予圧付与の構造が必要となって全体が大径化するため、この実施形態では複列アンギュラ玉軸受30を用いている。
【0011】
次に、この発明の第1実施形態の作用について説明する。
今、入力軸16に図示していないモータから回転駆動力が伝達され、入力軸16、楕円カム17、玉軸受18が一体回転しているとする。このとき、玉軸受18の長軸部に接触している部位の撓み部材13は半径方向外側に撓み変形するため、該撓み部材13の一端部が略楕円状に変形して外歯14と内歯12とが部分的に噛み合うが、この外歯14と内歯12との噛み合い位置は前記玉軸受18の回転により周方向に移動する。ここで、前記外歯14の歯数は内歯12の歯数より若干少ないため、撓み部材13には入力軸16の1回転に対して外歯14と内歯12との歯数差分に相当する量の自転が発生し、この自転が減速した回転として出力部材27から取り出される。このとき、固定ケース25と出力部材27との間にはアンギュラ玉軸受30が設けられているため、前記出力部材27にいずれの方向のスラスト荷重およびラジアル荷重が作用していても、該出力部材27は固定ケース25に支持されながら円滑に回転することができる。しかも、このとき、アンギュラ玉軸受30は、転がり接触で前記荷重を支持するため、摩耗の発生が殆どなくなって長寿命化を図ることができるとともに、クロスローラ軸受、テーパローラ軸受に比較して安価であるので、減速機を安価とすることもできる。
【0012】
図3はこの発明の第2実施形態を示す図である。この実施形態においては、ケース本体41の中央部内周に内歯42を形成するとともに、このケース本体41内に円筒状の撓み部材43を挿入している。ここで、前記撓み部材43の外周には外歯44が形成されているが、この外歯44の歯数は前記内歯42の歯数と同数である。また、撓み部材43内に遊嵌された入力軸46は軸受47、48を介して出力部材(支持部材に相当)49、ケース本体41に回転可能に支持されるとともに、該入力軸46の外側には楕円カム50が、さらに、楕円カム50の外側には撓み部材43内に収納されている楕円状の玉軸受51が装着されている。そして、この撓み部材43は前記第1実施形態と同様に入力軸46、楕円カム50、玉軸受51からなる波動発生手段52によって回転する略楕円状の撓み変形が付与される。53は前記ケース本体41に固定された外側リングであり、この外側リング53は前記ケース本体41と共に固定ケース(ケースに相当)55を構成するとともに、その内周に鋼球56が転がり接触する環状軌道面57が形成されている。また、前記ケース本体41の他端部内周にも鋼球56が転がり接触する環状軌道面58が形成されている。前記出力部材49の一端部内周には前記内歯42の歯数と歯数が若干異なる、ここでは内歯42の歯数より若干多い歯数の内歯59が形成されている。この結果、前述のように撓み部材43が略楕円状に撓み変形すると、内歯42、59と外歯59とは共に一部で噛み合うが、このような噛み合い位置は入力軸46の回転によって周方向に移動する。ここで、前述のように内歯59の歯数が内歯42の歯数と若干異なっている(ここでは若干多い)ため、入力軸46の1回転に対して内歯42、59の歯数差分に相当する量の自転が出力部材49に発生し、この自転が減速した回転として取り出される。61は固定ケース55と出力部材49との間に設けられた複列アンギュラ玉軸受であり、この複列アンギュラ玉軸受61は各列の接触角を逆方向に傾斜させた正面合わせのものである。ここで、この複列アンギュラ玉軸受61は、前記環状軌道面57、58と、外周に2本の環状軌道面62、63が形成され、出力部材49の外側に圧入されるとともに接着剤により固定された1つの内輪64と、該内輪64の環状軌道面62、63と前記環状軌道面57、58との双方に転がり接触し、各列が多数の前記鋼球56からなる2列の鋼球列65、66とから構成され、前記出力部材49と固定ケース55とを相対的に回転できるよう支持している。ここで、環状軌道面を出力部材の外周に形成して内輪を省略することも考えられるが、このようにすると、内歯と環状軌道面とでは要求される機械的特性が異なるにも拘らず、1種類の材料で製作することとなるため、両部位の機械的特性は同一とならざるを得ず、この結果、両者に要求する機械的性質を与えることができないのである。このような理由からこの実施形態では出力部材49とは別体の内輪64に2本の環状軌道面62、63を形成し、該内輪64を出力部材49に圧入および接着剤で固定するようにしているのである。なお、他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
【0013】
図4はこの発明の第3実施形態を示す図である。この実施形態においては、出力部材(支持部材)27の外周に圧入および接着剤により固定されている1つの内輪71の外周に1本の断面V字形をした環状軌道面70を形成するとともに、固定ケース72の内周、詳しくは外側リング73、74の内周に全体として断面V字形をしている1本の環状軌道面75を形成している。そして、前記内輪71の軌道面70の両傾斜面70a、70bにそれぞれ2点で、また、外側リング73、74の軌道面75の両傾斜面75a、75bにそれぞれ2点で、合計して4点で転がり接触する多数の鋼球76を内輪71と外側リング73、74との間に周方向に離して介装している。前述した内輪71、外側リング73、74(固定ケース72の一部でもある)および鋼球76は全体として、復列ではなく単列のアンギュラ玉軸受77を構成する。ここで、このアンギュラ玉軸受77の各鋼球76には、鋼球76と軌道面70の傾斜面70aおよび軌道面75の傾斜面75bとの接触で1つの接触角(前記接触点を結ぶ直線とラジアル方向線との交差角)が、また、鋼球76と軌道面70の傾斜面70bおよび軌道面75の傾斜面75aとの接触でもう1つの接触角(前記接触点を結ぶ直線とラジアル方向線との交差角)が、合計2つの接触角が与えられるが、これら接触角の傾斜方向は逆方向である。そして、この実施形態の場合には、断面V字形をした外側、内側の軌道面75、70を固定ケース72、内輪71にそれぞれ1本形成するだけでよいため、アンギュラ玉軸受77の製作費を安価とすることができるとともに、アンギュラ玉軸受77の配置スペースが狭くなり、撓み噛み合い式減速機の軸方向長さを短くすることもできる。なお、他の構成、作用は前記第1実施形態と同様である。
【0014】
図5はこの発明の第4実施形態を示す図である。この実施形態は前記第2実施形態で説明した撓み噛み合い式減速機に第3実施形態で説明したアンギュラ玉軸受を適用したものである。即ち、アンギュラ玉軸受81を、外周に1本の断面V字形をした環状軌道面82が形成され、出力部材49に固定されている1つの内輪83と、該内輪83の軌道面82の両傾斜面82a、82bおよび固定ケース84、詳しくはケース本体85、外側リング86の内周に形成された断面V字形をしている1本の環状軌道面87の両傾斜面87a、87bにそれぞれ2点、合計4点で転がり接触する多数の鋼球88とから構成し、各鋼球88に接触角を2個与えるとともに、これら接触角の傾斜方向を逆方向としたものである。なお、他の構成、作用は前記第2、第3実施形態と同様である。
【0015】
なお、前述の実施形態においては、ケース(固定ケース25、55)を固定し、支持部材(出力部材27、49)から回転を取り出すようにしたが、この発明においては、支持部材を固定し、ケースから回転を取り出すようにしてもよい。さらに、前述の実施形態においては、内輪33の内周に接着剤37が充填される周方向溝38を形成したが、この発明においては、図6に示す第5実施形態のように、出力部材27の外周に接着剤91が充填される複数本の周方向溝92を設けるようにしてもよく、また、図7に示す第6実施形態のように、内輪33の内周に軸方向に延びるとともに周方向に離れ、接着剤93が充填される複数本の軸方向溝94を設けるようにしてもよく、さらに、図8に示す第7実施形態のように、出力部材27の外周に軸方向に延びるとともに周方向に離れ、接着剤95が充填される複数本の軸方向溝96を設けるようにしてもよく、さらに、内輪33の内周または出力部材27の外周に接着剤が充填される凹みを多数設けるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0016】
この発明は、略楕円状に撓み変形する撓み部材の外歯と該外歯に一部で噛み合う内歯との間で減速を行うようにした撓み噛み合い式減速機の産業分野に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】この発明の第1実施形態を示す正面断面図である。
【図2】内輪近傍の拡大断面図である。
【図3】この発明の第2実施形態を示す正面断面図である。
【図4】この発明の第3実施形態を示す正面断面図である。
【図5】この発明の第4実施形態を示す正面断面図である。
【図6】この発明の第5実施形態を示す内輪近傍の断面図である。
【図7】この発明の第6実施形態を示す内輪近傍の断面図である。
【図8】この発明の第7実施形態を示す内輪近傍の断面図である。
【符号の説明】
【0018】
12…内歯 13…撓み部材
14…外歯 19…波動発生手段
25…ケース 27…支持部材
30…アンギュラ玉軸受 31、32…環状軌道面
33…内輪 34…鋼球
35、36…鋼球列 37…接着剤
38…周方向溝 42…内歯
43…撓み部材 44…外歯
49…支持部材 52…波動発生手段
55…ケース 34…鋼球
61…アンギュラ玉軸受 62、63…環状軌道面
64…内輪 65、66…鋼球列




 

 


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