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発明の名称 自動車用衝撃吸収プロペラシャフト
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−170502(P2007−170502A)
公開日 平成19年7月5日(2007.7.5)
出願番号 特願2005−367203(P2005−367203)
出願日 平成17年12月20日(2005.12.20)
代理人 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
発明者 奥出 豊
要約 課題
自動車用衝撃吸収プロペラシャフトにおいて、部品点数を少なくするとともに、小型軽量化を図ること。

解決手段
自動車用衝撃吸収プロペラシャフト10において、インナ22が他方の分割シャフト12に結合される大径基部60と、大径基部60に結合される小径軸部70とを有し、大径基部60における小径軸部70の外周に対応する部分に薄肉部80を形成し、一方の分割シャフト11に受けた衝撃力により、該一方の分割シャフト11と他方の分割シャフト12が互いに収縮し、アウタ21がインナ22を押し込むとき、上記薄肉部80を破断可能にするもの。
特許請求の範囲
【請求項1】
複数の分割シャフトを等速継手により連結し、一方の分割シャフトに設けた等速継手の筒状アウタに、他方の分割シャフトに設けた等速継手の軸状インナを嵌合してなる自動車用衝撃吸収プロペラシャフトにおいて、
インナが他方の分割シャフトに結合される大径基部と、大径基部に結合される小径軸部とを有し、大径基部における小径軸部の外周に対応する部分に薄肉部を形成し、
一方の分割シャフトに受けた衝撃力により、該一方の分割シャフトと他方の分割シャフトが互いに収縮し、アウタがインナを押し込むとき、上記薄肉部を破断可能にすることを特徴とする自動車用衝撃吸収プロペラシャフト。
【請求項2】
前記インナの薄肉部が環状をなす請求項1に記載の自動車用衝撃吸収プロペラシャフト。
【請求項3】
前記インナの小径軸部の先端側に軸受を結合し、一方の分割シャフトに受けた衝撃力により、該一方の分割シャフトと他方の分割シャフトが互いに収縮し、アウタがインナを押し込むとき、軸受がインナから分離しない請求項1又は2に記載の自動車用衝撃吸収プロペラシャフト。
【請求項4】
前記インナの小径軸部に挿着したベアリングを支持ブラケットに支持し、一方の分割シャフトに受けた衝撃力により、該一方の分割シャフトと他方の分割シャフトが互いに収縮し、アウタがインナを押し込むとき、インナの小径軸部がベアリングに対して摺動可能になる請求項1〜3のいずれかに記載の自動車用衝撃吸収プロペラシャフト。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車用衝撃吸収プロペラシャフトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用衝撃吸収プロペラシャフトとして、一方の分割シャフトに設けたアウタレースに、他方の分割シャフトに設けたインナシャフトの外周に付設した軸受(トリポード)を係合して構成した等速自在継手により、複数の分割シャフトを連結してなるものがある。
【0003】
特許文献1では、この自動車用衝撃吸収プロペラシャフトの衝撃吸収構造として、アウタレース内に仕切りプレートを設け、プロペラシャフトが軸方向の衝撃力を受けたとき、インナシャフトが軸受とともに移動してアウタレース内の仕切りプレートを打抜き、衝撃荷重を吸収する。
【特許文献1】特開平5-215120
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の自動車用衝撃吸収プロペラシャフトには以下の問題点がある。
(1)アウタレース内に、アウタレースと別部材の仕切りプレートを設けるものであり、部品点数が多くなる。
【0005】
(2)インナシャフトが軸受とともに移動するから、アウタレースに軸受が移動できる内径を必要とし、アウタレースが大径になる。
【0006】
尚、上述(2)を解消するため、インナシャフトのみがアウタレース内の仕切りプレートを貫通するように、インナシャフトに対する軸受の移動を所定の力で阻止可能なストッパをインナシャフトに設け、ストッパが所定の力で破壊されたときにインナシャフトを軸受に対して滑り移動させ、インナシャフトだけを移動させることも考えられる。ところが、こうした場合には、軸受をインナシャフトに滑り移動できる状態で一体支持する必要があり、アウタレースとインナシャフトの間で安定的にトルク伝達するための軸受を、インナシャフトに強固に固定支持することができず、結果として安定的なトルクの伝達に困難がある。
【0007】
本発明の課題は、自動車用衝撃吸収プロペラシャフトにおいて、部品点数を少なくするとともに、小型軽量化を図ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、複数の分割シャフトを等速継手により連結し、一方の分割シャフトに設けた等速継手の筒状アウタに、他方の分割シャフトに設けた等速継手の軸状インナを嵌合してなる自動車用衝撃吸収プロペラシャフトにおいて、インナが他方の分割シャフトに結合される大径基部と、大径基部に結合される小径軸部とを有し、大径基部における小径軸部の外周に対応する部分に薄肉部を形成し、一方の分割シャフトに受けた衝撃力により、該一方の分割シャフトと他方の分割シャフトが互いに収縮し、アウタがインナを押し込むとき、上記薄肉部を破断可能にするようにしたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記インナの薄肉部が環状をなすようにしたものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記インナの小径軸部の先端側に軸受を結合し、一方の分割シャフトに受けた衝撃力により、該一方の分割シャフトと他方の分割シャフトが互いに収縮し、アウタがインナを押し込むとき、軸受がインナから分離しないようにしたものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において更に、前記インナの小径軸部に挿着したベアリングを支持ブラケットに支持し、一方の分割シャフトに受けた衝撃力により、該一方の分割シャフトと他方の分割シャフトが互いに収縮し、アウタがインナを押し込むとき、インナの小径軸部がベアリングに対して摺動可能になるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1)
(a)プロペラシャフトが軸方向の衝撃力を受けて収縮し、アウタがインナを押し込むとき、インナの薄肉部が破断してインナの小径軸部が大径基部を打ち抜き収縮して、この破断荷重の発生により衝撃を吸収緩和する。
【0013】
(b)インナを一部薄肉化するだけで衝撃を吸収でき、他の部品を付加するものでないから部品点数を削減できる。インナを一部薄肉化することにより、プロペラシャフトを軽量化できる。
【0014】
(c)インナの小径軸部が薄肉部を破断して大径基部の内径部に侵入するものであり、インナやアウタの大径化を伴なうことがなく、プロペラシャフトの小型化軽量化を図ることができる。
【0015】
(請求項2)
(d)インナの薄肉部が環状をなすものとすることにより、薄肉部の加工形成が簡易になる。また、薄肉部が環状をなすとき、打ち抜き荷重の方向性(継手屈曲)によるバラツキを周方向に分散して安定した破断荷重が得られる。
【0016】
(請求項3)
(e)上述(a)の衝撃吸収時に、軸受(トリポード)がインナから分離しないから、インナに軸受を強固に支持し、アウタとインナの間で安定的にトルク伝達できる。
【0017】
(請求項4)
(f)上述(a)の衝撃吸収時に、インナの小径軸部がベアリングに対して摺動するから、その摺動摩擦力の発生により更に衝撃を吸収することができる。このとき、ベアリングに対して摺動するインナの外周に適宜の凸部を設け、摺動摩擦抵抗の大きさを適度に増減し、衝撃吸収荷重特性を調整することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1はプロペラシャフトを示す全体図、図2は図1の要部拡大断面図、図3はインナシャフトを一部破断して示す正面図、図4はインナシャフトの破断前後の状態を示し、(A)は破断前状態を示す断面図、(B)は破断後状態を示す断面図である。
【実施例】
【0019】
自動車(FR車又は4WD車)用衝撃吸収プロペラシャフト10は、図1に示す如く、前側分割シャフト11と後側分割シャフト12に分割された2本のシャフト部材からなり、両分割シャフト11、12を等速継手(スライダブルジョイント)20により連結して構成される。前側分割シャフト11の前端部は、自在継手13を介して、エンジン側のトランスミッションの出力軸に接続される連結ヨーク14と連結され、後側分割シャフト12の後端部は、自在継手15を介して、デファレンシャルギアに接続される連結ヨーク16と連結される。
【0020】
プロペラシャフト10は、一方の分割シャフト11を構成する中空パイプ11Aの一端に等速継手20の筒状アウタ21を摩擦溶接により接続する。また、他方の分割シャフト12を構成する中空パイプ12Aの一端に等速継手20の軸状インナ22を摩擦溶接により接続する。インナ22をアウタ21に嵌合する。
【0021】
等速継手20は、図2に示す如く、一方の分割シャフト11に設けたアウタ21をアウタレース21Aにより構成し、他方の分割シャフト12に設けたインナ22をインナシャフト22Aにより構成し、インナシャフト22Aの先端部の外周3位置に3個の軸受22B(トリポード)を付設して備える。インナ22の各軸受22Bを、アウタレース21Aの内周面の軸方向に延在させた3条の溝条に摺動自在に係合し、等速継手20を構成する。
【0022】
等速継手20の軸受22Bは、インナシャフト22Aの先端部の外周に後述する如くに形成したセレーション部(スプライン)79Aに嵌合する内環22Cの外周3位置から放射状に突設される。軸受22Bを備える内環22Cは、インナシャフト22Aの先端に設けた環状溝79Bに係着した止め輪23と、インナシャフト22Aの後方に設けた拡径段差部24に挟まれ、インナシャフト22A上に位置決め保持される。
【0023】
プロペラシャフト10は、アウタ21を構成するアウタレース21Aの内周部25であって、インナ22のインナシャフト22A、軸受22Bと軸方向に離隔して対向する部分に隔壁26を一体成形して備える。
【0024】
尚、等速継手20は、アウタ21とインナ22の接続空間(グリース充填室)30を、金属薄板からなるブーツアダプタ31とゴム状弾性体からなるブーツ32を用いて密封し、インナシャフト22Aと軸受22Bの転動摺動性、耐摩耗性を向上するためのグリースをこの接続空間30に封入する。ブーツアダプタ31はアウタ21のアウタレース21Aの外周に被着されて固定される。ブーツ32は一端をブーツアダプタ31の取着部に取着され、他端をインナ22(インナシャフト22A)の後述する小径軸部70の第5小径軸部75に締結される。
【0025】
プロペラシャフト10は、インナ22を構成するインナシャフト22Aの中間部に挿着したベアリング40を、環状支持部材50に回転自在に支持し、環状支持部材50を支持ブラケット50Aに支持している。
【0026】
環状支持部材50は、内環51と外環52をゴム状弾性部材53を介して接合したものであり、内環51は小径部51A、中径部51B、大径部51Cの如くに径を変えた円筒状をなし、中径部51Bの内側にベアリング40の外輪40Aを嵌合し、小径部51Aは後述するストッパピース41の外周まで延在し、大径部51Cはインナ22(インナシャフト22A)の後述する大径基部60の外周まで延在している。また、内環51において、小径部51Aと大径部51Cの内周のそれぞれにはシール部材54、55が装填され、両シール部材54、55はベアリング40を両側からシールする。シール部材54はストッパピース41の外周に摺接し、シール部材55はインナシャフト22Aの外周に摺接する。
【0027】
プロペラシャフト10は、環状支持部材50の内環51に嵌合されたベアリング40をインナ22のインナシャフト22Aの後述する小径軸部70の第2小径軸部72に装填し、この状態で、小径軸部70の第3小径軸部73に円環状ストッパピース41が圧入される。これにより、ベアリング40の内輪40Bがストッパピース41の端面と、第1小径軸部71の第2小径軸部側端面に挟着されて位置決めされる。
【0028】
しかるに、プロペラシャフト10にあっては、図3に示す如く、インナ22(インナシャフト22A)が後側分割シャフト12に接続されて結合される大径基部60と、大径基部60に一体成形されて結合される小径軸部70とを有する。小径軸部70は、大径基部60から先端側に向けて順に第1〜第8小径軸部71〜78を備え、先端部に前述したセレーション部79A、環状溝79Bを備える。第1小径軸部71は大径基部60より小径、ベアリング40の外輪40Aより小径、内輪40Bより大径とされる。第2小径軸部72は第1小径軸部71より小径とされ、ベアリング40の内輪40Bが挿着される。第3小径軸部73は第2小径軸部72より僅かに小径とされ、ストッパピース41が圧入される。第4小径軸部74、第6小径軸部76、第8小径軸部78は第3小径軸部73よりわずかに小径とされ、小径軸部70の先端側から組込まれるベアリング40、ストッパピース41の第2小径軸部72、第3小径軸部73への挿入を許容する。第5小径軸部75は第4小径軸部74と第6小径軸部76の間でより小径とされ、ブーツ32の端部が締結される。第7小径軸部77は第6小径軸部76と第8小径軸部78の間でより小径とされる。第8小径軸部78はセレーション部79Aに嵌合された軸受22Bの内環22Cをインナシャフト22A上に位置決め保持する前述の拡径段差部24を構成する。
【0029】
プロペラシャフト10は、図3、図4に示す如く、大径基部60における、小径軸部70の第1小径軸部71の外周に対応する部分に軸方向の肉厚を薄肉にした薄肉部80を形成する。大径基部60は軸方向で、小径軸部70が結合される側と反対側の端面に2段をなす中空孔81、82を陥凹形成し、中空孔82の底部に上述の薄肉部80を形成する。薄肉部80は、鋳造又は切削加工等により成形された環状溝により形成される。プロペラシャフト10にあっては、一方の分割シャフト11に受けた衝撃力により、一方の分割シャフト11と他方の分割シャフト12が互いに相対的に収縮し、アウタ21(アウタレース21A)の隔壁26がインナ22(インナシャフト22A、軸受22B)を押し込むとき、インナ22(インナシャフト22A)の大径基部60に設けてある薄肉部80を軸方向の衝撃荷重により破断可能にする。図4(A)は薄肉部80が破断されていない状態を示す。図4(B)は薄肉部80が破断され、小径軸部70の破断された第1小径軸部71の外径部が大径基部60の破断された薄肉部80の内径部に貫入した状態を示す。
【0030】
プロペラシャフト10は、インナ22(インナシャフト22A)の小径軸部70の先端側のセレーション部79Aに軸受22Bの内環22Cを結合しており、一方の分割シャフト11に受けた衝撃により、一方の分割シャフト11と他方の分割シャフト12が互いに収縮し、アウタ21(アウタレース21A)の隔壁26がインナ22(インナシャフト22A、軸受22B)を押し込むとき、軸受22Bを第8小径軸部78が形成する拡径段差部24により保持し続け、軸受22Bの内環22Cがインナシャフト22Aのセレーション部79Aから抜けて分離することを防止する。
【0031】
プロペラシャフト10は、インナ22(インナシャフト22A)の小径軸部70の第2小径軸部72に挿着したベアリング40を支持ブラケット50Aに支持しており、一方の分割シャフト11に受けた衝撃により、一方の分割シャフト11と他方の分割シャフト12が互いに収縮し、アウタ21(アウタレース21A)の隔壁26がインナ22(インナシャフト22A、軸受22B)を押し込み、インナ22(インナシャフト22A)の大径基部60の薄肉部80が破断されて小径軸部70の破断された第1小径軸部71の外径部が大径基部60の破断された薄肉部80の内径部に貫入する過程で、小径軸部70の第2小径軸部72上にあるベアリング40の外輪40Aが大径基部60の端面に衝合して制止されたとき、小径軸部70の第2小径軸部72等がベアリング40の内輪40Bに対して軸方向に摺動して大径基部60の破断された薄肉部80の内径部の側に侵入することを許容する。
【0032】
プロペラシャフト10の衝撃吸収動作は以下の如くになる。
(1)自動車の衝突により、前方からの衝撃荷重がプロペラシャフト10に作用すると、前側分割シャフト11及びアウタ21(アウタレース21A)が後方へ移動し、後側分割シャフト12及びインナ22(インナシャフト22A及び軸受22B)がアウタレース21Aに挿入される。
【0033】
(2)上述(1)の経過により、インナ22(インナシャフト22A及び軸受22B)がアウタレース21Aの内周部25に形成してある隔壁26に衝接すると、アウタ21がインナシャフト22A及び/又は軸受22Bを介してインナ22を押し込む。
【0034】
(3)アウタ21がインナ22を押し込む衝撃荷重がインナ22(インナシャフト22A)の大径基部60の薄肉部80を応力集中により破断する。これにより、インナ22(インナシャフト22A)の小径軸部70の破断された第1小径軸部71の外径部が大径基部60の破断された薄肉部80の内径部に貫入し、アウタ21とインナ22が収縮する。
【0035】
(4)上述(3)を経て、アウタ21とインナ22が更に収縮すると、インナ22(インナシャフト22A)の小径軸部70の第2小径軸部72上にあるベアリング40の外輪40Aが大径基部60の端面に衝合して制止され、小径軸部70の第2小径軸部72等がベアリング40の内輪40Bに対してさらに軸方向に摺動して大径基部60の破断された薄肉部80の内径部の側に侵入する。
【0036】
(5)以上により、前側分割シャフト11と後側分割シャフト12が互いに突張ることなく、軸心を一致して収縮し、エンジンルーム内の内燃機関を含む駆動ユニットを適宜後退させて衝撃を緩和する。
【0037】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)プロペラシャフト10が軸方向の衝撃力を受けて収縮し、アウタ21がインナ22を押し込むとき、インナ22と一体の薄肉部80が破断してインナ22の小径軸部70が大径基部60を打ち抜き、この破断荷重の発生とともに衝撃を吸収緩和する。
【0038】
(b)インナ22を一部薄肉化するだけで衝撃を吸収でき、他の部品を付加するものでないから部品点数を削減できる。インナ22を一部薄肉化することにより、プロペラシャフト10を軽量化できる。
【0039】
(c)インナ22の小径軸部70が薄肉部80を破断して大径基部60の内径部に侵入するものであり、インナ22やアウタ21の大径化を伴なうことがなく、プロペラシャフト10の小型化軽量化を図ることができる。
【0040】
(d)インナ22の薄肉部80が環状をなすものとすることにより、薄肉部80の加工形成が簡易になる。また、薄肉部80が環状をなすとき、打ち抜き荷重の方向性(継手屈曲)によるバラツキを周方向に分散して安定した破断荷重が得られる。
【0041】
(e)上述(a)の衝撃吸収時に、軸受22B(トリポード)がインナ22から分離しないから、インナ22に軸受22Bを強固に支持し、アウタ21とインナ22の間で安定的にトルク伝達できる。
【0042】
但し、プロペラシャフト10において、アウタ21の隔壁26が衝接する軸受22Bの内環22Cをインナ22(インナシャフト22A)に対し位置決め保持している前述の拡径段差部24を、一定の力で破壊できる止め輪又は突起等のストッパに代えることもできる。このストッパが一定の力で破壊されたときには、インナシャフト22Aから軸受22Bの内環22Cが軸方向に外れて分離し、アウタ21がインナシャフト22Aのみを介してインナ22を直接的に押し込むものになる。
【0043】
(f)上述(a)の衝撃吸収時に、インナ22の小径軸部70がベアリング40に対して摺動するから、その摺動摩擦の発生により更に衝撃を吸収する。このとき、ベアリング40に対して摺動するインナ22の外周に適宜の凸部を設け、摺動摩擦の大きさを適度に増減し、衝撃吸収荷重特性を調整することもできる。
【0044】
尚、プロペラシャフト10にあっては、インナ22(インナシャフト22A)の大径基部60及び第1小径軸部71を本発明の大径基部とし、第2小径軸部72を本発明の小径軸部とし、大径基部60及び第1小径軸部71における第2小径軸部72の外周に対応する部分に本発明の薄肉部を追加して形成しても良い。この場合には、大径軸部60及び第1小径軸部71の第2小径軸部72が結合される側と反対側の端面に中空孔を陥凹形成し、この中空孔の底部に上述の薄肉部を形成できる。
【0045】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、大径基部に形成する薄肉部は、小径軸部が結合される側の端面において、小径軸部の外周に対応する部分に環状溝を設ける等により形成するものでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】図1はプロペラシャフトを示す全体図である。
【図2】図2は図1の要部拡大断面図である。
【図3】図3はインナシャフトを一部破断して示す正面図である。
【図4】図4はインナシャフトの破断前後の状態を示し、(A)は破断前状態を示す断面図、(B)は破断後状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0047】
10 プロペラシャフト
11、12 分割シャフト
20 等速継手
21 アウタ
22 インナ
22B 軸受
40 ベアリング
50A 支持ブラケット
60 大径基部
70 小径軸部
80 薄肉部




 

 


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