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発明の名称 フロントフォークのばね荷重調整装置
発行国 日本国特許庁(JP)
公報種別 公開特許公報(A)
公開番号 特開2007−92819(P2007−92819A)
公開日 平成19年4月12日(2007.4.12)
出願番号 特願2005−280825(P2005−280825)
出願日 平成17年9月27日(2005.9.27)
代理人 【識別番号】100081385
【弁理士】
【氏名又は名称】塩川 修治
発明者 村上 陽亮
要約 課題
アジャスターへの過度の回転入力によるアジャスターの破損を防止すること。

解決手段
キャップ25の蓋部25Bにアジャスター28を回転可能に挿入したフロントフォーク10のばね荷重調整装置において、アジャスター28がキャップ25の蓋部25Bに回転可能に挿入されるアジャスター本体80を有し、キャップ25内に位置するアジャスター本体80の外周にアジャスターカラー90を圧入し、該アジャスターカラー90の外周に設けたねじ92にスライダー33を螺合させたもの。
特許請求の範囲
【請求項1】
摺動自在に嵌合する車体側チューブと車軸側チューブの間に懸架スプリングを介装し、
前記車体側チューブの上端部にキャップの円筒部を挿着し、
前記キャップの蓋部にアジャスターを回転可能に挿入し、
前記キャップの円筒部の内周に軸方向に沿う係合部を設け、
前記アジャスターの外周に前記キャップの係合部との間で回り止めされるスライダーを螺合し、
前記スライダーにて前記懸架スプリングの上端を支持したフロントフォークのばね荷重調整装置において、
前記アジャスターがキャップの蓋部に回転可能に挿入されるアジャスター本体を有し、キャップ内に位置するアジャスター本体の外周にアジャスターカラーを圧入し、該アジャスターカラーの外周に設けたねじに前記スライダーを螺合させたことを特徴とするフロントフォークのばね荷重調整装置。
【請求項2】
前記アジャスターカラーの上部にスライダーの上限規制ストッパを設け、アジャスターカラーの下部にスライダーの下限規制ストッパを設けた請求項1に記載のフロントフォークのばね荷重調整装置。
【請求項3】
前記アジャスターがキャップ外に位置するアジャスター本体に鍔状操作部を一体に成形し、該鍔状操作部と前記アジャスターカラーとでキャップの蓋部を挟持し、アジャスターを抜け止めする請求項1又は2に記載のフロントフォークのばね荷重調整装置。
【請求項4】
前記アジャスターのアジャスター本体にダンパシリンダのピストンロッドを接続してなる請求項1〜3のいずれかに記載のフロントフォークのばね荷重調整装置。
発明の詳細な説明
【技術分野】
【0001】
本発明は自動二輪車等のフロントフォークのばね荷重調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フロントフォークのばね荷重調整装置として、特許文献1に記載の如く、摺動自在に嵌合する車体側チューブと車軸側チューブの間に懸架スプリングを介装し、前記車体側チューブの上端部にキャップの円筒部を挿着し、前記キャップの蓋部にアジャスターを回転可能に挿入し、前記キャップの円筒部の内周に軸方向に沿う係合部を設け、前記アジャスターの外周に設けたねじに、前記キャップの係合部との間で回り止めされるスライダーを螺合し、前記スライダーにて前記懸架スプリングの上端を支持したものがある。
【0003】
特許文献1のフロントフォークのばね荷重調整装置では、アジャスターを回転操作することによりスライダーを上下動し、懸架スプリングのばね荷重を調整できる。また、アジャスターにダンパシリンダのピストンロッドを接続したものでは、リバウンド時にピストンロッドに作用する軸方向の引張荷重をアジャスターにて支持するし、アジャスターがばね荷重を調整してもピストンロッドの軸方向位置を変位させることがないからフロントフォークの全長を一定に保つこともできる。
【特許文献1】特開2002-161937
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のフロントフォークのばね荷重調整装置には以下の問題点がある。
(1)ばね荷重調整範囲の上限と下限において、スライダーはアジャスターの外周に設けてあるストッパリング(下限規制ストッパ)とアジャスターの外周に設けてある鍔部(上限規制ストッパ)に衝合して軸方向への移動を制止される。ここから更にアジャスターを回転させると、アジャスターのねじに過大回転力が及び、ねじの破損、ひいてはアジャスターそのものの破損につながるおそれがある。
【0005】
(2)ダンパシリンダのピストンロッドに作用する軸方向の引張荷重を、アジャスターに螺着してあるナットで受ける。このナットはアジャスターに着脱可能に設けてあるため、異常な引張荷重でアジャスターから脱落するおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、アジャスターへの過度の回転入力によるアジャスターの破損を防止することにある。
【0007】
本発明の他の課題は、アジャスターへの過度の引張入力によるアジャスターの脱落を防止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の発明は、摺動自在に嵌合する車体側チューブと車軸側チューブの間に懸架スプリングを介装し、前記車体側チューブの上端部にキャップの円筒部を挿着し、前記キャップの蓋部にアジャスターを回転可能に挿入し、前記キャップの円筒部の内周に軸方向に沿う係合部を設け、前記アジャスターの外周に前記キャップの係合部との間で回り止めされるスライダーを螺合し、前記スライダーにて前記懸架スプリングの上端を支持したフロントフォークのばね荷重調整装置において、前記アジャスターがキャップの蓋部に回転可能に挿入されるアジャスター本体を有し、キャップ内に位置するアジャスター本体の外周にアジャスターカラーを圧入し、該アジャスターカラーの外周に設けたねじに前記スライダーを螺合させたものである。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において更に、前記アジャスターカラーの上部にスライダーの上限規制ストッパを設け、アジャスターカラーの下部にスライダーの下限規制ストッパを設けたものである。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1又は2の発明において更に、前記アジャスターがキャップ外に位置するアジャスター本体に鍔状操作部を一体に成形し、該鍔状操作部と前記アジャスターカラーとでキャップの蓋部を挟持し、アジャスターを抜け止めするようにしたものである。
【0011】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において更に、前記アジャスターのアジャスター本体にダンパシリンダのピストンロッドを接続してなるようにしたものである。
【発明の効果】
【0012】
(請求項1)
(a)アジャスターを構成するアジャスター本体に一定の圧入力(スライダーの上下動が制止されたときにスリップする圧入締代)で圧入したアジャスターカラーにスライダーを螺合させた。これにより、ばね荷重調整範囲内では、アジャスター本体の回転が圧入結合力(圧入締代)でアジャスターカラーに伝えられ、スライダーを上下動させる。ばね荷重調整範囲の上限と下限でスライダーの上下動が制止されると、アジャスター本体への過度の回転入力に対しアジャスターカラーがスリップし、アジャスター等の破損を防止できる。スリップ後も圧入力は消失せず、ばね荷重調整範囲内では通常のばね荷重調整動作がなされる。
【0013】
(請求項2)
(b)アジャスターカラーの上下に、スライダーのための上限規制ストッパと下限規制ストッパを設けたから、ばね荷重調整範囲の上限と下限でスライダーの上下動を確実に制止し、アジャスターカラーをスリップさせるものになる。
【0014】
(請求項3)
(c)アジャスターがキャップ外に位置するアジャスター本体に鍔状操作部を一体に成形し、該鍔状操作部とアジャスターカラーとでキャップの蓋部を挟持し、アジャスターを抜け止めした。アジャスター本体に鍔状操作部を一体に成形したから、アジャスターの抜け止め性を向上できるし、部品点数、組付工数を削減できる。
【0015】
(請求項4)
(d)ダンパシリンダのピストンロッドに作用する軸方向の引張荷重を、アジャスター本体に一体に成形してある鍔状操作部で確実に受けることができ、アジャスター本体への過度の引張入力によるアジャスターの脱落を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1はフロントフォークを示す断面図、図2は図1のフロントフォークの下部拡大断面図、図3は図1のフロントフォークの中間部拡大断面図、図4は図1のフロントフォークの上部拡大断面図、図5はキャップ小組体を示し、(A)は断面図、(B)は底面図、図6はキャップを示し、(A)は断面図、(B)は底面図、図7はアジャスター本体を示し、(A)は正面図、(B)は断面図、図8はアジャスターカラーを示す断面図、図9はスライダーを示す平面図、図10は板ばねを示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【実施例】
【0017】
フロントフォーク10は、図1〜図4に示す如く、車体側のアウタチューブ(車体側チューブ)11を車軸側のインナチューブ(車軸側チューブ)12に摺動自在に嵌合して倒立にし、両チューブ11、12の間に懸架スプリング13を介装するとともに、単筒型ダンパ14を正立にして内装している。
【0018】
アウタチューブ11の下端内周部にはインナチューブ12の外周部が摺接するブッシュ15、オイルシール16、ダストシール17が嵌着され、インナチューブ12の上端外周部にはアウタチューブ11の内周部が摺接するブッシュ18が嵌着される。
【0019】
アウタチューブ11はアッパブラケット19A、ロアブラケット19Bを介して車体側に支持され、インナチューブ12は車軸ブラケット20を介して車軸に結合される。
【0020】
インナチューブ12の底部にはダンパ14のダンパシリンダ21の下端部が取着されて立設している。このとき、ダンパシリンダ21の下端部が車軸ブラケット20の中央凹部に突き当てられ、ダンパシリンダ21に挿着されて該ダンパシリンダ21の下端内周のストッパリング23Aに係止せしめられる後述のボトムピース51に、車軸ブラケット20に外側からシール材23Bを介して液密に係着したボトムボルト24を螺着することにより、ダンパシリンダ21を固定保持する。
【0021】
アウタチューブ11の上端部にはキャップ25の円筒部25AがOリング26を介して液密に挿着されるとともに螺着され、キャップ25の蓋部25Bの内周にはばね荷重調整アジャスター28がOリング27を介して液密に回転可能に挿入される。アジャスター28の下端内周にはピストンロッド29の基端部が螺着され、ロックナット30でロックされている。このピストンロッド29の先端部はダンパシリンダ21に挿入されている。
【0022】
インナチューブ12の内部のダンパシリンダ21の上端開口部にはオイルロックカラー31が螺着され、オイルロックカラー31の上端部にはばね受32が圧入されている。他方、アウタチューブ11の内部で、キャップ25の円筒部25Aの内周には軸方向に沿う溝部25Cが設けられ、アジャスター28の外周に上記キャップ25の溝部25Cとの間で回り止めされるスライダー33を螺合している。スライダー33はスプリングカラー34A、34Bを介して懸架スプリング13の上端を支持し、ばね受32によって懸架スプリング13の下端を支持する。アジャスター28を回動操作することにより、スライダー33を上下動し、ひいてはスプリングカラー34A、34Bを介して懸架スプリング13の初期荷重を設定可能とする。このとき、アジャスター28のねじ部とスライダー33のねじ部は、アジャスター28の右回転によってスライダー33を下降させ、懸架スプリング13を圧縮させるような逆ねじに設定される。
【0023】
アウタチューブ11とインナチューブ12の内部で、ダンパシリンダ21の外周部には、油溜室35Aと気体室35Bとが設けられ、気体室35Bに閉じ込められている気体が気体ばねを構成する。油溜室35Aの作動油は、気体室35Bのばね定数の調整と、アウタチューブ11とインナチューブ12の摺接ブッシュ15、18の潤滑、インナチューブ12の下端部のオイルシール16の湿潤に寄与する。そして、これらの懸架ばね13と気体ばねの弾発力が、車両が路面から受ける衝撃力を吸収する。
【0024】
ダンパ14は、ピストンバルブ装置(伸側減衰力発生装置)40と、ボトムバルブ装置(圧側減衰力発生装置)50とを有する。ダンパ14は、ピストンバルブ装置40とボトムバルブ装置50の発生する減衰力により、懸架スプリング13と気体ばねによる衝撃力の吸収に伴うアウタチューブ11とインナチューブ12の伸縮振動を抑制する。
【0025】
ダンパシリンダ21の上端開口部ではストッパプレート36が前述のオイルロックカラー31で挟圧され、オイルロックカラー31にはピストンロッド29を摺接案内するブッシュ状ロッドガイド37が圧入されている。
【0026】
尚、ダンパシリンダ21の内周のストッパプレート36には最伸長時に後述のピストンホルダ41との間で圧縮されて緩衝作用を果たすリバウンドスプリング38が保持されている。
【0027】
また、ピストンロッド29の外周にはストッパリング39Aで保持したオイルロックピース39が装着あるいは嵌着(圧入でも可)され、このオイルロックピース39を最圧縮時に前述のオイルロックカラー31に進入させて最圧縮時の緩衝作用を果たす。
【0028】
以下、フロントフォーク10の減衰機構について説明する。
(ピストンバルブ装置40)
ピストンバルブ装置40は、ピストンロッド29の先端部にピストンホルダ41を装着し、このピストンホルダ41に螺着されるナット41A、バルブストッパ41Bによりピストン42、バルブストッパ41Cを装着している。ピストン42は、ダンパシリンダ21の内部を摺接し、ダンパシリンダ21の内部をピストンロッド29が収容されないピストン側油室43Aとピストンロッド29が収容されるロッド側油室43Bとに区画する。ピストン42は、伸側バルブ44Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする伸側流路44と、圧側バルブ(チェックバルブ)45Aを備えてピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとを連絡可能とする圧側流路45(不図示)とを備える。
【0029】
また、ピストンバルブ装置40は、アジャスター28にOリング46Aを介して液密に挿着されるとともに螺着されて外部から操作できる減衰力調整ロッド46にかしめ固定された減衰力調整チューブ47をピストンロッド29の中空部に通し、この減衰力調整チューブ47の先端のニードル47Aにより、ピストンホルダ41に設けてあるピストン側油室43Aとロッド側油室43Bとのバイパス路48の流路面積を調整可能とする。
【0030】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ピストン側油室43Aの油が圧側流路45を通り圧側バルブ45Aを開いてロッド側油室43Bへ導かれる。
【0031】
また、フロントフォーク10の伸長時には、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が低速のとき、ロッド側油室43Bの油がニードル47Aのあるバイパス路48を通ってピストン側油室43Aへ導かれ、この間のニードル47Aによる絞り抵抗により伸側の減衰力を生ずる。この減衰力は、減衰力調整ロッド46によるニードル47Aの位置調整により調整される。
【0032】
また、フロントフォーク10の伸長時で、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が中高速のとき、ロッド側油室43Bの油が伸側流路44を通り伸側バルブ44Aを撓み変形させてピストン側油室43Aへ導かれ、伸側の減衰力を生ずる。
【0033】
(ボトムバルブ装置50)
ボトムバルブ装置50は、ダンパシリンダ21に前述の如くボトムボルト24により装着されたボトムピース51に、ボルト52により圧側バルブ56A、バルブハウジング53、バルブストッパ54を保持している。バルブストッパ54は、バルブハウジング53との間に伸側バルブ(チェックバルブ)57A、ばね57Bを保持する。バルブハウジング53はダンパシリンダ21の中間部に液密に密着し、ピストン側油室43Aの下方にボトムバルブ室55を区画形成する。バルブハウジング53は、圧側バルブ56Aを備えたピストン側油室43Aとボトムバルブ室55とを連絡可能とする圧側流路56と、伸側バルブ57Aを備えてピストン側油室43Aとボトムバルブ室55とを連絡可能とする伸側流路57(不図示)とを備える。ボトムバルブ室55はダンパシリンダ21の壁面に設けた油路58により、ダンパシリンダ21の外部に設けてある油溜室35Aに連絡可能とされている。
【0034】
また、インナチューブ12の底部に設けた車軸ブラケット20、ボトムボルト24、ボトムピース51、ボルト52には、圧側流路56と伸側流路57とをバイパスしてピストン側油室43Aと油溜室35Aとを連絡可能とするバイパス流路59を備える。また、車軸ブラケット20にOリング61Aを把持して液密に挿着されたキャップ61に、減衰力調整ロッド62をOリング63を介して液密に挿着するとともに螺着しており、減衰力調整ロッド62の先端ニードル62Aによりインナチューブ12のバイパス流路59の流路面積を調整可能としている。
【0035】
従って、フロントフォーク10の圧縮時には、ダンパシリンダ21に進入したピストンロッド29の進入容積分の油が、ピストン側油室43Aから、バイパス流路59を通って油溜室35A、或いは圧側流路56、ボトムバルブ室55、ダンパシリンダ21の壁面の油路58を通って油溜室35Aに排出される。このとき、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が低速のときには、バイパス流路59に設けてあるニードル62Aによる絞り抵抗により圧側の減衰力を得る。この減衰力は、減衰力調整ロッド62によるニードル62Aの位置調整により調整される。また、ダンパシリンダ21とピストンロッド29の相対速度が中高速のときには、ピストン側油室43Aから圧側流路56を通る油が圧側バルブ56Aを撓み変形させてボトムバルブ室55に導かれ、圧側の減衰力を生ずる。
【0036】
フロントフォーク10の伸長時には、ダンパシリンダ21から退出するピストンロッド29の退出容積分の油が、油溜室35Aからボトムバルブ室55、伸側流路57を通ってピストン側油室43Aに還流される。
【0037】
従って、フロントフォーク10は以下の如くに減衰作用を行なう。
(圧縮時)
フロントフォーク10の圧縮時には、ボトムバルブ装置50において、バルブハウジング53の圧側バルブ56A或いはニードル62Aを流れる油により圧側減衰力を生じ、ピストンバルブ装置40では殆ど減衰力を生じない。
【0038】
(伸長時)
フロントフォーク10の伸長時には、ピストンバルブ装置40において、ピストン42のニードル47A或いは伸側バルブ44Aを流れる油により伸側減衰力を生じ、ボトムバルブ装置50では殆ど減衰力を生じない。
【0039】
これらの圧側と伸側の減衰力により、フロントフォーク10の伸縮振動が抑制される。
しかるに、フロントフォーク10にあっては、懸架スプリング13のばね荷重調整装置において、キャップ25に設けるアジャスター28の取付構造を以下の如くに構成している。
【0040】
図5に示すキャップ小組体70の如くに、キャップ25は円筒部25Aの外周環状溝に装填されるOリング26を介してアウタチューブ11の上端部に液密に挿着可能にされるとともに、キャップ25の蓋部25Bの内周にはアジャスター28がOリング27を介して液密に回転可能に挿入される。アジャスター28の上端内周には減衰力調整ロッド46がOリング46Aを介して液密に挿着されるとともに螺着され、減衰力調整ロッド46の下端部には減衰力調整チューブ47がかしめ固定される。アジャスター28の外周にはスライダー33(図9)が螺着され、スライダー33の直径方向の外方に突出する凸部33Aがキャップ25(図6)の円筒部25Aの内周に設けられている軸方向に沿う溝部25Cに係入し、スライダー33は回り止め状態で上下動できる。
【0041】
アジャスター28は、キャップ25の蓋部25Bの内周に回転可能に挿入されるアジャスター本体80(図7)を有し、キャップ25内に位置するアジャスター本体80の外周にアジャスターカラー90(図8)を圧入し、アジャスターカラー90の外周に設けたねじ92にスライダー33を螺合させている。
【0042】
アジャスター28は、キャップ25の蓋部25B外に位置するアジャスター本体80の上端大径外周部80Aに鍔状操作部81を一体に成形し、キャップ25の蓋部25Bに挿入されているアジャスター本体80の中間中径外周部80BにOリング27のための外周環状溝82を設け、キャップ25内に位置するアジャスター本体80の下端小径外周部80Cの概ね上半部をアジャスターカラー90のための圧入部83としている。アジャスター本体80は上端小径内周部84に減衰力調整ロッド46のOリング46Aを液密に挿着し、上端小径内周部84の直下の大径ねじ部85に該減衰力調整ロッド46を螺着する。
【0043】
アジャスター28は、アジャスター本体80の圧入部83に圧入されるアジャスターカラー90の上端外周に大径鍔部91を設け、鍔部91の直下にねじ92を形成してある。
【0044】
アジャスター28は、アジャスター本体80をキャップ25の外方からその蓋部25Bの内周に挿入し、中間中径外周部80BをOリング27を介してその蓋部25Bの内周に回転可能に挿着した後、キャップ25の内部に位置するアジャスター本体80の圧入部83にアジャスターカラー90を圧入し、アジャスター本体80の鍔状操作部81とアジャスターカラー90の鍔部91とでキャップ25の蓋部25Bの上下面を挟持し、該アジャスター28を抜け止めする。
【0045】
アジャスター28は、減衰力調整ロッド46をキャップ25の内方からアジャスター本体80の内周に挿入する。減衰力調整ロッド46は、アジャスター本体80の上端小径内周部84にOリング46Aを介して回転可能に挿着されるとともに、大径ねじ部85に螺着される。その後、アジャスター28は、アジャスター本体80の大径ねじ部85にダンパシリンダ21のピストンロッド29の基端部を螺着され、ピストンロッド29に螺着されるロックナット30とアジャスター本体80の下端面との間にワッシャ93を挟圧ロックする(図4)。ワッシャ93はアジャスターカラー90のねじ92より大径をなす。
【0046】
アジャスター28は、アジャスターカラー90の上部の鍔部91をスライダー33の上限規制ストッパ94Aとし、アジャスターカラー90の下部のワッシャ93をスライダー33の下限規制ストッパ94Bとする。
【0047】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)アジャスター28を構成するアジャスター本体80に一定の圧入力(スライダー33の上下動が制止されたときにスリップする圧入締代)で圧入したアジャスターカラー90にスライダー33を螺合させた。これにより、ばね荷重調整範囲内では、アジャスター本体80の回転が圧入結合力(圧入締代)でアジャスターカラー90に伝えられ、スライダー33を上下動させる。ばね荷重調整範囲の上限と下限でスライダー33の上下動が制止されると、アジャスター本体80への過度の回転入力に対しアジャスターカラー90がスリップし、アジャスター28等の破損を防止できる。スリップ後も圧入力は消失せず、ばね荷重調整範囲内では通常のばね荷重調整動作がなされる。
【0048】
(b)アジャスターカラー90の上下に、スライダー33のための上限規制ストッパ94Aと下限規制ストッパ94Bを設けたから、ばね荷重調整範囲の上限と下限でスライダー33の上下動を確実に制止し、アジャスターカラー90をスリップさせるものになる。
【0049】
(c)アジャスター28がキャップ25外に位置するアジャスター本体80に鍔状操作部81を一体に成形し、該鍔状操作部81とアジャスターカラー90とでキャップ25の蓋部25Bを挟持し、アジャスター28を抜け止めした。アジャスター本体80に鍔状操作部81を一体に成形したから、アジャスター28の抜け止め性を向上できるし、部品点数、組付工数を削減できる。
【0050】
(d)ダンパシリンダ21のピストンロッド29に作用する軸方向の引張荷重を、アジャスター本体80に一体に成形してある鍔状操作部81で確実に受けることができ、アジャスター本体80への過度の引張入力によるアジャスター28の脱落を防止できる。
【0051】
更に、アジャスター28は、キャップ25の蓋部25Bの下面と、アジャスターカラー90の鍔部91の上面との間に環状の板ばね100を弾性圧縮状態で介装している。キャップ25の蓋部25Bの下面には、板ばね100の外縁に沿って該板ばね100を径方向にて位置決めする環状凹部25Dが設けられている。板ばね100はキャップ25の環状凹部25Dに装填される。
【0052】
板ばね100は、図10に示す如く、環状円板の1つの直径線Aを挟む左片101と右片102を側面視で円弧をなすように湾曲成形(又は互いにくの字をなすように屈曲成形でも可)したものである。板ばね100は、キャップ25の環状凹部25Dに装填され、直径線A上の円弧の中央湾曲凸部(又はくの字の中央屈曲凸部)をアジャスターカラー90の鍔部91の上面に圧接するものになる。但し、板ばね100は、皿ばね状をなすものでも良い。
【0053】
従って、本実施例によれば以下の作用効果を奏する。
(a)キャップ25の蓋部25Bの下面と、アジャスター28との間に板ばね100を介装したから、キャップ25とアジャスター28の寸法誤差に基づく組立ガタを板ばね100の弾性変形により吸収するとともに、振動によるアジャスター28の不測の回転を板ばね100が該アジャスター28に及ぼす摩擦力により防止する。
【0054】
(b)上述(a)の板ばね100を用いるものでは、アジャスター28の回転操作力や回転操作位置に関し、Oリングにおける如くの締代や粘り感の影響がなく、アジャスター28の回転操作性を向上できる。
【0055】
(c)上述(a)の板ばね100を用いるものでは、Oリングにおける如くの加工工数や組付工数を必要としないし、組付スペースも小スペースで足り、小型化できる。
【0056】
以上、本発明の実施例を図面により詳述したが、本発明の具体的な構成はこの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。例えば、本発明の実施において、スライダー33の回り止め構造として、キャップ25に溝部25Cを、スライダー33に凸部33Aを設けるものに代え、キャップ25に凸部を、スライダー33に凹部を設けてそれらを軸方向で係合するものでも良い。
また、本発明は正立型フロントフォークにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1はフロントフォークを示す断面図である。
【図2】図2は図1のフロントフォークの下部拡大断面図である。
【図3】図3は図1のフロントフォークの中間部拡大断面図である。
【図4】図4は図1のフロントフォークの上部拡大断面図である。
【図5】図5はキャップ小組体を示し、(A)は断面図、(B)は底面図である。
【図6】図6はキャップを示し、(A)は断面図、(B)は底面図である。
【図7】図7はアジャスター本体を示し、(A)は正面図、(B)は断面図である。
【図8】図8はアジャスターカラーを示す断面図である。
【図9】図9はスライダーを示す平面図である。
【図10】図10は板ばねを示し、(A)は平面図、(B)は側面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 フロントフォーク
11 アウタチューブ(車体側チューブ)
12 インナチューブ(車軸側チューブ)
13 懸架スプリング
21 ダンパシリンダ
25 キャップ
25A 円筒部
25B 蓋部
25C 溝部(係合部)
28 アジャスター
29 ピストンロッド
33 スライダー
80 アジャスター本体
81 鍔状操作部
83 圧入部
90 アジャスターカラー
91 鍔部
92 ねじ
93 ワッシャ
94A 上限規制ストッパ
94B 下限規制ストッパ




 

 


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