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発明の名称 差動揺動型減速機
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−85524(P2007−85524A)
公開日 平成19年4月5日(2007.4.5)
出願番号 特願2005−278527(P2005−278527)
出願日 平成17年9月26日(2005.9.26)
代理人 【識別番号】100067828
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 悦司
発明者 野原 修
要約 課題
クランク軸の支持構造を工夫することによって作動揺動型減速機の小径化を図る。

解決手段
差動揺動型減速機は、入力軸部21と、偏心部48aを有し入力軸部21に連動して回転するクランク軸48と、クランク軸48を支持する一対のクランク軸受56,57と、内周部における軸方向の少なくとも一部に内歯ピン31が配置された円筒部13と、内歯ピン31に噛み合う外歯を有し且つ偏心部48aに連動して公転するピニオン44と、ピニオン44の公転に連動して回転するキャリア22とを備える。クランク軸受56,57間でクランク軸48を回転自在に支持する中間軸受部材46が設けられている。
特許請求の範囲
【請求項1】
入力軸部と、
偏心部を有し前記入力軸部に連動して回転するクランク軸と、
前記クランク軸を支持する一対のクランク軸受と、
内周部における軸方向の少なくとも一部に内歯が配置された内歯歯車部材と、
前記偏心部に連動して揺動するとともに前記内歯に噛み合う外歯を有する外歯歯車部材と、
前記外歯歯車部材に連動して回転する出力軸部とを備える差動揺動型減速機において、
前記一対のクランク軸受間で前記クランク軸を回転自在に支持する中間軸受部材が設けられていることを特徴とする差動揺動型減速機。
【請求項2】
前記中間軸受部材は、その外周面において内歯歯車部材によって支持されていることを特徴とする請求項1に記載の差動揺動型減速機。
【請求項3】
前記出力軸部は、軸方向に延びる柱状に構成された柱状部を備え、
前記中間軸受部材は、前記柱状部に係合することによって支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の差動揺動型減速機。
【請求項4】
前記出力軸部は、軸方向に延びる柱状に構成された柱状部を備え、
前記柱状部は、周方向に複数配置され、
前記中間軸受部材は、前記各柱状部に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の差動揺動型減速機。
【請求項5】
前記柱状部は、軸方向に分割されて前記中間軸受部材を軸方向の両側から挟んでいることを特徴とする請求項3または4に記載の差動揺動型減速機。
【請求項6】
前記中間軸受部材は、前記クランク軸受間における前記クランク軸方向の中央位置に配置されていることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の差動揺動型減速機。
【請求項7】
前記クランク軸は、複数設けられ、
1つの前記中間軸受部材によって各クランク軸が支持されていることを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載の差動揺動型減速機。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット用減速機、建設機械等の走行用または旋回用減速、風車用減速機に用いられ、偏心部によって外歯歯車部材を内歯歯車部材に噛み合わせ、入力回転から減速又は増速した出力回転を得るようにした差動揺動型減速機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、偏心部によって外歯歯車部材を内歯歯車部材に噛み合わせながら公転させることにより、入力回転から減速又は増速した出力回転を得るようにした差動揺動型減速機が知られている。この種の差動揺動型減速機は、例えば下記特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示されているものは、図7及び図8に示すように、内周に内歯81aが設けられた円筒状の外側ケース(内歯歯車部材)81と、外側ケース81と同軸上に配置され、外側ケース81に対して回転可能に設けられるキャリア82と、外側ケース81の内歯81aに噛み合うピニオン(外歯歯車部材)83とを備えている。キャリア82は、出力軸として機能するものであり、基台82aと、この基台82aに設けられた断面略三角形状の柱部82bと、この柱部82bに締結された端板82cとを有する。ピニオン83は軸方向に2つ設けられており、各ピニオン83には、偏心部84aが設けられたクランク軸84と前記柱部82bが貫通している。クランク軸84及び柱部82bはそれぞれ周方向に4つ配設されている。各クランク軸84は、上端部と下端部に配置されたクランク軸受85,86によって回転自在に支持されている。上側のクランク軸受85は端板82cに設けられ、下側のクランク軸受86は基台82aに設けられている。そして、クランク軸84は、歯車87を介して入力軸88に連動して回転するようになっており、入力軸88の回転によってクランク軸84が回転すると、各ピニオン82は、偏心部84aの回転に伴って外側ケース81の内歯81aに噛み合いながら公転する。そして、ピニオン82の公転によって柱部82bが公転し、キャリア82が回転する。
【特許文献1】特開2003−83400号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、差動揺動型減速機の外径を小さくしようとすると、クランク軸84を外側ケース81の軸心に近づけて配置するとともにピニオン83を小径化する必要が生ずる。この場合、クランク軸84を外側ケース81の軸心に近づけて配置すると、クランク軸84に作用する荷重が増大することになる。また、ピニオン83を小径化すると、ピニオン83に作用する荷重が増大するので、このピニオン83を介してクランク軸84に作用する荷重が増大することになる。このため、出力トルクを維持したままで差動揺動型減速機を小径化しようとすると、クランク軸84の支持剛性を上げる必要が生じ、そのためにはクランク軸受85,86の大型化が避けられず、差動揺動型減速機の小径化には限界がある。
【0004】
そこで、本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、クランク軸の支持構造を工夫することによって作動揺動型減速機の小径化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明は、入力軸部と、偏心部を有し前記入力軸部に連動して回転するクランク軸と、前記クランク軸を支持する一対のクランク軸受と、内周部における軸方向の少なくとも一部に内歯が配置された内歯歯車部材と、前記偏心部に連動して揺動するとともに前記内歯に噛み合う外歯を有する外歯歯車部材と、前記外歯歯車部材に連動して回転する出力軸部とを備える差動揺動型減速機を前提として、前記一対のクランク軸受間で前記クランク軸を回転自在に支持する中間軸受部材が設けられている。
【0006】
本発明では、クランク軸を支持する両クランク軸受の間に中間軸受部材を設け、この中間軸受部材でさらにクランク軸を支持する構成としているので、クランク軸受が受ける荷重を低減することができる。この結果、クランク軸のたわみ及び変形を抑制しつつクランク軸受を小径化することができ、差動揺動型減速機の小径化を図ることができる。
【0007】
ここで、前記中間軸受部材は、その外周面において内歯歯車部材によって支持されているのが好ましい。こうすれば、中間軸受部材が外周面で支持されるので、支持される部位の面積を増大できるとともに、中間軸受部材をその全周で支持することができる。この結果、中間軸受部材の支持力が増大するので、中間軸受部材を小径化できるようになる。また、中間軸受部材が外周面で支持されるので、中間軸受部材の移動を抑制することができ、それによりクランク軸のたわみや変形を抑制することができる。この結果、クランク軸受に作用する荷重をより低減できるので、クランク軸受をより小径化することが可能となる。また、部品点数を増加させることなく効果的に中間軸受部材を支持することができる。
【0008】
また、前記出力軸部は、軸方向に延びる柱状に構成された柱状部を備え、前記中間軸受部材は、前記柱状部の側面に係合することによって支持されていてもよい。こうすれば、中間軸受部材が径方向の中間部において柱状部によって支持されるので、中間軸受部材の径方向又は周方向の動きを規制することができる。このため、クランク軸に作用する荷重を低減できるので、クランク軸受を小径化することができる。なお、この構成において、中間軸受部材は軸方向の移動が許容された状態で柱状部に係合していてもよく、あるいは軸方向の移動ができない状態で柱状部に係合していてもよい。
【0009】
また、前記出力軸部は、軸方向に延びる柱状に構成された柱状部を備え、前記柱状部は、周方向に複数配置され、前記中間軸受部材は、前記各柱状部に支持されていてもよい。この構成では、柱状部が複数設けられることで、柱状部がねじれ変形するのを抑制できる。そして、中間軸受部材が周方向の複数箇所でこの柱状部に固定されるので、中間軸受部材が移動するのを有効に防止することができる。
【0010】
この場合において、前記各柱状部は、軸方向に分割されて前記中間軸受部材を軸方向の両側から挟んでいるのが好ましい。こうすれば、各柱状部が中間軸受部材を軸方向の両側から挟んで中間軸受部材を支持しているので、支持強度を高めることができるとともに、中間軸受部材の揺動を確実に防止することができる。
【0011】
また、前記中間軸受部材は、前記クランク軸受間における前記クランク軸方向の中央位置に配置されているのが好ましい。この構成では、両クランク軸受が受ける荷重を均等にすることができるので、クランク軸をバランスよく支持することができる。しかも一方のクランク軸が大型化してしまうのを防止することができる。
【0012】
また、前記クランク軸が複数設けられ、1つの前記中間軸受部材によって各クランク軸が支持されているのが好ましい。この構成では、各クランク軸を支持する部材が共通化されるので、部品点数が増加するのを防止しつつクランク軸の支持強度を向上することができる。また各クランク軸毎に中間軸受部材を設ける構成にすると、それらの干渉を避けるために各中間軸受部材が軸方向に並ぶように配設する必要が生ずるが、中間軸受部材を共通化することにより、クランク軸受間での1個所でクランク軸を支持することができるようになり、この結果、クランク軸が長くなるのを抑制することができる。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば、クランク軸受を小径化することができ、その結果、差動揺動型減速機の小径化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明に係る差動揺動型減速機の一実施形態を示している。本差動揺動型減速機(以下、単に減速機という)10は、例えば風力発電設備のピッチ変換装置として使用されるものである。この他にロボット用減速機、建設機械等の走行用または旋回用減速、などに用いることができる。減速機10は有底筒状の外側ケース12を備えている。この外側ケース12は、円筒状に形成された円筒部13と、有底筒状に形成されたカバー14とを締結することによって構成されている。円筒部13には、例えば発電装置の固定フレーム(図示省略)に取付けるための鍔部13aが設けられ、この鍔部13aを通して固定フレームに締結できるようになっている。前記カバー14の底面には、駆動モータ16が固定されている。
【0016】
本減速機10は、入力軸部21と、出力軸部の一例としてのキャリア22とを備えている。入力軸部21には、駆動モータ16の駆動軸25が含まれており、駆動モータ16により入力軸部21に回転駆動力が付与される。キャリア22は、入力軸部21の軸心と同じ軸回りに回転可能に配置されるものである。減速機10は、図1に示すように例えば入力軸部21が上で、キャリア22が下になるように配置することができる。この場合には、キャリア22が垂直軸回りに回転することとなる。以下、この姿勢で配置されているものとして説明を続ける。
【0017】
入力軸部21には、駆動モータ16の駆動軸25に対して所定の比率で減速するための減速機構26と、この減速機構26を通して駆動力が伝達される中間軸部27とが含まれる。駆動軸25は、駆動モータ16から下方に延び、カバー14の中央部を貫通している。この駆動軸25は、図示省略した軸受によってカバー14に対して回転自在となっている。
【0018】
前記減速機構26は、駆動軸25の下端部に設けられた第1太陽歯車26aと、前記カバー14の側壁内側に設けられた内歯歯車26bと、これら第1太陽歯車26a及び内歯歯車26bに噛み合う第1遊星歯車26cとを備えている。第1遊星歯車26cは、駆動軸25の回転に伴い、第1太陽歯車26aの周りを公転する。
【0019】
前記中間軸部27は、駆動軸25と同軸状に配置される中間軸部本体27aと、この中間軸部本体27aから半径方向外側に延びる腕部27bとを備えている。中間軸部本体27aは、駆動軸25の真下に配置されるとともに後述する端板部36に回転可能に支持されている。腕部27bは、その先端部が第1遊星歯車26cの中央に設けられた貫通孔26dに挿通されている。そして、第1遊星歯車26cが公転すると、それに伴い腕部27bも公転し、これにより中間軸部本体27aは、駆動軸25の回転数に対して所定の比率で減速された回転数で回転する。この中間軸部本体27aの下部には、駆動外歯歯車29が設けられている。
【0020】
前記円筒部13の軸方向中間部における内周部には、内歯ピン31が固定されている。この内歯ピン31は、周方向に複数設けられており、各内歯ピン31が軸方向に延びる姿勢で配置され、周方向の全体に亘って等間隔に配置されている。各内歯ピン31は、内歯歯車の内歯を構成する。このように円筒部13は、内周部に内歯が配置された内歯歯車部材を構成する。
【0021】
前記キャリア22は、円筒部13の径方向の内側に配設されている。このキャリア22は、軸方向の2箇所に配設された軸受32,33によって回転自在に円筒部13に支持されている。キャリア22は円筒部13の軸心に一致する軸回りに回転する。
【0022】
キャリア22は、基部35と、この基部35の上方に配置された端板部36と、柱状部の一例としてのシャフト部37とを備えている。基部35は、その下端部が円筒部13から下方に突出するように構成されており、この基部35の下端部には、円筒部13の軸心と同軸状になるように伝達歯車39が設けられている。この伝達歯車39は、例えば風力発電設備の旋回軸に回転駆動力を付与する。
【0023】
シャフト部37は、基部35に設けられる基部側シャフト部41と、端板部36に設けられる端板側シャフト部42とに分割されている。基部側シャフト部41は、基部35の上面から上方に向かって軸方向に延びる柱状に構成され、端板側シャフト部42は、端板部36の下面から下方に向かって軸方向に延びる柱状に構成されている。そして、基部側シャフト部41及び端板側シャフト部42は、互いに対向する位置に設けられている。シャフト部37は、図2に示すように周方向に間隔をおいて3つ設けられており、各シャフト部37は断面略三角形状に形成されている。
【0024】
図1に示すように、円筒部13の内側において、基部35と端板部36との間に閉空間が形成されている。この閉空間内には、外歯歯車部材としてのピニオン44,44と、中間軸受部材46とが配設されている。そして、これらピニオン44,44及び中間軸受部材46を貫通するようにクランク軸48が配設されている。
【0025】
前記ピニオン44は、軸方向(上下方向)に2つ設けられている。両ピニオン44は、同じ構成のものである。図2に示すように、各ピニオン44は、円筒部13の内径よりも少し小さく形成されていて、円筒部13の内歯ピン31に噛み合う外歯44aを有する。ピニオン44の外歯44aは、内歯ピン31の歯数より若干、例えば1つだけ少なくなっている。
【0026】
各ピニオン44には、第1貫通孔44bと第2貫通孔44cとが設けられている。第1貫通孔44bは、円形状に形成されている。この第1貫通孔44bには、ころ軸受50を介装した状態で前記クランク軸48が挿通されている。
【0027】
第2貫通孔44cには、前記シャフト部37が挿通されている。この第2貫通孔44cは、シャフト部37との間に所定の隙間が形成されるようにシャフト部37の断面よりも大きな略三角形状に形成されている。第2貫通孔44cは、シャフト部37に対応して設けられるので、周方向に等間隔に3つ設けられている。
【0028】
図1に示すように、クランク軸48は、上下一対のクランク軸受56,57と前記中間軸受部材46とによって回転自在に支持されている。上側のクランク軸受56は、端板部36に形成された貫通孔36aに嵌め込まれている。下側のクランク軸受57は、基部35の上面に形成された凹部35aに嵌め込まれている。換言すると、クランク軸48は、その上部において上側のクランク軸受56を介して端板部36によって支持されるとともに、下部において下側のクランク軸受57を介して基部35によって支持されている。
【0029】
上側のクランク軸受56よりも上方に突出した各クランク軸48の上端部には、従動外歯歯車59がそれぞれ設けられている。これら各従動外歯歯車59は、前記駆動外歯歯車29に噛み合っている。そして、クランク軸48は、駆動外歯歯車29と従動外歯歯車59との歯数比で減速されて、従動外歯歯車59と一体的に回転及び公転するようになっている。
【0030】
クランク軸48には、各ピニオン44に対応するように配置された2つの偏心部48a,48aと、両偏心部48a間に配置された大径部48bとが設けられている。大径部48bは、クランク軸48の軸心と同心状の円柱状に形成されている。一方、各偏心部48aは、クランク軸48の軸心に対して偏心した円柱状に形成されており、両偏心部48aは、180度の位相差をもつように設定されている。そして、両ピニオン44,44の第1貫通孔44b,44b内にそれぞれ偏心部48aが配置され、これにより両ピニオン44,44は、互いに180度だけ位相がずれた状態で円筒部13の内歯ピン31に噛み合いながら公転する。
【0031】
前記中間軸受部材46は、図3及び図4(b)に示すように、円盤状に形成されるものである。前記中間軸受部材46の外周と円周状に配置された前記内歯ピン31との間には隙間が形成されている。
【0032】
中間軸受部材46は、両ピニオン44,44間に配置されている。そして、中間軸受部材46は、基部側シャフト部41と端板側シャフト部42との間に挟み込まれて支持されている。すなわち、シャフト部37が3箇所に設けられていて、中間軸受部材46は、各シャフト部37によって支持されている。言い換えると、各クランク軸48に設けられる中間軸受部材46が一体的に形成され、それが共用化されている。
【0033】
中間軸受部材46は、図4(a)に示すように、基部側シャフト部41及び端板側シャフト部42に対応する部位が少し厚く形成されている。この厚く形成された厚肉部46aは、断面略三角形状に形成されている。一方、各基部側シャフト部41の上面(先端面)には、それぞれ凸部41aが設けられている。これら凸部41aは、先端面における中心寄りの三角形頂点部にそれぞれ形成され、各凸部41aが中間軸受部材46の厚肉部46aにおける中心寄りの側面に係合している。このように各基部側シャフト部41と中間軸受部材46とがインロー嵌めされている。また、各端板側シャフト部42の下面(先端面)にもそれぞれ凸部42aが同じように設けられており、中間軸受部材46と端板側シャフト部42とが同様にインロー嵌めされている。
【0034】
基部側シャフト部41には、有底のボルト穴41bが設けられ、端板側シャフト部42及び中間軸受部材46には、このボルト穴41bに対応する位置にボルト挿通孔42b,46bが設けられている。そして、これらボルト挿通孔42b,46bに挿通されたボルト52が基部側シャフト部41のボルト穴41bに螺合されている。また、基部側シャフト部41、端板側シャフト部42及び中間軸受部材46には、それぞれピン孔41c,42c,46cが設けられていて、これらピン孔41c,42c,46cに跨るようにピン53が挿入されている。これにより、前記基部35、中間軸受部材46及び端板部36は、互いに位置ずれしないように固定されている。そして、基部35、中間軸受部材46及び端板部36が一体となって円筒部13の軸心回りに回転するようになっている。
【0035】
中間軸受部材46には、クランク軸48を挿通させるクランク軸挿通孔46dが設けられている。本実施形態では、クランク軸48が3つ設けられているので、クランク軸挿通孔46dも3つ形成されている。クランク軸挿通孔46dには、ころ軸受54が嵌め込まれていて、このころ軸受54を介してクランク軸48の大径部48bが支持されている。
【0036】
中間軸受部材46は、両クランク軸受56,57間におけるクランク軸48方向の中央位置に配置されている。そして、クランク軸48は、両クランク軸受56,57間で中間軸受部材46によって支持されている。
【0037】
次に、本減速機10の動作について説明する。
【0038】
駆動モータ16の駆動軸25が回転すると、減速機構26によって所定の減速比で減速されて駆動外歯歯車29が回転する。この駆動外歯歯車29の回転により、各従動外歯歯車59が回転する。この従動外歯歯車59の回転数は、駆動外歯歯車29の回転数に対して所定の減速比で減速されており、この従動外歯歯車59が回転することによりクランク軸48が一緒に回転する。これにより偏心部48aが回転し、それによって両ピニオン44が内歯ピン31に噛み合いながら公転するため、それに伴ってクランク軸48も公転する。このとき、ピニオン44の公転は、クランク軸48の公転に対して大幅に減速されている。そして、両ピニオン44の公転に伴い、シャフト部37が公転し、キャリア22全体が回転する。これにより、伝達歯車39が、駆動モータ16の回転数に対して大幅に減速された回転数で回転する。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、クランク軸48を支持するクランク軸受56,57間に中間軸受部材46が設けられ、この中間軸受部材46でさらにクランク軸48を支持する構成としているので、クランク軸受56,57が受ける荷重を低減することができる。この結果、クランク軸48のたわみ及び変形を抑制しつつクランク軸受56,57を小径化することができる。これにより、クランク軸48をキャリア22の中心に近づけて配置することが可能となり、差動揺動型減速機10の小径化を図ることができるようになる。
【0040】
また、本実施形態では、中間軸受部材46が周方向の複数箇所でシャフト部37に固定されるようにしているので、中間軸受部材46が揺動したり変形したりするのを有効に防止することができる。しかも、シャフト部37を分割し、これらの間に中間軸受部材46を挟み込む構成としているので、支持強度を有効に高めることができる中間軸受部材46の揺動を確実に防止することができる。
【0041】
また、本実施形態では、中間軸受部材46と円筒部13との間に隙間を設けたが、中間軸受部材46の外周面で円筒部13によって支持するようにしても良い。このとき、中間軸受部材46を内歯歯車部材のみで支持しても良く、シャフト部37と両方で支持してもよい。これより、中間軸受部材46が支持される部位の面積を増大できるとともに、中間軸受部材46をその全周で支持することができる。この結果、中間軸受部材46の支持力が増大するので、中間軸受部材46を小径化できるようになる。また、中間軸受部材46が外周面で支持されるので、中間軸受部材46の揺動を抑制することができ、それによりクランク軸48の揺動を抑制することができる。この結果、クランク軸受56,57に作用する荷重をより低減できるので、クランク軸受56,57をより小径化することが可能となる。また、剛性の高い円筒部13を利用するので、部品点数を増加させることなく効果的に中間軸受部材46を支持することができる。
【0042】
また、本実施形態では、中間軸受部材46がクランク軸受56,57間におけるクランク軸48方向の中央位置に配置されているので、両クランク軸受56,57が受ける荷重を均等にすることができる。これによりクランク軸48をバランスよく支持することができ、しかも一方のクランク軸48が大型化してしまうのを防止することができる。
【0043】
また、本実施形態では、複数のクランク軸48が1つの中間軸受部材46によって支持される構成としている。このため、部品点数が増加するのを防止しつつクランク軸48の支持強度を向上することができる。また各クランク軸48毎に中間軸受部材46を設ける構成にすると、それらの干渉を避けるために各中間軸受部材46が軸方向に並ぶように配設する必要が生ずるが、本実施形態のように中間軸受部材46を共通化することにより、クランク軸受56,57間での1個所でクランク軸48を支持することができるようになり、この結果、クランク軸48が長くなるのを抑制することができる。
【0044】
また、中間軸受部材46の外周面が内歯ピン31に接する構成としたが、これに限られるものではない。例えば、図5に示すように、各内歯ピン31を一方のピニオン44に対応する第1内歯ピン31aと、他方のピニオン44に対応する第2内歯ピン31bとに分割し、第1内歯ピン31aと第2内歯ピン31bとの間に中間軸受部材46の厚み相当の間隔を形成するようにする。このようにすることで中間軸受部材46が円筒部13の内周面13bに接するようにすることができる。この構成でも前記実施形態と同様に、中間軸受部材46は、その外周面において円筒部13によって支持されることになる。
【0045】
本実施形態では、シャフト部37を基部側シャフト部41と端板側シャフト部42に分割し、これらに中間軸受部材46が挟まれて支持される構成としたが、これに限られるものではない。例えば、シャフト部37が中間軸受部材46との間に間隙が形成されるようにして、中間軸受部材46が円筒部13のみによって支持される構成にしてもよい。ただし、中間軸受部材46の支持剛性を高めるには、前述した実施形態のように中間軸受部材46を基部側シャフト部41と端板側シャフト部42とで挟み込む構成にするのが好ましい。
【0046】
また、図6に示すように基部側シャフト部41と端板側シャフト部42とが直接接合されるように構成するとともに、中間軸受部材46には、シャフト部37が挿通されるシャフト部挿通孔46eが形成される構成としてもよい。そして、中間軸受部材46がシャフト部37の側面に係合するようにすればよい。この場合において、基部側シャフト部41及び端板側シャフト部42は、それぞれ突出方向に断面積がわずかに小さくなる先細形状に形成することで、中間軸受部材46のシャフト部挿通孔46eが両シャフト部37の側面に係合しやすくすることができる。また、この場合において、シャフト部37が基部側シャフト部41と端板側シャフト部42に分割されない構成にすることも可能である。すなわち、シャフト部37が基部35及び端板部36の何れか一方に形成される構成にするとともに、その他方とシャフト部37が締結されるようにしてもよく、あるいは、シャフト部37と基部35と端板部36とをそれぞれ別体に構成するとともに、これらを締結するようにしてもよい。
【0047】
また、本実施形態では、クランク軸48が3本配置されたものを示したが、クランク軸は1本でも4本でも適宜変更してよい。
【0048】
また、本実施形態では、クランク軸48が駆動軸25に対して偏心して配置される構成について示したが、クランク軸48が駆動軸25と同軸上に配置される構成としてもよい。この場合において、クランク軸48を入力軸部21に対して減速させてよく、あるいは入力軸部21に対して直結してもよい。
【0049】
本実施形態では、減速機10が風力発電装置のピッチ変換装置として構成される例について説明した。しかし、本発明はこれに適用されるものに限られるものではなく、例えばロボットアーム、建設機械の走行用モータ及び旋回用モータ等に適用される減速機にも適用することができる。さらに、建設機械走行用に見られるように内歯歯車部材が出力となり回転する形式のものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施形態に係る減速機の構成を示す断面図である。
【図2】図1のII−II線における断面図である。
【図3】図1のIII−III線における断面図である。
【図4】(a)は、(b)のIV−IV線における断面図であり、(b)は中間軸受部材の平面図である。
【図5】本発明のその他の実施形態に係る減速機を部分的に示す断面図である。
【図6】本発明のその他の実施形態に係る減速機を部分的に示す断面図である。
【図7】従来の減速機を示す断面図である。
【図8】図7のA−A線における断面図である。
【符号の説明】
【0051】
13 円筒部(内歯歯車部材の一例)
21 入力軸部
22 キャリア(出力軸部の一例)
31 内歯ピン(内歯の一例)
37 シャフト部(柱状部の一例)
44 ピニオン(外歯歯車部材の一例)
44a 外歯
46 中間軸受部材
48 クランク軸
48a 偏心部
56 クランク軸受
57 クランク軸受




 

 


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