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発明の名称 油圧緩衝器のオイルシール構造
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−225067(P2007−225067A)
公開日 平成19年9月6日(2007.9.6)
出願番号 特願2006−49255(P2006−49255)
出願日 平成18年2月24日(2006.2.24)
代理人 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
発明者 友永 隆男 / 戸田 智哉
要約 課題
インナチューブのキズが転写しにくいオイルシール構造を提供し、オイル洩れの発生を防止するとともに、アウタチューブ内におけるオイルシール構造の配置スペースをコンパクトにし、アウタチューブへの組立工数も簡易にすること。

解決手段
油圧緩衝器10のオイルシール構造において、アウタシール70の両環状突部73、74の間にインナシール80を軸方向及び周方向に変位可能に組込み、アウタチューブ11とインナチューブ12の移動に伴なうインナシール80の軸方向の変位により、インナシール80の軸方向の少なくとも一方の外側面85が、該インナシール80の外側面85に相対するアウタシール70の環状突部73の内側面75に衝合する度に、インナシール80をこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転させる回転手段90を有してなるもの。
特許請求の範囲
【請求項1】
アウタチューブにインナチューブを摺動自在に挿入した油圧緩衝器のオイルシール構造において、
アウタチューブの内周に固定されるアウタシールの内部に、インナチューブの外周に摺接するインナシール組込んでなり、
アウタシールの軸方向の両端に内径側に張り出る環状突部を設け、両環状突部の間にインナシールを軸方向及び周方向に変位可能に組込み、
アウタチューブとインナチューブの移動に伴なうインナシールの軸方向の変位により、インナシールの軸方向の少なくとも一方の外側面が、該インナシールの外側面に相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合する度に、インナシールをこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転させる回転手段を有してなることを特徴とする油圧緩衝器のオイルシール構造。
【請求項2】
前記回転手段が、インナシールの軸方向の両方の外側面が、該インナシールの外側面に相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合する度に、インナシールをこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転させる請求項1に記載の油圧緩衝器のオイルシール構造。
【請求項3】
前記回転手段が、アウタシールの両環状突部の内側面のそれぞれと、該アウタシールの両環状突部の内側面に相対するインナシールの各外側面のそれぞれに、それらの周方向に連続する鋸歯を設け、
アウタシールの各環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面がその周方向の一方向に向けて一定勾配かつ一定ピッチをなし、該アウタシールの各環状突部の内側面に相対するインナシールの各外側面に設けた鋸歯の各歯面がこれに相対するアウタシールの環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面と平行かつ同一ピッチをなし、
アウタシールの両環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面がともに、その周方向の同一方向に関し、これに相対するインナシールの外側面に対する軸方向のより外方に拡開する向きの勾配をなす請求項2に記載の油圧緩衝器のオイルシール構造。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は油圧緩衝器のオイルシール構造に関する。
【背景技術】
【0002】
自動二輪車用フロントフォーク等の油圧緩衝器では、アウタチューブにインナチューブを摺動自在に挿入し、アウタチューブの開口部に圧入固定したオイルシールを、インナチューブの外周が摺接し、オイル洩れを防いでいる。ところがインナチューブの外周にキズがつくと、このキズがオイルシールの常に同一部分を通過し、このキズがオイルシールに転写されてオイル洩れを発生させる。
【0003】
特許文献1に記載のオイルシール構造では、アウタチューブ内に設けた第1のオイルシールの軸方向の外側に、補助シールとしての第2のオイルシールを設け、第2のオイルシールの内周部を、相互に密着する多数のシール片からなるものにし、インナチューブのキズの転写により、第1のオイルシールが傷付いてオイル洩れが発生しても、第2のオイルシールがオイル洩れを防ぐ。第2のオイルシールの多数のシール片の個々のシール片がインナチューブのキズに追従し、オイル洩れを防ぐ。また、第2のオイルシールの個々のシール片が渦巻き状をなすため、第2のオイルシールがインナチューブに摺接するに伴なって回動し、各シール片がインナチューブに対し均等に摺接してそれらの偏磨耗等を防ぎ、第2のオイルシールのシール効果を長期にわたって維持する。
【特許文献1】実開平1-57979
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のオイルシール構造では、第1のオイルシールのオイル洩れを防ぐことができない。第2のオイルシールは、第1のオイルシールのオイル洩れを補助的に防ぐにすぎない。第2のオイルシールは、多数のシール片からなり、連続したシールリップを持たないため、確実なシール性が保証できない。また、アウタチューブ内に第2のオイルシールの配置スペースが必要で、アウタチューブへの組立工数も必要になる。
【0005】
本発明の課題は、インナチューブのキズが転写しにくいオイルシール構造を提供し、オイル洩れの発生を防止するとともに、アウタチューブ内におけるオイルシール構造の配置スペースをコンパクトにし、アウタチューブへの組立工数も簡易にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、アウタチューブにインナチューブを摺動自在に挿入した油圧緩衝器のオイルシール構造において、アウタチューブの内周に固定されるアウタシールの内部に、インナチューブの外周に摺接するインナシール組込んでなり、アウタシールの軸方向の両端に内径側に張り出る環状突部を設け、両環状突部の間にインナシールを軸方向及び周方向に変位可能に組込み、アウタチューブとインナチューブの移動に伴なうインナシールの軸方向の変位により、インナシールの軸方向の少なくとも一方の外側面が、該インナシールの外側面に相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合する度に、インナシールをこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転させる回転手段を有してなるようにしたものである。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記回転手段が、インナシールの軸方向の両方の外側面が、該インナシールの外側面に相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合する度に、インナシールをこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転するようにしたものである。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記回転手段が、アウタシールの両環状突部の内側面のそれぞれと、該アウタシールの両環状突部の内側面に相対するインナシールの各外側面のそれぞれに、それらの周方向に連続する鋸歯を設け、アウタシールの各環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面がその周方向の一方向に向けて一定勾配かつ一定ピッチをなし、該アウタシールの各環状突部の内側面に相対するインナシールの各外側面に設けた鋸歯の各歯面がこれに相対するアウタシールの環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面と平行かつ同一ピッチをなし、アウタシールの両環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面がともに、その周方向の同一方向に関し、これに相対するインナシールの外側面に対する軸方向のより外方に拡開する向きの勾配をなすようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
(請求項1)
(a)回転手段が、アウタチューブとインナチューブの伸縮の移動に伴なうインナシールの外側面とアウタシールの環状突部の内側面の衝合力を利用してインナシールを周方向の一方向に間欠回転させる。従って、インナチューブに摺接するインナシールが常時僅かずつ回転するから、インナチューブの外周にキズがついても、このキズがインナシールの常に同一部分を通過することがなく、このキズがインナシールに転写されづらくなり、オイル洩れの発生を防止できる。
【0010】
(b)単一のオイルシールでオイル洩れを防止でき、補助的シールを不要にするから、アウタチューブに補助的シールの配置スペースを必要とせず、組立工数も簡易になる。
【0011】
(請求項2)
(c)回転手段が、インナシールの軸方向の両方の外側面がこれに相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合する度に、その衝合力を利用してインナシールを周方向の一方向に間欠回転させる。従って、アウタチューブとインナチューブの伸び行程と縮み行程の両方でインナシールを回転するものになり、インナチューブのキズがインナシールに転写する機会を一層低減できる。
【0012】
(請求項3)
(d)回転手段が、インナシールの外側面と、これに相対するアウタシールの環状突部の内側面に設けた鋸歯により構成され、それらの鋸歯の歯面を同一ピッチかつ同一勾配に設定したから、インナシールの外側面と、アウタシールの環状突部の内側面の衝合時に、それらの鋸歯の歯面を必ず噛合いさせてその衝合力を直にインナシールの回転力に変換できる。回転手段の構成を極めて簡易にしながら、インナシールを確実に回転できる。
【0013】
(e)アウタシールの両環状突部の内側面に設けた鋸歯の各歯面がともに、その周方向の同一方向に関し、これに相対するインナシールの外側面に対する軸方向のより外方に拡開する向きの勾配をなすものにしたから、アウタチューブとインナチューブの伸び行程においてインナシールの一方の外側面がこれに相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合することに起因するインナシールの回転方向と、アウタチューブとインナチューブの縮み行程においてインナシールの他方の外側面がこれに相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合することに起因するインナシールの回転方向が同一方向になる。従って、インナシールは伸び行程で一方向に回転した後、続く縮み行程で同一方向に更に回転することをくり返す。インナシールが伸び行程と縮み行程の切換わり後に、同一位置に停留したり、反対方向に戻り回転することがない。アウタチューブとインナチューブの伸び行程と縮み行程の度に、インナシールを同一方向に続けて回転するものになり、インナチューブのキズをインナシールに転写する機会を一層確実に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1はフロントフォークを示す全体断面図、図2はオイルシール構造を示す断面図、図3はオイルシールを示し、(A)は組立断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面における鋸歯の歯型を示す模式図、図4はオイルシールの分解断面図、図5は伸び行程における鋸歯の衝合過程を示す模式図、図6は縮み行程における鋸歯の衝合過程を示す模式図である。
【実施例】
【0015】
フロントフォーク(油圧緩衝器)10は、図1に示す如く、車体側のアウタチューブ11を車軸側のインナチューブ12に摺動自在に挿入して倒立にし、両チューブ11、12の間に懸架スプリング13を介装するとともに、単筒型ダンパ14を正立にして内装している。
【0016】
アウタチューブ11の下端内周部にはインナチューブ12の外周部が摺接するブッシュ15、オイルシール16、ダストシール17が嵌着され、インナチューブ12の上端外周部にはアウタチューブ11の内周部が摺接するブッシュ18が嵌着される。
【0017】
アウタチューブ11はアッパブラケット19A、ロアブラケット19Bを介して車体側に支持され、インナチューブ12は車軸ブラケット20を介して車軸に結合される。
【0018】
インナチューブ12の底部にはダンパ14のダンパシリンダ21の下端部が取着されて立設している。
【0019】
アウタチューブ11の上端部にはキャップ22が液密に挿着されるとともに螺着され、キャップ22にはばね荷重調整アジャスター23が液密に回転可能に挿入される。アジャスター23の下端内周にはピストンロッド24の基端部が螺着され、ロックナットでロックされている。このピストンロッド24の先端部はダンパシリンダ21に挿入されている。
【0020】
インナチューブ12の内部のダンパシリンダ21の上端外周部にはオイルロックカラー31が固定され、オイルロックカラー31の上端部にはばね受32が設けられている。他方、アウタチューブ11の内部で、ばね荷重調整アジャスター23の外周にはスライダ33が螺着されている。スライダ33はスプリングカラー34を介して懸架スプリング13の上端を支持し、ばね受32によって懸架スプリング13の下端を支持する。ばね荷重調整アジャスター23の回転操作によりスライダ33を上下動し、懸架スプリング13の初期荷重を調整できる。
【0021】
アウタチューブ11とインナチューブ12の内部で、ダンパシリンダ21の外周部には、油溜室35Aと気体室35Bとが設けられ、気体室35Bに閉じ込められている気体が気体ばねを構成する。油溜室35Aの作動油は、気体室35Bのばね定数の調整と、アウタチューブ11とインナチューブ12の摺接ブッシュ15、18の潤滑、インナチューブ12の下端部のオイルシール16の湿潤に寄与する。そして、これらの懸架ばね13と気体ばねの弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0022】
ダンパ14は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)40と、ボトムバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有する。ダンパ14は、ピストンバルブ装置40とボトムバルブ装置50の発生する減衰力により、懸架スプリング13と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴うアウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮振動を抑制する。
【0023】
ダンパシリンダ21の上端開口部にはロッドガイド36が保持され、ロッドガイド36はピストンロッド24を摺接案内する。
【0024】
尚、ダンパシリンダ21の内周のロッドガイド36の直下には最伸長時に緩衝作用を果たすリバウンドスプリング37が保持されている。
【0025】
また、ピストンロッド24の外周にはオイルロックピース38が嵌着(圧入でも可)され、このオイルロックピース38を最圧縮時に前述のオイルロックカラー31に進入させて最圧縮時の緩衝作用を果たす。
【0026】
しかるに、フロントフォーク10にあっては、図2に示す如く、インナチューブ12が挿入されるアウタチューブ11の下端に大径のシールハウジング部60を形成し、シールハウジング部60の内周に前述のオイルシール16を嵌着している。
【0027】
シールハウジング部60は、アウタチューブ11においてブッシュ15が嵌着される部分より拡径された嵌着部61を備え、この嵌着部61にオイルシール16を嵌着する。シールハウジング部60は、嵌着部61の最奥部(ブッシュ15の側)にブッシュ15の端面に接する環状のシールスペーサ62を備え、嵌着部61の開口側(ダストシール17の側)に設けた環状溝62Aに止め輪63を係着している。止め輪63は、嵌着部61に嵌着されたオイルシール16の抜け止めになる。
【0028】
オイルシール16は、図2〜図4に示す如く、アウタチューブ11の内周に固定されるアウタシール70の内部に、インナチューブ12の外周に摺接するインナシール80を組込んで構成される。
【0029】
即ち、アウタシール70は、図4に示す如く、概ね円筒状をなす芯金71の一端を内径側に向けてU字状にカールしたカール部71Aとし、芯金71の外周及びカール部71Aの周囲にゴム被覆層72を被着して構成される。インナシール80は、図4に示す如く、概ね円筒状をなす芯金81の一端を内径側に向けてL字状に折曲げた折曲げ部81Aとし、芯金81の全体をゴム被覆層82に埋込み、ゴム被覆層82の内周膨出部を軸方向の両側に延在させた2領域のそれぞれにシールリップ83とダストリップ84を設けるとともに、各リップ83、84の裏面側に緊着せしめられるコイルスプリング83A、84Aを有して構成される。そして、オイルシール16は、アウタシール70の芯金71におけるカール部71Aに対する反対側端からその内周側に向けて、インナシール80をそのゴム被覆層82における芯金81の折曲げ部81A側から軽圧入(アウタシール70とインナシール80が相対移動できる程度の圧入)等により液密に嵌合した後、アウタシール70の芯金71におけるカール部71Aに対する反対側端を加締加工によって内径側に向けてL字状に折曲げた折曲げ部71Bとすることにて構成される。
【0030】
これにより、オイルシール16は、アウタシール70の軸方向の両端にて内径側に張り出る環状突部73、74、即ちカール部71Aの側の環状突部73と折曲げ部71Bの側の環状突部74を設ける。インナシール80のシールリップ83、ダストリップ84はアウタシール70の環状突部73、74の内径側に位置付けられる。このとき、アウタシール70の両環状突部73、74の軸方向の間隔をインナシール80の軸方向長さ(ゴム被覆層82の全巾)より大きくする。従って、オイルシール16は、アウタシール70の環状突部73、74の間にインナシール80を軸方向及び周方向に変位可能に組込んだものになる。
【0031】
しかるに、オイルシール16は、アウタシール70をアウタチューブ11のシールハウジング部60の嵌着部61に圧入等により嵌着して固定化した状態で、このアウタシール70内のインナシール80を周方向の一方向に間欠回転させる回転手段90を有する。
【0032】
回転手段90は、アウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮の移動時に、インナシール80のシールリップ83、ダストリップ84をインナチューブ12の外周に摺接させ、結果として該インナチューブ12に連れ移動するインナシール80の軸方向の変位により、インナシール80の軸方向の外側面85、86(インナシール80のゴム被覆層82における芯金81の折曲げ部81A側の端面たる外側面(ゴム面)85とゴム被覆層82における芯金81の折曲げ部81Aに対する反対側端面たる外側面(ゴム面)86)が、該インナシール80の外側面85、86に相対するアウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76(アウタシール70のゴム被覆層72における芯金71のカール部71A側の端面たる内側面(ゴム面)75と芯金71の折曲げ部71Bの端面たる内側面(金属面)76)に衝合する度に、インナシール80をこの衝合力によりアウタシール70内で周方向の一方向に間欠回転させる。
【0033】
本実施例において、インナチューブ12がアウタチューブ11に対して伸び移動するときには、インナシール80の外側面85がアウタシール70の環状突部73の内側面75に衝合し、インナチューブ12がアウタチューブ11に対して縮み移動するときには、インナシール80の外側面86がアウタシール70の環状突部74の内側面76に衝合する。そして、回転手段90は、インナシール80の軸方向の両方の外側面85、86が、インナシール80のそれら外側面85、86に相対するアウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76に衝合する度に、インナシール80をこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転させる。
【0034】
更に、回転手段90は、図3に示す如く、アウタシール70の両環状突部73、74の内側面75(ゴム面)、76(金属面)のそれぞれにそれらの周方向に連続する鋸歯75A、76Aを刻設する如くに設ける。また、アウタシール70の両環状突部73、74の内側面75、76に相対するインナシール80の各外側面85(ゴム面)、86(ゴム面)のそれぞれにそれらの周方向に連続する鋸歯85A、86Aを刻設する如くに設ける。
【0035】
アウタシール70の各環状突部73、74の内側面75、76に設けた鋸歯75A、76Aの各歯面がその周方向の一方向に抜けて一定勾配かつ一定ピッチをなすものとする。また、アウタシール70の各環状突部73、74の内側面75、76に相対するインナシール80の各外側面85、86に設けた鋸歯85A、86Aの各歯面が、これに相対するアウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76に設けた鋸歯75A、76Aの各歯面と平行かつ同一ピッチをなす。即ち、アウタシール70の環状突部73の内側面75に設けた鋸歯75Aの各歯面と、これに相対するインナシール80の外側面85に設けた鋸歯85Aの各歯面は、その周方向の一方向に向けて互いに平行な一定勾配、かつ同一ピッチをなす(図3(B))。また、アウタシール70の環状突部74の内側面76に設けた鋸歯76Aの各歯面と、これに相対するインナシール80の外側面86に設けた鋸歯86Aの各歯面は、その周方向の一方向に向けて互いに平行な一定勾配、かつ同一ピッチをなす(図3(B))。
【0036】
アウタシール70の両環状突部73、74の内側面75、76に設けた鋸歯75A、76Aの各歯面はともに、その周方向の同一方向(図3(B)のA方向)に関し、これに相対するインナシール80の外側面85、86に対する軸方向のより外方(図3(B)のB方向)に拡開する(図3(B)のC)向きの勾配をなすものとされる。
【0037】
以下、オイルシール16において、インナシール80が回転手段90により間欠回転せしめられる動作について説明する。
(A)伸び行程(図5)
インナチューブ12がアウタチューブ11に対して伸び移動すると、インナシール80の外側面85が下動し(図5(A)で左に動く)、インナシール80の外側面85に設けた鋸歯85Aの歯面がアウタシール70の環状突部73の内側面75に設けた鋸歯75Aの歯面に一定の衝合力をもって噛合いして衝合する(図5(A))。アウタチューブ11に圧入固定化されているアウタシール70の側の鋸歯75Aの歯面は固定面であり、インナシール80の側の鋸歯85Aの歯面は、上述の衝合力により、鋸歯75Aの歯面に押付けられ、鋸歯75Aの歯面に沿って滑り降りるように一方向に移動し、両鋸歯75A、85Aを完全に噛合いさせる(図5(B))。これにより、インナシール80が周方向の一方向に間欠回転するものになる。
【0038】
(B)縮み行程(図6)
インナチューブ12がアウタチューブ11に対して縮み移動すると、インナシール80の外側面86が上動し(図6(A)で右に動く)、インナシール80の内側面86に設けた鋸歯86Aの歯面がアウタシール70の環状突部74の内側面76に設けた鋸歯76Aの歯面に一定の衝合力をもって噛合いして衝合する(図6(A))。アウタチューブ11に圧入固定化されているアウタシール70の側の鋸歯76Aの歯面は固定的であり、インナシール80の側の鋸歯86Aの歯面は、上述の衝合力により、鋸歯76Aの歯面に押付けられ、鋸歯76Aの歯面に沿って滑り降りるように一方向に移動し、両鋸歯76A、86Aを完全に噛合いさせる(図6(B))。これにより、インナシール80が周方向の一方向に間欠回転するものになる。
【0039】
このとき、アウタシールの70の両環状突部73、74の内側面75、76に設けた鋸歯75A、76Aの各歯面がともに、その周方向の同一方向(A方向)に関し、これに相対するインナシール80の外側面85、86に対する軸方向のより外方(B方向)に拡開する向きの勾配をなすものにしたから、アウタチューブ11とインナチューブ12の上述(A)の伸び行程においてインナシール80の一方の外側面85がこれに相対するアウタシール70の環状突部73の内側面75に衝合することに起因するインナシール80の回転方向と、アウタチューブ11とインナチューブ12の上述(B)の縮み行程においてインナシール80の他方の外側面86がこれに相対するアウタシール70の環状突部74の内側面76に衝合することに起因するインナシール80の回転方向は同一方向になる。
【0040】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)回転手段90が、アウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮の移動に伴なうインナシール80の外側面85、86とアウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76の衝合力を利用してインナシール80を周方向の一方向に間欠回転させる。従って、インナチューブ12に摺接するインナシール80が常時僅かずつ回転するから、インナチューブ12の外周にキズがついても、このキズがインナシール80の常に同一部分を通過することがなく、このキズがインナシール80に転写されづらくなり、オイル洩れの発生を防止できる。
【0041】
(b)単一のオイルシール16でオイル洩れを防止でき、補助的シールを不要にするから、アウタチューブ11に補助的シールの配置スペースを必要とせず、組立工数も簡易になる。
【0042】
(c)回転手段90が、インナシール80の軸方向の両方の外側面85、86がこれに相対するアウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76に衝合する度に、その衝合力を利用してインナシール80を周方向の一方向に間欠回転させる。従って、アウタチューブ11とインナチューブ12の伸び行程と縮み行程の両方でインナシール80を回転するものになり、インナチューブ12のキズがインナシール80に転写する機会を一層低減できる。
【0043】
(d)回転手段90が、インナシール80の外側面85、86と、これに相対するアウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76に設けた鋸歯により構成され、それらの鋸歯75A、76A、85A、86Aの歯面を同一ピッチかつ同一勾配に設定したから、インナシール80の外側面85、86と、アウタシール70の環状突部73、74の内側面75、76の衝合時に、それらの鋸歯75A、76A、85A、86Aの歯面を必ず噛合いさせてその衝合力を直にインナシール80の回転力に変換できる。回転手段90の構成を極めて簡易にしながら、インナシール80を確実に回転できる。
【0044】
(e)アウタシール70の両環状突部73、74の内側面75、76に設けた鋸歯75A、76Aの各歯面がともに、その周方向の同一方向に関し、これに相対するインナシール80の外側面85、86に対する軸方向のより外方に拡開する向きの勾配をなすものにしたから、アウタチューブ11とインナチューブ12の前述(a)の伸び行程においてインナシール80の一方の外側面85がこれに相対するアウタシール70の環状突部73の内側面75に衝合することに起因するインナシール80の回転方向と、アウタチューブ11とインナチューブ12の前述(b)の縮み行程においてインナシール80の他方の外側面86がこれに相対するアウタシール70の環状突部74の内側面76に衝合することに起因するインナシール80の回転方向が同一方向になる。従って、インナシール80は伸び行程で一方向に回転した後、続く縮み行程で同一方向に更に回転することをくり返す。インナシール80が伸び行程と縮み行程の切換わり後に、同一位置に停留したり、反対方向に戻り回転することがない。アウタチューブ11とインナチューブ12の伸び行程と縮み行程の度に、インナシール80を同一方向に続けて回転するものになり、インナチューブ12のキズをインナシール80に転写する機会を一層確実に低減できる。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、回転手段は、インナシールの軸方向の唯1方の外側面だけが、該インナシールの外側面に相対するアウタシールの環状突部の内側面に衝合する度に、インナシールをこの衝合力により周方向の一方向に間欠回転させるものでも良い。このとき、アウタチューブとインナチューブの伸び行程と縮み行程の一方でインナシールを間欠回転させるものになる。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1はフロントフォークを示す全体断面図である。
【図2】図2はオイルシール構造を示す断面図である。
【図3】図3はオイルシールを示し、(A)は組立断面図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面における鋸歯の歯型を示す模式図である。
【図4】図4はオイルシールの分解断面図である。
【図5】図5は伸び行程における鋸歯の衝合過程を示す模式図である。
【図6】図6は縮み行程における鋸歯の衝合過程を示す模式図である。
【符号の説明】
【0047】
10 フロントフォーク(油圧緩衝器)
11 アウタチューブ
12 インナチューブ
16 オイルシール
70 アウタシール
73、74 環状突部
75、76 内側面
75A、76A 鋸歯
80 インナシール
85、86 外側面
85A、86A 鋸歯
90 回転手段




 

 


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