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発明の名称 ベーンポンプ
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−146786(P2007−146786A)
公開日 平成19年6月14日(2007.6.14)
出願番号 特願2005−344556(P2005−344556)
出願日 平成17年11月29日(2005.11.29)
代理人 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
発明者 塚原 義弘
要約 課題
ベーンポンプにおいて、ポンプ軸のためのポンプケーシングの支持孔に泥水が滞留すること。

解決手段
ポンプケーシング11の支持孔15Aにポンプ軸12を支持し、ポンプ軸12の上記支持孔15Aから外方に突出する突出部12Aにプーリ80を固定してなるベーンポンプ10において、前記支持孔15Aの外方に臨む孔開口部91の内面92を外方に向けて拡開するテーパ状にしたもの。
特許請求の範囲
【請求項1】
ポンプケーシングの支持孔にポンプ軸を支持し、ポンプ軸の上記支持孔から外方に突出する突出部にプーリを固定してなるベーンポンプにおいて、
前記支持孔の外方に臨む孔開口部の内面を外方に向けて拡開するテーパ状にしたことを特徴とするベーンポンプ。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のパワーステアリング装置等に用いられて好適なベーンポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
ベーンポンプとして、特許文献1に記載の如く、ポンプケーシングの支持孔にポンプ軸を支持し、ポンプ軸の上記支持孔から外方に突出する突出部にプーリを固定してなるものがある。
【特許文献1】実開平5-24983
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1のベーンポンプは、ポンプケーシングの支持孔から突出しているポンプ軸の突出部にプーリを固定するに際し、ポンプケーシングの支持孔の孔開口部に接近して孔開口部との間に微小隙間を形成する水切り部をプーリに設け、支持孔、ひいてはポンプケーシングの内部の軸受等への泥水の侵入を防止しようとしている。
【0004】
特許文献1のベーンポンプにあっても、支持孔の孔開口部への泥水の侵入を完全には防止できない。孔開口部に一旦侵入した泥水は支持孔に滞留し、ひいてはポンプケーシングの内部の軸受等に侵入し、各部の錆発生、機械的損傷を引き起こすおそれがある。
【0005】
本発明の課題は、ベーンポンプにおいて、ポンプ軸のためのポンプケーシングの支持孔に泥水が滞留することを防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、ポンプケーシングの支持孔にポンプ軸を支持し、ポンプ軸の上記支持孔から外方に突出する突出部にプーリを固定してなるベーンポンプにおいて、前記支持孔の外方に臨む孔開口部の内面を外方に向けて拡開するテーパ状にしたものである。
【発明の効果】
【0007】
プーリとポンプケーシングの間から支持孔の孔開口部に侵入した泥水は、孔開口部の外方に向けて拡開するテーパ状内面の勾配に沿って外方へ排出される。これにより、泥水が支持孔に滞留することがなくなり、泥水がポンプケーシングの内部の軸受等に侵入せず、各部の錆発生、機械的損傷を引き起こすこともない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1はベーンポンプを示す断面図、図2は図1のII−II線に沿う断面図、図3はポンプケーシングの支持孔開口部を拡大して示す断面図である。
【実施例】
【0009】
可変容量型ポンプ10は、自動車の油圧パワーステアリング装置の油圧発生源となるベーンポンプであり、図1、図2に示す如く、ポンプケーシング11に挿入されるポンプ軸12にセレーションにより固定されて回転駆動されるロータ13を有している。ポンプケーシング11は、ポンプハウジング11Aとカバー11Bをボルト14で一体化して構成されている。ポンプ軸12は、ポンプハウジング11Aの支持孔15Aに設けられた軸受16A(ボールベアリング)、軸受16B(ブッシュ)と、カバー11Bの支持孔15Bに設けられた軸受16C(ブッシュ)に支持される。支持孔15Aにはオイルシール16Dが嵌装されている。
【0010】
ロータ13は周方向の多数位置のそれぞれに設けた溝13Aにベーン17を収容し、各ベーン17を溝13Aに沿う半径方向に移動可能としている。
【0011】
ポンプケーシング11のポンプハウジング11Aの嵌装孔20には、プレッシャプレート18、アダプタリング19が積層状態で嵌着され、これらは後述する支点ピン21によって周方向に位置決めされた状態でカバー11Bにより側方から固定保持されている。支点ピン21の一端はカバー11Bに装着固定されている。
【0012】
ポンプケーシング11のポンプハウジング11Aに固定されている上述のアダプタリング19にはカムリング22が嵌装されている。カムリング22は、ロータ13とある偏心量をもってロータ13を囲み、プレッシャプレート18とカバー11Bの間で、ロータ13の外周部との間にポンプ室23を形成する。そして、ポンプ室23のロータ回転方向上流側の吸込領域には、カバー11Bに設けた吸込ポート24が開口し、この吸込ポート24にはハウジング11A、カバー11Bに設けた吸込通路(ドレン通路)25Aを介してポンプ10の吸込口26が連通せしめられている。他方、ポンプ室23のロータ回転方向下流側の吐出領域には、プレッシャプレート18に設けた吐出ポート27が開口し、この吐出ポート27にはハウジング11Aに設けた高圧力室28A、吐出通路28Bを介してポンプ10の吐出口29が連通せしめられている。
【0013】
これにより、可変容量型ポンプ10にあっては、ポンプ軸12によってロータ13を回転駆動し、ロータ13のベーン17が遠心力でカムリング22に押し付けられて回転するとき、ポンプ室23のロータ回転方向上流側では隣り合うベーン17間とカムリング22とが囲む容積を回転とともに拡大して作動流体を吸込ポート24から吸込み、ポンプ室23のロータ回転方向下流側では隣り合うベーン17間とカムリング22とが囲む容積を回転とともに減縮して作動流体を吐出ポート27から吐出する。
【0014】
可変容量型ポンプ10は、図2に示す如く、吐出ポート27のポンプ軸12まわりにおける開口範囲αを、後述する第2流体圧室42の側に角度βだけずらして配置している。
【0015】
しかるに、可変容量型ポンプ10は、吐出流量制御装置40を有している。
吐出流量制御装置40は、ポンプケーシング11に固定されている上述のアダプタリング19の鉛直最下部に前述の支点ピン21を載置し、カムリング22の鉛直最下部をこの支点ピン21に支持し、カムリング22をアダプタリング19内で揺動変位可能としている。
【0016】
吐出流量制御装置40は、ポンプケーシング11を構成するポンプハウジング11Aにおいて、カムリング22を挟んで後述する第1流体圧室41の反対側に加圧シリンダ50を螺着しOリングを介する密封状態で設け、加圧シリンダ50の油室51に吐出通路28Bから分岐した分岐連通路28Cを連通し、この油室51に挿入したピストン52を、アダプタリング19に設けたピストン孔53を通してカムリング22の外面に衝接している。また、加圧シリンダ50の油室51に付勢手段としてのばね54を配設し、ばね54はピストン52を介してカムリング22をロータ13の外周部との間でポンプ室23の容積(ポンプ容量)を最大とする方向へ付勢している。ピストン52はばね54を収容する空洞を備えた一端閉塞円筒中空体からなる。
【0017】
尚、アダプタリング19は第1流体圧室41を形成する内周部の一部にカムリング移動規制ストッパ19Aを突状形成され、後述するようにポンプ室23の容積を最大とするカムリング22の移動限を規制される。また、アダプタリング19は後述する第2流体圧室42を形成する内周部の一部にカムリング移動規制ストッパ19Bを突状形成され、後述するようにポンプ室23の容積を最小とするカムリング22の移動限を規制される。
【0018】
また、吐出流量制御装置40は、カムリング22とアダプタリング19との間に第1と第2の流体圧室41、42を形成している。即ち、第1流体圧室41と第2流体圧室42は、カムリング22とアダプタリング19の間で、支点ピン21と、その軸対称位置に設けたシール材43とで分割される。このとき、第1と第2の流体圧室41、42は、カムリング22とアダプタリング19の間の両側方をカバー11Bとプレッシャプレート18により区画され、アダプタリング19の前述したカムリング移動規制ストッパ19A、19Bにカムリング22が衝合したときに、ストッパ19Aの両側に分離される第1流体圧室41同士を連絡する連絡溝、ストッパ19Bの両側に分離される第2流体圧室42同士を連絡する連絡溝をプレッシャプレート18に備える。
【0019】
ここで、前述の加圧シリンダ50の油室51はポンプ10の吐出通路28Bに連通路28Cを介して連通している。これにより、ポンプ10の吐出経路において、ポンプ室23から吐出されてプレッシャプレート18の吐出ポート27、ポンプハウジング11Aの高圧力室28Aを経由して吐出通路28Bに達した圧力流体は、連通路28Cを介して、加圧シリンダ50の周囲の環状溝55A、該加圧シリンダ50の壁面に開口した通路55Bから油室51に充填される。他方、吐出通路28Bにおいて、連通路28Cの分岐部より下流側には主絞り58が設けられる。
【0020】
そして、吐出流量制御装置40は、(1)ポンプ室23の容積を最小とする方向への移動変位をカムリング22に与える第1流体圧室41に、主絞り58の上流側の圧力を後述する切換弁装置60を介して導入し、(2)ポンプ室23の容積を最大とする方向への移動変位をカムリング22に与える第2流体圧室42に、主絞り58の下流側の圧力を吐出通路28Bから分岐連通路28D経由でアダプタリング19のピストン孔53を介して導入し、(3)ポンプ室23の容積を最大とする方向への移動変位をカムリング22に与える加圧シリンダ50の油室51に、主絞り58の上流側の圧力を吐出通路28Bから分岐連通路28C経由で加圧シリンダ50の通路55A、55Bを介して導入する。第1流体圧室41、第2流体圧室42、加圧シリンダ50の油室51に作用する圧力のバランスによって、カムリング22をばね54の付勢力に抗して移動させ、ポンプ室23の容積を変化させてポンプ10の吐出流量を制御する。
【0021】
ここで、吐出流量制御装置40にあっては、主絞り58の上、下流側の圧力差によって作動し、ポンプ室23からの圧力流体の吐出流量に応じて第1流体圧室41への供給流体圧を制御する切換弁装置60を有する。具体的には、切換弁装置60は、第1流体圧室41に接続された連絡路61と吐出通路28Bの主絞り58より上流側の連絡路67との間に介装され、連絡路61に設けた絞り61Aとの連携により、ポンプ10の低回転域では第1流体圧室41を連絡路67に対して閉じ、高回転域では第1流体圧室41を連絡路67に接続する。
【0022】
尚、切換弁装置60は、ポンプハウジング11Aに穿設した弁格納孔62にスプリング63、切換弁64を収容し、スプリング63で付勢される切換弁64をポンプハウジング11Aに螺着したキャップ65で担持している。切換弁64は、弁格納孔62に密に摺接する弁体64A、及び切換弁体64Bを備え、弁体64Aの一端側に設けた加圧室66Aに吐出通路28Bの主絞り58より上流側の連絡路67を連通し、切換弁体64Bの他端側に設けたスプリング63が格納されている背圧室66Bに吐出通路28Bの主絞り58より下流側の連絡路68を第2流体圧室42を介して連通している。また、弁体64Aと切換弁体64Bの間のドレン室66Cには前述した吸込通路(ドレン通路)25Aが貫通して形成され、タンクに連絡される。弁体64Aは、前述の連絡路61を開閉可能としている。即ち、ポンプ10の吐出圧力が低い低回転域では、スプリング63の付勢力により切換弁64を図2に示す原位置に設定し、弁体64Aにより加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して閉じる。ポンプ10の中高回転域では、加圧室66Aに加えられる連絡路67の高圧流体により切換弁64を移動させ、弁体64Aにより加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して開き、連絡路67から加圧室66Aに加えられている高圧流体を第1流体圧室41に導入する。尚、連絡路67には絞り67Aが設けられ、主絞り58の上流側からの脈動を吸収可能とする。
【0023】
従って、吐出流量制御装置40を用いたポンプ10の吐出流量特性は以下の如くになる。
(1)ポンプ10の回転数が低い自動車の低速走行域では、ポンプ室23から吐出されて切換弁装置60の加圧室66Aに及ぶ流体の圧力が未だ低く、切換弁64は原位置に位置し、切換弁64は加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して閉じる。このため、主絞り58の上流側の圧力は第1流体圧室41に供給されず、第2流体圧室42には主絞り58の下流側の圧力が印加され、加圧シリンダ50の油室51には主絞り58の上流側の圧力が印加される。このため、カムリング22は第1流体圧室41と第2流体圧室42の圧力差と加圧シリンダ50のピストン52の押し力とばね54の付勢力によりポンプ室23の容積を最大とする側に維持され、ポンプ10の吐出流量は、回転数に比例して増加する。
【0024】
(2)ポンプ10の回転数の増加により、ポンプ室23から吐出されて切換弁装置60の加圧室66Aに及ぶ流体の圧力が高くなると、切換弁装置60はスプリング63の付勢力に抗して切換弁64を移動させて加圧室66Aを第1流体圧室41への連絡路61に対して開く。これにより、第1流体圧室41の圧力が上がり、カムリング22はポンプ室23の容積を小さくする側に移動していく。従って、ポンプ10の吐出流量は、回転数の増加に対し、回転数の増加による流量増加分と、ポンプ室23の容積減縮による流量減少分とを相殺し、一定の流量を維持する。
【0025】
尚、ポンプ10にあっては、高圧力室28Aと吸込通路(ドレン通路)25Aと、ドレン室66Cの間に、ポンプ吐出側での過大流体圧をリリーフする切換弁としてのリリーフ弁70を有している。また、ポンプ10は、吸込通路25Aからポンプ軸12の軸受15Cに向かう潤滑油供給路71(不図示)をカバー11Bに穿設し、ポンプ軸12の軸受15Bまわりから吸込通路25Bに戻る潤滑油戻り路72をポンプハウジング11Aに穿設してある。
【0026】
しかるに、ポンプ10は、ポンプケーシング11(ポンプハウジング11A)の支持孔15Aにポンプ軸12を前述の如くに軸受16A(ボールベアリング)、軸受16B(ブッシュ)により支持し、ポンプ軸12の支持孔15Aから外方に突出する突出部12Aにプーリ80を固定し、このプーリ80を介して自動車のエンジン回転力により回転駆動される。プーリ80は、ポンプ軸12の突出部12Aのセレーション部にボス80Aをセレーション結合され、突出部12Aの外端ねじ部に螺着されるナット81によりボス80Aを軸受16Aの内輪との間に挟圧されて固定される。尚、軸受16Aの外輪は、ポンプハウジング11Aの支持孔15Aの内周溝に係着される止め輪82により抜け止め保持される。
【0027】
ポンプ10は、図1、図3に示す如く、ポンプケーシング11(ポンプハウジング11A)の支持孔15Aの外方(プーリ80の側壁アームの側)に臨む孔開口部91の内周面92を、外方に向けて拡開するテーパ状にしている。
【0028】
本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
プーリ80とポンプケーシング11の間から支持孔15Aの孔開口部91に侵入した泥水は、孔開口部91の外方に向けて拡開するテーパ状内周面92の勾配に沿って外方へ排出される。これにより、泥水が支持孔15Aに滞留することがなくなり、泥水がポンプケーシング11の内部の軸受16A等に侵入せず、各部の錆発生、機械的損傷を引き起こすこともない。
【0029】
尚、図1のポンプ10は、ポンプケーシング11(ポンプハウジング11A)の支持孔15Aにポンプ軸12を支持するに際し、支持孔15Aに外方から順に軸受16A、オイルシール16D、軸受16Bを設けた。但し、本発明にあっては、支持孔15Aに外方から順にオイルシール、軸受を設けるポンプ10においても、支持孔15Aの外方に臨む孔開口部91の内面92を外方に向けて拡開するテーパ状にすることができる。
【0030】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】図1はベーンポンプを示す断面図である。
【図2】図2は図1のII−II線に沿う断面図である。
【図3】図3はポンプケーシングの支持孔開口部を拡大して示す断面図である。
【符号の説明】
【0032】
10 ポンプ(ベーンポンプ)
11 ポンプケーシング
12 ポンプ軸
12A 突出部
15A 支持孔
80 プーリ
91 孔開口部
92 テーパ状内面




 

 


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